結論
フィギュア・テクノロジー・ソリューションズは、住宅担保ローンを中心に、申込、審査、資金調達、売却、登記情報の管理までを一つのデジタル基盤でつなぐ金融技術会社である。2025年の基礎数字は売上4.6億ドル、純利益1.3億ドルで、2026年4〜6月期には純収益2.26億ドル、純利益0.87億ドルまで伸びた。それでも筆者の結論は割高である。成長が止まるからではなく、今の時価総額が、今後も高成長と高収益が長く続くことをかなり先取りしているからだ。
伸びは本物である。消費者向けローン市場の取扱高は2026年7〜9月期に51.19億ドルへ倍増し、提携先は2025年末の307社から480社超へ広がった。DARTと呼ぶ電子的な権利登録は自社の融資の87%で使われ、ローン1件の生産費は業界平均を大きく下回る。2026年9月に買収したキアビは年70億ドル超の第一順位ローンを加え、住宅持分融資への偏りを弱める。
ただし、提携契約は非独占で利用義務がなく、取扱高が増えるほど料率が下がる契約も多い。Figure Connectの比率上昇で純テイク率は2026年4〜6月期に3.6%へ低下した。さらにキアビ買収のための8.5%社債、厚い株式報酬、創業者の議決権支配が少数株主の安全域を削る。5つの筋書きを資本コスト9.5%で割り引いた価値は31.1億ドルで、基準時価総額50.2億ドルを約38%下回る。長く持つには、取扱高だけでなく、料率と希薄化を克服する証拠が要る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず10年後にも必要かを問う。ローンの申込、審査、資金調達、権利登録、売却をつなぐ仕事は残る。紙と人手を減らす価値も明白である。DARTが多数の金融機関の共通記録になり、Figure Connectに十分な売り手と買い手が集まれば、取引所に近いネットワーク効果が生まれる。ここは長く持つ理由になりうる。
次にオーナー利益を見る。この会社は見かけほど純粋なソフトウェアではない。ローンを一時保有し、証券化し、売却益とサービシング資産の評価も利益に入る。信用環境と資本市場が悪化すれば、取扱高が増えても現金化が遅れ、買戻し義務や資金調達費が膨らむ。キアビ買収後は固定利息も加わる。利益の質は改善しているが、まだ平時と不況を通した実績がない。
最後に払う値段である。中立では2035年の純利益を5.6億ドルまで伸ばしても、成熟後の資本効率から見た時価総額は61.2億ドルにとどまる。10年間の正味還元を足しても、資本コスト9.5%で現在へ戻すと安全域がない。優れた基盤へ育つ可能性は認めるが、今は「良いかもしれない事業」を「既に良い事業」の値段で買う形に近い。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は消費者ローン市場である。自社ブランドで住宅持分信用枠などを組成するほか、銀行、信用組合、住宅ローン会社にローン組成システムを提供し、Figure Connectで売り手と機関投資家を結ぶ。収入はローン元本に連動する技術料、組成手数料、売却益、保有期間の利息で入る。2025年の取扱高は83.77億ドルで、98%超が住宅持分融資だった。2026年4〜6月期には取扱高の65%が資本負担の軽いFigure Connectになり、量が増えるほど自社の貸借対照表を使わずに稼げる形へ移っている。
二つ目はサービシングである。ローン残高に対する手数料を受け取り、2025年末の管理残高は129億ドルだった。顧客資産が積み上がるほど継続収入になるが、権利は相手方が移管でき、完全な固定収入ではない。三つ目はデジタル資産で、利回り付き証券YLDS、資金の借り手と貸し手を結ぶDemocratized Prime、取引所を運営する。2025年末のYLDSとPrimeの残高は合計5.34億ドルで、まだ利益への寄与は小さい。
2026年9月にキアビを買収し、改修・転売向けの短期ローンと賃貸物件向けローンを取り込んだ。キアビは年70億ドル超を扱い、従来の第二順位中心から第一順位へ市場を広げる。会社はローンの権利情報をProvenance Blockchainに記録し、DARTで所有権とサービシング権を追跡する。これは席課金の業務ソフトではなく、取引量と残高で稼ぐ金融基盤であるため、AIエージェントが画面操作を丸ごと代替する型には中核事業は当たらない。ただし審査画面や文書処理は模倣されやすく、AIは費用削減の武器であると同時に差別化を薄める。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねしにくい強みは、規制、取引参加者、記録の三層にある。会社は180超の貸付・サービシング免許、48の送金免許、証券会社と代替取引システムの資格を持つ。提携先が増えれば売り手と資金提供者の双方に選択肢が増え、Figure Connectの流動性がさらに参加者を呼ぶ。DARTは2025年に自社システムを通る融資の87%で使われ、権利移転の履歴が積み上がるほど、単なる申込画面より切り替えにくい記録基盤になりうる。
