結論
ザイオンズ・バンコープは、米西部11州で七つの地域銀行ブランドを営む中堅銀行である。筆者の結論は「やや割安」だ。地域の中小企業との長い取引、低い貸倒実績、成長州への集中は価値があるが、全国大手ほどの技術・調達規模はなく、預金と信用の循環を越える強い堀まではない。
2026年7〜9月期は純利益2.62億ドル、有形普通株資本利益率16.2%と健全だった。貸出は前年同期比4%増、顧客預金は5%増え、貸倒償却率は年率0.02%にとどまる。一方、純金利マージンは3.23%へ小幅に下がり、預金コストと技術投資の重さは残った。会社は翌年同期までに貸出2〜4%、純金利収益8〜12%、顧客手数料6〜9%の増加を見込むが、これは10年の恒常成長とは分けて考えた。
中立では、関係残高が年4%強で増え、信用損失を平準化した2035年の純利益を12.81億ドルと見る。五つの筋書きを資本コスト8.5%で割り引いた価値は約110.8億ドルで、台帳の時価総額97.4億ドルを約14%上回る。安全域はあるが厚くない。商業用不動産、含み損、預金流出が重なると価値は現在を下回るため、優良地銀を安値で買うというより、普通より良い地銀を妥当以下で持つ案件である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず預金という原料の質を見る。ザイオンズは成長州の中小企業との関係が厚く、信用損失も長く低かった。銀行が10年後に不要になるとは考えにくく、地元での信頼は一朝一夕に作れない。ここまでは長く持てる条件を満たす。
次に、利益を増やすために必要な自己資本を見る。銀行は貸出を伸ばすたびに規制資本を積む必要があり、会計利益を全て株主へ渡せない。中立では有形普通株資本利益率が12%台で資本コストを上回るが、その差は大きくない。全国大手ほど安い預金、幅広い手数料、巨額の技術投資を持たないため、留保利益1ドルが長く高い超過収益を生むとは見ない。
最後は値段である。確率加重した価値は現在を約14%上回るが、信用循環を読む誤差を考えると安全域は中程度にとどまる。良い融資文化を持つ普通の地銀を、悲観を織り込んだ価格で買える点は魅力だ。ただし、含み損と商業用不動産を軽く見て高い倍率を払う会社ではない。保有するなら、預金の質、貸倒、買い戻しの規律を毎期確かめる必要がある。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は古典的な銀行業である。ザイオンズ銀行、カリフォルニア・バンク・アンド・トラスト、アメジー銀行など七つの地域ブランドが、預金を集め、商工業、商業用不動産、住宅・個人向けに貸し出す。貸出と預金の関係残高が数量で、純金利収益と手数料を残高で割った率が価格に当たる。地域ごとに支店長や融資担当へ判断を残し、全国一律の商品より中小企業の資金繰りと担保を細かく見るのが特徴だ。
2025年末の貸出は約600億ドル、七地域銀行の預金は約711億ドルだった。会社全体の総預金は約756億ドルで、差は主にブローカー預金など中央調達である。七地域銀行の純金利収益と非金利収益を合計した純収益は32.84億ドルで、貸倒引当と費用を引いた税引前利益は12.03億ドルとなった。利益の中心は商工業融資で、2026年9月末の貸出は624.7億ドルまで増えた。商業用不動産は141.6億ドルで貸出の23%を占めるが、オフィスは全貸出の2.5%に抑えられている。
二つ目の成長源は、既存顧客から得る手数料である。外国為替、金利デリバティブ、債券引受、私募、投資銀行を広げ、資本市場手数料は2020年から2026年まで年率約12%で増えた。資産運用残高は約120億ドルにすぎず、銀行顧客への浸透余地が大きい。2026年7月にはBasisの集合住宅向け政府系機関融資事業を買い、ファニーメイとフレディマックの代理融資を既存の不動産融資へ足した。これらは利ざや依存を弱めるが、まだ全社利益を変えるほど大きくはない。
優良さと弱いところ
堀は「普通」である。強みは、州ごとに残したブランドと融資判断、担当者と顧客の長い関係、決済・給与・資金管理を一緒に移す手間にある。ザイオンズ銀行はユタ州で預金順位2位、アメジー銀行はテキサス州で8位、アリゾナとネバダの両ブランドは各州で5位に入る。問題債権が出ても担保と保証からの回収が良く、純貸倒は長期にわたり同業上位の低さだった。これは単なる景気の追い風ではなく、融資の作り方に根がある。
ただし、その堀は全国大手の規模やネットワークとは違う。預金金利は市場に決められ、顧客は国債MMFや大手行のデジタル口座へ移れる。技術、サイバー防御、規制対応の固定費を約890億ドルの資産で負担するため、数兆ドルを持つ大手より費用面で不利だ。2025年末の無保険預金は預金の45%で、利用可能な流動性はそれを上回るものの、2023年型の不安が消えたわけではない。
