結論
日神グループホールディングスは、マンションの分譲、建設、管理を一つのグループで回す不動産会社だ。分譲は日神不動産、建設は多田建設、管理は日神管財が担う。筆者の結論は割高。利益が山の高さにある今、資本コストを超える稼ぎが10年続くとは見にくいからだ。
2026年3月期は売上878億円、営業利益67億円と、どちらも過去最高の水準に乗った。主役は建設で、特命の受注と提案型の営業で利益率が10%近くまで上がった。管理も1棟売りの一時益で膨らんだ。2027年3月期の会社予想は営業利益60億円と、減益を見込む。
裏側では借金が増えている。純有利子負債は194億円で、2年前の純現金から反転した。将来の分譲に備えた未完成在庫は271億円に積み上がった。金利が上がる局面で、在庫を持つ商売は利払いが先に重くなる。
10年後の中立は、営業利益63億円、純利益34億円。売上は物価の分で膨らむが、戸数は人口減で細る。確率で重みを付けた本質価値は、今の時価総額を3割あまり下回る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見ると、この会社は『良い時に稼ぎ、在庫で苦しむ時を忘れさせる会社』だ。
商売の質は、三つの部分で違う。建設は、手持ちの工事が増え、利益率も上がった。人手に縛られるが、質は悪くない。管理は、積み上がる収入で見て悪くない。分譲は、用地を仕入れ、2〜3年後に売る在庫の商売で、景気が悪くなった時に傷が出る。2009年3月期の132億円の損失がそれを示す。
資本の使い方は、守りと攻めが同居する。配当は気前がよく、性向50%を守る。一方で、在庫と借入は膨らんだ。ROEが資本コストを超えない年が続く会社で、在庫を増やす資金を借りるのは、利益より先にリスクが増える動きだ。筆者がいちばん気にしているのは、利益が山にある今、在庫がいつ現金に戻るかだ。
安全域は、自己資本の717億円にある。ただ、ためた利益が帳簿どおりの値打ちを持つのは、稼ぐ力が資本コストを超える時だけ。ROEが5%台のうちは、帳簿どおりの評価はできない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは三つに分かれる。分譲マンションの企画・販売(不動産事業)、他社や自社物件の建築(建設事業)、マンションの管理と修繕(不動産管理事業)だ。2026年3月期の売上は順に314億円、394億円、170億円。セグメント利益は15億円、38億円、18億円で、建設が半分強を稼ぐ。
分譲は日神不動産が担い、用地を仕入れてから引き渡しまで2〜3年かかる。販売用の物件に加え、小規模マンションを1棟ごと投資家に売る案件が4件83億円あった。証券化は日神不動産投資顧問が受け持ち、5物件58億円を扱った。
建設は多田建設が中心で、100年を超える歴史を持つ。マンション工事を柱に、グループ外の発注も受ける。期末の繰越工事は459億円と前の期より1割強増えたが、現場監督の人数に限りがあり、施工できる量は急には増やせない。
管理は日神管財が受け持ち、管理戸数は3万6千戸あまり。管理受託収入は38億円、修繕工事収入は30億円と、毎年積み上がる安定した収入だ。グループ内の新築から年に400〜500戸が加わる。ほかに少額のローンを貸す日神ファイナンスと、建設資材をリースするシンコーがある。
優良さと弱いところ
堀は、建設の施工力と管理のストックにある。分譲は用地の仕入れ力で戦う商売で、堀と呼べるほどの差はない。
建設は、100年を超えるマンション工事の経験と、提案型の営業が武器だ。価格だけの競争を避け、1社指名の特命を増やしたことで、利益率が上がった。ただし会社自身が、これ以上の引き上げには限りがあると認める。施工量は現場監督の数に縛られ、人手不足と工期の長期化が続く。
管理は、建てたマンションの管理組合から受け続ける収入で、解約は少ない。ただ売上の増加には、1棟売りの一時の収益が混じる。経営側もストック収益と販売収益を分けて見てほしいと求めている。
財務は並みの強さだ。自己資本比率は49%、営業利益が支払利息の8倍強。ただし借入は増え、純有利子負債は194億円。2009年3月期には132億円の純損失を出した過去があり、在庫を抱える商売の脆さは忘れられない。ROEは過去10年の中央値が6%弱で、資本コストを下回る年が多かった。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
分譲マンションは、人が減る国で、建築費と金利が同時に上がる商売だ。新設住宅の着工は2025年に74万戸と、62年ぶりの低水準になった。建築費は2021年以降に2〜4割上がったまま戻らず、買い手のローンの金利も上がる。価格を上げても戸数が細る構図が、都心から地方まで広がっている。
