結論
fantasistaは、東京で販売用不動産の売買とホテル運営を手がける小さな会社だ。従業員は連結で28人、売上の9割超が不動産の売買である。2026年9月に、仙台市の保有地で受電容量200MWのAIデータセンターを開発する方針を公表し、株価は大きく動いた。
筆者の結論は割高である。直近の営業利益は2億円にとどまり、純損益は赤字だった。計画書の金額は4,000億円でも、いまの利益はそれを支える水準にない。
一番の問題は希薄化だ。第9回新株予約権が全部行使されれば、発行済み株式は2倍近くに増える。既存株主の取り分は5割強に薄まり、払い込まれる約90億円の現金も、使い道は暗号資産の取得などで株主に戻る保証がない。
良い面もある。蓄電所は2025年6月に第1号が動き出し、リユース事業も買収で加わった。データセンターが実現すれば、用地を持つ強みが効く。ただ、それは楽観の筋書きであり、確率は低く置いた。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は買う側に回りにくい。理由は三つある。
第一に、稼ぐ力が小さい。直近10年で最高の営業利益率は14%、最悪は赤字で、利益の中央値は事実上ゼロだ。事業が10年先にどうなっているかを描きにくい。わからない事業には高い値段を払わない。
第二に、株主のものになる利益が、新株の発行で薄まる。新株予約権が行使されると、会社に現金が入るが、使い道は取締役会が決める。暗号資産への投資は、本業の稼ぐ力とは関係がない。筆者は、集めた現金の半分ほどしか株主に帰ってこないとみて評価した。
第三に、今の時価総額が、自己資本の2倍に達している。自己資本の大半は販売用不動産で、売れる値段は市況で変わる。
それでも一点だけ、見ておきたい資産がある。仙台の約7.2万平方メートルの土地だ。受電の見通しがついた土地は、取得時の値段より高く売れる可能性がある。その売却益が出れば、財務は大きく改善する。安全域は、この土地を除いた事業の価値と、時価総額との差で測るべきだ。いまはその差が負になっている。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心はリアルエステート事業で、売上の96%を占める。土地や建物を仕入れて加工し、買い手に売る。ホテル(SPACE HOSTEL)の運営と沖縄の開発も含む。案件は大きく数が少ないため、売上が立つ時期が1期ずれるだけで利益が大きく動く。2025年9月期は大型案件の売却が後ろにずれ、セグメント利益は前の期より44%減った。
ヘルスケア事業は、5-ALA(5-アミノレブリン酸)を配合したサプリの販売だ。2024年3月の紅麹問題をきっかけに市場が冷え、売上は2025年9月期に1.4億円まで縮んだ。会社は新商品を準備している。
クリーンエネルギー事業は、系統用蓄電所の用地販売と運営だ。群馬の第1号(8.14MWh)が2025年6月に稼働し、滋賀の長浜(7.5MWh)は2026年10月に着工、2027年4月の運転開始を予定する。蓄電所は電力の余る時間に充電し、足りない時間に売る設備で、収益は電力市場の値差と容量の対価で決まる。
2026年5月には、貴金属買取のアモティを子会社化した(出資比率55%)。年商は約16億円で、利益は薄い。リユース事業として今期から連結に入る。
全体として、本社の人員は十数人しかいない。複数の事業を並べているが、どれも小さく、会社の体力に比べて看板が大きい。
優良さと弱いところ
この会社に、他社がまねできない強みと呼べるものは今のところ見当たらない。不動産の売買は仕入れの目利きと買い手探しで決まり、人に依存する。同じことをできる業者は多い。
財務は厚くない。2025年9月期の自己資本比率は69%と高く見えるが、中身の多くは販売用不動産で、現金は15億円ほどだ。営業利益は支払利息の1倍に届かず、利益の裏づけが弱い。のれんの償却と減損も続いている。
収益の安定性はさらに弱い。売上は2023年9月期の106億円から、翌期は88億円、今期の9か月累計では27億円と大きく振れる。1件の成約が期末をまたぐだけで、決算の形が変わる。
経営の資本配分には疑問がある。第9回新株予約権の資金使途にはビットコインなど暗号資産の取得が含まれる。本業と関係の薄い資産に、希薄化で集めた資金を回す計画だ。
一方、仙台の土地に200MWの受電可能性が確認されたことは、本物の資産だ。電力の確保が難しい時代に、受電の見通しがついた土地は希少である。ただ、事業として成立するかは、資金を出す相手と開発許可(2028年度中を目指す)にかかっている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
不動産の売買は、金利と地価の影響を受ける。国内の地価は4年連続で上がり、東京圏の住宅地は前年比5%台の上昇だった。物価が3%で続く世界では、土地の名目価格は上がりやすい。一方で、金利が上がれば買い手の借入負担が増え、成約までの時間が延びる。
建設費は高止まりしており、新築の供給は絞られている。既存の土地や建物を売る側には追い風だが、仕入れの値段も上がる。利ざやが広がるとは限らない。
ホテルは、訪日客が過去最高を更新する中で好調だ。ただし運営は小規模な宿が中心で、立地の優位は限られる。