資本は改善した。2026年9月末のCET1比率は11.8%、有形普通株資本は63.05億ドルで、同四半期の有形資本利益率は16.2%だった。一方、その他包括損失は19.89億ドル残り、低利の証券を売れば資本が減る。利益率は良いが、信用と金利の谷で大きく振れるため、10年先まで高い超過収益が残る強い堀とは判定しない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の銀行は総資産約25兆ドル、貸出約13兆ドルの巨大市場で、ザイオンズの貸出シェアは0.5%弱にすぎない。全国ではJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、シティグループが預金の約4割を持つ。米西部でもウェルズ・ファーゴ、バンク・オブ・アメリカ、USバンコープ、JPモルガンが技術と商品幅で競う。ザイオンズは全国シェアでは小さいが、ユタ、アリゾナ、ネバダなどでは地元ブランドと中小企業融資で一定の地位を持つ。
短期金利3.5〜4%、長期金利5%が続く前提では、低利の証券や固定金利貸出が満期を迎えるほど資産利回りは上がる。一方、預金者も高い利回りを求めるため、預金コストは2010年代のほぼゼロへ戻らない。2026年7〜9月期の米銀全体の純金利マージンは3%台前半で、ザイオンズも3.23%だった。長期の勝負は金利予想ではなく、預金を失わず、信用損失を抑え、同じ顧客へ手数料商品を増やせるかで決まる。同業地銀の成熟後ROEは10〜12%が中心で、ザイオンズの中立12%台は上側だが、全国大手の15%台には届かない。
同社の11州は米国GDPの約35%を生み、人口と雇用の伸びは全米を上回る。これは貸出数量の追い風だが、成長州には大手行も入り、地域銀行の統合も進む。商業用不動産は貸出の23%で、平均担保掛目は60%未満、オフィス残高も縮めてきた。それでも高金利の借換え、建設遅延、集合住宅の供給過多が同時に来れば損失は増える。銀行サービス自体は10年後も必要であり、AIエージェントが預金・融資・決済を直接代替する事業ではない。ただしAIは審査、顧客対応、不正検知を安くし、大手の規模優位を広げるため、技術競争は堀を少し削る方向に働く。
資本政策と M&A
資本配分は、危機前と危機後で姿勢が変わった。2018年、2019年、2021年は自社株買いを厚くして株数を減らしたが、2023年の地銀不安後は買い戻しをほぼ止め、流動性とCET1を優先した。2025年の買い戻しは0.4億ドルにとどまり、2026年は資本回復を受けて年間3億ドルを目標に再開した。株主還元は、配当と買い戻しから株式報酬による希薄化を引いた正味額で見る。
2026年7月に成立したBasisの集合住宅向け代理融資事業は、貸出を自社バランスシートだけに載せず、手数料とサービシング収入を得る点で理にかなう。ただし取得対価は開示されておらず、利益寄与もまだ小さい。大型買収より、資本市場、資産運用、デジタル商品への小さな投資を既存顧客へ重ねる方が株主価値を守りやすい。支配株主はなく、残る優先株は0.66億ドルと小さいため、普通株主の取り分を大きく薄める仕組みは見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
米西部11州は人口と雇用が全米より速く伸び、同社の地元市場は銀行業全体より良い。全国シェアは0.5%弱なので、巨大な市場を奪う必要はない。ユタで2位、アリゾナとネバダで5位という地域の地位を守り、既存顧客の取引を一つ増やすだけでも残高と手数料は伸びる。2026年9月までに顧客預金は前年同期比5%増え、貸出も4%増えた。預金増が高コストの短期借入を減らし、低利資産の入替えと合わせて純金利収益を押し上げる。
信用の質も強い。貸倒償却率は年率0.02%、問題債権の損失率は長期にわたり同業より低い。商業用不動産は担保掛目が低く、オフィスは全貸出の2.5%に限られる。地銀の一括りで過度に割り引かれている可能性がある。CET1は11.8%まで戻り、資本を守りながら買い戻しを再開できた。
さらに、資本市場手数料、資産運用、Basisの代理融資は利ざや以外の収入を増やす。会社の翌年見通しどおり純金利収益と顧客手数料が費用より速く伸びれば、費用率は下がる。10年後に地域ブランドのシェアが少し上がり、関係残高が約1.8倍、純利益が17.52億ドルへ増える道は十分ある。低い貸倒、手数料の浸透、規律ある還元がそろえば、現在の評価は事業の質を十分に映していない。
慎重な見方
銀行の好調は、信用損失が少ない時ほど永続に見える。2026年7〜9月期の貸倒は極端に低く、これを平常と見なすのは危険だ。商業用不動産は貸出の23%を占め、集合住宅、工業施設、オフィスの借換えは高い金利に直面する。2025年のカリフォルニア部門では貸倒率が他地域より高く、数件の大口案件だけでも中堅銀行の利益は大きく動く。2008〜2009年には赤字となり、2022〜2023年の利上げ局面でも株主価値は大きく揺れた。
預金にも構造問題がある。2025年末の無保険預金比率は45%で、流動性は十分でも、顧客が国債MMFへ移れば金利を上げて引き止める必要がある。全国大手は技術投資と商品幅を数兆ドルの資産で薄められるが、ザイオンズは約890億ドルで同じ規制・サイバー費用を負担する。純金利マージンは2026年7〜9月期に3.23%へ下がり、調整後の貸倒前利益も前年同期を4%下回った。翌年の高い純金利収益見通しが外れれば、費用先行が残る。
