結論
And Doホールディングスは、「ハウスドゥ」の看板を貸すフランチャイズを軸に、中古住宅の買取再販、高齢者向けのリバースモーゲージ保証、自宅を買って貸し戻すリースバックを手がける。加盟店は733店ある。
筆者の結論は、割高である。10年後の価値は今の時価総額を4割強下回る。借金が重く、利益が薄く、資本コストが高いことが理由だ。
事業の核は二つある。フランチャイズは売上32億円で利益が19億円と、利益率が6割に達する稼ぎ頭だ。ただ全体の利益は小さい。中古住宅の買取再販は売上350億円で、利益率は5%にとどまり、在庫を借入で抱える薄利の商売だ。
足元は崩れた。2026年6月期の営業利益は約11億円と前期の4割にとどまり、最終四半期は赤字に落ちた。営業人材の定着が遅れ、仕入れから販売までがずれた。純利益が黒字なのは、子会社株の売却益のおかげだ。
純有利子負債は353億円で時価総額の2倍を超え、自己資本比率は28%。金利が上がる局面で、利払いは10年で約9億円増える。会社の計画は2030年に経常利益80億円だが、筆者はそこまで見ない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は持ちにくい。理由は、借入で在庫を抱える薄利の商売だからだ。
事業の本質は、中古住宅を安く仕入れて高く売る商売と、フランチャイズの看板代にある。後者は質が高いが小さい。前者は人材の質と市況に左右される。堀は強くない。
オーナーの手元に残る利益は、会計上の利益よりかなり少ない。在庫に毎年資金を寝かせ、借入の金利は上がる。10年で見ると、金利の上昇だけで利益が約9億円削られる。
資本の使い方は、拡大を優先してきた。借入を増やして売上を3倍にしたが、利益率は下がった。
安全域は薄い。時価総額は162億円だが、純有利子負債は353億円ある。在庫が簿価で売れなければ、自己資本が削れる。
経営の質を見るには、在庫の回転と借入の返済を見たい。
フランチャイズの看板は資産価値がある。ただ、会社全体の利益を引き上げるほど大きくない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、中古住宅の流通を支える仕組みを複数持っていることだ。看板を貸すフランチャイズ、自ら買って直して売る買取再販、保証と融資の金融、自宅を買って貸し戻すリースバックの4本柱になる。
フランチャイズは加盟店733店から、ロイヤルティなどを受け取る。売上は32億円と小さいが、利益は19億円と最も効率がよい。買取再販は売上352億円で全体の7割を占め、取引は1,309件。1件あたり約2,700万円の中古住宅を仕入れ、手を入れて売る。
金融は、銀行が高齢者に貸す不動産担保の融資(リバースモーゲージ)を保証し、手数料を得る。提携は54行で、保証残高は約280億円だ。リースバックは、売却後も住み続けたい人から家を買い、賃料を得るか、ファンドに売る。会社はこれを縮小している。
全社の費用が大きい。セグメントの利益を足すと約48億円だが、全社費用が約37億円あり、営業利益は11億円に縮む。人を増やして仕入れを伸ばすほど、費用が先に出る商売である。
2026年2月にリフォーム事業を譲渡し、2026年7月に京葉ビルドを吸収した。
優良さと弱いところ
優良さは、普通からやや弱い。筆者はフランチャイズだけを質の高い事業と見る。
フランチャイズの強みは、看板と加盟店の網だ。733店、年間111店の新規開店という規模は、中古住宅の売買を全国で集める入り口になる。利益率も6割と高い。リバースモーゲージ保証も、54行と組む仕組みで参入が難しい。
弱みは、利益の大半が薄利の買取再販に頼ることだ。人が育つのに時間がかかり、営業の質が売上を左右する。創業者の代表取締役会長への依存も高い。
資本面は弱い。自己資本比率は28%で、有利子負債は総資産の65%を占める。借入には財務制限条項があり、赤字や純資産の減少が続けば借入を返せなくなる。営業利益で支払利息の1.3倍しか払えず、金利上昇に弱い。
過去の利益率は6〜10%の山を持つが、直近は2.3%に落ちた。第一生命系の第一ライフグループが15.7%を持ち、資本提携を結んだ点は安心材料だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
中古住宅は、新築の価格上昇に押され、買い手が増える方向にある。建設費の高騰で新築が高くなり、中古に流れる人が増える。空き家は増え、仕入れの元になる。
