結論
日本駐車場開発は、ビルの駐車場を借りて貸す会社だ。ここ数年は、白馬のスキー場と那須のテーマパークを持つ観光運営会社の顔も強めている。筆者の結論は、10年で見れば「やや割高」。事業の質は高いが、今の値段は成長をかなり先取りしている。
稼ぎの半分は駐車場が生む。生保・損保や貸しビル会社のビルにある駐車場を一括で借り、月極で貸す。借りた区画の賃料は毎年払うが、貸す先がついていれば差益が残る。営業利益率は20%を超え、設備投資はほとんど要らない。
伸びの主役はスキー場だ。訪日客が白馬に集まり、リフト券の単価が上がって、営業利益が2年で2倍を超えた。会社は、2027年7月期に営業利益100億円を見込んでいる。
一方で、数字ほどには株主のものにならない。スキー場を運営する日本スキー場開発は上場子会社で、持ち分は約66%。利益の3分の1は外部の株主に流れる。純利益が営業利益の6割強にとどまるのはこのためだ。
筆者がいちばん気にしているのは、スキー場の利益が雪と訪日客という外の事情に乗っている点だ。順風の10年なら大きく伸びる。ただ、中立の筋書きでも今の時価総額を割る。値段が安全域を残していない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を「持ち続けたい商売」と「払ってよい値段」に分けて考える。商売は悪くない。駐車場は少ない投資で現金を生み、スキー場は替えのきかない立地が利益を支える。稼いだ現金を配当に回す姿勢にも好感が持てる。
ただし、強い堀とまでは言えない。駐車場は参入しやすく、スキー場は雪に頼る。景気や天候が悪い年に、利益が急に薄れる構造だ。筆者は、利益の質を「普通」と見る。
気になるのは、利益のうち株主の手に残る割合だ。スキー場の3分の1は外部の株主に出る。別荘の販売は、利益が出る年と出ない年がある一過性の色が濃い。見かけの営業利益より、手元に残る利益を低く見る必要がある。
筆者は、2027年7月期の営業利益100億円という会社の見通しを、順調な年の数字と受け取る。10年の道のりでは、雪の少ない年も、訪日客の減る年も来る。その平均を取ると、今の値段に安全域は残っていない。
良い会社を、少し高い値段で買う局面だ。待つ価値は十分ある。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは3本に分かれる。最大は駐車場事業で、売上は約178億円、営業利益は約39億円。ビルの持ち主から駐車場をまとめて借り、月極などで貸し出す。生保・損保や貸しビル会社が主な取引先で、国内の物件は1,500を超える。コインパーキングの会社と違い、周辺の会社が社用車を置く月極の法人客が中心だ。
2本目はスキー場事業で、売上は約105億円、営業利益は約22億円。白馬八方尾根、白馬岩岳、栂池高原など長野を中心に運営する。運営会社の日本スキー場開発は東証に上場しており、日本駐車場開発の持ち分は約66%。残りの約3分の1は外部の株主のものだ。リフト券の値上げと訪日客の増加で、売上は2年で5割ほど伸びた。
3本目はテーマパーク事業で、売上は約77億円、営業利益は約13億円。栃木の那須ハイランドパークと那須高原りんどう湖ファミリー牧場を運営する。家族連れが中心で、宿泊の強化が成長策になっている。2026年は、地域の施設の事業承継を担う子会社に栃木銀行が出資した。
このほか、白馬岩岳で別荘(ヴィラ)の分譲を始めた。山麓の用地は大手デベロッパーなどに15億円で売る。宿泊施設の開業も重なる。まだ小さいが、今期の利益には効いてくる。
この会社の特徴は、駐車場は「借りて貸す」、スキー場は「雪と客を待つ」商売という点だ。賃料は固定の約束で、貸す先が空けば利益を削る。スキー場とテーマパークは天気と客足で利益が振れる。景気の悪い年に守りが厚いとは言いにくい。
優良さと弱いところ
強みは、こつこつ積んだ営業網と、白馬という立地だ。駐車場は、ビルのオーナーと法人の借り手の両方を押さえる商売で、月極駐車場の検索サイトでは掲載数が1位とされる。参入しやすい分野ではあるが、物件数を増やすほど借り手の探しやすさが増す。
