結論
トーセイは、東京圏の古い中小ビル・マンションを買い、直して売る「不動産再生」を本業とする会社だ。そこに賃貸、ファンド運用、ホテルを重ね、売買の波を安定収入で支える形に育てた。筆者の結論は「やや割高」である。事業は強いが、金利が 3% 台に上がる世界では借金の利払いが利益を削り、ROE(自己資本利益率)は 14% 台から 10% 近くまで下がるからだ。
稼ぐ力は本物だ。営業利益は 10 年で 3 倍に育って 223 億円になり、運用を受託するファンド資産は 2.7 兆円に達した。賃貸・ファンド・管理・ホテルの安定事業だけで、固定費の 1.3 倍の粗利を稼ぐ。2009 年のリーマン不況でも、2020 年のコロナ禍でも、赤字には落ちなかった。
一方で、純有利子負債は自己資本の 1.4 倍あり、仕入れる在庫は景気で値が動く。10 年国債が 3% になれば、借り換えのたびに利払いが重くなる。物価の上昇で賃料も販売価格も 1.3 倍強に上がるが、増えた利益の多くは利払いと在庫の積み増しに消える。
10 年後の中立は、営業利益 400 億円、純利益 210 億円、ROE 10% 弱である。資本コスト 8.5% をわずかに上回る程度の稼ぎで、倍率は 11 倍強にとどまる。売買の波を安定事業で受け止める作りは優れている。ただ、優れた会社と割安な株は別物だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で見ると、トーセイは利益の質が分かれ目になる会社だ。再生の売却益は、毎年仕入れ直さなければ続かない。賃貸のように持っているだけで入る収入ではなく、仕入れと売りを繰り返して初めて稼げる利益である。そこに借金が加わり、金利が上がれば、株主の取り分は減る。
評価できる点は三つある。第一に、元手の小さな安定収益(ファンド運用・管理・賃貸・ホテル)が利益の過半を占める。第二に、固定資産の含み益が大きい(会社の想定で約 810 億円、税引き後で約 540 億円)。第三に、1994 年から率いる山口社長が 11% を持ち、経営と株主の利害が揃っている。
筆者は、再生という事業は 10 年後も存在し、好不況を挟みながら続くと見る。ただ、長く持ちたい会社かと問われれば、答えは慎重だ。利払いと再投資の後に残る利益のうち、配当に回るのは 4 割弱にすぎない。残りの 6 割で、売れ残るかもしれない在庫を増やしている。新しく投じるお金の稼ぎが資本コストをわずかに上回る程度では、価値は大きく増えない。
安全域は含み益が与えてくれる。悲観の筋書きでも、売れる資産の価値は今の時価総額の 6 割ほどは残る。ただ、中立の筋書きの価値は今の時価総額に届かない。
何で稼ぐ会社か
トーセイの稼ぎ方は 6 つある。大きく「売買」と「安定」に分けると分かりやすい。
売買の柱は不動産再生だ。古くなったオフィスビルや賃貸マンション、区分マンションを買い、耐震や設備、空室を直して価値を上げ、投資家や REIT(不動産投資信託)、個人に売る。1996 年に始めた本業で、2025 年 11 月期は 1 棟物件を 34 棟、区分マンションを 105 戸売った。もう一つが開発で、用地を仕入れ、ホテルや賃貸マンション、戸建、物流施設を新築して売る。建築費が上がり続ける中、会社は開発より再生への投資を厚くする方針だ。
安定の柱は 4 つある。賃貸は東京都区部を中心に 130 棟前後の収益不動産を持つ。ファンド・コンサルティングは、海外の大手投資家などの資金で不動産を買い、運用報酬と取得・売却時のフィーを得る事業で、受託資産は 2.7 兆円。ホテルは自社ブランド「ココネ」を 9 棟持ち、客室は 1,000 室余りだ。管理は約 990 棟の清掃や修繕、テナント募集を請け負う。
2025 年 11 月期の営業利益(本社費の前)は、再生が約 4 分の 1、開発が 2 割強、ファンドと賃貸が各 2 割前後、ホテルが 1 割、管理は 1 割未満だった。売買は全体の 46%、安定は 54% である。売買が当たる年は利益が跳ね、外れる年は安定事業が支える。この組み合わせが会社の設計思想だ。
優良さと弱いところ
トーセイの強みは、東京圏の中古・中小不動産という、大手が手を出しにくい細かな市場で 30 年の経験を積んだことだ。売り物件の情報網、改修の技術、売り先の幅の三つが揃う。売り先は個人、事業会社、J-REIT、ファンドと広く、価格帯は数千万円から 100 億円超まで及ぶ。自前の建築士事務所も持つ。
ただし、その堀は広くない。再生は参入が自由で、サンフロンティア不動産、ヒューリックの CRE 事業、地場の業者やファンドが同じ物件を狙う。仕入れも売りも相場で決まり、値段を自分で決める力は弱い。堀が効くのは、物件の情報を早くつかむ力と、買い手に困らない顧客網である。
もう一つの強みは、運用を受託する力だ。ブラックストーン、ウォーバーグ・ピンカス、シンガポール政府投資公社(GIC)などの海外勢が顧客に並び、受託資産は 2019 年の 0.8 兆円から 2.7 兆円に増えた。自己資金をあまり使わずに手数料を稼げる、資本効率の高い収益だ。
