結論
エリッツホールディングスは、京都と滋賀で賃貸住宅の仲介と管理を営む会社だ。筆者の結論は「地域に根を張った小さな好事業で、今の値段は割安」である。大学の街の、毎年入れ替わる部屋探しの需要を、68 の店でまとめて取っている。
強みは仲介と管理のかみ合わせにある。自社で管理する部屋の入居者の約 9 割は、自社の店が見つけてくる。だから管理する部屋の入居率は 95% を超える。空室を埋める力があるから、家主は管理を任せる。管理戸数は 4 年で 2.3 万戸から 2.9 万戸へ増えた。
稼ぐ力も高い。営業利益率は 16% 前後、ROE は 13% あり、借金を引いても手元に現金が残る。2026 年 9 月期も、第 3 四半期までで営業利益が 2 割増えた。
心配は、京都の人口が減ることと、部屋探しがネットと AI に移ることだ。ただ、学生の数はむしろ増え、管理の契約は解約されにくい。10 年後の価値を今に引き直すと、確率で重みづけた値は今の時価総額を 3 割ほど上回る。株の 9 割近くを上位の株主が持ち、市場で買える株が少ないことは、値段の安さの一因だろう。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、エリッツは「小さいが、わかりやすく、長く続く事業」だ。
何で稼いでいるかが一目でわかる。部屋を借りる人を店で見つけ、部屋を貸す家主から管理を預かる。どちらも人が住む限りなくならない仕事で、10 年後も同じ形で続いている姿が思い浮かぶ。地域の密度という堀は狭いが、深い。
稼いだ利益の使い方も悪くない。店を少しずつ増やし、管理の契約を積み上げる。大きな設備は要らず、ROE は 13% ある。積み上げた管理料は、景気が悪くても毎月入る。
物足りないのは還元の厚さと、株主の構成だ。配当は利益の 3 分の 1 で、現金はたまっていく。上位の株主が 9 割近くを握り、少数株主が口を出す余地はない。ためた現金がどう使われるかは、経営に任せるしかない。
それでも、払う値段に安全域があると筆者は見る。利益の 10 倍ほどで、伸び続ける事業と厚い現金が手に入る。京都の人口が減ることは確かだが、学生の街の部屋の回転は、そう簡単には止まらない。
何で稼ぐ会社か
事業は 3 つある。仲介、管理、そして入居者向けのサービスだ。どれも、京都と滋賀で賃貸の部屋を借りる人と、部屋を貸す家主の間に立って稼ぐ。
仲介は売上の半分を占める。68 の店で、年に 2 万件を超える賃貸の契約をまとめる。入居者からの仲介手数料に加え、家主から入居後の手続きなどを任される委託料が入る。投資用の物件や住宅の売買の仲介も手がける。2025 年 9 月期の売上は 33 億円、利益は 5.9 億円だった。
管理は 2.9 万戸の部屋を家主から預かり、家賃の集金や修繕、更新の手続きを担う。毎月の管理料に、退去のあとの改装工事の売上が乗る。売上は 23 億円、利益は 4.1 億円。管理料は部屋がある限り毎月入る、積み上がる収入である。
入居者向けのサービスは、火災保険や家賃保証、ネットや電力の取り次ぎ、引越しなどだ。提携先がサービスを出し、エリッツは紹介の手数料を受け取る。売上は 8 億円と小さいが、利益は 4.5 億円あり、利益率は 6 割に近い。契約の数が増えるほど、手数料が積み上がる。
3 つは 1 本の流れでつながる。店で部屋を探した人が契約し、そのまま保険やネットを申し込み、管理の会社が入居中の面倒を見る。ほかに、京都市内に賃貸マンション 7 棟と商業ビル 2 棟を持ち、家賃を得ている。
優良さと弱いところ
堀は「地域の密度」だと見る。京都と滋賀に 68 の店を構え、地域の賃貸の物件情報が集まる。部屋を探す人が来るから家主が物件を預け、物件が多いから人が来る。全国チェーンの仲介会社も京都に店を出すが、管理まで一体で握る地元の網は簡単にはまねできない。
その証拠が入居率だ。管理する部屋は 95% 以上が埋まり、その入居者の約 9 割を自社の店が連れてくる。家主にとって、空室を埋めてくれる管理会社を替える理由は乏しい。管理の契約は一度取れば長く続き、毎月の管理料が積み上がる。
資本の効率も高い。店と人で稼ぐ事業なので、大きな設備は要らない。ROE は 13% 前後で、資本コストを大きく上回る。借金は自社の賃貸ビルの分だけで、現金の方が多い。
弱みは 2 つある。1 つは、京都と滋賀だけに頼ることだ。地域の人口が減れば、量は伸びにくい。もう 1 つは、仲介の手数料の天井が法律で決まり、ネットの仲介会社が手数料を下げて客を取りにくることだ。値段を自分で上げる力は強くない。
経営は堅実で、店を毎年いくつかずつ増やし、無理な拡大はしていない。株の 9 割近くを上位の株主が持ち、外からの声は届きにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
