結論
BOKファイナンシャルは、オクラホマを核にテキサスなど8州へ展開し、商業銀行、個人銀行、資産管理、証券、決済を一体で売る中堅地域金融グループである。筆者の結論は適正であり、信用規律の強さは評価できるが、現在の時価総額には中立の成長と還元がほぼ織り込まれている。全国規模では小さい一方、タルサの預金シェア、エネルギーと医療の専門融資、信託、住宅ローン証券、TransFundの決済網という複数の小さな堀を持つ。
足元は強い。2026年7〜9月期の純利益は1.60億ドル、貸出は277億ドルで前年同期比11.5%増、純金利マージンは3.00%へ上がった。貸倒償却率は年率0.01%、CET1比率は12.73%で、成長が資産の質や資本をまだ傷めていない。ただし証券・市場関連の手数料は金利上昇で減り、収益の3〜4割を占める非金利事業も安定一辺倒ではない。
10年の中立では、商業部門の貸出と預金の合計を1.60倍、資産管理残高を1.66倍とし、純利益を9.2億ドルへ伸ばす。自己資本は88億ドル、ROEは10.5%、正味の還元は45.7億ドルとなる。5つの筋書きを資本コスト8.25%で割り引くと、現在の時価総額を約1%上回る程度で、安全域はほぼない。長く持つ価値はあるが、良い銀行であることと、今が安いことは同じではない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点で最初に見るのは、10年後も顧客が必要とするかである。預金、融資、決済、信託、証券保管はなくならない。地方企業は、信用判断と資金管理を一つの相手に任せる価値を持ち続ける。BOKファイナンシャルは、地元預金だけでなく、エネルギー、医療、TransFund、信託という異なる収益源を持つため、典型的な一本足の地域銀行より読みやすい。
次にオーナー利益を見る。銀行は利益をすべて配れる事業ではなく、貸出が増えるほど規制資本を積む必要がある。中立では10年の累計純利益74.5億ドルのうち45.7億ドルを正味で返し、残りを自己資本の59.2億ドルから88億ドルへの増加に使う。これは過去の還元実績と、今の資本比率の両方から無理がない。買い戻しは株価が価値を下回る時にだけ効くため、額より規律を重く見る。
最後に値段である。中立の有形自己資本利益率は約12%、長期成長率は3.5%、資本コストは8.25%である。この経済性から利益ベースで測ると、価値は現在の価格に近い。現在の値段は、優良さを安売りしてはいないが、過大な期待も求めていない。支配株主、地域集中、金利と信用循環を受け入れたうえで持ち続ける会社ではあるが、厚い安全域を求めるなら、もう一段の値下がりか、ROEの持続的な上昇が必要である。
何で稼ぐ会社か
商業銀行が稼ぎ頭である。2025年の平均商業貸出201.7億ドルと平均商業預金179.6億ドルを合わせた残高381.3億ドルから、純金利収益と手数料を合わせて9.83億ドル、税引前利益5.84億ドルを得た。一般法人に加え、エネルギー、医療、商業用不動産、先住民政府、資金管理、投資銀行を関係単位で束ねる。2026年7〜9月期には平均貸出と預金の合計が414.4億ドルへ増え、単なる地元銀行より広い営業基盤になった。
個人銀行は、支店預金、住宅ローン、個人向け融資、小規模事業者を扱う。2025年の平均貸出と預金の合計は106.4億ドル、純収益3.81億ドル、税引前利益0.76億ドルで、商業部門より利益率は低い。住宅ローンは組成だけでなく約225億ドルの受託残高から管理手数料を得るため、取引量が細っても収益がすぐゼロにはならない。TransFundは商業部門に含まれ、銀行や信用組合のデビット、ATM、加盟店決済を処理し、預貸だけに頼らない手数料を生む。
資産管理部門は、信託、プライベートバンク、運用助言、住宅ローン証券の仲介、地方債引受を組み合わせる。2025年末の運用・管理資産は1,266億ドル、純収益6.05億ドル、税引前利益1.53億ドルであり、預金と貸出も抱える。全社の金利リスクと流動性を担う本社部門は2025年に税引前で約0.73億ドルのマイナスだった。AIエージェント代替の型には当たらず、規制資本、信用判断、受託責任、決済インフラは席課金や画面操作ではないが、事務の自動化と比較の容易化は費用と預金価格の双方を動かす。
優良さと弱いところ
