結論
プリンシパル・ファイナンシャル・グループ(Principal Financial Group)は、米国の中小・中堅企業の確定拠出年金(401(k))の記録管理と運用を柱に、団体障害・歯科などの特別保険、運用会社(プリンシパル・アセット・マネジメント)、チリ・メキシコ・香港などの国際年金で稼ぐ会社で、生命保険というより「退職と給与・福利の窓口」に近い。2025 年の営業利益ベースの純利益(会社の非 GAAP 営業利益)は約 18.7 億ドル、GAAP の純利益は約 11.9 億ドルで、差は再保険の資金留保に含まれるデリバティブの時価評価や実現損益から来る。2026 年 4〜6 月期は営業利益 5.5 億ドル(前年同期比 +12%)、ROE は 16.4% で会社の目標 15〜17% の中ほどより上。
純利益は、デリバティブ・時価評価の一時的な損益を除いた営業利益ベースで置いた。会社の営業利益の定義は実現損益・撤退事業・その他の税引後項目を除くもので、株式報酬の足し戻しは確認できず、株式報酬は費用に入っている。そこから、信用の実現損失など消えない損の分として 7% を引き(営業利益 × 0.93、今の基準は約 17.3 億ドル)、これを純利益の出発点にした。
資本コスト 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)、ROE 約 14%(10 年後に 17%)、検査の式の g 4%(この会社の長期成長は 3.8%)から利益ベースの正当化 PER 16.2 倍を出し、10 年後の中立はその 7.5 割の 12.1 倍に置いた。成長は ROE から出さず、預かり資産の市場の伸び × シェア × 手数料率で積み上げ、10 年で純利益は 1.7 倍(年 5.6%)。弱点は運用の資金流出(2026 年 4〜6 月期 111 億ドル)、記録管理・運用の手数料の下落、信用損失で、確率は悪い側を少し厚くした。この置き方では、10 年の価値は今の時価総額を 1 割強上回るが、期待の年率は 8% 前後で資本コストと同程度のため、やや割安にとどまる。結論は資本コストと ROE に敏感。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業が存在し、今より強いかを問う。確定拠出の記録管理、団体保険、国際年金はどれも物価が上がっても手数料と保険料を引き上げられ、老後資金と福利の需要が続く事業で、潰れにくい。堀は、小企業・中堅の顧客との関係と、給与・福利・運用を束ねる窓口、国際年金の制度に根づいた積立。10 年後も残る。ただし運用はアクティブ株の流出が続き、確定拠出の手数料は競合の規模で下がる。堀は広がるより、狭まらずに維持するのが現実的。
次にオーナー利益。営業利益ベースの純利益は約 18.7 億ドル、そこから信用の実現損失などを引いた 17.3 億ドルを基準にすると、今の時価総額は約 13.6 倍。ROE は 14% から 17% へ上がる見込みで、8 割を還元しても伸びる。
安全域。利益ベースの倍率は 10 年目の利益に対し PER 約 12 倍で、10 年の価値は今の時価総額を 1 割強上回る。ただしその倍率は資本コスト 8.25% に敏感で、借金 39.5 億ドル・自己資本の薄さ・信用損失の余地を考えると、確信度は中程度。
何で稼ぐ会社か
退職・所得ソリューション(RIS)は、企業の確定拠出年金の記録管理と投資の窓口で、預かり資産に応じた手数料が収益になる。2026 年 4〜6 月期の純収益は 7.79 億ドル、税引前の営業利益は 3.23 億ドルで利益率は 41.5%。移管入金(他社からの預かり替え)は 90 億ドルで前年比 +30%、経常入金は +6%。小企業向けの複数事業主年金(PEP)では参加者数が最も多い。年金・ファンディング契約などの利ざや事業も持つ。
資産運用(PAM)は 2 つに分かれる。運用(米国の債券・不動産・アクティブ株と民間市場)の運用資産は 6,019 億ドルで、税引前の営業利益は 1.59 億ドル(利益率 37.5%)。国際年金(チリ・メキシコ・香港など)は運用資産が 1,685 億ドル(前年比 +18%)、利益は 0.97 億ドルで利益率 52.5%。2026 年 4〜6 月期の資金の純流出は 111 億ドルで、米国アクティブ株の少数の戦略に集中している。
特別保険は雇用主向けの団体障害・生命・歯科・視力で、保険料・手数料は 8.73 億ドル(四半期)、給付率 57.4%、利益率 18.2%。2026 年 9 月にはビーム・ベネフィッツ(小企業 2.5 万社に歯科・視力を売るデジタル事業・保険料約 1.75 億ドル)を買収したと報じられた。個人生命保険は縮小する小さな事業で、利益はほぼゼロ(TTM 0.17 億ドル)。本社費用は TTM で 4.1 億ドルのマイナス。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 は小企業・中堅の確定拠出での顧客数と、給与・福利・運用を 1 つの窓口で束ねる関係で、離れるときの手間が大きく、PEP の参加者数は業界 1 位。第 2 は国際年金で、チリ・メキシコ・香港などの制度に根づいた積立の仕組みが、利益率 50% 台の事業になっている。第 3 は特別保険の引受で、団体障害・歯科を小企業から大企業まで広く持ち、給付率が 57% 台と良い。
