結論
ホームポジションは、関東と東海で建売の一戸建てを年 500 棟ほど売る会社だ。筆者の結論は割高である。2026 年 8 月期は営業利益が 2 倍近くに戻り、会社は 3 年後に 750 棟・売上 300 億円を掲げる。
ただ、この商売は借りたお金で土地を買い、家を建てて売るまで寝かせる。有利子負債は 100 億円を超え、時価総額の 2 倍ある。金利が上がれば、利益の 3 分の 1 近くが利払いに消える。
住宅の着工は人口とともに細る。デザインと省エネで差をつけるといっても、大手の建売と土地の取り合いで値段の主導権は持てない。2024 年 8 月期には売れ残りの処分で赤字になった。
10 年の中立では、棟数はやや増え、利益率は 4% 台に落ち着く。それでも ROE は 5% 前後で、資本コストの 9.5% に届かない。回復の勢いは評価するが、10 年の価値は今の時価総額の 6 割ほどにとどまると筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、建売は「長く持ちたい事業」になりにくい。
1 棟ごとに土地を買い、建てて売り切る商売で、売った後に客が戻ってくることは少ない。毎年、ゼロから土地を探し直す。ブランドで値段が通る家は、ごく一部の会社にしかない。
株主のものになる利益も、見かけより少ない。利益の多くは次の土地の仕入れに回り、在庫と借入が膨らむ。会社が成長するほど現金は出ていく。2026 年 8 月期の営業キャッシュ・フローのマイナスがそれを示す。
経営の規律は改善した。2024 年の売れ残りに懲りて、仕入れの基準を数字で決めた点は評価できる。
安全域はどうか。PBR は 0.75 倍前後だが、自己資本の裏にあるのは借入で買った在庫だ。住宅市況が崩れれば、在庫の値引きで自己資本は簡単に削れる。筆者は、帳簿の割安さは安全域にならないと見る。
何で稼ぐ会社か
事業は戸建の分譲だけで、セグメントは 1 つしかない。
土地を仕入れ、自社で設計した家を建て、完成した家を仲介会社を通して売る。いわゆる建売だ。関東と静岡・愛知の東海で、2026 年 8 月期に建売・土地・注文住宅を合わせて 502 件を売った。1 件の平均は 3,800 万円台で、大手の建売より少し高い価格帯を狙う。
売り物はデザインと省エネ性能だ。ZEH、つまり使う電気を太陽光などでほぼまかなう家を標準にし、パワービルダーと呼ばれる大手の量産型の建売との値下げ競争を避けるとしている。
稼ぎ方は単純で、1 棟ごとに仕入れと建築の原価に上乗せした粗利を取る。粗利率は 15〜16% で、販管費を引いた営業利益率は 5% 台だ。
お金の流れは重い。土地を買ってから売れるまで半年から 1 年かかり、その間の在庫 140 億円余りを銀行の借入で賄う。2026 年 8 月期は土地の仕入れを急いだため、営業キャッシュ・フローは 28 億円のマイナスだった。
新しい中期計画では、中古住宅のリノベーションを始め、在庫の回転を速めるとしている。
優良さと弱いところ
強みと呼べるのは、デザインと省エネ性能で選ばれる商品と、2024 年の失敗から作り直した仕入れの規律だ。会社は、物件ごとに利益と資金の回収の速さを点数にして、基準に届かない土地は買わない仕組みを入れた。2026 年 8 月期の利益の回復は、その成果である。
だが堀、つまり他社がまねできない強みとは言いにくい。建売は土地の立地で売れ行きが決まり、省エネ住宅は大手も標準にしつつある。土地の仕入れでは飯田グループやオープンハウスなど資金の厚い大手と競う。
資本の効率は低い。売上の 7 割を超える在庫を抱え、借入で回す。ROE は良い年でも 10% 前後で、2024 年 8 月期は赤字だった。上場は 2022 年と新しく、景気の谷を上場会社として越えた経験は 1 回しかない。
筆者は、規律の改善は本物だが、それが谷でも守られるかはまだ試されていないと見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
戸建の分譲は、量が細り、値段が上がる市場だ。2025 年の分譲一戸建の着工は約 11.6 万戸で、新設住宅全体は 62 年ぶりの低さだった。人口の減少と、建築費の上昇による値上がりで、買える人が減っている。
値段は 5 年で 4 割近く上がった。建築費と人件費の上昇は今後も続き、販売価格は名目でゆっくり上がる。ただ住宅ローンの金利が上がり、実質の賃金が伸びない中で、上げすぎれば売れ残る。2024 年にこの会社が赤字になったのも、売れ残りの値下げ処分が原因だった。
