結論
サンタンデール・ブラジルは、預金、個人向け融資、企業金融、決済を一体で営むブラジルの大手銀行である。独立した銀行としての10年価値は割安と見るが、親会社による株式交換の提案が先に決着する可能性が高く、今のADRを10年保有できるとは限らない。
強みは顧客接点と資金調達力だ。2025年末の稼働顧客は約3400万人、車の個人ローンでは約20%のシェアがある。ただしカード、給与天引きローン、車ローンの占有率はすでに低下している。ブラジルの銀行免許やブランドは堀、つまり競争を防ぐ壁だが、イタウとブラデスコに対して圧倒的ではない。
2026年7〜9月期は、通常の利益が前年同期比28%減った。家計の延滞が増え、貸倒引当が膨らむ一方、貸出を安全な客に寄せたため利ざやも薄くなった。中立では、顧客の数と融資の実質残高が緩やかに増え、費用抑制で収益性が回復する。10年後の純利益は45億ドル前後とみる。悲観では信用損失とデジタル競争により利益の大半が失われる。
独立企業としての確率加重価値は約295億ドルで、2026年10月23日の実際の持ち分時価総額約207〜209億ドルに対して4割ほど上だ。ただし添付の株数は普通株と優先株の合算であり、二株を束ねたADRの値段をそのまま掛けると時価総額を約二重に数える。親会社は残る約10%の持ち分を取得する任意の株式交換を準備中だ。提示条件と上場維持の成否は、独立価値以上に現在の株主の実際の受取額を左右する。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、銀行を単なる現金残高の塊として買わない。預金は返さなければならない資金であり、国債や貸出も流動性規制と信用損失の裏側にある。手元の現金を事業から切り離して株主に足すことはできない。問うべきなのは、貸出が増えるたびに積み増す自己資本に対し、10年を超えてどれほどの利益が残るかだ。
同行は社会に必要な銀行であり続ける。企業は運転資金を借り、家計は住宅を買い、決済と預金は毎日動く。しかし必要な事業であることと、特定銀行が高収益を得ることは違う。車ローンで高い占有率があっても、2025年にはシェアを落とした。利益率を引き上げるには、貸倒を減らすだけでなく預金と手数料の関係を深くする必要がある。
2025年のROEは10%であり、米国株共通前提から導く資本コストとの差はまだ小さい。中立では2026年の信用悪化を経て、融資を厳選し、決済や保険を組み合わせることで12%台まで回復すると考える。その場合も成長に必要な自己資本を差し引いてから株主に戻す。一時的な高金利収入を永遠の利益として買わない。
安全域については、独立価値と売買可能な証券の権利を区別する必要がある。現在提示されている交換比率を受け入れれば、その後の損益はスペイン親会社の株価に移る。応募せず残れば流動性を失う恐れがある。10年の事業価値には余裕があっても、少数株主がそのすべてを受け取れるとは断定できない。
何で稼ぐ会社か
銀行の稼ぎは、集めた資金を貸し付けたときの利ざやと、顧客の取引に付随する手数料である。サンタンデール・ブラジルは個人・中小企業向けの商業銀行と、大企業向けのグローバル・ホールセール銀行を公式な二本柱とする。2025年の税引前利益は前者が約89億レアル、後者が約78億レアルだった。この二つを同じ性質の売上として扱わず、融資、金融資産運用、手数料に分けて経済性を確かめる。
個人向けでは住宅ローン、カード、給与天引きローン、自動車金融の残高が元手になる。2025年末には個人向け約2740億レアル、消費者金融約838億レアルを抱え、車ローンでは銀行の中で大きな存在感を持つ。無担保で高利の貸出は利息が厚いが、延滞が少し上がるだけで利益が崩れる。担保付き住宅ローンや富裕層への融資に比重を移せば利息収入は伸びにくくなるが、貸倒を減らせる。
法人金融では中小企業の運転資金と貿易金融、国内大企業への融資・保証が中心だ。2025年の中小企業貸出は増えたが、大企業向けの残高は小幅に減った。国際取引ではスペイン親会社のネットワークを生かせる一方、イタウ、ブラデスコ、ブラジル銀行との価格競争が激しい。ブラジル国債や銀行間市場からの利息も大きいが、預金などの調達費とヘッジ費用を差し引いた残りが本当の収益となる。
手数料はカード決済、保険代理、資産運用、口座、証券引受などから得る。2025年のカードと加盟店関連の総手数料は約74億レアル、保険などの金融商品は約62億レアルだった。即時送金のPIXは取引回数を増やす一方、決済手数料を押し下げる。AIによる融資審査や窓口業務の自動化は費用面では追い風だが、銀行そのものは人月販売や席課金ソフトではないため、AIエージェント代替の定型的な縮小業種には該当しない。
優良さと弱いところ
最大の堀は、銀行免許と毎日使われる口座を組み合わせた顧客接点である。2025年末に稼働顧客が約3400万人おり、給与、カード、住宅ローン、保険を同じ銀行へまとめれば乗り換えの手間が生まれる。親会社の世界的な取引網は多国籍企業に役立ち、車ローンで約20%という地位も自動車販売店との関係を守る。これらは資本コストを上回る利益を生みうるが、同行を強い独占企業にするほどではない。
