結論
アフラック(Aflac)は、日本のがん保険・医療保険で最大級の生命保険会社で、米国では職場を通じて売る事故・がん・入院一時金・障害などの補完保険の最大手でもある。2025 年の調整後利益は約 40 億ドル、会計上の純利益は 36 億ドル。日本セグメントが税前調整後利益の約 7 割(2025 年は日本の税前調整後利益が約 34 億ドル、利益率 36.7%)、米国が約 3 割(税前利益率は 2026 年 4〜6 月期で 20.9%)を稼ぐ。
強みは、がん・医療という「保険金の出方が読みやすい」商品で、日本の販売網(代理店・銀行・日本郵便)と給付データを持つ点にある。弱みは、日本の人口減で市場が伸びにくいこと、2026 年 4〜6 月期の日本の販売が前年比 5.6% 減、米国の保険料の伸びが会社の目標(3〜6%)の下限をやや下回る見込みであること、新商品(Miraito)への乗り換えで給付率が上がっていること。利益は 2022〜25 年に実質ほぼ横ばいで、1 株の伸びを作ってきたのは年 5〜6% の自社株買いである。
値段の見方:資本コスト 7.75%(基本 8.0% + quality −0.25%)・事業の ROE 14%・検査の式の g 4%(この会社の長期の名目は日本の縮みで 2.5% 前後と低い)から、利益ベースの正当化 PER は約 16.9 倍。その 7.8 割の 13.2 倍を 10 年後の中立に置いた。利益は 10 年で 48 億ドルと穏やかに伸び、還元は 10 年で約 400 億ドル。10 年の価値は今の時価総額(605 億ドル)を約 1 割下回り、期待の年率は 5% 弱で、やや割高。倍率は日本の縮みと資本コストに敏感で、置き方で差は動く。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業は存在し、今より強いかを問う。がん・医療の補完保険は、人口が減っても、医療費の自己負担と長寿化で需要が残り、契約者との関係が長い。10 年後も存在するが、日本は市場が縮み、強くなるというより「守る事業」である。堀は日本の販売網と給付データ、米国の職場の販売網で、広がりはしないが、競合が簡単に崩せる堀でもない。
次にオーナー利益。会社全体の調整後利益は約 40 億ドルで、今の時価総額に対して約 15 倍。ほぼ全部を還元しているので、株主は利益の大半を受け取れるが、利益そのものは年 2% 弱しか伸びない。「配当と買い戻しが大きい」ことと「価値が増える」ことは別で、増えるのは株数の減少による 1 株の分だけである。
安全域。資本コスト 7.75% の利益ベースの倍率は PER 約 13 倍で、10 年の価値は今を 1 割ほど下回り、期待の年率は 5% 弱にとどまる。今の値段に安全域はない。アフラックは 2008〜09 年に山から谷で 74% 下がっており、信用と為替の評価での一撃が大きい。事業は予測しやすいが、資産運用の信用と日本の規制の変化が読みにくいので、確信度は中程度。
何で稼ぐ会社か
日本は、がん保険・医療保険の「第三分野」と、貯蓄性の第一分野(学資・終身など)を、代理店・銀行・日本郵便を通じて売る。契約者への給付は円で固定され、保険料は契約時の水準で長く入る。収益は 2025 年に約 1.4 兆円(約 94 億ドル)で前年比 4.4% 減。円建ての税前調整後利益は 5,137 億円(-2.7%)で利益率 36.7%。2026 年は新商品 Miraito(がん)と Anshin Palette(医療)の投入で 1〜3 月期の販売が 25.5% 伸びたが、4〜6 月期は前年の Miraito 投入との比較で 5.6% 減。がん商品の新規販売に占める割合は 73% から 55% へ下がり、医療・貯蓄型が増えた。
米国は、雇用主を通じて従業員に売る補完保険で、収益は約 67 億ドル。事故・がん・入院一時金・障害・団体生命・歯科などで、保険料は給与から天引きされるため解約が少なく、利益は給付÷保険料の引受損益率で決まる。2026 年 4〜6 月期は販売 +2.6%、給付率 49.5%(団体障害の保険金が増えた)、税前利益率 20.9%(-1.6pt)。
運用は、日本の円資産と米国ドル債が中心で、2026 年 4〜6 月期に 48 億ドルの入れ替えを行い、純投資収益を年 5 千万ドル超押し上げる。会社の目標は、日本の社内再保険(アフラック・リー、バミューダ)を FSA 準備金の 30% まで広げて資本を軽くすること。2026 年 3 月には日本郵政系の保険会社の準備金約 5.5 億ドルを引き受けた。
優良さと弱いところ
堀は 3 つ。第 1 は日本のがん・医療保険で、新契約のシェアが首位で、半世紀分の給付データが引受の精度になる。第 2 は代理店・銀行・日本郵便という販売網。第 3 は米国の職場を通じた販売網で、雇用主との契約と給与天引きが切り替えの手間を生む。