堀の中心は、地域預金と専門知識の組み合わせである。オクラホマ州の預金シェアは14%、タルサは33%、オクラホマシティは13%で、企業の給与、決済、運転資金、経営者個人の資産管理まで関係を重ねやすい。エネルギー融資では100年超の経験、社内の石油技術者、第一順位担保、確認埋蔵量価値の50〜60%という保守的な担保管理が、単なる金利競争と違う参入障壁になる。商業用不動産もオフィスが総貸出の約3%にとどまり、最も危険な土地開発を絞っている。
手数料事業にも切り替えの手間がある。TransFundは2025年に8.3億件超の電子資金移動を処理し、顧客の75%以上がオクラホマ州外にある。信託、資金管理、カード処理は顧客の会計や統制に組み込まれ、一度定着すると移行が面倒である。資産管理残高は2015年以降に年率約6%で増え、地域預金と富裕層取引を相互に送客できる。
ただし、堀は強いというより普通である。預金金利と貸出条件は大手銀行、カレン・フロスト、プロスペリティなどとの競争で決まり、証券仲介は市場量に左右される。全国シェアは貸出、預金とも約0.2%にすぎず、技術投資を巨大行ほど薄く広く配れない。さらに会長兼支配株主が議決権の62.5%を持つため、短期の買収圧力を避けられる反面、少数株主は取締役や資本政策を実質的に変えられない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の銀行は、資産約25兆ドル、貸出約13兆ドルという巨大市場である。2026年4〜6月期の業界純金利マージンは3.32%、貸出は前年同期比6.8%増で、短期金利3.5〜4%の世界でも収益は崩れていない。BOKファイナンシャルの貸出277億ドルは全国の約0.2%にすぎないが、地元と専門分野では存在感が大きい。したがって10年の数量は、全国市場の成長よりも、テキサスやコロラドでの採用とシェア獲得が左右する。
競争の構造は大手有利へ傾く。JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、シティグループの上位4行が預金の約4割を握り、技術、規制対応、広告の固定費を広く配れる。地域銀行は、高金利のMMFや国債へ流れる預金を引き留めるため、2010年代より高い預金コストを払う。一方、低利回りの有価証券が満期を迎え、高い利回りへ入れ替わるため、資産側の改善が預金コストをどこまで相殺するかが分かれ目になる。
BOKファイナンシャルは2026年について、期末貸出10%超増、純金利収益14.3〜14.4億ドル、手数料8億ドル超、費用約1%増を見込む。これは好調な出発点だが、10年間ずっと二桁で貸出を伸ばせる規模ではない。中立では貸出と預金の残高を年4〜5%で増やし、純収益率はほぼ横ばい、貸倒費用は現在の異常に低い水準から平常化させた。M&Aは規模を補う選択肢だが、統合で専門性と信用規律を失えば、成長より価値破壊が先に立つ。
資本政策と M&A
2025年は純利益5.7億ドルに対し、配当1.5億ドルと自社株買い4.2億ドルを実行した。過去10年では配当と買い戻しが純利益の半分強で、成長資本を残しながら株数を減らしてきた。筋書きのpayout_okuは、株式報酬と新株発行を控除した正味の還元である。2025年7月の新しい買い戻し枠は500万株で、年末までに約298万株を取得済みだった。会社は買い戻しを機会主義的に行い、強い資本を維持する範囲に限ると明記している。
資本は十分だが、余っているとは言い切れない。2026年7〜9月期のCET1比率は12.73%、有形普通株資本比率は9.16%で、貸出が二桁で増えるなら利益の一部を残す必要がある。2025年に発行した4億ドルの劣後債は規制資本を補う一方、2035年まで6.108%の固定費を伴う。長期の配当性向やROEについて数字の約束はなく、2026年の業績見通しだけが示されている。
買収では2018年のCoBizがコロラドとアリゾナの足場を広げ、その後の大きな案件は抑えてきた。今後も高成長都市の商業銀行や資産管理を、無理のない価格で補う戦略は合理的である。ただし支配株主の存在で敵対的な買収や非公開化は少数株主が左右できず、平時の大型買収にも外部から規律が働きにくい。この分析では未合意の買収を利益に足さず、全筋書きの持分は1とした。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
