結論
カチタスは、地方の空き家を買い取って改装し、中古住宅として売る会社だ。この商売では国内最大手で、年間の販売はおよそ8,400件ある。筆者の結論は「割高」だ。事業の質は高いが、今の値段は、追い風が10年続く前提にまで踏み込んでいる。
追い風ははっきりしている。新築の価格は5年で4割上がり、予算の限られた買い手が中古へ流れた。2026年3月期の営業利益は182億円と過去最高で、会社は2028年3月期の目標を230億円へ引き上げた。
足元だけを見れば、これ以上ない好調だ。ただ、10年では話が変わる。建築費の上昇はいずれ止まり、買取再販に乗り出す会社も増える。売り手が複数社の見積もりを比べる世界になれば、仕入れ価格が上がって粗利を削る。
地方の人口は減る。数量は伸びても1割台、物価の分は単価に乗るが、利益率は今より薄くなるとみるのが自然だ。10年後の純利益を今の1.4倍と置くと、価値は今の時価総額の3分の2ほどにとどまる。楽観の筋書きでようやく今の値段に届く。
手堅さを疑っているわけではない。借金は軽く、配当性向は5割を超え、ニトリが3割強を持つ安定株主でもある。値段の高さだけが問題だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の目で見て、カチタスは良い商売だ。売り手の悩みを解決し、買い手には新築の半額で住める家を渡す。この商売で国内最大手になっているのは、地味だが確かな強みだ。
気になるのは、堀の浅さである。他社が入れない障壁はなく、入ってこない理由は「面倒だから」に近い。大手が本気で参入すれば、仕入れで競り合う。値段は市場が決める。それでも2割を超えるROEを10年続けられたのは、運営の巧みさの証拠だ。
経営者の資本の使い方は堅実で、借金は軽く、配当性向は5割だ。割高な買収で価値を壊す動きは見えない。
だが、今の利益は新築の高騰という外の追い風で押し上げられている部分が大きい。この追い風は永遠には続かない。利益が元の水準に戻ると考えた時、今の値段は安全域を持たない。
手元の利益の半分は配当に回り、残りは在庫に変わる。再投資で稼げる水準は、資本コストをやや上回る程度とみる。そうなると、倍率を高く払う理由はない。
何で稼ぐ会社か
カチタスの稼ぎ方は単純だ。空き家を持て余した売り手から、直接、家を買い取る。調査をして、リフォームを施し、保証を付けて、中古住宅として個人の買い手に売る。
商圏は人口5万〜30万人の地方都市が中心で、1件あたりの売値は1,800万円ほどになる。新築の半分以下の値段で手に入る家が、買い手には魅力となる。
強みは、仕入れから販売までの一貫した仕組みにある。買い取る前の調査を徹底し、雨漏りなどの欠陥を見抜く。ここを疎かにすると、売った後のクレームで利益が消える。参入した他社が撤退した例も多いのは、この見極めが難しいからだ。
営業人員は毎年1割近く増やしており、店舗の数より、1店舗の人員を厚くして取扱件数を増やす方針を取る。2016年に同業のリプライスを買収して規模を広げた。
事業はほぼ単一で、買い取って売る回転型だ。在庫(買い取った家)を抱える期間が利益と資金繰りを決める。2026年3月期の仕入れは約9,800件で、販売を上回る勢いで積み上がっている。
大株主のニトリホールディングスは約34%を持つ。2017年の資本業務提携以来、家具の販売など店舗での連携を進める。
優良さと弱いところ
カチタスの強みは、地方の空き家の売り手と直接つながる仕入れの網にある。他社がまねしにくいのは、買う前に家の状態を見抜く目と、改装を速く安く回す仕組みだ。
売値の1割強が営業利益になる収益性は、物件が安く、改装を内製して在庫を速く回すことで成り立つ。過去10年の自己資本利益率(ROE)は中央値で2割を超えた。2026年3月期は23.5%だった。
一方、堀(他社がまねできない強み)は強くない。仕入れは売り手との相対取引だが、売り手がネットで複数の買取業者を比べれば、囲い込みは効かない。値段を決めるのは市場で、同じ商圏に大手が入れば仕入れ価格は上がる。
粗利率は2026年3月期で23.3%。消費税をめぐる訴訟の影響を除くと24.4%だった。ここ数年、新築の高騰を背景に強気の値付けができているが、これが当たり前になったと見るのは危うい。