スキー場は、白馬の名前と標高の高いゲレンデという簡単に増やせない資産だ。ただ、堀、つまり他社がまねできない強みと呼べるほど強いとは見ない。雪の量は天気が決め、客は他のリゾートにも流れうる。筆者は「普通の堀」と置く。
資本効率は高い。ROEは過去10年の中央値で28%、営業利益率は20%を超える。借金は少なく、純現金の状態が続く。ただし駐車場の賃料という固定の約束があり、財務の強さは見かけほどではない。
弱い点もある。海外では韓国の事業を清算し、残る海外はタイが中心になった。小さな失敗だが、広げすぎた跡だ。また、創業家の資産管理会社である巽商店が約3割を持つ。社長の巽一久氏は1991年の設立から経営を担う。長期の安定は長所で、緊張感が薄れないかは見ておきたい。
会社の目標はROE30%、営業利益率25%。20%台前半の利益率を25%に近づけるには、スキー場と別荘の上積みが要る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の駐車場は、台数が増える市場ではない。人口は減り、都市では空き地が建物に変わる。それでも、ビルの駐車場を持て余す持ち主と、社用車の置き場に困る会社の間には、仲立ちの需要が残る。物件数は、このすき間でシェアを取る形で増える。競合にはパラカなどがいる。
価格は物価に沿って上がる余地があるが、賃料も物価で上がる。新しい物件は小さく、1物件あたりの売上は伸びにくい。2025年7月期は、物件が7.5%増えても売上は3.6%の増加にとどまった。筆者は、この差を見て、物価並みの値上げは置かなかった。
スキーは、国内の競技人口が細る一方で、訪日客が増えている。白馬は豪州やアジアからの客が集まる場所で、単価の高い宿泊を伴う。会社も、1人あたりの売上を3年で16%伸ばす計画を持つ。ただし、上げ続けられるかは雪と円安に依存する。温暖化で雪が減れば、低い標高のゲレンデから先に傷む。
テーマパークは、家族連れの国内レジャーだ。人口が減る中で入園者は増えにくく、宿泊を足して客単価を上げる道が現実的だ。
10年で気にすべきは2つ。自動運転やライドシェアが広がれば、都市の車の置き場の需要が細る。もう1つは、感染症や地政学で訪日客が急減する谷だ。過去のこの手の谷では、観光の数字は4〜7割落ちた。
資本政策と M&A
株主還元は厚い方向だ。配当は15期連続で増え、配当と自社株買いを合わせた還元性向は56%に達した。これからも増配を続ける姿勢だ。投資は、スキー場の設備、白馬の別荘と宿泊、那須の宿泊の強化が中心になる。借金は少なく、純現金が24億円ある。
資本の構造は、親子上場と創業家支配の二重だ。創業家の巽商店が約3割を持ち、日本スキー場開発は上場子会社として約34%が外部の株主にある。親が子の利益を取り込む完全子会社化は考えうるが、そうした発表はない。
M&Aは、事業承継型が中心だ。地方の観光施設を引き継ぎ、運営力で収益を改善する。2026年は、栃木銀行が承継子会社に出資し、地域金融との組み合わせを強めた。大きな買収で価値を壊すタイプの会社ではない。
買収される側の可能性は、創業家が3割を握るため、同意なしでは動きにくい。
点検済み:中立の営業利益率22.2%は会社予想(20.8%)を1.4pp超えるが、会社は10年で11.6%から20.8%へ改善し、ROE30%を目標に掲げる。駐車場22%は今に近く、スキー場だけ24%(今21.5%)。数字は据え置く。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
稼ぐ場所が良い。白馬は世界から客が集まるリゾートに育っており、リフト券を上げても客が減らない。単価が上がれば、固定費が薄まって利益はさらに伸びる。実際に、スキー場の営業利益は2年で2倍を超えた。
駐車場は、手堅い土台になる。物件数は年に60〜110件ほど純増しており、月極の法人客は景気で簡単には切れない。ここで稼ぐ現金を、スキー場と別荘に回せる。
別荘と宿泊が加われば、リフト券に頼らない収益が育つ。白馬岩岳には新しいゴンドラも入り、山麓の宿泊と合わせて通年で稼げる。営業利益は10年で2倍に近づく。
