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トラベラーズ TRV

米国最大級の企業・個人向け損保。核の ROE は 20% 超だが引受益は山の後。中立 10 年 13.1 倍で、総合は今の時価総額に対し +8% の「適正」

適正
  1. 割安
  2. やや割安
  3. 適正
  4. やや割高
  5. 割高
本質価値(今の値)411.85 ドル867 億ドル10 年の 5 つの筋書きから
今の株価今の時価総額(2026-10-22)405.4 ドル853 億ドル差 +1.6%
10 年後から見ると 適正 価値 411.85 ドル867 億ドル · 差 +1.6% · 期待の年率 +7.0%
期待の年率リターン(10 年)+7.0%資本コスト比 −1.5 pt
推定の資本コスト8.5%期待の年率と比べる目安

期待の年率=今の値段で買い、5 つの筋書きを確率で加重した株価と配当を受け取った時の年率(配当込み)。資本コストより上なら緑、下なら赤。

投資の助言ではありません。AI(Claude)が公開情報から書いた推定で、誤りを含むことがあります。 前提は全社共通(物価 年 3.5%・10 年国債 5%・ドル円 150 円が 10 年続く)。「本質価値」は 5 つの筋書きの株価と配当を確率で加重し、資本コスト 8.5% で今の値に割り戻したものです。

時価総額で見ると株式分割に関係なく比べられます

結論

トラベラーズ(Travelers)は、米国の企業向け・個人向け損害保険の大手である。2025 年の元受保険料は 444 億ドル(事業保険 227、債券・専門 43、個人 175)、純利益 63 億ドル、核の ROE 19.4%、複合損害率 89.9%。2026 年 4〜6 月期は複合損害率 83.6%、核の ROE 24.9%、運用収益(税引前)10.7 億ドル(前年比 +14%)とさらに好調で、年初にカナダ事業をデフィニティ(Definity)へ売却して米国中心に絞った。

強みは、中堅・小口の企業向けの引受と代理店網、保証保険(surety)のような専門保険、そして低利の債券が高利回りに入れ替わって積み上がる運用益。弱みは、財物の料率が下がりはじめた企業向けの軟調と、競争で保険料が減っている個人自動車、そして大災害の傾向線である。

バリュー投資の観点では、10 年後もこの事業は存在し、保険料は物価並みに伸びると見る。中立の筋書きは、10 年で保険料が年 4.7%、純利益が年 3.9% 伸び、ROE 約 18% に収れんする。資本コスト 8.5%(基本 8.0% + quality +0.5%)、倍率は利益ベースの正当化 PER の 8.5 割で、中立の PER は 13.1 倍。今の株価には寄せていない。悲観を 12% 置いている。確率で加重した 10 年後の価値は 888 億ドルで、今の時価総額 820 億ドルに対し +8%(総合で「適正」)。資本コストの前提に敏感だ。

バリュー投資の観点から

バリュー投資の観点では、損保の価値は「預かった保険料(フロート)を、費用の少ない資金として長く運用できるか」で決まる。トラベラーズは引受で利益を出しながら、運用資産が毎年利息を生む構造を持つ。複合損害率が 100% を下回る限りフロートはただの資金で、これが堀の中心になる。10 年後もこの事業は存在し、保険料は物価並みに伸びる。

オーナー利益は、純利益から支払余力(自己資本)を伸ばす分を引いたものである。保険料が年 4〜5% 伸びれば自己資本も同じだけ要るので、利益の約 7〜8 割が株主のものになる計算で、実際に 2025 年は純利益 63 億ドルのうち 42 億ドルを返した。

資本配分は評価できる。買収を絞り、カナダ事業は売って米国に集中し、残りを自社株買いに回す。ただし自社株買いは値段次第で価値を壊すため、簿価の 2.5 倍に上がった今の値段で買い増すのは慎重に見る。安全域:悲観(個人自動車の置き換わりと大災害の恒常化で ROE が 10% を割る 10 年)でも、還元を合わせて今の時価総額の 84% に留まる。税引前利益の約半分が運用益で、利回りが金利に左右される点が残る。事業は分かりやすく確信度は高いが、軟調の深さだけは見通せない。

何で稼ぐ会社か

トラベラーズは 3 つの事業で稼ぐ。第一に事業保険(2025 年の保険料 227 億ドル)。大企業向けの全国アカウント、中堅企業(ミドルマーケット)、小口企業向けの Select、海外などに分かれ、独立代理店を通じて売る。2026 年 4〜6 月期は中堅が前年比 +7%、小口 +4%、全国アカウント +5%、海外 −8%。更新時の料率は全体で +4.8%(中堅 +6.1%、小口 +9.4%)、継続率 86%、新規は過去最高の 8.05 億ドルだった。

第二に債券・専門(43 億ドル)。工事の完成を保証する保証保険(surety)と、経営者賠償・専門職賠償などの専門保険で、複合損害率は 80% 台前半と全社で最も良い。4〜6 月期は surety が 40% 増の 4.8 億ドル。第三に個人(175 億ドル)。自動車 77 億ドルと住宅ほか 91 億ドルで、2026 年 4〜6 月期は自動車が −6%、住宅が −3% と保険料が減っている。2026 年 1 月にデフィニティへカナダ事業(個人と商業の大半)を約 33 億カナダドルで売り、この分の保険料(年約 12 億ドルと推定)が消えた。

利益は 2 つの源から出る。保険料から保険金・費用を引いた引受益(2025 年は複合損害率 89.9% で税引前約 44 億ドル)と、預かった保険料の運用益(2025 年は税引前 39.6 億ドル。2026 年 1〜6 月は 20.8 億ドルで前年比 +11%)。大災害損失は 2025 年が 36.9 億ドル(保険料比 8.4 ポイント)、2026 年 1〜6 月は 12.8 億ドルと軽かった。準備金の好転が 2025 年に 10.4 億ドル、2026 年 1〜6 月に 9.9 億ドル出ている点は、一過性の上積みである。

優良さと弱いところ

堀は 3 つある。第一に引受と請求処理の規模。独立代理店に支えられた企業向け・個人向けの両方で長年蓄えた損害データがあり。経営は AI を請求処理に使って費用を抑えると説明しており、2026 年の費用率は約 28.5% の見込み。第二に販売網。独立代理店の網と、中堅・小口向けの商品で代理店に選ばれ続けること。第三に信用力。自己資本 331 億ドル、負債比率 21.5%(目標 15〜25% の中)で、企業向けの大型契約にも耐える。

価格を決める力は中くらいで、料率サイクルの外には出られない。財物は 2026 年に料率が下がり、個人自動車も競合の値下げで契約が減っている。それでも継続率 86% と更新料率 +4.8% は、損害率を上回って値上げできていることを示す。

資本効率は高い。核の ROE は 2025 年が 19.4%、2026 年 4〜6 月期が 24.9%(軽い大災害と準備金の好転を含む)。ただし ROE は 2017 年 8.6%、2020 年 9.2% まで落ちた年があり、均すと 12% 台。経営は 2015 年からシュニッツァー会長兼 CEO(2026 年の株主総会資料で 60 歳)が率いる。後継の発表は確認できない。引受の規律は人ではなく仕組みに根ざすが、移行期の緩みが弱みである。

業界はいまどこにいて、どこへ向かうか

損保は今、料率の山を越えて下りに入る局面にある。2023〜25 年の値上げと大災害の少なさで、業界の複合損害率は 10 年超で最良に近づいた。2026 年は商業保険の保険料が平均で下がり(保険代理店・ブローカー協会の調べで 4〜6 月期は全体 −2.0%、財物 −6.3%)、傘保険・超過賠償・商業自動車などの賠償責任は引き続き硬い。トラベラーズの事業保険は 4〜6 月期の更新料率が +4.8% と、財物の下げを賠償責任の値上げで埋めている。

競合との位置:チャブ(Chubb)は 4〜6 月期の複合損害率 83.8% と並び、核の ROE 24.9% のトラベラーズが上回る。ハートフォード(Hartford)は 91.4% と悪化、AIG は引受を磨き直し、W.R. バークレー(W.R. Berkley)などの専門保険会社が成長を狙う。中堅・小口では独立代理店経由で競い、トラベラーズは更新時の継続率と技術で差をつける。