Basisの買収や資本市場の拡張も、専門人材と規制対応を増やす。シェアを取れなければ固定費だけが残る。含み損は19.89億ドルあり、資金流出時に証券を売れば資本を削る。構造的な悲観では、関係残高は名目でも年1%程度しか増えず、実質では縮む。純利益は4.40億ドルへ落ち、配当と買い戻しは大幅に減る。地元ブランドは残っても、超過収益を失った銀行の価値は現在の半分近くまで下がりうる。
どちらに重みを置いたか
事業の存続と信用文化は強気の見方が勝つが、規模、預金コスト、商業用不動産は慎重な見方が勝つ。そこで楽観側を31%、悲観側を34%、中立を35%とし、わずかに下方へ寄せた。直近の低い貸倒を恒常とせず、2027年までの高い会社見通しも10年へ直線で延ばしていない。
それでも現在の時価総額は中立以下の利益をかなり織り込み、確率加重価値は約14%上回る。結論は「やや割安」だが、これは強い堀への高い確信ではなく、普通より良い信用文化を低めの値段で持てるという判断である。預金流出や貸倒が始まれば安全域はすぐ消える。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 102.02 ドル150 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 45.45 ドル67 億ドル)。 今の値に割り戻すと 75.35 ドル111 億ドル、今との差 +15.3%、 期待の年率 +10.5%(資本コスト 8.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 173.23 ドル255 億ドル | 61.16 ドル90 億ドル | +258.6% | +16.7% | 21.10 ドル31 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 146.54 ドル216 億ドル | 57.08 ドル84 億ドル | +211.5% | +14.8% | 44.80 ドル66 億ドル |
| 中立 | 35% | 111.43 ドル164 億ドル | 47.57 ドル70 億ドル | +143.2% | +11.4% | 55.65 ドル82 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 52.03 ドル77 億ドル | 33.98 ドル50 億ドル | +31.6% | +3.5% | 18.92 ドル28 億ドル |
| 悲観 | 12% | 31.25 ドル46 億ドル | 27.18 ドル40 億ドル | −10.6% | −1.4% | 7.01 ドル10 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 102.02 ドル150 億ドル | 45.45 ドル67 億ドル | +125.6% | +10.5% | 147.47 ドル217 億ドル |
今の株価時価総額 65.37 ドル96 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 楽観:成長州でシェアを取り、手数料事業が利益率を押し上げる 利益 18 億ドル · PER 14.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 173.23 ドル255 億ドル
2035年まで、西部州の人口・企業数が全米を上回って伸び、地域ブランドが大手行から中小企業預金を少しずつ奪う。関係残高は全社で2025年の約1.8倍になる。アメジー、アリゾナ、ネバダが数量をけん引し、カリフォルニアの取得支店も定着する。Basisの代理融資、資本市場、資産運用が既存顧客へ広がり、純収益率も改善する。
信用損失は循環の谷でも担保回収で抑えられ、費用率は技術の共通化で下がる。10年のGAAP純利益累計は138億ドル、株式報酬と増資を差し引いた正味還元は90億ドルとなり、有形普通株資本は111.05億ドルへ増える。2035年の純利益は17.52億ドルで、ROEは15%台を保つ。無保険預金の比率も下がり、流動性の余裕が還元を支える。大型買収には頼らず、地域シェアと手数料浸透で堀が少し広がる筋書きである。
- ザイオンズ銀行:数量 640(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 17 億ドル・営業利益 7 億ドル。ユタの預金順位を守り、関係残高が年5%台で増える
- カリフォルニア・バンク・アンド・トラスト:数量 530(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 14 億ドル・営業利益 5 億ドル。取得支店と企業取引が定着し、州内シェアが上がる