BOKファイナンシャルは、資産規模だけで測ると見落とされる。オクラホマでは預金の首位級で、テキサス、コロラド、アリゾナにはシェアの余白が大きい。2026年7〜9月期の貸出は前年同期比11.5%増で、一般法人、エネルギー、商業用不動産に広く増えた。しかも貸倒償却率は0.01%にとどまり、成長を審査の緩みで買っていない。低利回り資産の入れ替えが続けば、預金コストが高止まりしても純金利マージンは緩やかに改善できる。2026年の会社見通しも、貸出10%超増と費用約1%増を同時に示しており、固定費吸収の余地が見える。
非金利事業は、地域銀行の弱点を補う。TransFundの処理件数、信託、資産管理、住宅ローン証券、地方債引受は、貸出の景気循環と完全には同じ方向へ動かない。資産管理残高が増え、カード処理の単価と件数が上がれば、固定費を薄めて効率性を改善できる。タルサ33%の預金シェアと全国の決済顧客を同時に持つ地域銀行は少なく、複数の小さな堀が一つの大きな顧客関係になる。支配株主が短期の市場圧力を遮るため、危機時に資本を守り、安い買収や自社株買いを待てる。楽観では10年後の純利益13億ドル、自己資本105億ドル、正味還元46.2億ドルとなり、地域銀行の中で上位の複利を実現する。
慎重な見方
現在の信用指標は、損失が少なすぎる局面の数字である。貸出の約12%がエネルギー、約22%が商業用不動産で、原油安、オフィス空室、建設費、借換え金利が重なれば、専門性があっても損失は避けられない。貸出は2026年に二桁で伸びており、審査の結果は数年遅れて表れる。預金の半分前後が企業・富裕層に偏り、無保険かつ無担保の預金も大きい。国債やMMFが高利回りを維持すれば、関係性より価格が勝ち、純金利マージンを押し下げる。資産と負債の価格改定時期を一度読み違えるだけで、利益の伸びは止まる。
手数料の分散も完全な防波堤ではない。住宅ローン証券の仲介と地方債、投資銀行は市場量で振れ、資産管理は市場下落と手数料競争を同時に受ける。巨大行は技術投資を広く配り、地域銀行は規制費用を狭い収益基盤で負担する。規模を補うために買収すれば、のれんと統合リスクが増え、何もしなければシェアを失うという難しさがある。会長兼支配株主が62.5%を握る構造は長期志向を支えるが、少数株主が不利な買収や買い戻しを止めにくい。支配株主の承継や方針転換も市場では読みにくく、割引は平時から残る。悲観では純利益2.2億ドル、ROE3.7%まで落ち、有形資産の税後床33億ドルしか残らない。
どちらに重みを置いたか
強い信用規律と専門金融の分散は、慎重な見方を少し上回る。楽観とやや楽観を合計35%、やや悲観と悲観を30%とし、中立を35%に置いた。上側は貸出の高成長だけでなく、手数料と費用率の改善が同時に必要なため、楽観は10%に限った。下側はエネルギー、商業用不動産、預金流出が重なる構造損失を9%とした。支配株主の存在は長期志向と統治割引の両面があり、確率を一方向へ寄せていない。割引後の価値は現在を約1%上回るだけで、結論は事業が良いから買いではなく、現在は適正である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 183.71 ドル110 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 69.83 ドル42 億ドル)。 今の値に割り戻すと 130.13 ドル78 億ドル、今との差 −0.1%、 期待の年率 +8.2%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 307.15 ドル185 億ドル | 76.87 ドル46 億ドル | +194.9% | +13.2% | 38.40 ドル23 億ドル |
| やや楽観 | 25% | 247.08 ドル149 億ドル | 79.37 ドル48 億ドル | +150.7% | +11.4% | 81.61 ドル49 億ドル |
| 中立 | 35% | 189.84 ドル114 億ドル | 76.04 ドル46 億ドル | +104.2% | +8.9% | 93.06 ドル56 億ドル |
| やや悲観 | 21% | 94.34 ドル57 億ドル | 56.90 ドル34 億ドル | +16.1% | +1.9% | 31.76 ドル19 億ドル |
| 悲観 | 9% | 55.24 ドル33 億ドル | 41.60 ドル25 億ドル | −25.6% | −3.7% | 8.72 ドル5 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 183.71 ドル110 億ドル | 69.83 ドル42 億ドル | +94.7% | +8.2% | 253.55 ドル152 億ドル |