個人向けは構造が違う。自動車はプログレッシブ(Progressive)、ステート・ファーム、オールステート(Allstate)が大きく、2026 年はルイジアナでのプログレッシブの −6.6%、フロリダの上位 5 グループ平均 −8% のように料率の引き下げが広がる。事故の頻度が下がった分を値下げで返す局面で、料率が主導する成長から競争が主導する成長に移る。トラベラーズの個人自動車は −6% と保険料が減っている。住宅は大災害(山火事・ハリケーン・雹)の傾向線が年 5〜8% 上がり、料率で取り返す競争になる。

価格と数量の関係は、財物では料率が下がっても契約は増えにくく、損害率の悪化は 1〜2 年遅れて出る。運用益は金利が高いうちは支えになる。

資本政策と M&A

資本政策は「成長に要る分以外は返す」である。2025 年は 42 億ドルを返し、2026 年 4〜6 月期だけで 15.8 億ドル(うち自社株買い 13.1 億ドル)。自社株買いの残りの枠は 39.2 億ドル。発行済株式は 2025 年末の 2.175 億株から 2026 年 6 月末の 2.086 億株へ半年で約 4% 減り、前年同月比では 7% 減った。4〜6 月期の買い付けは簿価の約 1.9 倍で、今の値段(簿価の約 2.5 倍)より低かった。配当は 2026 年に約 14% 引き上げた。

M&A は売る側に回った。2026 年 1 月 2 日にデフィニティへカナダの個人と商業の大半を約 33 億カナダドルで売却し(保証保険は除く)、集中する戦略を選んだ。新しい大型の買収は確認できず、未成立の買収はない。時価総額が 800 億ドル台なので買われる側にもなりにくい。

借金は 91 億ドルで負債比率 21.5%。カナダ売却の代金は自己資本に入り、自社株買いの原資になる。含み損(税引前 24.8 億ドル)は債券が満期に近づくほど戻る。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 31.0 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。

強気の見方と慎重な見方

強気の見方

今の利益は山の途中にすぎず、運用益と専門保険がまだ伸びる。運用収益は 2026 年 4〜6 月期に税引前 10.7 億ドル(+14%)で、2020〜21 年に買った低利の債券が満期を迎えるたびに 5% 前後へ入れ替わる。長期金利が 5% で動かない世界では、運用資産が増えるだけで毎年の利益が増える。引受も強い。2026 年 4〜6 月期は複合損害率 83.6%、underlying(大災害・準備金を除く)でも 84.1% で、費用率 28.5% 台に支えられた構造的な水準である。

中堅・小口は更新料率 +6.1%・+9.4% で、新規は過去最高の 8.05 億ドル。財物の軟調に左右されない中堅・小口の自力成長でシェアを取り、保証保険は 40% 伸びる。カナダ事業の売却で空いた資本は自社株買いに回り、発行済株式は 1 年で 7% 減った。ROE は 20% 超を保ち、成熟後の g 3.5%・ROE 約 21% なら、利益ベースの正当化 PER は 19 倍前後になり、質が高い会社が高い倍率を付けるのは自然である。軟調で競合が引受を緩め損害率を悪化させるほど、規律のある会社の価値は高くなる。

慎重な見方

今の利益は、軽い大災害と大きな準備金の好転と山の料率が重なった結果で、そのまま続かない。2026 年 1〜6 月の大災害損失は 12.8 億ドルと前年の 31.9 億ドルから大きく減り、準備金の好転は 9.9 億ドル出た。2026 年 1〜6 月の保険料は −1%(カナダ売却を除いても +1%)にとどまり、4〜6 月期の個人は −8%(除外後 −4%)、自動車は −6%。財物の料率は下がりはじめ、賠償責任の軟化も広がれば、複合損害率は 90% を超えて 93% 前後に戻る。

運用益は金利が 5% のうちは追い風だが、景気後退で信用商品が傷むと自己資本(含み損 24.8 億ドル)を削る。個人自動車はプログレッシブなど料率の優位な競合に押され、長期では安全装置・自動運転で保険料そのものが減る。大災害の傾向線は年 5〜8% 上がり、住宅の引受が難しい地域が広がる。

資本コストの前提がわずかに上がるだけで倍率は下がる。保険は成長ではなく安定を買う株で、純利益は年 3〜4% の伸びにとどまり、ROE は 15% 前後へ下がる。

どちらに重みを置いたか

事業の質の評価は強気がやや優勢(核の ROE・費用率・運用益の積み上がり)。一方で、利益の水準が山にあり、個人自動車が縮んでいる点は慎重な見方が当たっている。確率は中立に最も寄せ(10 年 34%)、悲観を 12% と置いた。倍率は利益ベースの正当化 PER の 8.5 割で、軟調と個人自動車の縮みは利益率・数量・価格に載せた。結果は 10 年で +8%、総合は「適正」。

10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)

確率で加重した株価時価総額 535.84 ドル1,128 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 262.92 ドル553 億ドル)。 今の値に割り戻すと 411.85 ドル867 億ドル、今との差 +1.6%、 期待の年率 +7.0%(資本コスト 8.5%)→ 適正

筋書き確率10 年後の株価時価総額配当の合計還元の合計配当+自社株買い トータルリターン10 年・配当込み年率確率 × (株価+配当時価総額+還元)
楽観 10% 854.20 ドル1,798 億ドル 305.46 ドル643 億ドル +186.0% +11.1% 115.97 ドル244 億ドル
やや楽観 24% 709.31 ドル1,493 億ドル 289.31 ドル609 億ドル +146.3% +9.4% 239.67 ドル505 億ドル
中立 34% 573.40 ドル1,207 億ドル 275.06 ドル579 億ドル +109.3% +7.7% 288.48 ドル607 億ドル
やや悲観 20% 341.76 ドル719 億ドル 244.18 ドル514 億ドル +44.5% +3.8% 117.19 ドル247 億ドル
悲観 12% 140.67 ドル296 億ドル 171.50 ドル361 億ドル −23.0% −2.6% 37.46 ドル79 億ドル
加重平均100% 535.84 ドル1,128 億ドル262.92 ドル553 億ドル +97.0% +7.0% 798.76 ドル1,681 億ドル

今の株価時価総額 405.44 ドル853 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。

楽観 10% 強気:引受の質が広がり、運用益と専門保険で年 6% 台の成長 利益 121 億ドル · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 854.20 ドル1,798 億ドル

10 年で事業保険は市場の数量 +13%・シェア +8%(中堅・小口の自力成長で取る)・価格 1.43 倍で保険料 387 億ドル、債券・専門は保証保険の拡大で 82 億ドル。個人自動車は AI と請求処理の効率で費用を下げ、シェアを守って数量 +15%、保険料 126 億ドル、住宅は 166 億ドル。運用資産は 1467 億ドル、利回り 5.4% で運用益 79 億ドル。複合損害率は約 89.4%、純利益 121 億ドル、自己資本 582 億ドル(ROE 20.7%)。チャブやハートフォードとの差が開く形。

  • 事業保険(企業向け・米国と海外):数量 181(保険契約の件数相当(万件))× 価格 21,411(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 387 億ドル・営業利益 33 億ドル。市場数量 +13%・シェア +8.0%・価格 ×1.43・利益率 8.5%
  • 債券・専門(保証保険・経営者賠償など):数量 110(保険契約の件数相当(万件))× 価格 7,438(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 82 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場数量 +15%・シェア +20.0%・価格 ×1.42・利益率 18.0%
  • 個人自動車(米国):数量 449(保険契約の件数相当(万件))× 価格 2,822(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 127 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場数量 +14%・シェア +0.9%・価格 ×1.42・利益率 9.0%
  • 個人住宅ほか(米国):数量 563(保険契約の件数相当(万件))× 価格 2,956(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 166 億ドル・営業利益 21 億ドル。市場数量 +14%・シェア +9.6%・価格 ×1.47・利益率 12.5%
  • カナダ(2026 年 1 月に売却済み):数量 0.0(保険契約の件数相当(万件))× 価格 1,108(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2026 年 1 月に売却済み。数量 0 のため価格は動かさず、収益にも影響しない。
  • 損保の運用(預かった保険料の運用益):数量 1,467(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(運用収益 ÷ 運用資産))→ 売上 79 億ドル・営業利益 79 億ドル。運用資産 × 利回り

倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.50%)・g 4.0%(上限の内側。保険料は物価並みで、市場の実質 +1% と価格から軟調による目減りを引いた約 3.0%(中立)。4% を超えない)・事業の ROE 21%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 121.0 ÷ 自己資本 582.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.6%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 16.2 倍(上限 = 純利益 121.0 億ドル × これ = 1954 億ドル)。これの 0.9 割(14.9 倍)に置いた。楽観:利益の質が最も良く出る筋書きなので上限に最も近く置いた。

確率:軟調を乗り越えて中堅・小口と専門保険でシェアを取り続ける筋書きは 1 割。

やや楽観 24% やや強気:年 5% 台の成長で、高い ROE が続く 利益 105 億ドル · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 709.31 ドル1,493 億ドル

10 年で事業保険は数量 +18%(市場 +13%・シェア +4.4%)・価格 1.41 倍で 369 億ドル、債券・専門は 76 億ドル、個人自動車は数量 +5%(市場 +14% に対してシェア −8%)で 112 億ドル、住宅は数量 +20%・価格 1.45 倍で 158 億ドル。複合損害率は約 90.6%、運用益 73 億ドル。純利益 105 億ドル、自己資本 547 億ドル(ROE 19.2%)。大型の買収は置かず、自社株買いと配当で毎年利益の約 75% を返す。運用資産は保険料に連れて増え、利回りは新規の資金が 5% 超で入れ替わって 5.3% まで上がる。競合では、ハートフォードが引受で足踏みする一方、チャブとは海外・専門保険の分だけ差が開かない形。

  • 事業保険(企業向け・米国と海外):数量 175(保険契約の件数相当(万件))× 価格 21,112(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 369 億ドル・営業利益 28 億ドル。市場数量 +13%・シェア +4.4%・価格 ×1.41・利益率 7.5%
  • 債券・専門(保証保険・経営者賠償など):数量 104(保険契約の件数相当(万件))× 価格 7,333(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 76 億ドル・営業利益 13 億ドル。市場数量 +15%・シェア +13.0%・価格 ×1.40・利益率 16.5%
  • 個人自動車(米国):数量 410(保険契約の件数相当(万件))× 価格 2,742(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 112 億ドル・営業利益 8 億ドル。市場数量 +14%・シェア -7.9%・価格 ×1.38・利益率 7.5%
  • 個人住宅ほか(米国):数量 540(保険契約の件数相当(万件))× 価格 2,916(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 158 億ドル・営業利益 17 億ドル。市場数量 +14%・シェア +5.3%・価格 ×1.45・利益率 11.0%
  • カナダ(2026 年 1 月に売却済み):数量 0.0(保険契約の件数相当(万件))× 価格 1,108(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2026 年 1 月に売却済み。数量 0 のため価格は動かさず、収益にも影響しない。
  • 損保の運用(預かった保険料の運用益):数量 1,376(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(運用収益 ÷ 運用資産))→ 売上 73 億ドル・営業利益 73 億ドル。運用資産 × 利回り

倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.50%)・g 4.0%(上限の内側。保険料は物価並みで、市場の実質 +1% と価格から軟調による目減りを引いた約 3.0%(中立)。4% を超えない)・事業の ROE 19%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 105.0 ÷ 自己資本 547.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.8%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 15.8 倍(上限 = 純利益 105.0 億ドル × これ = 1659 億ドル)。これの 0.9 割(14.2 倍)に置いた。やや楽観:楽観より伸びと利益率が控えめなので一段下。

確率:強気の見方が通りやすい余地を考え、4 分の 1 弱。

中立 34% 中立:高 ROE の優良な損保が、年 4% 弱で伸びる 利益 92 億ドル · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 573.40 ドル1,207 億ドル

事業保険は市場の数量 +13%・シェア +2%・価格 1.40 倍で保険料 357 億ドル(複合損害率約 93%)、債券・専門は 72 億ドル、個人自動車は市場 +14% に対しシェアが 12% 縮み数量横ばい・価格 1.35 倍で 105 億ドル、住宅は数量 +15%・価格 1.42 倍で 148 億ドル。全社の複合損害率は約 91.8%。運用資産は 1312 億ドル、利回り 5.2% で運用益 68 億ドル。純利益 92 億ドル(年 3.9%)、自己資本 520 億ドル(ROE 17.8%)。競合のチャブとは引受で並び、ハートフォードよりは良い位置を保つ。

  • 事業保険(企業向け・米国と海外):数量 170(保険契約の件数相当(万件))× 価格 20,962(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 357 億ドル・営業利益 23 億ドル。市場数量 +13%・シェア +1.8%・価格 ×1.40・利益率 6.5%
  • 債券・専門(保証保険・経営者賠償など):数量 100(保険契約の件数相当(万件))× 価格 7,228(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 72 億ドル・営業利益 11 億ドル。市場数量 +15%・シェア +8.7%・価格 ×1.38・利益率 15.0%
  • 個人自動車(米国):数量 390(保険契約の件数相当(万件))× 価格 2,683(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 105 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場数量 +14%・シェア -12.3%・価格 ×1.35・利益率 6.0%
  • 個人住宅ほか(米国):数量 518(保険契約の件数相当(万件))× 価格 2,856(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 148 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場数量 +14%・シェア +0.9%・価格 ×1.42・利益率 10.0%
  • カナダ(2026 年 1 月に売却済み):数量 0.0(保険契約の件数相当(万件))× 価格 1,108(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2026 年 1 月に売却済み。数量 0 のため価格は動かさず、収益にも影響しない。
  • 損保の運用(預かった保険料の運用益):数量 1,312(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(運用収益 ÷ 運用資産))→ 売上 68 億ドル・営業利益 68 億ドル。運用資産 × 利回り

倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.50%)・g 4.0%(上限の内側。保険料は物価並みで、市場の実質 +1% と価格から軟調による目減りを引いた約 3.0%(中立)。4% を超えない)・事業の ROE 18%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 92.0 ÷ 自己資本 520.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.1%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 15.4 倍(上限 = 純利益 92.0 億ドル × これ = 1420 億ドル)。これの 0.9 割(13.1 倍)に置いた。中立:引受の規律と運用益の積み上がりは本物だが、料率サイクルの下りと個人自動車の縮みを織り込み、上限の 8.5 割にとどめた

確率:利益は年 3.9%(市場の実質 +1% + 価格は物価並みから軟調で −1.5% + 運用益の積み上がり)。軟調期で鈍るが運用益が支える。

やや悲観 20% やや弱気:軟調と大災害の増加で複合損害率が 94% 台に定着 利益 66 億ドル · PER 10.9 倍 · 株価時価総額 341.76 ドル719 億ドル

大災害損失の傾向線(年 5〜8%)が料率を上回り、財物の軟調が賠償責任へ広がる。事業保険は数量 +5%・価格 1.37 倍で 319 億ドル(利益率 4.5%)、個人自動車は直販・AI を使う競合に押され数量 −15%・価格 1.28 倍で 84 億ドル(利益率 3.5%)、住宅は 131 億ドル(利益率 6.5%)。全社の複合損害率は約 94.4%、運用益 57 億ドル。純利益 66 億ドル、自己資本 452 億ドル(ROE 14.5%)。それでも ROE は 15% 近くを保ち、同業の中位より高い。自社株買いは年約 55 億ドルで続け、買収は置かない。運用資産は保険料と共に増えるが、利回りは 5.0% に上がりきらない。