筆者は、業界の棟数は 10 年で 2〜3 割減ると見る。生き残るのは、土地を安く仕入れ、早く建てて早く売る会社だ。資金の厚い大手が土地を押さえ、中小は立地の劣る土地か、高い仕入れを強いられる。
空き家は全国で 900 万戸を超え、中古住宅の流通を増やす政策も進む。新築から中古へ需要が移るなかで、中古のリノベーションに手を広げる会社の方向は理にかなう。ただカチタスのような専業がすでに強い。
金利の上昇は二重に効く。買い手のローンの負担が増え、売り手の在庫の借入の利払いも増える。中小の建売会社には、とくに重い。
資本政策と M&A
配当の総額は 2026 年 8 月期に 0.94 億円、配当性向は 16.5% と低い。会社は配当を還元の基本とし、上場以来毎期払ってきた。自社株買いはしていない。
株主優待は、1,000 株以上の株主に QUO カードを贈る。費用は年 0.1 億円前後とみられ、2027 年 8 月権利分からは未定である。10 年で 0.5 億円ほどを還元に数えた。
資本政策の中心は、自己資本比率を 30% 超に保ちながら借入で在庫を増やすことだ。純負債は約 76 億円と、1 年で 20 億円増えた。溜まる現金は在庫に回り、株主に戻る形は弱いので、戻り方は 0.75 とした。
地方の住宅会社は、大手の買収の対象になりやすい。だが具体的な動きは無い。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
回復は本物だ。2026 年 8 月期の営業利益は前期の 2 倍近く、期初の計画の 2 倍を超えた。売れ残りを処分し、仕入れの規律を数字にした成果である。
会社は来期の売上を 3 割増の 250 億円とみる。関東で質の高い土地の仕入れが進み、在庫は 1 年で 40 億円増えた。この在庫が来期以降の売上になる。3 年後の 750 棟・売上 300 億円・営業利益率 5% 超は、在庫の積み上がりから見て手の届く目標だ。
商品にも差がある。省エネとデザインで、パワービルダーとの値下げ競争を避ける。省エネ住宅の補助と、2030 年に向けた新築の省エネ基準の引き上げは追い風だ。
中古のリノベーションは在庫の回転が速く、資本の効率を上げる。計画どおりなら純利益は 3 年で 4 割増え、ROE は 10% を超える。それでも時価総額は自己資本を下回っている。
金利の上昇も一方的な逆風ではない。資金の乏しい地場の建売会社が退けば、土地の仕入れの競争は和らぎ、残った会社の取り分が増える。
慎重な見方
建売の利益は景気と金利で簡単に消える。2024 年 8 月期は売れ残りの値下げ処分で営業赤字になった。上場からまだ 4 年で、その間に 1 度大きく転んでいる。
借入は重い。有利子負債は 100 億円を超え、1 年で 28 億円増えた。金利が上がれば利払いは増える。経常利益は営業利益より 2 割以上少なく、そのほとんどが利払いだ。土地の仕入れを急ぐほど、売れ残りの危険も増える。
市場は細る。分譲一戸建の着工は減り続け、住宅ローンの金利の上昇が買い手を減らす。大手の建売も省エネを標準にし、差は縮む。
中期計画の利益率 5% 超は、過去最高の水準をずっと保つことを前提にしている。会社の来期の経常利益は減益の予想で、計画の初年度から伸びが止まる。売上を追って在庫を積むほど、次の谷で失うものは大きい。
省エネの差も長くは続かない。2030 年に向けて国の基準が上がれば、どの会社の家も同じ性能になり、残るのは値段の勝負だけだ。
どちらに重みを置いたか
回復の数字は強いが、慎重な見方がやや勝つ。借入で在庫を積む形は、2024 年の赤字という実例で危うさが示されている。確率は中立を 34% に置き、やや悲観と悲観を合わせて 36%、やや楽観と楽観を 30% とした。同じ領域の建売の会社とほぼ同じ配分である。中期計画の達成の度合いを、来期の売上と在庫の回転で確かめたい。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/08 期)
確率で加重した株価時価総額 674 円63 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 100 円9 億円)。 今の値に割り戻すと 350 円33 億円、今との差 −29.6%、 期待の年率 +4.5%(資本コスト 9.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,404 円132 億円 | 186 円18 億円 | +220.0% | +12.3% | 127 円12 億円 |