効率の差も明確である。会社開示では2025年のローン1件当たり生産費は717ドルで、住宅ローン業界平均の1万1,109ドルを大きく下回った。自動審査、電子契約、遠隔決済、資本市場への直結が同じ基盤にあるためだ。2026年上期の利益拡大は、この固定費を取扱高の増加で薄められることを示した。
それでも堀を「強い」とは判定しない。提携契約は非独占で最低利用量がなく、大手銀行や住宅ローン技術会社は低い資金調達費と既存顧客を持つ。料金は月間取扱高が増えるほど下がる段階制で、純テイク率は既に低下している。ブロックチェーン自体も独占技術ではなく、価値は採用と流動性が続く場合に限られる。高い利益率はまだ一つの完全な信用循環を越えておらず、キアビ統合後の資本効率も未検証である。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
追い風は住宅に眠る持分の大きさである。米国の住宅所有者持分は約35兆ドルに達し、多くの家計は低金利の第一順位住宅ローンを手放したくない。そのため住宅全体を借り換えるより、必要額だけをHELOCや住宅持分ローンで借りる需要が強い。ニューヨーク連銀によればHELOC残高は2026年6月末に4,590億ドルとなり、17四半期連続で増えた。住宅ローン銀行協会の調査でも2024年の新規取扱高は7.2%増え、参加金融機関は2025〜26年のHELOC残高を年約10%増と見込んでいた。
一方、これは無風のソフトウェア市場ではない。高金利は借り換えを避ける動機になるが、同時に借り手の返済負担を増やす。住宅価格が下がれば担保余力が縮み、失業が増えれば延滞と買戻し請求が増える。銀行や信用組合は預金という安い資金と長い顧客関係を持ち、非銀行のロケット・カンパニーズやソーファイ、住宅ローン技術のICEモーゲージ・テクノロジー(ICE Mortgage Technology)やブレンド・ラボ(Blend Labs)も、申込、審査、販売の各層で競う。デジタル資産ではコインベースなどの取引基盤と、ステーブルコインやマネー・マーケット・ファンドが資金を奪い合う。
Figureは2025年に非銀行のHELOC組成で首位を称し、トークン化された民間信用でも大きな比率を持つと説明する。ただし全米の新規HELOC市場には完全な公的統計がなく、同社の取扱高には組成だけでなく第三者ローンの売買も含まれるため、厳密な市場シェアは算定できない。中立では、現在の四半期取扱高とキアビの年70億ドル超を出発点に、2035年の年間ローン取扱高を700億ドルと見る。市場の名目成長に新しい資産種類と提携先の増加を足す一方、現在の倍増ペースは続かない。
資本政策と M&A
資本配分は攻めが先で、還元はまだ約束ではない。会社は当面の配当を予定せず、利益を事業拡大に回す方針である。中期には調整後EBITDA利益率60%を目標に掲げるが、株式報酬などを除く調整値なので、この分析はGAAP純利益で測る。2026年2月に2.0億ドルの自社株買い枠を設けたが、6月末まで実行はなく、数値目標のある恒常還元方針ではない。2025年の株式報酬は0.6億ドル、株数は1.7%増え、2026年上期も株式報酬は約0.56億ドルだった。したがって将来のpayout_okuは、買い戻し額そのものではなく、株式報酬と増資を差し引いた正味で置いている。
最大の判断はキアビである。2026年9月に純額約5.9億ドルを現金で払い、その主な資金を6.0億ドル、利率8.5%、2031年満期の社債で賄った。年0.51億ドルほどの固定利息を負う代わりに、年70億ドル超の第一順位ローンと、直近年2.5億ドル超の売上を買った。統合が進めば良い買収だが、料率低下や信用損失が重なると負債だけが残る。
さらに創業者側のB株は1株10票で、会社はNASDAQの支配会社特例を使う。経済的権利はA株と同じでも、一般株主は取締役会や買収方針を変えにくい。規制免許とネットワークへ再投資する姿勢は合理的だが、買収規律と希薄化を数年かけて証明する段階である。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
