結論
ロケット・カンパニーズは米国で住宅ローンの組成、債権管理、住宅検索を結びつける会社である。事業の規模には価値があるが、全普通株を数えた現在の値段には安全域が乏しく、割高と考える。住宅購入者が借り、借り換え、家を売るまでの接点を握ることは、単なる融資仲介より強い。
転機は2025年である。住宅検索のレッドフィンと債権管理大手ミスター・クーパーを取得し、2026年6月には約910万件、元本約2兆ドルのローンを管理した。顧客維持率97%という継続接点から借り換えを獲得できれば、広告費を抑えて件数を増やせる。同年4~6月期のGAAP純利益は2.29億ドルで、統合後の収益力は現れ始めた。ただし調整後利益4.41億ドルを、そのまま株主の利益とは数えない。
難点は住宅ローンの利幅である。卸売りとコレスポンデントの取引は薄利であり、高金利が住宅売買を抑える状況では、取扱高が増えても儲けは比例しない。買収で生まれた巨額ののれんは売れる現金ではなく、管理債権の時価も早期返済率で動く。10年後も住宅ローンはなくならないが、高い資本効率まで約束されてはいない。
さらに株式数の資料差は結論を左右する。添付の2026年10月23日の価格と株数からは時価総額約155億ドルとなるのに、2026年6月の提出資料は約28.36億株、10月27日の公開時価総額は約335億ドルである。この分析の機械的な差は添付の155億ドル基準で「やや割安」だが、実際に全種類株を保有対象とすれば割高になる。株式数の修正なしに前者を投資判断へ転用してはならない。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主なら、最初に住宅ローンが十年後も必要かを問う。答えは必要だ。住宅の購入と借り換えには、信用審査、資金調達、権原確認、債権管理の責任が残る。AIが画面と事務作業を変えても、貸し倒れと契約の責任を消せるわけではない。
次に、他社が奪えない利益はどこかを見る。管理債権と顧客データは確かな資産で、返済期日という定期的な接点を生む。しかし次のローンを取る段階では金利比較に引き戻される。97%の顧客維持率を、将来の利益率や値上げ率へそのまま置き換えてはいけない。営業担当の生産性改善は必要だが、競合もAIを導入するため永遠の差にはならない。
オーナー利益では、2026年上期のGAAP黒字を喜びながらも、管理権の時価変動、買収無形資産の償却、株式報酬、借入の費用を差し引く。住宅ローンの貸付資金の借入は商品を仕入れるのに近いが、買収に伴う無担保の負債は株主の取り分を直接削る。自己資本を持つだけで高い価値は生まれず、資本コストを超える利益を取り戻す必要がある。
最後は払う値段である。将来の期待収益は統合が成功すれば伸びるが、強い競争と住宅取引の波を考えると確信は限られる。とりわけ発行済み株式の数え間違いは安全域を倍近く錯覚させる。会社全体の価値と全株式数をそろえることこそ、将来の株主の取り分を守る第一歩である。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの入口はロケット・モーゲージの住宅ローン組成である。顧客へ融資を実行してファニーメイ等の二次市場へ売り、融資手数料と売却益を得る。2025年は約1304億ドルを実行し、組成・売却収益は約38億ドルだった。直販は自社ブランドと営業担当が集客し、ロケット・プロは外部の住宅ローン仲介業者を通す。2026年4~6月期の販売益率は直販4.13%、ロケット・プロ0.69%、コレスポンデント0.19%で、同じ融資額でも儲け方は大きく違う。
管理業務は貸し手や投資家に代わり、毎月の返済を回収し、延滞対応や税金・保険料の預かり金を扱う。管理債権の元本が増えるほど手数料と預り金の利息が入り、顧客に次の借り換えを勧める機会も増える。管理権(MSR)は帳簿上の資産でもあり、金利や期限前返済の予想が変わると損益が揺れる。2025年末の管理件数約946万件は買収によって段差が生じた数字であり、年間平均件数とは区別した。
レッドフィンは住宅検索サイトと仲介業務を持ち、売買成立時の仲介手数料と紹介料を得る。ロケット・クローズは登記、権原保険、決済と鑑定を担う。ロケット・マネーは家計管理アプリの課金で稼ぎ、ロケット・ローンズは個人ローンを扱う。2026年から対外報告は住宅ローンを一つのセグメントとし、不動産と個人金融をその他へまとめた。この分析の数量表では経済性が異なる六つの収益源に分解した。
利用者の資料にある2025年売上68.8億ドルは財務の正本として守ったが、SECの同年度売上は66.95億ドルである。差の1.85億ドルを正体不明の高成長売上とせず、残差を明記して周辺事業の基礎額に含めた。2026年上期の売上は57.25億ドルへ拡大したものの、買収の通年化が大きく、既存事業の自然成長率とは違う。
優良さと弱いところ
最も確かな堀は管理債権の規模である。約910万件の顧客との継続的な接触と、ローンの返済履歴が、借り換え需要の発見に役立つ。2025年末の顧客維持率97%は単なるアプリの利用継続ではなく、金融の事務処理を任せられる関係の厚みを示す。2026年には旧ミスター・クーパーの管理を単一の仕組みに移し、顧客の取得費を下げる余地が生まれた。
ただし維持率が高いことと値上げできることは別だ。住宅ローンの借り手は総支払額と金利を比較する。卸売りは仲介業者が複数の貸し手を選べるため、相手を囲い込む力は弱い。ユナイテッド・ホールセール・モーゲージは2026年4~6月期に約397億ドルを実行し、ロケットの約491億ドルに迫った。銀行やペニーマックも競争相手であり、規模の優位は取り消せない値決め力にはならない。