系統用蓄電所は、再生可能エネルギーの普及で伸びる分野だ。電力会社や商社、外資ファンドが大型案件を進めており、競争は激しい。同社の蓄電所は数MWh規模で、大手の数百MWh級に比べて小さい。用地を仕込んで売る形なら参入しやすいが、収益が一回きりになりやすい。
AIデータセンターは、受電できる土地が不足していることから、用地の価値が上がっている。ただ、200MW級の施設には数千億円の資金が要り、同社の財務で単独では担えない。パートナーに用地や権利を売る形が現実的だろう。
5-ALAのサプリは、機能性表示の市場の中の小さな一角だ。紅麹問題で消費者の警戒が強まり、回復には時間がかかる。
資本政策と M&A
配当はない。2026年9月期も無配の予定で、配当方針も示されていない。株主への還元は優待が中心で、1,000株以上の株主向けに、5-ALA商品の割引と宿泊券、デジタルギフトを出す。費用は年間で1億円に届かないとみる。
資本政策の最大の論点は、第9回新株予約権である。170万個を2025年11月に発行し、潜在株式数は1億7,000万株、行使価額は固定で、総額は約94億円になる。割り当て先はシンガポールの法人など3者で、一部は投資組合に譲渡された。2026年4月時点の行使は4万個と少ない。行使期間は2027年11月まで残る。
株価が行使価額を上回る間は、行使が進みやすい。行使が進めば発行済み株式は約2倍になり、既存株主の取り分は5割強に下がる。
M&Aでは、アモティの取得(1.2億円)が小粒な事例だ。TOBや親会社による買収の公表はなく、過去に上場廃止につながる動きもない。ただし筆頭株主の持分は2割弱にとどまり、支配株主は不在である。
大株主の入れ替わりが速い会社でもある。社名は旧アジアゲートホールディングスで、事業の変遷も多い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
仙台の200MW級データセンター用地は、受電の技術的な成立性まで確認済みだ。受電できる土地が足りないAI時代に、この種の土地は何倍にも評価される。実際に大手の開発会社が、用地の確保に高い値段を払っている。米国の運用会社との基本合意も結ばれており、用地を売るか、共同開発に出すかで、数十億円の利益が一度に出てもおかしくない。
新株予約権で集まる約90億円は、財務の不安を取り除く。蓄電所の開発を一気に進められる。群馬で運転ノウハウは得た。長浜、さらに20か所超の計画があり、運営収益が積み上がれば、不動産売買の波を平らにできる。アモティの買収で、貴金属の価格上昇を取り込む足場もできた。
売上は今期103億円、来期120億円の計画で、営業利益は5億円、7億円と増える見通しだ。小さい会社ほど、1つの当たりが株価を大きく動かす。10年あれば、複数の当たりを引けるだろう。仙台以外にも、受電の見通しを取れた土地を仕込めば、同じ型の案件を繰り返せる。用地を持つ会社は、電力の逼迫が続く限り交渉で強い立場に立てる。
慎重な見方
データセンターは、方針を決めただけで、開発許可は2028年度中を目指す段階だ。計画の4,000億円は同社の資本の60倍を超え、資金調達先も確定していない。用地の価値が上がるのは事実でも、売却益が出るかは、買い手が現れるか次第だ。
そもそも、本業の利益が弱い。営業利益は支払利息に届かず、この10年で純利益が黒字だったのは数期だけだ。売上は、大型案件の売却の時期で大きく動く。蓄電所も、1か所あたりの収益は小さい。
新株予約権は、最大で1億7,000万株が増える重い負担だ。調達した資金の使い道には、暗号資産が含まれる。価格が大きく下がれば、増えた株主の持分だけが減る。
株価は計画の発表で数倍に跳ねたが、実績の裏づけは追いついていない。割高な水準が長く続いた後に、行使が進んで株価が下がる例は、過去の新興銘柄に多い。割り当て先の一部は短期で売り抜ける投資組合であり、行使と売却が続けば株価の上値は重くなる。
どちらに重みを置いたか
稼ぐ力の弱さと希薄化の重さを考えると、慎重な見方の指摘が強い。楽観の筋書きは、データセンターの用地売却という1件の当たりに頼っており、確率は7%にとどめた。やや楽観を加えても2割である。
中立は、本業が今の延長で小さく稼ぎ、蓄電所が少しずつ積み上がる姿に置いた。悪い側の確率を4割と厚めに置いたのは、希薄化と暗号資産の使い道が、株主の取り分を減らすからだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した株価時価総額 29 円55 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1 円1 億円)。 今の値に割り戻すと 13 円25 億円、今との差 −79.7%、 期待の年率 −7.6%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 54 円104 億円 | 5 円9 億円 | −8.8% | −0.9% | 4 円8 億円 |
| やや楽観 | 13% | 43 円84 億円 | 2 円3 億円 | −29.4% | −3.4% | 6 円11 億円 |
| 中立 | 40% | 34 円65 億円 | 0 円0 億円 | −47.2% | −6.2% | 14 円26 億円 |