弱い所も明確にある。日本は人口が減り、市場の実質成長がマイナス。第三分野は日本生命・第一生命・住友生命・明治安田・日本郵便(かんぽ)・プルデンシャル系(ジブラルタ生命)など多くが商品を持ち、価格や特約で競り合う。Miraito の投入でも、契約者が古い商品から新商品へ乗り換える(失効・再契約)動きが出て、継続率は 93.8% から 92.7% 前後へ下がった。米国は、補完保険の市場自体は伸びるが、アフラックの保険料の伸びは会社の目標の下限をやや下回っており、団体障害の保険金の増加が給付率を押し上げている。
資本効率:会計上の自己資本 295 億ドルに対する調整後利益 40 億ドルで ROE 約 13.6%。会社は調整後 ROE 12.7%(為替の評価を除くと 16.6%)と示す。含み損(AOCI)と為替の評価で自己資本が動くので、事業の ROE は 14% と置いた。経営はダン・エイモス会長・CEO(74 歳、在任 35 年)にバージル・ミラー社長(2025 年 1 月就任)が加わる体制で、後継の発表はまだ無い。43 年連続の増配は、資本配分への一貫した姿勢の証拠である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
日本の生命保険市場は、人口減と高齢化で新しい契約者が減る一方、医療費の自己負担とがん治療の費用が増えるため、民間の医療・がん保険の需要は底堅い。ただし市場は成熟していて、実質の成長は年 -0.3% 程度、物価を含めた名目で年 1〜2% と置く。契約者に払う給付は円で固定されているため、物価の上昇にそのまま追随して保険料を上げられるわけではなく、新商品の投入・改定で単価を徐々に動かす形になる。2026 年は日本の経済価値ベースの ESR 規制が 3 月末に始まり、FSA は 4 月に海外再保険の規制強化案を出した。再保険で資本を軽くするアフラックの戦略に直接かかわる。
米国の職場を通じた補完保険は、雇用が堅調で、従業員福利の個人負担が増えるため、保険料の市場は実質年 1.5% + 物価 3.5% = 名目 5% 前後で伸びる(推定)。競合はユナム(コロニアル・ライフ)、メットライフの団体保険、グローブ・ライフ、ガーディアンなどで、アフラックは事故・がん・入院一時金の個人向け商品で強い。団体障害は雇用や医療費の変化で給付率が動きやすい。
循環の位置:日本は給付率が 64% と 2026 年の会社見通し(60〜63%)の上限付近にあり、利益率はやや良い局面。米国は給付率が上がり始めた局面にあり、やや後半。日米とも金利が高いので運用は追い風だが、解約と乗り換えは増えやすい。
資本政策と M&A
還元は極めて大きい。2026 年 4〜6 月期だけで 13 億ドル(買い戻し 9.83 億ドル・配当 3.09 億ドル)、上期で 26 億ドル。年換算 50 億ドル超は、調整後利益 40 億ドルの 1.3 倍で、ESR 226%(USP 込み 240%)の余った資本と、日本の社内再保険(30% まで)で軽くした資本を戻している。株数は年 5〜6% 減る。2017 年からの買い戻し枠は 2025 年 4Q に終わった。
M&A は大きなものは無い。2026 年 3 月に日本郵政系の保険会社の準備金約 5.5 億ドルを再保険で引き受けたのが唯一の大きな動き(資本への影響は小さい)。外部との再保険はこれまで 1 件で、今後は件数と規模を増やす意向。買収は、海外の規制と文化の違いから、小さな提携と再保険が中心。
オーナー利益の目で見ると、利益のほぼ全部を返しているので、会社全体の利益の伸びは再投資ではなく、日本の保険料と米国の販売の伸び・給付率・再保険による資本の軽さで決まる。1 株利益の伸びの半分以上は株数の減少によるので、会社全体の利益は 10 年で 2 割弱しか増えないと置いた(1 株を見るときは区別する)。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 19.8 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
アフラックは、日本で首位のがん・医療保険の新商品(Miraito・Anshin Palette)が効き、2026 年 1〜3 月期の日本の販売は 25.5% 伸びた。日本の税前利益率は 34〜37% を保ち、2026 年 4〜6 月期の調整後利益の悪化は為替と投資収益の変動(長期期待を 7.2 億ドル下回った)が主因で、本業は強い。
資本の軽さがさらに効く。会社は日本の社内再保険の上限を FSA 準備金(10.8 兆円)の 30% へ広げ、1 件あたりのコストが下がれば、同じ自己資本で多く還元できる。日本郵政系の再保険の引き受けは入口で、外部との取引が増えれば資本が大きく解放される。ESR は 226% あり、目標を超える分の資本が戻ってくる。48 億ドルの資産入れ替えは純投資収益を年 5 千万ドル超押し上げる。