今の株価時価総額 130.22 ドル78 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:成長都市と専門金融でシェアを取り、費用率も下がる 利益 13 億ドル · PER 14.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 307.15 ドル185 億ドル
テキサス、コロラド、アリゾナで営業人員の採用が実り、商業貸出と預金の合計は700億ドルへ伸びる。エネルギーと医療の専門審査が競合との差になり、利ざやと手数料を合わせた率も2.85%へ上がる。TransFund、信託、資産管理は全国顧客を増やし、運用・管理資産は2500億ドルに達する。費用の自動化は顧客接点を壊さず、効率性を改善する。
10年間に一度の景気後退を吸収しても累計純利益は92億ドルとなる。46.2億ドルを正味で還元し、自己資本は59.2億ドルから105億ドルへ増える。純利益13億ドル、有形自己資本利益率約13.8%となり、専門領域の堀は少し広がる。大きな買収はせず、小型案件だけを内部資本で賄う。
- 商業銀行:数量 700(平均商業貸出残高+平均商業預金残高(億ドル))× 価格 0.03(残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率)→ 売上 20 億ドル・営業利益 12 億ドル。成長都市でシェア上昇、専門融資と決済の採算改善
- 個人銀行:数量 165(平均個人銀行貸出残高+平均個人銀行預金残高(億ドル))× 価格 0.04(残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率)→ 売上 6 億ドル・営業利益 2 億ドル。住宅ローン管理と富裕層取引が伸びる
- 資産管理・証券:数量 2,500(運用・管理資産残高(億ドル))× 価格 0.00(運用・管理資産1ドルあたりの純収益率)→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。純流入と市場成長、固定費吸収が進む
倍率:k8.25%、長期g4.0%、有形自己資本利益率13.8%、普通の堀で超過収益の残る割合1/2とする。RONICは11.0%で、10年目利益に掛ける正当化PER上限は15.6倍。地域集中、支配株主、信用循環を残すため上限の約91%である14.2倍とした。
確率:貸出と預金が年6%前後で増え、手数料率と費用率も改善し、信用損失が抑えられる三条件がそろう必要があるため1割に限った。
やや楽観 25% やや楽観:信用規律を保ったまま地域外のシェアを伸ばす 利益 11 億ドル · PER 13.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 247.08 ドル149 億ドル
商業部門はテキサスとコロラドで徐々に顧客を増やし、貸出と預金の合計が650億ドルへ伸びる。純収益率は2.75%で、預金コストの高止まりを固定金利資産の入れ替えと決済手数料が補う。個人銀行は大きく拡張せず、資産管理は顧客純流入と市場成長で2300億ドルとなる。信用コストは長期平均へ戻るが、エネルギーと商業用不動産の損失は資本で吸収できる。
累計純利益83.5億ドルのうち47.7億ドルを正味で還元し、自己資本は95億ドルへ増える。10年目の純利益は11億ドル、有形自己資本利益率は約13.0%である。CoBiz型の小型買収はあっても、株式による大型希薄化は想定しない。堀は広がらないが、専門性と関係性は保たれる。
- 商業銀行:数量 650(平均商業貸出残高+平均商業預金残高(億ドル))× 価格 0.03(残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率)→ 売上 18 億ドル・営業利益 11 億ドル。業界を少し上回る残高成長
- 個人銀行:数量 155(平均個人銀行貸出残高+平均個人銀行預金残高(億ドル))× 価格 0.04(残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率)→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。支店圏の名目成長と管理手数料