  • 事業保険(企業向け・米国と海外):数量 155(保険契約の件数相当(万件))× 価格 20,513(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 319 億ドル・営業利益 14 億ドル。市場数量 +13%・シェア -7.1%・価格 ×1.37・利益率 4.5%
  • 債券・専門(保証保険・経営者賠償など):数量 89.6(保険契約の件数相当(万件))× 価格 6,967(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 62 億ドル・営業利益 7 億ドル。市場数量 +15%・シェア -2.6%・価格 ×1.33・利益率 11.0%
  • 個人自動車(米国):数量 332(保険契約の件数相当(万件))× 価格 2,543(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 84 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場数量 +14%・シェア -25.4%・価格 ×1.28・利益率 3.5%
  • 個人住宅ほか(米国):数量 473(保険契約の件数相当(万件))× 価格 2,775(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 131 億ドル・営業利益 9 億ドル。市場数量 +14%・シェア -7.9%・価格 ×1.38・利益率 6.5%
  • カナダ(2026 年 1 月に売却済み):数量 0.0(保険契約の件数相当(万件))× 価格 1,108(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2026 年 1 月に売却済み。数量 0 のため価格は動かさず、収益にも影響しない。
  • 損保の運用(預かった保険料の運用益):数量 1,149(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(運用収益 ÷ 運用資産))→ 売上 58 億ドル・営業利益 58 億ドル。運用資産 × 利回り

倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.50%(基本 8.0% + quality +0.50%)・g 4.0%(上限の内側。保険料は物価並みで、市場の実質 +1% と価格から軟調による目減りを引いた約 3.0%(中立)。4% を超えない)・事業の ROE 15%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 66.0 ÷ 自己資本 452.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.6%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 14.5 倍(上限 = 純利益 66.0 億ドル × これ = 959 億ドル)。これの 0.8 割(10.9 倍)に置いた。やや悲観:伸びが落ち堀が削れた会社として中立より下。

確率:軟調と大災害の増加が構造に変わる筋書きで 2 割。

悲観 12% 悲観:構造的に負け、優良な損保ではなくなる 利益 25 億ドル · PBR 0.9 倍 · 株価時価総額 140.67 ドル296 億ドル

住宅は大災害の恒常化で引受不能の地域が広がり(カリフォルニア・フロリダのような撤退)、事業保険は賠償責任の準備金不足が数年続いて価格競争に巻き込まれる。個人自動車は安全装置・自動運転による損害の減少と直販勢の値下げで数量 −30%・価格 1.20 倍まで縮み 65 億ドル、赤字。事業保険は数量 −10%・価格 1.30 倍で 259 億ドル、利益率 −1%。複合損害率は約 100.3%、運用益 42 億ドル(利回り 4.4%)。純利益 25 億ドル(ROE 6.9%)、自己資本 365 億ドル。ならした利益では見ず、自己資本 × 式の PBR で測る。保険料を預かる資産は残るが、もう優良ではない。

  • 事業保険(企業向け・米国と海外):数量 133(保険契約の件数相当(万件))× 価格 19,465(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 259 億ドル・営業利益 −3 億ドル。市場数量 +13%・シェア -20.4%・価格 ×1.30・利益率 -1.0%
  • 債券・専門(保証保険・経営者賠償など):数量 80.0(保険契約の件数相当(万件))× 価格 6,548(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 52 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場数量 +15%・シェア -13.0%・価格 ×1.25・利益率 6.0%
  • 個人自動車(米国):数量 273(保険契約の件数相当(万件))× 価格 2,384(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 65 億ドル・営業利益 −2 億ドル。市場数量 +14%・シェア -38.6%・価格 ×1.20・利益率 -3.0%
  • 個人住宅ほか(米国):数量 428(保険契約の件数相当(万件))× 価格 2,715(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 116 億ドル・営業利益 0 億ドル。市場数量 +14%・シェア -16.7%・価格 ×1.35・利益率 0.0%
  • カナダ(2026 年 1 月に売却済み):数量 0.0(保険契約の件数相当(万件))× 価格 1,108(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。2026 年 1 月に売却済み。数量 0 のため価格は動かさず、収益にも影響しない。
  • 損保の運用(預かった保険料の運用益):数量 949(運用資産(億ドル))× 価格 0.04(利回り(運用収益 ÷ 運用資産))→ 売上 42 億ドル・営業利益 42 億ドル。運用資産 × 利回り

倍率:構造的に負けた筋書き。10 年目の純利益 25 億ドルは自己資本 365 億ドルに対し ROE 6.9% で k(8.5%)を下回るので、ならした利益でなく稼ぐ力と自己資本で測る。稼ぐ力は 25 億ドル ÷ 8.5% = 約 294 億ドル。今の自己資本 329 億ドルの 0.9 倍 = 296 億ドルを置いた(稼ぐ力とほぼ同じ。保険料を預かる資産は残るため床は割らない)。市場の値付けからは置いていない。

確率:準備金の不足・大災害の恒常化・個人自動車の置き換わりの 3 つが重なる確率を 12% と置いた。

セグメント:数量 × 価格

いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。

事業保険(企業向け・米国と海外)

中堅・小口・大企業向けの財物・賠償責任・労災・自動車・海外(カナダ除く)。独立代理店経由。

数量保険契約の件数相当(万件)価格1 件あたり年間保険料(ドル)売上営業利益
今 2025/12 148 14,973 222 17
10 年後 中立 170 20,962 357 23

取り方:2025 年の事業保険の保険料 226.8 億ドルのうちカナダ分(推定 5 億ドル)を除いた 221.6 億ドル(複合損害率 91.7%)を、148 万件相当 × 平均約 1.5 万ドルに置いた推定(件数は非開示)。市場は米国の企業向け損保(元受保険料で年 5,000 億ドル超と推定・業界ノート)、トラベラーズのシェアは約 4〜5%。競合はチャブ、AIG、ハートフォード、W.R. バークレー。数量 = 市場の数量(企業の売上・資産の実質増)× シェア。価格は物価 3.5% のもとでも財物が下がるため、3 年で 1.08 倍、10 年で 1.40 倍(賠償責任の値上げで戻る)とした。

債券・専門(保証保険・経営者賠償など)

工事・契約の履行を保証する保証保険(surety)と、経営者賠償・専門職賠償などの専門保険。

数量保険契約の件数相当(万件)価格1 件あたり年間保険料(ドル)売上営業利益
今 2025/12 80.0 5,238 42 8
10 年後 中立 100 7,228 72 11

取り方:2025 年の保険料 42.6 億ドルのうちカナダ分(推定 0.7 億ドル)を除いた 41.9 億ドル(複合損害率 81.9%)を、80 万件相当 × 平均約 5,200 ドルに置いた推定。保証保険は工事需要(インフラ・再エネ)に連動し 2026 年 4〜6 月期は +40%、経営者賠償は +4%。競合は保証保険でチューリッヒ(Zurich)・リバティ、専門保険でチャブ・AIG・W.R. バークレー。数量 = 市場の数量 × シェア。価格は経営者賠償が横ばい圏なので 3 年 1.06 倍、10 年 1.38 倍とした。

個人自動車(米国)

個人向けの自動車保険。独立代理店経由が中心。

数量保険契約の件数相当(万件)価格1 件あたり年間保険料(ドル)売上営業利益
今 2025/12 390 1,987 78 7
10 年後 中立 390 2,683 105 6

取り方:2025 年の個人自動車(米国)の保険料 77.5 億ドルを、390 万件相当 × 平均約 2,000 ドルに置いた推定。市場は米国の個人自動車保険(年 3,000 億ドル台と推定)、トラベラーズのシェアは約 2〜3% で、プログレッシブ・ステート・ファーム・ガイコ・オールステートが上位。2026 年 4〜6 月期は −6% と契約が減り、競合は料率を下げている(ルイジアナでのプログレッシブ −6.6%・フロリダ上位 5 グループ平均 −8%)。数量 = 市場(車の保有の実質増 +1%/年)× シェア(縮小)。価格は修理費の物価に対し料率の引き下げで劣後し、3 年 1.05 倍、10 年 1.35 倍とした。利益率は 2025 年 9.0%。

個人住宅ほか(米国)

個人向けの住宅保険と傘保険など(米国)。大災害の影響が最も大きい。

数量保険契約の件数相当(万件)価格1 件あたり年間保険料(ドル)売上営業利益
今 2025/12 450 2,011 91 10
10 年後 中立 518 2,856 148 15