日神は首都圏の中小型マンションが中心で、大手のような都心の大規模物件は持たない。競争相手は、同じ領域の中堅の分譲会社や、同じ首都圏で建売を広げる各社だ。用地の仕入れ値は上がり、販売価格に十分に転嫁できない。会社も、原価と買い手の金利の上昇を価格に載せきれず、利益率が下がる傾向にあると説明している。
建設は別の需給で動く。発注側の工事の準備が前倒しになり、手持ちの工事は増えている。ただ人手不足で施工能力は伸びず、利益は取れる量が頭打ちになる。
管理は、築年数が進むほど修繕の工事が増える。ストックが積み上がる分だけ収入は物価並みに伸びるが、管理員の確保が制約になる。M&Aは、人手を求める地場の管理会社や工務店を買う側に回る余地がある。大株主の構成は確認できず、買収される可能性は読めない。
資本政策と M&A
還元は配当が柱で、配当性向の目安は50%。2026年3月期は配当を前の期から5割ほど引き上げ、2027年3月期もわずかに増やす予想だ。自社株買いの大きな開示は見えない。株主優待も確認できなかった。
投資は、用地の仕入れと建設中の物件に回る。事業支出金は271億円と1年で105億円増え、販売計画は約807億円の売上を見込む。工期が延びたため、約2年先の案件まで先行して仕込んでいる。この分の資金は借入で賄い、純有利子負債は194億円に増えた。借入金利が3.5%近くまで上がれば、利払いは先に重くなる。
余った現金はない。現金同等物は375億円あるが、借入が上回り、前受の手付金や工事の前払いもある。事業に要る分を超えて積み上がった現金は立てなかった。
政策保有株は小さい。提出会社の上場株は4銘柄で3億円強、多田建設が2銘柄で12億円。賃貸用の不動産は2026年3月期に江東区で15億円を買った。10年の還元は、利益が増える筋書きでも減る筋書きでも、配当性向50%で置いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
建設は構造が変わった。提案型営業と特命の受注で粗利が倍になり、下期の営業利益率は10%を超えた。手持ちの工事は459億円と1割強増え、発注側の準備も前倒しだ。人員の採用と育成を続ければ、施工量が増え、利益が上乗せされる。
管理は、ストックの積み上げで毎年増える。管理戸数は3万6千戸あまりで、グループ内の新築から年に400〜500戸が加わり、グループ外の受託も進む。修繕工事は築年数とともに増える。
分譲は、事業支出金271億円に対し、約807億円の売上を見込む。期末の契約残は322戸と前の期の約1.8倍で、先行して仕込んだ用地が引き渡しに入れば、利益率は下期の4%台から戻る。中期経営計画の利益目標は1年前倒しで達成した。
配当も増えた。性向50%の方針で、増配が続く。資本政策は、成長に使う現金を守りつつ、株主にも戻す形になっている。金利が上がっても、首都圏のマンション需要が底堅ければ、価格は建築費の上昇を載せられる。10年の積み上げで、売上が1,300億円に近づき、営業利益が90億円を超える筋書きも立つ。
慎重な見方
2026年3月期の利益は、前の期から繰り越した物件と1棟売りに押し上げられた。会社自身が2027年3月期は営業利益を60億円と見込み、減益になる。建設の粗利の改善は、会社が限界があると認めている。
分譲は、仕入れ原価の上昇と買い手のローン金利の上昇を、販売価格に載せきれていない。セグメント利益率は5%を切り、事業支出金は271億円と1年で105億円増えた。在庫が積み上がったのは、売れる見通しが立った結果ではなく、工期が延びたための先行投資だ。借入は積み上がり、純有利子負債は194億円になった。
人口が減る日本で、新設住宅の着工は62年ぶりの低水準。2009年3月期に132億円の純損失を出したように、市況が崩れた時の在庫の傷は深い。建設は現場監督の数が制約で、管理は管理員の確保が制約と、どの事業も人手が天井になる。
ROEは過去10年の中央値で6%弱と、資本コストに届かない。稼ぐ力が資本コストに届かない会社の在庫は、帳簿の値より安く評価される。
どちらに重みを置いたか