住宅持分融資は一時の流行ではない。約35兆ドルの住宅持分と、低金利の第一順位ローンを維持したい家計が長期の需要を作る。Figureの四半期取扱高は既に50億ドルを超え、提携先は480社超となった。従来の銀行システムより速く安く処理でき、DARTを使う融資の比率も短期間で2%から87%へ上がった。ローンの権利登録、組成、販売、サービシングを一つに束ねた基盤は、単機能の審査ソフトより乗り換えにくい。
キアビは買収価格だけを見ると大きいが、年70億ドル超の第一順位ローンと、改修・賃貸向けの独自データを持ち込む。第二順位のHELOCだけに依存せず、第一順位、DSCR、個人ローンへ同じ資金市場を広げられる。Adaptorと呼ぶAI連携が提携先のデータ変換を自動化すれば、新しい資産種類を載せる時間も短くなる。Figure Connectが取扱高の大半を占めるほど、貸借対照表の使用は減り、固定費の規模効果が利益に現れる。
この道では2035年の年間ローン取扱高は1,200億ドル、管理残高は900億ドルへ伸びる。純テイク率が現在より下がっても、デジタル資産とサービシングを含む売上は44億ドル超、純利益は14億ドルになる。株式報酬を買い戻しで吸収し、創業者支配が無謀な買収ではなく長期投資に使われれば、現在の評価を十分に上回る。
慎重な見方
取扱高の急増は、そのまま利益の質を意味しない。Figure Connectは資本負担が軽い代わりに、1ドルの取扱高から取れる収入が低い。純テイク率は2026年4〜6月期に3.6%へ下がり、提携先への料金は取扱高が増えるほど低くなる。契約は非独占で利用義務もない。銀行や大手住宅ローン会社が同じ自動審査を内製し、ICEモーゲージ・テクノロジー(ICE Mortgage Technology)やブレンド・ラボ(Blend Labs)が既存顧客に機能を足せば、提携先数が増えても単価は下がる。
利益の大半はまだ住宅持分融資に依存する。住宅価格の下落、失業、資本市場の停止が重なれば、組成、売却、サービシング資産の評価が同時に悪くなる。ローンの買戻し義務は取扱高とともに増え、デジタル資産事業は規制変更やサイバー事故の影響を受ける。ブロックチェーンの記録は有用でも、金融機関が標準として採用し続けなければ独占的な堀にはならない。
キアビには6.0億ドルの高利社債を使った。統合に失敗すれば、年0.51億ドルの利息と減損が残る。加えて株式報酬、潜在株、創業者の議決権支配があるため、会社が成長しても一般株主の取り分が同じ速度で増えるとは限らない。構造的に負ける筋書きでは2035年も赤字となり、価値は今の自己資本に近い床まで下がる。
どちらに重みを置いたか
強い見方には、取扱高、提携先、DART採用、キアビという実物の根拠がある。そのため楽観とやや楽観を合計30%にした。一方、上場後の実績が短く、料率低下、信用循環、買収負債、希薄化を一度も長期で乗り越えていないため、やや悲観と悲観を38%へ寄せた。中立32%を含む加重価値は31.1億ドルで、基準時価総額50.2億ドルを約38%下回る。AIの機能模倣は価格にだけ反映し、確率へ重ねていない。事業の成長性は認めるが、安全域はなく、結論は割高である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 30.45 ドル66 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 3.28 ドル7 億ドル)。 今の値に割り戻すと 14.37 ドル31 億ドル、今との差 −33.4%、 期待の年率 +4.8%(資本コスト 9.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 86.19 ドル187 億ドル | 10.17 ドル22 億ドル | +346.5% | +17.6% | 9.64 ドル21 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 52.55 ドル114 億ドル | 6.47 ドル14 億ドル | +173.5% | +11.4% | 11.80 ドル26 億ドル |
| 中立 | 32% | 28.28 ドル61 億ドル | 3.24 ドル7 億ドル | +46.1% | +4.1% | 10.09 ドル22 億ドル |
| やや悲観 | 23% | 6.15 ドル13 億ドル | 0.00 ドル0 億ドル | −71.5% | −11.8% | 1.41 ドル3 億ドル |