取り方:2025 年の住宅ほか(米国)の保険料 90.5 億ドルを、450 万件相当 × 平均約 2,000 ドルに置いた推定。市場は米国の住宅保険(年 1,500 億ドル前後と推定)、トラベラーズのシェアは約 6%。2026 年 4 月にカリフォルニア全州で住宅の引受を拡大し、数量は伸ばせる一方、大災害損失(2025 年は個人で 25.9 億ドル)が利益を決める。競合はステート・ファーム、オールステート、チャブ(富裕層向け)。数量 = 市場(世帯の実質増 +1%/年)× シェア。価格は再調達費(建築費)が物価で上がり、3 年 1.11 倍、10 年 1.42 倍とした。

カナダ(2026 年 1 月に売却済み)

カナダの個人・商業の損保(デフィニティへ売却、保証保険を除く)。

数量保険契約の件数相当(万件)価格1 件あたり年間保険料(ドル)売上営業利益
今 2025/12 150 827 12 2
10 年後 中立 0.0 1,108 0 0

取り方:2026 年 1 月に売却済み。2025 年の保険料のうち事業保険の約 5 億ドル・債券・専門の約 0.7 億ドル・個人の約 6.5 億ドルの計約 12.4 億ドルと推定(2026 年 4〜6 月期の除外後の伸び率の差から逆算。非開示)。売却後は数量 0 で、これからの筋書きには入れない(売却益と代金は自己資本に入っている)。

損保の運用(預かった保険料の運用益)

運用資産の利息・配当・ファンド収益(税引前)。債券が中心。

数量運用資産(億ドル)価格利回り(運用収益 ÷ 運用資産)売上営業利益
今 2025/12 840 0.05 40 40
10 年後 中立 1,312 0.05 68 68

取り方:2025 年の純投資収益(税引前)39.6 億ドルを、運用資産約 840 億ドル(うちカナダ分約 33 億ドルは売却予定)× 帳簿利回り 4.7% に置いた。2026 年 1〜6 月は年換算約 42 億ドル(運用資産約 810 億ドル × 5.1%)。長期金利 5%・短期金利 3.5〜4% が続く前提で、低利の債券が満期に入れ替わって利回りは 3 年で 5.1%、10 年で 5.2% に上がる。将来の運用資産は売却後(カナダ分を除き売却代金を加えた約 831 億ドル)に保険料の伸びを掛けて置く。

リスクと懸念

料率サイクルの下り(財物と賠償責任の軟調)

商業保険の保険料は 2026 年 4〜6 月期に平均 −2.0%、財物は −6.3%。事業保険の更新料率は +4.8% でまだプラスだが、財物の下げが賠償責任に広がると複合損害率が数ポイント悪化する。損害率の悪化は 1〜2 年遅れて出るため、今の 83.6% は山に近い。

個人自動車の契約減と競争

2026 年 4〜6 月期の個人自動車の保険料は −6%。プログレッシブやオールステートが事故の頻度の低下を値下げで返し、フロリダの上位 5 グループ平均 −8% のように料率の引き下げが広がっている。長期では安全装置・自動運転で損害そのものが減り、この事業の規模が縮むリスクがある。

大災害の傾向線と住宅

大災害損失は 2025 年が 36.9 億ドルで保険料の 8.4 ポイント、2026 年 1〜6 月は 12.8 億ドルと軽かった。傾向線は年 5〜8% 上がり、住宅の引受が難しい地域が広がる。2026 年 4 月に始めたカリフォルニア全州の住宅引受は山火事の再発に弱い。

準備金(賠償責任の社会的インフレ)

訴訟費用・賠償額の上昇で過去の年の準備金が足りなくなる懸念が業界にある。2025 年(10.4 億ドル)と 2026 年 1〜6 月(9.9 億ドル)は好転が続いたが、逆回転すれば複合損害率が数ポイント動き、利益の質が落ちる。

運用の評価損と金利

運用資産は債券が中心で、含み損(税引前 24.8 億ドル)が残る。景気後退で信用商品が傷むと自己資本を削る。長期金利が急落すれば、低利債の入れ替えによる利回りの上昇(4.7%→5.2%)が止まり、運用益の追い風が消える。

経営の継続(会長兼 CEO の年齢と後継)

シュニッツァー会長兼 CEO は 2015 年から率いる(2026 年の株主総会資料で 60 歳)。後継の発表は確認できない。移行期に引受の規律が緩むと、料率の下りで傷が大きくなり、同業との差も縮む。人についての事実は 2026 年の株主総会資料で確認した年齢のみ。

資本コストの前提への敏感さ

k が 8.5% と quality +0.5% を含む水準でも、g との差が小さいので倍率は k に敏感。k が 0.5 ポイント上がれば倍率は約 1 割下がる。価値の大半は 10 年後の倍率に依存するので、悲観の確率と深さを厚めに置いてある。

今後の分かれ目

財物の料率下落が 2027 年までに止まり、賠償責任の値上げが続く
複合損害率は 91〜92% に収まり、利益は年 5% 前後で伸びる。強気とやや強気の確率を上げられる。
軟調が賠償責任全体に広がり、事業保険の更新料率が 0% 近くまで下がる
事業保険の複合損害率が 95% に近づき、全社の利益が 3 割減る。ROE は 15% 台前半に下がり、倍率も下がる。やや弱気の確率を上げる。
個人自動車の保険料の減少が 2 桁に広がる
個人自動車の利益が 3 割減り、固定費の重さで利益率が下がる。シェアの縮小が続けば、10 年の数量の置き方を弱気側へ寄せる。
イアン級の大災害か山火事級の損失が 2 年続く
住宅と事業保険の引受益が 1〜2 年消え、再保険料率が上がる。一過性なら価値の損失は小さいが、傾向線が上がれば複合損害率が構造的に上がる。
10 年国債が 3% 台に下がる
運用益の押し上げが止まり、利回りの上昇(4.7%→5.2%)が崩れる。純利益は 10 年で 10% ほど少なくなる。ただし割引率も下がり価値の差は小さい。
シュニッツァー氏の後継が決まり、引受方針を引き継ぐと示される
経営の継続のリスクが和らぎ、確率を強気側へ少し寄せられる。外部登用なら移行リスクを見直す。

見ておくもの

  • 商業保険の更新料率(財物と賠償責任の別・四半期ごと)と継続率(今は 86%)
  • 複合損害率と、大災害・準備金の好転を除いた underlying の複合損害率(今は 84.1%)
  • 個人自動車と住宅の保険料の伸び(今は −6%・−3%)と更新時の継続率
  • 純投資収益と運用資産の帳簿利回り(今は 2026 年 1〜6 月で税引前 20.8 億ドル)
  • 自社株買いの金額と買い付け時の簿価倍率(今は残り枠 39.2 億ドル)
  • 後継者の発表と、引受方針の変更

倍率と資本コストの決め方

今の PER 13 倍・PBR 2.5 倍を先に見ず、事業ごとに数量 × 価格で 10 年の利益を積み、その時点の ROE・g から式で倍率を出した。k = 基本 8.0% + quality +0.5% = 8.5%。結果は中立の 10 年で PER 13.1 倍(正当化 PER の 8.5 割)。やや悲観・悲観も同じ式の上限に対する割合で置いて、過去の PER や今の倍率には寄せていない。ROE は 10 年目の純利益 ÷ 自己資本(運用益の積み上がりを含む)、g は市場の実質 +1% + 価格は物価から −1.5% の 3.0% と上限より低く置いた。悲観は構造的に負けた筋書きで、自己資本に対する PBR で見ても今の時価総額を下回る。総合は +8% で「適正」。

資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.5% = 8.5%(β は使わない。決まり v2。内訳は quality_parts と quality_why)。引受の循環で quality を上げ、引受の規律で一部を戻した。大災害・準備金・料率サイクル・個人自動車の置き換わりのような個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益率と悲観の確率・深さで表した。長期の g は 4.0% まで、k − g ≥ 3.5% を守る。

