結論
アズマハウスは、和歌山県で建売住宅の分譲と賃貸マンションの経営を一手に担う地元の不動産会社だ。筆者の結論はやや割高である。賃貸の稼ぎは安定しているが、人口の減る地方で資本の効率を上げる道が見えず、持っている資産の値打ちも少数株主には届きにくい。
利益の 8 割は賃貸から生まれる。自社で約 2,300 戸を持ち、1 万 5 千戸近い管理も受託する。分譲は売上の半分を占めるが、利益率は 2% に満たない年もある。
10 年先を考えると、和歌山の人口は年 1% 近く減り、分譲の量は細る。賃料も都市部ほどは上がらない。借金は 120 億円台あり、借り換えのたびに利払いが増える。ROE は 4% 前後にとどまり、資本コストに届かない。大株主の個人 2 人が議決権の半分を持つ会社で、資産を売って株主に戻す決断も期待しにくい。筆者は、地元での強さと株主の値打ちを分けて考えるべきだと見る。強さは本物でも、それに払う値段は別の話だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、アズマハウスは「地元では強いが、資本の使い方では平凡な」会社だ。和歌山の土地と家と賃貸を一手に握り、地主との関係で仕事が回る。地方の会社としては堅い商売である。
ただ、オーナーとして受け取る利益で見ると話は変わる。資本 170 億円台で年 5〜10 億円しか稼がず、その資本は賃貸の物件という形で膨らみ続ける。地方の賃料では、借金の金利が上がるほど、新しく建てる物件の稼ぎが資本コストを下回りやすい。
安全域は資産の側にはあるが、大株主が半分を持つ会社で、その資産が少数株主の手に渡る道は細い。払う値段は、稼ぐ力で測るのが筋だ。筆者は、地元での強さを評価しつつも、今の値段は稼ぐ力に対して少し高いと見る。
もし大株主が資産の入れ替えと還元に舵を切れば、評価は変わる。筆者はその変化を待つ立場にある。
何で稼ぐ会社か
事業は 4 つに分かれる。売上が最も大きいのは不動産・建設で、和歌山県と大阪府の南部で建売住宅と分譲土地を売る。2026/03 期は建物 182 棟と土地 211 区画を引き渡した。土地を仕入れ、区画を割り、家を建てて売る回転の商売だ。地元の土地の情報を早くつかめることが強みになる。
利益の柱は賃貸だ。自社で約 2,300 戸の賃貸マンション・アパートを持ち、さらに地元のオーナーから 1 万 5 千戸近くの管理を受託する。和歌山市内に 4 つ、岩出市と橋本市に 1 つずつの店を構え、仲介も手がける。賃貸の営業利益率は 29% と高い。
資産活用は、土地を持つ人に賃貸住宅の建築を勧め、建てた物件を売る仕事だ。管理を受託する関係から、建築や売買の話が生まれる。
ホテルは和歌山市内のビジネスホテル 3 か所で、焼肉店とカフェも営む。売上は 7 億円台と小さい。
分譲で土地を買い、賃貸で持ち、管理で地主とつながる。地方の不動産の仕事を一通り抱えた形だ。人の数は連結で 220 人余りの小さな会社である。
優良さと弱いところ
強みは和歌山での厚い地盤だ。管理を受託する 1 万 5 千戸は、地元のオーナーとの長い付き合いの結果で、新しい賃貸の建築や土地の売買の話が自然に集まる。大手の住宅会社がわざわざ入ってこない規模の市場で、地元の情報を握る会社は強い。
一方で、堀と呼べるほどの値決めの力は無い。分譲の値段は地方の買い手の財布で決まり、建築費の上げを移しきれない年は利益が消える。2026/03 期は分譲の売上が 2 割落ち、利益はほぼ出なかった。
資本の効率も低い。自己資本 173 億円に対し、純利益は 5〜10 億円で、ROE は 10 年の中央値で 5% に届かない。賃貸の物件を持つほど資本は膨らむが、地方の賃料では資本コストを超える稼ぎになりにくい。賃貸等不動産の時価は帳簿を 1 割弱上回るだけで、隠れた値打ちも厚くない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
和歌山の住宅市場は、量の面で縮んでいく。県の人口は年 1% 近く減り、若い世帯の数はそれ以上の速さで減る。新築の建売の量は、10 年で 15〜20% ほど細るとみるのが自然だ。
値段の面では、建築費の高騰が続く。資材と職人の賃金が物価並みに上がり、建売の値段も上がる。ただ地方の買い手の所得は都市部ほど伸びず、住宅ローンの金利が上がれば買える値段の天井は下がる。売る側は値段と量のどちらかを我慢することになる。
賃貸の市場も二極化する。和歌山市の中心部や大学・工場の近くは入居が保たれるが、郊外の古い物件は空き家と競合する。全国の空き家率は 13% を超え、地方ではさらに高い。新しい物件ほど入居が決まりやすく、古い物件は家賃を下げて埋める形が続く。