財務は手堅い。純有利子負債は時価総額の1割にも満たず、自己資本比率は57%ある。ただし2026年3月期は営業キャッシュフローがマイナスだった。仕入れを増やした分、在庫に資金が出ていったためで、成長の代金とみてよいが、止まれば在庫が重くなる構造は変わらない。
店舗の賃借による固定費も、売上が落ちた時には残る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の中古住宅市場は、新築の高騰を追い風に変わりつつある。建築費は2021年以降に2〜4割上がり、新築の戸建て注文住宅の1棟あたりの価格は5年で1.4倍になった。予算の限られた買い手は、中古に流れる。
新設住宅の着工は、2025年に約74万戸と62年ぶりの低水準になった。人口の減少と資材高がその背景にある。つまり新築は数が減り、単価は上がる。中古への需要はその裏返しだ。
供給の側では、空き家が総住宅数の13%台に達し、売りたい人の数は増え続ける。仕入れ先には事欠かない。
競合は変わりつつある。かつては買取再販の中心がマンションで、戸建ては地場の小さな業者が担った。参入した他社が雨漏りなどのクレーム対応で撤退する例も多かった。ただ、オープンハウスグループや飯田グループホールディングスなど新築の大手が、中古の仕入れを狙う余地は十分ある。
10年国債が3%へ上がれば、住宅ローンの金利も上がる。1,800万円程度の中古住宅は、金利上昇の影響が新築ほど大きくはない。しかし買い手の購買力が全体に細れば、中古も無傷ではいられない。
分かれ目は、新築の価格が高止まりするか、落ち着くかにある。落ち着けば、中古の値ごろ感という追い風は弱まる。
資本政策と M&A
株主還元は、配当性向50%以上の累進配当が方針だ。2026年3月期の配当性向は50%だった。次期は増配する計画で、自社株買いの記録は見当たらない。
10年の目で見れば、利益のうち半分を現金で受け取れるのは大きい。ただ、成長に必要な在庫の資金も、利益から出している。残りの利益を再び在庫に投じて稼げる水準が、10年先の価値を決める。
大株主はニトリホールディングスで、約34%を持つ(2017年に資本業務提携)。親会社ではなく安定株主で、家具の販売など店舗の連携が中心だ。比率が大きいため、将来の再編や買い増しが話題になる余地はある。
M&Aの歴史は、2012年にファンドの公開買付けで非公開化し、のちに再上場した経緯がある。2016年には同業のリプライスを約40億円で買収した。近年は大型買収より、自前で営業人員と仕入れを増やす成長が中心だ。
ガバナンスでは、役員の約4割が社外取締役を占める。借金が軽く、資本政策は堅実と言える。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
新築の価格は5年で4割上がり、建築費は下がる気配がない。買い手は予算に合う中古へ流れ続ける。カチタスは国内最大手で、空き家という仕入れ先は枯れない。
営業利益は過去最高を更新し、会社は2028年3月期の目標を230億円へ引き上げた。営業人員は毎年1割近く増やしており、1人あたりの件数が上がれば、利益は一段と伸びる。
戸建ての買取再販は、雨漏りなどのクレームで他社が撤退した難しい商売だ。調査と改装の仕組みを積んだカチタスには、実績がある。大株主のニトリとの連携で、家具など付加価値も付く。店舗に来る客の層も広がる。配当性向は5割で、ROEは2割を超える。新築が高止まりする限り、利益は伸びる。10年の間に営業人員の厚みが積み上がれば、1店舗あたりの稼ぎは上がり続けるはずだ。仕入れの網は他社が簡単に追いつけない資産でもある。
10年の間に営業人員の厚みが積み上がれば、1店舗あたりの稼ぎは上がり続けるはずだ。仕入れの網は他社が簡単に追いつけない資産でもある。強気の筋書きでは、販売は1万件を大きく超える。
慎重な見方
今の利益は、新築の高騰という外の追い風で押し上げられている。建築費の上昇が止まれば、中古の値ごろ感は薄れ、強気の値付けも通らなくなる。
買取再販は、誰でも入れる商売になりつつある。新築の大手が中古の仕入れに目を付ければ、売り手は複数社の見積もりを取るのが当たり前になる。仕入れ価格が上がり、粗利率は下がる。営業人員を増やした分の固定費は残る。