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割安 アメリプライズ・ファイナンシャルAMP 資産残高に連動する助言と運用で ROE 50% 超を稼ぐ優良会社。利益ベースの倍率で測っても、値段は割安 本質価値との差 +64.0% · 10 年 割安(年 +12.2%) 割安 シンクロニー・ファイナンシャルSYF 小売の提携で貸す米最大級のカード会社。貸倒れの循環と提携先の更新が悲観の核だが、利益ベースの式で出しても価値は今の値段を大きく上回る 本質価値との差 +56.8% · 10 年 割安(年 +12.4%) 割安 フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシーズFIS ワールドペイ持分を売り発行体処理を取り込んだ銀行向け処理の大手。償却と統合費で GAAP の利益は薄く、純負債が時価総額を上回る。式の中立の 10 年後は今の約 2.5 倍 本質価値との差 +43.9% · 10 年 割安(年 +11.2%) 割安 グローバル・ペイメンツGPN ワールドペイを取り込んだ決済処理の大手。買収の償却で GAAP の利益は薄く、純負債は時価総額の 75%。式の中立の 10 年後は今の約 2.4 倍だが、借金と競争を見て悲観を厚くした 本質価値との差 +42.0% · 10 年 割安(年 +10.9%) 割安 ハンティントン・バンクシェアーズHBAN Veritex と Cadence を取り込んだ全米 10 位の地銀。ROTCE 15〜16% なら利益ベースの式の倍率は PER 12 倍前後で、今の約 10 倍は割安 本質価値との差 +40.6% · 10 年 割安(年 +10.7%) 割安 グローブ・ライフGL 代理店網の高い利益率で堅く稼ぐ。空売り報告と調査は終結、代理店の減少が焦点。資本コスト 7.75% の利益ベースの倍率でも、10 年の価値は今の時価総額を大きく上回る 本質価値との差 +39.6% · 10 年 割安(年 +10.1%) 割安 エベレスト・グループEG 再保険と卸売・特殊保険に絞る世界大手。運用益と資本の返しは堅いが、準備金の積み増しを繰り返した会社。中立 10 年 11.4 倍で、総合は今の時価総額に対し +47% の「割安」 本質価値との差 +37.9% · 10 年 割安(年 +10.5%) 割安 リージョンズ・ファイナンシャルRF 預金コストと貸出の質で地銀の上位に立つ南東部の最大手。上限 PER 約 14 倍の 9 割(約 12.6 倍)の式で、今の約 10 倍は割安 本質価値との差 +37.6% · 10 年 割安(年 +10.4%) 割安 ハートフォード・インシュアランスHIG 米国の企業向け・個人向け損保と団体保険の大手。核の ROE は 19% 前後だが、中堅・大企業の引受は山を越えた。中立 10 年 12.6 倍で、総合は今の時価総額に対し +40% の「割安」 本質価値との差 +34.5% · 10 年 割安(年 +9.8%) 割安 ファイサーブFISV 決済処理の大手。2026 年に見通しを 2 度下げ、株価は GAAP で 7 倍台まで沈んだ。稼ぐ力は残り、式の中立の 10 年後は今の約 2.3 倍。ただし借金が時価総額を上回り、悲観の確率を厚くした 本質価値との差 +32.1% · 10 年 割安(年 +10.1%) 割安 ステート・ストリートSTT 世界 3 大の保管銀行で SPDR の ETF 運用も持つ。堀は深いが手数料の下落圧力と金利依存があり、利益ベースの式の倍率で測ると値段は割安 本質価値との差 +30.7% · 10 年 割安(年 +10.0%) 割安 キーコープKEY 法人向け・投資銀行に強い中堅の地銀。利ざやと効率は同業の下位で改善余地が大きい。式は上限 PER 約 13.5 倍の 8.5 割、利益の伸びで割安 本質価値との差 +30.0% · 10 年 割安(年 +10.1%) やや割安 PNCファイナンシャル・サービシズ・グループPNC 全米の大手銀行。FirstBank 買収と新店 300 店で全国展開へ進む。ROTCE 18.3% でも資本コスト 8.25% の利益ベースの式では 10 年後 PER 約 13 倍が妥当で、今の 12.5 倍は割安 本質価値との差 +29.2% · 10 年 やや割安(年 +9.6%) やや割安 プログレッシブPGR 自動車保険の首位を争う高 ROE の損保。利益率は山にある。中立 10 年 14.9 倍で、総合は今の時価総額に対し +34% の「割安」 本質価値との差 +27.8% · 10 年 やや割安(年 +9.5%) やや割安 ウィリス・タワーズ・ワトソンWTW 世界 3 位級の保険ブローカーと人事・福利厚生コンサルの二本足。利益率が上がる局面で、AI 不安と料率軟化を織り込んだ中立 10 年 20.0 倍で、総合は今の時価総額に対し +35% の「割安」 本質価値との差 +26.9% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 トゥルーイスト・ファイナンシャルTFC 南東部・中部大西洋岸の大手銀行で、法人と資産管理は強いが、低採算の個人ローンを売って作り直し中。式の PER は 10 年後 12 倍前後で、今の時価総額は割安 本質価値との差 +26.5% · 10 年 やや割安(年 +9.4%) やや割安 バンク・オブ・アメリカBAC 全米第 2 の銀行で、預金・富裕層・市場の堀は深い。資本コスト 8.0% の利益ベースの式では ROE 11〜12% の銀行に PBR 約 1.7 倍が付き、今の 1.2 倍はやや割安 本質価値との差 +23.9% · 10 年 やや割安(年 +9.0%) やや割安 ウェルズ・ファーゴWFC 資産上限が外れて貸出・預金が 1 割伸びる全米第 3 位の銀行。資本コスト 8.25% の利益ベースの式では ROE 13% の銀行に PBR 約 1.7 倍が付き、今の 1.4 倍はやや割安 本質価値との差 +22.4% · 10 年 やや割安(年 +9.2%) やや割安 プルデンシャル・ファイナンシャルPRU 日本の不祥事で下振れ中だが、PGIM・団体保険・退職の本業は堅い。資本コスト 8.5% の利益ベースの倍率で、10 年の価値は今をやや上回る 本質価値との差 +21.6% · 10 年 やや割安(年 +8.9%) やや割安 アーチ・キャピタル・グループACGL 米国の再保険・事業保険・住宅ローン保険の複合会社。ROE 18% で資本を動かす優良な損保だが再保険の料率は山を越えた。中立 10 年 11.5 倍で、総合は今の時価総額に対し +27% の「やや割安」 本質価値との差 +21.5% · 10 年 やや割安(年 +8.7%) やや割安 オールステートALL 個人向け自動車・住宅保険で米国 2 位の損保。利益は準備金の戻しと軽い災害年で山にある。中立 10 年 11.3 倍で、総合は今の時価総額に対し +24% の「やや割安」 本質価値との差 +18.8% · 10 年 やや割安(年 +9.0%) やや割安 M&TバンクMTB 北東部の地銀。無利息預金が厚く利ざや 3.65%、与信も堅い。式は上限 PER 約 14 倍の 9 割(約 12.8 倍)で、今の PER 約 10 倍はやや割安 本質価値との差 +17.6% · 10 年 やや割安(年 +8.5%) やや割安 シチズンズ・フィナンシャル・グループCFG ニューイングランド発の大手地銀で、ROTCE は 15% から 16〜18% を目指す途中。式は上限 PER 約 13 倍の 8.8 割(約 11.5 倍)で、利益の伸びで割安 本質価値との差 +16.7% · 10 年 やや割安(年 +8.8%) やや割安 ペイパルPYPL ブランド決済の伸びが止まり競合に標準の座を削られる最中の決済網。事業は黒字で現金も厚く倍率は低い。成長が鈍っても利益ベースの式の上ではやや割安 本質価値との差 +16.3% · 10 年 やや割安(年 +8.5%) やや割安 USバンコープUSB 全米 5 位の銀行。決済(エラボン・カード)と BTIG で手数料が厚い。ROTCE 18.5% でも資本コスト 8.25% の利益ベースの式では 10 年後 PER 約 13 倍・PBR 約 1.6 倍が妥当で今の 1.4 倍はやや割安 本質価値との差 +15.7% · 10 年 やや割安(年 +8.5%) やや割安 メットライフMET 団体保険とアジアの利益が積み上がり、自己資本の薄さと信用リスクが焦点。