結論
ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズは、イーサリアムの暗号資産ETHを大量に保有し、その一部をステーキングに回して報酬を得る会社である。筆者の結論は、保有資産の規模だけで割安と判断してはならず、実際の発行株数で見ると長期保有に十分な安全域を確認できない、というものだ。
2026年10月25日時点の保有ETHは約605万枚で、流通量の4.95%に達した。会社が公表した暗号資産、現金、有価証券、戦略投資の合計は約150億ドルである。すでに約523万枚をステーキングに回し、直近の利回りでは年換算約3.18億ドルの報酬収入を見込める。ただし、この収入の大部分は保有ETHそのものが生む市場利回りである。他社には作れない顧客基盤から独占的な手数料を取っているわけではない。
2026年5月までの9か月間には、暗号資産の評価損約90.4億ドルが発生した。GAAP純損失は約91.1億ドルとなった一方、株式発行による資金調達は約122億ドルに及んだ。したがって過去の純利益やROEを、そのまま事業の実力として使うことはできない。2025年の純利益3.3億ドルも、暗号資産の評価変動が大きく影響した数字である。
10年後の価値を決めるのは、ETHの価格、保有枚数、ステーキング利回り、そして増資と還元の規律である。中立ではETH価格が名目物価に近い速度で上昇する一方、ステーキング利回りは競争と参加者の増加で低下すると考える。悲観ではETHの利用が想定ほど広がらず、保有資産と収益の両方が縮む。
なお、添付の株数2452万株は2025年度の希薄化後平均株数で、2026年7月には約6億株へ増えている。指定のbasisを維持すると台帳時価総額は約5.49億ドルとなり、機械的には大幅な割安と表示される。しかし実勢の普通株時価総額は約130.4億ドルである。本分析の試算価値は約19.9億ドルだが、特殊な資産評価と旧台帳の接続に大きな不確実性がある。結論として重視すべきなのは、台帳上の割安表示ではなく、実勢価格に対する安全域の不足である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社を一般的な資産運用会社と同じように評価してはならない。ブラックロックのように顧客から継続的な管理報酬を受け取る事業と、主として自社保有ETHを運用する事業では、利益の源泉が違う。ビットマインの主力収入は、ETHを保有することによって市場参加者なら原則として受け取れる利回りだ。
株主が確実に所有しているものを考えるなら、まずETHの枚数とその売却可能価値を見る。次に優先株の請求権、運営費用、税金、保管と売却の制約を差し引く。最後に、MAVANが他社から継続的な手数料を集める独立した事業に育つかを評価する。資産を多く持つことだけでは、資本コストを超える追加の利益を生むとはいえない。
実際、2026年10月のステーキング利回りは2.58%だった。ETHの価格上昇を別にすれば、年10%程度の株主資本コストを満たすには遠い。価格上昇を見込むのであれば、その根拠はイーサリアムへの需要の拡大であり、会社独自の経営能力とは切り分けなければならない。
さらに普通株主の取り分は、株式発行と優先株によって変わる。2026年の自社株買いは歓迎できるが、大規模な増資を経験した後では、経営陣が株主資本を本当に増やしたかを長い期間で確認する必要がある。筆者が重視するのは保有ETHの総量ではなく、既存株主1株当たりの純資産と、その資産を損なわずに受け取れる利益である。
先の読めない技術資産には厚い安全域を求めたい。暗号資産は売却できる財産だが、現金と同じ価値の安定性はない。会社が長く存続しても、普通株主が十分な利益を得るとは限らない。10年後の価値は高くなる可能性もあるが、予測可能性を伴う優良企業の利益とは区別して扱うべきだ。
何で稼ぐ会社か
現在の稼ぎの中心はETHステーキングである。ETHをネットワークの検証作業に預け、取引の正当性を確認することで報酬を受け取る。2026年10月25日時点では約523万ETHをステーキングに回し、年換算利回りは2.58%だった。ETH価格が2356ドルなら、1枚当たり年間約61ドルの報酬となる。枚数と価格を掛け合わせた年間収入は約3.18億ドルである。
2026年5月までの四半期報告では、ステーキングと検証による四半期売上が約0.457億ドルだった。前年同期はゼロであり、事業構造が短期間で一変したことが分かる。ステーキングは電力を大量に使う従来型のビットコイン採掘より設備負担が小さい。ただし保有ETHが値下がりすれば、同じ枚数の報酬でもドル建ての収入は減る。
もう一つの柱として育てているのが、米国内の検証ネットワークMAVANである。自社のETHを運用するだけでなく、機関投資家や保管業者のETHを預かって検証サービスを提供する構想だ。2026年には豪州の検証事業者ピア・ツーを買収し、技術と顧客基盤を取り込んだ。ただし外部顧客からの報酬が会社全体の利益にどれだけ貢献しているかは、まだ十分に分かれて開示されていない。
以前の主力事業は、浸漬冷却を使うビットコイン採掘、採掘機器の販売、設備の貸与だった。2025年8月期の売上は約609万ドルにすぎず、会社は自己採掘を縮小している。今後10年の価値を支える中心事業にはなりにくい。相談業務も小さく、2025年8月期の売上は約24万ドルだった。
最後に、暗号資産そのものの保有がある。2026年10月25日時点の約605万ETHは、当日の参考価格で約142.6億ドルに相当する。これに現金や他の投資が加わる。ただし保有ETHは売却するまで株主の現金にはならず、ステーキング中は引き出しに時間がかかる。資産の存在と、少数株主が実際に回収できる価値を分けることが重要である。
優良さと弱いところ