一方で、建築費の高騰は新しい供給を抑えるので、すでに建っている物件の値打ちは相対的に上がる。自社で物件を持つこの会社には追い風だ。地元の中小の不動産会社は後継ぎ不足で畳む例も多く、管理の受託を引き継ぐ機会は増える。
金利も効く。10 年国債が 3% の世界では、地方の賃貸の利回りも上がり、物件の値打ちは下がりやすい。
資本政策と M&A
配当は安定と業績の両方を見て決める方針で、2026/03 期の配当性向は約 60% だった。2023/03 期から年 2 回払う。自社株買いの実績は乏しく、株主優待も無い。
借金は有利子負債 126 億円で、自己資本比率は 54%。会社は自己資本比率 40% 以上を目標に掲げ、借金で賃貸の物件を増やす余地を残している。金利が上がる中で、この方針は利払いの負担を増やす方向に働く。
大株主は個人 2 人で議決権の 5 割を持つ。経営の方針は大株主しだいで、少数株主への資産の還元や再編の話は見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
和歌山の賃貸と分譲で、この会社ほど地盤の厚い会社は無い。1 万 5 千戸近い管理の受託は、地主との長い関係の上に成り立ち、簡単には崩れない。賃貸の営業利益率は 29% あり、利益の 8 割を安定して稼ぐ。
建築費の高騰も追い風になる。新しい供給が細るほど、すでに建っている自社の物件の値打ちは上がる。古い物件の償却は取得した時の値段のまま増えないので、賃料を少しでも上げれば利益は残る。
分譲の落ち込みは一時的だ。会社は 2028/03 期に営業利益 12 億円を見込み、大阪府の南部にも広げている。地元の中小の不動産会社は後継ぎ不足で畳む例が多く、管理の受託や土地の話を引き継ぐ機会は増える。配当性向は 6 割と高く、株主への配慮もある。
資本の効率が低いのは、物件を持つ商売の宿命でもある。賃料の上げが続けば、ROE は時間をかけて戻る。和歌山という市場の小ささが、大手を寄せ付けない壁にもなっている。
慎重な見方
会社の足元の和歌山は、人口が年 1% 近く減る町だ。分譲の量は細り、若い世帯は住宅ローンの金利の上昇で家を買う時期を延ばす。2026/03 期の分譲の利益がほぼ消えたのは、その前触れにすぎない。
賃貸も安泰ではない。郊外の物件は空き家と競合し、賃料は物価ほど上がらない。新しく建てる物件は高い建築費で作るので、償却が膨らみ、地方の賃料では資本コストを超える稼ぎになりにくい。
借金は 120 億円台あり、借り換えのたびに利払いが増える。ROE は 10 年で 5% を超えたことがなく、資本コストに遠い。大株主の個人 2 人が半分を持つ会社で、資産を売って還元する話も出ない。少数株主にとって、資産の厚さは手の届かない値打ちだ。
本社の費用も物価とともに膨らむ。分譲の量が細る中で、その費用を吸収するのは簡単ではない。人を集めにくい地方の会社では、職人と営業の賃上げも利益を削る。地盤の厚さは、縮む市場の中での厚さにすぎない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方がやや強い。地元での地盤は本物だが、その強さが株主の値打ちに変わる力が弱い。人口減と金利の上昇は、分譲と賃貸の両方にじわじわ効く。確率は中立に厚く置き、悲観側を合わせて 30% とした。大阪府への広がりで分譲の量が保たれるなら、楽観側に寄せ直す。強気の見方の挙げる建築費の高騰の追い風は、中立で賃貸の利益率を保つ形で織り込んだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 1,067 円86 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 417 円34 億円)。 今の値に割り戻すと 763 円61 億円、今との差 +3.1%、 期待の年率 +7.2%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,802 円145 億円 | 632 円51 億円 | +229.0% | +12.6% | 195 円16 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,443 円116 億円 | 544 円44 億円 | +168.6% | +10.4% | 437 円35 億円 |
| 中立 | 40% | 1,159 円93 億円 | 473 円38 億円 | +120.6% | +8.2% | 653 円53 億円 |
| やや悲観 | 20% | 608 円49 億円 | 248 円20 億円 | +15.8% | +1.5% | 171 円14 億円 |