米国は、職場を通じた補完保険の最大手で、市場が名目 5% で伸びる。販売は下期、特に 4 四半期に集中する見込みで、団体障害の保険金が落ち着けば給付率は戻る。物価が 3.5% で続くなかで、給付と保険料が同じ速さで上がり、利益率が勝手に下がらない。43 年続く増配と年 5% 超の株数減少で、1 株の価値は二桁で伸びる。資本コスト 7.75% でも、検査の式の PER は約 17 倍で、今の 15 倍は低く見える。
慎重な見方
日本は市場が縮み、がん保険の新規販売の割合は 73% から 55% に下がり、乗り換えが増えて継続率が 93.8% から 92.7% 前後へ落ちた。2025 年の日本の収益は 4.4% 減、利益も円建てで 2.7% 減。新商品の投入で一時的に販売が伸びても、2026 年 4〜6 月期は 5.6% 減に戻っている。給付率は 64% と会社の見通しの上限付近で、利益率の改善(34.3%)は給付率の戻りがあれば簡単に消える。
米国は、保険料の伸びが 3〜6% の目標の下限をやや下回り、団体障害の給付率が上がり、税前利益率は 1.6pt 落ちた。競合のユナム、メットライフ、グローブ・ライフが同じ職場に入り、販売手数料と商品の差で競る。
利益の質と資本の質も気になる。2022〜25 年の調整後利益は 40 億ドル前後で実質横ばい。1 株利益は、年 5〜6% の自社株買いに支えられてきた。還元が利益の 1.3 倍の今の水準は続かず、自己資本は 2025 年に含み損と為替で 295 億ドルへ振れた。2008〜09 年は山から谷で 74% 下がり、日本の海外再保険の規制強化(FSA 案・2026 年 4 月)は資本を軽くする戦略を直撃しうる。PER 13 倍でも、g の甘さに頼っている。
どちらに重みを置いたか
強気の見方は、資本の軽さと還元の厚さ、日本・米国の両方での首位を的確に突いている。慎重な見方は、日本の市場縮小と、利益が 4 年ほぼ横ばいという事実、再保険の規制を正しく突いている。事業は壊れにくいが、資本コスト 7.75% の下では今の値段が先を織り込み、10 年の期待の年率は 5% 弱で資本コストに届かない。結論は「優良だが、やや割高」。確率は、やや悲観と悲観に合計 32% を割いた(日本の市場縮小と規制を厚く見た)。楽観は 10%、やや楽観は 22%、中立は 36%。倍率は利益ベース(10 年の中立 13.2 倍)で、正当化 PER 16.9 倍の 7.8 割に置いた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 120.43 ドル607 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 68.69 ドル346 億ドル)。 今の値に割り戻すと 104.38 ドル526 億ドル、今との差 −15.3%、 期待の年率 +4.4%(資本コスト 7.8%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 182.65 ドル921 億ドル | 69.27 ドル349 億ドル | +104.4% | +7.4% | 25.19 ドル127 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 150.82 ドル760 億ドル | 72.64 ドル366 億ドル | +81.3% | +6.1% | 49.16 ドル248 億ドル |
| 中立 | 36% | 124.53 ドル628 億ドル | 75.02 ドル378 億ドル | +61.9% | +4.9% | 71.84 ドル362 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 88.65 ドル447 億ドル | 73.24 ドル369 億ドル | +31.3% | +2.8% | 32.38 ドル163 億ドル |
| 悲観 | 12% | 53.54 ドル270 億ドル | 34.36 ドル173 億ドル | −28.7% | −3.3% | 10.55 ドル53 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 120.43 ドル607 億ドル | 68.69 ドル346 億ドル | +53.4% | +4.4% | 189.12 ドル953 億ドル |
今の株価時価総額 123.27 ドル621 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 10% 日本の守りと米国の伸びで利益が 5 割増える 利益 62 億ドル · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 182.65 ドル921 億ドル