| やや楽観 | 22% | 955 円90 億円 | 144 円14 億円 | +121.0% | +8.3% | 242 円23 億円 |
| 中立 | 34% | 689 円65 億円 | 111 円10 億円 | +60.9% | +4.9% | 272 円26 億円 |
| やや悲観 | 24% | 425 円40 億円 | 53 円5 億円 | −3.8% | −0.4% | 115 円11 億円 |
| 悲観 | 12% | 129 円12 億円 | 27 円3 億円 | −68.7% | −11.0% | 19 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 674 円63 億円 | 100 円9 億円 | +55.8% | +4.5% | 774 円73 億円 |
今の株価時価総額 497 円47 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 8% 中期計画を達成し、750 棟の規模を保つ 利益 11 億円 · PER 11.2 倍 · 株価時価総額 1,404 円132 億円
中期計画どおり、3 年後に 750 棟・売上 300 億円に届く。関東で仕入れの網が広がり、省エネとデザインの家が大手の建売と違う客をつかむ。
中古のリノベーションも柱に育ち、在庫の回転が速くなる。金利が上がっても、売値の上昇が建築費と利払いを吸収し、利益率は 6% を保つ。
借入は増えるが、自己資本も積み上がり、比率は 3 割台を守る。配当性向も上がる。それでも ROE は資本コストをわずかに下回り、倍率は上限の 1÷k の近くで止まる。
地場の建売会社の退出で土地の仕入れが楽になり、景気の谷でも赤字を出さない。
- 戸建分譲:数量 750(販売件数(件))× 価格 0.50(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 373 億円・営業利益 22 億円。750 件 × 1 件 0.498 億(1.30 倍)、営業利益率 6%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.2% が k 9.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.2 倍。全体の PER 11.2 倍、時価総額 127 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:中期計画の 750 棟と利益率 5% 超を達成し、10 年保つ姿。業界の棟数が減る中でシェアを 5 割近く広げる必要があり 8%。
やや楽観 22% 在庫の規律が保たれ、650 棟で回る 利益 7 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 955 円90 億円
仕入れの規律が保たれ、棟数は 650 棟まで増える。業界の棟数は減るが、中小の建売会社が退き、そのシェアを拾う。
販売価格は建築費の上昇に沿って上がり、1 件あたりは 2 割強上がる。利益率は 5% 台を保つ。中古のリノベーションは小さく育つ。
借入は在庫に沿って増え、利払いは今の 2 倍になる。自己資本は 100 億円を超え、ROE は 6% 台に落ち着く。売れ残りの処分は小さく済む。
仕入れの点数づけの仕組みが働き、在庫の回転は今と同じ速さを保つ。配当性向は少し上がる。
金利の上昇で地場の会社が退き、良い土地が回ってくる年も出てくる。
- 戸建分譲:数量 650(販売件数(件))× 価格 0.48(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 311 億円・営業利益 16 億円。650 件 × 1 件 0.479 億(1.25 倍)、営業利益率 5.2%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.1% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 82 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026 年の回復が続き、中期計画の 9 割近くまで届く姿。来期の会社予想が増収で裏付けがあり 22%。