| 悲観 | 15% | 5.68 ドル12 億ドル | −0.46 ドル−1 億ドル | −75.8% | −12.9% | 0.78 ドル2 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 30.45 ドル66 億ドル | 3.28 ドル7 億ドル | +56.3% | +4.8% | 33.72 ドル73 億ドル |
今の株価時価総額 21.58 ドル47 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:共通のローン基盤となり、第一順位と新資産へ広がる 利益 14 億ドル · PER 13.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 86.19 ドル187 億ドル
2035年、Figure ConnectとDARTが住宅ローン会社、銀行、信用組合、機関投資家の共通基盤になる。キアビの第一順位ローンを足場に、HELOC、RTL、DSCR、個人ローンを同じ資金市場へ載せ、年間ローン取扱高は1,200億ドルへ伸びる。管理残高は900億ドル、YLDSとPrimeの合計残高は250億ドルとなる。取扱高の大半は第三者が資金を出すため、会社の貸借対照表は売上ほど膨らまない。
純テイク率は規模で低下するが、DART、売買、組成、サービシングを束ねた価値が残り、ローン市場の価格は3.4%を保つ。営業利益は19.0億ドル、GAAP純利益は14.0億ドルとなる。10年の純利益累計75.0億ドルから、株式報酬を差し引いた正味還元22.0億ドルを出し、自己資本は65.3億ドルへ増える。堀は今より広がるが、独占とはせず、通常の堀で評価する。
- 消費者ローン市場・組成:数量 1,200(年間の消費者ローン市場取扱高(億ドル))× 価格 0.03(取扱高1ドル当たりの純収益率)→ 売上 41 億ドル・営業利益 19 億ドル。現在のQ3単独年率約205億ドルとキアビ年70億ドル超から、資産種類とシェアを広げて1,200億ドル。価格はネットワーク価値で3.4%を維持。
- ローン・サービシング:数量 900(期末の管理ローン残高(億ドル))× 価格 0.00(管理残高に対する年間純収益率)→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。組成したローンの管理を長く残し、規模で費用率が下がる。
- YLDS・Democratized Prime・取引所:数量 250(YLDS流通額とPrimeのマッチ済み残高の合計(億ドル))× 価格 0.01(残高1ドル当たりの年間純収益率)→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。YLDSとPrimeが機関向けの資金市場として定着し、残高と手数料率がともに伸びる。
倍率:GAAP純利益で測り、株式報酬は費用のまま戻さない。k9.5%、事業ROE21.4%、g4.0%、堀は通常で残る割合1/2とするとRONICは15.5%。利益ベースの式は翌年利益に13.48倍、10年目利益には1.04を掛けた14.02倍が上限となる。共通基盤化で利益の質は最も高いが、信用循環と規制を残し、上限の95%で13.32倍とした。
確率:DARTが業界の共通記録となり、キアビ統合、新資産、資本市場の流動性が同時に成功する必要がある。現実的だが、10年間そろう確率は1割とした。
やや楽観 20% やや楽観:キアビ統合が進み、資本負担の軽い成長が続く 利益 9 億ドル · PER 12.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 52.55 ドル114 億ドル
2035年、FigureはHELOCで築いた提携網をキアビの第一順位ローンへ広げる。DARTは自社の取引では標準として残るが、業界全体を独占するほどではない。年間ローン取扱高は900億ドル、管理残高は700億ドルへ増える。Figure Connectが主力となり、ローンを長く抱えずに取扱高を増やすため、信用循環を一度挟んでも資本不足には陥らない。
競争でローン市場の価格は3.2%へ下がる一方、統合費用が消え、営業利益率は改善する。営業利益は12.27億ドル、GAAP純利益は9.2億ドルとなる。10年の純利益累計52.5億ドルのうち、株式報酬を相殺した後の正味還元14.0億ドルを株主へ戻し、自己資本は50.8億ドルとなる。DARTと資金提供者のネットワークは残るが、提携先の非独占性を考え、堀は通常のままである。