2035 年末、日本は市場が実質ほぼ横ばい・価格が年 2.2% で名目 2.4%、新契約の首位を守ってシェアは 22.5% へ上がる。日本の収益は 123 億ドル、利益率 36.5% で税前利益 44.8 億ドル。米国は職場の補完保険が名目 6.3% で伸び、シェアは 11.6% へ上がり、税前利益は 29.8 億ドル(利益率 23%)。外部との再保険が広がり、FSA 準備金の 30% まで資本を軽くする。純利益は 62 億ドル(2025 年の 1.55 倍)、PER は 14.9 倍(式の上限 16.9 倍の 8.8 割)。10 年の還元は 349 億ドル。競合は国内大手・プルデンシャル系・ユナムで、がん・医療の新契約の首位と米国の職場の販売網という堀が広がる筋書き。M&A は無い。
- アフラック日本(医療・がん・貯蓄性):数量 9,870(実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 日本の個人向け医療・がん・貯蓄性の保険料市場(実質)× アフラックのシェア)× 価格 0.01(価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。新商品の保険料改定・商品構成の変化を反映))→ 売上 123 億ドル・営業利益 45 億ドル。実質の市場・シェア・価格・利益率は本文と how のとおり
- アフラック米国(就業先経由の補完保険):数量 8,909(実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 米国の就業先経由の補完保険の保険料市場(実質)× アフラックのシェア)× 価格 0.01(価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。保険料の改定・医療費と賃金の物価上昇を反映))→ 売上 129 億ドル・営業利益 30 億ドル。実質の市場・シェア・価格・利益率は本文と how のとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 7.75%(基本 8.0% + quality -0.25%)。事業の ROE 14.2%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 436 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 11.0%、g 4.0%(検査の式は g 4% で計算する。この会社の長期の名目は日本の縮みで 2.5% 前後なので、上限より低く置く)。式の値は 16.9 倍で、これが検査の上限になる。日本のがん保険の最大手で、保険料の入りと給付が読みやすい。ただ日本の市場が縮み、米国の職場向けで伸びを探す段階なので、堀は変わらないと見て上限の 8 割弱に置く。 上限の 8.8 割の 14.9 倍に置いた。
確率:日本の守りと米国の伸びの両方が通り、資本の解放も進む確率は 1 割。
やや楽観 22% 日本の縮小を米国の伸びが補う 利益 55 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 150.82 ドル760 億ドル
2035 年末、日本は実質の市場が横ばい・価格が年 2.0% で名目 2.0%、シェアは 21.9% を保つ。日本の収益は 115 億ドル、税前利益 40.8 億ドル。米国は名目 5.6% で伸び、シェアは 11.2% を保ち、税前利益は 25.4 億ドル。純利益は 55 億ドル(2025 年の 1.37 倍)、PER は 13.9 倍(式の上限 16.9 倍の 8.2 割)。再保険で資本を軽くして還元を厚くし、10 年で 366 億ドル。競合では、日本のプルデンシャル系・国内大手に少しシェアを取られても、市場と価格の上昇で補う。堀は広がらないが狭まらず、米国の職場の販売網が成長を支える。
- アフラック日本(医療・がん・貯蓄性):数量 9,417(実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 日本の個人向け医療・がん・貯蓄性の保険料市場(実質)× アフラックのシェア)× 価格 0.01(価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。新商品の保険料改定・商品構成の変化を反映))→ 売上 115 億ドル・営業利益 41 億ドル。実質の市場・シェア・価格・利益率は本文と how のとおり