還元も強い。配当は15期連続で増え、還元性向は5割を超える。ROE30%という目標が実現すれば、時価総額は今より大きく切り上がる。巽商店の持ち分が3割あることは、経営がぶれにくいという利点にもなる。
最後に、純現金で借金がほとんどないことが効く。景気の谷でも、投資を止めず、安くなった施設を拾える。
慎重な見方
成長は、雪と訪日客という外の事情が支えている。暖冬が続けば、ゲレンデは営業日数を失う。訪日客が地政学や感染症で急に減れば、リフト券の単価も客数も同時に落ちる。固定費の重いスキー場では、売上の2割減が利益の半減につながる。
駐車場は借りて貸す商売で、賃料は固定の約束だ。オフィス需要が細れば、貸す先が空き、賃料だけが残る。物件が増えても売上が伸び切らない足元の姿は、小さな物件で稼いでいる証拠だ。
利益の質にも疑いがある。スキー場の3分の1は外部の株主に出ていく。別荘の販売は売れる年と売れない年があり、利益を平均して見るべきだ。会社の営業利益100億円という見通しには、この一度きりの要素が混じる。
最後に値段の問題がある。今の時価総額は、10年かけて伸びる分をすでに払っている。伸びる筋書きが外れた時の下がり方は、上がり方よりも大きい。
創業家が3割を握り、少数株主が経営に口を出しにくい構造も、評価を重くする要因だ。
どちらに重みを置いたか
事業の質では強気の見方が勝つ。駐車場の堅さとスキー場の伸びは本物で、中立の筋書きでも利益は10年で5割ほど増える。一方、値段と利益の質では慎重な見方が優る。外部株主への漏れ、別荘の一過性、雪と訪日客への依存が重なる。
筆者は、中立を最も厚くしつつ、悲観側の確率を楽観側より厚く置いた。決め手は、中立でも今の時価総額を割ることだ。良い会社ではあるが、払ってよい値段は今より低いと見た。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/07 期)
確率で加重した株価時価総額 474 円1,466 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 123 円381 億円)。 今の値に割り戻すと 315 円977 億円、今との差 +16.0%、 期待の年率 +8.2%(資本コスト 7.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 809 円2,505 億円 | 161 円500 億円 | +256.7% | +13.6% | 68 円210 億円 |
| やや楽観 | 20% | 683 円2,115 億円 | 142 円440 億円 | +203.3% | +11.7% | 165 円511 億円 |
| 中立 | 38% | 614 円1,902 億円 | 132 円410 億円 | +174.5% | +10.6% | 284 円879 億円 |
| やや悲観 | 23% | 168 円521 億円 | 103 円320 億円 | −0.1% | 0.0% | 62 円193 億円 |
| 悲観 | 12% | 68 円212 億円 | 78 円240 億円 | −46.3% | −6.0% | 18 円54 億円 |
| 加重平均 | 100% | 474 円1,466 億円 | 123 円381 億円 | +119.3% | +8.2% | 597 円1,848 億円 |
今の株価時価総額 272 円842 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 白馬が通年の観光地に育ち、営業利益が3倍に近づく 利益 118 億円 · PER 21.1 倍 · 株価時価総額 809 円2,505 億円
白馬の人気が10年続き、訪日客と通年の観光が伸びる。スキー場の来場者は今の1.6倍、1人あたりの売上は1.6倍近くになり、営業利益は3倍に届く。別荘と宿泊が軌道に乗り、リフト券に頼らない収益が加わる。
駐車場は物件数を5割増やし、賃料を転嫁しながら利益率を23%台に上げる。那須は宿泊の強化が当たり、客単価が上がる。