地方の人口は減る。売りたい人は増えても、買い手の数が細る。2026年3月期は営業キャッシュフローがマイナスで、在庫の積み上げに資金が出ていった。市況が反転すれば、在庫が重荷になる。10年後の利益を今の水準から大きく伸ばす根拠はなく、今の値段はそれを先取りしている。強気の見方が正しければ、利益は大きく伸びるが、外れた時の落ち方は同じ大きさで来る。
強気の見方が正しければ利益は大きく伸びるが、外れた時の落ち方も同じ大きさで来る。回転型は固定費が重く、売上が落ちた時の利益の減り方は売上の減り方より速い。
どちらに重みを置いたか
足元の勢いと空き家の供給の多さは強気の言い分が正しい。中計の達成までは筋書きに入れた。ただ、10年の先では、堀の浅さと仕入れ競争という慎重な言い分に分がある。
そのため確率は慎重側を少し厚くした(悲観8%・やや悲観20%)。売上は物価で伸びるが、数量は1割台、利益率は今より薄いと置く。中立の純利益は今の1.4倍にとどまり、価値は今の時価総額を下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,684 円3,667 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,144 円895 億円)。 今の値に割り戻すと 3,132 円2,452 億円、今との差 −6.2%、 期待の年率 +5.7%(資本コスト 7.2%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 8,111 円6,349 億円 | 1,671 円1,308 億円 | +192.9% | +11.3% | 1,174 円919 億円 |
| やや楽観 | 26% | 6,461 円5,057 億円 | 1,387 円1,086 億円 | +135.0% | +8.9% | 2,041 円1,597 億円 |
| 中立 | 34% | 4,924 円3,854 億円 | 1,173 円918 億円 | +82.5% | +6.2% | 2,073 円1,622 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,624 円1,271 億円 | 805 円630 億円 | −27.3% | −3.1% | 486 円380 億円 |
| 悲観 | 8% | 407 円319 億円 | 281 円220 億円 | −79.4% | −14.6% | 55 円43 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,684 円3,667 億円 | 1,144 円895 億円 | +74.5% | +5.7% | 5,828 円4,562 億円 |
今の株価時価総額 3,340 円2,614 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.2% を下回るほど割高。
楽観 12% 買取再販が地方の標準になり、シェアも利益率も伸びる 利益 297 億円 · PER 21.4 倍 · 株価時価総額 8,111 円6,349 億円
新築住宅の高騰と省エネ規制の強化が続き、買い手が中古へ流れる流れは10年たっても止まらない。空き家は十分にあり、仕入れが足りなくなることはない。営業人員を毎年増やし、1人が扱う件数も上がって、年間の販売は1.4万件に届く。値段も新築の高止まりに引っ張られ、物価の伸びをわずかに上回る。
中古のリフォーム品質と保証でブランドが確立し、地方の売り手が最初に相談する会社になる。仕入れで競り負けることが少なく、粗利率が高いまま保たれる。ニトリとの家具連携も効いて、1件あたりの収益が少しずつ厚くなる。
株主還元は配当に自社株買いが加わり、積み上がる資本を戻し続ける。10年先の純利益は今の2倍を超える。
- 中古住宅再生販売(買取再販):数量 14,000(年間販売件数(件))× 価格 0.25(1件あたり売上(億円、名目))→ 売上 3,501 億円・営業利益 455 億円。販売件数1.67倍・単価1.38倍・営業利益率13.0%