弱みも多い。運用は米国アクティブ株の流出が止まらず、AUM の純流出は 2025 年に 88 億ドル(2024 年 50 億ドル)、2026 年 4〜6 月期だけで 111 億ドル。確定拠出の記録管理は規模の競争で、エンパワー(Empower)・フィデリティ・バンガードが手数料を下げる側に立つ。GAAP の純利益は営業利益より変動が大きく、2025 年は営業利益の 64%、2024 年は 96%。自己資本比率が 3% 台と薄く、有利子負債 39.5 億ドルを持つ。
経営は ROE 15〜17%・資本配分 年 15〜18 億ドル・総還元 75〜85% の枠組みを守り、2026 年も目標の上端を超えた。のれん・無形資産は合計約 29 億ドルで自己資本の 2 割強、小さな買収(ビーム・デンタネット)を繰り返す。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の退職資産は市場の上昇と給与からの積立で、名目で年 6〜7% 増える(物価 3.5% + 実質 3% が目安)。金利 5% の世界では債券の利回りが上がって積立の魅力が増す一方、預かり資産の手数料は資産価値に連動するので、株式相場の山谷が収益に出やすい。
確定拠出の記録管理は、フィデリティ・バンガード・エンパワー・ボヤ(Voya)・トランスアメリカなどとの競争で、手数料の標準化が進む。小企業はギデライン(Guideline)・ヒューマン・インタレストなどの新興が安い価格で入り、PEP(複数事業主年金)では会社が束ねて小さな会社に配る。団体保険はユナム・メットライフ・ガーディアン・リンカーン(Lincoln)・サン・ライフなどが相手で、障害の保険料は 2024 年で約 199 億ドル、年 4〜5% の伸び。新規販売は 2025 年に 30 億ドルと前年比 −6% で、価格競争が厳しい。
運用は、パッシブ・ETF・私募の運用会社(アポロ・ブラックストーン・KKR)への資金移動が構造的に続き、アクティブ株は流出、民間市場と国際年金は伸びる。循環の位置:株式市場は高く、預かり資産と手数料は山に近い。信用は損失が少ない山。特別保険の給付率は良い側で、ここから悪化する余地が大きい。
資本政策と M&A
還元は 2025 年に 15 億ドル超、2026 年 4〜6 月期は 4.27 億ドル(買い戻し 2.5・配当 1.77)。配当は四半期で約 2.5% 増額し、総還元は営業利益の 75〜85%、配当性向 40% を目標にしている。資本配分は年 15〜18 億ドルで、買収もこの枠に入る。余剰資本は 16 億ドル、株数は年 2% 前後減る。
M&A は小さな買収が中心。2026 年 7 月にビーム・ベネフィッツの買収を発表し、9 月 1 日に完了と報じられた(価格は非開示、保険料約 1.75 億ドル)。歯科ネットワークの買収も重ねている。大型買収は目立たず、2026 年の 1 株利益・資本配分の目標は変えていない。
オーナー利益の目で見ると、営業利益の約 8 割を返していて再投資は小さい。ROE が 15% 前後と高いので、少ない再投資でも利益が伸びるが、割高の局面での自社株買いは価値を減らすため、倍率が上がったときの買い戻し量に注意する。この分析は正味の還元を純利益の 80% と置いた(配当 + 自社株買い − 株式報酬による増加分)。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 4.9 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
2026 年 4〜6 月期の営業利益は前年比 +12%、特別保険の給付率は 57.4% に改善し、利益は +25%。退職は移管入金が +30%、国際年金の運用資産は +18% で利益率は 52.5% まで上がった。会社は 2026 年の 1 株利益 +9〜12%、ROE 15〜17% を掲げ、上半期は上限を超えた。
退職の預かり資産は 1.9 兆ドル近くまで増え、市場が年 6% 伸びるだけで手数料は増える。ビーム・ベネフィッツの買収で特別保険の伸びが 2027 年に市場目標 5〜9% の上端以上になり、小企業のデジタル販売の入口を得た。運用は米国アクティブ株の流出が目立つが、民間市場の運用資産は +10%、国際年金は +18% で、利益率が高い事業が伸びる構成に変わっている。