資本コスト 8.25% の利益ベースの倍率で、10 年の価値は今をやや上回る 本質価値との差 +15.5% · 10 年 やや割安(年 +8.2%) やや割安 バンク・オブ・ニューヨーク・メロンBNY 世界最大級の保管・決済の基盤で堀は深いが、手数料率の低下と預金の利ざやが重しになる優良な保管銀行。利益ベースの式の倍率で測ると値段はやや割安 本質価値との差 +15.5% · 10 年 やや割安(年 +7.9%) やや割安 シティグループC 再建途上の世界展開銀行。ROE 12% が定着すれば利益ベースの式で PER 12 倍前後が付き、今は 2 割弱やや割安。ただし 10 年の実績は資本コスト割れで、その不安は確率で厚く見る 本質価値との差 +15.3% · 10 年 やや割安(年 +8.6%) やや割安 AIGAIG 損保大手として引受を立て直し、2027 年の ROE 目標へ進行中。中立 10 年 11.6 倍で、総合は今の時価総額に対し +19% の「やや割安」だが、準備金の質に敏感 本質価値との差 +14.3% · 10 年 やや割安(年 +8.4%) やや割安 キャピタル・ワン・ファイナンシャルCOF 買収で膨らんだ「ROE 2%」は実力でなく、カード・自動車・自前の決済網の三本柱。利益ベースの式では中立で今を上回るが、信用循環と網の賭けで悲観を厚く置いた 本質価値との差 +14.1% · 10 年 やや割安(年 +8.4%) やや割安 ノーザン・トラストNTRS 預かり資産 20 兆ドルの老舗の信託銀行。富裕層向けの信頼と堀はあるが、手数料率の低下と金利依存があり、利益ベースの式の倍率ではやや割安 本質価値との差 +12.1% · 10 年 やや割安(年 +8.1%) やや割安 T・ロウ・プライス・グループTROW 運用資産 1.9 兆ドルの老舗アクティブ運用会社。現金が厚く事業は高収益だが、株式の流出と手数料率の低下が続く。利益ベースの倍率でもやや割安に出る 本質価値との差 +12.0% · 10 年 やや割安(年 +8.2%) やや割安 JPモルガン・チェースJPM 全米最大の銀行で堀は広がる。利益ベースの式で測ると 10 年後の PBR は約 2.6 倍で、今の 2.5 倍よりやや高く、やや割安 本質価値との差 +11.3% · 10 年 やや割安(年 +7.8%) やや割安 プリンシパル・ファイナンシャル・グループPFG 退職・給与福利の窓口として堅く稼ぐ。運用の流出と手数料の下落を織り込んでも、資本コスト 8.25% の利益ベースの倍率で、10 年の価値は今をやや上回る 本質価値との差 +10.6% · 10 年 やや割安(年 +7.7%) 適正 レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャルRJF 助言付き資産を伸ばし続ける堅実なウェルス会社。資本コスト 8.25% の利益ベースの式では、10 年の価値は今の値段をやや上回る 本質価値との差 +9.9% · 10 年 適正(年 +8.1%) 適正 エーオンAON ウェルス売却後は利益率の拡大と自社株買いで返す世界 2 位級のブローカー。AI 不安と料率軟化を織り込んだ中立 10 年 17.7 倍で、総合は今の時価総額に対し +15% の「やや割安」 本質価値との差 +9.3% · 10 年 適正(年 +7.2%) 適正 フィフス・サード・バンコープFITB 2026 年 2 月にコメリカを統合した全米 9 位の地銀。ROTCE 19% 目標は式で PER 約 12 倍・PBR 約 1.6 倍が妥当で、今の PBR 約 1.4 倍(有形で約 2.2 倍)はやや割安 本質価値との差 +6.6% · 10 年 適正(年 +7.7%) 適正 チャールズ・シュワブSCHW 預かり資産 13 兆ドルの個人向け証券の最大手。資本コスト 8.5% の利益ベースの式では今の値段はほぼ適正で、利ざやと流入は 2026 年が山に近く、式の感度が大きい 本質価値との差 +5.1% · 10 年 適正(年 +7.7%) 適正 フランクリン・リソーシズ(フランクリン・テンプルトン)BEN 運用資産 1.8 兆ドルの総合運用会社。不祥事の流出は止まり利益率は回復に入ったが、買収でできた会社で堀は薄い。利益ベースの倍率ではほぼ適正 本質価値との差 +4.7% · 10 年 適正(年 +7.6%) 適正 アメリカン・エキスプレスAXP 閉じた決済網と富裕層の会員で ROE 30% 超の稀な金融。資本コスト 7.75% の利益ベースの式では総合で今の値段を 1 割弱上回るだけで、適正 本質価値との差 +3.7% · 10 年 適正(年 +7.0%) 適正 アーサー・J・ギャラガーAJG 保険ブローカー世界 4 位で AP 買収の統合期。堀と買収の積み上げは健在で、AI 不安と料率軟化を織り込んだ中立 10 年 15.9 倍で、総合は今の時価総額に対し +9% の「適正」 本質価値との差 +2.6% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 マーシュ・マクレナンMRSH 保険ブローカー世界最大手。切り替え費用の高い堀と高 ROE は健在で、AI 不安と料率軟化を織り込んだ中立 10 年 19.9 倍で、総合は今の時価総額に対し +8% の「適正」 本質価値との差 +2.5% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 チャブCB 世界最大級の上場損保。引受の規律と運用益で稼ぐ。軟調な市場でも質は落ちにくい。中立 10 年 11.6 倍で、総合は今の時価総額に対し +3% の「適正」 本質価値との差 +0.4% · 10 年 適正(年 +6.8%) 適正 ブラックロックBLK 資本コスト 8.25% の利益ベースの倍率で測ると、貯まる現金を数えて値段はほぼ適正 本質価値との差 −2.7% · 10 年 適正(年 +6.8%) 適正 インベスコIVZ 運用資産 2.5 兆ドルの ETF 主導の運用会社。QQQ と ETF の流入が利益を押し上げるが利回りは薄く、アクティブ株式の流出と市場の高値が重い 本質価値との差 −2.8% · 10 年 適正(年 +7.2%) 適正 アシュラントAIZ 携帯端末保護・自動車保証・住宅保険を束ねる特殊保険会社。資本の軽い手数料型の利益で ROE 15% 前後。中立 10 年 13.1 倍で、総合は今の時価総額に対し -3% の「適正」 本質価値との差 −3.5% · 10 年 適正(年 +6.7%) 適正 ジャック・ヘンリー・アンド・アソシエーツJKHY 中小の銀行・信用組合のコアと決済を握る安定した処理会社。顧客数は合併で減っても受注で横ばい、1 行あたり売上は年 5% 前後伸びる。10 年の価値は今の値段とほぼ同じで適正 本質価値との差 −5.1% · 10 年 適正(年 +5.8%) 適正 S&P グローバル インクSPGI 格付と指数が稼ぐ高収益の堀を持つが、データ事業は AI で揺らぐ。資本コスト 7.75% の利益ベースの式の倍率で見ると、今の値段は適正の範囲(割高寄り) 本質価値との差 −7.2% · 10 年 適正(年 +5.6%) 適正 ロウズ・コーポレーションL 約 9 割保有の損保 CNA、ガス・パイプライン、ホテルと 44 億ドルの現金を持つ持株会社。価値の 7 割は CNA、成長はパイプライン。中立 10 年 10.8 倍で、総合は今の時価総額に対し -6% の「適正」 本質価値との差 −8.9% · 10 年 適正(年 +6.1%) 適正 ブラウン・アンド・ブラウンBRO 米国中堅の保険ブローカーで、アクリシュア買収の借金と弱い基調が重い。中立 10 年 13.3 倍で、総合は今の時価総額に対し -3% の「適正」 本質価値との差 −9.7% · 10 年 適正(年 +5.3%) やや割高 ブラックストーンBX 運用資産 1.35 兆ドルのオルタナティブ運用の最大手。堀は厚いが、解約の起きる個人マネーと報酬率の低下を数え、利益ベースの倍率で測ると、値段はほぼ適正 本質価値との差 −11.9% · 10 年 やや割高(年 +5.6%) やや割高 W.R.バークレーWRB 約 50 の専門事業会社を束ねる米国の商業・特殊損保。ROE 18〜20% で資本を返す優良会社だが、料率の山は越えてソフト化が近い。中立 10 年 13.9 倍で、総合は今の時価総額に対し -13% の「やや割高」 本質価値との差 −13.3% · 10 年 やや割高(年 +5.2%) やや割高 ファクトセット・リサーチ・システムズFDS 金融の情報インフラとして更新率 95% 超を守る高収益会社。