倍率:事業の純利益 297 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 22.4% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.8%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.4 倍。全体の PER 21.36 倍、時価総額 6,344 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新築の高止まり、営業人員の増員、仕入れの余裕が10年そろって続く姿は条件が重なる。強気の材料は厚いが確率は1割強にとどめる。
やや楽観 26% 中計を達成し、その先も販売件数がじわり増える 利益 237 億円 · PER 21.1 倍 · 株価時価総額 6,461 円5,057 億円
2028年3月期に営業利益230億円という計画を達成し、年間1万件の壁を越える。その後も店舗と営業人員の増強で件数は伸びるが、地方の人口減が重しになり、伸びは年1〜2%にとどまる。
新築の高止まりは続くが、大手の戸建会社が買取再販に力を入れ、仕入れの競り合いは今より厳しくなる。それでも自社の調査と施工の仕組みで粗利率を12%台の営業利益率に保つ。
還元は配当性向50%を軸に、余った資本は自社株買いで戻す。10年先の純利益は今の1.8倍になる。
この筋書きでは、会社の計画を上回る追加の成長は置かない。営業人員の増加は、1人あたりの件数が伸びない限り利益率の改善には結びつかないとみる。ニトリとの連携は、家具や設備の仕入れ面で小さな上乗せになる程度に置く。
- 中古住宅再生販売(買取再販):数量 12,000(年間販売件数(件))× 価格 0.25(1件あたり売上(億円、名目))→ 売上 2,958 億円・営業利益 364 億円。販売件数1.43倍・単価1.36倍・営業利益率12.3%
倍率:事業の純利益 237 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 21.2% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.2%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 21.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 21.1 倍。全体の PER 21.05 倍、時価総額 4,989 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の勢い(営業利益は過去最高、計画は上方修正)と空き家の供給の多さを踏まえ、中計の達成とその先の緩やかな成長に厚めの確率を置く。
中立 34% 計画の水準を保つが、その先の伸びは仕入れ競争と人口減が抑える 利益 181 億円 · PER 20.7 倍 · 株価時価総額 4,924 円3,854 億円
2028年3月期までは計画どおり進み、年間の販売は1万件前後で頭打ちになる。10年のうちに新築の価格上昇は一服し、中古が割安だった状況は少し薄れる。
仕入れは地方の空き家の売り手との相対取引が中心だが、大手や不動産ポータルが買取に乗り出し、仕入れ価格が上がる。粗利率はいまの24%台から少し下がり、営業利益率は11.5%に落ち着く。
値段は物価並みに上がり、売上は2,400億円台になる。配当性向は50%を超える水準を続け、余れば自社株買いで戻す。10年先の純利益は今の1.4倍。
販売の数量は、計画の水準である1万件前後で止まる。伸びを止める理由は二つある。地方の人口減と、買取に参入する会社の増加だ。どちらも一度に効くのではなく、10年かけて少しずつ効いてくる。
- 中古住宅再生販売(買取再販):数量 10,000(年間販売件数(件))× 価格 0.24(1件あたり売上(億円、名目))→ 売上 2,429 億円・営業利益 279 億円。販売件数1.19倍・単価1.34倍・営業利益率11.5%