弱みは財務の厚みと業績の波である。純有利子負債は自己資本の 1.4 倍、自己資本比率は 33% で、大手の総合デベロッパーより薄い。経営は 1994 年から山口誠一郎社長が率いる。2024 年には名古屋鉄道と資本業務提携を結び、同社が筆頭株主(約 15%)になった。名古屋圏の案件と資金という後ろ盾が加わった。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
東京の中小ビルは、需要が強く、供給が細る市場だ。都心 5 区のオフィス空室率は 2% を切り、賃料は上がり続けている。東京都の事業所の 94% は従業員 50 人未満で、小さなオフィスの需要は厚い。ところが新築は大型ビルに偏り、23 区の中小ビルは平均築年数が 35 年に達した。古い中小ビルを直して使い続ける需要が、再生事業の土台である。
建築費の高止まりも追い風だ。新築は採算が合いにくく、既存ビルの価値が相対的に上がる。会社が開発より再生へ投資を寄せているのも、この流れによる。
出口の市場も広がった。国内の不動産私募ファンドと J-REIT の残高は、2017 年の 27 兆円から 2025 年には 71 兆円へ増えた。再生した物件の買い手と、ファンド運用の受け皿が、ともに厚くなったということだ。ホテルは円安とインバウンドで単価が上がり、トーセイの稼働率は 87% に達している。
一方で、この領域は参入が自由で、仕入れ競争が激しい。10 年国債が 3% になれば、ビルの期待利回り(キャップレート)が上がり、売値の伸びを抑える。再生は「仕入れて売る」回転型で、大手のように賃料で耐えることができず、市況に最も敏感だ。2008〜09 年は在庫評価損と資金繰りに苦しむ中堅業者が相次いだ。トーセイは利益がほぼ消えたが、赤字は避けた。次の谷でも、安定事業が持ちこたえられるかが問われる。
資本政策と M&A
配当は利益の 35% 前後を出す方針で、2026 年 11 月期は 6 期連続の増配となる見通しだ。自社株買いは 2019〜2023 年に小さく行った程度で、近年は止まっている。総還元は利益の 3 割台にとどまり、残りは仕入れ資金に回る。成長を内部で賄う、再投資型の会社である。
資金の使い方は、在庫と固定資産への投資が中心だ。中期経営計画「Further Evolution 2026」は、3 年で約 2,600 億円の成長投資を見込む。目標は ROE 13% 以上、自己資本比率 35%、純有利子負債の対自己資本比率 1.4 倍だ。足元ではこの比率が 1.16 倍まで下がり、財務は計画より保守的に運んでいる。会社自身が株主資本コストを 8% 程度と見ており、10 年国債 3% の世界では妥当な線だ。
M&A は、事業承継型の不動産保有会社の買収が中心で、これまでに 24 件・96 物件を取得した。2026 年 6 月にはホテル 2 棟を M&A で加えた。大型の買収で価値を壊す類の会社ではない。
株主は、名古屋鉄道が約 15%、山口社長が約 11% を持つ。外国法人は 3 割を超える。名鉄との提携は、名古屋圏での共同投資と私募ファンドの拡大が柱だ。2025 年 12 月には株式を 2 分割した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
東京の中小ビル再生は、まだ伸びる。築 35 年を超える中小ビルが 23 区に 8,600 棟ある。建築費が高く、新築では代われない。直して使う需要は、物価とともに続く。トーセイは 30 年かけて、仕入れ、改修、売却の仕組みを磨いた。個人からファンドまで広い売り先を持ち、売れずに困る場面は少ない。
稼ぎの質も変わった。ファンド運用の受託資産は 2019 年からの 7 年で 3 倍以上の 2.7 兆円に増え、ブラックストーンや GIC などの資金が付く。国内の私募ファンドと REIT の市場は 71 兆円まで育ち、拡大の途中だ。この手数料収益は自己資金がほとんど要らず、利益率は 6 割に近い。ホテルも、新規取得とパイプラインで客室を 1,800 室まで広げる計画で、インバウンドが続けば単価と稼働の両方が効く。
物価 3% の世界は、実物資産を持つ会社に有利だ。賃料も販売価格も物価で上がり、在庫と固定資産の含み益は名目で膨らむ。2026 年 11 月期の営業利益は 250 億円を見込み、中期計画の利益目標を 1 年前倒しで超えた。配当性向は 35% を超え、6 期連続の増配となる。安定事業が固定費の 1.3 倍を稼ぐので、景気が崩れても耐えられる。名鉄との提携で名古屋圏にも商機が広がる。ROE は 13% 台を保ち、資本コストを上回り続ける。
慎重な見方
利払いが利益を食う。純有利子負債は自己資本の 1.4 倍あり、10 年国債が 3% になれば、借り換えのたびに金利が上がる。推定では、今の借金だけで税引き前利益が年 36 億円削られる。しかも在庫を増やして成長するので、借金は増え続ける。ROE は 14% 台から 10% 近くへ下がり、会社自身が見る株主資本コスト 8% 程度に近づく。