営業利益は2倍半に近づき、ROEは20%を超える。親子上場が解消されれば、外部へ漏れる利益も取り戻せる。会社の掲げるROE30%には届かないが、10年で最もうまく行った姿だ。
追い風はほかにもある。白馬の知名度が上がり、世界の旅行会社が冬だけでなく夏の商品も組むようになる。人工降雪機への投資が実り、暖冬の年でも営業日数を守れる。
- 駐車場(ビル併設の月極・直営・管理):数量 22.7(国内の駐車場物件数(百件))× 価格 15(1 百件あたり売上(億円・名目、賃料の転嫁と稼働の結果))→ 売上 348 億円・営業利益 82 億円。物件数 1.50 倍、1 単位あたり 1.30 倍(新しい物件は小さく、賃料の転嫁も満額ではないので物価に届かない)、利益率 23.5%
- スキー場(日本スキー場開発):数量 435(来場者数(万人・推定))× 価格 0.61(1 人あたり売上(万円・名目、リフト券単価と宿泊・飲食の合計))→ 売上 265 億円・営業利益 72 億円。来場者 1.60 倍、1 単位あたり 1.58 倍、利益率 27.0%
- テーマパーク(那須):数量 175(客数(万人・推定))× 価格 0.80(1 人あたり売上(万円・名目、入園・乗り物・飲食・宿泊の合計))→ 売上 139 億円・営業利益 29 億円。客数 1.25 倍、1 単位あたり 1.45 倍、利益率 20.5%
- その他(別荘販売・新規・調整):数量 35.0(販売・取引件数(件・推定))× 価格 1.21(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 42 億円・営業利益 13 億円。件数 3.50 倍、1 単位あたり 1.45 倍、利益率 30.0%
倍率:事業の純利益 118 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 23.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.1 倍。全体の PER 21.14 倍、時価総額 2,494 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:白馬の人気継続・別荘の成功・駐車場の物件増が同時にそろう必要があり、連続成功の確度は高くない。
やや楽観 20% スキー場と駐車場が順調に伸びる 利益 99 億円 · PER 21.0 倍 · 株価時価総額 683 円2,115 億円
スキー場と駐車場がともに順調に伸びる。訪日客の増加は続くが、単価の上がり方は穏やかになり、来場者は1.45倍で止まる。別荘は数年で数十億円の売上を積み、利益に上乗せする。
駐車場は物件数が4割増え、利益率は22〜23%に上がる。那須は宿泊の強化で堅調に伸びる。
営業利益は今の2倍強。ROEは20%台前半で、過去の中央値を下回る。会社の見通しに近い成長が、少し遅れて実現する姿だ。
雪の少ない年は何度かあるが、人工降雪機と通年の観光で傷は浅い。外部株主への漏れは続くが、増配と自社株買いで株主への還元は厚く保たれる。
- 駐車場(ビル併設の月極・直営・管理):数量 21.6(国内の駐車場物件数(百件))× 価格 14(1 百件あたり売上(億円・名目、賃料の転嫁と稼働の結果))→ 売上 311 億円・営業利益 71 億円。物件数 1.43 倍、1 単位あたり 1.22 倍(新しい物件は小さく、賃料の転嫁も満額ではないので物価に届かない)、利益率 22.8%
- スキー場(日本スキー場開発):数量 394(来場者数(万人・推定))× 価格 0.58(1 人あたり売上(万円・名目、リフト券単価と宿泊・飲食の合計))→ 売上 231 億円・営業利益 59 億円。来場者 1.45 倍、1 単位あたり 1.52 倍、利益率 25.5%
- テーマパーク(那須):数量 161(客数(万人・推定))× 価格 0.77(1 人あたり売上(万円・名目、入園・乗り物・飲食・宿泊の合計))→ 売上 124 億円・営業利益 24 億円。客数 1.15 倍、1 単位あたり 1.40 倍、利益率 19.0%