国内の数量は、人口減で細る面と、中古の流通が増える面が打ち消し合う。筆者は10年で、中古の売買件数が実質で15%ほど増えると置いた。価格は、都心は物価以上に上がるが、地方は上がらない。平均で10年に1.25倍と見た。
競争は、住友不動産販売や三井のリハウスなど大手の仲介と、買取再販専業のムゲンエステート、カチタス、フジ住宅などがいる。同社はフランチャイズで全国に網を持つが、買取再販の規模は小さい。
金利が最大の分かれ目だ。住宅ローン金利の上昇は、買い手の購買力を削り、在庫の回転を鈍らせる。在庫を借入で持つ会社は、金利で利益が直接削られる。
高齢者の持ち家を扱う市場は大きい。リバースモーゲージとリースバックは成長市場だが、貸倒れと不動産市況の下落のリスクを伴う。
住宅の価格は、地域で大きく分かれる。東京や大阪の都心は人が集まり、物価以上に上がる。地方は空き家が増え、中古の値段は物価に追いつかない。同社の店舗は全国に広がるため、平均は物価を下回ると見た。
資本政策と M&A
資本政策は、配当性向30%以上が方針だ。直近は1株配当を維持し、連結の配当性向は63%と高い。自社株買いの記載はない。
筆者は還元の割合を35%と置いた。借入が重く、財務制限条項もあるため、利益が減れば還元も減らす。
2024年に第一ライフグループと資本業務提携を結んだ。同社は議決権の15.7%を持ち、取締役1名を指名できる。株式を売る場合は会社に優先交渉権がある。買収の可能性は残るが、価値の計算には入れていない。
2025年12月にリースバック住宅110件をファンドへ譲渡し、約3億円の益を出した。資産を軽くして財務を改善する狙いだ。子会社株の売却益も当期の純利益を支えた。こうした売却益は繰り返せない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026年6月期は、事業の入れ替えの年だった。リースバックを縮め、リフォームを手放し、買取再販とフランチャイズ、金融に絞る。人材の定着が進めば、仕入れから販売までの期間は縮み、利益は戻る。
会社の計画は2030年に売上800億円、経常利益80億円だ。買取再販を年12%で伸ばし、中古の比率を高める。フランチャイズは733店の網が広がり、ロイヤルティが積み上がる。リバースモーゲージ保証は54行と組み、残高が伸びる。
第一生命グループの資本参加は、高齢者向けの事業の拡大に効く。自己資本比率は25.6%から28.0%に上がり、営業CFは51億円と黒字だ。在庫が減り、借入も約37億円減った。中古の需要は新築高騰で強く、都心部の価格は上がる。
高齢化が進むほど、自宅を担保にした資金調達の需要が増える。リバースモーゲージの保証は、同社だけが築いた銀行網を持つ強みになる。リースバックを縮めた分、在庫と借入が減り、金利の重みも軽くなる。
慎重な見方
会社は何度も計画に届かなかった。経常利益率10%の目標に対し、実績は2.3%だ。ROICは1.2%で、資本コストを大きく下回る。
買取再販は在庫を借入で持つ商売で、人が育たなければ回らない。2026年6月期は人材の先行投資で費用が増え、最終四半期は赤字になった。リースバックは縮小中で、売上は半減した。純利益が黒字なのは、子会社株の売却益で、繰り返せない。
借入は442億円で、金利が上がれば利払いが膨らむ。営業利益は支払利息の1.3倍しかない。財務制限条項で、赤字が続くと借入を返さなければならない。住宅ローン金利が上がれば、買い手が減り、在庫が滞留する。
フランチャイズは小さく、全体の利益を支えられない。創業者への依存も高い。
高齢者向けの事業は、不動産が下がる局面で損失が一度に出る。担保の価値が割れれば、保証した側が肩代わりする。創業者に頼る経営は、後継の不安も抱える。売上が3年で3割減ったのに、仕入れと販売の人員は増えたままで、費用が利益を食っている。回復を急いで在庫を積めば、市況が崩れた時の傷が深くなる。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。利益が小さく、借入が重く、資本コストが高い。会社の計画は過去も未達だった。
確率は中立に4割を置き、悲観側に3割台半ば、上振れに2割台半ばを置いた。10年後の価値は今の時価総額を大きく下回る。第一ライフグループによる買収の可能性は、価値の計算に入れていない。