- アフラック米国(就業先経由の補完保険):数量 8,192(実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 米国の就業先経由の補完保険の保険料市場(実質)× アフラックのシェア)× 価格 0.01(価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。保険料の改定・医療費と賃金の物価上昇を反映))→ 売上 116 億ドル・営業利益 25 億ドル。実質の市場・シェア・価格・利益率は本文と how のとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 7.75%(基本 8.0% + quality -0.25%)。事業の ROE 14.2%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 385 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 11.0%、g 4.0%(検査の式は g 4% で計算する。この会社の長期の名目は日本の縮みで 2.5% 前後なので、上限より低く置く)。式の値は 17.0 倍で、これが検査の上限になる。日本のがん保険の最大手で、保険料の入りと給付が読みやすい。ただ日本の市場が縮み、米国の職場向けで伸びを探す段階なので、堀は変わらないと見て上限の 8 割弱に置く。 上限の 8.2 割の 13.9 倍に置いた。
確率:日本が縮んでも米国が補う筋書きは 2 割強。
中立 36% 日本は横ばい、米国が伸び、堀は変わらない 利益 48 億ドル · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 124.53 ドル628 億ドル
2035 年末、日本は実質 -0.3%・価格 1.8% で名目 1.5% の市場、アフラックのシェアは 20.5% へ下がり、日本の収益は 102 億ドル、利益率 34.5% で税前利益は 35.3 億ドル(今とほぼ同じ)。米国は実質 1.5%・価格 3.5% の名目 5% の市場でシェアが 10.7% へ下がり、収益は 105 億ドル、税前利益は 22.6 億ドル(利益率 21.5%)。純利益は 48 億ドル(2025 年の 1.19 倍)、自己資本は約 337 億ドル。PER は 13.2 倍(式の上限 16.9 倍の 7.8 割。ROE 14%)。10 年の還元は 378 億ドル。競合は日本でプルデンシャル系・日本生命・第一生命・かんぽ、米国でユナム・メットライフ・グローブ・ライフ。堀は変わらず、日本は守り・米国が伸びを担う。M&A は小さな提携と再保険が中心。
- アフラック日本(医療・がん・貯蓄性):数量 8,554(実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 日本の個人向け医療・がん・貯蓄性の保険料市場(実質)× アフラックのシェア)× 価格 0.01(価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。新商品の保険料改定・商品構成の変化を反映))→ 売上 102 億ドル・営業利益 35 億ドル。実質の市場・シェア・価格・利益率は本文と how のとおり
- アフラック米国(就業先経由の補完保険):数量 7,451(実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 米国の就業先経由の補完保険の保険料市場(実質)× アフラックのシェア)× 価格 0.01(価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。保険料の改定・医療費と賃金の物価上昇を反映))→ 売上 105 億ドル・営業利益 23 億ドル。実質の市場・シェア・価格・利益率は本文と how のとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 7.75%(基本 8.0% + quality -0.25%)。事業の ROE 14.1%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 337 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 10.9%、g 4.0%(検査の式は g 4% で計算する。この会社の長期の名目は日本の縮みで 2.5% 前後なので、上限より低く置く)。式の値は 16.9 倍で、これが検査の上限になる。日本のがん保険の最大手で、保険料の入りと給付が読みやすい。ただ日本の市場が縮み、米国の職場向けで伸びを探す段階なので、堀は変わらないと見て上限の 8 割弱に置く。 上限の 7.8 割の 13.2 倍に置いた。
確率:市場並みの成長が最頻だが、日本の市場縮小と規制の不確実さから悪い側を厚くして 36%。
やや悲観 20% 日本のシェアを失い、米国の伸びも鈍る 利益 38 億ドル · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 88.65 ドル447 億ドル