中立 34% 棟数はやや増え、利益率は 4% 台。利払いが重くなる 利益 5 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 689 円65 億円
業界の棟数は 10 年で 2〜3 割減るが、この会社は関東で仕入れを広げ、550 棟と今よりやや多く売る。販売価格は建築費の上昇に沿って 2 割弱上がる。
大手との土地の取り合いで粗利は少し削られ、利益率は 4.5% に落ち着く。借入は売上に沿って増え、新しい金利で利払いは今の 2 倍に近づく。純利益は 4〜5 億円にとどまる。
景気の谷で 1 度は値引きの処分を迫られるが、2024 年ほど深くはならない。配当性向は 1 割台で、自己資本は 100 億円前後に積み上がる。ROE は 4% 台で、資本コストに遠く届かない。
- 戸建分譲:数量 550(販売件数(件))× 価格 0.45(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 249 億円・営業利益 11 億円。550 件(今の 1.1 倍、業界の減少をシェアで補う)× 1 件 0.452 億(1.18 倍)、利益率 4.5%(過去 12 年の山 5.5% より下)
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.3% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 51 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業界の棟数が 2〜3 割減る中で、中堅の建売としてシェアを少し広げる姿。2026 年の回復と 2024 年の赤字の間を取り 34%。
やや悲観 24% 金利と売れ残りで、利益がほとんど残らない 利益 0 億円 · PBR 0.5 倍 · 株価時価総額 425 円40 億円
住宅ローンの金利が上がり、郊外の建売の買い手が減る。この会社の棟数は 420 棟まで減り、販売価格も建築費ほどには上がらない。
大手が値下げで在庫を売り切る中、粗利は削られ、利益率は 2.5% に下がる。借入の利払いは減らず、純利益はほぼゼロになる。
在庫の一部は評価損を計上する。自己資本は伸びず、借入の返済が優先される。中古のリノベーションも、専業の強さに阻まれて育たない。
会社は残るが、利益を生まない在庫と借入を抱えたまま 10 年を過ごす。少数株主に戻るものは配当のわずかな額だけだ。
新しい基準の省エネ住宅が当たり前になり、商品で選ばれる理由も薄れる。
- 戸建分譲:数量 420(販売件数(件))× 価格 0.42(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 177 億円・営業利益 4 億円。420 件 × 1 件 0.421 億(1.10 倍)、利益率 2.5%
倍率:利益がほぼ残らないので PBR。今の自己資本(facts の 2025/08 期 57.7 億円)に 0.45 倍を掛けた。在庫を 2 割引きで売り切った時の床に近い。
確率:住宅ローンの金利の上昇で買い手が減り、在庫の値引きが続く姿。2024 年の赤字の実例から 24% と厚めにした。
悲観 12% 住宅の谷で在庫の値引きが続き、赤字が重なる 利益 −3 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 129 円12 億円
金利の上昇と景気の後退が重なり、住宅の着工は 3 割減る。この会社の棟数は 300 棟まで落ち、在庫の値引きと評価損で赤字が数年続く。
銀行は融資の条件を厳しくし、土地の仕入れは止まる。自己資本は評価損で削られる。大手の建売が投げ売りする中で、省エネとデザインの差は値段を支えない。
残る価値は、在庫を大きく割り引いて売った時の現金から借入を返した残りだけだ。
大手の住宅会社が拾う道もあるが、借入の重い会社を高く買う理由は乏しい。株主の取り分は、自己資本の 2 割ほどまで落ちる。
2024 年の赤字は、この筋書きの小さな予告だったことになる。