| やや悲観 | 25% | 16 円31 億円 | 0 円0 億円 | −74.8% | −12.9% | 4 円8 億円 |
| 悲観 | 15% | 11 円20 億円 | 0 円0 億円 | −83.5% | −16.5% | 2 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 29 円55 億円 | 1 円1 億円 | −54.5% | −7.6% | 29 円56 億円 |
今の株価時価総額 64 円124 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 仙台の用地が当たり、蓄電所も積み上がる 利益 14 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 54 円104 億円
仙台の用地は、開発許可を得たうえで、米国の運用会社を含む共同開発の枠組みに乗る。会社は用地を売り、あるいは出資の見返りで開発の手数料を毎年得る。年に15MW分の権益を動かし、1MWあたり0.85億円の収益を上げる。
蓄電所は長浜、さらに複数の案件が運転に入り、容量は120MWh換算に達する。運営収益と用地販売の両方が乗る。不動産売買は成約が増え、リユースは20店に広がる。
新株予約権は全て行使され、約90億円が入る。このうち半分近くは蓄電所とデータセンター用地の仕込みに使われ、残りは現金で持つ。配当も始まる。それでも、10年後の利益水準は大手に比べればまだ小さく、会社は中堅の入り口に立つ姿である。
- リアルエステート(不動産の売買・ホテル・沖縄開発):数量 36.0(年間の成約件数(件、推定))× 価格 4.40(1件あたり売上(億円・名目))→ 売上 158 億円・営業利益 19 億円
- ヘルスケア(5-ALAサプリ):数量 8.0(年間の販売箱数(万箱、推定))× 価格 0.52(1万箱あたり売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円
- クリーンエネルギー(系統用蓄電所):数量 120(年間に収益化する蓄電容量(MWh換算、用地販売分を含む推定))× 価格 0.16(1MWhあたり売上(億円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 6 億円
- リユース(貴金属買取・アモティ):数量 20.0(買取店舗数(店、推定))× 価格 2.90(1店舗あたり売上(億円・名目))→ 売上 58 億円・営業利益 4 億円
- データセンター用地の開発・売却:数量 15.0(年間に売却・共同開発へ出す受電容量(MW))× 価格 0.85(1MWあたり収益(億円・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 7 億円
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.6% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)30 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 193 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:用地売却や共同開発が1件実現し、蓄電所の運営も複数年で積み上がる必要がある。発表の段階で資金調達先も未確定のため、5%を大きく超えない7%とした。
やや楽観 13% 本業が回復し、蓄電所とリユースが育つ 利益 10 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 43 円84 億円
不動産は成約が年34件に戻り、利益率も10%台前半に上がる。ホテルは訪日客に支えられて堅調で、沖縄の開発も一定の利益を出す。
蓄電所は長浜に続く数カ所が動き、容量は80MWh換算になる。5-ALAのサプリは新商品が当たり、売上は3億円台に回復する。リユースは16店まで広がる。
データセンターは、仙台の用地の一部を売却し、年5MW分の収益を計上する程度にとどまる。新株予約権は全て行使され、現金が入る。配当は小さく始まる。10年後の会社は、不動産の売買と蓄電所の運営という二本柱を持つ小さな中堅になるが、規模の壁は越えられない。
- リアルエステート(不動産の売買・ホテル・沖縄開発):数量 34.0(年間の成約件数(件、推定))× 価格 4.20(1件あたり売上(億円・名目))→ 売上 143 億円・営業利益 16 億円
- ヘルスケア(5-ALAサプリ):数量 6.5(年間の販売箱数(万箱、推定))× 価格 0.49(1万箱あたり売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円
- クリーンエネルギー(系統用蓄電所):数量 80.0(年間に収益化する蓄電容量(MWh換算、用地販売分を含む推定))× 価格 0.16(1MWhあたり売上(億円・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 4 億円
- リユース(貴金属買取・アモティ):数量 16.0(買取店舗数(店、推定))× 価格 2.80(1店舗あたり売上(億円・名目))→ 売上 45 億円・営業利益 3 億円