技術投資は防御にも費用削減にも効く。AIによる営業担当の案件振り分けで、担当者一人が扱う顧客数は前年比で約4割増えた。音声AIは問い合わせを自動化した。一方、金融商品の比較もAIで容易になり、集客の優位は薄れる。管理と販売の好循環は認めるが、10年後に超過利益の全てが残る強い堀とは評価しない。
買収で自己資本が急増したため、近年のROEは比較が難しい。2025年の自己資本229億ドルには多額ののれんが含まれる。2026年上期の黒字だけで投下資本の回収を証明することはできない。規模のある貸出プラットフォームとしての優位と、普通の価格競争に晒される融資商品の弱さを同時に見るべきだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅ローンの需要は人口だけで増えるわけではない。中古住宅の売買件数、住宅価格、借り換えに有利な金利差で動く。2026年10月の住宅ローン銀行協会の見通しでは、組成市場は2026年約2.1兆ドル、2027年は5%減の約2兆ドルである。住宅ローン金利が7%を超える状態では、借り換えの活況を前提にできない。中立の10年間は物価3.5%を金額単価に入れ、実質取引件数の伸びは控えめに考える。
組成では直販、独立した仲介業者、銀行、他の非銀行金融が同じ借り手を争う。ロケットの2026年4~6月期の住宅購入向けシェアは6.2%、借り換えは14.3%へ上がった。これは2025年末の5.5%、12.2%からの改善である。ただし卸売りのユナイテッド・ホールセール、消費者直販を広げるペニーマック、地場銀行との争いは激しい。楽観でも市場全体が昔のゼロ金利時代に戻るとはしない。
管理債権は別の市場である。米国の住宅関連債務は約15兆ドル規模で、ロケットの管理元本約2兆ドルは1割強を占める。ペニーマックの2026年6月末の管理元本は約7310億ドルであり、ロケットの規模は目立つ。ただし管理権は売買され、金利上昇や延滞増加でキャッシュの価値と必要資本が変わる。2026年4~6月期には530億ドルの管理権を売り、約7.95億ドルを現金化した。
住宅仲介ではレッドフィンは集客力のあるサイトを持つが、検索流入ではジローやリアルター・ドットコムが強い。レッドフィン単独の2024年の取引シェアは売買の片側件数で0.76%だった。住宅売買が成立して初めて手数料が入るため、サイト閲覧数をそのまま収入にはできない。金利・供給戸数・仲介手数料・広告の変化を、十年の数量と利益率の分かれ目にする。
資本政策と M&A
2025年6月に旧Up-C構造を解消し、7月にレッドフィン、10月にミスター・クーパーの買収を完了した。後者は成立時の対価が約142億ドルに達し、のれんと借入を大きく増やした。少数株主が問うべきは事業の大きさではなく、取得した利益が株式の払い込みや負債の費用を上回るかである。2025年末ののれんは約106億ドルで、悲観時に額面で換金できない。
経営陣は両社の統合費削減を進め、レッドフィンでは年1.4億ドルの節減を達成したと報告した。ミスター・クーパーでは当初の年4億ドルの削減目標に加え、2027年上期までにさらに1億ドルの節減余地を説明した。ただし収益の上積みは集客と融資への転換が実際に生まれて初めて価値になる。2026年6月には6.125%と6.5%の社債を計15億ドル発行し、既存債務の借り換えに使った。
2025年4月にClass A株へ約1.2億ドルの特別配当を支払ったが、これを毎年の配当と見なしてはならない。全株主に対する恒常的な増配・買戻し額の数字の約束は確認できない。今後の資金は債権管理権や事業統合、借入圧縮が先に要る。創業者は2026年春の委任状で議決権の過半を握り、一般株主は買収や還元方針を変えにくい。シナリオの還元は会社の約束ではなく、株式報酬と追加払い込みを控除した推計である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
住宅ローン業の最大の弱点は、借り手と一度きりの関係になりやすいことだった。ロケットは約910万件の管理顧客を持ち、住宅購入と借り換えの時期を予測できる。レッドフィンの住宅検索と仲介を合わせれば、最初の住宅探しから融資、返済までをつなげられる。融資を仲介業者から買うより、既存顧客へ提案する方が獲得費を低くできる可能性が高い。
統合の効果はすでに一部見える。2026年4~6月期の購入シェアは6.2%、借り換えシェアは14.3%へ上昇した。管理債権の統合移行は済み、レッドフィンからの住宅ローン送客も増えている。人手の振り分けと音声応対のAI化が進むほど、取扱件数が増えた時の追加費用は小さくなる。費用削減が営業利益へ残れば、買収ののれん負担を超える稼ぎが生まれる。
競合のユナイテッド・ホールセールは仲介業者向けに強く、ペニーマックはコレスポンデント市場で大きい。だが住宅の検索、管理、直販、決済を同じ会社が持つ網の広さではロケットに利がある。売買件数が回復し、直販比率が高まれば、安売りの卸売りを増やさずに住宅ローン市場の取り分を高められる。資本効率が改善して利益の再投資利回りが資本コストを上回れば、成長と還元が両立する。
慎重な見方
住宅ローンの借り手はまず金利と総費用を見る。レッドフィンを通じて顧客と出会えても、融資額に応じた値引きで顧客をつなぎ留めるなら、成果は売上ではなく利幅に現れる。2026年4~6月期のロケット・プロの売却益率0.69%、コレスポンデント0.19%は、外部販路で値決め力が弱い証拠である。大型プラットフォームができても融資は結局、競争入札に近い。
買収は株主の取り分を増やしたとはまだ言えない。2025年の営業事業は持ち直しても、取得したのれんは約106億ドルに達した。管理権の時価は金利と早期返済率に左右され、売却すれば現金は入るが将来の手数料を手放す。費用削減の公表数字は、正常化したGAAP利益として十年続くか確かめる必要がある。金利7%前後でも買える住宅が少なく、借り換えの大量再開も望みにくい。
