結論
VTホールディングスは、名古屋に本社を置く自動車ディーラーの持株会社だ。国内でホンダ・日産・BMWなどを売り、スペイン・英国・南アフリカにも店を持つ。筆者の結論は、10年先の価値は今の時価総額をやや下回る、というものだ。理由は、稼ぐ力が資本コストに届いていないことにある。
この会社の強みは、買収で店を増やす速さだ。前の期は新車と中古車を合わせて初めて10万台を超え、売上は10年で3倍近くになった。だが営業利益率は3%に届かない。車を売る商売は、1台あたりの取り分が薄い。台数が増えても利益は思ったほど増えず、営業利益は100億円前後で足踏みしてきた。
足元は明暗が分かれる。スペインは中国ブランドの販売で好調だが、英国と国内の日産・ホンダは弱い。会社は2028年3月期に営業利益200億円を掲げる。ただ、足りない分の多くは買収と利益率の改善に頼る計画だ。
10年後の利益は、物価の上昇分をわずかに上回る程度にとどまる。借入が多く、金利が上がれば利益が削られるからだ。上振れの余地は海外の台数と買収にある。一方で、日産とホンダの新型車が出なければ、国内の店は静かに細っていく。今の株価が安く見えても、割安とは言えない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は良い事業とは言い切れない。良い事業とは、少ない元手で高い利益を長く生み、その利益が物価で目減りしない会社を指す。VT HDは逆に、車の在庫と店舗に元手がかかり、利益はメーカーの都合に左右される。
一方で、安く買えるなら話は別だ。時価総額は約570億円。会社が目標とする営業利益200億円に届けば、今の値段は安い。しかし、その目標は買収に頼る部分が大きく、買収の値段次第で株主の取り分は増えも減りもする。
筆者が重視するのは、利益が自己資本の増加に見合って積み上がるかだ。この会社の自己資本利益率は資本コストを下回りやすく、利益を内部に残しても価値が増えにくい。その意味で、配当をしっかり出す姿勢は評価できる。
結論として、持ち続けたい事業とは思えない。見るべきは、買収を抑えて既存の店の稼ぎを磨くか、拡大を続けるかだ。それが見えるまで、今の値段に安全域は感じない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は、車を売る店だ。新車と中古車を売り、車検や整備、保険、レンタカーで稼ぎを積み増す。連結売上の約9割が自動車関連で、営業利益の約7割を稼ぐ。売上の残りは、マンションや戸建を分譲・建築する住宅事業だ。利益率は自動車より高い。
国内の店は、ブランドごとに会社が分かれている。ホンダは東海地方のホンダカーズ東海が担う。日産は長野・静岡・愛知・埼玉・奈良・山梨の各社。BMWとMINIは静岡・愛知・北海道などのモトーレン系だ。ほかにフォルクスワーゲンやアウディ、BYDも扱う。
海外は売上の約5割に近い。英国では日産、起亜、プジョー、ボクソールなどの店を持つ。スペインはバルセロナ近郊でトヨタ、ホンダ、マツダに加え、中国のオモダ、ジェクー、エブロを売る。南アフリカではスズキの販売会社、オーストラリアではホンダと日産の店を持つ。英国のスポーツカー、ケータハムも傘下だ。
前の期の販売は新車5.1万台、中古車4.9万台。国内と海外はほぼ半々だ。店の数を増やす戦略で、1店あたりの利益率を高めるより、拠点を増やすほうを選んできた会社だ。
優良さと弱いところ
優良さを一言で言えば、規模はあるが堀は浅い。自動車ディーラーは、車を作るメーカーの販売網として成り立つ。値段も、仕入れ先も、扱える車種もメーカーが握る。店が自分で値段を決める力は小さい。
それでも強みはある。買収で拠点を増やし、店の運営をまとめる手腕だ。売上は10年で約3倍、台数は10万台に達した。整備や保険のような、車を売ったあとの稼ぎも育っている。ただ利益率は2%台から3%台にとどまり、規模が利益率を押し上げる力は見えない。
弱点は三つある。一つ目は借入の多さだ。自己資本比率は24%ほどで、在庫の車をローンで抱える。二つ目はメーカー依存だ。日産とホンダは新型車が少なく、国内の販売台数が減っている。三つ目は海外の偏りだ。利益の頼みはスペインで、英国は苦しい。
資本の使い方は、買収と配当が中心だ。配当は純利益の4割を下限の目安にする。自社株買いの記載は見当たらない。ROE、つまり自己資本に対する利益の率は10年の中央値で約10%だが、直近は7%まで落ちた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の新車市場は、人口の減少とともに緩やかに縮む。2025年の販売は約457万台と3%伸びたが、年度では4年ぶりに減った。ホンダと日産は新型車が少なく、日産は年度として初めて40万台を割った。国内の店は、台数が増えにくい環境にある。