- データセンター用地の開発・売却:数量 5.0(年間に売却・共同開発へ出す受電容量(MW))× 価格 0.80(1MWあたり収益(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 2 億円
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)52 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 156 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:不動産の成約件数が戻り、蓄電所の運営が複数カ所で動く姿。データセンターの寄与は小さく、実績の裏づけが取れる範囲に留めた。
中立 40% 小さく稼ぎ、蓄電所が少しずつ積み上がる 利益 6 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 34 円65 億円
不動産の成約は年32件で、価格は物価並みの1.34倍。利益率は9%で、過去12年の最高の半分程度に収まる。ヘルスケアは新商品で売上が倍になるが、利益は小さい。
蓄電所は40MWh換算まで積み上がる。群馬、長浜に加え、2〜3カ所が動く程度で、1カ所あたりの収益は電力市場の値差に左右される。リユースは12店、売上は30億円台になる。
データセンターの用地は、売却益が一度出るかもしれないが、毎年の利益には入れない。新株予約権は全て行使され、約90億円が入る。現金の使い道は不動産の仕入れ、蓄電所、暗号資産に分かれ、株主に戻るのは半分と見る。
- リアルエステート(不動産の売買・ホテル・沖縄開発):数量 32.0(年間の成約件数(件、推定))× 価格 4.04(1件あたり売上(億円・名目))→ 売上 129 億円・営業利益 12 億円
- ヘルスケア(5-ALAサプリ):数量 5.0(年間の販売箱数(万箱、推定))× 価格 0.46(1万箱あたり売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円
- クリーンエネルギー(系統用蓄電所):数量 40.0(年間に収益化する蓄電容量(MWh換算、用地販売分を含む推定))× 価格 0.15(1MWhあたり売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円
- リユース(貴金属買取・アモティ):数量 12.0(買取店舗数(店、推定))× 価格 2.68(1店舗あたり売上(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 2 億円
- データセンター用地の開発・売却:数量 0.0(年間に売却・共同開発へ出す受電容量(MW))× 価格 0.70(1MWあたり収益(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)68 億円。全体の PER 11.76 倍、時価総額 122 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去の営業利益率の中央値に近い水準で、新規事業が少しずつ育つ姿。希薄化は全て進む前提で、会社に入る現金は半分しか株主に戻らないと見る。
やや悲観 25% 案件が細り、行使も半分で止まる 利益 2 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 16 円31 億円
不動産の売買は金利の上昇で成約が減り、年26件に落ちる。価格は物価に追いつかず1.19倍にとどまる。利益率は6%。ホテルは新規参入の増加で採算が悪化する。
蓄電所は2〜3カ所にとどまり、20MWh換算の売上は小さい。ヘルスケアは新商品が定着せず赤字に近い。リユースは8店のまま、利益は薄い。
データセンターの用地は買い手が現れず、保有が続く。新株予約権は半分ほど行使され、約45億円が入る。配当はなく、現金は運転資金と暗号資産の損失の穴埋めで目減りする。それでも本業は赤字には落ちず、小さく黒字を保つ。会社は存続するが、成長の物語は終わる。
- リアルエステート(不動産の売買・ホテル・沖縄開発):数量 26.0(年間の成約件数(件、推定))× 価格 3.60(1件あたり売上(億円・名目))→ 売上 94 億円・営業利益 6 億円
- ヘルスケア(5-ALAサプリ):数量 3.0(年間の販売箱数(万箱、推定))× 価格 0.40(1万箱あたり売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円
- クリーンエネルギー(系統用蓄電所):数量 20.0(年間に収益化する蓄電容量(MWh換算、用地販売分を含む推定))× 価格 0.12(1MWhあたり売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円
- リユース(貴金属買取・アモティ):数量 8.0(買取店舗数(店、推定))× 価格 2.40(1店舗あたり売上(億円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円