- 消費者ローン市場・組成:数量 900(年間の消費者ローン市場取扱高(億ドル))× 価格 0.03(取扱高1ドル当たりの純収益率)→ 売上 29 億ドル・営業利益 12 億ドル。現在の高成長は鈍るが、第一順位と新しい提携先で年率二桁に近い取扱高成長を続ける。
- ローン・サービシング:数量 700(期末の管理ローン残高(億ドル))× 価格 0.00(管理残高に対する年間純収益率)→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。管理権の一部流出を織り込みつつ、ローン残高の積み上がりが効く。
- YLDS・Democratized Prime・取引所:数量 160(YLDS流通額とPrimeのマッチ済み残高の合計(億ドル))× 価格 0.01(残高1ドル当たりの年間純収益率)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。Primeは成長するが、資金市場の一部にとどまり、主力にはならない。
倍率:GAAP純利益で測り、株式報酬は費用に含める。k9.5%、事業ROE18.1%、g4.0%、堀は通常で残る割合1/2とするとRONICは13.8%。利益ベースの式は翌年利益に12.91倍、10年目利益には1.04を掛けた13.43倍が上限となる。資本負担の軽さは認めるが、非独占契約と料率低下を残し、上限の92%で12.36倍とした。
確率:第一順位への拡張と提携先の増加は既に始まっている。ただし料率低下と競合を考えると、楽観ほどの標準化は要らないため2割とした。
中立 32% 中立:取扱高は伸びるが、料率低下で成熟後の利益は緩やか 利益 6 億ドル · PER 10.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 28.28 ドル61 億ドル
2035年、米国の住宅持分融資と投資用住宅ローンは名目で拡大し、Figureは提携先を増やす。しかし大手銀行、住宅ローン技術会社、他のフィンテックも自動審査と資金市場を改善し、同社だけが市場を取ることはない。年間ローン取扱高は700億ドルとなり、2026年の単独年率とキアビを合わせた規模から約2.5倍へ伸びる。管理残高は500億ドル、デジタル残高は100億ドルとなる。
Figure Connectの比率上昇と段階料金により、ローン市場の価格は2.9%まで下がる。DARTは自社網では標準として残るが、外部の代替を排除するほどの堀にはならない。営業利益は7.47億ドル、GAAP純利益は5.6億ドルとなる。10年の純利益累計34.5億ドルから正味還元7.0億ドルを出し、自己資本は39.8億ドルへ増える。取扱高の成長は続くが、株主価値の伸びは料率と希薄化に抑えられる。
- 消費者ローン市場・組成:数量 700(年間の消費者ローン市場取扱高(億ドル))× 価格 0.03(取扱高1ドル当たりの純収益率)→ 売上 20 億ドル・営業利益 8 億ドル。住宅持分市場の名目成長、新資産、シェア拡大で約2.5倍。価格はConnect比率と段階料金で2.9%へ低下。
- ローン・サービシング:数量 500(期末の管理ローン残高(億ドル))× 価格 0.00(管理残高に対する年間純収益率)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。組成の一部を管理に残すが、権利移管と手数料競争を織り込む。
- YLDS・Democratized Prime・取引所:数量 100(YLDS流通額とPrimeのマッチ済み残高の合計(億ドル))× 価格 0.00(残高1ドル当たりの年間純収益率)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。残高は拡大するが、規制コストと競争で補助的な利益源にとどまる。
倍率:GAAP純利益で測り、株式報酬と買収後の利息を費用のまま入れる。k9.5%、事業ROE14.1%、g3.5%、堀は通常で残る割合1/2とするとRONICは11.8%。利益ベースの式は翌年利益に11.72倍、10年目利益には1.035を掛けた12.13倍が上限となる。成長は残るが、料率低下、信用循環、統合リスクを考え、上限の90%で10.92倍とした。
確率:Q3の取扱高とキアビの既存規模を出発点に、市場成長とシェア拡大を認める一方、現在の倍増率と高いテイク率は続かない。最も起こりやすい筋書きとして32%とした。
やや悲観 23% やや悲観:提携先は残るが、価格競争と固定利息で超過収益が消える 利益 1 億ドル · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6.15 ドル13 億ドル