自己資本の ROE が 15% 前後あり、営業利益の約 8 割を配当と自社株買いで返しても伸びる。利益ベースの PER の上限は ROE 17%・資本コスト 8.25% で約 16 倍、中立はその 7.5 割の約 12 倍。市場が付ける営業利益ベース PER 約 13 倍とほぼ同じで、利益の伸びが価値を作る。
慎重な見方
運用の資金流出は 2026 年 4〜6 月期に 111 億ドルで、前年同期(26 億ドル)の 4 倍強。アクティブ株の顧客がパッシブ・ETF・私募へ移る流れは構造的で、手数料率は下がり続ける。確定拠出の記録管理は、エンパワー・フィデリティ・バンガードの規模と値下げで標準品化する。
利益の質にも疑問がある。GAAP の純利益は営業利益の 2025 年 64%、2024 年 96%、会社の非 GAAP 営業利益は実現損益を除くので、信用損失が出ると差が広がる。自己資本比率は 3% 台と薄く、有利子負債は 39.5 億ドル。私募の信用・商業用不動産ローンの損失が出れば、2008 年のように株価は 8 割下がる(2007 年末から 2009 年初めで −88%)。
特別保険の給付率 57.4% は良い方に偏った水準で、団体障害・歯科は競合(ユナム・メットライフ・ガーディアン)の値下げで戻りやすい。2026 年の営業利益の勢いは市場の高さと給付率の良さに支えられており、これが戻ると 1 株利益の目標 9〜12% は届かない。PER 12 倍でも払いすぎかもしれない。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は営業利益の勢いと ROE の高さ、民間市場・国際年金の伸びを正しく突き、慎重な見方は運用の流出・手数料率の下落・信用損失の余地を正しく突いている。利益の質は営業利益に 0.93 を掛けて数字に入れ、手数料率の下落と運用のシェア低下は 10 年の数量・価格に入れた。確率は日本の不祥事を抱える PRU より良い側に寄せるが、運用の流出と市場連動の収益を重く見て、悲観を 13%、やや悲観を 22% に置いた。倍率は利益ベースの正当化 PER の 7.5 割前後。強気の見方がやや勝つが、期待の年率は資本コストと同程度で、幅は流出と手数料の下落の分だけ狭めた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 153.58 ドル332 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 77.69 ドル168 億ドル)。 今の値に割り戻すと 121.78 ドル263 億ドル、今との差 +10.6%、 期待の年率 +7.7%(資本コスト 8.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 259.98 ドル561 億ドル | 100.09 ドル216 億ドル | +227.0% | +12.6% | 28.81 ドル62 億ドル |
| やや楽観 | 21% | 200.37 ドル433 億ドル | 90.37 ドル195 億ドル | +164.0% | +10.2% | 61.05 ドル132 億ドル |
| 中立 | 36% | 166.60 ドル360 億ドル | 85.27 ドル184 億ドル | +128.7% | +8.6% | 90.68 ドル196 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 110.42 ドル238 億ドル | 67.67 ドル146 億ドル | +61.7% | +4.9% | 39.18 ドル85 億ドル |
| 悲観 | 13% | 49.51 ドル107 億ドル | 39.42 ドル85 億ドル | −19.2% | −2.1% | 11.56 ドル25 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 153.58 ドル332 億ドル | 77.69 ドル168 億ドル | +110.0% | +7.7% | 231.28 ドル499 億ドル |
今の株価時価総額 110.11 ドル238 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 退職と特別保険で市場以上に伸びる 利益 39 億ドル · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 259.98 ドル561 億ドル
2035 年、退職の預かり資産は年 7%(市場 7.5%・シェア −0.5pt)で 2 倍に近づき、手数料の低下は 3% にとどまる。資産運用は民間市場・国際年金で年 5.8%、手数料率の低下は 7%。特別保険は小企業向けのデジタル販売(ビーム)で市場より速く伸び、シェア 3.4% から 4.4% へ上がる。純利益は約 38.5 億ドル、ROE 21.3%、長期の伸び 4.3%(物価 3.5% + 市場実質 1.2% − シェア・手数料率 0.4%)。10 年の正味還元は 216 億ドル。競合ではエンパワー・フィデリティが規模の価格で迫るが、小企業・中堅の確定拠出の面と給与・福利のつながり(ひとつの窓口)で守る。