- アメジー銀行:数量 560(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 15 億ドル・営業利益 6 億ドル。テキサスの人口・企業増加を取り込む
- ナショナル・バンク・オブ・アリゾナ:数量 245(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 6 億ドル・営業利益 2 億ドル。アリゾナで預金と住宅関連取引が伸びる
- ネバダ・ステート・バンク:数量 205(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。ラスベガス以外の企業取引も広がる
- ベクトラ・バンク・コロラド:数量 130(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。規模の不利を共通システムで縮める
- コマース・バンク・オブ・ワシントン/オレゴン:数量 58.0(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 2 億ドル・営業利益 1 億ドル。富裕層・企業関係を維持し、預金を増やす
倍率:正当化PERで測る。式のROEは17.52÷111.05=15.8%。k8.5%、g4.0%、堀は普通で残る割合1/2とするとRONIC12.1%、(1−g÷RONIC)÷(k−g)×(1+g)=15.50倍が上限。全国大手ほどの規模はないため上限の94%で14.55倍。gは物価3.5%に西部州の実質成長0.5%を足し、シェアは横ばいとした。
確率:七地域すべてでシェア上昇、低い貸倒、手数料拡大が同時に10年続く必要があるため、1割弱とした。
やや楽観 22% やや楽観:地域の地位を守り、手数料の浸透が進む 利益 15 億ドル · PER 13.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 146.54 ドル216 億ドル
地域ブランドの順位はおおむね維持され、貸出と預金は名目で年5%前後増える。大手行との競争で預金価格は上がるが、低利証券の入替えと高コスト借入の削減が相殺する。資本市場と資産運用は伸びるものの、利ざや収益を置き換えるほどには大きくならない。Basisは既存の集合住宅顧客から代理融資とサービシング収入を得る。
信用損失は10年に一度の不況で増えるが、平時の低い損失が効く。10年の純利益累計は126億ドル、正味還元は84億ドルで、有形普通株資本は105.05億ドルとなる。2035年の純利益は15.47億ドル、ROEは14%台である。無保険預金は徐々に減り、証券含み損は満期とともにほどける。堀は広がらないが削られず、手数料の厚みで利益の振れが少し小さくなる。
- ザイオンズ銀行:数量 600(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 16 億ドル・営業利益 6 億ドル。地元順位を維持し、残高が年5%強で伸びる
- カリフォルニア・バンク・アンド・トラスト:数量 495(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 13 億ドル・営業利益 5 億ドル。カリフォルニアで取得支店を活用する
- アメジー銀行:数量 520(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 14 億ドル・営業利益 5 億ドル。テキサスの成長を取り込み、手数料も増える
- ナショナル・バンク・オブ・アリゾナ:数量 225(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 6 億ドル・営業利益 2 億ドル。州内5位の地位を守る
- ネバダ・ステート・バンク:数量 188(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。預金超過を維持し、余資利回りを確保する
- ベクトラ・バンク・コロラド:数量 120(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。費用効率は改善するが同業平均には届かない
- コマース・バンク・オブ・ワシントン/オレゴン:数量 53.0(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 1 億ドル・営業利益 1 億ドル。企業関係を維持して残高を増やす
倍率:正当化PERで測る。ROEは15.47÷105.05=14.7%。k8.5%、g4.0%、堀は普通でRONIC11.6%、10年目利益に対する上限は15.15倍。信用循環と地銀の規模不利を残し、上限の92%で13.94倍。gは物価3.5%と西部州の実質成長0.5%から出し、シェアの上昇は10年目までの利益へ入れて以後は横ばいとした。