2035 年末、日本は実質 -0.6%・価格 1.5% で、日本の国内大手と海外保険会社に新契約を取られ、シェアは 19.0% へ下がる。日本の税前利益は 29.0 億ドル。米国は職場の競争が強まり、シェアは 10.0% へ、利益率は 19.5% へ下がり、税前利益は 17.7 億ドル。純利益は 38 億ドルで 2025 年を下回る。還元は純利益の約 95% まで引き上げても 10 年で 369 億ドル。PER は 11.8 倍(式の上限 16.3 倍の 7.2 割。ROE 13%)。FSA の海外再保険の規制が強まり、資本の解放が進まない。M&A で穴を埋めようとしても割高な買収が増える。優良さは薄れ、価格を決める力は弱まる。
- アフラック日本(医療・がん・貯蓄性):数量 7,693(実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 日本の個人向け医療・がん・貯蓄性の保険料市場(実質)× アフラックのシェア)× 価格 0.01(価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。新商品の保険料改定・商品構成の変化を反映))→ 売上 89 億ドル・営業利益 29 億ドル。実質の市場・シェア・価格・利益率は本文と how のとおり
- アフラック米国(就業先経由の補完保険):数量 6,628(実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 米国の就業先経由の補完保険の保険料市場(実質)× アフラックのシェア)× 価格 0.01(価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。保険料の改定・医療費と賃金の物価上昇を反映))→ 売上 91 億ドル・営業利益 18 億ドル。実質の市場・シェア・価格・利益率は本文と how のとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 7.75%(基本 8.0% + quality -0.25%)。事業の ROE 12.9%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 295 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 10.3%、g 4.0%(検査の式は g 4% で計算する。この会社の長期の名目は日本の縮みで 2.5% 前後なので、上限より低く置く)。式の値は 16.3 倍で、これが検査の上限になる。日本のがん保険の最大手で、保険料の入りと給付が読みやすい。ただ日本の市場が縮み、米国の職場向けで伸びを探す段階なので、堀は変わらないと見て上限の 8 割弱に置く。 上限の 7.2 割の 11.8 倍に置いた。
確率:日本のシェア低下と米国の鈍化の組み合わせは 10 年では 2 割。
悲観 12% 日本で価格競争に負け、構造的に優良でなくなる 利益 25 億ドル · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 53.54 ドル270 億ドル
2035 年末、日本で医療・がん保険の価格競争が激しくなり、新契約のシェアは 16.5% へ下がり、給付率が上がって税前利益率は 28% に落ちる。日本の税前利益は 19.8 億ドル。米国は職場の競争と団体障害の給付率の悪化で利益率が 15% へ、シェアは 9.0% へ。さらに信用の損失と海外再保険の規制強化が重なり、純利益は 25 億ドルまで落ちる(ROE 7.5%)。還元は 10 年で 173 億ドル。自己資本は約 329 億ドル。競合のプルデンシャル系・国内大手・ユナムに市場を取られ、AI による引受の自動化で料金も下がる。M&A で補おうとして高く買う失敗も重なる。もう優良ではなくなっている筋書き。
- アフラック日本(医療・がん・貯蓄性):数量 6,417(実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 日本の個人向け医療・がん・貯蓄性の保険料市場(実質)× アフラックのシェア)× 価格 0.01(価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。新商品の保険料改定・商品構成の変化を反映))→ 売上 71 億ドル・営業利益 20 億ドル。実質の市場・シェア・価格・利益率は本文と how のとおり
- アフラック米国(就業先経由の補完保険):数量 5,676(実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 米国の就業先経由の補完保険の保険料市場(実質)× アフラックのシェア)× 価格 0.01(価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。保険料の改定・医療費と賃金の物価上昇を反映))→ 売上 75 億ドル・営業利益 11 億ドル。実質の市場・シェア・価格・利益率は本文と how のとおり