住宅検索の行動はAIに置き換わり、家計管理アプリは汎用の自動化機能と競争する。もし管理顧客への営業が思ったほど融資につながらなければ、レッドフィンの流入費用、管理システムの維持、無担保社債の利払いだけが残る。創業者の議決権の過半支配の下では、少数株主が大規模な買収や無配継続を止められない。さらに実際の時価総額は添付の計算値より大きく、価値と値段の差は市場で見えるほど広くない。
どちらに重みを置いたか
事業の規模と統合の進み方は評価できるが、値決め力が弱く、高金利下で住宅の売買件数も伸びにくい。そこで楽観側27%、中立31%、悲観側42%と慎重な側へ寄せた。これは管理権の価値、買収のれん、AIによる住宅検索・家計アプリの変化を織り込んだ判断である。添付の株数のままなら割引後価値は現在値をやや上回るが、全普通株の公開時価総額と比べると割高になる。この違いは事業の見方ではなく分母の欠落であり、修正が不可欠だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 24.93 ドル330 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 5.02 ドル66 億ドル)。 今の値に割り戻すと 13.79 ドル182 億ドル、今との差 +7.7%、 期待の年率 +9.9%(資本コスト 9.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 63.52 ドル840 億ドル | 10.59 ドル140 億ドル | +479.0% | +21.8% | 6.67 ドル88 億ドル |
| やや楽観 | 18% | 41.59 ドル550 億ドル | 7.56 ドル100 億ドル | +284.0% | +16.2% | 8.85 ドル117 億ドル |
| 中立 | 31% | 26.48 ドル350 億ドル | 5.67 ドル75 億ドル | +151.2% | +10.9% | 9.97 ドル132 億ドル |
| やや悲観 | 25% | 10.54 ドル139 億ドル | 3.78 ドル50 億ドル | +11.9% | +1.3% | 3.58 ドル47 億ドル |
| 悲観 | 17% | 5.17 ドル68 億ドル | 0.00 ドル0 億ドル | −59.6% | −8.7% | 0.88 ドル12 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 24.93 ドル330 億ドル | 5.02 ドル66 億ドル | +134.0% | +9.9% | 29.95 ドル396 億ドル |
今の株価時価総額 12.80 ドル169 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 楽観:組成と管理の規模利益が高収益として定着 利益 70 億ドル · PER 12.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 63.52 ドル840 億ドル
住宅の実質売買と借り換えが復調し、顧客を競合から奪う。レッドフィンは米国の住宅取引サイド約1050万件のうち1.1%へ届き、ローンの実行は年105万件に増える。管理顧客は1250万件へ広がり、融資から管理へ循環する。直販の比重が高まれば卸売りの薄利を補える。
2026年の利益を約12億ドルとし、2027~30年平均約26億ドル、2031~35年平均約55億ドルへ伸ばす。2034年には約65億ドルに達し、最終年の増益率は1割を下回る。買収統合後の規模効果が定着し、全期間のGAAP純利益累計は約390億ドルとなる。配当と買い戻しの合計からSBCを引いた正味140億ドルを還元し、残りは融資と資本の成長へ留保する。
管理権の顧客接点と契約遵守の技術を生かし、ユナイテッド・ホールセールの低率卸売りより直販の利益を厚くする。物価が高いままでも住宅の数量が回復すれば、営業利益と顧客獲得コストの差が広がる。余った資本を強い事業へ投入し、創業者支配の資本配分が例外的にうまく機能する場合である。
- 住宅ローンの組成・売却:数量 1,050,000(年間実行ローン件数(件))× 価格 0.00(実行1件当たりの売却益・融資手数料(億ドル))→ 売上 124 億ドル・営業利益 45 億ドル。米国実質市場約750万件×シェア14%、直販比率拡大
- 債権管理・MSR・預り金運用:数量 12,500,000(平均管理ローン件数(件、推定))× 価格 0.00(管理1件当たり純収益(MSR評価差込み、億ドル))→ 売上 78 億ドル・営業利益 38 億ドル。継続管理で住宅ローン約4件に1件、効率化が進む
- レッドフィン住宅仲介・紹介:数量 115,000(実際の成約サイド件数(件))× 価格 0.00(1成約サイド当たり仲介・紹介収益(億ドル))→ 売上 18 億ドル・営業利益 3 億ドル。不動産取引サイド約1050万×1.1%
- ロケット・マネー個人家計アプリ:数量 4,583,000(期末有料加入者数(人))× 価格 0.00(加入者1人当たり年換算課金・サービス収益(億ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。AI代替で加入者数は2025年並みが上限