確率:成長州の追い風と信用の良さは続くが、全地域でのシェア上昇までは要らないため2割強とした。
中立 35% 中立:成長州の平均並みに残高が増え、信用コストは平準化する 利益 13 億ドル · PER 12.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 111.43 ドル164 億ドル
貸出と預金は全社で年4.3%ほど増え、2035年の関係残高は2025年の1.53倍となる。テキサスとアリゾナは全社平均を上回り、カリフォルニアとコロラドは大手行との競争で伸びが鈍る。純金利マージンは3%台前半で落ち着き、資本市場、資産運用、代理融資の手数料が費用増をわずかに上回る。大規模買収は行わない。
10年に二度の信用悪化を含め、貸倒と引当は2026年の極端な低さから平常へ戻る。10年の純利益累計は111億ドル、正味還元は70億ドルで、有形普通株資本は104.05億ドルとなる。2035年の純利益は12.81億ドル、ROEは12%台で、過去10年中央値から大きく上振れしない。無保険預金比率は40%前後に残り、流動性を厚めに持つ。地域関係の堀は残るが、大手との費用差も残る筋書きである。
- ザイオンズ銀行:数量 550(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 14 億ドル・営業利益 5 億ドル。名目残高は年4%強、州内順位は維持
- カリフォルニア・バンク・アンド・トラスト:数量 455(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。取得支店は定着するが州内シェアは横ばい
- アメジー銀行:数量 480(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 12 億ドル・営業利益 4 億ドル。テキサスの実質成長が全社を支える
- ナショナル・バンク・オブ・アリゾナ:数量 200(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 5 億ドル・営業利益 2 億ドル。人口増を取り込むが貸倒は平準化
- ネバダ・ステート・バンク:数量 165(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。預金基盤は残り、観光循環で利益が振れる
- ベクトラ・バンク・コロラド:数量 108(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。残高は増えるが費用率の高さが残る
- コマース・バンク・オブ・ワシントン/オレゴン:数量 46.0(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.03(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。小規模な企業銀行として地位を保つ
倍率:正当化PERで測る。ROEは12.81÷104.05=12.3%。k8.5%、g4.0%、堀は普通で残る割合1/2とするとRONIC10.4%、10年目利益に対する上限は14.23倍。利益の約7割が利ざやに依存し信用循環もあるため上限の90%で12.80倍。gは物価3.5%+実質0.5%、シェア横ばいから出した。
確率:会社の直近見通しを10年へ延ばさず、業界中立の貸出成長と同社の地域構成を合わせた最も起こりやすい道。
やや悲観 22% やや悲観:預金価格と信用費用が上がり、超過収益がほぼ消える 利益 7 億ドル · PER 11.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 52.03 ドル77 億ドル
国債MMFと大手行へ預金が流れ、預金コストが高止まりする。関係残高は名目で年3%強増えるが、物価を差し引けば縮小する。カリフォルニアとコロラドでシェアを失い、テキサスとアリゾナの成長だけでは補えない。商業用不動産の借換えで引当が増え、Basisと資本市場の先行費用も重なる。
前半に一度深い信用悪化を挟み、10年の純利益累計は70億ドルにとどまる。無保険預金が高止まりし、流動性を優先するため成長投資も抑える。配当は減額せず維持するが買い戻しを長く止め、正味還元は50億ドル、有形普通株資本は83.05億ドルとなる。2035年の純利益は6.60億ドル、ROEは資本コストをわずかに下回る。地域ブランドは残るものの、留保利益が大きな価値を生まない普通の地銀へ近づく。
- ザイオンズ銀行:数量 490(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 11 億ドル・営業利益 3 億ドル。預金競争で純収益率が低下
- カリフォルニア・バンク・アンド・トラスト:数量 410(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 9 億ドル・営業利益 2 億ドル。CRE損失と大手競争が重なる