再生は景気の鏡だ。仕入れも売りも相場に従い、値段を決める力は弱い。2008〜09 年は利益がほぼ消え、2020 年も営業利益は半分に落ちた。いま好調に見えるのは、低金利、不動産価格の上昇、インバウンドの三つが揃った局面だからだ。金利が上がってビルの期待利回りが切り上がれば、売値の伸びは止まり、在庫は評価損の種になる。
ファンド収益は海外の資金に頼る。受託資産の 7 割は米国・欧州・アジアの投資家で、リスク回避が起きれば、組成も売却も細る。取得・売却時のフィーは増減が大きく、安定とは言い切れない。ホテルは新規取得が続き、客室が増えるほど、景気とインバウンドへの感度が上がる。仕入れ競争の激化で再生の利幅が縮む懸念もある。どれか一つが崩れても、10 年後の利益は大きく減る。
どちらに重みを置いたか
安定事業の強さと、再生の仕入れ・売却の力については、強気の見方に分がある。ファンド受託の拡大とホテルの積み上げは、実績が裏付ける。一方、借金の重さと利払いの増加、売買事業の景気への感度は、慎重な見方の指摘が的を射ている。確率は、中立を最も厚い 36% に置いた。やや楽観を 24%、やや悲観を 20% とし、楽観側をわずかに厚くしたのは、安定事業の厚みで悲観の深さが浅くなるためだ。ただ、利払い増を引くと ROE は 10% 近くで、資本コスト 8.5% をわずかに上回るだけになる。強気の見方が正しくても、計算の結論はやや割高に傾く。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した株価時価総額 2,884 円2,798 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 664 円645 億円)。 今の値に割り戻すと 1,718 円1,666 億円、今との差 −3.4%、 期待の年率 +7.2%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 4,820 円4,676 億円 | 964 円935 億円 | +225.1% | +12.5% | 578 円561 億円 |
| やや楽観 | 24% | 3,704 円3,593 億円 | 811 円787 億円 | +153.8% | +9.8% | 1,084 円1,051 億円 |
| 中立 | 36% | 3,042 円2,951 億円 | 703 円682 億円 | +110.5% | +7.7% | 1,348 円1,308 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,576 円1,529 億円 | 494 円479 億円 | +16.3% | +1.5% | 414 円402 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,031 円1,000 億円 | 215 円209 億円 | −29.9% | −3.5% | 125 円121 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,884 円2,798 億円 | 664 円645 億円 | +99.5% | +7.2% | 3,549 円3,443 億円 |
今の株価時価総額 1,779 円1,726 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 再生の拡大とファンドの海外資金が続く 利益 320 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 4,820 円4,676 億円
東京圏の中小ビル再生が、建築費の高止まりに支えられて拡大を続ける。再生の売却は年 80 件近くまで増え、開発もホテルや賃貸マンションを中心に伸びる。ファンドは受託資産が実質 5 兆円に達し、運用報酬と取得・売却のフィーが営業利益の 4 分の 1 を占める。ホテルは「ココネ」が 2,000 室を超え、インバウンドの単価上昇で利益が積み上がる。賃貸は含み益を計画的に実現しながら、保有を 200 棟余りに広げる。名鉄との提携が名古屋圏での共同投資に結実し、案件の幅も増える。
金利は 3% 台で落ち着き、ビルの期待利回りは動かない。物価で販売価格と賃料が 4 割ほど上がり、仕入れ資金の借り入れ増も利益で吸収できる。10 年後の営業利益は 570 億円、純利益は 320 億円、ROE は 13% 台を保つ。安定事業が稼ぎの土台を支え、売買の波も浅い。条件が重なる必要があるので、確率は低く置く。
- 不動産再生事業:数量 79.8(年間の売却件数(1 棟物件を 1 件、区分マンション 6 戸を 1 件に換算した件数))× 価格 11(1 件当たりの平均売却額(億円、名目))→ 売上 861 億円・営業利益 151 億円。件数+55%・単価+42%・利益率17.5%