この会社の強みは、短期間で世界有数のETH保有者になった規模にある。2026年10月にはETH流通量の約5%を保有し、ステーキング枚数でも大きな存在になった。検証設備の運用、カストディとの接続、ネットワーク監視を大規模に行えるため、一定の費用効率は期待できる。MAVANが外部顧客に浸透すれば、資産保有以外の継続収益も生まれる。
しかし、その規模を強い堀、つまり競争相手が越えられない壁と呼ぶには証拠が足りない。ETHの報酬利回りはネットワークの仕組みで決まり、ビットマイン自身が値上げできる商品ではない。コインベース、バイナンス、リド、フィグメントなども検証サービスを提供する。顧客は信用力や安全性を見比べられるため、外部顧客向けの手数料も競争を受ける。
特に注意すべきなのは、株主資本を増やす手段である。2025年8月末の普通株発行済み株数は約2.32億株だったが、2026年7月9日には約6.03億株に増えた。会社は市場で株式を発行し、得た資金でETHを購入する戦略を採ってきた。ETH保有総額が増えても、1株に帰属するETHが同じ割合で増えるとは限らない。
2026年には自社株買いも始まり、10月25日までの累計取得額は約4億ドルとなった。株主を意識した動きとして評価できるが、それ以前の大規模な増資に比べれば小さい。過去10年を通じて高い増分ROICを実証した事業とは言いにくい。
さらに2026年5月期の四半期報告では、財務報告に関する内部統制上の重要な不備が残っていた。巨額の暗号資産を扱う会社では、保管、取引の記録、評価、権限管理が事業の土台になる。規模の大きさは利点であると同時に、管理上の失敗が起きたときの損失も大きくする。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ETHステーキング市場は2026年も成長している。リドの2026年上半期報告によれば、ネットワーク全体のステーキング残高は年初の約3630万ETHから6月末には約4310万ETHへ増えた。しかし参加者が増えるほど、通常はETH1枚当たりの報酬率が低下する。市場全体の枚数が増えても、既存事業者の単価が維持されるとは限らない。
2026年6月末の市場シェアは、リドが約21.2%、ビットマインが約11.5%、コインベースが約10.9%、バイナンスが約7.9%だった。ビットマインは半年前から約10ポイントもシェアを伸ばした。もっとも、この急拡大は顧客獲得だけではなく、自社資金と増資で大量のETHを取得した結果である。外部顧客が自発的に移ってきた割合は、分けて評価する必要がある。
2030年代にかけて、資産のトークン化や機関投資家の利用が広がる可能性はある。銀行や証券会社がブロックチェーン上で資産を移転し、決済や担保管理にETHを使う世界になれば、ETHの需要は増える。反対に、ステーブルコインの利用拡大がETHの保有需要に直結しないこともありうる。取引がレイヤー2へ移り、基盤となるETHへの手数料収入が思うほど増えない可能性もある。
競争は価格だけではない。大手の保管業者は規制対応と顧客の安心感を武器にする。分散型のリドは流動性を保つ仕組みと利用実績を持ち、ビットマインは大量の自社ETHとMAVANの検証能力を組み合わせる。安全性や障害対応で失敗すれば、後発でも新しい技術にシェアを奪われる。
筆者は2035年の中立で、ネットワーク全体のステーキング残高が約6000万ETHになると考える。一方、ビットマイン自身が検証する自社ETHは610万枚程度となり、シェアは約10%に落ち着く。市場の実質数量は増えるが、1枚当たりの利回りは1.9%まで低下する見通しだ。この会社の収益の最大の変数は、業界の成長率そのものよりETH価格の長期的な水準である。
資本政策と M&A
資本政策は大きな転換期にある。2025年6月に始めたETH準備資産戦略では、市場で普通株を売却して資金を調達し、ETHを取得した。2026年5月までの9か月間に市場売出しによる調達額は約118.7億ドルとなった。2026年7月には普通株の発行枠が拡大され、発行済み株数も急増した。経営陣の実行力は確認できるが、既存株主にとっては希薄化の大きさが問題になる。
2026年6月には9.5%の永久優先株BMNPを350万株発行した。発行価格は額面100ドルに対して80ドルであり、手取り資金は約2.74億ドルだった。優先株の額面請求権は3.5億ドル、年間の固定的な配当負担は約0.33億ドルである。通常の借金が少なくても、この優先的な請求権は普通株主に先立つ。
その一方で、会社は40億ドルの自社株買い枠を設定し、2026年10月25日までに約4億ドルを使った。ETH価格と自社株価の関係を見て株式を買い戻す方針は合理的になりうる。ただし、安い時期に増資し、高い時期に自社株買いをするなら価値は失われる。
2026年のピア・ツー買収は検証技術を内部化する取り組みであり、収益化の実績を追う必要がある。配当については優先株の条件が明確だが、普通株への長期の定額還元目標は示されていない。会社の5%ETH保有目標はほぼ達成されたものの、その後の普通株1株当たり資産をどう増やすかについて、数値の約束はまだ十分ではない。公開資料から、非公開化や上場廃止について合意済みの取引は確認されなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
世界の金融資産がブロックチェーンへ移るなら、ETHの需要は今より大きくなる。ビットマインはすでに全ETH供給量の約5%を保有しており、将来の需要拡大を受け取る位置にいる。2026年10月の保有枚数は605万枚を超え、ほぼ毎週の購入で目標に近づいた。大量のETHを短期間で確保できた資金調達力は、後発企業には簡単に再現できない。
MAVANが機関投資家向けの検証基盤として定着する可能性もある。リドは2026年6月時点でステーキング市場の約21%を握っていたが、ビットマインも約11.5%まで伸びた。大規模な検証設備を安定運用し、保管業者や機関投資家から新たなETHを集められれば、自社資産の利回りだけに依存しない収益が生まれる。検証の規模が大きくなれば、監視、障害対策、規制対応の費用を分散できる。