- アメジー銀行:数量 430(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 10 億ドル・営業利益 3 億ドル。州の成長は続くが預金価格が上がる
- ナショナル・バンク・オブ・アリゾナ:数量 175(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。人口増より信用費用の上昇が勝る
- ネバダ・ステート・バンク:数量 145(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。景気循環と預金競争で利益率低下
- ベクトラ・バンク・コロラド:数量 95.0(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。規模の不利が表面化する
- コマース・バンク・オブ・ワシントン/オレゴン:数量 40.0(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。高い外部調達コストが収益を削る
倍率:ROEは6.60÷83.05=7.95%でk8.5%を下回るため、正当化PERの上限は1÷k=11.76倍。地域関係は残り、利益も黒字で資本を保つため11.60倍とした。gは物価を下回る名目2.5%だが、ROEがk以下なので成長のための留保は価値を増やさず、上限を引き上げない。
確率:高金利下の預金競争とCREの平常以上の損失は十分ありうるが、全地域で構造的に負けるまでは見ないため2割強。
悲観 12% 悲観:預金と企業取引で構造的に負け、資本を守る銀行へ縮む 利益 4 億ドル · PER 10.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 31.25 ドル46 億ドル
大手行とデジタル銀行へ預金が流れ、顧客を残すための金利とサービス費用が上がる。関係残高は10年で1.13倍にしかならず、実質では大きく縮む。商業用不動産の損失、証券含み損の一部実現、規制・サイバー費用が重なり、カリフォルニアとコロラドで支店・人員を縮小する。Basisの拡張も止まり、のれんの一部を減損する。
10年累計のGAAP純利益は60億ドルで、前半の信用・評価損を含む。規制当局の監視が強まり、成長より資本保全が最優先になる。配当を減らし買い戻しを止めるため、正味還元は40億ドルにとどまり、有形普通株資本は83.05億ドルへ積み上がる。それでも2035年の純利益は4.40億ドル、ROEは5%台に落ちる。存続はするが、資本を低い利回りで抱える銀行となり、現在の株主価値の半分弱まで縮む。
- ザイオンズ銀行:数量 400(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 8 億ドル・営業利益 2 億ドル。ユタでも大手へ預金を失う
- カリフォルニア・バンク・アンド・トラスト:数量 340(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 7 億ドル・営業利益 1 億ドル。CRE損失と支店縮小で収益力低下
- アメジー銀行:数量 360(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 7 億ドル・営業利益 2 億ドル。成長州でもシェアを失う
- ナショナル・バンク・オブ・アリゾナ:数量 145(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。預金価格上昇と貸倒で超過収益消失
- ネバダ・ステート・バンク:数量 120(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。観光不況と不動産損失が重なる
- ベクトラ・バンク・コロラド:数量 78.0(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。規模不足で再編・縮小対象になる
- コマース・バンク・オブ・ワシントン/オレゴン:数量 32.0(貸出残高+預金残高(億ドル))× 価格 0.02(関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。小規模ながら企業関係で黒字を保つ
倍率:ROEは4.40÷83.05=5.3%でk8.5%を大きく下回り、上限は1÷k=11.76倍。利益の持続性が落ち、資本を低利回りで抱えるため上限の89%に当たる10.45倍とした。gは名目1.0%で、物価3.5%に対し実質縮小が続く。時価総額45.98億ドルは稼ぐ力4.40÷8.5%=51.76億ドルを超えず、売れる資産の税後45億ドルも下回らない。
確率:2008年型の信用損失、2023年型の預金不安、技術の規模差が重なる構造変化は低頻度だが無視できず、1割強とした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