- その他(別荘販売・新規・調整):数量 26.0(販売・取引件数(件・推定))× 価格 1.17(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 30 億円・営業利益 8 億円。件数 2.60 倍、1 単位あたり 1.40 倍、利益率 28.0%
倍率:事業の純利益 99 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 15.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.0 倍。全体の PER 20.99 倍、時価総額 2,078 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の見通しに近い成長が、遅れながら実現する想定。訪日客の追い風は当面続くので、可能性は十分ある。
中立 38% 駐車場は堅く、スキー場は穏やかに伸びる 利益 89 億円 · PER 20.8 倍 · 株価時価総額 614 円1,902 億円
駐車場は物件数を4割近く増やし、利益率は22%を保つ。スキー場は来場者が3割強増え、単価は物価を少し上回る。別荘は件数が増え、利益の一部を担う。那須は宿泊を足して緩やかに伸びる。
営業利益は今の2倍弱の140億円台になる。年率で6%ほどの伸びで、足元の勢いよりずっと穏やかだ。雪の少ない年や、訪日客が一時的に減る年も混ざる前提だ。
外部の株主への漏れと税を引くと、純利益は今の1.8倍ほど。還元は6割を保ち、ROEは19%台に落ち着く。会社の目標30%には届かないが、資本コストを大きく上回る良い会社であり続ける。
- 駐車場(ビル併設の月極・直営・管理):数量 20.9(国内の駐車場物件数(百件))× 価格 14(1 百件あたり売上(億円・名目、賃料の転嫁と稼働の結果))→ 売上 291 億円・営業利益 64 億円。物件数 1.38 倍、1 単位あたり 1.18 倍(新しい物件は小さく、賃料の転嫁も満額ではないので物価に届かない)、利益率 22.0%
- スキー場(日本スキー場開発):数量 367(来場者数(万人・推定))× 価格 0.57(1 人あたり売上(万円・名目、リフト券単価と宿泊・飲食の合計))→ 売上 209 億円・営業利益 50 億円。来場者 1.35 倍、1 単位あたり 1.48 倍、利益率 24.0%
- テーマパーク(那須):数量 154(客数(万人・推定))× 価格 0.76(1 人あたり売上(万円・名目、入園・乗り物・飲食・宿泊の合計))→ 売上 117 億円・営業利益 22 億円。客数 1.10 倍、1 単位あたり 1.38 倍、利益率 18.5%
- その他(別荘販売・新規・調整):数量 28.0(販売・取引件数(件・推定))× 価格 1.13(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 9 億円。件数 2.80 倍、1 単位あたり 1.36 倍、利益率 27.0%
倍率:事業の純利益 89 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.1% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.8 倍。全体の PER 20.84 倍、時価総額 1,855 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:駐車場の堅さとスキー場の緩やかな伸びが続く、最も起こりやすい中間。雪の少ない年や訪日客の一時減を含めてならした。
やや悲観 23% 雪と訪日客が鈍り、固定費が重くなる 利益 50 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 168 円521 億円
スキー場は雪の少ない年が重なり、訪日客の伸びも鈍る。来場者は横ばいで、単価は物価に届かない。固定費の重さで利益率は18%台まで下がる。別荘の販売は伸びず、小さな黒字にとどまる。