倍率:事業の ROE 7.5%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 329 億ドル)が k 7.75%(基本 8.0% + quality -0.25%)以下なので、PER は 1÷k = 12.9 倍まで(ためた利益は額面未満の価値。SCHEMA §1-1)。日本のがん保険の最大手で、保険料の入りと給付が読みやすい。ただ日本の市場が縮み、米国の職場向けで伸びを探す段階なので、堀は変わらないと見て上限の 8 割弱に置く。 上限の 8.5 割の 11.0 倍に置いた。
確率:10 年で構造的に優良でなくなる確率(日本の価格競争・規制・信用の事故・AI による料金低下)を 12% に置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
アフラック日本(医療・がん・貯蓄性)
日本のがん保険・医療保険・第一分野の貯蓄性商品。契約者に払う給付は円で固定、運用は日米の債券が中心。
| 数量実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 日本の個人向け医療・がん・貯蓄性の保険料市場(実質)× アフラックのシェア | 価格価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。新商品の保険料改定・商品構成の変化を反映) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 9,421 | 0.01 | 94 | 34 |
| 10 年後 中立 | 8,554 | 0.01 | 102 | 35 |
取り方:日本の個人向け医療・がん・貯蓄性(第一分野の貯蓄型を含む)の保険料市場を約 430 億ドル(約 6.4 兆円・推定)、アフラックのシェアを約 21.9% と置いて、数量(実質の保険料量)は 430 億ドル × 21.9% = 94.2 億ドル(9,421 百万ドル)。2025 年の収益は約 1.4 兆円 ÷ 150 = 約 94 億ドルと合う。価格指数は 2025 年を 0.01 とする換算単位(1 百万ドル分の保険料あたり 0.01 億ドル)。税前調整後利益は 5,137 億円 ÷ 150 = 34.2 億ドルに近い 34.4 億ドル(利益率 36.5%)。市場の見通しは、実質で年 -0.3%(人口減と高齢化の差)、価格は年 1.8% で物価の 3.5% より低い。理由は、契約者への給付が円で固定され、既存の保険料は上げられず、新商品の保険料の改定が単価を徐々に動かす形だから(日本の物価上昇は米国より低く、為替も 150 円で固定)。名目で年 1.5% の市場。
アフラック米国(就業先経由の補完保険)
米国の職場で売る事故・がん・入院一時金・障害・団体保険。給与天引きで継続し、利益は保険料 × 引受損益率。
| 数量実質の保険料量(2025 年価格・百万ドル)= 米国の就業先経由の補完保険の保険料市場(実質)× アフラックのシェア | 価格価格指数(2025 年 = 0.01 億ドル/百万ドル。保険料の改定・医療費と賃金の物価上昇を反映) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6,702 | 0.01 | 67 | 14 |
| 10 年後 中立 | 7,451 | 0.01 | 105 | 23 |
取り方:米国の就業先経由の補完保険(事故・がん・入院一時金・障害・団体)の保険料市場を約 600 億ドル(推定)、アフラックのシェアを約 11.2% と置いて、数量(実質の保険料量)は 600 億ドル × 11.17% = 67.0 億ドル(6,702 百万ドル)、2025 年の収益は約 67 億ドル。価格指数は 2025 年を 0.01 とする換算単位。税前利益 14.0 億ドル(税前利益率 20.9%・2026 年 4〜6 月期の実績に近い)。市場の見通しは、実質で年 1.5%、価格は物価並みの年 3.5%(10 年で 1.41 倍)で、名目年 5%。補完保険の保険料は医療費と賃金の上昇に合わせて改定される。
リスクと懸念
日本の市場縮小と新商品への乗り換え
日本は人口が減り、実質の市場が毎年縮む。Miraito への乗り換え(失効・再契約)が増え、継続率は 93.8% から 92.7% 前後へ下がった。新商品でも販売が前年を下回る四半期があり(2026 年 4〜6 月期は 5.6% 減)、日本の保険料の積み上げが細ると、利益の約 7 割を占める日本が崩れる。
日本の給付率と利益率の戻り
日本の給付率は 2026 年 4〜6 月期に 64% と改善したが、会社の見通しは 60〜63% の範囲で、上限付近に戻る見込み。給付率が 1pt 上がるだけで、日本の税前利益が 1 億ドル近く動く。2025 年の利益率 36.7% は史上の上限に近い。
米国の補完保険の伸びの鈍化