2026年には自社株買いにも転じた。40億ドルの枠が適切な価格で実行されれば、発行済み株数の増加を抑え、1株当たりのETH保有量を引き上げられる。大幅な増資でETHを確保する段階から、保有資産の運用と株主還元に移ることができれば、資本配分の評価は改善する。
楽観的な2035年には、保有ETHが約800万枚に増え、ETH価格も大きく上昇する。自社ステーキングと外部顧客向けMAVANの両方が伸び、規模の利点が実際の収益に変わる。暗号資産の所有を上場株式という形で提供する会社として、他社とは異なる投資家層を集められる可能性がある。
慎重な見方
最大の問題は、投資家が株式を通じて購入しているものが、ほとんどETHの価格変動そのものだという点にある。ETHは将来の利用が増える可能性を持つ一方、株主に対して契約上の利益や元本の返済を約束する資産ではない。ステーキング利回りも固定ではなく、参加者が増えれば低下する。2026年に約2.6%だった利回りが、10年後も維持される保証はない。
さらに保有ETHの規模は、経営上の堀と同じではない。コインベース、バイナンス、リド、フィグメントなどが検証サービスを提供している。機関投資家が安全性と費用を比べて他社へ移れば、MAVANの外部顧客向け事業は成長しない。大量のETHを持つだけなら、投資家は直接ETHを保有する選択もできる。
過去の資本配分も慎重に見る必要がある。2025年8月末から2026年7月にかけて、普通株の発行済み株数は大きく増えた。会社全体のETH保有量が増えても、既存株主の持ち分は薄まった。今後も資金調達で資産を増やすだけなら、会社の規模と株主の利益は一致しない。
2026年5月までの9か月間には、暗号資産の評価損を中心に約91億ドルのGAAP純損失を計上した。さらに優先株には固定配当と清算時の優先請求権がある。ETH価格の低迷と利回りの低下が重なれば、普通株主への還元余力は小さくなる。保管事故、検証時の罰則、規制の変更も同時に起きうる。10年後に会社は残っていても、普通株主の価値が大きく減っている筋書きは十分に考えられる。
どちらに重みを置いたか
規模と資本調達の実行力は評価するが、持続的な値決め力と株主還元の実績はまだ弱い。楽観とやや楽観の合計確率は25%、中立は28%、やや悲観と悲観は47%とし、慎重側に寄せた。AI代替の影響は小さな相談業務に限られ、主な悲観理由はETHの価格・利回りと資本配分にある。同じ資産運用領域の大手と異なり、顧客が継続的に支払う報酬の厚みがないため、弱い堀として扱う。
重要なのは基準データの欠陥である。指定の旧株数で計算すると割安に見えるが、実際の発行済み株数を基準にした時価総額とは大きく異なる。試算した10年価値の確率加重現在価値は約19.0億ドルであり、実勢の普通株時価総額約130.4億ドルを大幅に下回る。特殊な資産評価モデル自体にも誤差が大きいため、数値を確定的な目標価値として扱わない。実勢価格に対して十分な安全域が確認できない、という判断を優先する。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 383.19 ドル94 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 −112.99 ドル−28 億ドル)。 今の値に割り戻すと 77.58 ドル19 億ドル、今との差 +284.4%、 期待の年率 +18.9%(資本コスト 10.0%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,174 ドル288 億ドル | −244.75 ドル−60 億ドル | +4,507.1% | +29.8% | 74.38 ドル18 億ドル |
| やや楽観 | 17% | 727.22 ドル178 億ドル | −179.48 ドル−44 億ドル | +2,614.3% | +24.8% | 93.12 ドル23 億ドル |
| 中立 | 28% | 430.63 ドル106 億ドル | −130.53 ドル−32 億ドル | +1,387.1% | +19.2% | 84.03 ドル21 億ドル |
| やや悲観 | 27% | 130.53 ドル32 億ドル | −73.42 ドル−18 億ドル | +183.0% | +5.5% | 15.42 ドル4 億ドル |
| 悲観 | 20% | 48.95 ドル12 億ドル | −32.63 ドル−8 億ドル | −19.1% | −1.1% | 3.26 ドル1 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 383.19 ドル94 億ドル | −112.99 ドル−28 億ドル | +1,239.0% | +18.9% | 270.20 ドル66 億ドル |
今の株価時価総額 20.18 ドル5 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 楽観:ETH需要が拡大し、MAVANも機関投資家の基盤になる 利益 7 億ドル · PER 8.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,174 ドル288 億ドル
2035年には資産のトークン化が広がり、ETHが金融取引と担保移転の基盤として定着している。ETH価格は7500ドル程度まで上昇し、ビットマインの保有枚数は約800万枚となる。ステーキングに回す自社ETHは780万枚で、年換算利回りは2.2%に低下するものの、ドル建ての報酬総額は増える。
MAVANは外部から800万ETHを受託し、大手の保管業者や機関投資家にも採用される。ネットワーク全体のステーキング残高が約7000万ETHになれば、自社分と外部受託分を合わせて大きなシェアを持つ。リドやコインベースとの競争は続くが、監視体制と障害対応の実績が信頼につながる。旧BTC採掘の縮小が進む一方、MAVANの費用効率が改善する。