| 悲観 | 10% | 199 円16 億円 | 75 円6 億円 | −63.1% | −9.5% | 27 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,067 円86 億円 | 417 円34 億円 | +100.5% | +7.2% | 1,484 円119 億円 |
今の株価時価総額 740 円60 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 大阪の南へ広がり、賃貸が厚みを増す 利益 12 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,802 円145 億円
和歌山で育てた建売と賃貸の型を、大阪府の南部に持ち込んで量を保つ。建築費の高騰で大手の供給が細る中、地元の土地を知る強みで分譲の利益率を 6% に戻す。
賃貸は自社物件を 1 割余り増やし、新しい物件ほど高い賃料が取れる。古い物件の償却は取得した時の値段のまま増えないので、賃料の上げはそのまま利益に残る。ホテルは訪日客と出張の戻りで稼働を上げる。
営業利益は 20 億円を超え、ROE は 6% 近くまで戻る。それでも資本コストには届かず、値打ちは利益の倍率で頭を押さえられる。配当は方針どおり利益の 6 割を払い続ける。
- 不動産・建設(分譲):数量 373(引渡し件数(建物 182 棟+土地 211 区画))× 価格 0.22(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 83 億円・営業利益 5 億円。393 件の 0.95 倍 × 1.38 倍、6%
- 不動産賃貸:数量 2,574(自社物件の戸数(戸))× 価格 0.02(1 戸あたりの年間売上(億円。管理・仲介の手数料を含む))→ 売上 57 億円・営業利益 18 億円。2,298 戸の 1.12 倍 × 賃料 1.30 倍、32%
- 資産活用:数量 16.0(販売・建築の棟数(棟))× 価格 0.57(1 棟あたりの売上(億円))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。1.0 倍 × 1.38 倍、8%
- ホテル:数量 12.9(販売した客室の延べ数(万室泊・推定))× 価格 0.88(1 万室泊あたりの売上(億円。飲食を含む))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。1.1 倍 × 1.40 倍、10%
倍率:事業の ROE 5.8% が k 8.25% を下回り、ためた利益は額面ほどの値打ちが無い。PER の上限は 1÷k の 12.11 倍で、賃貸の厚みが増すこの筋書きは上限いっぱいとした。
確率:和歌山の人口が減る中で分譲の量を保ち、賃料も物価並みに上げる筋書き。地方の会社としては条件が重なりすぎるので 8% にとどめた。
やや楽観 22% 賃貸が利益を支え、分譲も持ち直す 利益 10 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,443 円116 億円
分譲は 2026/03 期の落ち込みから持ち直し、利益率 5% に戻る。量は和歌山の人口とともに 1 割減るが、値段は物価並みに上がる。
賃貸は自社物件を 8% 増やし、賃料も 2 割余り上げる。1 万 5 千戸近い管理の受託は、地元のオーナーとの付き合いを通じて新しい賃貸の建築や売買の話を運んでくる。
営業利益は 17 億円台まで伸びる。借り換えで利払いは年 2 億円ほど増えるが、賃貸の伸びで吸収できる。ROE は 5% に届かない。
資産活用の建築の受注も、管理の受託先の地主から少しずつ増える。配当は利益の 6 割を払い、10 年で 40 億円余りを株主に戻す。
- 不動産・建設(分譲):数量 354(引渡し件数(建物 182 棟+土地 211 区画))× 価格 0.21(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 76 億円・営業利益 4 億円。0.90 倍 × 1.34 倍、5%
- 不動産賃貸:数量 2,482(自社物件の戸数(戸))× 価格 0.02(1 戸あたりの年間売上(億円。管理・仲介の手数料を含む))→ 売上 52 億円・営業利益 16 億円。1.08 倍 × 1.25 倍、31%
- 資産活用:数量 15.2(販売・建築の棟数(棟))× 価格 0.55(1 棟あたりの売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。0.95 倍 × 1.34 倍、7%