その代わり、車の値段は上がる。物価の上昇に加え、装備の充実や電動化で、1台あたりの売上は上がり続ける。ただ、ディーラーの取り分は車の値段に比例しない。メーカーが決める手数料は低めで、人件費と店の費用は物価で上がる。
長い目で見た脅威は、メーカーの直販とエージェント方式だ。ディーラーが在庫を持たず、手数料だけを受け取る方式に変わると、店は台数も在庫金融も失う。欧州では広がりつつある。電気自動車は整備の稼ぎも減らす。
海外では、中国ブランドの伸びが早い。スペインの新車登録で中国ブランドは約1割まで来た。英国でも2024年の約5%が2025年に約10%へ上がった。VT HDはスペインでこの波に乗り、販売を伸ばした。だが英国では、日産や起亜、ボクソールの店が押される側にいる。中国ブランドは車が安く、1台あたりの取り分も小さくなりやすい。
国内の競合は、トヨタ系や地場のディーラーグループだ。後継者のいない店を上位の会社が買って集約する流れが続く。VT HDはその買い手の一社だ。
資本政策と M&A
資本政策の柱は、買収による拠点の拡大だ。2021年にケータハムを買い、2023年にBMWのフジモトーレン、2025年にモトーレン札幌を傘下に入れた。2026年には日産プリンス山梨販売を買う。売上は約50億円だが、利益は約2億円と薄い。
株主還元は、配当性向40%を下限の目安にする。配当は前の期と同額に据え置いた。自社株買いの実績は乏しい。創業家の資産管理会社が大株主で、損保2社が続く。10年以内に買収される確率を、外部の推計は約27%とする。
買収は価値を生むときもあるが、買う値段しだいで壊しもする。ケータハムの電気自動車開発では、減損と合わせて約27億円の費用が出て、前の期の純利益を削った。筆者は、買収で資本を厚く使うより、既存の店の利益率を上げる道を優先すべきだと考える。2026年6月に社長が交代し、創業者は相談役に退いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
国内は日産が立て直す。新型車が出そろえば来店が戻り、ホンダとの差も縮まる。山梨のような買収で、台数は今よりも増える。BMWとMINIの店は整備と中古車で稼ぎが厚く、利益率を押し上げる。
海外はスペインが主役になる。中国ブランドの車は、日本車より安いが数が出る。マスターオートモシオは扱いを増やし、バルセロナ近郊から他の地域へ店を広げる。南アフリカでも中国ブランドを足せば、台数は伸びる。英国は不振の店を整理して、利益率を回復させる。
会社が掲げる営業利益200億円は、買収込みで見れば手の届く目標だ。10年かければ、物価の上昇だけでも利益は3割以上増える。そこにスペインの台数と、買収の積み上げが乗る。
ケータハムの電気自動車は、少量でも高い値段で売れる。ブランドの価値は高く、開発費の負担が終われば全体の利益率は上がる。利益率が3%台後半に乗れば、ROEは資本コストに並ぶ。それが実現すれば、今の株価は割安だ。
慎重な見方
日産とホンダの国内販売は、構造的に縮む。両社は新型車の投入が遅れ、ブランドの力も落ちた。日産は年度で初めて40万台を割り、店の統廃合が進む。VT HDは日産系の店を6社持ち、利益の土台が崩れる。
海外は、スペインの好調がいつまで続くかわからない。中国ブランドは、関税や品質の評判で風向きが変わりうる。英国ではすでに苦戦し、中国ブランドの上陸で日産や起亜の店は台数と利益率の両方を失う。南アフリカも、スズキが中国勢に押されている。
自己資本比率は24%と薄い。在庫の車を借入で持つため、金利が上がれば利益が削られ、販売が落ちれば在庫が重くのしかかる。住宅事業も、金利の上昇と資材不足で先行きが読めない。
ケータハムの電気自動車は、開発費が先に出る。成功は保証されず、失敗すれば減損が続く。会社の掲げる営業利益200億円は、足りない分を買収で埋める前提だ。買収が成功しても、買う側の取り分は薄いという実績がある。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方のほうが強い。買収で台数は増えたが、利益率が上がらない状態が10年続いてきたからだ。強気の論点はスペインの中国ブランドとBMWの店に絞られ、それ以外は国内の日産・ホンダと英国の不振に押される。そのため確率は、中立とやや悲観に厚く寄せた。
やや悲観を27%、悲観を12%に置いた。悲観は日産系の店が縮み、海外の中国ブランドも一巡する構造的な負けを描いた。楽観は6%、やや楽観は19%にとどめた。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 750 円851 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 255 円289 億円)。 今の値に割り戻すと 521 円591 億円、今との差 +4.0%、 期待の年率 +7.2%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 1,362 円1,546 億円 | 379 円430 億円 | +247.5% | +13.3% | 104 円119 億円 |