2035年、Figureの技術は使われ続けるが、銀行と住宅ローン技術会社が同等の自動審査を提供し、提携先は複数の基盤を併用する。DARTは自社網の記録として残るものの、業界標準にはならない。年間ローン取扱高は400億ドルまで増えるが、ローン市場の価格は2.6%へ低下する。管理権の移管も増え、デジタル資産は規制と競争で小規模にとどまる。
キアビの統合効果は限定され、6.0億ドル社債の利息が毎年利益を削る。営業利益は2.37億ドル、GAAP純利益は1.4億ドル、ROEは5.4%となり資本コストを下回る。10年の利益累計13.5億ドルは事業維持と負債返済に回り、株式報酬を差し引いた正味還元はゼロである。会社は存続するが、成長資本1ドルが1ドル以上の価値を生まない普通の貸付技術会社になる。
- 消費者ローン市場・組成:数量 400(年間の消費者ローン市場取扱高(億ドル))× 価格 0.03(取扱高1ドル当たりの純収益率)→ 売上 10 億ドル・営業利益 3 億ドル。市場は伸びるがシェアは頭打ち。競合と大口割引で価格が2.6%へ下がる。
- ローン・サービシング:数量 300(期末の管理ローン残高(億ドル))× 価格 0.00(管理残高に対する年間純収益率)→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。管理権の移管と手数料競争で残高、価格、利益率が弱い。
- YLDS・Democratized Prime・取引所:数量 30.0(YLDS流通額とPrimeのマッチ済み残高の合計(億ドル))× 価格 0.00(残高1ドル当たりの年間純収益率)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。残高は残るが規制・競争コストを回収できず、損益は均衡にとどまる。
倍率:GAAP純利益で測る。ROE5.4%はk9.5%を下回るため、利益ベースの上限は1÷kの10.53倍であり、g1.5%を10年目利益へ反映した上限は10.68倍となる。非独占契約、価格競争、固定利息で超過収益が消えた事業なので、その89%の9.5倍とした。中立より低く、稼ぐ力1.4÷9.5%=14.7億ドルを超えない。
確率:非独占契約、段階料金、AIによる機能の模倣、キアビ社債の固定利息は、会社が存続してもROEを資本コスト未満へ落としうる。十分起こりうるため23%とした。
悲観 15% 悲観:キアビ減損と標準化の失敗で、資産の床まで下がる 利益 0 億ドル · PBR 1.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5.68 ドル12 億ドル
2035年、住宅価格の下落と信用悪化でローン買い手が離れ、銀行は自社システムへ戻る。DARTは一部取引に残るが、共通記録にはならない。年間ローン取扱高は200億ドルへ縮み、価格は2.2%まで下がる。管理残高は180億ドル、デジタル残高は5億ドルにとどまり、規制・サイバー対応の固定費を吸収できない。
キアビののれんと技術資産を中心に4億ドル規模の減損を出し、社債利息が残る。営業利益は0.10億ドルでも、利息後のGAAP純損失は0.4億ドルとなる。初期の利益を含む10年累計は3.0億ドルにとどまり、株式報酬と資金調達による正味の株主還元はマイナス1.0億ドル、自己資本は16.3億ドルとなる。稼ぐ力は床にならず、価値はFY2025の換金可能資産を基にした12.3億ドル付近まで下がる。
- 消費者ローン市場・組成:数量 200(年間の消費者ローン市場取扱高(億ドル))× 価格 0.02(取扱高1ドル当たりの純収益率)→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。信用悪化とシェア喪失で現在の単独年率を下回り、価格も2.2%へ低下。
- ローン・サービシング:数量 180(期末の管理ローン残高(億ドル))× 価格 0.00(管理残高に対する年間純収益率)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。管理権が流出し、残った資産も低い手数料で維持する。
- YLDS・Democratized Prime・取引所:数量 5.0(YLDS流通額とPrimeのマッチ済み残高の合計(億ドル))× 価格 0.00(残高1ドル当たりの年間純収益率)→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。事業は撤退に近く、残る残高より規制・運営費が重い。