- 退職・所得ソリューション(RIS):数量 24,000(預かり資産(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産あたりの純収益)→ 売上 56 億ドル・営業利益 24 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 資産運用(プリンシパル・アセット・マネジメント):数量 13,300(運用資産(億ドル))× 価格 0.00(運用資産あたりの収益率)→ 売上 38 億ドル・営業利益 16 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 特別保険(団体障害・団体生命・歯科・視力):数量 1,800(米国の対象保険料市場(億ドル)× シェア)× 価格 4.4%(シェア)→ 売上 79 億ドル・営業利益 15 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 個人生命保険:数量 2,100(米国の個人生命の保険料市場(億ドル)× シェア)× 価格 0.6%(シェア)→ 売上 13 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 21.3%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 181 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 14.8%、g 4.0%(市場 +6.5%、シェアと手数料率の減りを引いて名目 3.8% 前後。式の 4% に近い)。式の値は 17.2 倍で、これが検査の上限になる。退職の記録管理と資産運用は、競合の値下げで手数料率が下がる流れ。利益率は保てても、伸びは市場並みにとどまる。 上限の 8.5 割の 14.6 倍に置いた。
確率:退職の記録管理で市場以上に伸び、特別保険の小企業向けデジタル販売が成功する筋書き。運用の流出が構造的に続いており、楽観は 8% にとどめる。
やや楽観 21% 市場並みを超えて伸び、ROE 目標を守る 利益 33 億ドル · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 200.37 ドル433 億ドル
2035 年、退職の預かり資産は年 6.4%、資産運用は年 4.8%、特別保険は市場 5.5% + シェア上昇(3.4% → 4.1%)で年 7.6%。運用の手数料率は年 1% ずつ下がるが、民間市場と国際年金の構成が上がって下げ幅を抑える。純利益は約 32.7 億ドル、ROE 18.7%、長期の伸び 4.0%。10 年の正味還元は 195 億ドル。 競合では、エンパワー・フィデリティと価格で張り合いながら小企業・中堅の窓口を守り、ビーム・ベネフィッツの小企業向けデジタル販売がシェアを 3.4% から 4.1% へ押し上げる。国際年金(チリ・メキシコ・香港)は制度に根づいた積立で年 8% 近く伸び、利益率 50% 台を保つ。民間市場の運用が新しい手数料の柱になり、アクティブ株の流出を補う。
- 退職・所得ソリューション(RIS):数量 22,200(預かり資産(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産あたりの純収益)→ 売上 51 億ドル・営業利益 21 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 資産運用(プリンシパル・アセット・マネジメント):数量 12,160(運用資産(億ドル))× 価格 0.00(運用資産あたりの収益率)→ 売上 34 億ドル・営業利益 14 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 特別保険(団体障害・団体生命・歯科・視力):数量 1,730(米国の対象保険料市場(億ドル)× シェア)× 価格 4.1%(シェア)→ 売上 71 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 個人生命保険:数量 1,960(米国の個人生命の保険料市場(億ドル)× シェア)× 価格 0.6%(シェア)→ 売上 11 億ドル・営業利益 1 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 18.7%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 175 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 13.5%、g 4.0%(市場 +6.5%、シェアと手数料率の減りを引いて名目 3.8% 前後。式の 4% に近い)。式の値は 16.5 倍で、これが検査の上限になる。退職の記録管理と資産運用は、競合の値下げで手数料率が下がる流れ。利益率は保てても、伸びは市場並みにとどまる。 上限の 8.0 割の 13.2 倍に置いた。