堀が広がっているとはまだ言えない。2025年の車ローンの占有率は前年から1.6ポイント下がり、カード融資も小幅に低下した。給与天引きローンは10.5%から8.5%に落ちている。ヌーバンクなどのアプリ銀行は預金とカードを奪い、PIXは日々の送金手数料を薄める。低利の預金を集められなければ、規模があっても利ざやを維持できない。
2025年のROEは添付資料で10%、過去10年の中央値は12.8%だ。2026年7〜9月期の経常的なROAEも11.9%にとどまり、信用の質がまだ戻っていない。利益を成長へ再投資する増分のROEは、上位行のように高くなる保証がない。選別融資で貸倒を減らし、預金と保険を一緒に増やせて初めて資本コストを上回る。
もう一つの弱さは支配株主だ。スペインのサンタンデールはすでに株式の約9割を持ち、少数株主が資本政策を変える力は乏しい。残存株を親会社株と交換する提案は、経営の一体化には合理性があっても、独立企業の長期的な上昇を少数株主が享受できなくなる恐れを伴う。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
ブラジルの金融市場は、米国の成熟した銀行市場をそのまま当てはめてはいけない。イタウの2025年の年次開示によれば、銀行資産の占有率はイタウ15.0%、ブラジル銀行13.4%、カイシャ12.0%、ブラデスコ10.6%、サンタンデール7.0%である。民間の大手三行だけでも銀行資産の約3分の1を持つが、国有銀行と新興デジタル銀行が両側から競争する。同行は国内で規模を持つ国際銀行という立場を得ている。
貸出市場は人口よりも家計の金融利用や企業の資金需要で広がる。その一方、ブラジルでは金利と税制の変化が激しく、名目残高が膨らんでも信用コストを引けば利益は伸びない。将来の実質市場残高は中立で10年約15%増とみるが、同行は一部でシェアを落とし、個人金融の実質残高は約6%増にとどまると考える。値段の側には共通前提の物価上昇3.5%を入れるが、貸出金利そのものが10年で一律に上がるという意味ではない。
イタウは富裕層や企業取引の深さ、ブラデスコは保険と支店網、ブラジル銀行は国有の資金調達網を持つ。ヌーバンクは使いやすさと低コストで新規口座を奪う。カード残高の同行シェアは9.3%、自動車融資は20.3%で、両者の競争条件は異なる。決済ではPIXの普及により一件あたりの手数料が実質で下がるため、件数だけを成長と見なせない。
2026年7〜9月期は拡大貸出残高が前年より4.7%増えたのに、通常利益は28%減った。貸倒引当が14%増え、90日超の延滞率は3.4%へ上昇した。これは数量の成長だけでは株主価値が決まらない実例だ。10年の差を生むのは貸出シェアより、リスクに見合う価格、預金コスト、信用損失を同時に管理できるかである。
資本政策と M&A
還元の基本は配当とブラジル独特の自己資本利息で、2025年の実績配当は添付資料で約12億ドルである。2025年の20-Fでは法定最低配当は調整後利益の25%、経営陣の推奨方針は50%としている。確定した10年間の買戻し枠や株数削減目標はない。ここ数年の還元は利益の半分程度で、自社株買いの寄与は小さい。
資本配分は大型の買収よりも、融資先の入れ替えと技術投資、保険や運用周辺の小規模な事業拡張が中心である。2024年には保険販売やエネルギー関連の持ち分を取得して商品を増やした。ただし2026年には信用損失が膨らみ、銀行の真の再投資余力は規制資本を維持した後にしか測れない。中立の累積還元は利益の約6割で、貸出成長に必要な資本を残す。
最大の資本政策は親会社による残存株の株式交換だ。サンタンデール本体は2026年7月30日、保有していない約10%を取得する意向を公表した。BSBRのADR一口に対して本体のADSを0.4056口交付する案で、2027年前半の完了を目指す。任意の交換で最低応募条件はなく、現時点でブラジル市場からの上場廃止は企図しないと明示しているが、米国ADRは応募が多ければ上場基準を失いうる。このため株主が10年後までBSBRそのものを保有する前提は条件付きである。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
サンタンデール・ブラジルは新興のアプリ銀行にない融資審査データ、預金、国際企業ネットワークを持つ。家計の多くが既に口座を持つため、稼働顧客への保険、運用、住宅融資の販売を増やせる。2025年末には車ローンで20%を超える占有率があり、企業金融はスペイン本体の顧客と国際取引を通じて収益を得られる。単純な利用者獲得競争に加わらず、既存顧客からの安定した収益を厚くできる。
2026年の利益低下は事業の終わりではなく、信用の厳選に伴う移行期とも考えられる。実際、大企業向けと中小企業向けの融資は増え、稼働顧客も増えている。リスクの高い無担保個人ローンを減らし、担保融資や富裕層へ向かえば、当面の利ざやは低下しても貸倒が正常化する。延滞率が再び下がり、預金の一人当たり残高が伸びれば、同じ資産額から残る利益は大きくなる。
技術投資の効果もある。支店を縮小しながら顧客を増やし、事務を自動化できれば、人件費と店舗費用が収益に占める割合は下がる。イタウに近い資本効率へ改善できれば、2025年の稼ぐ力だけで将来を判断するのは厳しすぎる。物価分を含めて収益が増える間、配当も積み上がる。親会社による残余持分の取得意向も、長期の事業価値に対する本体の期待を示している。ただし提示された交換比率そのものが十分高いかは別に検証する必要がある。