倍率:終点の純利益は赤字でPERを使えない。過去や同業のPBRではなく、FY2025の現金13.6億ドルとローン・有価証券等9.9億ドルから、有利子負債9.5億ドル、その他負債と清算費用1.7億ドルを引いた現在の自己資本12.3億ドルを売れる資産の税後の床とした。悲観では将来に積み上げた自己資本へ倍率を掛けず、この現在の床にPBR1.0倍を掛ける。
確率:住宅信用の悪化、キアビ統合失敗、DARTの標準化失敗、希薄化の複数が重なる筋書きである。上場後の短い実績と集中度を考え、無視できない15%とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
消費者ローン市場・組成
自社・提携先のHELOC、DSCR、個人ローンを組成し、Figure Connectで売却・取引する。キアビ取得後は改修・賃貸向け第一順位ローンも加わる。
| 数量年間の消費者ローン市場取扱高(億ドル) | 価格取扱高1ドル当たりの純収益率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 83.8 | 0.05 | 4 | 2 |
| 10 年後 中立 | 700 | 0.03 | 20 | 8 |
取り方:2025年の会社開示の消費者ローン市場取扱高83.77億ドルを数量とした。財務の正本であるfactsの全社売上4.6億ドルを、10-Kの収益構成に沿って縮尺し、技術・組成・売却益・保有利息など4.29億ドルを配分した。価格は4.29÷83.77=5.12%。2026年4〜6月期の会社開示の純テイク率は3.6%で、Figure Connect比率上昇と段階料金により先では下げる。 金融事業なので元本取扱高は名目残高として扱い、物価と住宅価格の上昇は数量側に含め、価格欄は手数料率だけとした。
ローン・サービシング
売却後も返済回収、記録、投資家への送金を担い、管理残高に応じた手数料を受け取る。
| 数量期末の管理ローン残高(億ドル) | 価格管理残高に対する年間純収益率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 129 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 500 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2025年末の管理残高129億ドルを数量とした。会社開示の加重平均手数料率は0.31%だが、会計上のサービシング資産評価を切り分け、facts売上へ合わせた継続収益0.29億ドルを配分したため、実効価格は0.225%。権利は相手方が移管できるので、将来の価格は独占的な率にしない。
YLDS・Democratized Prime・取引所
利回り付き証券、担保付き資金市場、デジタル資産取引を提供する。現時点では残高の拡大が先で、利益寄与は小さい。
| 数量YLDS流通額とPrimeのマッチ済み残高の合計(億ドル) | 価格残高1ドル当たりの年間純収益率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5.3 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:2025年末のYLDS流通額3.282億ドルとPrimeのマッチ済み残高2.061億ドルを合計した。Primeは当時まだ重要な売上を生んでおらず、取引所を含む売上をfacts全社売上のうち0.02億ドル、営業損失を0.05億ドルと推定した。2026年9月には両残高の合計が10.92億ドルまで増えたが、収益化は未検証である。
リスクと懸念
住宅持分融資と信用循環
2025年のローン組成は98%超がHELOCだった。住宅価格の下落、失業、金利高止まりが重なると、申込、承認、売却価格、延滞が同時に悪化する。取扱高だけでなく、買戻し請求とサービシング資産の評価損が利益を削る。キアビで第一順位へ広がっても、住宅と信用への集中そのものは残る。
純テイク率と非独占契約
提携料金は取扱高が増えるほど下がる段階制で、純テイク率は2026年4〜6月期に3.6%へ低下した。契約は非独占で利用義務がないため、提携先数が増えても利用量と単価を同時に維持できるとは限らない。取扱高の見栄えに反して、売上÷取扱高が下がり続ける危険がある。
キアビ統合と8.5%社債
キアビ取得には純額約5.9億ドルを払い、6.0億ドルの社債で主に賄った。年約0.51億ドルの利息は取扱高が落ちても残る。第一順位ローンへの拡大が遅れれば、のれん減損と固定費が同時に発生する。2031年の借り換え時に信用市場が悪ければ、利払い負担はさらに増える。