確率:市場並みを少し超えて伸び、利益率も保つ。ROE 目標 15〜17% が続く筋書きで 2 割強。
中立 36% 市場とともに伸び、手数料率は下がるが利益率は保つ 利益 30 億ドル · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 166.60 ドル360 億ドル
2035 年、市場(預かり資産)は年 6.5%(物価 3.5%、実質 3%)、退職はシェアを少し失って年 5.9%、手数料率は競合の値下げと記録管理の標準化で 10 年で 7% 下がる。資産運用は流出で年 4.3%(市場 6.5% − シェア 2.2pt)、手数料率は 12% 下がる。特別保険は市場年 5.5%・ビームでシェア 3.4% → 3.9%。利益率は退職 42%・運用 40%・特別保険 17% と今の水準を保つ。純利益は約 29.7 億ドル(今の 1.7 倍)、ROE 17.2%、長期の伸び 3.8%(物価 3.5% + 市場実質 0.9% − シェア・手数料率 0.6%)。10 年の正味還元は 184 億ドル。
- 退職・所得ソリューション(RIS):数量 21,360(預かり資産(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産あたりの純収益)→ 売上 48 億ドル・営業利益 20 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 資産運用(プリンシパル・アセット・マネジメント):数量 11,552(運用資産(億ドル))× 価格 0.00(運用資産あたりの収益率)→ 売上 31 億ドル・営業利益 13 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 特別保険(団体障害・団体生命・歯科・視力):数量 1,708(米国の対象保険料市場(億ドル)× シェア)× 価格 3.9%(シェア)→ 売上 67 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 個人生命保険:数量 1,820(米国の個人生命の保険料市場(億ドル)× シェア)× 価格 0.5%(シェア)→ 売上 10 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 17.3%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 172 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 12.8%、g 4.0%(市場 +6.5%、シェアと手数料率の減りを引いて名目 3.8% 前後。式の 4% に近い)。式の値は 16.2 倍で、これが検査の上限になる。退職の記録管理と資産運用は、競合の値下げで手数料率が下がる流れ。利益率は保てても、伸びは市場並みにとどまる。 上限の 7.5 割の 12.1 倍に置いた。
確率:市場とともに伸び、競合の値下げで手数料率が下がる中で利益率を保つ最頻の筋書き。会社の目標よりは控えめ。
やや悲観 22% 運用が構造的に流出、記録管理も価格競争に 利益 21 億ドル · PER 11.3 倍 · 株価時価総額 110.42 ドル238 億ドル
2035 年、退職は年 4.5%(エンパワー・フィデリティ・バンガードにシェアを失い、手数料率も 12% 下がる)、資産運用は年 2.5%(アクティブ株の流出が構造化し、パッシブ・ETF・私募の自前運用へ顧客が移る)、特別保険は市場並みの年 4.8%、給付率が 2020 年代前半の水準に戻って利益率 15%。純利益は約 21.1 億ドル、ROE 12.6%、長期の伸び 3.3%。10 年の正味還元は 146 億ドル。 競合では、アポロ・ブラックストーン・KKR が私募の運用を自前で抱え込み、運用会社の収益の柱になる民間市場の新規資金も奪う。確定拠出の小企業向けは新興の低価格事業者が入り、PEP も値下げ競争になる。利益率は退職 39.5%・運用 37.5%・特別保険 15% と今より下がり、ROE は目標 15〜17% を割る。
