結論
日本システムバンクは、福井市に本社を置くコインパーキングの会社だ。土地を借りて自分で駐車場を運営し、同時に駐車場の機器を売り、保守と管理を請け負う。名古屋証券取引所のメイン市場に 2023 年に上場した。筆者の結論は「やや割安」だ。一番の理由は、稼ぎの割に今の時価総額が小さいことにある。
商売の中身は地味で、粘り強い。直営は 1,300 か所あまり、管理を受託した駐車場はその 4 倍を超える。車室は合わせて 15 万を超え、増えるたびに保守と機器の収入が積み上がる。営業利益率は 6% 台と薄いが、2022/06 期以降は黒字を続け、2026/06 期は営業利益 5 億円を出した。
弱みは、利益の薄さと土地の借り賃という固定費だ。直営は借りた土地の賃料を毎月払うので、稼働が落ちれば利益はすぐ消える。大手のタイムズや三井のリパークに対して、料金で優位に立てる材料も乏しい。
それでも、10 年の中立では車室が 2〜3 割増え、利益は 4 割ほど積み上がると筆者は見る。物価の上昇は料金と保守料に移しやすい。配当と優待の還元も続く。借入は大きすぎず、悲観の深さは中堅の駐車場会社の中でも浅い。
バリュー投資の観点から
オーナーとして持ちたい事業かと問われれば、筆者は「条件付き」と答える。駐車場は人が暮らす限り要るし、受託した車室は一度つかむと保守の収入が続く。ストックの収入があるのは強みだ。
気になるのは、稼ぎの薄さと、土地の借り賃という固定費だ。利益率は 6% 前後で、稼働が落ちれば利益が消える。大手に比べ、値段を決める力も弱い。
資本の使い方は、悪くない。売るべき資産は売り、機器の更新に投資し、配当と優待で株主に返している。借入も大きすぎない。
安全域は薄い。事業の価値は、10 年で車室が増えて利益が積み上がることを、ある程度前提にしている。筆者は、今の値段を、その前提に対して少し安いと見る。ただし、割安と言い切れるほどの余裕ではない。
経営が資産を軽くし、配当と優待を続ける点は、株主の側に立った動きだと筆者は受け取る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は、コインパーキングの運営と、機器・保守の二つだ。連結売上 81 億円のうち 98% 以上がコインパーキング事業で、残りがテナントビルの賃貸になる。
一つ目は直営の運営だ。土地のオーナーから土地を借り、機器を据えて時間貸しにする。直営は 1,332 件・約 2.3 万車室。売上は駐車料金で、土地の賃料や機器の償却、清掃・巡回の費用を引いた残りが利益になる。稼働が高い場所に出せば利益は出るが、外れれば賃料だけが残る。
二つ目は機器の販売と保守、そして管理の受託だ。オーナーや他の運営会社に、機器を選んで売り、造成工事から保守、電話での問い合わせ対応までを請け負う。管理を受託した駐車場は 5,789 件・約 12.9 万車室あり、直営の 5 倍以上の数だ。受け取るのは機器の代金と保守の料金で、土地の賃料は負わない。
方針は「フラップレス(地面の板が上がらない形)・キャッシュレス・ストレスレス」の三つだ。広くて安全な駐車場、硬貨のつまりが無い精算、速やかな保守を売りにしている。
拠点は福井と渋谷の本社のほか、全国 14 の支店と、札幌・仙台・福井の子会社だ。社員は 229 人。2026 年は函館の駐車場事業と賃貸ビルの一部を売り、資産を軽くした。
優良さと弱いところ
優良さは並だと筆者は見る。長所は、機器から保守、運営までを自前で持ち、直営と受託を両方回せる点だ。管理を受託した駐車場から得た現場の知識を、直営の出店に生かせる。スマホのアプリ『スムーパ』も、受託の駐車場に広がり、利用者数が大きく伸びた。
弱みは、値決めの力が小さいことだ。大手のタイムズや三井のリパークは、立地と会員の数で料金を決める側にいる。この会社は、空いた土地を探して地道に出店する立場で、料金を物価以上に上げるのは難しい。
利益の薄さも気になる。営業利益率は 6% 前後で、土地の賃料が固定費として重くのしかかる。2021/06 期は赤字で、そこから 3 期で立て直した。ROE は 10〜13% と資本コストを上回るが、大手の水準には遠い。
経営は堅実な方向に動いている。2026 年は函館の事業と賃貸ビルの一部を売り、持ち合いの株も手放して自己資本比率を 37% まで上げた。資本を事業に集める姿勢は評価できる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
コインパーキングは、再開発と来街者の数に左右される息の長い市場だ。駐車場は都市に必ず要るが、車を持たない若者や、自動運転・ライドシェアという新しい移動手段で、長い目では需要が細る恐れがある。