ザイオンズ銀行
ユタ、アイダホ、ワイオミングの地域銀行。中小企業・商工業融資と預金が中心で、ユタ州の預金順位は2位。
| 数量貸出残高+預金残高(億ドル) | 価格関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 362 | 0.03 | 9 | 3 |
| 10 年後 中立 | 550 | 0.03 | 14 | 5 |
取り方:2025年末の貸出150.44億ドルと預金211.55億ドルを合計した。純収益は純金利収益7.38億ドル+非金利収益1.90億ドル。価格は9.28÷361.99。銀行では残高が数量、利ざやと手数料率が価格であり、物価は名目残高の伸びに入る。
カリフォルニア・バンク・アンド・トラスト
カリフォルニア全域の商業銀行。州内預金順位は13位で、2025年にコーチェラ・バレーの4支店を取得した。
| 数量貸出残高+預金残高(億ドル) | 価格関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 313 | 0.02 | 8 | 3 |
| 10 年後 中立 | 455 | 0.03 | 12 | 4 |
取り方:貸出154.41億ドルと預金158.68億ドルの合計。純収益は純金利6.47億ドル+非金利1.26億ドルで、価格は7.73÷313.09。取得した4支店には約6.3億ドルの預金と4.2億ドルの貸出が含まれ、数量へ反映済み。
アメジー銀行
テキサスの企業・個人向け銀行。州内預金順位は8位で、ヒューストンを中心に商工業融資が厚い。
| 数量貸出残高+預金残高(億ドル) | 価格関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 298 | 0.03 | 8 | 3 |
| 10 年後 中立 | 480 | 0.03 | 12 | 4 |
取り方:貸出144.65億ドルと預金153.19億ドルの合計。純収益は純金利5.65億ドル+非金利1.89億ドルで、価格は7.54÷297.84。テキサスの人口・企業増加を数量の根拠にするが、州内では大手行とカレン・フロストが強い。
ナショナル・バンク・オブ・アリゾナ
アリゾナの地域銀行。州内預金順位は5位で、中小企業、住宅、商業用不動産を扱う。
| 数量貸出残高+預金残高(億ドル) | 価格関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 126 | 0.02 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 200 | 0.03 | 5 | 2 |
取り方:貸出55.91億ドルと預金69.68億ドルの合計。純収益は純金利2.62億ドル+非金利0.44億ドルで、価格は3.06÷125.59。2025年の税引前利益には貸倒引当の戻入れが含まれるため、将来の利益率では平準化する。
ネバダ・ステート・バンク
ネバダの地域銀行。州内預金順位は5位で、ラスベガスを含む企業・個人顧客を持つ。
| 数量貸出残高+預金残高(億ドル) | 価格関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 110 | 0.02 | 3 | 1 |
| 10 年後 中立 | 165 | 0.02 | 4 | 1 |
取り方:貸出37.30億ドルと預金72.36億ドルの合計。純収益は純金利2.13億ドル+非金利0.52億ドルで、価格は2.65÷109.66。預金超過のため、融資だけでなく余資運用の利回りも純収益率に入る。
ベクトラ・バンク・コロラド
コロラドとニューメキシコの地域銀行。コロラド州内預金順位は15位で、規模と費用効率が課題。
| 数量貸出残高+預金残高(億ドル) | 価格関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 71.4 | 0.03 | 2 | 0 |
| 10 年後 中立 | 108 | 0.03 | 3 | 1 |
取り方:貸出36.52億ドルと預金34.90億ドルの合計。純収益は純金利1.43億ドル+非金利0.36億ドルで、価格は1.79÷71.42。2025年の税引前利益率は他地域より低く、将来も規模の不利を残す。
コマース・バンク・オブ・ワシントン/オレゴン
太平洋岸北西部の富裕層・企業向け銀行。支店は少なく、州全体の預金シェアは小さい。
| 数量貸出残高+預金残高(億ドル) | 価格関係残高あたりの純収益率(純金利収益+非金利収益) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 31.4 | 0.03 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 46.0 | 0.03 | 1 | 0 |