2026年以降の市場環境が改善し、過去の大規模増資を繰り返さずに株主還元を進められる。会社の規模は大きくなり、優先株の固定配当も十分に賄える。ただしETH価格の大幅上昇による資産価値と、ステーキングの独立した事業利益は別である。保有ETHを全額そのまま普通株の価値として数えるのではなく、売却制約と資本配分の不確実性を残す。
- 自社ETHステーキング・検証報酬:数量 7.8(ステーキングに回す自社ETH枚数(百万ETH))× 価格 165(ETH1枚当たり年間検証報酬(ドル))→ 売上 13 億ドル・営業利益 10 億ドル。ETH7500ドル、利回り2.2%。ネットワーク全体7000万ETH程度、自社検証シェア約11%。
- MAVAN外部顧客向け検証サービス:数量 8.0(外部顧客から受託するETH枚数(百万ETH))× 価格 8.25(外部ETH1枚当たり年間検証サービス手数料(ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。外部800万ETH受託。検証報酬の5%を手数料として得る推定。
- 旧BTC採掘・機器販売・設備賃貸:数量 1,000(稼働ASIC機器台数)× 価格 0.00(機器1台当たりの年間採掘・販売・賃貸収入換算額(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。採掘設備を選別して維持し、設備の更新負担を抑える。
- BTC関連の相談・受託サービス:数量 1.0(2025年度の受託業務量を1とする数量指数)× 価格 0.00(基準業務量当たり受託売上(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替を受けても、専門的な規制対応支援だけは残る。
倍率:k10.0%、g2.0%、弱い堀の残存割合3分の1。事業のROEは6.8÷630で約1.08%、RONICは約7.03%。来年利益に対する正当化PERに1.02を掛けた上限は約9.1倍となる。ETH価格に利益が依存し、ステーキング自体の値決め力が弱いため、その約93%の8.5倍とした。2035年の売却可能資産604億ドルには、保有ETH約600億ドルと現金等から優先株請求権を控除した分を含む。戻り方0.5を適用し、純利益から資産の擬似的な受取利息1.4%を除くため、時価総額は(6.8−604×0.014)×8.5+604×0.5=約287.92億ドル。ETH価格上昇益をさらにPERに重ねていない。
確率:ETHの利用拡大、価格の大幅上昇、検証事業の外部顧客獲得、株主に有利な資本配分が重なる筋書きである。技術と金融制度の双方が順調に進む必要があるため確率は8%とする。
やや楽観 17% やや楽観:ETH保有の価値が伸び、MAVANの外部収益も育つ 利益 4 億ドル · PER 8.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 727.22 ドル178 億ドル
2035年にはETH価格が5200ドル程度となり、保有ETHは約730万枚まで増えている。ステーキングに回す自社ETHは700万枚となるが、報酬率はネットワーク参加者の増加で2.1%まで低下する。保有枚数の拡大と価格上昇が利回り低下を補い、ドル建ての報酬収入は着実に増える。
MAVANは外部500万ETHを受託する。大手の保管業者や機関投資家の一部が利用し、検証サービスは独立した収益源として認識されるようになる。ただしリドやコインベースもシェアを守り、運営手数料は高くならない。採掘事業は縮小するが、残った設備から小さな収益を得る。
会社はETH保有量を追うだけの戦略から、外部顧客収益と株主還元を重視する方針へ移る。2026年の株式発行によって確保した資産を生かし、その後は増資を抑える。普通株の買戻しを続けても、将来の資金調達と株式報酬を差し引いた正味の還元は大きくない。保有資産の一部は売却時の税金や流動性の制約を考慮して評価する。経営の実行力はある程度確認できるが、事業の値決め力は限定的なままである。
- 自社ETHステーキング・検証報酬:数量 7.0(ステーキングに回す自社ETH枚数(百万ETH))× 価格 109(ETH1枚当たり年間検証報酬(ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 6 億ドル。ETH5200ドル、利回り2.1%。ネットワーク全体6500万ETH程度。
- MAVAN外部顧客向け検証サービス:数量 5.0(外部顧客から受託するETH枚数(百万ETH))× 価格 5.46(外部ETH1枚当たり年間検証サービス手数料(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。機関投資家から500万ETHを受託。手数料率は競争で抑えられる。
- 旧BTC採掘・機器販売・設備賃貸:数量 700(稼働ASIC機器台数)× 価格 0.00(機器1台当たりの年間採掘・販売・賃貸収入換算額(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。残存設備を絞り込み、小規模な事業を維持する。
- BTC関連の相談・受託サービス:数量 0.8(2025年度の受託業務量を1とする数量指数)× 価格 0.00(基準業務量当たり受託売上(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替により受託業務量が縮小する。
倍率:k10.0%、g2.0%、事業のROE約0.94%、弱い堀の残存割合3分の1からRONICは約6.98%。正当化PERは翌期利益基準で約8.9倍、10年目利益基準の上限は約9.1倍となる。ETH価格に左右される利益の質を考え、その約90%の8.2倍とする。現金と暗号資産の売却可能価値383億ドルは戻り方0.5で評価する。時価総額は(3.75−383×0.014)×8.2+383×0.5=約178.28億ドル。