バリュー投資の目では、借入が重い商売に高い値段は付けられない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 1,005 円201 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 208 円42 億円)。 今の値に割り戻すと 560 円112 億円、今との差 −30.2%、 期待の年率 +4.2%(資本コスト 9.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 2,828 円565 億円 | 626 円125 億円 | +330.2% | +15.7% | 242 円48 億円 |
| やや楽観 | 18% | 1,560 円312 億円 | 371 円74 億円 | +140.5% | +9.2% | 348 円69 億円 |
| 中立 | 40% | 890 円178 億円 | 210 円42 億円 | +37.1% | +3.2% | 440 円88 億円 |
| やや悲観 | 23% | 557 円111 億円 | 60 円12 億円 | −23.1% | −2.6% | 142 円28 億円 |
| 悲観 | 12% | 350 円70 億円 | 0 円0 億円 | −56.4% | −8.0% | 42 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,005 円201 億円 | 208 円42 億円 | +51.1% | +4.2% | 1,214 円242 億円 |
今の株価時価総額 803 円160 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:人材が定着し、買取再販とフランチャイズが計画に近づく 利益 44 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 2,828 円565 億円
営業人材が定着し、買取再販は件数が5割増え、価格は物価並みに1.35倍に上がる。フランチャイズは加盟店が2割増え、ロイヤルティも物価で増える。金融は保証残高が2.5倍に伸び、第一生命グループとの連携が効く。営業利益率は7%と、過去の最高の10%には届かない。
住宅ローン金利の上昇は買い手を削るが、新築の高騰が中古への流れを強める。財務は利益の積み上げで改善し、自己資本比率は30%を超える。
高齢者向けの金融と、看板を貸す事業が育ち、利益の質が改善する。株式の売却益に頼らない利益が出て、配当を維持しながら自己資本を積む。10年後の売上は900億円に近づく。
- フランチャイズ:数量 880(加盟店の数(店))× 価格 617(1店あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 54 億円・営業利益 35 億円。加盟店 880 店 × 1 店 617 万円(今の 1.40 倍)、営業利益率 65%
- 不動産売買(中古住宅の買取再販):数量 1,964(取引件数(件))× 価格 3,632(1件あたりの販売額(万円・名目))→ 売上 713 億円・営業利益 54 億円。1964 件 × 1 件 3632 万円(今の 1.35 倍)、営業利益率 7.5%
- 金融(リバースモーゲージ保証):数量 702(保証残高(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.03(保証残高に対する年間の収益率)→ 売上 22 億円・営業利益 10 億円。保証残高 702 億円(実質)× 収益率 3.14%(今の 1.40 倍)、営業利益率 45%
- ハウス・リースバック:数量 258(売却件数(件))× 価格 3,992(1件あたりの売却額(万円・名目))→ 売上 103 億円・営業利益 12 億円。売却 258 件 × 1 件 3992 万円(今の 1.35 倍)、営業利益率 12.0%
- その他(リフォーム譲渡後・海外など):数量 1.0(その他の売上(億円))× 価格 10(単位売上)→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。その他の売上
倍率:事業の純利益 44 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.0% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍。全体の PER 12.72 倍、時価総額 565 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:楽観は、人材の定着と市況の追い風がそろい、計画に近づく筋書き。過去の未達の実績から確率は低めに置いた。