賃貸の仲介と管理は、人が引っ越すたびに需要が生まれる、地味だが息の長い仕事だ。京都は全国でも学生の比率が高い街で、府内の学生は 17 万人を超え、ここ数年はむしろ増えている。毎年春に、入学と卒業、就職で大量の部屋が入れ替わる。この回転が仲介の売上を支える。
一方で、京都府の人口は 250 万人で、年に 0.5% 前後ずつ減っている。滋賀も伸びは止まりつつある。単身者の世帯は増えても、10 年で見れば部屋を借りる人の総数は横ばいがせいぜいだ。量を伸ばすには、他社からシェアを取るしかない。
競争の相手は 3 種類ある。1 つは全国の仲介チェーン、エイブルやアパマンショップ、ミニミニなどの加盟店だ。2 つ目は、大東建託や積水ハウス系のように、自社で建てたアパートを自社で管理する大手である。3 つ目が、ネットで物件を見せ、手数料を安くする新しい仲介会社だ。
AI の広がりも効いてくる。物件探しはすでにポータルサイトが入り口で、AI が条件に合う部屋を絞り込めば、店に足を運ぶ人は減る。ただ、内見や鍵の受け渡し、入居後の修繕は、現地に人がいなければできない。管理の仕事は、むしろ地域に人を置く会社に寄っていく。
家賃は物価とともに上がる。仲介の手数料も管理料も家賃に連動するので、値段は物価に近い速さで上がる。京都市は景観条例で建物の高さに制限があり、古い賃貸の建て替えが進みにくい。古い物件を埋める仲介と改装の需要は、なくならない。
資本政策と M&A
還元は配当だけだ。配当は「株主への還元を第一」とし、継続的で安定した配当を掲げる。2025 年 9 月期の配当総額は 2.4 億円で、純利益の約 3 分の 1 にあたる。2026 年 9 月期も増配を予定する。自己株買いはしていない。
手元には現金が厚い。現金は 45 億円あり、賃貸ビルの借入 18 億円を引いても 27 億円が残る。ただし、この中には入居者から預かった敷金や、家主へ渡す前の家賃が含まれる。本当に自由に使えるのは、その一部だ。
株主の構成は偏っている。個人の筆頭株主が 43%、上位 10 名で 86% を持つ。市場で売買される株はごくわずかで、外部の株主が資本の使い方を変えさせる力はほとんどない。
買収は、店の出店と賃貸物件の取得が中心で、大きな会社を買った例はない。今後も地域の管理会社の小さな買収はありうる。株が一部の株主に集中しているので、外からの TOB は起きにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
仲介と管理のかみ合わせは本物だ。管理する部屋の入居率は 95% を超え、その入居者の 9 割を自社の店が連れてくる。家主がわざわざ管理会社を替える理由はない。管理戸数は 4 年で 24% 増え、毎月の管理料は積み上がるばかりだ。
量の伸びにも裏づけがある。店は 4 年で 51 から 68 に増え、契約の数は年 5% 以上のペースで伸びた。京都の学生は増えており、春の部屋探しの波は細っていない。滋賀や京都の周辺に店を広げる余地もまだ残る。
利益の伸びは加速している。2026 年 9 月期は第 3 四半期までで営業利益が 2 割増え、会社の通期予想をほぼ達成した。入居者向けのサービスは利益率 6 割の事業で、契約が増えるほど利益が膨らむ。
それでいて値段は利益の 10 倍ほどにすぎない。ROE 13% で、借金を引いても現金が残る会社にしては安い。市場で買える株が少ないことが値段を抑えているだけで、事業の価値とは関係がない。
慎重な見方
京都と滋賀だけの会社は、地域の人口とともに細る。京都府の人口は毎年 0.5% 前後減っており、10 年で 5% 近く減る。学生が増えているのは今だけで、18 歳の人口は全国で減っていく。大学の定員割れが進めば、春の部屋探しの波も小さくなる。
仲介の取り分も削られる。手数料の天井は法律で決まっており、上げる余地はない。ネットの仲介会社は手数料を半額やゼロにして客を取る。AI が物件を絞り込めば、店に来る人は減り、68 の店の家賃と人件費が重くなる。2025 年 9 月期の仲介の利益は、店を増やしたのに前の年より減った。
株主の構成も問題だ。上位 10 名で 86% を持ち、市場で売買される株はわずかだ。現金は厚いが、配当は利益の 3 分の 1 にとどまり、自己株買いもない。少数株主は、現金がどう使われるかを決められない。売りたい時に売れない株は、事業がよくても報われにくい。現金が厚いことも、使い道が見えないうちは慰めにならない。
どちらに重みを置いたか