足もとの追い風は、人手不足と設備の更新だ。土地を持つオーナーは、自分で運営する手間を嫌って受託に出す。運営会社は、キャッシュレス決済に対応する機器へ入れ替えを進めている。この会社の機器と保守の売上には追い風になる。
競合は、パーク二四(タイムズ)や三井のリパークなどの大手、地域の中堅、機器会社系の運営者だ。大手は会員とカーシェアを組み合わせて客を囲い込む。この会社はその外側で、地方と首都圏の中小の土地を一つずつ増やしている。
コスト側では、土地の賃料や人件費が物価と一緒に上がる。料金に移せるかが利益を決める。筆者は 10 年で、車室は実質で 2 割ほど増え、料金は物価に届かない伸びにとどまると見る。
悲観の深さも考えておく。自動運転の普及や、大手が中小の土地を取りにくる展開では、直営の稼働と受託の件数がそろって細り、赤字に沈む。土地の賃料が固定で残るので、傷は浅くない。
資本政策と M&A
還元は配当と株主優待が中心だ。2026/06 期の配当は純利益のおよそ 3 割強にあたる。年に一度、100 株以上の株主に QUO カードを贈る優待も続けている。自社株買いの実績は見当たらない。
借入は、機器の更新に使う長期借入が中心だ。2026 年は賃貸ビルと函館の事業を売って現金が増え、自己資本比率は 37% に上がった。資本を重くしない方向に動いている。
2025 年 7 月に 1 株を 2 株に分割した。取引先銀行との持ち合い株は、2026 年に一部を売った。
買収の動きは見当たらない。時価総額が 25 億円と小さく、再編の候補にはなりうる。ただ、発表の無い話は価値に数えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
今の値段は、利益の 8 倍ほどと安い。車室は増え続け、受託した駐車場の保守収入は、毎年積み上がる。直営の稼働は堅調で、2026/06 期の中間では売上も利益も会社の計画を上回った。
機器の更新も追い風だ。キャッシュレス対応で入れ替えが続き、オーナーは運営の手間を嫌って受託に出す。物価が上がる世の中では、機器と保守の料金を上げやすい。利益率は今の 6% から上がる余地がある。
資本の使い方も良くなった。賃貸ビルや函館の事業、持ち合いの株を売って、事業を絞り込んだ。自己資本比率は 37% に上がり、現金も増えた。配当と優待も続いている。
上場して日が浅く、知名度が低いぶん、割安に放置されやすい。業績が積み上がれば、見直される余地は大きい。アプリのスムーパも、利用者が増えている。
小さな会社でも、受託の車室は 12 万を超え、全国の支店網で保守を回せる。参入の壁は低くない。
新しい会計基準で賃料の約束が表に出ても、稼ぐ力は変わらない。現金に余裕があるうちに投資を続けられる強みもある。
慎重な見方
薄利の商売で、固定費が重い。直営は借りた土地の賃料を毎月払い、稼働が落ちれば赤字になる。2021/06 期には営業赤字を出した。営業利益率は 6% で、タイムズや三井のリパークのような大手に比べて低い。
値段を決める力も弱い。大手は会員とカーシェアで客を囲い込み、料金も立地の強さで決める。この会社は、空いた土地を探す立場にとどまる。人件費と賃料が物価で上がっても、料金に移せるとは限らない。
長い目では、自動運転やライドシェアで駐車場の需要そのものが細る。機器もキャッシュレス対応の投資が続き、償却が重くなる。借入は 30 億円ほどあり、金利が上がれば利払いが増える。
配当は純利益の 3 割強にとどまり、自社株買いも無い。時価総額が小さく、売買も少ない。割安が埋まらないまま年月が過ぎる恐れがある。
人手に頼る保守は、採用が難しくなれば費用が膨らむ。規模の小ささも弱みだ。
コールセンターや現場の巡回といった保守の仕組みは、規模が小さいほど一件あたりの費用が重い。大手と同じ土俵で戦うには、投資が足りない。
どちらに重みを置いたか
強気の見方がやや勝つ。受託の件数と保守収入という積み上がる稼ぎは確かで、現金も増えた。ただ、薄利と固定費の重さという慎重な見方も事実に裏づけられている。確率は中立を中心に、やや楽観とやや悲観をほぼ同じに置き、悲観は構造的な負けの 12% とした。
売るべき資産を売り、固定費の重い事業を絞った動きも、強気の側の裏づけになる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 2,587 円59 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 513 円12 億円)。 今の値に割り戻すと 1,547 円35 億円、今との差 +38.3%、 期待の年率 +10.7%(資本コスト 8.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 5,601 円128 億円 | 808 円19 億円 | +472.7% | +19.1% | 449 円10 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,771 円86 億円 | 650 円15 億円 | +295.2% | +14.7% | 884 円20 億円 |