倍率:事業の純利益 181 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.8% が k 7.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.5%、10 年より先の名目の伸び g 3.7% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 20.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 20.7 倍。全体の PER 20.66 倍、時価総額 3,740 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人口減と仕入れ競争が、計画の勢いを10年で抑える姿を中心に置く。
やや悲観 20% 新築価格が落ち着き、仕入れ競争が激しくなって利益率が削られる 利益 104 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 1,624 円1,271 億円
建築費の上昇が止まり、新築と中古の価格差が縮む。中古を選ぶ理由が弱まり、販売は年間8,000件台へ戻る。
同時に買取再販へ参入する会社が増え、売り手は複数社に見積もりを取るのが当たり前になる。仕入れ価格が上がって粗利率が下がり、営業人員が増えた分の固定費は残るので、営業利益率は9%まで下がる。
値段の上がり方も物価に届かない。店舗の賃料と人件費が固定費として重く残る。配当は維持するが、増配は止まる。
中立との違いは、仕入れと販売の両方で値段が思うように取れなくなる点にある。会社は営業人員を減らして守りに入るが、売上の落ち込みの方が速く、利益率は下がる。ただし事業の仕組みは壊れず、赤字には落ちない。
- 中古住宅再生販売(買取再販):数量 8,200(年間販売件数(件))× 価格 0.22(1件あたり売上(億円、名目))→ 売上 1,813 億円・営業利益 163 億円。販売件数0.98倍・単価1.22倍・営業利益率9.0%
倍率:事業の ROE 9.9% は資本コスト 7.25% をわずかに上回るだけで、RONIC は 9.1%。新しく投じるお金は価値をほとんど増やさず、稼ぐ力(純利益÷k)は 1÷k=12.1 倍。この筋書きは利益率が下がり仕入れで競り負ける局面なので、その 9 割弱の 10.5 倍に置いた。
確率:買取再販への参入は増える一方で、新築価格が落ち着けば中古の値ごろ感は薄れる。10年では十分起こりうるため、2割を置く。
悲観 8% 参入競争と新築の値下がりで、買取再販が儲からない商売になる 利益 22 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 407 円319 億円
地方の人口減が進み、空き家の売り手が減るどころか増えても、買い手の数が先に細る。新築の値段が下がれば、中古の値ごろ感という最大の強みが消える。
大手の戸建会社と不動産ポータルが買取の窓口を押さえ、カチタスは仕入れで高値をつかまされる。在庫が積み上がり、値引き販売が続いて粗利率は17%前後まで落ちる。
営業人員と店舗の固定費は急には減らせない。販売は5,000件まで細り、営業利益率は4%に落ちる。配当は半分にして在庫の資金に回す。ニトリの持分が大きいため、再編の話が出る余地はあるが、価値は在庫の処分額が下限になる。
- 中古住宅再生販売(買取再販):数量 5,000(年間販売件数(件))× 価格 0.19(1件あたり売上(億円、名目))→ 売上 951 億円・営業利益 38 億円。販売件数0.60倍・単価1.05倍・営業利益率4.0%
倍率:稼ぐ力は純利益 22 億円÷k で約 270 億円。在庫を値引きして売り、借入を返した後の資産の方が大きいので、今の自己資本 531 億円の 6 割を床に置いた。
確率:構造的な負けは、新築の値下がりと大手の参入が同時に起きる場合に限られる。地方の仕入れの強みと調査・施工の仕組みを考え、1割未満にする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
中古住宅再生販売(買取再販)
地方の空き家を売り手から直接買い取り、調査・改装・保証をつけて個人へ中古住宅として売る単一の事業。
| 数量年間販売件数(件) | 価格1件あたり売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 8,376 | 0.18 | 1,518 | 183 |
| 10 年後 中立 | 10,000 | 0.24 | 2,429 | 279 |