- 戸建分譲:数量 300(販売件数(件))× 価格 0.38(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 115 億円・営業利益 −1 億円。300 件 × 1 件 0.383 億(値上げできず)、営業利益率 −1%
倍率:赤字なので PBR。今の自己資本 57.7 億円の 0.21 倍で、在庫を 4 割引きで売った時の床にあたる。
確率:2008 年のような住宅の谷が来て、在庫の投げ売りが続く構造的な負けの姿。上場後の 4 年で 1 度赤字になった実例から 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
戸建分譲
関東・東海での建売の一戸建て、土地、注文住宅の販売。中古のリノベーションを始める。
| 数量販売件数(件) | 価格1 件あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/08 | 502 | 0.38 | 192 | 11 |
| 10 年後 中立 | 550 | 0.45 | 249 | 11 |
取り方:2026/08 期の売上 192.27 億円・営業利益 10.54 億円(短信)。件数は決算説明資料の四半期の販売件数(138・117・110・137)の合計 502 件で、1 件 0.383 億円。単一セグメントなので本社費も含む。
リスクと懸念
売れ残りと値引き
2024 年 8 月期は長く売れ残った在庫を値引きで処分し、営業赤字になった。土地の仕入れを急いだ今は、在庫が 1 年で 40 億円増えている。市況が冷えれば同じことが起きる。
金利の上昇
有利子負債は 105 億円。借入の金利が 3.5% になると、利払いは今の 2 倍近い年 4〜5 億円に膨らむ。住宅ローンの金利の上昇は、買い手の予算も削る。
住宅の着工の減少
分譲一戸建の着工は減り続け、新設住宅は 62 年ぶりの低さになった。人口の減少で、郊外の新築の需要は細る。
大手との土地の取り合い
飯田グループやオープンハウスなど資金の厚い大手が良い土地を押さえる。中小は仕入れ値が上がり、粗利が削られる。
建築費と人手
職人の不足と資材の値上がりで建築費が上がる。売値に移せなければ、利益率 5% の商売はすぐに薄くなる。
新事業の失敗
中古のリノベーションは、カチタスなど専業が強い。経験の浅い分野で在庫を抱えれば、回転を速めるどころか損失のもとになる。
今後の分かれ目
- 2027 年 8 月期に売上 250 億円と営業利益 11 億円を達成する
- 仕入れの規律が本物だとわかる。やや楽観の確率を上げてよい。
- 在庫の回転が落ち、棚卸資産の評価損が出る
- 2024 年の再来になる。やや悲観と悲観の確率を上げる。
- 住宅ローンの金利が 2.5% を超える
- 買い手が減り、値引きが増える。中立の利益率を下げる。
- 配当性向を 30% 以上に上げるか、自社株買いを始める
- 溜まる現金の戻り方を 1.0 に上げてよい。
- 大手の住宅会社が買収を提案する
- 土地の仕入れの網と商品に値が付く。ただ借入の重さで値段は伸びにくい。
見ておくもの
- 四半期の販売件数と在庫の残高
- 粗利率と棚卸資産の評価損
- 有利子負債と支払利息
- 分譲一戸建の着工戸数
- 住宅ローンの金利
- 中古リノベーションの売上
倍率と資本コストの決め方
倍率は資本コスト 9% と ROE から式で出した。どの筋書きも ROE が k を下回るので PER の上限は 1÷k の 10.5 倍で、楽観〜中立はその 7.5〜9 割に置いた。今の PBR 0.75 倍や同業の値付けは見ていない。純負債が時価総額を超えるので EV÷営業利益も見たが、中立で 10 倍前後で過大ではない。悲観側は在庫を割り引いて売った時の床で置いた。facts は 2025/08 期で止まっているので、2026/08 期の短信の数字を起点にした。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.2 倍・やや楽観 PER 8.6→11.11 倍・中立 PER 7.9→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +2.0% を足して 9.5%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.50% → 9.00%。