| やや楽観 | 19% | 1,090 円1,236 億円 | 318 円361 億円 | +181.0% | +10.9% | 267 円303 億円 |
| 中立 | 36% | 917 円1,041 億円 | 291 円330 億円 | +141.1% | +9.2% | 435 円493 億円 |
| やや悲観 | 27% | 409 円464 億円 | 183 円208 億円 | +18.3% | +1.7% | 160 円182 億円 |
| 悲観 | 12% | 174 円198 億円 | 145 円165 億円 | −36.2% | −4.4% | 38 円44 億円 |
| 加重平均 | 100% | 750 円851 億円 | 255 円289 億円 | +100.6% | +7.2% | 1,005 円1,140 億円 |
今の株価時価総額 501 円568 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 6% スペインが伸び、日産も持ち直す 利益 115 億円 · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 1,362 円1,546 億円
日産に新型車が出そろい、国内の来店が戻る。山梨のような買収が実を結び、国内の台数は小さく増える。BMWとMINIの店は整備と中古車で厚みを増す。海外ではスペインが主役になり、中国ブランドの台数を伸ばし、他の地域へも店を広げる。南アフリカでも中国ブランドを足して台数を増やす。英国は不振店を整理し、利益率を戻す。ケータハムの電気自動車は少量でも高く売れ、開発費の負担は終わる。営業利益は200億円を超えるが、利益率は3%台後半で、薄い商売であることは変わらない。中国ブランドの扱いが広がるほど、一台あたりの稼ぎは小さくなるが、台数の伸びがそれを上回る。会社の目標が実現する数少ない道筋がこの筋書きだ。
- 国内ディーラー(新車・中古車・整備):数量 55,733(新車と中古車の販売台数(台))× 価格 423(1台あたりの売上(万円・整備などを含む))→ 売上 2,358 億円・営業利益 90 億円。台数102%・単価136%(名目)
- 海外ディーラーとケータハム:数量 63,756(新車と中古車の販売台数(台))× 価格 530(1台あたりの売上(万円・整備・ケータハムを含む))→ 売上 3,382 億円・営業利益 108 億円。台数140%・単価130%(名目)
- 住宅事業:数量 660(年間の引き渡し戸数(戸))× 価格 6,399(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 422 億円・営業利益 25 億円。台数95%・単価136%(名目)
倍率:事業の純利益 115 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.4% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.2 倍。全体の PER 13.18 倍、時価総額 1,516 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:日産の新型車の復活、スペインの中国ブランドの拡大、買収の成功が三つそろう必要があり、起きる確率は低い。過去10年も利益率は上がらなかった。
やや楽観 19% 海外の台数が伸び、国内は横ばい 利益 96 億円 · PER 12.6 倍 · 株価時価総額 1,090 円1,236 億円
スペインの中国ブランドが引き続き伸び、海外の台数は3割近く増える。ただし中国ブランドは車が安いため、1台あたりの売上の伸びは物価より低い。国内は日産が底を打ち、台数は横ばいに近い。買収で台数を少し足す。英国は黒字を保つが、大きくは伸びない。住宅は金利の上昇で戸数が減る。営業利益は約190億円と、会社の目標にあと一歩のところまで来る。利益率は3%に乗るが、金利負担で純利益の伸びは営業利益より小さい。買収は続くが、買う値段が高ければ価値は増えない。会社が掲げる目標の7〜8割まで届く、現実的な上振れの形だ。ケータハムの電気自動車は小さく黒字に転じるが、全体を左右するほどではない。
- 国内ディーラー(新車・中古車・整備):数量 54,094(新車と中古車の販売台数(台))× 価格 420(1台あたりの売上(万円・整備などを含む))→ 売上 2,271 億円・営業利益 82 億円。台数99%・単価135%(名目)