席数ベースの商売が生成 AI に置き換わる懸念を悲観に厚く入れても、資本コスト 7.75% の利益ベースの式では今の値段はほぼ適正 本質価値との差 −14.0% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 アフラックAFL 日本のがん・医療保険で首位級。利益の約 7 割を日本が稼ぎ、伸びは鈍いが堅い。資本コスト 7.75% の利益ベースの倍率では、10 年の価値は今の時価総額をやや下回る 本質価値との差 −15.3% · 10 年 やや割高(年 +4.4%) やや割高 アレス・マネジメントARES 信用運用が強い運用資産 6,700 億ドルのオルタナティブ運用会社。手数料の積み上がりは堅いが、株式報酬が手数料関連利益の約 4 割を食い、GAAP と利益ベースの倍率で見た値段はやや割高 本質価値との差 −15.4% · 10 年 やや割高(年 +5.6%) やや割高 マスターカードMA ビザと並ぶ世界の決済網。貸出リスクがなく、還元しながら伸びる利益に高い倍率が付く。資本コスト 7.5% の式でも今の値段は先を織り込み、10 年の価値はやや割高 本質価値との差 −15.6% · 10 年 やや割高(年 +4.7%) やや割高 コーペイCPAY 燃料カードの車両決済に越境の法人決済が加わって伸びる決済会社。利益は厚いが借金が重く、10 年の価値は今の値段をやや下回る 本質価値との差 −17.3% · 10 年 やや割高(年 +5.1%) やや割高 ムーディーズMCO 格付の二強の一角で利益率 65% 超の堀を持つが、データ事業は AI で揺らぐ。資本コスト 7.75% の利益ベースの式では今の値段は先取りが大きく、やや割高 本質価値との差 −17.4% · 10 年 やや割高(年 +4.5%) やや割高 ビザV 貸出リスクを持たない世界最強の決済網。還元しながら伸びる利益に高い倍率が付く。資本コスト 7.5% の式でも今の値段は先を織り込み、10 年の価値はやや割高 本質価値との差 −19.9% · 10 年 やや割高(年 +4.1%) やや割高 CMEグループCME 金利先物をほぼ独占する取引所。取引量の急増は一部が剥がれ、資本コスト 7.75% の利益ベースの式では今の値段はやや割高に出る 本質価値との差 −20.5% · 10 年 やや割高(年 +3.9%) やや割高 インタラクティブ・ブローカーズ・グループIBKR 世界でいちばん安く速い証券会社だが、会社全体の持ち分で測ると今の値段は 10 年先の成長を織り込んでやや割高 本質価値との差 −21.0% · 10 年 やや割高(年 +5.0%) やや割高 アポロ・グローバル・マネジメントAPO 運用資産 1.05 兆ドルのオルタナティブ運用に、生保アセネ(Athene)を連結する。調達と保険の資金源は厚いが、保険の利ざやと私募クレジットの質が振れ、利益ベースの倍率で測ると値段はやや割高 本質価値との差 −21.5% · 10 年 やや割高(年 +5.5%) やや割高 エリー・インデムニティERIE 相互保険会社の管理手数料(保険料の 25%)だけを受け取る資本いらずの事業。契約数の減少が続き、伸びは物価連動に頼る。中立 10 年 18.2 倍で、総合は今の時価総額に対し -17% の「やや割高」 本質価値との差 −21.5% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 シンシナティ・ファイナンシャルCINF 代理店経由の中堅損保。引受の利益は薄く、自己資本の約 8 割が保有株。本業と保有株を分けて見ると、総合は今の時価総額に対し -20% の「やや割高」 本質価値との差 −23.5% · 10 年 やや割高(年 +4.3%) やや割高 モルガン・スタンレーMS ウェルスの規模で堀が広がる優良な金融。資本コスト 8.5% の利益ベースの式では ROE 14.7% に PER 11.7 倍前後が付き、今の PER 17 倍はやや割高 本質価値との差 −23.5% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 MSCIMSCI 指数の堀と資産連動料で稼ぐ高収益の会社だが、株高頼みと借入で膨らんだ今の値段は、資本コスト 8.0% の利益ベースの式の倍率ではやや割高 本質価値との差 −24.0% · 10 年 やや割高(年 +3.4%) やや割高 ゴールドマン・サックス・グループGS 投資銀行・市場業務で首位級の優良な金融。利益の山谷が大きく、資本コスト 8.75% の利益ベースの式では ROE 14.5% に PER 11 倍前後が付き、今の値段はやや割高 本質価値との差 −24.7% · 10 年 やや割高(年 +4.2%) やや割高 シービーオーイー・グローバル・マーケッツCBOE S&P 500 のオプションを独占する取引所。2026 年の取引量の急増は一部が剥がれ、資本コスト 7.75% の利益ベースの式では今の値段はやや割高に出る 本質価値との差 −26.9% · 10 年 やや割高(年 +3.5%) やや割高 インターコンチネンタル・エクスチェンジICE 取引所・債券データ・住宅ローン基盤の 3 本柱。質は高いが、資本コスト 8.0% の利益ベースの式では今の値段は先取りが大きい 本質価値との差 −27.8% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 ナスダックNDAQ 上場・指数・金融ソフトの継続収入が 7 割超の取引所。質は高いが、資本コスト 8.0% の利益ベースの式では今の値段は先に進みすぎで、やや割高 本質価値との差 −28.3% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) やや割高 バークシャー・ハサウェイBRK-B 保険・鉄道・電力・製造の複合体と 6,700 億ドル超の株式・現金。営業 4 事業は利益ベースの上限の内側に置き、中立 10 年 PBR 1.11 倍で、総合は今の時価総額に対し -28% の「やや割高」 本質価値との差 −29.8% · 10 年 やや割高(年 +3.2%) 割高 ブロックXYZ 若者向け金融アプリ Cash App と加盟店決済 Square を持つ。粗利益は伸びるが、貸出と株式報酬を引いた GAAP 利益は薄い。利益ベースの倍率で測ると、確率で重ねた値は今の値段を 3 割弱下回る 本質価値との差 −31.7% · 10 年 割高(年 +3.3%) 割高 KKRKKR 運用資産 8,000 億ドルのオルタナティブ運用に、保険(グローバル・アトランティック)を抱える。堀は厚いが、成功報酬と保険の投資損で利益の質が振れ、利益ベースの倍率で測ると値段はやや割高 本質価値との差 −35.2% · 10 年 割高(年 +3.3%) 割高 コインベースCOIN 暗号資産の取引所から、ステーブルコインの利息と預かりで稼ぐ金融会社へ。事業の転換は本物だが、2026 年は赤字で、資本コスト 9.5% の利益ベースの式では今の値段が 10 年の高成長を織り込み過ぎて割高と出る 本質価値との差 −49.7% · 10 年 割高(年 +1.4%) 割高 ロビンフッド・マーケッツHOOD 個人投資家の新世代向け証券。予測市場・暗号資産・金利で稼ぐ力は本物だが、今の値段は 10 年の高成長を織り込み済みで、資本コスト 9% の利益ベースの式では大きく割高に出る 本質価値との差 −58.0% · 10 年 割高(年 −1.0%)

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読んだ資料

  1. トラベラーズ 2026 年 4〜6 月期 決算発表(Business Wire)
  2. トラベラーズ 2026 年 4〜6 月期 決算発表(InsuranceNewsNet 転載)
  3. トラベラーズ 2025 年通期 決算発表(Business Wire)
  4. トラベラーズ 2025 年通期 決算発表(InsuranceNewsNet 転載)
  5. デフィニティによるトラベラーズ・カナダの買収完了(2026-01-02)
  6. トラベラーズ 2026 年株主総会資料(DEF 14A)
  7. 商業保険の保険料が加速して下落(The Council・2026 年 4〜6 月期)
  8. トラベラーズの時価総額(Wedbush・2026-10-02 の値)

分析日 2026-10-16