- ホテル:数量 12.3(販売した客室の延べ数(万室泊・推定))× 価格 0.86(1 万室泊あたりの売上(億円。飲食を含む))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。1.05 倍 × 1.37 倍、8.5%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 116 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社は 2028/03 期に営業利益 12 億円を見込む。賃貸の安定した稼ぎに分譲の持ち直しが乗る形は十分ありうるので 22% とした。
中立 40% 分譲は細り、賃貸が会社を支える 利益 8 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,159 円93 億円
和歌山の人口は年 1% 近く減り、分譲の量は 10 年で 15% ほど細る。建築費の上げは値段に移せるが、地方の買い手の財布には限りがあり、利益率は 4% にとどまる。
稼ぎの柱は賃貸だ。自社物件を少しずつ増やし、賃料は 10 年で 2 割上げる。都市部ほどは上がらないが、空室を抑えて利益率 30% を保つ。新しく建てる分は今の高い建築費で作るので、償却もそのぶん増える。
営業利益は 14 億円台に伸びる。借り換えで利払いが増え、純利益は 8 億円弱にとどまる。ROE は 4% 前後で、資本コストに届かない姿は変わらない。
- 不動産・建設(分譲):数量 334(引渡し件数(建物 182 棟+土地 211 区画))× 価格 0.21(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 70 億円・営業利益 3 億円。和歌山の人口減で 0.85 倍 × 1.30 倍、4%
- 不動産賃貸:数量 2,413(自社物件の戸数(戸))× 価格 0.02(1 戸あたりの年間売上(億円。管理・仲介の手数料を含む))→ 売上 49 億円・営業利益 15 億円。自社物件 1.05 倍 × 地方の賃料 1.20 倍、30%
- 資産活用:数量 14.4(販売・建築の棟数(棟))× 価格 0.55(1 棟あたりの売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。0.90 倍 × 1.34 倍、6%
- ホテル:数量 11.7(販売した客室の延べ数(万室泊・推定))× 価格 0.85(1 万室泊あたりの売上(億円。飲食を含む))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。1.0 倍 × 1.34 倍、7%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 93 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年の営業利益率は 8〜13% で、分譲の量が細り賃貸が支える形はここ数年の延長にある。最もありうる筋書きとして中立に 40% を置いた。
やや悲観 20% 住宅ローン金利が分譲を冷やす 利益 3 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 608 円49 億円
住宅ローンの金利が上がり、和歌山の若い世帯は家を買う時期を先に延ばす。分譲の量は 3 割減り、売れ残りの値引きで利益は出なくなる。
賃貸は空室が少しずつ増え、賃料もほとんど上がらない。自社物件の利益で会社は黒字を保つが、借り換えの利払いが重くなる。配当は細り、10 年で 20 億円ほどしか戻らない。
賃貸の建物と土地の値打ちは残る。ただ大株主が半分を持つ会社で、清算されない限り少数株主はその値打ちを受け取れない。株価は資産の値打ちの一部でしか支えられない。大株主は配当を細らせても、物件の売却には動かない。
- 不動産・建設(分譲):数量 275(引渡し件数(建物 182 棟+土地 211 区画))× 価格 0.19(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 53 億円・営業利益 0 億円。0.70 倍 × 1.20 倍、0%
- 不動産賃貸:数量 2,298(自社物件の戸数(戸))× 価格 0.02(1 戸あたりの年間売上(億円。管理・仲介の手数料を含む))→ 売上 43 億円・営業利益 11 億円。1.0 倍 × 1.10 倍、26%