- ロケット・クローズ決済・権原・鑑定:数量 590,000(年間決済件数(件))× 価格 0.00(決済1件当たりの手数料収益(億ドル))→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。組成顧客の決済付帯率上昇
- 個人ローン・その他と照合差:数量 145,000(Rocket Loans年間成約件数を代理指標(件))× 価格 0.00(周辺収益および帳簿照合差÷ローン件数(億ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。周辺ローンの成約増も残差は復元しない
倍率:資本コストk=9.0%、ROE=14.6%(GAAP純利益70億ドル÷自己資本479億ドル)、長期g=2.5%。融資組成の価格競争を踏まえmoat=weak、超過利益の残存1/3、RONIC=10.9%。翌期利益型の正当化PERを10年目利益型へ1.025倍して上限約12.14倍。会計上のMSR変動と住宅取引の循環、GAAP償却・株式報酬を考え、上限の99%となるPER12.0倍を採用。
確率:管理顧客からの送客と大幅な費用削減がすべて利益に残る上振れはあり得るが、高金利の市場全体が十年続けて拡大する前提は稀で9%とした。
やや楽観 18% やや楽観:統合が定着して市場シェアを伸ばす 利益 50 億ドル · PER 11.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 41.59 ドル550 億ドル
借り換えが時おり増える一方、住宅購入の回復は緩やかである。住宅ローン実行は年90万件になり、管理債権の継続件数は1200万件となる。値引きを伴う顧客再獲得は残るが、検索から融資と決済へつなぐ仕組みが広告費を下げる。競合との価格差は縮まず、利益率は楽観ほど高くならない。
2026年の純利益約12億ドルから、中盤の平均約18億ドル、終盤の平均約41億ドルを経て、累計290億ドルを得る。老朽化する管理システムの更新投資を差し引き、SBC相当を除いた正味100億ドルを還元する。のれんの追加減損はなく、顧客への値引きが過大にならない。
2026年の管理統合と原価削減を実行した後は、事業買収ではなく既存顧客の再獲得で伸びる。高金利で米国の組成市場は小さいが、販売網を広げた分だけシェアを得る。AIは融資審査と管理事務の費用削減に寄与するが、レッドフィンと家計アプリの客足は以前ほど強くならない。
- 住宅ローンの組成・売却:数量 900,000(年間実行ローン件数(件))× 価格 0.00(実行1件当たりの売却益・融資手数料(億ドル))→ 売上 105 億ドル・営業利益 34 億ドル。市場約700万件×シェア12.9%、直販を拡大
- 債権管理・MSR・預り金運用:数量 12,000,000(平均管理ローン件数(件、推定))× 価格 0.00(管理1件当たり純収益(MSR評価差込み、億ドル))→ 売上 70 億ドル・営業利益 30 億ドル。管理は1200万件、離反率を低水準で維持
- レッドフィン住宅仲介・紹介:数量 104,000(実際の成約サイド件数(件))× 価格 0.00(1成約サイド当たり仲介・紹介収益(億ドル))→ 売上 16 億ドル・営業利益 2 億ドル。米国市場約1000万サイド×1.04%
- ロケット・マネー個人家計アプリ:数量 4,300,000(期末有料加入者数(人))× 価格 0.00(加入者1人当たり年換算課金・サービス収益(億ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。汎用AIに一部移るため今より少ない加入者
- ロケット・クローズ決済・権原・鑑定:数量 520,000(年間決済件数(件))× 価格 0.00(決済1件当たりの手数料収益(億ドル))→ 売上 10 億ドル・営業利益 3 億ドル。付帯率の上昇
- 個人ローン・その他と照合差:数量 120,000(Rocket Loans年間成約件数を代理指標(件))× 価格 0.00(周辺収益および帳簿照合差÷ローン件数(億ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。ローン件数増の一方で残差消失
倍率:資本コストk=9.0%、ROE=11.9%(GAAP純利益50億ドル÷自己資本419億ドル)、長期g=2.5%。融資組成の価格競争を踏まえmoat=weak、超過利益の残存1/3、RONIC=10.0%。翌期利益型の正当化PERを10年目利益型へ1.025倍して上限約11.82倍。会計上のMSR変動と住宅取引の循環、GAAP償却・株式報酬を考え、上限の93%となるPER11.0倍を採用。
確率:買収の管理・住宅検索の結合がうまく働くが、競合との金利比較は残るため、実現可能性を18%と評価した。
中立 31% 中立:住宅ローンの競争を受けながら一部の堀を守る 利益 34 億ドル · PER 10.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 26.48 ドル350 億ドル
米国の住宅ローン組成は金利の高止まりで大きく膨らまない。しかし顧客への再融資とレッドフィン経由の住宅購入が少しずつ増え、ローンは年75万件に達する。管理は約1100万件、売買仲介は年9万件になる。住宅価格に合わせて1件当たりの売却益は名目で増えるが、融資の金利差は競争で縮み、強い値上げ力は得られない。
2026年のGAAP利益を約12億ドル、中盤の平均約14億ドル、終盤の平均約28億ドルと考える。金利による損益の谷を挟んで十年の利益累計は210億ドルとなる。株式報酬による希薄化を除いた還元は75億ドルで、取得した事業の運転資本と自己資本を維持する。年末の純利益34億ドルを継続できるほど費用削減は定着するが、競合の値引きが余力を食う。