取り方:2026年3月期の販売件数は、2027年3月期計画の9,700件が前年比+15.8%という開示から逆算した約8,380件。売上1,518億円をそれで割った1件あたり約1,810万円(付随収入を含む)を価格に置いた。会社は事実上この1事業のみ。営業利益率12.0%。価格は中立で物価並み(10年1.34倍)。
リスクと懸念
新築の価格が落ち着き、中古の追い風が弱まる
今の高い利益の一部は、新築の高騰で中古が選ばれていることによる。建築費の上昇が止まれば、強気の値付けは通らなくなり、粗利率が元の水準へ戻る恐れがある。
買取再販への参入と仕入れ競争
売り手がネットで複数の買取業者を比べるようになれば、仕入れ価格が上がる。新築の大手や不動産ポータルが買取に参入する余地は大きく、粗利を削る。
在庫と資金繰り
買い取った家は売れるまで在庫になる。2026年3月期は営業キャッシュフローがマイナスだった。市況が反転すれば、在庫の値引き販売と借入の増加が同時に来る。
住宅ローン金利の上昇
10年国債が3%になれば、住宅ローンの金利も上がる。中古は新築より単価が低く影響は小さいが、買い手の購買力が全体に細れば販売件数が落ちる。
地方の人口減少
商圏は人口5万〜30万人の地方都市で、人口は減る。空き家は増えて仕入れは楽になるが、買い手の数が先に細る。10年では効いてくる。
消費税をめぐる訴訟と会計処理
2025年5月の敗訴に伴う会計処理の変更で、2026年3月期の粗利率が下がった。会社は影響を除いた調整後の粗利率も示している。制度の運用が変われば利益が動く。
営業人員の拡大と品質管理
営業人員を年に1割近く増やしている。急な増員は、調査や改装の品質のばらつきを招きやすい。売った後のクレームが増えれば、評判と利益に響く。
今後の分かれ目
- 新築の価格が下がり、新築と中古の価格差が縮む
- 中古の値ごろ感が薄れ、中立より慎重な筋書きの確率が高まる。
- 2028年3月期に営業利益230億円を達成し、年間1万件を超える
- 営業人員の増強が実を結んだことになり、やや楽観の確率を厚くする根拠になる。
- 大手の戸建会社や不動産ポータルが買取の窓口を本格的に押さえる
- 仕入れ価格が上がり、粗利率が下がるので、悲観側の確率を引き上げる。
- 在庫の回転が遅れ、営業キャッシュフローのマイナスが続く
- 在庫の値引き販売が増える前触れで、利益率の見通しを下げる。
- ニトリが持分を引き上げる、または再編の話が出る
- 親会社化の可能性が出れば、少数株主の価値の見方が変わる。筋書きの外で別に考える。
- 住宅ローン金利が想定より大きく上がる
- 中古でも購買力が細り、販売件数の伸びが止まる。
見ておくもの
- 新設住宅着工と建築費・住宅価格の動向
- カチタスの仕入件数と販売件数、調整後の粗利率の四半期推移
- 営業キャッシュフローと在庫の増減
- 大手の戸建会社・不動産ポータルによる買取再販への参入
- 中計の進捗(2028年3月期の営業利益230億円)
倍率と資本コストの決め方
今の株価や PER から筋書きを作らず、販売件数(実質)× 1件の売上(物価で10年1.34倍)で積み、金利の影響を純利益から引いた。倍率は資本コスト7.25%(基本7.5%に循環+0.5・値決めの弱さ+0.25)と、普通の堀(残る割合1/2)の正当化PERから出し、楽観〜中立は上限の約85〜88%に置いた。悲観側は稼ぐ力と、在庫を値引き処分した後の資産から出した。今の時価総額は最後に比べただけで、結論は「割高」。店舗の賃借はあるが、新リース会計基準で数字の形が変わる点は今と同じ形(家賃を費用に入れた形)で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15.28→21.36 倍・やや楽観 PER 14.27→21.05 倍・中立 PER 13.36→20.66 倍)。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +0.75% を足した 8.25%。ガバナンスやニトリの持分、消費税訴訟などの個別の事情は k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.25% → 7.25%。