- 海外ディーラーとケータハム:数量 58,291(新車と中古車の販売台数(台))× 価格 526(1台あたりの売上(万円・整備・ケータハムを含む))→ 売上 3,068 億円・営業利益 89 億円。台数128%・単価129%(名目)
- 住宅事業:数量 626(年間の引き渡し戸数(戸))× 価格 6,352(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 398 億円・営業利益 21 億円。台数90%・単価135%(名目)
倍率:事業の純利益 96 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.1% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.33(moat=weak)で RONIC 8.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.6 倍。全体の PER 12.55 倍、時価総額 1,205 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:スペインの好調が続き、買収も一部成功する。ただ、国内の日産・ホンダの弱さと英国の苦戦が残るため、楽観より手前で止まる確率が高い。
中立 36% 物価並みの成長と薄い利益率が続く 利益 79 億円 · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 917 円1,041 億円
国内は日産・ホンダの弱さと人口の減少で台数が緩やかに減る。山梨の買収で一部は埋まる。車の値段は物価並みに上がり、売上は3割ほど増えるが、利益率は3%台前半にとどまる。海外はスペインが伸び、英国と南アフリカは横ばい。中国ブランドの比重が増えて、1台あたりの売上は物価ほど伸びない。住宅は戸数が減り、値段の上昇で売上は少し増える。営業利益は約160億円。借入の利息が増え、純利益は約80億円にとどまる。配当は純利益の4割強を出し続けるが、資本を厚く使う商売なので価値の積み上がりは遅い。10年たっても、今と同じように「台数は増えるが利益率は動かない」会社であり続ける。これが、最も起こりやすい姿だと考える。
- 国内ディーラー(新車・中古車・整備):数量 51,908(新車と中古車の販売台数(台))× 価格 417(1台あたりの売上(万円・整備などを含む))→ 売上 2,163 億円・営業利益 74 億円。台数95%・単価134%(名目)
- 海外ディーラーとケータハム:数量 52,371(新車と中古車の販売台数(台))× 価格 522(1台あたりの売上(万円・整備・ケータハムを含む))→ 売上 2,735 億円・営業利益 71 億円。台数115%・単価128%(名目)
- 住宅事業:数量 591(年間の引き渡し戸数(戸))× 価格 6,305(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 373 億円・営業利益 17 億円。台数85%・単価134%(名目)
倍率:事業の純利益 79 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.0% が k 8.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.5 倍。全体の PER 12.5 倍、時価総額 988 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内は縮み、海外は伸びるという両面があり、利益は物価並みにしか増えない。10年かけて利益率が2%台から動かないという実績に最も近い。
やや悲観 27% 国内が縮み、英国が足を引く 利益 48 億円 · PER 7.5 倍 · 株価時価総額 409 円464 億円
日産とホンダの国内販売が細り、店の統廃合が進む。国内の台数は1割ほど減る。海外は、スペインは堅調でも、英国で中国ブランドに押され、1台あたりの取り分が下がる。南アフリカも中国勢に押される。ケータハムは赤字が残り、電気自動車の開発費が負担になる。住宅は金利の上昇で戸数が落ちる。営業利益は約110億円と、今とほぼ同じ水準にとどまる。金利負担が増える分、純利益は今より少し減る。配当は維持するが、自己資本はほとんど増えない。10年後も、足元の延長で終わる筋書きだ。スペインの好調は残るが、利益の大きな部分を食う英国と国内の弱さを打ち消せない。会社の目標は、買収を足しても届かない。
- 国内ディーラー(新車・中古車・整備):数量 48,083(新車と中古車の販売台数(台))× 価格 411(1台あたりの売上(万円・整備などを含む))→ 売上 1,974 億円・営業利益 59 億円。台数88%・単価132%(名目)