ユナイテッド・ホールセール、ペニーマック、銀行が価格を競うため組成の利益率は大幅には拡大しない。管理業務は契約の継続と独自のデータで守られる。家計アプリは画面操作をAIに置き換えられ、有料加入者が約2割減る。市場全体の実質取引数は緩やかに増えるが、広告・仲介の勝者総取りは起きない。
- 住宅ローンの組成・売却:数量 750,000(年間実行ローン件数(件))× 価格 0.00(実行1件当たりの売却益・融資手数料(億ドル))→ 売上 86 億ドル・営業利益 25 億ドル。市場約650万件×シェア11.5%への上積み
- 債権管理・MSR・預り金運用:数量 11,000,000(平均管理ローン件数(件、推定))× 価格 0.00(管理1件当たり純収益(MSR評価差込み、億ドル))→ 売上 60 億ドル・営業利益 24 億ドル。2026年の管理基盤から約2割増
- レッドフィン住宅仲介・紹介:数量 90,000(実際の成約サイド件数(件))× 価格 0.00(1成約サイド当たり仲介・紹介収益(億ドル))→ 売上 13 億ドル・営業利益 1 億ドル。売買片側約1000万件×シェア0.9%
- ロケット・マネー個人家計アプリ:数量 3,800,000(期末有料加入者数(人))× 価格 0.00(加入者1人当たり年換算課金・サービス収益(億ドル))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。AI代替で2025年の83%、価格は約1.09倍
- ロケット・クローズ決済・権原・鑑定:数量 425,000(年間決済件数(件))× 価格 0.00(決済1件当たりの手数料収益(億ドル))→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。融資成約の約57%が付帯
- 個人ローン・その他と照合差:数量 100,000(Rocket Loans年間成約件数を代理指標(件))× 価格 0.00(周辺収益および帳簿照合差÷ローン件数(億ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。2025年の資料差を恒久収益にしない
倍率:資本コストk=9.0%、ROE=9.3%(GAAP純利益34億ドル÷自己資本364億ドル)、長期g=2.5%。融資組成の価格競争を踏まえmoat=weak、超過利益の残存1/3、RONIC=9.1%。翌期利益型の正当化PERを10年目利益型へ1.025倍して上限約11.44倍。会計上のMSR変動と住宅取引の循環、GAAP償却・株式報酬を考え、上限の90%となるPER10.3倍を採用。
確率:融資組成は価格競争、管理は継続性という二面性がある。高金利を前提に最も起こりやすい31%とし、過度な成長を見ない。
やや悲観 25% やや悲観:金利高と薄利販売で収益の伸びが鈍る 利益 17 億ドル · PER 8.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 10.54 ドル139 億ドル
ローン金利の高さが続き、住宅購入と借り換えの回数が減る。ロケットは2026年につかんだ管理顧客の一部をMSR売却や借り換えで失い、年940万件の管理へ戻る。直販の優位は残るが、外部仲介向けの値引きで利幅を削る。レッドフィンの検索客は競合サイトやAI住宅探しへ移り、ローン送客も思ったほど増えない。
最初の数年は買収統合で利益が出るが、その後は販路の競争が強まる。2026年約12億ドル、2027~30年平均約12億ドル、2031~35年平均約17億ドルという経路で利益累計145億ドルになる。契約基盤の保守と負債返済を優先し、SBC控除後の株主還元は50億ドルに抑える。純利益は17億ドルとなり、増分投資利回りは資本コストに届かない。
ユナイテッド・ホールセールのような薄利販路が一段と伸び、管理の規模が融資の単価を守れなくなる。2025年に買ったのれんは残るが期待した超過利益は乏しい。融資の再購入や延滞対応に資金を縛られ、資本は増えるのに株主が得る利回りは小さい。
- 住宅ローンの組成・売却:数量 590,000(年間実行ローン件数(件))× 価格 0.00(実行1件当たりの売却益・融資手数料(億ドル))→ 売上 58 億ドル・営業利益 13 億ドル。米国約580万件×シェア10.2%、利幅縮小
- 債権管理・MSR・預り金運用:数量 9,400,000(平均管理ローン件数(件、推定))× 価格 0.00(管理1件当たり純収益(MSR評価差込み、億ドル))→ 売上 40 億ドル・営業利益 11 億ドル。管理件数は2026年近辺へ戻る
- レッドフィン住宅仲介・紹介:数量 62,000(実際の成約サイド件数(件))× 価格 0.00(1成約サイド当たり仲介・紹介収益(億ドル))→ 売上 7 億ドル・営業利益 0 億ドル。検索の流入減と仲介料圧力
- ロケット・マネー個人家計アプリ:数量 2,950,000(期末有料加入者数(人))× 価格 0.00(加入者1人当たり年換算課金・サービス収益(億ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。会員の36%減、課金も弱い
- ロケット・クローズ決済・権原・鑑定:数量 340,000(年間決済件数(件))× 価格 0.00(決済1件当たりの手数料収益(億ドル))→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。成約率と単価が下がる