- 退職・所得ソリューション(RIS):数量 18,600(預かり資産(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産あたりの純収益)→ 売上 40 億ドル・営業利益 16 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 資産運用(プリンシパル・アセット・マネジメント):数量 9,728(運用資産(億ドル))× 価格 0.00(運用資産あたりの収益率)→ 売上 25 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 特別保険(団体障害・団体生命・歯科・視力):数量 1,620(米国の対象保険料市場(億ドル)× シェア)× 価格 3.4%(シェア)→ 売上 55 億ドル・営業利益 8 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 個人生命保険:数量 1,680(米国の個人生命の保険料市場(億ドル)× シェア)× 価格 0.5%(シェア)→ 売上 9 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 12.6%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 168 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 10.4%、g 4.0%(市場 +6.5%、シェアと手数料率の減りを引いて名目 3.8% 前後。式の 4% に近い)。式の値は 14.5 倍で、これが検査の上限になる。退職の記録管理と資産運用は、競合の値下げで手数料率が下がる流れ。利益率は保てても、伸びは市場並みにとどまる。 上限の 7.8 割の 11.3 倍に置いた。
確率:運用の流出が構造化し、確定拠出の記録管理が価格競争に入る。エンパワー・フィデリティの規模が効く。2 割強。
悲観 13% 手数料が崩れ、優良な事業でなくなる 利益 12 億ドル · PBR 0.9 倍 · 株価時価総額 49.51 ドル107 億ドル
2035 年、確定拠出の記録管理が標準品になって手数料が 2 割下がり、運用は流出が続いて運用資産が 10 年で横ばい、手数料率も 25% 下がる。特別保険は給付率の悪化で利益率 12%。営業利益は今の約 7 割、純利益は約 11.9 億ドル、ROE 7.7%、長期の伸び 2.8%。優良ではなくなり、PBR は式(ROE 7.7%・g 2.8%・k 8.25%)で約 0.90 倍。10 年の正味還元は 85.1 億ドル(利益の約 75%。損失に備えて配当と買い戻しを絞る)。 競合では、エンパワー・フィデリティ・バンガードが確定拠出を標準品にして手数料を下げ、運用はパッシブと私募の自前運用に顧客を奪われ、国際年金も制度変更(チリの年金改革など)で利益率が下がる。2020 年代前半に積んだ私募の信用資産で損失が出て、自己資本も目減りする。ROE は 8% 前後で、成長の乏しい金融会社になる。
- 退職・所得ソリューション(RIS):数量 15,600(預かり資産(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産あたりの純収益)→ 売上 31 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 資産運用(プリンシパル・アセット・マネジメント):数量 7,600(運用資産(億ドル))× 価格 0.00(運用資産あたりの収益率)→ 売上 18 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 特別保険(団体障害・団体生命・歯科・視力):数量 1,500(米国の対象保険料市場(億ドル)× シェア)× 価格 3.1%(シェア)→ 売上 46 億ドル・営業利益 6 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
- 個人生命保険:数量 1,400(米国の個人生命の保険料市場(億ドル)× シェア)× 価格 0.5%(シェア)→ 売上 7 億ドル・営業利益 0 億ドル。数量・価格・利益率は筋書きの本文のとおり
倍率:構造的に ROE が 7.7%(純利益 11.9 億ドル ÷ 自己資本 154 億ドル、含み損・資金留保デリバティブの戻し後)に落ち、g 2.8%・k 8.25% の式 PBR = (ROE − g)/(k − g) で 0.90 倍。g の内訳は物価 3.5% + 市場実質 0.5% − シェア・手数料率 1.2%。式どおりで割り引いていない。今の自己資本 119 億ドルに掛けて時価総額 約 107 億ドル。
確率:10 年のうちに記録管理の標準化・運用手数料の崩壊・信用事故が重なり、優良な事業でなくなる確率。13%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