- 不動産開発事業:数量 32.0(年間の引き渡し件数(件))× 価格 16(1 件当たりの平均販売額(億円、名目))→ 売上 515 億円・営業利益 129 億円。件数+60%・単価+40%・利益率25%
- 不動産賃貸事業:数量 205(保有する賃貸物件の数(棟))× 価格 0.95(1 棟当たりの賃貸収入(億円、名目))→ 売上 195 億円・営業利益 107 億円。棟数+55%・賃料+40%
- 不動産ファンド・コンサルティング事業:数量 5.0(受託資産残高(兆円。今の値段で測った実質))× 価格 50(残高 1 兆円当たりの売上(億円、名目。運用報酬+取得・売却フィー))→ 売上 249 億円・営業利益 155 億円。残高+100%・報酬率実質+4%
- 不動産管理事業:数量 1,440(管理する物件の数(棟))× 価格 0.10(1 棟当たりの年間売上(億円、名目))→ 売上 147 億円・営業利益 22 億円。棟数+50%
- ホテル事業:数量 2,100(運営する客室数(室))× 価格 0.10(1 室当たりの年間売上(億円、名目。客室単価×稼働率))→ 売上 206 億円・営業利益 82 億円。客室+100%・単価+45%
倍率:事業の純利益 320 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.2% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍。全体の PER 14.02 倍、時価総額 4,486 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:再生・ファンド・ホテルの拡大が同時に進み、金利も落ち着く必要があるため、確率は抑える。
やや楽観 24% 再生とファンドが計画線に沿って伸びる 利益 256 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 3,704 円3,593 億円
再生の売却は年 70 件ほどに増え、仕入れ競争の中でも情報網と売り先の広さで利幅を守る。開発は建築費の高止まりのもとで件数を絞りながら、ホテルや賃貸マンションを着実に売る。ファンドは受託資産が実質 4.4 兆円まで増え、海外の大手投資家に加えて国内の年金や保険の資金も入る。ホテルは新規取得と自社開発で客室が 1,800 室を超え、賃貸も保有を 190 棟ほどに広げる。
金利は 3% 台で安定し、ビルの期待利回りの上昇は小幅にとどまる。物価の分を除いても数量が 3〜7 割伸び、10 年後の営業利益は 470 億円、純利益は 260 億円になる。利払いが利益を削る分、ROE は 11% 台と、今より 3 ポイントほど下がる。会社が掲げる長期ビジョンのフェーズ 2 が、ほぼ計画どおりに進む姿だ。
- 不動産再生事業:数量 69.5(年間の売却件数(1 棟物件を 1 件、区分マンション 6 戸を 1 件に換算した件数))× 価格 10(1 件当たりの平均売却額(億円、名目))→ 売上 728 億円・営業利益 122 億円。件数+35%・単価+38%・利益率16.8%
- 不動産開発事業:数量 28.0(年間の引き渡し件数(件))× 価格 16(1 件当たりの平均販売額(億円、名目))→ 売上 441 億円・営業利益 102 億円。件数+40%・単価+37%・利益率23%
- 不動産賃貸事業:数量 191(保有する賃貸物件の数(棟))× 価格 0.93(1 棟当たりの賃貸収入(億円、名目))→ 売上 179 億円・営業利益 97 億円。棟数+45%・賃料+37%
- 不動産ファンド・コンサルティング事業:数量 4.4(受託資産残高(兆円。今の値段で測った実質))× 価格 49(残高 1 兆円当たりの売上(億円、名目。運用報酬+取得・売却フィー))→ 売上 213 億円・営業利益 128 億円。残高+75%・報酬率実質+2%
- 不動産管理事業:数量 1,296(管理する物件の数(棟))× 価格 0.10(1 棟当たりの年間売上(億円、名目))→ 売上 132 億円・営業利益 19 億円。棟数+35%
- ホテル事業:数量 1,838(運営する客室数(室))× 価格 0.09(1 室当たりの年間売上(億円、名目。客室単価×稼働率))→ 売上 172 億円・営業利益 66 億円。客室+75%・単価+38%
倍率:事業の純利益 256 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.3% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.26 倍、時価総額 3,395 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:ファンドとホテルの積み上げは実績があり、中期計画の線に沿う姿として、中立に次ぐ厚みを置く。