- 海外ディーラーとケータハム:数量 46,451(新車と中古車の販売台数(台))× 価格 498(1台あたりの売上(万円・整備・ケータハムを含む))→ 売上 2,312 億円・営業利益 46 億円。台数102%・単価122%(名目)
- 住宅事業:数量 521(年間の引き渡し戸数(戸))× 価格 6,117(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 319 億円・営業利益 11 億円。台数75%・単価130%(名目)
倍率:事業の純利益48億円、ROEは約4.7%で資本コスト8%に大きく届かない。稼ぐ力の低さを見て、上限1÷k(11.1倍)の約7割弱に置いた。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PER 7.5 倍・時価総額 360 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:日産・ホンダの新型車の遅れは数年続くとみる。英国は中国ブランドに押され、買収で増やしても利益は増えにくい。この両面の方が強く、悲観側に確率を寄せた。
悲観 12% 日産系の店が縮み、海外も一巡する 利益 23 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 174 円198 億円
日産の販売は戻らず、国内の日産系の店は統合や閉鎖が続く。ホンダも新型車の投入が遅れ、国内の台数は4分の3まで減る。海外は、スペインの中国ブランドが関税や評判で伸び悩み、台数が頭打ちになる。英国と南アフリカでは台数を落とす。ケータハムの電気自動車は失敗し、減損が出る。借入の金利が上がり、在庫の車をローンで抱える負担が利益を削る。営業利益は約65億円まで落ち、純利益は20億円台になる。配当は減り、自己資本も減損で目減りする。借入が多い会社なので、利益が落ちたときの傷は深い。住宅事業の利益も縮み、全社を支える柱が残らない。買収で積み上げた店の価値は、のれんの減損として一度に表に出る。
- 国内ディーラー(新車・中古車・整備):数量 40,980(新車と中古車の販売台数(台))× 価格 398(1台あたりの売上(万円・整備などを含む))→ 売上 1,631 億円・営業利益 39 億円。台数75%・単価128%(名目)
- 海外ディーラーとケータハム:数量 38,709(新車と中古車の販売台数(台))× 価格 469(1台あたりの売上(万円・整備・ケータハムを含む))→ 売上 1,816 億円・営業利益 27 億円。台数85%・単価115%(名目)
- 住宅事業:数量 417(年間の引き渡し戸数(戸))× 価格 5,881(1戸あたりの売上(万円))→ 売上 245 億円・営業利益 6 億円。台数60%・単価125%(名目)
倍率:事業の純利益22.6億円、ROEは約2.9%。稼ぐ力は低く、悲観の床は純利益÷k(約250億円)より低い水準。事業の価値の下限として、上限1÷k(11.1倍)の約6割強の7.0倍に置いた(やや悲観の7.5倍より低く、ROE の低さの順に並べた)。
確率:国内の日産系の店が構造的に縮み、海外では中国ブランドの伸びが一巡する。ケータハムの失敗も重なる。重なる条件が多く確率は低いが、借入が多く傷が深い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内ディーラー(新車・中古車・整備)
ホンダ・日産・BMWなどの店で新車と中古車を売り、整備・保険・レンタカーで稼ぐ。
| 数量新車と中古車の販売台数(台) | 価格1台あたりの売上(万円・整備などを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 54,640 | 311 | 1,700 | 58 |
| 10 年後 中立 | 51,908 | 417 | 2,163 | 74 |
取り方:国内の新車約2.5万台と中古車約3.0万台の合計。国内の売上約2,030億円から住宅の約330億円を引いた約1,700億円を台数で割った。営業利益は自動車全体の約80億円を国内と海外に分けた推定(国内は利益率3.4%前後)。本社・その他の約9億円は調整に入れる。
海外ディーラーとケータハム
スペイン・英国・南アフリカ・豪州の店と、英国のスポーツカー製造。
| 数量新車と中古車の販売台数(台) | 価格1台あたりの売上(万円・整備・ケータハムを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 45,540 | 408 | 1,858 | 22 |
| 10 年後 中立 | 52,371 | 522 | 2,735 | 71 |
取り方:海外の新車26,039台と中古車約19,500台の合計。海外売上は欧州1,644億円・アフリカ148億円など計約1,860億円で、1台あたり約408万円。営業利益は減損とケータハムの電気自動車費用(合計約27億円)が出た年の値で、費用を除くと約49億円(利益率2.6%)の推定。