退職・所得ソリューション(RIS)
確定拠出(401(k))の記録管理・投資一任の手数料と、年金・ファンディング契約などの利ざや事業。数量は預かり資産、価格は預かり資産あたりの純収益。
| 数量預かり資産(億ドル) | 価格預かり資産あたりの純収益 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12,000 | 0.00 | 29 | 12 |
| 10 年後 中立 | 21,360 | 0.00 | 48 | 20 |
取り方:預かり資産(AUA)は 2026 年 6 月末で 1 兆 8,924 億ドル(前年比 +9%)。うち退職の確定拠出・年金の預かりを約 1 兆 2,000 億ドルと推定(残りは運用の第三者資金など)。純収益は 2026 年 4〜6 月期 7.79 億ドルで 2025 年を約 29 億ドルと置き、預かり資産あたり 0.24%。税引前の営業利益は TTM(2026 年 6 月まで)12.35 億ドルから 2025 年を 11.9 億ドルと推定。利益率 41%(4〜6 月期 41.5%)。手数料率は競合と標準化で物価並みには上がらない。
資産運用(プリンシパル・アセット・マネジメント)
運用(米国の債券・不動産・アクティブ株と民間市場)と国際年金(チリ・メキシコ・香港など)。数量は運用資産、価格は運用資産あたりの収益。
| 数量運用資産(億ドル) | 価格運用資産あたりの収益率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 7,600 | 0.00 | 24 | 9 |
| 10 年後 中立 | 11,552 | 0.00 | 31 | 13 |
取り方:運用資産は 2026 年 6 月末で 8,080 億ドル(+7%。運用 6,019・国際年金 1,685)、2025 年の平均を約 7,600 億ドルと置く。収益は運用が約 4.3 億ドル/四半期・国際年金が 1.85 億ドル/四半期で、年約 23.5 億ドル(収益率 0.31%)。税引前の営業利益は TTM 9.71 億ドルから 2025 年を 9.4 億ドルと推定(運用の利益率 37.5%・国際年金 52.5%)。手数料率はパッシブ化と民間市場の手数料圧縮で下がる。
特別保険(団体障害・団体生命・歯科・視力)
雇用主向けの団体障害・生命・歯科・視力と、ビーム・ベネフィッツで入った小企業向けの歯科・視力・付帯。数量は米国の対象保険料市場、価格は市場に占めるシェア。
| 数量米国の対象保険料市場(億ドル)× シェア | 価格シェア | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000 | 3.4% | 34 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1,708 | 3.9% | 67 | 11 |
取り方:団体障害の保険料は 2024 年で約 199 億ドル(ミリマン)、これに団体生命・歯科・視力・付帯を加えた対象市場を約 1,000 億ドルと推定し、シェア 3.4% で保険料・手数料約 34 億ドル(2026 年 4〜6 月期は 8.73 億ドル)。税引前の営業利益は TTM 5.93 億ドルから 2025 年を 5.35 億ドルと推定(利益率 15.7%、4〜6 月期は給付率 57.4% で 18.2%)。市場は物価 3.5% + 実質 2% で年 5.5%。
個人生命保険
個人向け生命保険(新規は絞っており、保有契約が中心)。数量は米国の個人生命の保険料市場、価格はシェア。
| 数量米国の個人生命の保険料市場(億ドル)× シェア | 価格シェア | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,400 | 0.6% | 9 | 0 |
| 10 年後 中立 | 1,820 | 0.5% | 10 | 0 |
取り方:保険料・手数料は 2026 年 4〜6 月期 2.24 億ドル(前年 2.38 億ドル)で年約 9 億ドル、市場を約 1,400 億ドルと推定しシェア 0.64%。TTM の税引前利益は 0.17 億ドルとほぼゼロ(4〜6 月期は 0.25 億ドル)。縮小を続ける小さな事業で、全体への寄与は薄い。
リスクと懸念
運用の資金流出が構造化する
AUM の純流出は 2025 年 88 億ドル、2026 年 4〜6 月期 111 億ドル。米国アクティブ株の顧客がパッシブ・ETF・私募へ移り続けると、運用の収益と手数料率が下がる。運用の利益は TTM で 6.2 億ドル、国際年金 3.5 億ドル。
確定拠出の記録管理の価格競争
エンパワー・フィデリティ・バンガードの規模と、ギデラインなどの新興の低価格で、手数料が標準化する。退職の利益は TTM 12.35 億ドルで、全社の 5 割。手数料率が 1 割下がると利益は 2 割近く減る。