建設の利益率の改善と手持ち工事の増加は、強気の見方を支える。しかし利益が山にあること、借入と在庫が先に膨らんだこと、ROEが資本コストに届かないことは、慎重な見方のほうが重い。確率は中立を最も厚く置き、やや悲観を強気側より少し厚くした。計算の結論は割高。鍵は、事業支出金の約807億円が予定どおり現金に戻るか、建設の利益率がどこまで保てるかだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 875 円409 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 334 円156 億円)。 今の値に割り戻すと 670 円313 億円、今との差 +4.6%、 期待の年率 +6.6%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,636 円764 億円 | 490 円229 億円 | +231.7% | +12.7% | 149 円70 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,320 円616 億円 | 428 円200 億円 | +172.7% | +10.6% | 350 円163 億円 |
| 中立 | 38% | 1,016 円474 億円 | 368 円172 億円 | +115.9% | +8.0% | 526 円246 億円 |
| やや悲観 | 24% | 328 円153 億円 | 289 円135 億円 | −3.8% | −0.4% | 148 円69 億円 |
| 悲観 | 11% | 293 円137 億円 | 47 円22 億円 | −46.9% | −6.1% | 37 円17 億円 |
| 加重平均 | 100% | 875 円409 億円 | 334 円156 億円 | +88.7% | +6.6% | 1,210 円565 億円 |
今の株価時価総額 641 円299 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 7% 建設の高い利益率が続き、管理と分譲の引き渡しも重なって利益が5割ほど増える 利益 55 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,636 円764 億円
建設が1社指名の特命を増やして利益率を8〜9%に保ち、手持ちの工事は人員の増加とともに伸びる。分譲は先行して仕込んだ用地が引き渡しに入り、販売価格も建築費の上昇を載せて4割上がる。管理は新築からの取り込みと修繕で戸数が2割5分ほど増える。営業利益は91億円、純利益は55億円。借入が増えても利払いを吸収できる10年になる。ただ、分譲の戸数は伸びず、利益の増え方は建設と管理が主導する形になる。
(名目の前提)戸数・施工量・管理戸数は実質で置き、価格は物価(10年で1.34倍)に建築費などの動きを足して置いた。本社費は物価で増やした。減価償却は、賃貸用の不動産と事務所が中心で小さく、今ある設備の償却は取得した時の値段のまま、新しく買う分だけ新しい値段で足されるものとして扱い、分譲事業の在庫は償却がかからないので影響は小さいとみた。
(利払い)純有利子負債194億円は、借り換えで金利が3.5%近くまで上がる前提で、支払利息が足元の10億円から13億円に増えるものとして純利益に入れた(会社の2027年3月期予想の経常利益50億円から逆算した出発点を使った)。
(自己資本の流れ)今の自己資本717億円に、10年間の純利益の合計を足し、配当性向50%の還元を引いて流した。出発点の純利益は、2026年3月期の42億円が繰り越しの物件を含むため、2027年3月期の会社予想35億円を使った。
- 不動産(分譲マンション):数量 0.1(分譲戸数(万戸、推定))× 価格 7,000(万円/戸(平均売上、推定))→ 売上 440 億円・営業利益 24 億円。数量 1.00 倍・価格 1.40 倍(名目)・営業利益率 5.5%
- 建設:数量 13.8(施工量(万㎡の延べ床、推定))× 価格 43(万円/㎡(請負単価、推定))→ 売上 587 億円・営業利益 50 億円。数量 1.05 倍・価格 1.42 倍(名目)・営業利益率 8.5%
- 不動産管理:数量 4.6(管理戸数(万戸))× 価格 62(万円/戸(年間の売上、混合))→ 売上 285 億円・営業利益 24 億円。数量 1.25 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 8.5%
倍率:事業の純利益 55 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 764 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建設が10%近い利益率を保ち、分譲も回復し、管理も伸びる筋書き。営業利益率が過去の最良(約8%)に近づくので、重なる条件が多く7%に置いた。