- データセンター用地の開発・売却:数量 0.0(年間に売却・共同開発へ出す受電容量(MW))× 価格 0.70(1MWあたり収益(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
倍率:事業のROEは資本コスト未満。式のPERは1÷kが上限で、悲観側のため上限の8割に置いた。余った現金は戻り方0.5で足している。
確率:小規模な不動産業者として、成約が減る姿。株価が行使価額の近辺で動き、新株予約権は半分ほどしか行使されない。
悲観 15% 不動産の波に飲まれ、行使も止まる 利益 −3 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 11 円20 億円
金利の上昇で不動産の買い手が減り、成約は年18件、利益率は2%にまで落ちる。在庫の評価損も出る。蓄電所は電力市場の値差が縮み、収益は小さい。ヘルスケアは撤退し、リユースは赤字の店舗を閉める。
データセンターは開発許可が下りず、資金の出し手も現れない。株価が行使価額を割り込んで新株予約権は行使されず、会社に新しい現金は入らない。
評価損と暗号資産の損失で、自己資本は今より2割ほど減る。値段は、販売用不動産の売れる値段と現金から負債を引いた床で決まる。会社は存続するが、新規事業への投資は止まり、再建のための縮小が続く。株主の取り分は小さく、築いた現金も残らない。
- リアルエステート(不動産の売買・ホテル・沖縄開発):数量 18.0(年間の成約件数(件、推定))× 価格 3.20(1件あたり売上(億円・名目))→ 売上 58 億円・営業利益 1 億円
- ヘルスケア(5-ALAサプリ):数量 0.0(年間の販売箱数(万箱、推定))× 価格 0.40(1万箱あたり売上(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
- クリーンエネルギー(系統用蓄電所):数量 10.0(年間に収益化する蓄電容量(MWh換算、用地販売分を含む推定))× 価格 0.10(1MWhあたり売上(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円
- リユース(貴金属買取・アモティ):数量 5.0(買取店舗数(店、推定))× 価格 2.20(1店舗あたり売上(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円
- データセンター用地の開発・売却:数量 0.0(年間に売却・共同開発へ出す受電容量(MW))× 価格 0.70(1MWあたり収益(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円
倍率:赤字のためPBRで置く。今の自己資本63.8億円に0.32を掛けた(その筋書きの自己資本50億円に対しては0.4倍)。販売用不動産の評価損と暗号資産の損失、のれん・無形資産の消失を引いた後に残る、売れる資産から負債を引いた額を床とした。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.32 倍・時価総額 20 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:新規事業が実らず、本業も小さくなる構造的な負け。不動産市況の悪化と、暗号資産の損失が重なる。確率15%は、小規模で単一事業に近い会社の底割れの確率として置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
リアルエステート(不動産の売買・ホテル・沖縄開発)
販売用不動産の仕入れと売却、仲介、ホテル運営、沖縄の開発。
| 数量年間の成約件数(件、推定) | 価格1件あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 30.0 | 3.02 | 91 | 7 |
| 10 年後 中立 | 32.0 | 4.04 | 129 | 12 |
取り方:セグメント売上90.5億円とセグメント利益7.1億円は有価証券報告書の値。成約件数は開示がないため、1件3億円前後の案件が中心と仮定した推定(大型案件の期ずれで年により大きく動く)。
ヘルスケア(5-ALAサプリ)
5-ALAを配合した健康食品の販売。紅麹問題で市場が縮み、再建の途中。
| 数量年間の販売箱数(万箱、推定) | 価格1万箱あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 4.0 | 0.34 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 5.0 | 0.46 | 2 | 0 |
取り方:売上1.37億円、セグメント損失0.01億円は有価証券報告書の値。販売箱数は1箱あたり売上が3千円台の想定で逆算した推定。
クリーンエネルギー(系統用蓄電所)
系統用蓄電所の用地販売と運営、EV充電器。