| 中立 | 38% | 2,958 円68 億円 | 576 円13 億円 | +215.8% | +12.2% | 1,343 円31 億円 |
| やや悲観 | 23% | 1,072 円25 億円 | 384 円9 億円 | +30.2% | +2.7% | 335 円8 億円 |
| 悲観 | 12% | 585 円13 億円 | 157 円4 億円 | −33.7% | −4.0% | 89 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,587 円59 億円 | 513 円12 億円 | +177.0% | +10.7% | 3,100 円71 億円 |
今の株価時価総額 1,119 円26 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 受託が全国に広がり、保守のストックが利益を押し上げる 利益 7 億円 · PER 16.3 倍 · 株価時価総額 5,601 円128 億円
機器の更新とキャッシュレス対応が全国で進み、土地のオーナーは運営の手間を嫌って受託に出す。日本システムバンクは、福井・北陸から首都圏・関西へ広げた受託の件数を、10 年で 1.4 倍近くに増やす。
直営も、再開発の進む都市部で稼働の高い土地を取り、車室を 4 割増やす。アプリのスムーパが定着し、予約や法人の一括請求で客を囲い込む。料金は物価並みに上がる。
保守収入のストックが積み上がり、営業利益率は 8% を超える。利益は 2 倍以上になり、自己資本比率も保たれる。配当と優待は増え、自社株買いも始まる。
- CP運営(直営のコインパーキング):数量 33.0(直営の車室数(千室・中間期末の実績))× 価格 26(1 車室あたりの年間売上(万円・名目、稼働と料金の結果))→ 売上 87 億円・営業利益 7 億円。直営 33 千室(1.41 倍)、1 車室の売上 1.28 倍、利益率 8.5%
- CP システム販売保守(機器の販売・保守・受託管理):数量 175(管理受託の車室数(千室・中間期末の実績))× 価格 3.34(1 車室あたりの年間売上(万円・名目、機器販売・保守・受託の合計))→ 売上 58 億円・営業利益 6 億円。受託 175 千室(1.36 倍)、1 車室 1.34 倍(物価並み)、利益率 10.5%
- プロパティマネジメント(テナントビル賃貸):数量 4.0(賃貸物件の数(件・推定))× 価格 0.21(1 件あたりの年間収益(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。賃貸は縮み 0.8 億円、利益率 50%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.0% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.3 倍。全体の PER 16.32 倍、時価総額 122 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直営と受託の両方が伸び、機器の更新でも利益率が 2 ケタに近づく筋書き。2022/06 期以降の最高の営業利益率は 7.2% で、倍の水準へ上げるには大手に近い値決めが要る。上場して日が浅く実績も短いので 1 割に届かない確率。
やや楽観 20% 受託の伸びで利益が積み上がる 利益 5 億円 · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 3,771 円86 億円
管理受託の駐車場は、首都圏と関西を中心に増え続ける。件数は 10 年で 1.25 倍ほどになり、機器の更新と保守の収入が積み上がる。
直営は、出店先を選び抜くことで稼働を保つ。車室は 3 割近く増えるが、料金は物価に届かない伸びにとどまる。大手との競争は続くが、中小の土地を一つずつ拾う戦い方で居場所を保つ。
営業利益率は 7% 台に乗る。本社の費用は物価で増えるが、増収で吸収できる。配当は純利益の 3 割強を保ち、優待も続く。
海外のような大きな追い風は無いが、地道な出店と受託の積み上げで利益が伸びる。