やや楽観 20% 建設の利益率が高めに残り、分譲も計画どおり引き渡しが進む 利益 45 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,320 円616 億円
建設は特命が中心の受注が続き、利益率は8%近くに残る。分譲は戸数が6%ほど減るが、価格は建築費の上昇を載せて3割7分上がり、利益率は5%に戻る。管理は修繕工事とグループ外の受託が伸びる。営業利益は77億円、純利益は45億円。会社の中期目標を超えた水準で10年が過ぎるが、成長の中身は物価の分が大きい。
(名目の前提)戸数・施工量・管理戸数は実質で置き、価格は物価(10年で1.34倍)に建築費などの動きを足して置いた。本社費は物価で増やした。減価償却は、賃貸用の不動産と事務所が中心で小さく、今ある設備の償却は取得した時の値段のまま、新しく買う分だけ新しい値段で足されるものとして扱い、分譲事業の在庫は償却がかからないので影響は小さいとみた。
(利払い)純有利子負債194億円は、借り換えで金利が3.5%近くまで上がる前提で、支払利息が足元の10億円から13億円に増えるものとして純利益に入れた(会社の2027年3月期予想の経常利益50億円から逆算した出発点を使った)。
(自己資本の流れ)今の自己資本717億円に、10年間の純利益の合計を足し、配当性向50%の還元を引いて流した。出発点の純利益は、2026年3月期の42億円が繰り越しの物件を含むため、2027年3月期の会社予想35億円を使った。
- 不動産(分譲マンション):数量 0.1(分譲戸数(万戸、推定))× 価格 6,850(万円/戸(平均売上、推定))→ 売上 405 億円・営業利益 20 億円。数量 0.94 倍・価格 1.37 倍(名目)・営業利益率 5.0%
- 建設:数量 13.1(施工量(万㎡の延べ床、推定))× 価格 42(万円/㎡(請負単価、推定))→ 売上 547 億円・営業利益 43 億円。数量 1.00 倍・価格 1.39 倍(名目)・営業利益率 7.8%
- 不動産管理:数量 4.4(管理戸数(万戸))× 価格 61(万円/戸(年間の売上、混合))→ 売上 267 億円・営業利益 21 億円。数量 1.20 倍・価格 1.31 倍(名目)・営業利益率 7.8%
倍率:事業の純利益 45 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.9% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 616 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建設の利益率が7〜8%に残り、分譲の引き渡しが計画どおりに進む筋書き。2017〜2018年3月期に営業利益率が8%台に乗った実績があり、2割に置いた。
中立 38% 売上は物価並みに伸びるが、戸数は細り、利益は足元から横ばい 利益 34 億円 · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 1,016 円474 億円
分譲は戸数が1割強減り、価格は物価並みの3割4分上がる。利益率は4%台で、2026年3月期の水準に近い。建設は戸数でなく施工量が現場監督の数に縛られ、価格は建築費の上昇で3割6分上がり、利益率は7%に戻る。管理は戸数が1割5分、単価が3割弱伸び、利益率は7%。売上は物価の分で1,140億円に近づくが、営業利益は63億円で、足元の会社予想の60億円とほぼ同じ。本社費は物価で増え、借入が膨らむ分の利払いも増えて、純利益は34億円。配当性向50%を守り、自己資本は890億円まで積み上がる。
(名目の前提)戸数・施工量・管理戸数は実質で置き、価格は物価(10年で1.34倍)に建築費などの動きを足して置いた。本社費は物価で増やした。減価償却は、賃貸用の不動産と事務所が中心で小さく、今ある設備の償却は取得した時の値段のまま、新しく買う分だけ新しい値段で足されるものとして扱い、分譲事業の在庫は償却がかからないので影響は小さいとみた。
(利払い)純有利子負債194億円は、借り換えで金利が3.5%近くまで上がる前提で、支払利息が足元の10億円から13億円に増えるものとして純利益に入れた(会社の2027年3月期予想の経常利益50億円から逆算した出発点を使った)。
(自己資本の流れ)今の自己資本717億円に、10年間の純利益の合計を足し、配当性向50%の還元を引いて流した。出発点の純利益は、2026年3月期の42億円が繰り越しの物件を含むため、2027年3月期の会社予想35億円を使った。