- 資産管理・証券:数量 2,300(運用・管理資産残高(億ドル))× 価格 0.00(運用・管理資産1ドルあたりの純収益率)→ 売上 11 億ドル・営業利益 3 億ドル。純流入を維持、料率はほぼ横ばい
倍率:k8.25%、長期g3.75%、有形自己資本利益率13.0%、普通の堀で残る割合1/2とする。RONICは10.6%で正当化PER上限は14.9倍。利益の分散は評価するが、巨大行ほどの規模はないため上限の約90%に当たる13.5倍とした。
確率:足元の二桁貸出成長は鈍化するが、採用と既存顧客の深掘りで業界を少し上回る成長が続く筋書きは最も起こりやすい上側と見た。
中立 35% 中立:名目成長を少し上回るが、ROEは現在並みに落ち着く 利益 9 億ドル · PER 12.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 189.84 ドル114 億ドル
商業貸出と預金の合計は610億ドルとなり、2025年から年4.8%で増える。純収益率は2.65%で、NIMの改善は預金価格競争に相殺される。個人銀行は名目成長に沿い、資産管理は年5.2%で2100億ドルへ増えるが、受託料率は少し下がる。10年間に通常の景気後退を一度か二度挟み、貸倒費用は現在のほぼゼロから平常へ戻る。
累計純利益は74.5億ドル、正味還元は45.7億ドルで、自己資本は88億ドルとなる。10年目の純利益は9.2億ドル、帳簿ROEは10.5%、有形自己資本利益率は約11.9%である。支配株主の長期志向は維持されるが、少数株主に特別な利益も不利益も生じない。大きなM&Aを価値に足さず、今の事業が複利で育つ筋書きである。
- 商業銀行:数量 610(平均商業貸出残高+平均商業預金残高(億ドル))× 価格 0.03(残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率)→ 売上 16 億ドル・営業利益 9 億ドル。残高は年4.8%、利ざやはほぼ横ばい
- 個人銀行:数量 145(平均個人銀行貸出残高+平均個人銀行預金残高(億ドル))× 価格 0.04(残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率)→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。人口と物価並み、費用率は小幅改善
- 資産管理・証券:数量 2,100(運用・管理資産残高(億ドル))× 価格 0.00(運用・管理資産1ドルあたりの純収益率)→ 売上 10 億ドル・営業利益 3 億ドル。純流入は続くが料率競争を織り込む
倍率:k8.25%、長期g3.5%、有形自己資本利益率11.9%、普通の堀で残る割合1/2とする。RONICは10.1%で正当化PER上限は14.2倍。信用規律と手数料分散を認めつつ、地域集中、支配株主、全国規模の弱さを反映し、上限の約87%である12.4倍とした。
確率:業界の貸出が名目年5%前後で伸び、会社が専門分野のシェアを守る一方、貸倒と預金コストが正常化する組み合わせを中心にした。
やや悲観 21% やや悲観:預金コストと信用費用が高止まりし、超過収益が消える 利益 5 億ドル · PER 10.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 94.34 ドル57 億ドル
預金がMMFと巨大行へ流れ、商業部門の残高は名目で増えても540億ドルにとどまる。純収益率は2.45%へ下がり、証券、地方債、住宅ローン関連の市場量も弱い。資産管理残高は1750億ドルへ増えるが、パッシブ化と値下げで収益率は0.42%へ落ちる。エネルギーか商業用不動産で一度大きな損失が出て、信用コストと規制費用が数年続く。
景気後退を含む累計純利益は50億ドル、正味還元は34.2億ドルで、自己資本は75億ドルとなる。10年目の純利益は5.4億ドル、帳簿ROEは7.2%で資本コストを下回る。堀は顧客関係として残るが、追加資本が価値を増やさない銀行へ変わる。大型買収で穴を埋めず、配当と買い戻しも利益に合わせて減らす。
- 商業銀行:数量 540(平均商業貸出残高+平均商業預金残高(億ドル))× 価格 0.02(残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率)→ 売上 13 億ドル・営業利益 6 億ドル。預金流出と信用費用で採算低下