資金市場・買戻し義務
ローンを売るまでの保有資金、倉庫融資、証券化、機関投資家の需要に依存する。市場が閉じれば運転資金が膨らみ、過去に売ったローンの表明保証違反による買戻しも増える。会計利益と現金化の時期がずれる事業であり、利益成長だけを見て資本負担を軽視できない。
規制・ブロックチェーン・サイバー
貸付、送金、証券、デジタル資産をまたぐため、州免許、消費者保護、公正融資、証券法、資金洗浄対策の変更を受ける。DARTやProvenance Blockchainの障害、秘密鍵やデータの事故は、記録基盤への信頼を一度で損なう。AI審査の説明責任や差別判定も追加の規制費用になりうる。
創業者支配と株式報酬
B株は1株10票で創業者側が議決権を支配し、会社は支配会社特例を使う。2025年は株式報酬0.6億ドル、株数増1.7%だった。買い戻しが報酬による増加を上回らなければ、会社価値の成長が一般株主に届きにくい。取締役会の独立性と買収規律を外部株主が変えにくい点も重い。
AIエージェント代替
中核は取引量、資金、権利記録で稼ぐため、席課金ソフトのような直接代替は受けにくい。一方、申込画面、文書確認、信用判断はAIで模倣される。銀行や競合が同等の自動化を内製すれば、技術料と導入時の優位は縮む。AIの費用削減効果が顧客へ値下げとして渡り、会社に残らない可能性もある。
今後の分かれ目
- 消費者ローン市場の取扱高が年率20%以上で増え、純テイク率も3.5%以上を保ったら
- 数量と価格を同時に守れた証拠である。楽観側の確率を上げ、2035年のローン取扱高と利益率を引き上げる。
- Figure Connectが取扱高の75%を超え、ローン保有残高と運転資金の増加が売上より遅くなったら
- 資本負担の軽い市場型への移行が成功したと見る。還元余力と事業ROEを上げ、倍率の式を引き直す。
- キアビを含む第一順位ローンが2027年に全体の40%を超え、統合費用後も利益率が落ちなかったら
- 買収の戦略的価値が確認できる。買収減損の確率を下げ、やや楽観の確率を増やす。
- 純テイク率が2.5%を割り、提携先数が増えても1社当たり取扱高が減ったら
- ネットワークより価格競争が強い。中立の価格と利益率を下げ、やや悲観と悲観の確率を上げる。
- 90日超延滞、ローン買戻し義務、倉庫融資の調達費が2四半期続けて悪化したら
- 信用循環が利益へ波及したと判断する。ローン売却益とサービシング価値を下げ、悲観の床を再点検する。
- 株式報酬と新株発行による持ち分減少が年2%を超え、自社株買いで相殺されなかったら
- 正味還元を下げる。payout_okuを減らし、成長しても一般株主の取り分が薄まる筋書きへ寄せる。
- YLDSとPrimeの合計残高が50億ドルを超え、規制上の事故なく手数料収入が明確になったら
- デジタル資産を実験ではなく第三の柱と認める。digitalの数量、価格、利益率を上げる。
見ておくもの
- 消費者ローン市場取扱高、Figure Connect比率、純テイク率
- 提携先数、1社当たり取扱高、DART利用率
- キアビの第一順位ローン取扱高、統合費用、年0.51億ドルの利息負担
- 管理ローン残高、加重平均サービシング料率、買戻し義務
- YLDS流通額、Primeのマッチ済み残高、実際の手数料収入
- 株式報酬、株数増減、自社株買い枠の実行額
- HELOCの延滞、住宅価格、資本市場でのローン売却価格
倍率と資本コストの決め方
基準株価や市場のPERを見る前に、factsの2025年売上・利益を、ローン取扱高、管理残高、デジタル残高へ分けた。2026年のQ2決算、Q3取扱高、成立済みのキアビ取得は数量の出発点だけに使い、現在の倍増率を10年間延長していない。倍率はk9.5%、各筋書きのROE、事業から出したg、通常の堀によるRONICで上限を求め、利益の質に応じて上限の89〜95%とした。AIエージェント代替は中核の数量を直接削る型ではないため、画面・審査機能の価格競争だけに反映し、kや確率へ重ねていない。結論は現在の値段に合わせず、割高を受け入れた。
資本コスト 9.5% = 無リスク金利 5% + β 1.00 × 5%。k=基本8.0%+quality1.5%=9.5%。βと時価総額の大小は使わない。同領域の新興貸付フィンテックの9.2〜9.5%帯の上端に合わせ、信用循環、料率低下、買収後の固定利息、若い事業モデルをqualityに入れた。創業者支配や統合失敗は確率と悲観の深さで表した。