事業の強さを示す数字は、入居率、管理戸数の伸び、ROE と、どれも開示で確かめられる。一方、人口減と AI の圧力は 10 年かけて効く話で、今の伸びを止めるほどではない。強気の見方がやや強いと判断し、中立の上に楽観側を厚く置いた。
ただし、株主の構成と還元の細さは、価値が株主に戻る速さを遅らせる。現金の戻り方を半分とみたのはそのためだ。契約の数が 2 年続けて減れば、悲観側を厚くする。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 5,628 円198 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 876 円31 億円)。 今の値に割り戻すと 3,341 円118 億円、今との差 +66.2%、 期待の年率 +12.5%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 9,309 円328 億円 | 1,165 円41 億円 | +421.1% | +17.9% | 1,257 円44 億円 |
| やや楽観 | 25% | 7,536 円265 億円 | 1,022 円36 億円 | +325.8% | +15.6% | 2,140 円75 億円 |
| 中立 | 35% | 6,117 円215 億円 | 909 円32 億円 | +249.6% | +13.3% | 2,459 円87 億円 |
| やや悲観 | 18% | 2,197 円77 億円 | 667 円24 億円 | +42.5% | +3.6% | 516 円18 億円 |
| 悲観 | 10% | 903 円32 億円 | 426 円15 億円 | −33.9% | −4.1% | 133 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 5,628 円198 億円 | 876 円31 億円 | +223.6% | +12.5% | 6,504 円229 億円 |
今の株価時価総額 2,010 円71 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 12% 楽観:滋賀と京都の周辺に網を広げ、管理戸数は 4.8 万戸へ 利益 16 億円 · PER 19.5 倍 · 株価時価総額 9,309 円328 億円
店の網が京都の周辺と滋賀に広がり、契約の数は今の 1.5 倍になる。他社の管理を任されていた家主が、空室の埋まり方の差を見て乗り換える。地域の管理会社の小さな買収も重なり、管理戸数は 4.8 万戸に達する。
値段は家賃とともに物価並みに上がる。改装の工事や更新の手数料も増え、管理の利益率は 2 割に乗る。入居者向けのサービスは、契約の増加に比例して手数料が積み上がる。
営業利益は 24 億円近く、利益率は 18% と、上場の前後に記録した山に並ぶ。ROE は 13% 台を保つ。
配当は利益の 3 分の 1 のまま増え、10 年で 41 億円を払う。地域の賃貸を一手に握る会社として、規模は今の 2 倍を超える。
- 不動産仲介:数量 30.0(賃貸の契約数(千件))× 価格 21(1 件あたりの売上(万円。手数料・委託料・売買を含む))→ 売上 64 億円・営業利益 11 億円。契約 1.48 倍・単価 1.30 倍
- 不動産管理:数量 48.0(管理戸数(千戸))× 価格 11(1 戸あたりの年間の売上(万円。管理料・改装・更新料))→ 売上 52 億円・営業利益 10 億円。戸数 1.67 倍・単価 1.35 倍
- 居住者サポート:数量 30.0(賃貸の契約数(千件。サービスの入口))× 価格 4.92(契約 1 件あたりの手数料(万円))→ 売上 15 億円・営業利益 8 億円。契約 1.48 倍・単価 1.30 倍
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 19.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 19.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 19.45 倍、時価総額 321 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店と管理戸数の伸びは 4 年続いた実績がある。ただ、地域の外に同じ密度の網を作れた例はまだ無く、管理戸数 1.7 倍は高い望みなので 1 割強とした。
やや楽観 25% やや楽観:店と管理の積み上げが今のペースに近く続く 利益 14 億円 · PER 18.8 倍 · 株価時価総額 7,536 円265 億円