中立 36% 再生・ファンド・ホテルが緩やかに伸び、利払いが ROE を削る 利益 211 億円 · PER 12.8 倍 · 株価時価総額 3,042 円2,951 億円
再生は年 60 件ほど、開発は 25 件前後と、数量は今より 2 割強増える。ビルの期待利回りは緩やかに上がり、売値は物価並みの上昇にとどまって、再生の利益率は 16% 前後を保つ。ファンドは受託資産が実質 4 兆円に増え、運用報酬が営業利益の 3 割近くを占める。ホテルは客室が 1,700 室ほどに増え、賃貸の保有は 170 棟台になる。名鉄との提携の効果は限定的で、買収は事業承継型の小口が中心だ。
金利は 10 年国債 3% で落ち着く。借り換えと在庫の積み増しで純有利子負債は 3,000 億円近くに増え、利払いは今の 5 倍を超える。営業利益は 400 億円まで伸びるが、純利益は 210 億円、ROE は 10% 弱にとどまる。配当は純利益の 4 割弱へ上がる。収益構造は変わらず、安定事業が売買の波をならす姿が続く。
- 不動産再生事業:数量 61.8(年間の売却件数(1 棟物件を 1 件、区分マンション 6 戸を 1 件に換算した件数))× 価格 10(1 件当たりの平均売却額(億円、名目))→ 売上 629 億円・営業利益 101 億円。件数+20%・単価は物価並み・利益率16%
- 不動産開発事業:数量 25.0(年間の引き渡し件数(件))× 価格 15(1 件当たりの平均販売額(億円、名目))→ 売上 385 億円・営業利益 81 億円。件数+25%・単価は物価並み・利益率21%
- 不動産賃貸事業:数量 174(保有する賃貸物件の数(棟))× 価格 0.91(1 棟当たりの賃貸収入(億円、名目))→ 売上 159 億円・営業利益 84 億円。棟数+32%・賃料は物価並み
- 不動産ファンド・コンサルティング事業:数量 4.0(受託資産残高(兆円。今の値段で測った実質))× 価格 48(残高 1 兆円当たりの売上(億円、名目。運用報酬+取得・売却フィー))→ 売上 191 億円・営業利益 113 億円。残高+60%・報酬率は物価並み
- 不動産管理事業:数量 1,200(管理する物件の数(棟))× 価格 0.10(1 棟当たりの年間売上(億円、名目))→ 売上 122 億円・営業利益 17 億円。棟数+25%
- ホテル事業:数量 1,680(運営する客室数(室))× 価格 0.09(1 室当たりの年間売上(億円、名目。客室単価×稼働率))→ 売上 152 億円・営業利益 56 億円。客室+60%・単価は物価並み
倍率:事業の純利益 211 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.3% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍。全体の PER 12.75 倍、時価総額 2,690 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:利払いの増加で ROE が 10% 弱に下がる中でも、安定事業が売買の波をならす姿を中心の筋書きとする。
やや悲観 20% 金利高止まりで再生の利幅が縮み、ファンドも鈍る 利益 118 億円 · PER 9.1 倍 · 株価時価総額 1,576 円1,529 億円
10 年国債 3% が定着し、ビルの期待利回りが上がったまま戻らない。再生は仕入れ競争が続き、売値の伸びが物価に追いつかず、利益率は 12% 台に下がる。開発は建築費の高止まりで採算が合う用地が減り、件数が落ちる。ファンドは海外資金の流入が細り、取得・売却のフィーが伸びず、受託資産は実質 3 兆円台にとどまる。ホテルは新規取得の投資が重く、稼働と単価の伸びも鈍る。
営業利益は 250 億円と、名目では今よりわずかに増えるだけで、物価を引けば実質で 1 割半ば減る。借金の利払いが増え、純利益は 120 億円に下がり、ROE は 6% 台まで落ちる。配当は純利益の 4 割弱を保つが、金額は伸びない。それでも賃貸とホテル、管理の収益が底を支え、赤字には落ちない。資本効率が資本コストを割り込む、構造的な負けの筋書きだ。
- 不動産再生事業:数量 48.9(年間の売却件数(1 棟物件を 1 件、区分マンション 6 戸を 1 件に換算した件数))× 価格 9.49(1 件当たりの平均売却額(億円、名目))→ 売上 464 億円・営業利益 58 億円。件数-5%・単価+25%・利益率12.5%
- 不動産開発事業:数量 18.0(年間の引き渡し件数(件))× 価格 14(1 件当たりの平均販売額(億円、名目))→ 売上 253 億円・営業利益 40 億円。件数-10%・単価+22%・利益率16%
- 不動産賃貸事業:数量 158(保有する賃貸物件の数(棟))× 価格 0.87(1 棟当たりの賃貸収入(億円、名目))→ 売上 137 億円・営業利益 69 億円。棟数+20%・賃料+27%