確率:ETH価格が物価を上回って上昇し、ステーキングの規模拡大と外部顧客獲得が進む展開である。大きな競争優位の成立までは必要としないが、規制と資本配分が順調である必要があるため17%とする。
中立 28% 中立:ETH価格は名目物価に近い伸び、利回り低下が利益を抑える 利益 2 億ドル · PER 8.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 430.63 ドル106 億ドル
2035年のETH価格は3500ドル程度となる。2026年10月の参考価格から見れば約1.5倍で、想定物価上昇に近い伸びだ。ビットマインの保有ETHは約670万枚となり、自社ステーキングに回す枚数は610万枚程度に増える。ただしネットワーク全体のステーキング残高が約6000万ETHへ増えるため、報酬率は1.9%まで低下する。
MAVANは外部から200万ETHを受託する。機関投資家向けの検証サービスとして一定の需要はあるが、リド、コインベース、バイナンスとの競争で大幅な値上げは難しい。自社ETHから得る報酬が依然として収益のほとんどを占める。旧BTC採掘は事実上の周辺事業となり、相談業務もAIエージェント代替によって受託業務量が縮小する。
会社はETH保有量の拡大をほぼ終え、ステーキングの効率を高める段階へ移る。2026年の優先株に対する固定的な支払いは続き、運営費用も必要になる。暗号資産の大きな評価益が生じない年には、自己資本に対する利益率は低い。保有ETHの時価は約234.5億ドルとなるが、株主がその全額を自由に受け取れるわけではない。資産価値の一部を控えめに評価し、経営による資本配分の不確実性を残す。
- 自社ETHステーキング・検証報酬:数量 6.1(ステーキングに回す自社ETH枚数(百万ETH))× 価格 67(ETH1枚当たり年間検証報酬(ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 3 億ドル。ETH3500ドル、利回り1.9%。ネットワーク全体6000万ETHに対して自社検証シェア約10%。
- MAVAN外部顧客向け検証サービス:数量 2.0(外部顧客から受託するETH枚数(百万ETH))× 価格 3.33(外部ETH1枚当たり年間検証サービス手数料(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。外部200万ETH受託。競争を踏まえ、報酬の5%をサービス手数料とする。
- 旧BTC採掘・機器販売・設備賃貸:数量 200(稼働ASIC機器台数)× 価格 0.00(機器1台当たりの年間採掘・販売・賃貸収入換算額(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。従来の採掘設備は大部分を縮小する。
- BTC関連の相談・受託サービス:数量 0.7(2025年度の受託業務量を1とする数量指数)× 価格 0.00(基準業務量当たり受託売上(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替で実質業務量0.65倍、価格は約1.25倍。
倍率:k10.0%、g2.0%、ROEは1.75÷250で0.7%。弱い堀の残存割合3分の1からRONICは約6.9%。10年目利益に対する正当化PERの上限は約9.1倍となる。主力収入はETH保有から生じる市場利回りで、独立した値決め力が弱いため、上限の約88%の8.0倍とする。期末のETH約670万枚の評価額234.5億ドルに現金等を加え、優先株の請求権を控除した売却可能資産を236億ドルとする。戻り方0.5を適用し、時価総額は(1.75−236×0.014)×8.0+236×0.5=105.57億ドル。資産価値とステーキング報酬を二重に高く評価しないため、資産からの擬似的な受取利息を利益から除く。
確率:ETHの利用が広がる一方、ネットワーク参加者も増え、ステーキング利回りが低下する展開を中心とする。事業の継続は見込めるが強い堀は形成されず、株主還元も限定的であるため28%とする。
やや悲観 27% やや悲観:ETH価格が低迷し、利回りも低下する 利益 0 億ドル · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 130.53 ドル32 億ドル
2035年にはETH価格が1500ドル程度にとどまる。決済や資産のトークン化は進むが、その利益がETH価格へ十分に反映されない。ビットマインは一部のETHを売却して運営費用や固定的な支払いを賄う必要が生じ、保有枚数は約560万枚に減少する。自社ステーキング枚数は380万枚、報酬率は1.5%となる。
MAVANは技術上の事業を維持するが、リドと大手取引所の検証サービスに押される。外部受託残高は50万ETHにとどまり、手数料収入は小さい。大規模保有による費用効率は残るものの、新規顧客を獲得する強みには育たない。旧採掘事業はほぼ終了する。
ETH価格の長期低迷によって、株式を発行してETHを追加購入する経済合理性も低下する。会社は現金確保を優先し、普通株主への還元は限られる。優先株の固定配当と検証基盤の維持費用は残るため、ドル建ての利益は細る。保有ETHは約84億ドルの時価を持つが、売却時の価格変動、流動性制約、優先株の取り分を考慮すると、普通株主が回収できる床はそれより低い。
この筋書きでは、2025年度末から2035年度末までのGAAP純利益累計をマイナス24.9億ドルと見込む。期末の年間純利益は小幅な黒字に戻るものの、途中の暗号資産評価損と運営損失が累計では大きく残る。期間中の増資等の資金流入が普通株還元や株式報酬を18億ドル上回るため、正味のpayoutはマイナス18億ドルとなる。2025年度末自己資本86.9億ドルに累計損失と正味資金流入を反映した2035年度末自己資本は80億ドルに減少する。通常の利益成長ではなく、構造的な収益力の低下を伴う筋書きである。