駐車場はオフィスの需要が細り、物件数の伸びが1割強に落ちる。賃料を転嫁しきれず、利益率は20%を割る。那須は人口減の中で客数が減り、利益率が13%まで落ちる。
営業利益は今とほぼ同じ水準で、物価の分を考えれば実質で3割ほど減る。優良さが薄れ、ごく普通の観光・駐車場会社になる姿だ。
還元は、利益が伸びなくても急には減らさない。配当を守ろうとして、自己資本の積み上がりは鈍る。
- 駐車場(ビル併設の月極・直営・管理):数量 16.9(国内の駐車場物件数(百件))× 価格 13(1 百件あたり売上(億円・名目、賃料の転嫁と稼働の結果))→ 売上 212 億円・営業利益 41 億円。物件数 1.12 倍、1 単位あたり 1.06 倍(新しい物件は小さく、賃料の転嫁も満額ではないので物価に届かない)、利益率 19.5%
- スキー場(日本スキー場開発):数量 286(来場者数(万人・推定))× 価格 0.49(1 人あたり売上(万円・名目、リフト券単価と宿泊・飲食の合計))→ 売上 141 億円・営業利益 26 億円。来場者 1.05 倍、1 単位あたり 1.28 倍、利益率 18.5%
- テーマパーク(那須):数量 133(客数(万人・推定))× 価格 0.66(1 人あたり売上(万円・名目、入園・乗り物・飲食・宿泊の合計))→ 売上 88 億円・営業利益 11 億円。客数 0.95 倍、1 単位あたり 1.20 倍、利益率 13.0%
- その他(別荘販売・新規・調整):数量 10.0(販売・取引件数(件・推定))× 価格 1.00(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。件数 1.00 倍、1 単位あたり 1.20 倍、利益率 22.0%
倍率:ROE 13.9%、k 7.5%。RONIC=k+1/2×(ROE−k)=11.2%、g 4% から正当化 PER 14.3 倍。伸びと堀の持ちを低く見て、上限の 6.3 割の 9.0 倍に置いた。
確率:天候不順・訪日客の鈍化・賃料の固定費は、どれも普通に起こりうる。観光依存と少数株主への漏れを考えて、楽観側より厚く置いた。
悲観 12% 暖冬と訪日客の急減で、稼ぐ力が半減する 利益 25 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 68 円212 億円
暖冬と訪日客の急減が重なり、スキー場は来場者が15%減り、単価も上がらない。固定費が重く、利益率は8%まで落ちる。別荘は売れず、施設に減損が出る。
駐車場は、自動運転やライドシェアの広がりと、オフィスの縮小で稼働が落ちる。賃料の固定費が残り、利益率は15%に下がる。那須も客足が戻らず、利益率が6%に沈む。
営業利益は今の半分に縮み、減損で自己資本も削られる。拠点網や立地という資産は残るが、稼ぐ力はもう優良とは言えない。
会社は借金が少なく、倒れる筋書きではない。ただ、成長を前提にした投資が重荷になり、還元も細る。外部株主への漏れだけが変わらず続く。
- 駐車場(ビル併設の月極・直営・管理):数量 15.1(国内の駐車場物件数(百件))× 価格 11(1 百件あたり売上(億円・名目、賃料の転嫁と稼働の結果))→ 売上 170 億円・営業利益 26 億円。物件数 1.00 倍、1 単位あたり 0.95 倍(新しい物件は小さく、賃料の転嫁も満額ではないので物価に届かない)、利益率 15.0%
- スキー場(日本スキー場開発):数量 231(来場者数(万人・推定))× 価格 0.42(1 人あたり売上(万円・名目、リフト券単価と宿泊・飲食の合計))→ 売上 98 億円・営業利益 8 億円。来場者 0.85 倍、1 単位あたり 1.10 倍、利益率 8.0%
- テーマパーク(那須):数量 119(客数(万人・推定))× 価格 0.58(1 人あたり売上(万円・名目、入園・乗り物・飲食・宿泊の合計))→ 売上 69 億円・営業利益 4 億円。客数 0.85 倍、1 単位あたり 1.05 倍、利益率 6.0%