- CP運営(直営のコインパーキング):数量 30.0(直営の車室数(千室・中間期末の実績))× 価格 25(1 車室あたりの年間売上(万円・名目、稼働と料金の結果))→ 売上 74 億円・営業利益 5 億円。直営 30 千室(1.28 倍)、1 車室 1.20 倍、利益率 7%
- CP システム販売保守(機器の販売・保守・受託管理):数量 160(管理受託の車室数(千室・中間期末の実績))× 価格 3.29(1 車室あたりの年間売上(万円・名目、機器販売・保守・受託の合計))→ 売上 53 億円・営業利益 5 億円。受託 160 千室(1.24 倍)、1 車室 1.32 倍、利益率 9%
- プロパティマネジメント(テナントビル賃貸):数量 4.0(賃貸物件の数(件・推定))× 価格 0.21(1 件あたりの年間収益(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。賃貸は縮み 0.8 億円、利益率 50%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.1 倍。全体の PER 15.1 倍、時価総額 80 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受託の件数が今の勢いで増え、機器の更新も続く姿。2026/06 期の中間は売上も利益も会社の計画を上回っており、十分に起こりうる。
中立 38% 車室は 2 割増、利益率は直近並み 利益 4 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 2,958 円68 億円
車室は 10 年で 2 割ほど増える。直営は出店を選び抜き、受託は機器の更新を追い風に件数を積む。ただ都市部の再開発で駐車場が減る分もあり、伸びは緩やかだ。
料金は物価に届かず、10 年で 1.15 倍ほどにとどまる。大手が会員とカーシェアで客を囲い込み、中小は値上げを通しにくい。一方、機器と保守の料金は物価並みに上げられる。
営業利益率は 6% 台を保つ。賃料と人件費の上昇を料金に移しきれない年もあるが、増収で吸収する。配当は純利益の 3 割強、優待も続く。機器の更新の投資は償却を上回り、借入は少し増える。
- CP運営(直営のコインパーキング):数量 28.0(直営の車室数(千室・中間期末の実績))× 価格 24(1 車室あたりの年間売上(万円・名目、稼働と料金の結果))→ 売上 66 億円・営業利益 4 億円。直営 28 千室(1.20 倍)、1 車室 1.15 倍(料金は物価に届かず)、利益率 6.5%
- CP システム販売保守(機器の販売・保守・受託管理):数量 150(管理受託の車室数(千室・中間期末の実績))× 価格 3.24(1 車室あたりの年間売上(万円・名目、機器販売・保守・受託の合計))→ 売上 49 億円・営業利益 4 億円。受託 150 千室(1.17 倍)、1 車室 1.30 倍、利益率 8%
- プロパティマネジメント(テナントビル賃貸):数量 4.0(賃貸物件の数(件・推定))× 価格 0.21(1 件あたりの年間収益(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。賃貸は縮み 0.8 億円、利益率 50%
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.7% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍。全体の PER 14.32 倍、時価総額 61 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2022/06 期以降の営業利益率(5〜7%)を保ち、直営と受託の車室が緩やかに増える姿。足もとの実績と最も近く、いちばん起こりやすい。
やや悲観 23% 稼働が上がらず、固定費に利益を削られる 利益 2 億円 · PER 9.5 倍 · 株価時価総額 1,072 円25 億円
大手が会員とカーシェアで客を囲い込み、中小の土地は稼働が上がらない。直営の車室は 10 年でわずかしか増えず、料金は物価に遠く及ばない。
土地の賃料は更新のたびに上がる。人件費も上がり、営業利益率は 3〜4% に沈む。機器の更新の投資は続き、償却が利益を圧迫する。
受託の件数は伸びるが、機器の値引き競争で保守の利益率も下がる。配当は純利益の減りに合わせて細り、優待も縮む。借入の借り換えで利払いが増える。
会社は出店を絞って守りに入り、成長は止まる。
新しい会計基準で賃料の約束が表に載り、自己資本比率は見かけ下がる。
- CP運営(直営のコインパーキング):数量 24.5(直営の車室数(千室・中間期末の実績))× 価格 22(1 車室あたりの年間売上(万円・名目、稼働と料金の結果))→ 売上 53 億円・営業利益 2 億円。直営 24.5 千室(1.05 倍)、1 車室 1.05 倍、利益率 4.5%