店は年に 2〜3 ずつ増え、契約の数は 10 年で 4 割増える。京都の学生の部屋探しは細らず、社会人の転居や社宅の代行も取り込む。
管理戸数は 4.4 万戸へ増える。自社の店が入居者を連れてくる仕組みが効き、入居率は 95% を保つ。家賃の上昇とともに管理料も上がり、管理の利益率は 19% に届く。
ネットの仲介会社との競争で、仲介の手数料は物価ほどには上がらない。それでも件数の伸びで仲介の利益は増える。営業利益は 20 億円近く、利益率は 16% 台だ。
配当は利益とともに増え、10 年で 36 億円になる。自己資本は 120 億円に増えるが、ROE は 11% 台を保つ。
- 不動産仲介:数量 28.0(賃貸の契約数(千件))× 価格 21(1 件あたりの売上(万円。手数料・委託料・売買を含む))→ 売上 59 億円・営業利益 10 億円。契約 1.38 倍・単価 1.28 倍
- 不動産管理:数量 44.0(管理戸数(千戸))× 価格 11(1 戸あたりの年間の売上(万円。管理料・改装・更新料))→ 売上 47 億円・営業利益 9 億円。戸数 1.53 倍・単価 1.32 倍
- 居住者サポート:数量 28.0(賃貸の契約数(千件。サービスの入口))× 価格 4.70(契約 1 件あたりの手数料(万円))→ 売上 13 億円・営業利益 7 億円。契約 1.38 倍・単価 1.24 倍
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.0% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 18.84 倍、時価総額 258 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:契約数は 4 年で年 5% 強、管理戸数も年 5% 強伸びた。2026/09 期の 3Q 累計も 2 割の増益で、勢いは続いている。伸びが少し鈍る形の延長として 4 分の 1 を置いた。
中立 35% 中立:契約は 3 割、管理は 4 割増えるが、伸びは鈍り利益率は少し下がる 利益 11 億円 · PER 18.2 倍 · 株価時価総額 6,117 円215 億円
店の増え方は鈍り、契約の数は 10 年で 3 割増える。人口が減る中でシェアを取る形だ。1 件あたりの売上は家賃とともに上がるが、ネットの仲介会社の値下げで物価には届かない。仲介の利益率は 16% に下がる。
管理戸数は 4 万戸に増える。管理の契約は解約が少なく、毎年の上積みがそのまま残る。改装と更新の収入も増え、管理の利益率は 18% と今より少し上がる。
入居者向けのサービスは、電力や通信の取り次ぎの手数料が細り、利益率は 5 割に下がる。本社の費用は物価とともに 1.3 倍に増える。
営業利益は 16 億円台、利益率は 15% 台。純利益は 11 億円を超える。配当は利益の 3 分の 1 で、10 年で 32 億円。自己資本は 110 億円台に増え、ROE は 10% 前後だ。
- 不動産仲介:数量 26.0(賃貸の契約数(千件))× 価格 20(1 件あたりの売上(万円。手数料・委託料・売買を含む))→ 売上 53 億円・営業利益 9 億円。契約 1.29 倍・単価 1.25 倍。手数料の上限は法で決まり、ネットの仲介の値下げで物価に届かない
- 不動産管理:数量 40.0(管理戸数(千戸))× 価格 10(1 戸あたりの年間の売上(万円。管理料・改装・更新料))→ 売上 42 億円・営業利益 8 億円。戸数 1.39 倍・単価 1.30 倍
- 居住者サポート:数量 26.0(賃貸の契約数(千件。サービスの入口))× 価格 4.55(契約 1 件あたりの手数料(万円))→ 売上 12 億円・営業利益 6 億円。契約 1.29 倍・単価 1.20 倍。電力・通信の取次の手数料が細り、物価に届かない
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 14.6% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.2 倍 + 余った現金(戻り方込み)4 億円。全体の PER 18.22 倍、時価総額 208 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:店の増加は続くが、京都の人口減とネットの値下げで伸びは鈍る。管理戸数は契約が長く続くので積み上がる。今の実績から伸びを半分ほどに落とした姿として、最大の 35% を置いた。