- 不動産ファンド・コンサルティング事業:数量 3.4(受託資産残高(兆円。今の値段で測った実質))× 価格 43(残高 1 兆円当たりの売上(億円、名目。運用報酬+取得・売却フィー))→ 売上 147 億円・営業利益 79 億円。残高+35%・報酬率実質-9%
- 不動産管理事業:数量 1,056(管理する物件の数(棟))× 価格 0.10(1 棟当たりの年間売上(億円、名目))→ 売上 104 億円・営業利益 13 億円。棟数+10%
- ホテル事業:数量 1,470(運営する客室数(室))× 価格 0.08(1 室当たりの年間売上(億円、名目。客室単価×稼働率))→ 売上 124 億円・営業利益 40 億円。客室+40%・単価+25%・利益率32%
倍率:事業の ROE 6.3% は資本コスト 8.5% 以下。新しく投じるお金が価値を増やさないので、PER は 1÷k=11.4 倍まで。この筋書きは稼ぐ力(純利益 118 億円÷k)で測り、利益の質が低いので上限の 8.0 割、9.1 倍に置いた。 余り資産は立てていない(賃貸の含み益は賃料・売却益が純利益に入って倍率で数え済みなので足さない。悲観の床にだけ使う)。
確率:金利高止まりと仕入れ競争で再生の利幅が縮む筋書きは、業種ノートの構造的な負け筋として現実味がある。安定事業の厚みで深さは浅い。
悲観 10% 資金が引き、在庫の投げ売りで売買事業が止まる 利益 −9 億円 · PBR 1.0 倍 · 株価時価総額 1,031 円1,000 億円
金利が高止まりする中で、不動産への資金が細り、ビルの期待利回りが大きく上がる。再生は売値が仕入れ値を割り、在庫の評価損が膨らむ。会社は借り入れの返済のために在庫を売却し、再生と開発の件数は半分前後に縮む。海外の投資家は日本の不動産から資金を引き、ファンドの受託資産が減って、取得・売却のフィーはほとんど入らなくなる。新規に取得したホテルも、インバウンドの減速で稼働が落ちる。
安定事業の賃貸・管理・ホテルは残るが、売買事業の利益が消え、営業利益は 60 億円まで落ちる。評価損と利払いで純利益は赤字に転じ、自己資本が削られる。配当は大きく減らさざるを得ない。資産を売って借金を返し、事業の規模を縮めながら生き残る。2009 年に利益がほぼ消えた谷よりも深く、長い。
- 不動産再生事業:数量 30.9(年間の売却件数(1 棟物件を 1 件、区分マンション 6 戸を 1 件に換算した件数))× 価格 7.97(1 件当たりの平均売却額(億円、名目))→ 売上 246 億円・営業利益 5 億円。件数-40%・単価+5%・利益率2%
- 不動産開発事業:数量 10.0(年間の引き渡し件数(件))× 価格 12(1 件当たりの平均販売額(億円、名目))→ 売上 121 億円・営業利益 −2 億円。件数-50%・単価+5%・赤字
- 不動産賃貸事業:数量 132(保有する賃貸物件の数(棟))× 価格 0.78(1 棟当たりの賃貸収入(億円、名目))→ 売上 104 億円・営業利益 47 億円。棟数横ばい・賃料+15%
- 不動産ファンド・コンサルティング事業:数量 2.0(受託資産残高(兆円。今の値段で測った実質))× 価格 39(残高 1 兆円当たりの売上(億円、名目。運用報酬+取得・売却フィー))→ 売上 78 億円・営業利益 30 億円。残高-20%・報酬率実質-18%
- 不動産管理事業:数量 912(管理する物件の数(棟))× 価格 0.09(1 棟当たりの年間売上(億円、名目))→ 売上 83 億円・営業利益 7 億円。棟数-5%
- ホテル事業:数量 1,050(運営する客室数(室))× 価格 0.07(1 室当たりの年間売上(億円、名目。客室単価×稼働率))→ 売上 78 億円・営業利益 20 億円。客室横ばい・単価+10%・利益率25%
倍率:赤字で稼ぐ力は 0 とみる。今の自己資本に、賃貸物件の含み益のうち残る分と、在庫の投げ売りの損を織り込んだ売れる資産の税後 1,000 億円を床に置いた。純有利子負債を足した EV÷営業利益は 40 倍と高いが、この筋書きは利益でなく資産で測るので、倍率の高さは床の評価を変えない。
確率:資金が引いて在庫の投げ売りに追い込まれる筋書き。自己資本比率 33〜36% と安定事業の厚みで確率は低く置くが、売買事業の景気感度を考え 5% 未満にはしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産再生事業
古い中小のオフィスビル・賃貸マンション・区分マンションを買い、改修して投資家・REIT・個人に売る回転型の事業。
| 数量年間の売却件数(1 棟物件を 1 件、区分マンション 6 戸を 1 件に換算した件数) | 価格1 件当たりの平均売却額(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 51.5 | 7.59 | 391 | 63 |