- 不動産(分譲マンション):数量 0.1(分譲戸数(万戸、推定))× 価格 6,700(万円/戸(平均売上、推定))→ 売上 371 億円・営業利益 16 億円。数量 0.88 倍・価格 1.34 倍(名目)・営業利益率 4.3%
- 建設:数量 12.7(施工量(万㎡の延べ床、推定))× 価格 41(万円/㎡(請負単価、推定))→ 売上 520 億円・営業利益 36 億円。数量 0.97 倍・価格 1.36 倍(名目)・営業利益率 7.0%
- 不動産管理:数量 4.2(管理戸数(万戸))× 価格 60(万円/戸(年間の売上、混合))→ 売上 250 億円・営業利益 18 億円。数量 1.15 倍・価格 1.28 倍(名目)・営業利益率 7.0%
倍率:事業の純利益 34 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.9% が k 7.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.8 倍。全体の PER 13.79 倍、時価総額 474 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:戸数が細る一方で物価が価格を押し上げ、利益率が過去の中央値(約6%)に戻る筋書き。最も重く置いた。
やや悲観 24% 分譲の利益率が3%に落ち、建設も利益率が下がる 利益 20 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 328 円153 億円
金利の上昇と建築費の上昇を分譲価格に載せきれず、利益率は3%に落ちる。戸数も2割あまり減る。建設は特命の効果が薄れ、同業の価格競争に巻き込まれて利益率が5%台に下がる。管理は管理員の確保に苦しみ、利益率が6%にとどまる。営業利益は42億円まで下がり、純利益は20億円。売上は物価の分で名目では保たれるが、実質では後退する。配当は性向50%を守っても額が減り、自己資本の伸びは鈍い。
(名目の前提)戸数・施工量・管理戸数は実質で置き、価格は物価(10年で1.34倍)に建築費などの動きを足して置いた。本社費は物価で増やした。減価償却は、賃貸用の不動産と事務所が中心で小さく、今ある設備の償却は取得した時の値段のまま、新しく買う分だけ新しい値段で足されるものとして扱い、分譲事業の在庫は償却がかからないので影響は小さいとみた。
(利払い)純有利子負債194億円は、借り換えで金利が3.5%近くまで上がる前提で、支払利息が足元の10億円から13億円に増えるものとして純利益に入れた(会社の2027年3月期予想の経常利益50億円から逆算した出発点を使った)。
(自己資本の流れ)今の自己資本717億円に、10年間の純利益の合計を足し、配当性向50%の還元を引いて流した。出発点の純利益は、2026年3月期の42億円が繰り越しの物件を含むため、2027年3月期の会社予想35億円を使った。
- 不動産(分譲マンション):数量 0.0(分譲戸数(万戸、推定))× 価格 6,500(万円/戸(平均売上、推定))→ 売上 319 億円・営業利益 10 億円。数量 0.78 倍・価格 1.30 倍(名目)・営業利益率 3.0%
- 建設:数量 11.8(施工量(万㎡の延べ床、推定))× 価格 40(万円/㎡(請負単価、推定))→ 売上 468 億円・営業利益 26 億円。数量 0.90 倍・価格 1.32 倍(名目)・営業利益率 5.5%
- 不動産管理:数量 3.9(管理戸数(万戸))× 価格 58(万円/戸(年間の売上、混合))→ 売上 230 億円・営業利益 14 億円。数量 1.08 倍・価格 1.25 倍(名目)・営業利益率 6.0%
倍率:事業の ROE 2.4%(純利益÷自己資本)は資本コスト 7.25% 以下で、ためた利益は額面を下回る値打ち。PER は 1÷k=10.8 倍まで。分譲は在庫の商売で景気に振れ、建設の利益率も頭打ちのため、上限の約 6.9 割の 7.5 倍に置いた。余った現金は借入が上回るので立てていない。
確率:金利と原価の上昇を分譲で転嫁できず、建設の利益率も下がる筋書き。2024年3月期の営業利益率4%台の実績があり、強気側より少し厚く2割台半ばに置いた。
悲観 11% 市況が崩れて在庫の傷が深く、分譲は赤字、建設と管理だけが残る 利益 2 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 293 円137 億円