- 個人ローン・その他と照合差:数量 85,000(Rocket Loans年間成約件数を代理指標(件))× 価格 0.00(周辺収益および帳簿照合差÷ローン件数(億ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。顧客基盤の伸び止まり
倍率:ROEは5.2%でk=9.0%未満。ためた資本の利益率が資本コストに及ばず、1/k=11.11倍はあくまで上限。ローン販路の値引きと管理権売却を反映しPER8.2倍に割り引いた。PERは中立10.3倍より低く、PBR相当は0.43倍で中立より低い。
確率:MSRの時価、住宅取引の減少、競争の値引きは同時発生し得るため、構造的な悪化の一段手前に25%を割り当てた。
悲観 17% 悲観:販路の喪失と大型減損で再建状態 利益 7 億ドル · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5.17 ドル68 億ドル
金利高と住宅の購入負担が続く間に、管理債権の顧客を他社へ奪われる。契約の一部は売却して資金を確保し、管理件数は700万件、組成ローンは年33万件まで縮む。融資の利幅とレッドフィンの送客力が同時に衰え、住宅検索のAI代替が加速する。2025年の大型買収で期待した相乗効果は持続せず、のれんと管理権の価値が減る。
2026年に約12億ドルを稼ぐが、2027~30年に合計約75億ドルの純損失を計上する。これは信用循環の損益だけでなく、取得した無形資産・のれんの減損を含む。その後の2031~35年は合計14億ドルほどの回復にとどまり、十年累計は約49億ドルの損失となる。資本が180億ドルへ減り、株式報酬と再建資金の差引きで正味の還元はゼロとした。
貸出は残るが大手としてのブランドの優位が崩れ、顧客を呼び戻すための大幅な値引きが常態化する。黒字には戻っても資本コストを稼げず、財務諸表ののれんをそのまま清算価値に使えない。住宅ローンの審査・管理には法的な担い手が必要なので、事業価値がゼロになるとはしない。
- 住宅ローンの組成・売却:数量 330,000(年間実行ローン件数(件))× 価格 0.00(実行1件当たりの売却益・融資手数料(億ドル))→ 売上 26 億ドル・営業利益 4 億ドル。米国約520万件×シェア6.3%へ後退
- 債権管理・MSR・預り金運用:数量 7,000,000(平均管理ローン件数(件、推定))× 価格 0.00(管理1件当たり純収益(MSR評価差込み、億ドル))→ 売上 20 億ドル・営業利益 5 億ドル。管理権売却と競合への移管で大幅減
- レッドフィン住宅仲介・紹介:数量 34,000(実際の成約サイド件数(件))× 価格 0.00(1成約サイド当たり仲介・紹介収益(億ドル))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。サイト送客価値と仲介料の双方が低下
- ロケット・マネー個人家計アプリ:数量 2,290,000(期末有料加入者数(人))× 価格 0.00(加入者1人当たり年換算課金・サービス収益(億ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。有料利用者は半減、AIが画面を代替
- ロケット・クローズ決済・権原・鑑定:数量 190,000(年間決済件数(件))× 価格 0.00(決済1件当たりの手数料収益(億ドル))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。貸付縮小で決済も減る
- 個人ローン・その他と照合差:数量 50,000(Rocket Loans年間成約件数を代理指標(件))× 価格 0.00(周辺収益および帳簿照合差÷ローン件数(億ドル))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。周辺ローンの縮小
倍率:GAAP純利益6.5億ドル÷減損後自己資本180億ドルでROE3.6%、k=9%を大きく下回る。利益の上限1/k=11.11倍では時価総額約72.2億ドル。減損後自己資本にPBR0.38倍を掛けた68.4億ドルはこの稼ぐ力の上限を下回り、清算可能資産の推定床15億ドルも上回る。現在の自己資本を十年間積み上げて床を掛けた値ではない。
確率:買収のれん減損と管理契約の流出、レッドフィンへのAI代替が複合する極端な結果でも完全に排除できない。創業者支配と金融の信用循環を勘案し17%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
住宅ローンの組成・売却
住宅購入・借り換えローンを実行し二次市場へ売る。直販・仲介業者経由・コレスポンデントで粗利が違う。
| 数量年間実行ローン件数(件) | 価格実行1件当たりの売却益・融資手数料(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 460,000 | 0.00 | 38 | 9 |
| 10 年後 中立 | 750,000 | 0.00 | 86 | 25 |
取り方:2025年10-Kの組成・売却利益38.07億ドル、実行額1303.52億ドルと約46万顧客を参照。件数約46万を実行ローン数の近似とした。1件約8276ドル。2026年Q2は直販4.13%、Pro0.69%、コレスポンデント0.19%で、今後の価格は組成額・金利差と販路構成の両方で変わる。各小区分の営業利益は直接開示されないため、全社の買収統合費・MSR評価損を考慮した税前寄与額の推定。調整差は本社費等に属する。
債権管理・MSR・預り金運用
月々の返済回収を担う。管理手数料、MSRの償却・評価変動、顧客預り金利息と融資在庫利息を合算する。