- 自社ETHステーキング・検証報酬:数量 3.8(ステーキングに回す自社ETH枚数(百万ETH))× 価格 23(ETH1枚当たり年間検証報酬(ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。ETH1500ドル、利回り1.5%。保有枚数の減少と報酬圧縮。
- MAVAN外部顧客向け検証サービス:数量 0.5(外部顧客から受託するETH枚数(百万ETH))× 価格 1.13(外部ETH1枚当たり年間検証サービス手数料(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。外部50万ETH受託にとどまり、価格競争が厳しい。
- 旧BTC採掘・機器販売・設備賃貸:数量 0.0(稼働ASIC機器台数)× 価格 0.00(機器1台当たりの年間採掘・販売・賃貸収入換算額(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。自己採掘を終了する。
- BTC関連の相談・受託サービス:数量 0.6(2025年度の受託業務量を1とする数量指数)× 価格 0.00(基準業務量当たり受託売上(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替により人の工数を売る業務が縮小。
倍率:ETH価格の低迷とステーキング利回りの低下によって純利益は小さくなり、2035年のROEは0.18÷80=0.225%にとどまる。資本コスト10.0%を大きく下回るため、帳簿資本をそのまま価値とは考えない。自己資本は2025年度末の86.9億ドルから、10年間のGAAP純損失累計24.9億ドルを差し引き、正味の外部資金流入18億ドルを加えた80億ドルとなる。すなわち86.9−24.9+18=80億ドルで、現在の自己資本86.9億ドルを下回る。したがって悲観側の床に使う自己資本が現在の自己資本を上回る問題はない。期末自己資本80億ドルにPBR0.40を適用し、時価総額は80×0.40=32億ドルとする。保有ETHの税後売却可能価値から優先株請求権と整理費用を控除した資産の床は30億ドルであり、32億ドルはこれを2億ドル上回る。中立の結果としてのPBR約0.42より低く、過去の市場PBRを倍率の根拠には用いていない。
確率:ステーキング参加者の増加に対してETH需要が十分に伸びず、MAVANの外部顧客獲得も鈍る展開である。暗号資産市場の循環だけでなく、持続的な報酬低下が起こりうるため27%とする。
悲観 20% 悲観:ETHの長期的な需要が弱まり、普通株主の資産が大きく失われる 利益 0 億ドル · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 48.95 ドル12 億ドル
2035年にはETH価格が700ドル程度まで下落する。トークン化や決済の需要は残るが、ETHを保有する経済的な利点が弱まり、他のネットワークや金融基盤へ利用が移る。ネットワーク全体ではステーキングが続いていても、報酬率は0.9%まで低下する。ビットマインは運営費用と資金需要を賄うため一部の保有ETHを処分し、保有枚数は360万枚に減る。
MAVANは外部顧客を十分に獲得できず、自社のETHを検証するための設備として残る。自社ステーキング枚数も200万枚へ縮み、検証事業の収入だけでは固定費を吸収できない。技術の内製化や買収による拡大も成果を生まず、以前の採掘事業は終了する。相談業務はAIエージェントへの置き換えでほとんど残らない。
会社は資産の処分を進めるものの、ETH価格の低迷で普通株主に戻せる価値は限られる。優先株の請求権が先に残り、大量売却の価格影響も避けられない。経営陣がETH保有の拡大を優先してきたため、株主に確実な現金を戻す仕組みも弱い。残る資産を清算価値に近い水準で評価する。会社そのものが必ず倒産するという前提ではないが、長期保有者にとって資本の大部分が失われる筋書きである。
- 自社ETHステーキング・検証報酬:数量 2.0(ステーキングに回す自社ETH枚数(百万ETH))× 価格 6.30(ETH1枚当たり年間検証報酬(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。ETH700ドル、利回り0.9%。保有ETHの売却が進む。
- MAVAN外部顧客向け検証サービス:数量 0.0(外部顧客から受託するETH枚数(百万ETH))× 価格 0.00(外部ETH1枚当たり年間検証サービス手数料(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。外部顧客を失い、自社向けの検証基盤だけが残る。
- 旧BTC採掘・機器販売・設備賃貸:数量 0.0(稼働ASIC機器台数)× 価格 0.00(機器1台当たりの年間採掘・販売・賃貸収入換算額(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。採掘事業は終了する。
- BTC関連の相談・受託サービス:数量 0.3(2025年度の受託業務量を1とする数量指数)× 価格 0.00(基準業務量当たり受託売上(億ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替で業務量が大きく減る。
倍率:検証事業の収益が固定費を賄えず、GAAP純利益は赤字であるためPERは使用しない。期末自己資本30億ドルにPBR0.4を適用すると12億ドルとなる。この価値は保有ETHの処分価値から優先株の請求権と整理費用を差し引いた床12億ドルと一致する。利益による価値は赤字であり、資産の床が上限かつ下限となる。現在の自己資本86.9億ドルに対する実効PBRは約0.14で、中立より十分に低い。