- CP システム販売保守(機器の販売・保守・受託管理):数量 135(管理受託の車室数(千室・中間期末の実績))× 価格 2.99(1 車室あたりの年間売上(万円・名目、機器販売・保守・受託の合計))→ 売上 40 億円・営業利益 2 億円。受託 135 千室(1.05 倍)、1 車室 1.20 倍、利益率 5.5%
- プロパティマネジメント(テナントビル賃貸):数量 2.0(賃貸物件の数(件・推定))× 価格 0.21(1 件あたりの年間収益(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。賃貸は縮み 0.5 億円、利益率 50%
倍率:事業の ROE が k を下回るので正当化 PER の上限は 1÷k。利益の質が落ちるので上限の 7.5 割の 9.5 倍に置いた。
確率:大手との競争で直営の稼働が上がらず、賃料の上昇を料金に移せない姿。2021/06 期には赤字を出しており、利益率が元に戻る姿は十分ありうるので厚めに置く。
悲観 12% 移動の変化と大手の攻勢で駐車場の収益が縮む 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 585 円13 億円
自動運転タクシーとライドシェアが都市部で広がり、駐車場の需要が細る。大手は中小の土地を取りにきて、直営の車室は 3 割近く減る。
料金は上がらず、土地の賃料だけが固定で残る。直営は赤字になり、不採算の土地から撤退する費用も出る。
受託の件数も減り、機器の更新の需要も細る。保守の収入だけが残るが、本社の費用は物価で増える。営業赤字が続き、配当は止まる。残るのは、手元の土地と現金を整理した後の値打ちだけだ。
10 年後には、駐車場運営の会社として規模を大きく縮め、機器の保守と受託管理が中心になる。
社員の採用も難しくなり、保守の品質を保てなくなる。
- CP運営(直営のコインパーキング):数量 17.0(直営の車室数(千室・中間期末の実績))× 価格 21(1 車室あたりの年間売上(万円・名目、稼働と料金の結果))→ 売上 35 億円・営業利益 0 億円。直営 17 千室(0.73 倍)、1 車室 1.0 倍、赤字すれすれの 0%
- CP システム販売保守(機器の販売・保守・受託管理):数量 100(管理受託の車室数(千室・中間期末の実績))× 価格 2.61(1 車室あたりの年間売上(万円・名目、機器販売・保守・受託の合計))→ 売上 26 億円・営業利益 0 億円。受託 100 千室(0.78 倍)、1 車室 1.05 倍、利益率 1%
- プロパティマネジメント(テナントビル賃貸):数量 0.0(賃貸物件の数(件・推定))× 価格 0.21(1 件あたりの年間収益(億円・名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。賃貸は売却して無し
倍率:赤字なので PBR で測る。床は今の自己資本 26.9 億円に掛け、土地と現金から借入を引いた売れる資産の税後に合わせた。
確率:自動運転・ライドシェアの普及と、大手による中小の土地の取り込みで、構造的に負ける筋書き。借入が軽く土地の資産もあるので確率は 1 割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
CP運営(直営のコインパーキング)
土地を借り上げ、自社でコインパーキングを運営して駐車料金を受け取る。
| 数量直営の車室数(千室・中間期末の実績) | 価格1 車室あたりの年間売上(万円・名目、稼働と料金の結果) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 23.4 | 21 | 48 | 3 |
| 10 年後 中立 | 28.0 | 24 | 66 | 4 |
取り方:直営 23,352 車室・1,332 件は 2026/06 期中間の説明資料の開示。売上と利益の分け方は開示が無く、全社 81 億円のうちコインパーキング 98.7% を、直営の車室数で運営収入、管理受託の車室数で機器・保守・受託収入に割った推定(推定)。1 車室あたり年 20 万円台は月 1.7 万円ほどで、都市部と地方の混ざった水準。
CP システム販売保守(機器の販売・保守・受託管理)
土地オーナーや運営会社に駐車場の機器を選んで売り、造成工事、保守、コールセンター、受託管理を請け負う。