| 10 年後 中立 | 61.8 | 10 | 629 | 101 |
取り方:2025 年 11 月期の売却は 1 棟物件 34 棟と区分マンション 105 戸(区分 6 戸を 1 件に換算して計 51.5 件)で、売上 391 億円から 1 件当たり約 7.6 億円と推定。営業利益率 16%。中立の 1 件当たり売却額は物価並み(10 年 1.34 倍)。
不動産開発事業
用地を仕入れ、ホテル・賃貸マンション・戸建・物流施設などを新築して売る事業。
| 数量年間の引き渡し件数(件) | 価格1 件当たりの平均販売額(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 20.0 | 12 | 230 | 57 |
| 10 年後 中立 | 25.0 | 15 | 385 | 81 |
取り方:開示は件数でなく売上のため、年 20 件前後・1 件約 11.5 億円(戸建 58 戸分の用地やホテル開発の引き渡しを含む混合)と推定。営業利益率は 25% と高いが、中立は 21% まで戻す。中立の 1 件当たり販売額は物価並み(10 年 1.34 倍)。
不動産賃貸事業
東京都区部を中心に収益不動産(オフィス・マンションなど)を保有して賃貸する安定事業。
| 数量保有する賃貸物件の数(棟) | 価格1 棟当たりの賃貸収入(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 132 | 0.68 | 90 | 49 |
| 10 年後 中立 | 174 | 0.91 | 159 | 84 |
取り方:2025 年 11 月末の保有物件は 132 棟(前期末 123 棟)で、賃貸収入 90 億円から 1 棟当たり約 0.68 億円。営業利益率 54%。中立の賃料は物価並み(10 年 1.34 倍)。売却は含み益の実現として数量の増減に含む。
不動産ファンド・コンサルティング事業
私募ファンドやトーセイ・リートの運用を受託し、運用報酬と取得・売却時のフィーを得る事業。
| 数量受託資産残高(兆円。今の値段で測った実質) | 価格残高 1 兆円当たりの売上(億円、名目。運用報酬+取得・売却フィー) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 2.5 | 36 | 89 | 54 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 48 | 191 | 113 |
取り方:受託資産は 2026 年 5 月末で 2.74 兆円、中計の 2026 年 11 月期計画の起点が約 2.3 兆円のため、2025 年 11 月末は約 2.5 兆円と推定。売上 89 億円から、残高当たりの売上は約 0.36%(35.6 億円/兆円)。営業利益率 61%。中立の報酬率は実質横ばいで名目は物価並み(10 年 1.34 倍)。 数量は受託資産残高(実物)で、名目の市場の伸びではない。伸びの理由は会社の中計の拡大計画。
不動産管理事業
マンション・ビルの管理、清掃、改修、テナント募集などを請け負う事業。
| 数量管理する物件の数(棟) | 価格1 棟当たりの年間売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 960 | 0.08 | 73 | 11 |
| 10 年後 中立 | 1,200 | 0.10 | 122 | 17 |
取り方:管理は 2026 年 5 月末で 987 棟のため、2025 年 11 月末は 960 棟前後と推定。売上 73 億円から 1 棟当たり約 0.076 億円。営業利益率 15%。人件費で単価が上がるので中立は物価並み(10 年 1.34 倍)。
ホテル事業
自社ブランド「トーセイホテル ココネ」を中心に、保有・運営するホテル(宿泊特化型)。
| 数量運営する客室数(室) | 価格1 室当たりの年間売上(億円、名目。客室単価×稼働率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 1,050 | 0.07 | 71 | 28 |
| 10 年後 中立 | 1,680 | 0.09 | 152 | 56 |
取り方:ココネ 9 棟ほかで運営客室は 1,050 室前後と推定(2026 年 6 月時点で 1,130 室+M&A 229 室)。売上 71 億円から 1 室当たり約 677 万円(客室単価 2 万円強×稼働率約 87%)。営業利益率 39%。中立の単価は物価並み(10 年 1.34 倍)。 数量は客室数(実物)で、名目の市場の伸びではない。伸びの理由は運営ホテルの開業と買収。
リスクと懸念
金利上昇による利払いの増加
純有利子負債は自己資本の 1.4 倍あり、10 年国債が 3% になれば借り換えのたびに利払いが増える。推定では、今の借金だけで税引き前利益が年 36 億円ほど減る。在庫を増やして成長するほど借金が膨らみ、ROE は 10 年で 14% 台から 10% 近くまで下がりうる。