| 数量年間に収益化する蓄電容量(MWh換算、用地販売分を含む推定) | 価格1MWhあたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 10.0 | 0.24 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 0.15 | 6 | 2 |
取り方:売上2.35億円とセグメント利益0.71億円は有価証券報告書の値。2025年9月期は用地販売が中心で、容量換算の10MWhは推定。
リユース(貴金属買取・アモティ)
貴金属の買取店舗の運営。2026年5月に買収し、2026年9月期から連結する。
| 数量買取店舗数(店、推定) | 価格1店舗あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 0.0 | 2.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 12.0 | 2.68 | 32 | 2 |
取り方:2025年9月期は連結に入っていないので0。アモティの年商は約16億円、営業利益は約0.8億円(2026年3月期見込み)、店舗数は8店を想定した推定。
データセンター用地の開発・売却
仙台の保有地を軸にした、受電権つき用地の売却や共同開発の収益。
| 数量年間に売却・共同開発へ出す受電容量(MW) | 価格1MWあたり収益(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 0.0 | 0.60 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.70 | 0 | 0 |
取り方:2025年9月期は収益なし。仙台の約7.2万平方メートルで200MW規模の受電が技術的に成立するとの回答を2026年9月に公表。1MWあたり収益は用地価値の一部が手に入ると仮定した推定。
リスクと懸念
新株予約権による希薄化
第9回新株予約権が全部行使されると、発行済み株式は約1億9,000万株から約3億6,000万株に増え、既存株主の取り分は5割強になる。行使価額は固定で、株価が上がるほど行使が進む。会社に入る現金の使い道が株主の利益になるかは、経営の判断次第だ。
案件の期ずれによる業績のぶれ
不動産の売却は件数が少なく、1件の成約が期末をまたぐだけで利益が数億円動く。2025年9月期は大型案件の売却が後ろにずれて、営業利益が7割減った。
資金使途に暗号資産が含まれる
新株予約権で集めた資金に、ビットコインなど暗号資産の取得が含まれる。価格が大きく下がると、株主の持分が目減りする。本業の稼ぐ力とは別のリスクを背負う。
データセンター構想の実現性
開発許可の取得は2028年度中を目指す段階で、事業予算の4,000億円は自社で賄えない。パートナーの資金と電力会社との調整が前提で、計画が変わる可能性が高い。
のれんと減損
過去の買収で生じたのれんが、毎期の償却と減損で利益を削ってきた。2025年9月期は前期末から3億円強が減っている。買収を続けるなら、同じ損失が繰り返されうる。
小規模な組織
連結の従業員は28人で、事業を広げるほど人の目が届かなくなる。内部統制の弱さが、不祥事や判断の誤りにつながる懸念がある。
今後の分かれ目
- データセンター用地を、第三者へ売却または共同開発に出す契約が結ばれたら
- 楽観・やや楽観の筋書きの確率を上げる。売却益が出れば、財務の不安が薄れ、蓄電所の投資も進められる。
- 新株予約権の行使が進み、現金が入ったら
- 使い道を見る。蓄電所や不動産の仕入れに回れば中立の見方を保てるが、暗号資産が中心なら、現金の評価を下げる。
- 株価が行使価額を下回ったら
- 行使が止まって希薄化は避けられるが、資金調達も止まる。やや悲観・悲観の筋書きに重みを移す。
- 大型案件の売却が2期続けて遅れたら
- 本業の収益が思ったより弱い。中立の営業利益率を下げ、悲観の確率を上げる。
- 蓄電所の運営収益が、1MWhあたり想定を上回ったら
- 安定した収益が積み上がる。クリーンエネルギーの利益率を上げ、不動産売買の波をならす効果を見直す。
見ておくもの
- 新株予約権の行使の進み具合と、資金の使い道の開示
- 仙台データセンターの開発許可と、共同開発先の資金の確定
- 長浜蓄電所の運転開始(2027年4月予定)と、1か所あたりの収益
- 不動産の期末の成約件数と、販売用不動産の残高
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から出した。ROEが資本コストを下回るので、正当化PERは1÷kが上限になる。この会社は利益の水準が小さく、PBRも1倍を超えない。今の株価は新規構想で跳ねた水準であり、価値の根拠にしていない。比べたのは最後で、今の時価総額が自己資本の約2倍であることを確認しただけである。新株予約権の行使は株価と連動するため、行使する筋書きとしない筋書きを分けて置いた。新リース会計は、同社の賃借が少なく影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 8.95→11.76 倍・やや楽観 PER 8.42→11.76 倍・中立 PER 9.47→11.76 倍・やや悲観 PER 8.42→9.53 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。