| 数量管理受託の車室数(千室・中間期末の実績) | 価格1 車室あたりの年間売上(万円・名目、機器販売・保守・受託の合計) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 129 | 2.49 | 32 | 3 |
| 10 年後 中立 | 150 | 3.24 | 49 | 4 |
取り方:管理受託 128,592 車室・5,789 件は 2026/06 期中間の説明資料の開示。売上は全社から直営の分を引いた残りを管理受託の車室数で割った推定(推定)。機器の販売は車室数と比例しないので、1 車室あたりは便宜上の物差し。
プロパティマネジメント(テナントビル賃貸)
テナントビルの賃貸。事業の入れ替えで賃貸ビルと土地を順に譲渡している。
| 数量賃貸物件の数(件・推定) | 価格1 件あたりの年間収益(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 5.0 | 0.21 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4.0 | 0.21 | 1 | 0 |
取り方:売上構成 1.3% は説明資料の開示。賃貸用不動産を一部譲渡済みで、10 年の筋書きでは縮む前提(推定)。物件数の開示は無く、収益 1.05 億円を 1 件 0.21 億円前後と見て 5 件と推定した。
リスクと懸念
土地の借り賃という固定費
直営は借りた土地の賃料を毎月払う。稼働が落ちても賃料は落ちず、利益はすぐ消える。賃料の見直しで上がれば、料金に移せるかが利益を決める。新しいリース会計基準で、賃借料の約束が貸借対照表に載り、数字の見え方も変わる。
大手との競争
タイムズや三井のリパークは会員とカーシェアで客を囲い込む。大手が中小の土地を取りにくれば、直営の稼働も受託の件数も細る。値上げが通りにくくなる。
機器更新の投資
キャッシュレス対応やフラップレスへの入れ替えは、機器の投資を重くする。償却は今の機器の取得額のままだが、新しく入れる分は値上がりした機器で増える。稼働が上がらなければ、利益を押し下げる。
自動運転とライドシェア
移動手段が変われば、駐車場の需要が長い目で細る。10 年では緩やかだが、都市部の再開発で駐車場が減る動きと合わさると、直営の出店先も限られる。
金利の上昇
機器の更新を長期借入で賄うので、借り換えのたびに利払いが増える。純負債は 9 億円と大きくないが、利益の薄さを考えると軽くない。
規模と流動性
時価総額が 25 億円と小さく、売買も少ない。割安が長く埋まらない恐れがある。人手に頼る保守も、採用が難しくなれば費用が上がる。
今後の分かれ目
- 直営の稼働が上がり、営業利益率が 2 期続けて 7% を超えたら
- 値上げと出店の質が上がったとみて、やや楽観の確率を上げる。
- 管理受託の件数が年 1 割のペースで増え続けたら
- 保守収入が積み上がる姿とみて、中立の車室の伸びを引き上げる。
- 直営の稼働が落ち、賃料の改定に値上げが追いつかない期が続いたら
- やや悲観に寄せる。固定費の重さが利益を削るかを見る。
- 自社株買いや配当性向の引き上げを決めたら
- 還元の確かさが増し、溜まる現金の戻り方を 0.75 から上げて見直す。
- 大手や機器会社が買収を持ちかけたら
- 受託の車室という資産に値段が付く。ただし発表までは価値に数えない。
- 自動運転タクシーが首都圏で本格的に広がったら
- 悲観の確率を上げ、直営の出店先を見直す。
見ておくもの
- 直営と管理受託の車室数・件数
- 営業利益率と直営の稼働
- キャッシュレス決済率とアプリの利用者数
- 借入の残高と機器の投資額
- 配当・優待・自社株買いの方針
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の株価(PER 8 倍台)からは置かず、事業の ROE(中立 8〜9%)と k 8%・g 4% から正当化 PER を出し、利益の質(薄利・固定費)を見て上限の 9〜10 割に置いた。自己資本は今+純利益の合計−還元の合計で流し、減価償却は今の機器の取得額のまま、新しい機器だけ新しい値段で足す前提。リース(土地の賃借)は賃料を営業費用に入れた今の形でそろえ、2028/06 期から BS に載る形の変化は価値を変えない。純有利子負債は小さく EV でも見た。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14→16.32 倍・やや楽観 PER 13→15.1 倍・中立 PER 12.5→14.32 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 0.5%。同じ領域のパーク二四(+0.5%)と同じ。値決めの力は大手より弱いが、借金が軽く、機器・保守の収入があるため並べた。