| 数量平均管理ローン件数(件、推定) | 価格管理1件当たり純収益(MSR評価差込み、億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,400,000 | 0.00 | 15 | 4 |
| 10 年後 中立 | 11,000,000 | 0.00 | 60 | 24 |
取り方:2025年10-Kの管理手数料23.17億ドルからMSR時価変動15.30億ドルを差し引き7.87億、預り金利息6.16億、融資資金の純金利1.25億を合わせ15.28億。Mr. Cooper買収が2025年10月のため期末946万件を通期平均にせず約440万件と推定。2026年Q2は期末約910万件、管理料・純MSR・金利収入の合計10.33億ドル。各小区分の営業利益は直接開示されないため、全社の買収統合費・MSR評価損を考慮した税前寄与額の推定。調整差は本社費等に属する。
レッドフィン住宅仲介・紹介
自社の仲介員と提携事業者が住宅売買を成約させ、取引成立時に仲介料・紹介料を受け取る。
| 数量実際の成約サイド件数(件) | 価格1成約サイド当たり仲介・紹介収益(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 35,000 | 0.00 | 4 | −3 |
| 10 年後 中立 | 90,000 | 0.00 | 13 | 1 |
取り方:買収完了は2025年7月で10-Kの下期寄与不動産収入4.04億ドル。2026年上期は成約約3.3万件、売上4.53億ドルなので2025年下期の成約約3.5万件を推定。独立時2024年のレッドフィンの取引は約6.14万件で米国市場の片側シェア0.76%。2026年6月期には売上約1.37万ドル/成約と確認。各小区分の営業利益は直接開示されないため、全社の買収統合費・MSR評価損を考慮した税前寄与額の推定。調整差は本社費等に属する。
ロケット・マネー個人家計アプリ
有料加入者の支出管理・定額契約管理・支払い代行などの定期課金を稼ぐ。
| 数量期末有料加入者数(人) | 価格加入者1人当たり年換算課金・サービス収益(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,583,000 | 0.00 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3,800,000 | 0.00 | 4 | 1 |
取り方:2025年末の有料加入者458.3万人、同年売上3.90億ドル。加入者一人当たり約85ドル。年末加入者を年間平均の代用とするため誤差があり、2026年6月末は501.4万人、同年第2四半期の収益1.18億ドル。AIエージェント代替のうち画面操作の価値が大きい型で、中心シナリオの加入者数を2025年の0.83倍、価格を約1.1倍に制限。各小区分の営業利益は直接開示されないため、全社の買収統合費・MSR評価損を考慮した税前寄与額の推定。調整差は本社費等に属する。
ロケット・クローズ決済・権原・鑑定
住宅ローンや売買に付随する権原保険、決済、鑑定を件数ごとに提供する。
| 数量年間決済件数(件) | 価格決済1件当たりの手数料収益(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 294,000 | 0.00 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 425,000 | 0.00 | 8 | 2 |
取り方:2025年10-Kに決済件数29.4万件、Rocket Close売上3.91億ドルの独立開示がある。単価は約1330ドル。2026年上期の決済件数は19万件。規制上の鑑定・権原事務は残るが価格競争とAI効率化が進むと考えた。各小区分の営業利益は直接開示されないため、全社の買収統合費・MSR評価損を考慮した税前寄与額の推定。調整差は本社費等に属する。
個人ローン・その他と照合差
Rocket Loansなど周辺事業と、会社開示・添付集計との差を隔離した小区分。継続性を過大評価しない。
| 数量Rocket Loans年間成約件数を代理指標(件) | 価格周辺収益および帳簿照合差÷ローン件数(億ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 82,000 | 0.00 | 4 | −1 |
| 10 年後 中立 | 100,000 | 0.00 | 2 | 0 |
取り方:2025年Rocket Loansの実行8.2万件、収益0.49億ドル、他の会社開示雑収益1.26億ドルに、添付売上68.8億ドルとSEC売上66.95億ドルの差1.85億ドルを加え3.60億ドルとした。約4390ドル/件はローン手数料そのものではなく照合用の代理単価。2035年はこの不明な差額が恒久的に増えると仮定せず、近年の個人ローン成約件数と競争で抑える。各小区分の営業利益は直接開示されないため、全社の買収統合費・MSR評価損を考慮した税前寄与額の推定。調整差は本社費等に属する。
リスクと懸念
高金利下の住宅購入・借り換え不振
住宅ローンの需要は借入金利と住宅価格によって大きく変わる。住宅ローン銀行協会は2026年10月時点で2027年の新規組成が前年比5%減ると予想した。金利が7%を超える状態が続けば、貸付件数が増えないまま広告と営業担当の費用を抱え、直販でさえ利益率が下がる。
融資の利幅と卸売り競争
ロケット・プロやコレスポンデントの販売益率は直販よりかなり低い。ユナイテッド・ホールセール、ペニーマック、銀行の攻勢に対して金利で対抗すれば、組成が増えても利益が増えない。将来のシェアを過大評価しないため、販路別の件数と売却益率を四半期ごとに追う。