金利が上がり、買い手のローンが細り、分譲の契約が崩れる。3年目に在庫の評価損と値下げ販売が重なり、純損失は130億円に達する。続く年も損失が出て、分譲は戸数が4割減り、価格も2割しか上がらず、利益率はマイナスになる。建設は受注が細り利益率が3%に下がる。管理だけが6%の利益率で残る。配当は止まり、借入の返済に回る。営業利益は15億円、純利益は2億円。10年後の自己資本は571億円まで細り、評価は稼ぐ力ではなく、売れる資産の価値で決まる。
(名目の前提)戸数・施工量・管理戸数は実質で置き、価格は物価(10年で1.34倍)に建築費などの動きを足して置いた。本社費は物価で増やした。減価償却は、賃貸用の不動産と事務所が中心で小さく、今ある設備の償却は取得した時の値段のまま、新しく買う分だけ新しい値段で足されるものとして扱い、分譲事業の在庫は償却がかからないので影響は小さいとみた。
(利払い)純有利子負債194億円は、借り換えで金利が3.5%近くまで上がる前提で、支払利息が足元の10億円から13億円に増えるものとして純利益に入れた(会社の2027年3月期予想の経常利益50億円から逆算した出発点を使った)。
(自己資本の流れ)今の自己資本717億円に、10年間の純利益の合計を足し、配当性向50%の還元を引いて流した。出発点の純利益は、2026年3月期の42億円が繰り越しの物件を含むため、2027年3月期の会社予想35億円を使った。
- 不動産(分譲マンション):数量 0.0(分譲戸数(万戸、推定))× 価格 6,000(万円/戸(平均売上、推定))→ 売上 226 億円・営業利益 −2 億円。数量 0.60 倍・価格 1.20 倍(名目)・営業利益率 -1.0%
- 建設:数量 9.8(施工量(万㎡の延べ床、推定))× 価格 38(万円/㎡(請負単価、推定))→ 売上 369 億円・営業利益 11 億円。数量 0.75 倍・価格 1.25 倍(名目)・営業利益率 3.0%
- 不動産管理:数量 3.6(管理戸数(万戸))× 価格 58(万円/戸(年間の売上、混合))→ 売上 213 億円・営業利益 13 億円。数量 1.00 倍・価格 1.25 倍(名目)・営業利益率 6.0%
倍率:この筋書きは純利益 2 億円で、稼ぐ力を k 7.25% で割っても約 19 億円にしかならない。売れる資産の税後から総負債を引いた約 137 億円のほうが大きいので、床は売れる資産で置き、今の自己資本 717 億円に約 0.19 倍を掛けた。借金の重い会社なので EV ÷ 営業利益(EV は時価総額+純有利子負債 194 億円)は 23 倍になるが、この筋書きでは営業利益が小さく、倍率でなく床で値打ちを置く。
確率:市況が崩れ、在庫の評価損が出て、分譲が赤字になる筋書き。2009年3月期に純損失132億円の前例があり、10年に一度の頻度として1割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産(分譲マンション)
日神不動産が首都圏でマンションを企画・分譲し、1棟を投資家に売る案件や、証券化向けの物件も扱う。
| 数量分譲戸数(万戸、推定) | 価格万円/戸(平均売上、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.1 | 5,000 | 314 | 15 |
| 10 年後 中立 | 0.1 | 6,700 | 371 | 16 |
取り方:不動産事業の売上 314.1 億円(2026/03 期。1 棟売りの 83 億円を含む)を、1 戸あたり平均 5,000 万円(推定。開示は無い)で割った戸数 0.0628 万戸。セグメント利益 15.2 億円は開示(利益率 4.8%)。戸数は人口減と建築費の上昇で細り、価格は物価と建築費で上がる。
建設
多田建設がマンション等の建築・土木工事を請け負う。グループ外の発注も受ける。
| 数量施工量(万㎡の延べ床、推定) | 価格万円/㎡(請負単価、推定) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 13.1 | 30 | 394 | 38 |
| 10 年後 中立 | 12.7 | 41 | 520 | 36 |
取り方:建設事業の売上 393.8 億円(2026/03 期)を、請負単価 1㎡あたり 30 万円(推定。開示は無い)で割った施工量 13.1 万㎡。セグメント利益 38.4 億円は開示(利益率 9.8%)。現場監督の数に縛られ、施工量は伸びにくい。
不動産管理
日神管財がマンション管理組合から管理を受託し、修繕工事、賃貸管理、小規模物件の買取再販も行う。
| 数量管理戸数(万戸) | 価格万円/戸(年間の売上、混合) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.6 | 47 | 170 | 18 |