- 資産活用:数量 11.2(販売・建築の棟数(棟))× 価格 0.52(1 棟あたりの売上(億円))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。0.70 倍 × 1.25 倍、2%
- ホテル:数量 10.5(販売した客室の延べ数(万室泊・推定))× 価格 0.79(1 万室泊あたりの売上(億円。飲食を含む))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。0.90 倍 × 1.25 倍、3%
倍率:事業の ROE 1.5% で稼ぐ力の値打ちは約 31 億円。床の資産(38 億円)の方が大きいので、今の自己資本 173 億円に PBR 0.22 倍を掛けて床に合わせた。
確率:金利の上昇で地方の住宅の買い手が細り、分譲の利益が消える筋書き。2026/03 期に分譲の売上が 2 割落ちた実例もあり、20% とした。
悲観 10% 地方の住宅が余り、空室と在庫が重なる 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 199 円16 億円
和歌山の空き家は増え続け、賃貸の空室が目立ってくる。賃料は 10 年たっても上がらず、自社物件の利益は 3 割落ちる。
分譲は量が半分になり、売れ残りの値引きで赤字が続く。資産活用とホテルも赤字に沈み、土地と建物の減損が自己資本を削る。
借金は賃貸の建物を売って返すしかない。地方の物件は買い手が少なく、売る値段も帳簿を下回る。会社は残るが、株主に残る値打ちは小さい。
管理の受託も、オーナーの高齢化と物件の取り壊しで少しずつ減っていく。地元の金融機関も、地方の不動産への融資には慎重になる。配当はほぼ止まり、株主に戻る値打ちは細る。
- 不動産・建設(分譲):数量 197(引渡し件数(建物 182 棟+土地 211 区画))× 価格 0.18(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 35 億円・営業利益 −1 億円。0.50 倍 × 1.10 倍、−4%
- 不動産賃貸:数量 2,114(自社物件の戸数(戸))× 価格 0.02(1 戸あたりの年間売上(億円。管理・仲介の手数料を含む))→ 売上 36 億円・営業利益 7 億円。空室で 0.92 倍 × 1.00 倍、20%
- 資産活用:数量 8.0(販売・建築の棟数(棟))× 価格 0.48(1 棟あたりの売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。0.50 倍 × 1.15 倍、−2%
- ホテル:数量 8.8(販売した客室の延べ数(万室泊・推定))× 価格 0.73(1 万室泊あたりの売上(億円。飲食を含む))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。0.75 倍 × 1.15 倍、−3%
倍率:純利益は赤字で稼ぐ力の床は無い。地方の物件の値下がりと借金を引いた床の資産(15.5 億円)に合わせ、今の自己資本 173 億円に PBR 0.09 倍を掛けた。EV(時価総額+純負債)÷ 営業利益は 60 倍を超え、借金を含めると事業の稼ぎでは値が付かない筋書きだ。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.0925 倍・時価総額 16 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:和歌山の空き家の増加で賃貸の空室が広がり、分譲も赤字になる構造的な負けの筋書き。賃貸の自社物件という底があるので 10% とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産・建設(分譲)
和歌山県と大阪府南部での建売・売建住宅、分譲土地、注文住宅、中古住宅の販売。
| 数量引渡し件数(建物 182 棟+土地 211 区画) | 価格1 件あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 393 | 0.16 | 63 | 1 |
| 10 年後 中立 | 334 | 0.21 | 70 | 3 |
取り方:有報の販売実績(分譲土地 211 区画・建売 113 棟・売建 17 棟・注文 20 棟・中古 32 棟)を足した 393 件で売上 63.0 億円を割った。土地だけの区画と建物付きを同じ 1 件とした推定。
不動産賃貸
自社で持つ賃貸マンション・アパートの賃貸と、地元のオーナーから受託した物件の管理・仲介。