やや楽観 18% やや楽観:計画の半分ほどまで回復 利益 28 億円 · PER 11.2 倍 · 株価時価総額 1,560 円312 億円
買取再販は件数が3割増え、価格は1.3倍になる。フランチャイズは加盟店が1割増える。金融の保証残高は2倍に伸び、リースバックは縮小したまま、ファンド向けの売却を続ける。営業利益率は5%台と、直近の5倍を回復する。
借入は売上に見合って増え、金利の上昇が毎年の利益を削る。それでも、全社費用の伸びを抑え、会社の目標の半分ほどの利益が出る。
ただし、金利の上昇で在庫のコストは重く、利益率は過去の山には戻らない。10年後の売上は760億円、営業利益は約41億円になる。第一生命グループの高齢者向けの連携が、金融の保証残高を押し上げる。
- フランチャイズ:数量 821(加盟店の数(店))× 価格 604(1店あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 50 億円・営業利益 31 億円。加盟店 821 店 × 1 店 604 万円(今の 1.37 倍)、営業利益率 63%
- 不動産売買(中古住宅の買取再販):数量 1,702(取引件数(件))× 価格 3,497(1件あたりの販売額(万円・名目))→ 売上 595 億円・営業利益 39 億円。1702 件 × 1 件 3497 万円(今の 1.30 倍)、営業利益率 6.5%
- 金融(リバースモーゲージ保証):数量 590(保証残高(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.03(保証残高に対する年間の収益率)→ 売上 18 億円・営業利益 8 億円。保証残高 590 億円(実質)× 収益率 3.07%(今の 1.37 倍)、営業利益率 42%
- ハウス・リースバック:数量 225(売却件数(件))× 価格 3,933(1件あたりの売却額(万円・名目))→ 売上 89 億円・営業利益 10 億円。売却 225 件 × 1 件 3933 万円(今の 1.33 倍)、営業利益率 11.0%
- その他(リフォーム譲渡後・海外など):数量 1.0(その他の売上(億円))× 価格 10(単位売上)→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。その他の売上
倍率:事業の純利益 28 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.2 倍。全体の PER 11.21 倍、時価総額 312 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:やや楽観は、人材の定着が進み、計画の半分まで回復する筋書き。
中立 40% 中立:利益は戻るが、計画には遠い 利益 16 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 890 円178 億円
買取再販の件数は実質で15%増え、価格は都心は上がり地方が上がらず、平均で1.25倍になる。フランチャイズは加盟店が5%増え、ロイヤルティは物価で上がる。金融は保証残高が1.8倍になる。リースバックは縮小して売却を続ける。営業利益率は4%近くまで回復し、会社の目標の10%には遠い。
全社費用は、賃金の上昇で物価並みに増える。減価償却は小さく、費用の大半は人件費だ。借入は在庫とともに増え、金利が3.5%で借り換えられるため、利払いは増える。営業利益で支払利息を払い、残りが小さい構造が続く。
10年後の売上は650億円、営業利益は約24億円になる。自己資本は270億円ほどに積み上がるが、ROEは6%で資本コストの10%に届かない。買取再販の価格を物価の1.34倍でなく1.25倍に置いたのは、地方の中古住宅が人口減で物価に追いつかず、平均を押し下げるからだ。その他の事業は、リフォームを手放した残りで、成長の元がない。
- フランチャイズ:数量 770(加盟店の数(店))× 価格 591(1店あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 46 億円・営業利益 28 億円。加盟店 770 店 × 1 店 591 万円(今の 1.34 倍)、営業利益率 62%
- 不動産売買(中古住宅の買取再販):数量 1,505(取引件数(件))× 価格 3,362(1件あたりの販売額(万円・名目))→ 売上 506 億円・営業利益 28 億円。1505 件 × 1 件 3362 万円(今の 1.25 倍)、営業利益率 5.5%。地方の中古住宅は物価に追いつかず、平均で1.25倍に置いた