- その他(別荘販売・新規・調整):数量 6.0(販売・取引件数(件・推定))× 価格 0.83(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。件数 0.60 倍、1 単位あたり 1.00 倍、利益率 10.0%
倍率:ROE 11.1%、k 7.5% を少し上回るだけで、伸びても価値は増えにくい。稼ぐ力(純利益÷k)の 1÷k=11.8 倍の 7 割強に当たる 8.5 倍に置いた。減損 90 億円を自己資本から引いた。
確率:訪日客の急減と暖冬、自動運転による駐車場需要の細りが重なる複合の筋書き。起こる確度は低いが、10 年は長く、固定費の重い観光は谷が深い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
駐車場(ビル併設の月極・直営・管理)
ビルの駐車場を一括で借りて月極などで貸す。有人管理の代行や検索サイトの集客も含む。
| 数量国内の駐車場物件数(百件) | 価格1 百件あたり売上(億円・名目、賃料の転嫁と稼働の結果) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/07 | 15.1 | 12 | 179 | 39 |
| 10 年後 中立 | 20.9 | 14 | 291 | 64 |
取り方:国内の物件数 1,512 件(2025/07)。売上 178.5 億円を物件数で割り、1 物件あたり約 1,180 万円。物件数は実質の数量。物件が 7.5% 増えて売上は 3.6% しか増えなかったので、新しい物件は小さいとみて、1 物件あたり売上は物価並みには置かない。
スキー場(日本スキー場開発)
白馬八方尾根・白馬岩岳・栂池高原など。リフト券・宿泊・飲食・グリーンシーズンの観光。持ち分は約 66%。
| 数量来場者数(万人・推定) | 価格1 人あたり売上(万円・名目、リフト券単価と宿泊・飲食の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/07 | 272 | 0.38 | 105 | 23 |
| 10 年後 中立 | 367 | 0.57 | 209 | 50 |
取り方:開示された売上単価(約 0.38 万円)で売上 104.6 億円を割り、来場者を約 272 万人と推定した(開示値ではない)。来場者は実質の数量。単価は値上げと訪日客の宿泊・飲食で伸びており、会社の計画は 3 年で約 16% 増。10 年では物価を少し上回る程度までと置く。
テーマパーク(那須)
那須ハイランドパーク、那須高原りんどう湖ファミリー牧場、周辺の宿泊。
| 数量客数(万人・推定) | 価格1 人あたり売上(万円・名目、入園・乗り物・飲食・宿泊の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/07 | 140 | 0.55 | 77 | 13 |
| 10 年後 中立 | 154 | 0.76 | 117 | 22 |
取り方:客数は開示を確認できていないので、1 人あたり約 0.55 万円(入園・乗り物・飲食・宿泊の混合)と置き、売上 76.9 億円から約 140 万人と推定した。推定の根拠は弱い。数量は実質、価格は名目で、宿泊の比率が上がると単価が物価を上回る。
その他(別荘販売・新規・調整)
白馬岩岳のヴィラ分譲、不動産の売却、新規事業。本社費の調整後の値。
| 数量販売・取引件数(件・推定) | 価格1 件あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/07 | 10.0 | 0.83 | 8 | 2 |
| 10 年後 中立 | 28.0 | 1.13 | 32 | 9 |
取り方:開示が無く、売上 8.3 億円を件数 10 で割った推定(1 件 0.83 億円)。別荘は今期から本格化し、件数は大きく振れる。ここは小さな残差で、数量の置き方の根拠は弱い。 数量は件数(実物)で、名目の市場の伸びではない。小さな残差で根拠は弱いが、売上に占める割合を小さくとどめた。