- 個人銀行:数量 125(平均個人銀行貸出残高+平均個人銀行預金残高(億ドル))× 価格 0.03(残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率)→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。住宅ローンと支店の固定費が重い
- 資産管理・証券:数量 1,750(運用・管理資産残高(億ドル))× 価格 0.00(運用・管理資産1ドルあたりの純収益率)→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場量と料率の両方が弱い
倍率:k8.25%、長期g2.5%、有形自己資本利益率8.4%、普通の堀で残る割合1/2とする。RONICは8.3%で正当化PER上限は12.5倍だが、帳簿ROEはkを下回り、利益の循環性も強いため上限の約84%である10.5倍とした。中立の12.4倍より明確に低い。
確率:預金競争、手数料圧力、エネルギーか商業用不動産の信用悪化のうち二つが重なる可能性は無視できず、2割強とした。
悲観 9% 悲観:預金流出と信用事故が重なり、専門銀行の信頼を失う 利益 2 億ドル · PBR 0.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 55.24 ドル33 億ドル
原油安と高金利の長期化でエネルギーと商業用不動産の損失が重なり、専門審査への信頼が崩れる。企業預金は巨大行とMMFへ移り、商業貸出と預金の合計は450億ドル、純収益率は2.20%に下がる。資産管理は1400億ドルへ縮みはしないが、顧客流出と価格競争で収益率は0.38%になる。統制事故か不利な買収が加わり、のれんの価値も認められなくなる。
累計純利益は25億ドルにとどまり、正味還元25.0億ドルの後も自己資本59.2億ドルを維持する。10年目の純利益は2.2億ドル、ROEは3.7%で、稼ぐ力2.2÷8.25%=26.7億ドルしかない。有形普通株資本から追加損失と再編費を引いた税後の売れる資産33億ドルの方が大きいため、そこを時価総額の床とする。優良銀行ではなくなり、税後の売れる資産の床に近い水準まで評価が下がる。
- 商業銀行:数量 450(平均商業貸出残高+平均商業預金残高(億ドル))× 価格 0.02(残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率)→ 売上 10 億ドル・営業利益 4 億ドル。預金流出、信用事故、顧客関係の毀損
- 個人銀行:数量 105(平均個人銀行貸出残高+平均個人銀行預金残高(億ドル))× 価格 0.03(残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率)→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。固定費を吸収できず、ほぼ収支均衡
- 資産管理・証券:数量 1,400(運用・管理資産残高(億ドル))× 価格 0.00(運用・管理資産1ドルあたりの純収益率)→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。資産流出と市場業務低迷
倍率:10年目の帳簿ROE3.7%と有形自己資本利益率4.5%はいずれもk8.25%を大きく下回るため、積み上がった帳簿を1ドルで評価しない。悲観では自己資本を現在の59.2億ドルから増やさず、これにPBR0.56倍を掛けた33.2億ドルとした。これは税後の売れる資産の床33.0億ドルをわずかに上回り、稼ぐ力26.7億ドルより大きい。過去の谷のPBRは根拠にしていない。
確率:エネルギー、商業用不動産、預金流出、大きな規制・統制事故が複数重なり、10年後も回復しない事態は低確率だが、地域銀行なのでゼロにはできない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
商業銀行
一般法人、エネルギー、医療、商業用不動産、先住民政府向けの貸出と預金、資金管理、投資銀行、TransFundを束ねる最大部門。
| 数量平均商業貸出残高+平均商業預金残高(億ドル) | 価格残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 381 | 0.03 | 10 | 6 |