取り方:貸出20.98億ドルと預金10.42億ドルの合計。純収益は純金利0.71億ドル+非金利0.08億ドルで、価格は0.79÷31.40。貸出が預金を上回るため、企業関係の深さと全社調達への依存を同時に見る。
リスクと懸念
預金流出と調達コスト
2025年末の無保険預金は預金の45%だった。利用可能な流動性は無保険預金を上回るが、国債MMFや大手行へ資金が移れば、金利を上げるか借入で埋める必要がある。預金コストが1ポイント上がるだけでも純金利収益を大きく削る。2023年の地銀危機では、健全性より先に資金移動が起きたため、日次の流動性と大口顧客の集中も重要である。
商業用不動産と信用循環
商業用不動産は貸出の23%を占める。担保掛目は低く、オフィスは全貸出の2.5%に限られるが、高金利の借換え、建設遅延、賃料低下が重なると引当と貸倒が増える。中堅銀行では数件の大口案件でも年間利益が動く。特に建設・集合住宅は完成時期と賃料の前提が崩れると、担保余力があっても返済期間の延長が必要になる。
有価証券の含み損
2026年9月末のその他包括損失は19.89億ドルで、低利の固定金利証券に由来する。満期まで保有すれば時間とともに戻るが、預金流出で売却を迫られると損失が実現し、有形資本と買い戻し余力を同時に減らす。金利が高止まりするほど解消には時間がかかり、資本を還元より流動性へ縛りつける。
大手行との技術・規模競争
サイバー防御、即時決済、規制報告、データ分析には大きな固定費が要る。全国大手は数兆ドルの資産で費用を薄められるが、ザイオンズは約890億ドルで負担する。顧客体験で遅れれば、若い企業と個人の預金が流出する。共同化や外部委託で補えても、障害や情報漏えいが起きれば地域ブランドの信頼を一度に損なう。
Basis買収と手数料拡張
代理融資、資本市場、資産運用は利ざや依存を減らす一方、専門人材、システム、規制対応の先行費用を伴う。既存顧客への浸透が進まなければ費用だけが残り、買収で増えたのれんと無形資産が減損対象になる。代理融資は信用リスクを抑えられる反面、取扱高が落ちると手数料が急に細るため、固定費管理が要る。
規制と国法銀行の制約
資本・流動性規制、消費者保護、マネーロンダリング、サイバー報告の強化は費用と必要資本を増やす。国法銀行として合併手続に株主承認が必要となる場面も多く、再編の機動性が持株会社型の競合より劣る可能性がある。規制変更は収益だけでなく、還元可能な資本と買収の選択肢を同時に狭める。
AIとデジタル競争
この事業は人月、席課金、操作画面を売る型ではなく、AIエージェント代替の直接対象ではない。ただしAIは審査、営業、不正検知、顧客対応の費用を下げる。投資余力の大きい大手が先行すると、地銀の費用差と商品差は広がる。逆に活用が進めば費用率は下がるため、技術投資の成果を顧客増と経費の両方で測る必要がある。
今後の分かれ目
- 顧客預金が前年同期比で減り、預金コストが2四半期続けて上昇したら
- 地域関係の堀が弱まっている。やや悲観の確率を上げ、各地域の純収益率と買い戻し余力を下げる。
- 純貸倒償却率が年率0.5%を超え、分類債権比率も上がったら
- 信用の平常化を超えた悪化と見る。商業用不動産の利益率を下げ、悲観の累計損失を厚くする。
- 純金利マージンが3.3%前後へ戻り、預金増が貸出増を上回ったら
- 高コスト借入の削減が進む。中立とやや楽観の純収益率を上げ、還元の再開を確かめる。
- 資本市場手数料と資産運用手数料が費用より速く3年続けて伸びたら
- 利ざや依存の低下が本物になる。手数料の浸透を各地域の価格へ反映し、楽観側の確率を上げる。
- 有形普通株比率が7%を割るか、証券売却でAOCI損が実現したら
- 配当と買い戻しを抑え、床の資産価値を引き下げる。預金の流動性も同時に点検する。
- Basisの代理融資残高、サービシング収入、顧客獲得が具体的に開示され始めたら
- 買収の成否を数字で判断する。収益が先行費用を上回ればやや楽観へ、赤字が続けばやや悲観へ寄せる。
見ておくもの
- 顧客預金の増減、無利息預金比率、預金コスト
- 純金利マージンと高コスト借入の残高
- 純貸倒償却率、分類債権、商業用不動産の延滞
- CET1比率、有形普通株比率、AOCIの改善額
- 資本市場・資産運用・代理融資の手数料成長
- 配当、自社株買い、株式報酬を差し引いた正味還元
倍率と資本コストの決め方
現在や過去のPER・PBRを先に見ず、七地域銀行の貸出+預金残高と純収益率から2035年の利益を作った。倍率はk8.5%、各筋書きの有形普通株ROE、数量と価格からのg、普通の堀によるRONICだけで決めた。中立の上限14.23倍に対し利益の循環性を見て12.80倍とした。現在の時価総額との比較は最後に行い、結果はやや割安となった。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k=基本8.0%+quality0.5%=8.5%。存続危機ではないためextraは0。個別のCRE、含み損、買収の実行リスクはkへ重ねず、各筋書きの利益と確率へ反映した。