| 数量自社物件の戸数(戸) | 価格1 戸あたりの年間売上(億円。管理・仲介の手数料を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 2,298 | 0.02 | 39 | 11 |
| 10 年後 中立 | 2,413 | 0.02 | 49 | 15 |
取り方:有報の自社物件 2,298 戸を量とし、賃貸の売上 38.8 億円を割った。管理の受託 14,912 戸の手数料も含むので、1 戸あたりは家賃より高めに出る。
資産活用
土地を持つ人や投資家に向けた賃貸住宅の建築と、建売の賃貸住宅・中古の賃貸住宅の販売。
| 数量販売・建築の棟数(棟) | 価格1 棟あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 16.0 | 0.41 | 7 | 0 |
| 10 年後 中立 | 14.4 | 0.55 | 8 | 0 |
取り方:有報の販売実績(賃貸住宅 13 棟・賃貸中古住宅 3 棟)の 16 棟で売上 6.6 億円を割った。
ホテル
和歌山市内のビジネスホテル 3 か所と飲食店 2 店(焼肉店・カフェ)。
| 数量販売した客室の延べ数(万室泊・推定) | 価格1 万室泊あたりの売上(億円。飲食を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 11.7 | 0.63 | 7 | 1 |
| 10 年後 中立 | 11.7 | 0.85 | 10 | 1 |
取り方:客室数の開示が無いため、3 か所で約 400 室・稼働 8 割とみて年 11.7 万室泊と推定し、売上 7.4 億円を割った。飲食の売上も含む。
リスクと懸念
和歌山の人口減
県の人口は年 1% 近く減り、若い世帯はそれ以上の速さで減る。分譲の量も賃貸の入居も、地元の人の数に縛られる。大阪府の南部に広げても、事業の大半は和歌山にある。
住宅ローンの金利
金利が上がれば、地方の若い世帯が買える家の値段は下がる。建築費が上がる中で値段を下げられなければ、売れ残りの値引きで分譲の利益が消える。2026/03 期の分譲の落ち込みは、その小さな前触れだ。
借り換えの利払い
有利子負債は 126 億円あり、借り換えのたびに金利が上がる。賃貸の物件を借金で増やす方針なので、金利の上げは利益にじかに効く。10 年で利払いは年 2 億円ほど増えるとみる。
建築費と償却
新しく建てる賃貸の物件は、今の高い建築費で作る。償却がそのぶん増え、地方の賃料では利回りが薄くなる。古い物件の建て替えも同じ問題を抱える。
賃貸の空室
郊外の古い物件は、増え続ける空き家と競合する。空室を埋めるために賃料を下げれば、賃貸の高い利益率が崩れる。利益の 8 割を賃貸に頼るので、影響は大きい。
大株主の支配
個人 2 人が議決権の 5 割を持つ。資本の使い方や還元の方針は大株主しだいで、少数株主が変える手段は限られる。資産の値打ちが株主に渡る道も細い。
今後の分かれ目
- 分譲の利益率が 5% 台に戻ったら
- やや楽観の筋書きに近づく。建築費の上げを値段に移せているかを確かめる。
- 住宅ローンの金利が大きく上がったら
- やや悲観の確率を上げる。分譲の在庫と値引きの広がりを見る。
- 大阪府の南部での分譲や賃貸が大きく伸びたら
- 和歌山の人口減を補える証拠とみて、楽観側に寄せる。
- 自社株買いや配当の大幅な引き上げが出たら
- 資本の使い方が変わった印とみる。還元の分だけ株主の値打ちを見直す。
- 賃貸の入居率が下がり始めたら
- 悲観側に寄せる。古い物件の賃料の下げ幅を合わせて見る。
見ておくもの
- 分譲の引渡し件数と利益率
- 賃貸の自社物件の戸数と入居率
- 有利子負債の残高と平均の金利
- 和歌山県の人口と新設住宅着工
- 配当性向と自社株買い
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価や PBR から置かず、事業の ROE が k 8.25% を下回ることから PER の上限 1÷k の 10.8 倍を出し、利益の質で 85〜100% を掛けた。賃貸等不動産の含み益は賃料が利益に入っているので価値に足さず、悲観の床だけに使った。PBR 0.35 倍は割安の根拠にしていない。新しいリースの会計の影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→12.11 倍・やや楽観 PER 10→12.12 倍・中立 PER 9.2→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 8.25%。