売買事業の景気感度
営業利益の 4 割強は、仕入れて売る再生と開発から出る。2008〜09 年は利益がほぼ消え、2020 年は営業利益が半分に落ちた。在庫は相場で値が動き、評価損で自己資本が削られる。安定事業が固定費の 1.3 倍を稼ぐ設計が、次の谷でも効くかが試される。
仕入れ競争の激化と利幅の縮小
中小ビルの再生は参入が自由で、サンフロンティア不動産、ヒューリックの CRE 事業、地場の業者やファンドが同じ物件を狙う。仕入れ値が上がり続ければ、再生の利益率(今は 16% 前後)が構造的に縮む。建築費の高止まりで新築が減る追い風も、競争で相殺されうる。
ファンド収益の海外資金への依存
受託資産の 7 割は米国・欧州・アジアの投資家の資金だ。リスク回避が起きれば、組成も売却も細る。営業利益の 2 割を占めるこの事業は、運用報酬のほかに取得・売却時のフィーを含み、案件の波で増減する。安定収益といっても、売買の波と無縁ではない。
ホテルの拡大とインバウンドの変動
客室は 1,100 室台から 1,800 室へ広げる計画で、2026 年 6 月にも M&A でホテル 2 棟を加えた。拡大するほど、インバウンドと景気への感度が上がる。感染症や地政学の問題で訪日客が急減すれば、固定費の重い新規取得の負担が先に出る。
自己資本の薄さ
自己資本比率は 33〜36% で、大手の総合デベロッパーより薄い。在庫は市況が悪いと値引き売却を迫られ、評価損が出れば自己資本が減って、借り入れの条件や新たな仕入れの余力に響く。ネット D/E が低下傾向にあるのは安心材料だが、10 年の金利上昇には耐久力の確認が要る。
今後の分かれ目
- 10 年国債が想定の 3% を大きく超えて上がる
- ビルの期待利回りが上がり、再生の売値の伸びと在庫の評価が同時に圧迫される。利払いも増え、本質価値はやや悲観の筋書きに近づく。
- ファンドの受託資産が 4 兆円を超え、国内の年金や保険の資金も入る
- 手数料収益が営業利益の 3 割に近づき、売買の波に左右されにくくなる。本質価値はやや楽観の筋書きに近づく。
- 都心 5 区の空室率が 4〜5% に上がり、賃料が下がる
- 再生ビルの売値と、賃貸・ホテルの稼ぎが同時に落ちる。再生と開発の件数が減り、悲観の筋書きの確率を引き上げる必要が出る。
- 訪日客が急減し、ホテルの稼働が 70% 台に落ちる
- 拡大した客室の固定費が重くなり、ホテルの営業利益が半減する。全体への影響は 1 割程度だが、投資計画の見直しにつながる。
- 名古屋鉄道が持分を大きく増やす、または会社が自社株買いを再開する
- 株主還元と資本政策の評価が変わり、ROE の見通しが改善する。ただし利益そのものは変わらないので、本質価値の動きは限られる。
- 再生の売却益率が 20% を超えて定着する
- 仕入れ競争が緩み、再生の収益力が構造的に上がったことを示す。楽観とやや楽観の確率を厚くする根拠になる。
見ておくもの
- 都心 5 区の中小ビルの空室率・賃料・取引利回り(三鬼商事・不動産研究所)
- 再生事業の売却件数・売却益率と、仕入れ額(売上想定ベース)の推移
- ファンド受託資産残高と、海外・国内投資家の内訳
- 純有利子負債と自己資本比率、借り換え後の金利(支払利息の増え方)
- ホテルの稼働率・客室単価と新規取得の進み具合
倍率と資本コストの決め方
今の株価や倍率から筋書きを作らず、6 つの事業ごとに数量(件数・棟数・受託残高・客室数は実質)と価格(物価 3% 込みの名目、中立は 1.34 倍)を積み、借り換えの利払いの増加を純利益から引いた。倍率は資本コスト 8.5%(基本 7.5% に循環 0.75% と借金 0.5%)と正当化 PER から出し、楽観〜中立は上限の 9.2〜9.5 割に置いた(中立は ROE が k を超えるので 1÷k を下限とした)。含み益は悲観の床にだけ使い、中立〜楽観には賃料・売却益が純利益に入っているので足していない。IFRS 適用でリース負債は今すでに貸借対照表にあり、ホテルは自社保有が中心で家賃の固定費は小さいので、新リース会計の影響は限られる。10 年後の数字も今と同じ形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 12.4→14.02 倍・やや楽観 PER 11.6→13.26 倍・中立 PER 11.45→12.75 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k は基本 7.5% に quality +1.25% を足した 8.75%。事業は傾いていないので extra は置かない。同じ領域のヒューリックより借金は軽いが、売買事業の景気感度は高いので、差は小さくした。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.50%。