株式相場の下落(手数料が資産価値に連動)
預かり資産 1.9 兆ドル近くの手数料は相場に連動する。2020 年 3 月や 2022 年のように資産が 2 割減ると、退職と運用の収益が 2 割減り、利益はそれ以上に減る。2007 年末から 2009 年初めで株価は −88%、2020 年 −42%。
私募の信用・商業用不動産ローンの損失
一般勘定の高利回り資産が景気後退で傷むと、利益と自己資本が同時に減る。自己資本比率は 3% 台と薄く、有利子負債 39.5 億ドル。GAAP は 2025 年に営業利益の 64% まで下がった。2007 年末から 2009 年初めの株価は −88%。損失が総資産の 0.5% でも自己資本の約 1 割に当たる。
特別保険の給付率の悪化
2026 年 4〜6 月期の給付率 57.4% は良い方の水準。団体障害・歯科は競合(ユナム・メットライフ・ガーディアン)の値下げで戻りやすい。新規販売 2025 年は業界で −6%。利益率が 18% から 15% に戻ると、利益は 2 割近く減る。
金利の動き
金利が急に下がると再投資利回りが落ちて利ざや事業が縮み、急に上がると含み損が広がり解約が増える。物価と金利は動かさない前提だが、現実には両方向のリスクがある。2022〜23 年の金利上昇で保険株は山から谷で約 3 割下がった。
今後の分かれ目
- 運用の純流出が 2 年続けて年 300 億ドルを超える
- 運用資産の伸びが 3% 台に鈍り、運用の利益が 1 割減る。やや悲観・悲観の確率を上げ、運用の手数料率の低下を 10 年で 15% 下がる側に寄せる。
- エンパワーなど競合が小企業向け確定拠出で値下げに動き、PFG が追随する
- 退職の手数料率が 10 年で 7% から 12% 下がる側へ。退職の利益が 1 割強減り、全社の純利益は約 6% 減る。ROE と g を下げて PER を 11 倍前後に置く。
- 特別保険の給付率が 60% を超える
- 利益率が 18% から 15% に戻り、特別保険の利益が 2 割減る。全社の純利益は約 3% 減。
- 私募の信用・商業用不動産ローンの損失が総資産の 0.5% を超える
- 自己資本が約 1 割減り、自社株買いが止まる。リーマン級の悲観の確率を上げる。
- ビーム・ベネフィッツの小企業向け販売が 2027 年に予想を上回り、特別保険の伸びが 10% 台に乗る
- 特別保険のシェアが 10 年で 3.4% から 4% 台へ上がる。楽観・やや楽観に寄せる。
- 国際年金の運用資産が年 15% 以上の伸びを 3 年続ける
- 利益率 50% 台の事業の比重が上がり、全社の ROE が 1pt 上がる。PER が約 1 倍上がる。
見ておくもの
- 運用の純流出(四半期ごと)と、民間市場・国際年金の運用資産の伸び
- 退職の移管入金・経常入金と、記録管理の手数料率
- 特別保険の給付率と新規販売、ビーム・ベネフィッツの小企業向け販売
- 営業利益と GAAP 純利益の差、自己資本比率、含み損・資金留保デリバティブの値
- 私募の信用・商業用不動産ローンの損失
- 2026 年 10 月 26 日の 7〜9 月期決算と 2027 年の見通し
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の PER(GAAP で約 19.7 倍・営業利益ベースで約 13.6 倍)や PBR 1.98 倍からではなく、10 年後の ROE(純利益 ÷ 含み損・資金留保デリバティブを戻した自己資本)・k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・検査の式の g 4% から利益ベースの正当化 PER を出し、その 7.5 割前後に置いた。10 年の中立は ROE 17.2%・RONIC 12.4% で式の上限 16.2 倍、その 7.5 割の 12.1 倍。この会社の長期の伸びは 3.8% で式の g 4% より低いので、上限を超えない。運用の流出・手数料の下落は数量と価格・g に、信用損失は確率とやや悲観・悲観に入れ、倍率では引かない。悲観の床は ROE 7.7%・g 2.8%・k 8.25% の式 PBR 0.90 倍を今の自己資本 119 億ドルに掛けた。同じ領域の PRU と比べ、日本の不祥事がない分だけ良い側に寄せ、運用の流出の分だけ悪い側に厚くした。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.25% = 8.25%。内訳は cycle +0.25・pricing +0.00・debt +0.00・life +0.00(%)で、理由は quality_why。β は使わない。個別の懸念(手数料率の下落・私募の信用損失・運用資産の流出)は k に足さず、筋書きの数量・利益率と確率で表した。