米国の保険料の伸びは会社の目標 3〜6% の下限をやや下回る見込みで、団体障害の保険金が増えて給付率は 49.5%(+2.2pt)、税前利益率は 20.9%(-1.6pt)。競合(ユナム・メットライフ・グローブ・ライフ)が同じ職場に入り、販売手数料と商品の差で競る。
海外再保険の規制と資本の質
アフラックは日本の社内再保険(アフラック・リー、バミューダ)を FSA 準備金の 30% へ広げる方針だが、FSA は 2026 年 4 月に海外再保険の規制を強化する案を出した。規制が強まれば、軽くした資本を戻せず、還元が減る。経済価値ベースの ESR は 226% あるが、規制や金利で動きやすい。
運用の信用・為替の評価損
日本の円資産と米国ドル債の運用で、含み損・為替の評価・投資収益の変動が毎年出る。2026 年 4〜6 月期は変動投資収益が長期期待を 7.2 億ドル下回った。2008〜09 年は山から谷で 74% 下がっており、信用の事故が自己資本を直撃する。自己資本は 2025 年に含み損で 295 億ドルへ振れた。
還元の持続性
2026 年の還元は年換算 50 億ドル超で、調整後利益 40 億ドルの 1.3 倍。余った資本と再保険による資本の解放で賄っているが、ESR が目標に近づけば買い戻しは減る。1 株利益の伸びの半分以上は株数の減少による。会社全体の利益が伸びないまま買い戻しが細れば、1 株の伸びも同時に止まる。
経営の後継
ダン・エイモス会長・CEO は 74 歳で在任 35 年。バージル・ミラーが 2025 年 1 月に社長に就いたが、後継の発表はまだ無い。日本の経営と米国の経営の両方に精通する人材の層は厚くない。経営の交代時に日本の販売網や再保険の方針が変われば、資本配分の一貫性(43 年連続の増配)が試される。
今後の分かれ目
- 日本の新規販売が 2 年続けて前年を下回り、継続率が 92% を割る
- 日本の保険料の積み上げが細り、利益が年 3% ずつ減る。やや悲観・悲観の確率を上げ、ROE と g を下げて PER を 11 倍前後に置く。
- 日本の給付率が 63% を超えて 2 年続く
- 日本の税前利益率が 3pt 下がり、全社の純利益が約 5% 減る。中立からやや悲観へ確率を寄せる。
- FSA が海外再保険を事実上制限する
- 日本の社内再保険の拡大が止まり、資本の解放と還元の上積みが消える。還元を純利益の 90% 程度に置き直し、倍率の根拠(ROE 14%)を 13% に下げる。
- 外部との再保険が複数件成立し、FSA 準備金の 10% 超を移す
- 資本が数十億ドル解放され、還元が積み上がる。楽観・やや楽観の確率を上げる。
- 米国の保険料の伸びが 2 年続けて 3% を下回る
- 米国の利益の伸びが物価並みを下回り、全社の g が 0.3pt 下がる。倍率が 1 倍ほど縮む。
- 信用の損失が運用資産の 1% を超える(リーマン級)
- 自己資本が 15% 減り、買い戻しが止まる。悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 日本の新規販売・継続率・がん商品の割合(四半期)
- 日本・米国の給付率と税前利益率
- FSA の海外再保険の規制と社内再保険の実施(件数・規模)
- ESR(226%)と還元の額(買い戻し+配当)
- 運用の変動投資収益と含み損(AOCI)
- 米国の保険料の伸び(目標 3〜6%)と団体障害の給付率
- 経営の後継の発表
倍率と資本コストの決め方
今の PER 16.6 倍(GAAP)・PBR 2.05 倍や過去の PER(中央値 10.7 倍)を見る前に、日本と米国の収益を市場 × シェアで積み上げ、利益率を置き、事業の ROE 14%・k 7.75%(基本 8.0% + quality −0.25%)・検査の式の g 4%(RONIC 10.9%)から正当化 PER 16.9 倍を出し、その 7.8 割の 13.2 倍を 10 年後の中立に置いた。この会社の長期の名目 g は日本(実質 −0.3%・価格 1.8%)と米国(実質 1.5%・価格 3.5%)を利益で重みづけて 2.5% 前後と式の 4% より低く、上限の下に置いた理由になる。悲観の床は、ROE 7.5% が k 以下なので PER を 1÷k の 12.9 倍までとし、その 8.5 割の 11.0 倍にした。結論はやや割高(10 年の価値は今を約 1 割下回る)で、k と g に依存するため確率は悪い側に厚くした。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality -0.25% = 7.75%。内訳は cycle -0.25・pricing +0.00・debt +0.00・life +0.00(%)で、理由は quality_why。β は使わない。個別の懸念(円安・日本の市場縮小・海外再保険の規制)は k に足さず、筋書きの数量・利益率と確率で表した。