確率:ETH価格の構造的な下落、ステーキング報酬の縮小、機関投資家向けサービスでの競争敗北、資本配分の失敗が重なる筋書きである。極端だが技術の寿命がまだ検証されていないため20%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
自社ETHステーキング・検証報酬
自社保有ETHをネットワーク検証に回し、ETH建ての報酬を得る。収入はステーキング枚数とETH1枚当たりの年間ドル建て報酬で決まる。
| 数量ステーキングに回す自社ETH枚数(百万ETH) | 価格ETH1枚当たり年間検証報酬(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 6.1 | 67 | 4 | 3 |
取り方:2025年の基準期はETHステーキングがまだ本格的な売上源になっておらず、基準売上をゼロとした。2026年5月までの四半期報告では3か月のステーキング売上が4574万ドル。2026年10月25日の会社開示では5227037ETHをステーキングし、年換算報酬率2.58%、ETH参考価格2356ドルで年間報酬は約3.18億ドル。数量の単位を百万枚、価格の単位をドルとするため、売上換算係数は0.01とする。
MAVAN外部顧客向け検証サービス
機関投資家や保管業者から預かったETHの検証を請け負い、報酬の一部を手数料として受け取る事業。自社ETHの報酬とは分けて評価する。
| 数量外部顧客から受託するETH枚数(百万ETH) | 価格外部ETH1枚当たり年間検証サービス手数料(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 2.0 | 3.33 | 0 | 0 |
取り方:2025年のMAVAN外部顧客売上は個別開示がなく、基準値はゼロとする。2026年には外部機関向けの提供を始めたと会社が説明するが、受託残高と純手数料売上の継続的な開示が不足している。将来の価格はETH価格×ステーキング利回り×運営会社の取り分5%という推定式を用いる。リドのプロトコル手数料10%を参考にするが、BMNRの実績料率ではない。
旧BTC採掘・機器販売・設備賃貸
従来の自己採掘、ASIC採掘機器の販売、設備賃貸を合わせた事業。経営方針の転換により縮小している。
| 数量稼働ASIC機器台数 | 価格機器1台当たりの年間採掘・販売・賃貸収入換算額(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,204 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 200 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:2025年8月期10-Kの自己採掘約313万ドル、設備賃貸約188万ドル、機器販売約85万ドルを合計して約586万ドル。2025年2月末の稼働自己採掘機器4204台を数量の代理指標とし、合算売上を台数で割った換算単価を使用した。機器販売と賃貸は採掘台数と厳密には比例しないため、数量と単価は推定である。基準の営業損失はfactsの全社値に合わせている。
BTC関連の相談・受託サービス
暗号資産関連の技術支援や相談業務。人の工数に依存する小規模なサービスで、AIエージェントによる代替を受けやすい。
| 数量2025年度の受託業務量を1とする数量指数 | 価格基準業務量当たり受託売上(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.7 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:2025年8月期10-Kの相談業務売上約23.5万ドルを基準とする。顧客件数と工数は非開示のため、実件数を作らず基準業務量指数で表した。AIエージェント代替の人月・工数型に分類し、中立の10年後の業務量を0.65倍、価格を1.25倍とする。全社売上への影響は小さい。
リスクと懸念
ETH価格への極端な集中
会社の保有資産と収益の大部分がETHに結びついている。2026年10月の約605万ETHは当時の価格で約142.6億ドルに相当したが、ETH価格が半分になれば資産価値も大きく減る。ステーキング報酬はETH建てで支払われるため、ドル換算の売上も同時に減る。一般的な資産運用会社のように異なる顧客や資産クラスで収益を分散しているわけではない。
ステーキング利回りの長期低下
2026年10月時点の年換算利回りは約2.58%だった。ネットワーク全体のステーキング枚数が増えると、1枚当たりの報酬率は低下しやすい。報酬率が1%台へ下がれば、ETH価格と保有枚数が同じでも収入は大きく減る。ビットマインは報酬単価を自社で決められず、大手検証事業者との競争によって外部顧客向け手数料にも引き下げ圧力が生じる。
保管・検証の事故と流動性制約
大量のETHをステーキングすると、検証設備の障害、誤作動、悪意のある行動に対する罰則で元本の一部を失う危険がある。保管業者の障害や秘密鍵の流出も致命的になりうる。ステーキング中のETHは即座に引き出せるとは限らず、価格急落時に必要な資金を用意できない可能性がある。保有資産が大きいことと、必要な時に安全に換金できることは別である。
増資・優先株と普通株主の取り分
2025年から2026年にかけて大規模な普通株発行が行われ、株数は急増した。保有ETHの総量が増えても、既存株主に帰属するETHが増えるとは限らない。2026年6月に発行した永久優先株には額面3.5億ドルの優先請求権と年約0.33億ドルの固定配当がある。株価が下がった局面で再び資金調達が必要になれば、普通株主の残余価値がさらに小さくなる。
規制・金融制度とネットワークの技術変更