MSR評価と債権管理資産の換金
管理権は将来の手数料を現在価値へ割り引いた資産であり、金利、早期返済、延滞、割引率で大きく動く。2026年6月末のMSR約189億ドルは現金と同じではない。売却で流動性を得ても将来の手数料の一部を失うため、現金化の額だけで資本配分が成功したと判断できない。
大型買収ののれんと支配株主
2025年のレッドフィンとミスター・クーパー買収に伴い、のれんが約106億ドルとなった。創業者は2026年春時点で過半数の議決権を支配し、少数株主は高値買収や配当停止を変えにくい。統合の費用削減が実際のGAAP利益に結びつかなければ、のれん減損と負債費用が株主に戻る。
AIエージェント代替と住宅検索の入口
住宅ローンの契約と審査はAIが責任主体そのものを消せないが、住宅検索・住宅紹介、家計アプリの画面操作、問い合わせ業務は置き換わる。ロケット・マネーは個人向け課金の操作画面が価値の中心なので、家計AIとの競争により中立の有料会員数を2025年比0.83倍に抑えた。レッドフィンの集客力も継続的に検証する。
負債の借り換えと市場流動性
2025年末の有利子負債338億ドルをすべて買収借入と同じに扱うのは誤りだが、資金繰りの需要は大きい。倉庫融資・MSR担保融資は金利上昇と担保評価減が重なると引出余力が縮む。2026年6月の社債発行利率は6%台であり、調達コストが同時に上がれば株主の利益は削られる。
規制・訴訟・個人情報
住宅ローンでは州免許、消費者保護、ファニーメイ等の売却・管理要件が事業の前提になる。顧客情報とAIを結びつけるほどデータ保護と公平な融資判断の責任が重くなる。2026年3月には子会社の鑑定データ訴訟で1.75億ドルの評決が出ており、確定や上訴によって追加の現金流出が起こり得る。
今後の分かれ目
- 2027年までに住宅ローン組成市場が年2兆ドルを割り、購入件数がさらに2年減る
- 中立の融資成約75万件を引き下げ、やや悲観の数量約59万件へ寄せる。金利低下だけを楽観の根拠にしない。
- 住宅購入向けのシェアが6%台から8%以上へ拡大し直販の売却益率が4%近辺を維持する
- 卸売りの安値ではなく直販の顧客獲得が機能した証拠となる。中立からやや楽観へ数量を増やし、営業利益率の改善がGAAPに残るか確かめる。
- 管理顧客維持率が95%を下回り、件数が900万件を割る
- 管理基盤が住宅ローンの再獲得へ回る堀という根拠が弱まる。MSRの売却代金を新たな価値と数えず、やや悲観・悲観の確率を増す。
- ミスター・クーパーの年5億ドル規模の削減効果がGAAP利益と現金で確認できる
- 本社費を抑える前提を強め、成熟後のROEとRONICを引き上げる。ただし統合費の除外額や償却を二重に戻さない。
- ロケット・マネーの有料加入者が2年続けて減り、レッドフィンからの送客率も低下する
- AIエージェント代替が消費者向け画面と検索の入口を壊している兆候となる。個人アプリの長期gを0%以下に保ち、住宅検索の仲介件数も削る。
- のれんまたはMSRで年30億ドルを超える減損・評価損が出る
- 自己資本の床を切り下げ、債務の担保余力と純利益の累計を点検する。支配株主が追加買収を進めるなら慎重な確率を高める。
- 全普通株のA株とL株を含む株数が分析の台帳へ反映される
- 現行155億ドルという計算上の時価総額を、約333億ドルの全社ベースへ訂正する。評価額の推計は変えず、誤った割安判定を解消する。
見ておくもの
- 2026年10月29日発表予定の2026年7~9月期決算:GAAP純利益、調整後収益25~27億ドルの達成
- 住宅ローン銀行協会の米国融資組成額(2027年約2兆ドル)と住宅ローン金利
- 四半期の住宅購入・借り換え市場シェア、直販・Rocket Pro・コレスポンデントの売却益率
- 管理債権UPB、契約件数、97%の顧客維持率、再獲得率とMSR売却金額
- ミスター・クーパーとレッドフィンの統合節減額、GAAPへの残り方、のれんとMSRの減損
- レッドフィン住宅仲介成約件数とローン送客率、ロケット・マネー有料会員数
- 2026年10-Q記載のA株・L株合計約28.36億株と、添付台帳の13.22億株の差の修正
- 創業者の議決権と無担保社債金利、融資担保枠の未使用額、HouseCanary訴訟の確定状況
倍率と資本コストの決め方
現在や過去のPER・PBRを倍率の根拠に使わなかった。住宅ローンの実行件数と1件当たりの組成売却益、管理契約数と関連収益、レッドフィン成約件数、ロケット・マネーの有料会員数、決済件数を先に組み立てた。米国の物価3.5%と金利5%の前提を守り、長期gは全社2.5%とした。資本コスト9.0%、堀は弱いと判定し、RONICで新規投資の超過利益を減衰させた正当化PERの上限より低い倍率を採用した。GAAP利益からSBCと買収償却を除外していない。
重要な留保は株式数である。添付basisの13.22億株では155.1億ドルだが、2026年6月提出資料のA株・L株を合わせた約28.36億株を使うと同じ2026年10月23日の価格で約332.7億ドルになる。2026年10月27日の公開時価総額335.3億ドルとも整合する。将来の時価総額は全社の金額で、配当・買い戻しは株式報酬と増資額を控除した正味である。155億ドルを真の時価総額と誤認した判定を独立の投資助言にしない。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。基本8.0%+quality1.0%=9.0%。近い金融業のアライ等の9.2%とほぼ同水準だが、管理顧客の厚みはわずかに有利。買収固有の不確実性をkへ二重に上乗せせず確率で反映する。