- 金融(リバースモーゲージ保証):数量 506(保証残高(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.03(保証残高に対する年間の収益率)→ 売上 15 億円・営業利益 6 億円。保証残高 506 億円(実質)× 収益率 3.00%(今の 1.34 倍)、営業利益率 40%
- ハウス・リースバック:数量 193(売却件数(件))× 価格 3,844(1件あたりの売却額(万円・名目))→ 売上 74 億円・営業利益 7 億円。売却 193 件 × 1 件 3844 万円(今の 1.30 倍)、営業利益率 10.0%
- その他(リフォーム譲渡後・海外など):数量 1.0(その他の売上(億円))× 価格 10(単位売上)→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。その他の売上。リフォーム譲渡後の残りで、売上は横ばいに置いた
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.9% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 178 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中立は、人材が定着して回復するが、金利と在庫の重荷で利益率は低いままの筋書き。
やや悲観 23% やや悲観:金利で在庫が滞り、利益が出ない 利益 1 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 557 円111 億円
住宅ローン金利の上昇で買い手が減り、買取再販の件数は5%減る。在庫の回転が鈍り、価格は1.15倍にとどまる。リースバックは売れ残りが増える。営業利益はほぼ出ない。
借入の金利は3.5%に上がり、在庫が重くなる。財務制限条項に近づき、借入の返済と引き換えに在庫を安値で売る場面が出る。それでも自己資本の半分ほどは資産として残る。
買取再販の利益率は3%台に落ち、リースバックは売却を続けても益が出ない。10年後の売上は490億円、営業利益はほぼ出ない。フランチャイズの利益が全社費用の一部を埋めるだけだ。
- フランチャイズ:数量 696(加盟店の数(店))× 価格 551(1店あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 38 億円・営業利益 22 億円。加盟店 696 店 × 1 店 551 万円(今の 1.25 倍)、営業利益率 58%
- 不動産売買(中古住宅の買取再販):数量 1,244(取引件数(件))× 価格 3,093(1件あたりの販売額(万円・名目))→ 売上 385 億円・営業利益 15 億円。1244 件 × 1 件 3093 万円(今の 1.15 倍)、営業利益率 4.0%
- 金融(リバースモーゲージ保証):数量 393(保証残高(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.03(保証残高に対する年間の収益率)→ 売上 11 億円・営業利益 4 億円。保証残高 393 億円(実質)× 収益率 2.80%(今の 1.25 倍)、営業利益率 35%
- ハウス・リースバック:数量 129(売却件数(件))× 価格 3,548(1件あたりの売却額(万円・名目))→ 売上 46 億円・営業利益 3 億円。売却 129 件 × 1 件 3548 万円(今の 1.20 倍)、営業利益率 7.0%
- その他(リフォーム譲渡後・海外など):数量 1.0(その他の売上(億円))× 価格 10(単位売上)→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。その他の売上
倍率:稼ぐ力は小さいか赤字なので、売れる資産の換金価値で置く。今の自己資本 190 億円×0.50=約 95 億円。営業利益がほぼ出ない筋書きなので、EV ÷ 営業利益は意味を持たず、倍率でなく資産で見ている。
確率:やや悲観は、金利の上昇で在庫が滞り、営業利益がほぼゼロになる筋書き。
悲観 12% 悲観:赤字が続き、財務制限条項で在庫を投げ売り 利益 −22 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 350 円70 億円