リスクと懸念
雪と天候
スキー場は雪の量で来場者が決まる。暖冬が続けば営業日数を失い、人工降雪機の費用だけが残る。標高の低いゲレンデから先に傷むので、立地の良さを過信できない。固定費が重く、売上が2割落ちれば利益は半分以下になる。
訪日客への依存
白馬は、豪州やアジアの訪日客が単価を押し上げている。感染症、地政学、円高のどれかで客が急減すれば、客数と単価が同時に落ちる。過去の観光の谷では、数字が4〜7割落ちた。
駐車場の賃料という固定の約束
駐車場は借りて貸す商売で、賃料は毎年払う。貸す先が空けば、賃料だけが残る。賃料の総額は売上原価の大半と見られる。新リース会計が2028年7月期から適用され、貸借対照表に載る。数字の形は変わるが、固定の重さは変わらない。
利益の一部が外に出る
スキー場の運営会社は上場しており、持ち分は約66%。利益の3分の1は外部の株主のものだ。親会社が完全子会社化すれば取り戻せるが、そのための資金が要る。外部の株主を意識した経営も求められる。
別荘販売の一過性
白馬岩岳で別荘の分譲と山麓用地の売却を進めている。今期の純利益には土地の売却益も含まれる。こうした利益は繰り返さず、年による振れが大きい。会社の見通しを、そのまま10年の利益の基準にはできない。
創業家支配とガバナンス
創業家の巽商店が約3割を持ち、社長は設立から経営を担う。経営の安定は長所だが、少数株主の声が届きにくい面がある。親子上場の構造も、利益相反を生みやすい。
自動運転と都市の変化
自動運転やライドシェアが広がれば、都市の車の置き場の需要が細る。物件数の伸びが止まり、賃料の固定費だけが残る展開もある。10年では起こりうる変化だが、時期は読み切れない。
今後の分かれ目
- スキー場の来場者が増えながら、1人あたりの売上も物価を上回って上がり続けたら
- 楽観・やや楽観の確率を上げてよい。営業利益率が25%に近づき、利益の伸びが早まる。
- 暖冬で営業日数が2年続けて大きく減ったら
- やや悲観に確率を寄せる。固定費の重さが利益率に効いてくる。
- 訪日客が感染症や地政学で急減したら
- 悲観の確率を上げる。リフト券と宿泊の両方が落ち、利益率が一気に下がる。
- 日本スキー場開発が完全子会社になったら
- 外部の株主に出ていた利益が戻る。ただし買い取りの資金と値段で、価値への効き方が決まる。
- 駐車場の1物件あたり売上が、物価を超えて伸び始めたら
- 中立の駐車場の価格を上方に直す。区画の希少性が料金に表れている証拠になる。
- 別荘と宿泊の収益が、毎年安定して出るようになったら
- その他の利益の置き方を上げる。リフト券に頼らない収益として、倍率にも良い。
見ておくもの
- スキー場の来場者数・売上単価・訪日客の比率
- 国内の駐車場物件数と1物件あたり売上
- 白馬の別荘・宿泊の販売と開業の進み方
- 日本スキー場開発の持ち分比率の変化(完全子会社化の動き)
- 配当・自社株買いの方針(ROE30%の目標の進み方)
- 新リース会計(2028年7月期)の影響
倍率と資本コストの決め方
まず4つのセグメントで数量×価格を置き、10年後の営業利益を積んだ。そこから税と外部株主への漏れを引いて純利益を出し、正当化PERの上限の7.8割を中立に置いた。今の株価は見ていない。中立のPERは12.3倍で、会社の2027年7月期の見通しや今のPERとは関係なく決めた。自己資本は「今+利益の合計−還元」で流し、悲観だけ減損で下げた。10年後の数字は今と同じ形(賃料を営業費用に入れた形)でそろえ、新リース会計で営業利益と純有利子負債の形が変わる点は織り込んでいない。来場者数・客数・件数は開示でなく推定で、根拠は弱い。同じ領域のパーク二四とは、天候と観光への依存を循環に入れてkを0.5%高くした。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14.8→21.14 倍・やや楽観 PER 13.6→20.99 倍・中立 PER 12.3→20.84 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。