| 10 年後 中立 | 610 | 0.03 | 16 | 9 |
取り方:2025年10-Kの平均商業貸出201.69億ドルと平均商業預金179.63億ドルを合計した。部門の純金利収益と手数料の合計9.83億ドルを割り、価格を2.578%とした。税引前利益は5.84億ドル。全国の貸出市場に対する会社全体のシェアは約0.2%だが、預金シェアはタルサ33%、オクラホマシティ13%で、テキサスやコロラドに拡大余地がある。銀行の残高は名目値なので物価の分は数量側に含み、価格は利ざやと手数料率で置く。
個人銀行
支店預金、住宅ローンの組成と管理、個人向け融資、支店で扱う小規模事業者を担う。
| 数量平均個人銀行貸出残高+平均個人銀行預金残高(億ドル) | 価格残高1ドルあたりの純金利収益+手数料の率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 106 | 0.04 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 145 | 0.04 | 5 | 1 |
取り方:2025年10-Kの平均個人貸出23.66億ドルと平均個人預金82.75億ドルを合計し、部門純収益3.81億ドルを割った。税引前利益は0.76億ドル。住宅ローン管理残高は約225億ドルで、組成量だけでなく既存契約の管理手数料も価格に入る。全国の住宅ローン市場に対するシェアは小さく、数量は支店圏の人口と顧客獲得、価格は預貸利ざや、管理手数料、貸倒で決まる。 2026年8月の米国消費者信用残高は約5.16兆ドルで、BOKの個人向け貸出の全国シェアは概算0.1%未満である。住宅ローンを含む定義差があるため、成長は全国シェアではなく支店圏の獲得率で置いた。
資産管理・証券
信託、運用助言、プライベートバンク、住宅ローン証券の仲介、地方債引受を扱う。
| 数量運用・管理資産残高(億ドル) | 価格運用・管理資産1ドルあたりの純収益率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,266 | 0.00 | 6 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,100 | 0.00 | 10 | 3 |
取り方:2025年末の運用・管理資産1266.15億ドルに、資産管理部門の純金利収益と手数料6.05億ドルを対応させ、純収益率0.478%とした。税引前利益は1.53億ドル。市場価格の上昇だけでなく、2025年の純流入59.2億ドルを含む顧客獲得が数量を押し上げた。価格は受託、管理、証券仲介、プライベートバンクの混合率で、パッシブ化と競争により物価ほどは上がらない。 2026年4〜6月期の米国家計金融資産は約147兆ドルで、同社の運用・管理資産は概算0.1%弱にすぎない。定義は一致しないが、全国市場は十分大きく、数量の制約は市場規模より営業力と純流入である。
リスクと懸念
エネルギーと商業用不動産の信用集中
2026年7〜9月期のエネルギー貸出は約33億ドル、商業用不動産は約61億ドルで、合計は総貸出の3分の1を超える。担保と専門審査は強いが、原油安、借換え金利、空室率が同時に悪化すれば、現在ほぼゼロの貸倒費用は急に増える。貸出の伸びが速いほど、審査の誤りが表面化するまでの時間差にも注意が要る。
預金価格競争と流動性
企業、富裕層、自治体の大口預金が多く、2025年末の無保険かつ無担保預金は総預金の約40%だった。短期金利3.5〜4%の世界ではMMFと国債が競合し、関係性があっても価格差が広がれば流出する。預金コスト上昇は貸出の成長より早く利益を削り、流動性確保のための卸売調達はさらに高くつく。
証券・市場業務と資産価格の振れ
住宅ローン証券、地方債、投資銀行、資産管理は収益源を分散する一方、長期金利と市場量に左右される。2026年7〜9月期は市場・証券手数料が前年同期比42.6%減った。株式・債券市場が弱い年は、手数料、運用残高、顧客の取引意欲が同時に下がり、分散のはずの事業が同じ方向へ振れる。
金利リスクと有価証券の含み損
貸出の77%は変動金利か1年以内に改定されるため、資産側は早く動くが、預金ベータの読み違いでNIMは逆方向へ振れる。高金利が長引けば有価証券の含み損が資本に残り、売却して流動性を作る局面では損失が実現する。金利低下でも資産利回りが先に落ちれば、預金価格の下げ遅れが利益を圧迫する。