市況が悪化し、買取再販の件数は25%減る。在庫の評価損が出て、自己資本比率が下がり、財務制限条項に触れる。銀行は借入の返済を求め、在庫を割安で売らざるをえない。リースバックは貸倒れと売れ残りが膨らむ。
フランチャイズは加盟店が減り、看板の力も落ちる。第一ライフグループに増資や事業の譲渡を求める場面も出る。株主の取り分は、在庫の換金後の残りになる。
この筋書きでは、会社は縮んだ形で存続する。10年後の売上は330億円、営業赤字は20億円を超え、自己資本は半分に減る。第一ライフグループが事業を引き取る可能性も出る。
- フランチャイズ:数量 586(加盟店の数(店))× 価格 485(1店あたりの年間売上(万円・名目))→ 売上 28 億円・営業利益 13 億円。加盟店 586 店 × 1 店 485 万円(今の 1.10 倍)、営業利益率 47%
- 不動産売買(中古住宅の買取再販):数量 982(取引件数(件))× 価格 2,690(1件あたりの販売額(万円・名目))→ 売上 264 億円・営業利益 3 億円。982 件 × 1 件 2690 万円(今の 1.00 倍)、営業利益率 1.0%
- 金融(リバースモーゲージ保証):数量 281(保証残高(億円・今の値段で測った実質))× 価格 0.02(保証残高に対する年間の収益率)→ 売上 7 億円・営業利益 2 億円。保証残高 281 億円(実質)× 収益率 2.46%(今の 1.10 倍)、営業利益率 25%
- ハウス・リースバック:数量 64.0(売却件数(件))× 価格 3,105(1件あたりの売却額(万円・名目))→ 売上 20 億円・営業利益 0 億円。売却 64 件 × 1 件 3105 万円(今の 1.05 倍)、営業利益率 0.0%
- その他(リフォーム譲渡後・海外など):数量 1.0(その他の売上(億円))× 価格 8.10(単位売上)→ 売上 8 億円・営業利益 −1 億円。その他の売上
倍率:稼ぐ力は小さいか赤字なので、売れる資産の換金価値で置く。今の自己資本 190 億円×0.37=約 70 億円。営業利益がほぼ出ない筋書きなので、EV ÷ 営業利益は意味を持たず、倍率でなく資産で見ている。
確率:悲観は、赤字が続き、借入の条件で在庫を安く売る構造的な負けの筋書き。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
フランチャイズ
ハウスドゥの看板を加盟店に貸し、ロイヤルティなどを受ける。稼ぎ頭。
| 数量加盟店の数(店) | 価格1店あたりの年間売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 733 | 441 | 32 | 19 |
| 10 年後 中立 | 770 | 591 | 46 | 28 |
取り方:フランチャイズ売上32.3億円を加盟店733店で割り、1店あたり約441万円とした。店×万円×0.0001=億円。セグメント利益19.3億円(利益率60%)は開示値。
不動産売買(中古住宅の買取再販)
中古住宅を仕入れ、手を入れて売る。売上の7割。
| 数量取引件数(件) | 価格1件あたりの販売額(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1,309 | 2,690 | 352 | 17 |
| 10 年後 中立 | 1,505 | 3,362 | 506 | 28 |
取り方:取引件数1,309件、売上352.2億円から1件あたり約2,690万円を逆算した。件×万円×0.0001=億円。セグメント利益17.1億円は開示値で、利益率4.9%。
金融(リバースモーゲージ保証)
銀行が高齢者に貸す担保融資を保証し、手数料を得る。
| 数量保証残高(億円・今の値段で測った実質) | 価格保証残高に対する年間の収益率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 281 | 0.02 | 6 | 3 |
| 10 年後 中立 | 506 | 0.03 | 15 | 6 |
取り方:保証残高は2025年6月末の281億円(2026年6月末は未確認)で、売上6.3億円から収益率2.24%を逆算した。セグメント利益2.6億円は開示値。
ハウス・リースバック
自宅を買い取って貸し戻し、賃料や売却益を得る。縮小中。
| 数量売却件数(件) | 価格1件あたりの売却額(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 322 | 2,957 | 95 | 9 |