やや悲観 18% やや悲観:人口減とネットの値下げで仲介が伸びず、利益率は 1 割を切る 利益 6 億円 · PER 10.5 倍 · 株価時価総額 2,197 円77 億円
18 歳の人口が減り、大学の定員割れが京都にも及ぶ。春の部屋探しの波は小さくなり、契約の数は 10 年で 1 割増えるのがやっとだ。ネットの仲介会社が手数料を下げ、1 件あたりの売上は物価に届かない。
店の家賃と人件費は物価とともに上がり、仲介の利益率は 13% に下がる。管理戸数は 3.4 万戸まで増えるが、改装の工事の利益は細る。
営業利益は 9 億円台に落ち、利益率は 1 割を切る。配当は保つが増やせない。
現金の一部は、店の立て直しや地域の管理会社の買収に使われ、思ったほどの成果は出ない。手元の余裕は 4 分の 3 ほどに減る。ROE は 7% 前後と、資本コストに届かなくなる。
- 不動産仲介:数量 22.0(賃貸の契約数(千件))× 価格 19(1 件あたりの売上(万円。手数料・委託料・売買を含む))→ 売上 42 億円・営業利益 5 億円。契約 1.09 倍・単価 1.16 倍
- 不動産管理:数量 34.0(管理戸数(千戸))× 価格 9.80(1 戸あたりの年間の売上(万円。管理料・改装・更新料))→ 売上 33 億円・営業利益 5 億円。戸数 1.19 倍・単価 1.22 倍
- 居住者サポート:数量 22.0(賃貸の契約数(千件。サービスの入口))× 価格 4.20(契約 1 件あたりの手数料(万円))→ 売上 9 億円・営業利益 4 億円。契約 1.09 倍・単価 1.11 倍
倍率:PER 10.5 倍は事業の純利益 6.3 億円に掛け、余った現金 6.75 億円(今の 0.75 倍)× 0.5 を足した。事業の ROE は約 7% で k を下回り、上限は 1÷k の約 12.9 倍。その 8 割強。
確率:京都府の人口は年 0.5% 前後減り、18 歳の人口も減っていく。2025/09 期の仲介の利益は店を増やしたのに減った。この流れが続く筋として 2 割弱を置いた。
悲観 10% 悲観:AI とネットの仲介に客を奪われ、店の網が重荷に変わる 利益 1 億円 · PBR 0.6 倍 · 株価時価総額 903 円32 億円
部屋探しが AI とネットに移り、店に来る人が大きく減る。手数料の安い仲介会社に客を奪われ、契約の数は 4 分の 3 に減る。1 件あたりの売上もほとんど上がらない。
店の家賃と人件費は残り、仲介はほぼ利益が出なくなる。店を閉める費用もかさむ。管理戸数は今と同じ程度にとどまり、空室が増えて家主の一部が他社に移る。
営業利益は 1 億円台まで落ちる。配当は細り、10 年で 15 億円にとどまる。
残る価値は、管理の契約の束と、自社で持つ賃貸ビル、手元の現金だ。上位の株主が会社を握ったままなので、清算や売却で少数株主に現金が戻る道も細い。
- 不動産仲介:数量 15.0(賃貸の契約数(千件))× 価格 18(1 件あたりの売上(万円。手数料・委託料・売買を含む))→ 売上 26 億円・営業利益 2 億円。契約 0.74 倍・単価 1.07 倍
- 不動産管理:数量 28.0(管理戸数(千戸))× 価格 9.00(1 戸あたりの年間の売上(万円。管理料・改装・更新料))→ 売上 25 億円・営業利益 3 億円。戸数 0.98 倍・単価 1.12 倍
- 居住者サポート:数量 15.0(賃貸の契約数(千件。サービスの入口))× 価格 3.50(契約 1 件あたりの手数料(万円))→ 売上 5 億円・営業利益 2 億円。契約 0.74 倍・単価 0.92 倍
倍率:PBR 0.6 倍を今の自己資本 53 億円に掛けた。稼ぐ力はほぼ無く、価値は床の資産(floor_assets_oku)で決めた。市場の値付けからは置いていない。
確率:AI が物件探しを担い、手数料の安いネットの仲介が主流になれば、68 の店は固定費に変わる。地域の人口減と重なる構造的な負けの筋として 1 割とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
不動産仲介
京都・滋賀の 68 店で賃貸住宅の仲介をし、家主から入居後の手続きの委託料を得る。売買の仲介も手がける。
| 数量賃貸の契約数(千件) | 価格1 件あたりの売上(万円。手数料・委託料・売買を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 20.2 | 16 | 33 | 6 |
| 10 年後 中立 | 26.0 | 20 | 53 | 9 |
取り方:契約数 20,228 件・セグメント売上 33.1 億円・利益 5.85 億円は有報。1 件あたりは売上 ÷ 契約数(売買の仲介と販売用不動産 1.7 億円を含む)。