支配株主と少数株主の取り分
会長兼支配株主が議決権の62.5%を持ち、会社はNASDAQ上のcontrolled companyに当たる。長期志向と敵対的買収の防止には効くが、取締役選任、報酬、買収、自社株買いを少数株主が実質的に変えられない。利益相反が起きないことを継続して確かめる必要がある。 会社が独立取締役を維持していても、最終的な議決権の非対称は消えない。
規模の不利とM&A
総資産540億ドル規模では、巨大行と同じサイバー防御、規制対応、AI、決済投資を狭い収益基盤で負担する。買収で固定費を薄められる反面、高値で地域銀行を買えばのれんが増え、信用文化の違いが10年のROEを下げる。未合意の買収は価値に入れていない。 買収後に預金が流出すれば、期待した費用相乗効果より資金コストの上昇が大きくなる。
AI・デジタル仲介とサイバー事故
AIエージェントが預貸そのものを代替する事業ではないが、顧客の金利比較と口座移転を容易にし、預金の値決め力を弱める。審査や事務の自動化は費用を下げる一方、誤審査、モデル偏り、データ漏えい、決済停止が起きれば、罰金だけでなく信頼と預金を失う。 銀行の堀はソフトの画面ではなく信頼なので、一度の停止や漏えいの回復には長い時間がかかる。
今後の分かれ目
- 純金利マージンが3.0%を超えても預金コストが2四半期連続で上がらなければ
- 固定金利資産の入れ替えが預金競争を上回っている。やや楽観の確率を上げ、商業部門の価格を2.75%より上で見る。
- 貸倒償却率が0.5%を超え、批判分類資産がTier1資本と引当金の25%を超えたら
- 現在の信用優位が崩れたと判断する。やや悲観と悲観の確率を上げ、累計利益と還元を同時に下げる。
- テキサスとコロラドの預金・貸出が全社より3ポイント以上速く3年続いたら
- 地元外でシェアを取る仮説が確認できる。商業部門の10年数量を610億ドルから650億ドル以上へ引き上げる。
- 資産管理の純流入が年50億ドル前後を保ち、収益率0.45%以上が続いたら
- 信託と富裕層の切り替え費用が機能している。資産管理部門の利益率と上側の確率を引き上げる。
- CET1比率が12%を割る一方で大規模な自社株買いか買収を続けたら
- 資本配分の規律が弱まったと判断する。還元を価値として足さず、悲観確率と資本コストの質の評価を見直す。
- 支配株主に関係する取引、取締役構成、承継方針に少数株主不利の変更が出たら
- 長期志向という利点より統治割引が大きくなる。中立の倍率を引き下げ、holder_shareを1未満にする必要を検討する。
- TransFundの処理件数が年4%以上で伸び、単価も下がらなければ
- 全国に広がる決済基盤の堀が確認できる。商業部門の手数料率と利益率を上げ、普通の堀から強い堀への再評価を検討する。
見ておくもの
- 純金利マージン、預金コスト、無利息預金比率、貸出預金比率
- エネルギー・商業用不動産の批判分類資産、貸倒償却率、引当率
- テキサス・コロラド・アリゾナの貸出と預金の増加率、主要都市の預金シェア
- 資産管理の純流入、運用・管理資産、受託手数料率
- TransFundの処理件数、加盟店取扱高、顧客数、単価
- CET1比率、有形普通株資本比率、配当と自社株買いの正味額
- 支配株主の持株比率、取締役の独立性、関連当事者取引、M&Aの価格
倍率と資本コストの決め方
今の時価総額と市場のPER・PBRを見る前に、2025年の三部門を残高×純収益率で分け、2026年7〜9月期の貸出、預金、NIM、信用指標で出発点を更新した。中立の純利益9.2億ドルと自己資本88億ドルから、有形自己資本利益率11.9%、長期g3.5%、k8.25%、普通の堀を使い、正当化PER上限14.2倍を得た。地域集中、支配株主、規模の不利を反映して12.4倍とし、現在の倍率や同業の過去レンジから逆算していない。5筋書きの割引価値は約78.2億ドルで、台帳時価総額77.3億ドルとの差は約1%。近すぎる結果だが、結論を適正としてそのまま受け入れた。財務の起点は添付のfactsを正とした。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。資本コストは米国株の基本8.0%にquality+0.25%を足した8.25%。支配株主、エネルギー、商業用不動産、M&Aの個別危険は二重にkへ足さず、各筋書きの利益と確率へ入れた。