| 10 年後 中立 | 193 | 3,844 | 74 | 7 |
取り方:売却322件、売上95.2億円から1件約2,957万円を逆算した。件×万円×0.0001=億円。セグメント利益8.9億円は開示値。
その他(リフォーム譲渡後・海外など)
リフォーム事業は2026年2月に譲渡済み。残りは小さい。
| 数量その他の売上(億円) | 価格単位売上 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 1.0 | 10 | 10 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1.0 | 10 | 10 | 0 |
取り方:売上10.1億円。利益は開示がなく、ゼロとして全社費用に含めた。売上は10年で横ばいに置く(リフォーム譲渡後の残りで、成長の元がない)。
リスクと懸念
金利上昇と在庫の重さ
在庫を借入で持つため、金利が上がると利払いが直接利益を削る。10年国債3%の前提では、利払いは10年で約9億円増える。住宅ローン金利の上昇は買い手を減らし、在庫の回転を鈍らせる。
財務制限条項
借入の一部に、赤字にならないことと、純資産を前期末の75%以上に保つことが条件としてつく。営業利益は支払利息の1.3倍しかなく、赤字や評価損が続くと借入を返す必要が出る。
人材の定着と創業者への依存
2026年6月期の減益は、営業人材の定着が遅れたことが主因だった。買取再販は人の力で回る。創業者の代表取締役会長への依存も高い。
一過性の利益に頼る構造
純利益は子会社株の売却益で守られた。ファンドへの譲渡益も一回きりで、繰り返せない。本業の稼ぐ力は、営業利益の約11億円が実力に近い。
リースバック・リバースモーゲージの貸倒れ
リバースモーゲージ保証で担保割れが起きれば、保証の代位弁済が出る。リースバックの在庫は市況が悪いと売れ残る。新しい貸倒れは、不動産が下がる局面で一度に表れる。
計画の未達の歴史
2030年6月期に経常利益80億円という計画は、直近の実績11億円から見て遠い。過去も目標に届かない期が続き、計画を前提に置けない。
今後の分かれ目
- 営業利益が2期続けて20億円を超えたら
- 人材の定着が確かめられたとして、中立の利益率を上げ、楽観側の確率を上げる。
- 住宅ローン金利が上がり、買取再販の在庫が滞留したら
- やや悲観側に確率を寄せ、財務制限条項の余裕を点検する。
- 自己資本比率が30%を超え、純有利子負債が減り続けたら
- 財務の安全度が上がったとして、quality の借金の項を下げる。
- 第一ライフグループが出資比率を引き上げたら
- 価値の計算には入れていないので、上乗せ要因として別に見る。
- ファンドへの譲渡や子会社株の売却が続いたら
- 本業の力でなく売却益に頼る構造として、純利益を割り引いて見る。
- フランチャイズの加盟店が800店を超えたら
- 質の高い事業が拡大したとして、フランチャイズの前提を上げる。
見ておくもの
- 営業利益と営業人材の定着
- 純有利子負債と自己資本比率、財務制限条項の余裕
- 住宅ローン金利と中古住宅の成約件数
- 売却益に頼らない純利益
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。k は 9%(quality の合計 +2.5%)、g は 4%、ROE が k 未満の中立は上限 1÷k 以下に置いた。今の PER・PBR、同業の倍率には寄せていない。同じ領域のムゲンエステート(k 9.5%)より借金と循環の分だけ k を高くした。悲観側は稼ぐ力ではなく売れる資産の換金価値で下値を置いた。全社費用は賃金で物価並みに増やし、償却は小さいので分けていない。リースは当社が貸す側であり、新リース会計基準の影響は小さい。純有利子負債は在庫に対応する借入で、現金の余りではない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.8→12.72 倍・やや楽観 PER 9→11.21 倍・中立 PER 9→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k=基本 7.5%+quality 2.5%=10.0%。同じ中古住宅の買取再販のムゲンエステート(+2.0%)より借金と循環で0.5%厚い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 10.00% → 9.00%。