不動産管理
家主から賃貸の部屋を預かり、集金・修繕・更新をする。管理料と退去後の改装工事が収入。
| 数量管理戸数(千戸) | 価格1 戸あたりの年間の売上(万円。管理料・改装・更新料) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 28.7 | 8.04 | 23 | 4 |
| 10 年後 中立 | 40.0 | 10 | 42 | 8 |
取り方:管理戸数 28,685 戸・売上 23.07 億円(管理料 9.0 億・改装 9.8 億ほか)・利益 4.07 億円は有報。1 戸あたりは売上 ÷ 戸数。
居住者サポート
火災保険・家賃保証・ネットと電力の取次・引越しなど。提携先がサービスを出し、紹介の手数料を受け取る。
| 数量賃貸の契約数(千件。サービスの入口) | 価格契約 1 件あたりの手数料(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 20.2 | 3.79 | 8 | 4 |
| 10 年後 中立 | 26.0 | 4.55 | 12 | 6 |
取り方:売上 7.67 億円・利益 4.49 億円は有報。量は入口になる仲介の契約数で置き、1 件あたりは売上 ÷ 契約数。
リスクと懸念
京都・滋賀の人口減
京都府の人口は年 0.5% 前後減り、18 歳の人口も全国で減っていく。今は学生が増えているが、大学の定員割れが京都に及べば、春の部屋探しの波が小さくなる。地域が 1 つに限られる会社には逃げ場がない。
AI エージェント代替とネットの仲介
物件探しはポータルが入り口で、AI が条件に合う部屋を絞り込めば、店に来る人は減る。手数料を下げるネットの仲介会社も増えた。内見や管理は現地の人が要るので代わりにくいが、仲介の取り分は削られる。
店の固定費
68 の店の家賃と人件費は、客が減っても落ちない。2025/09 期は店を増やした結果、仲介の利益が前の年より減った。出店のペースが裏目に出ると利益率が下がる。
株主の構成と還元
上位 10 名の株主が 86% を持ち、市場で売買される株が少ない。配当は利益の 3 分の 1 で自己株買いはない。現金の使い方を少数株主が変えさせる力はない。
入居者サービスの手数料
電力や通信の取り次ぎは、提携先の方針や制度の変更で手数料が大きく変わる。新電力ではすでに一時期、影響を受けた。利益率 6 割の事業だけに、手数料の細りは利益に効く。
自社保有の賃貸ビルと金利
京都市内に賃貸マンションと商業ビルを持ち、借入は 18 億円ある。金利が 3.5% に上がれば利払いが増え、物件の値打ちも下がりうる。
今後の分かれ目
- 管理戸数が年 5% 以上のペースで 3 年続けて増える
- 中立の管理戸数を 4 万戸から 4.4 万戸に上げ、やや楽観の重みを増やす。
- 仲介の契約数が 2 年続けて前の年を下回る
- 中立の契約数の伸びを 1.29 倍から 1.1 倍に下げ、やや悲観を厚くする。
- 配当性向を 5 割以上に上げる、または自己株買いを始める
- 余った現金の戻り方を 0.5 から 0.75 に上げる。
- 京都・滋賀の外(大阪など)に店を出し、黒字にする
- 楽観の確率を上げる。地域が 1 つという弱みが和らぐ。
- 大株主が株を売り出し、市場で売買される株が増える
- 事業の価値は変えないが、価値が値段に乗りやすくなる。
見ておくもの
- 管理戸数と入居率
- 仲介の契約数と店の数
- 仲介のセグメント利益率
- 京都府の学生数と人口
- 配当性向と現金の使い道
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業の ROE と k から式で置いた。中立の事業の ROE は約 10.8% で k 7.5% を上回り、正当化 PER は約 15 倍。地域が 1 つに限られる分を見てその 9 割弱にした。今の PER 10 倍前後や、市場で売買される株が少ないことによる値付けは使っていない。余った現金は預り金を除いた 9 億円だけを足し、戻り方は株主の構成から 0.5 とした。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 15.5→19.45 倍・やや楽観 PER 14.5→18.84 倍・中立 PER 13.5→18.22 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +0.25% を足して 7.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 7.75% → 7.50%。