| 10 年後 中立 | 4.2 | 60 | 250 | 18 |
取り方:不動産管理事業の売上 170.0 億円(2026/03 期)を、管理戸数 3.65 万戸(開示は『4万戸に近い』)で割った 1 戸あたり 46.6 万円。管理受託収入 38 億円、修繕 30 億円のほか、小規模アパートの 1 棟販売が含まれる混合の値。セグメント利益 18.2 億円は開示(利益率 10.7%)。
リスクと懸念
市況の崩れと在庫の評価損
開発から引き渡しまで2〜3年かかるため、市況が悪化すると完成在庫が滞留し、評価損や資金繰りに響く。2009年3月期には132億円の純損失を出した。事業支出金は2026年3月末で271億円と1年で105億円増えている。
金利と建築費の上昇
資材・人件費・金利の上昇で採算が悪化する。会社は、仕入れ原価と買い手のローン金利の上昇を販売価格に十分には載せきれず、分譲の利益率が下がる傾向にあると認める。借入の増加と借り換えの金利上昇で、利払いも重くなる。
1棟売りと繰り越しの一時益
2026年3月期の利益は、前の期から繰り越された物件と小規模アパートの1棟売りで上振れした。会社予想は2027年3月期に営業利益60億円と減益を見込む。ストック収益と販売収益を分けて見ないと、稼ぐ力を高く見積もる。
建設の人手と利益率の頭打ち
現場監督となる有資格者の確保・育成が遅れると、受注できる現場数に制約が出る。利益率が10%近くまで上がったが、会社自身がこれ以上の引き上げには限りがあると認める。
管理員の確保
不動産管理は管理員の確保が難しく、受託できる棟数が制約される。管理戸数は3万6千戸あまりで、増えるほど人手の確保が重くなる。
人口減少と住宅需要
新設住宅の着工は2025年に74万戸と62年ぶりの低水準。首都圏の中小型マンションでも、人口減と建築費高騰による価格上昇で戸数が細る恐れがある。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の営業利益が会社予想の60億円を上回り、70億円に近づいたら
- 建設の高い利益率が定着したとみて、中立からやや楽観へ確率を寄せる。繰り越しや1棟売りの一時益が混じっていないかを区別する。
- 事業支出金(未完成在庫)が300億円を超えて積み上がり、契約残が前の期を下回ったら
- 在庫の滞留を疑い、やや悲観・悲観の確率を上げる。契約残は期末322戸・134億円を目安にする。
- 建設の繰越工事が前の期(459億円)を下回り、利益率が8%を割ったら
- 特命の効果が薄れたとみて、建設の利益率を6%台に置き直し、中立の営業利益を下げる。
- 借入金利の上昇で純有利子負債が250億円を超えたら
- 利払いの重さを再計算し、資本コストの質の調整(借金)を引き上げる。
- 自社株買いや配当性向の引き上げが示されたら
- 還元の割合を上げて見直す。自己資本の積み上がりが減り、ROEが上がる側に動く。
- 多田建設や日神管財の売却、または大株主の動きが開示されたら
- 事業の組み替えや買収の合図として、筋書きを見直す。
見ておくもの
- 事業支出金(未完成在庫)と販売用不動産の残高
- 分譲マンションの期末契約残(戸数・金額)
- 建設の繰越工事高とセグメント利益率
- 管理戸数と管理受託収入・修繕工事収入
- 純有利子負債と借入金利
- 中期経営計画(2025年3月期〜2027年3月期)の進捗と次の計画
倍率と資本コストの決め方
今の株価やPERから筋書きを作らず、戸数・施工量・管理戸数と名目の単価から売上を積み、部門ごとの営業利益率で利益を出した。倍率は利益ベースで、事業のROEが資本コスト7.25%を下回るため、正当化PERは1÷kの10.8倍が上限になる。この上限の7〜9割強に置いた。資本コストは基本7.5%に、景気で振れること・借入がやや重いこと・値決めの弱さで+1.75%を足した。余った現金は借入が上回るため立てなかった。悲観の床は、棚卸資産を2009年の崩れで5割と見た売れる資産の税後。結論は割高。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→13.79 倍・やや楽観 PER 9.5→13.79 倍・中立 PER 8.8→13.79 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +1.75% を足した 9.25%。事業は傾いていないので extra は置かない。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 7.25%。