米国や海外で暗号資産の保管、ステーキング、証券性に関する規制が変われば、現在の事業構造を維持できなくなる可能性がある。米国の1940年投資会社法の対象と判断されれば、追加の規制負担や資産構成の変更が必要になりうる。Ethereum自体も更新を続けており、報酬の仕組みやレイヤー2との関係が変化する。制度と技術の両方に依存するため、10年先の予測には大きな幅がある。
内部統制と戦略投資の資本配分
2026年5月までの四半期報告では、財務報告に関する内部統制上の重要な不備が残っていた。暗号資産、ワラント、デリバティブ、未上場株式を扱う会社にとって、評価と記録の正確さは重要である。ビースト・インダストリーズやエイトコへの戦略投資は本業の検証報酬とは異なる危険を持つ。買収や新規投資が株主の利益に結びついたかは、継続して検証する必要がある。
AIエージェント代替
2025年の相談業務売上は小さいが、人の工数を売る部分にはAIエージェント代替が当てはまる。技術調査、定型的な助言、設定作業などはAIが代替し、受託件数と単価に下押し圧力がかかる。中立では業務量を10年で0.65倍とした。一方、ETHを直接検証するネットワーク処理と暗号資産の所有自体は、この分類の人月・席課金型の代替対象ではない。AIを理由にステーキング収益が自動的に増えるとも考えない。
今後の分かれ目
- ETH価格が長期にわたり名目物価を上回って上昇し、実際の利用量も増えたら
- 保有資産の売却可能価値が増える。ステーキング報酬のドル換算額も大きくなり、楽観側の確率を引き上げる。ただし追加の増資による株主の希薄化を差し引いて判断する。
- ステーキング利回りが1.5%以下へ下がり、回復しなかったら
- ネットワーク参加者の増加による報酬圧縮が構造的になったと判断する。中立の検証報酬単価と純利益を下方修正し、やや悲観の確率を引き上げる。
- MAVANの外部受託ETHが200万枚を超え、継続的な手数料収入が開示されたら
- 自社ETHの市場利回り以外に独立した収益源が育った証拠となる。解約率、手数料率、運営利益も確認したうえで、事業の堀と利益の質を再評価する。
- 普通株の発行済み株数が再び大幅に増え、1株当たりのETH保有量が減少したら
- 会社全体の保有ETHが増えていても、普通株主の持ち分は薄くなる。資本配分への評価を下げ、増資を差し引いた正味の還元と既存株主の取り分を見直す。
- ETHの保管・検証事故が起き、元本の一部を失ったら
- 失われたETHの時価を資産価値から直接差し引く。さらに外部顧客の解約や規制対応費用が増える可能性を考え、悲観側の確率を引き上げる。
- 普通株の自社株買いが継続し、株式報酬と増資を上回る純還元が確認されたら
- 資本配分の改善と評価する。保有資産が普通株主へ戻る確実性が高まれば、資産の回収割合を上げる根拠になる。ただし買戻し価格が保有資産の価値に見合うことが条件である。
- 新しい規制によってETH保有会社が投資会社として扱われ、資産売却を迫られたら
- MAVANの事業継続とETH保有方針が制約される。売却時の税金、価格への影響、優先株の請求権を再評価し、事業の継続価値より清算価値を重視する。
見ておくもの
- 自社保有ETH枚数とETH総供給量に対する保有割合
- ステーキング中のETH枚数とネットワーク全体のステーキング残高
- ETH建て年間報酬率とドル建ての実際の報酬売上
- MAVANの外部受託ETH枚数、顧客数、手数料率、解約率
- 普通株の発行済み株数と1株当たりの保有ETH枚数
- 普通株の増資額、自社株買い額、株式報酬の正味の差
- BMNP優先株の配当負担と優先請求権
- ETHの取得原価、公正価値、売却済み数量、評価損益
- 2026年5月期に残っていた内部統制上の重要な不備の解消状況
- ステーキング事業の障害、罰則、保管業者の変更と規制対応
- ETH保有総額と普通株時価総額の差、および新規発行を伴う資本政策
- 実際の発行済み株数に基づく時価総額と、分析台帳の株数の整合性
倍率と資本コストの決め方
評価は現在のPERや過去のPBRの底から逆算していない。主力事業の数量はステーキングETH枚数、価格はETH建て報酬率とドル換算ETH価格から求めた。弱い堀、k10.0%、g2.0%とRONICの式から利益倍率を定め、ETHの売却可能価値は別建てで扱った。ステーキング報酬は保有ETHから生じるため、資産と利益の二重計上を避ける保守的な調整を加えている。
悲観側のPBRは今の自己資本を超えて積み上げた自己資本を床に使わない。やや悲観の自己資本は86.9−24.9+18=80億ドルで現在の86.9億ドル以下となり、PBR0.40との積は32億ドルで一致する。ETHの売却可能資産の税後床30億ドルも上回る。悲観は自己資本30億ドルとPBR0.40から12億ドルとする。
重大な限界がある。factsの24515226株は2025年度の希薄化後平均株数であり、2026年7月にSECが報告した発行済み普通株603226394株とは一致しない。さらに2026年の巨額増資と暗号資産評価損益は、2025年基準の自己資本86.9億ドルから通常の純利益と還元だけで連続的に説明できない。各筋書きのnet_sum_okuには暗号資産の公正価値変動を含め、payout_okuには追加調達と還元を差し引いた仮定を入れたが、実際の全期間の資金流入と完全に照合できるものではない。旧台帳の株数で出る機械的な割安判定は無効であり、本質価値も参考試算にとどまる。実勢株式数と最新の資本取引を反映して再計算することが不可欠である。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の基本資本コスト8.0%にquality2.0ポイントを加えて10.0%とした。資産運用大手の8〜9%台より高いが、同業大手の顧客契約型収益とBMNRのETH保有型収益の差による。市場ベータや株価倍率は使用しない。個別の資本配分や保管事故は追加の資本コストに重ねず、筋書きと確率で扱う。