住宅事業
マンション・戸建の分譲と、注文住宅・商業施設の建築請負。
| 数量年間の引き渡し戸数(戸) | 価格1戸あたりの売上(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 695 | 4,705 | 327 | 21 |
| 10 年後 中立 | 591 | 6,305 | 373 | 17 |
取り方:住宅の売上約327億円と営業利益約21億円(利益率6.3%)。戸数は開示がなく、1戸約4,700万円と置いて逆算した推定。今期は約300億円・営業利益12億円強の減益を会社が計画。
リスクと懸念
日産・ホンダの新型車の遅れ
国内の店の半分近くが日産とホンダで、両社の販売台数は年度で減った。新型車が出ない間は来店が戻らず、台数も利益も伸びない。メーカー自身の再建が先で、ディーラーが自力で補える範囲は小さい。
海外のスペインへの偏り
海外の利益はスペインの中国ブランドの販売に支えられている。中国ブランドは関税や品質の評判で風向きが変わりやすく、販売の停滞がそのまま利益の急落につながる。英国と南アフリカでは、すでに苦戦している。
金利の上昇と薄い自己資本
在庫の車を借入で持つため、短期金利の上昇は利益に直接響く。自己資本比率は約24%で、販売が落ちて在庫が増えると資金繰りが重くなる。借り換えの金利は10年で全部が新しくなる。
メーカーの直販・エージェント方式
メーカーが店の在庫を持たず、手数料だけを払う方式に変えれば、ディーラーは台数も在庫金融の稼ぎも失う。欧州で広がり、日本でも電気自動車を中心に動きが出ている。10年のうちに店の役割が変わりうる。
買収の失敗とのれんの減損
店を買い足す戦略は、値段が高すぎれば価値を壊す。買った店の利益が薄いと、のれんの減損が出る。ケータハムでは電気自動車の開発費と減損が約27億円出て、前の期の純利益を削った。
住宅事業の下振れ
住宅は利益率が高く、全体の利益の下支えになっている。だが住宅ローン金利の上昇と、塗料・溶剤など資材の調達不安で、今期は減益を見込む。戸数が減れば、自動車の弱さを補えない。
今後の分かれ目
- 日産が量販車の新型を相次いで出し、国内の販売が前年を上回った場合
- 国内の台数が戻り、やや楽観の筋書きに近づく。日産系6社の利益が戻るため、全体の利益率が3%台へ上がる。
- スペインで中国ブランドの販売が前年割れになった場合
- 海外の稼ぎが急に細り、やや悲観に近づく。台数が頼みの会社なので、利益は台数の落ち込み以上に減る。
- 2028年3月期の営業利益が200億円に届いた場合
- 利益率5%の目標が実現したことになり、楽観に近づく。ただし買収で足した分が多いなら、1株あたりの価値は伸びていない。
- メーカーがエージェント方式を日本でも本格導入した場合
- ディーラーが在庫と台数の稼ぎを失い、悲観に近づく。VT HDはBMWなど輸入車の店を持つため、影響は大きい。
- 短期金利が2%を超えて上がり続けた場合
- 借入の利息が増え、純利益が削られる。ROEが資本コストを下回る期間が長引き、倍率はさらに下がる。
- 買収をやめ、既存店の利益率を高める方針に切り替えた場合
- 資本を厚く使わず、利益率が上がれば、同じ営業利益でも自己資本の増加が小さく、価値は積み上がりやすい。
見ておくもの
- 国内の新車・中古車の販売台数(日産系・ホンダ系)
- スペインの販売台数と中国ブランドの比率
- 英国の店の営業利益
- 営業利益率(3%台に乗るか)
- 自己資本比率と純有利子負債
- 配当と自社株買い・買収の規模
倍率と資本コストの決め方
セグメントごとに台数と1台あたりの売上を積み、10年後の営業利益から倍率を決めた。今の株価や今のPER、同業の倍率は使っていない。資本コストは基本7.5%に品質の加算1.5%を足した9.0%。ROEが資本コストを下回る筋書きは、上限の1÷k(約11倍)より低い倍率に置いた。今の時価総額が約570億円であることは最後に比べただけで、価値の数字には入れていない。自動車ディーラーはIFRSで報告しており、家賃にあたるリース負債はすでに借入に含まれる形になっている。10年後の数字も同じ形でそろえた。新リース会計基準による数字の形の変化は、この会社にはほぼ当てはまらない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→13.18 倍・やや楽観 PER 10→12.55 倍・中立 PER 9→12.5 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality 合計 +1.5% を加えた。個別のリスクは筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.00% → 8.00%。