慎重な見方
銀行がなくならないことは、同行の株主が豊かになる保証ではない。2025年の時点で車ローン、カード、給与天引きローンのシェアが落ち、2026年には家計の延滞が悪化した。残高を伸ばしても貸倒と調達費がそれ以上に増えれば、株主の取り分は細る。2026年7〜9月期は融資が増えながら通常利益が28%減った。この逆風を単なる四半期のぶれとして片付けるべきではない。
イタウにはより深い富裕層・企業基盤があり、ブラデスコには保険、国有銀行には独特の調達源がある。ヌーバンクは支店を持たず、個人顧客の争奪戦で低コストを武器にできる。PIXは決済網を広げるが、従来の手数料を取り戻す仕組みではない。どの競合も顧客に便利な金融を提供できるため、同行が一方的に値上げを通せる場面は限られる。
2026年の経営方針は高リスク客を減らすことだ。それ自体は合理的だが、顧客単価が下がるため、損失減少の効果が出るまで利益は低迷する。中小企業や農業の信用問題が長引けば、不良債権を売却して資本を守ることが優先され、成長投資や還元に回す金が減る。信用を失う大きな事故が重なれば、帳簿の自己資本を額面通り受け取ることはできない。
さらに現時点の株式には事業分析だけでは解決できない問題がある。親会社が約9割を支配し、残る持ち分を自社株に交換しようとしている。条件が決まれば10年後の独立価値より交換比率と親会社株の値段が現在の受取額を決める。上場維持の意思があっても米国ADRの流動性が損なわれる可能性があり、これは永久保有の前提を弱める。
どちらに重みを置いたか
商業銀行としての存続には強い確信を持てるが、競争力と資本効率の改善には条件が多い。利益の落ち込みを示す最新四半期と、実際のシェア低下を重く見て、やや悲観と悲観の合計を47%とした。同領域のブラデスコ銀行より悲観を厚くしたのは、親会社の株式交換と少数株主の選択肢が価値の受取りを左右するためでもある。一方、事業を単独で測る確率加重価値は約295億ドルとなり、正しいADR換算の時価総額を上回る。したがって独立企業の価値判定は割安だが、交換条件に従う証券としての最終判断は別だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 12.23 ドル457 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 3.98 ドル149 億ドル)。 今の値に割り戻すと 7.90 ドル295 億ドル、今との差 +79.2%、 期待の年率 +16.8%(資本コスト 8.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 29.30 ドル1,094 億ドル | 7.36 ドル275 億ドル | +731.5% | +28.8% | 2.57 ドル96 億ドル |
| やや楽観 | 16% | 22.30 ドル833 億ドル | 6.43 ドル240 億ドル | +551.5% | +25.3% | 4.60 ドル172 億ドル |
| 中立 | 30% | 14.85 ドル555 億ドル | 5.09 ドル190 億ドル | +352.2% | +20.1% | 5.98 ドル223 億ドル |
| やや悲観 | 28% | 6.08 ドル227 億ドル | 3.08 ドル115 億ドル | +107.7% | +9.5% | 2.56 ドル96 億ドル |
| 悲観 | 19% | 2.36 ドル88 億ドル | 0.27 ドル10 億ドル | −40.5% | −5.3% | 0.50 ドル19 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 12.23 ドル457 億ドル | 3.98 ドル149 億ドル | +267.6% | +16.8% | 16.21 ドル605 億ドル |
今の株価時価総額 4.41 ドル165 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 楽観:優良顧客が増え、費用と貸倒が正常化 利益 76 億ドル · PER 14.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 29.30 ドル1,094 億ドル
低所得者向けの無担保融資を減らしながら、住宅・車・富裕層向けの融資に付随する預金と保険を増やす。車ローンのシェア低下が止まり、実質の個人貸出残高は2025年より20%増える。企業金融もスペイン親会社の国際取引網を使い、実質残高が約42%伸びる。イタウが先行していた富裕層市場で関係を深め、稼働顧客は約5000万人に増える。
信用コストは2026年の山を越えて正常化し、決済と保険を合わせた顧客単価も上がる。融資審査と支店事務の自動化が固定費を軽くし、手数料事業の収益性が上がる。2025年から10年で税引前の稼ぐ力が大きく回復し、純利益は76億ドル、自己資本に対する利益率は約18%になる。2026〜28年の低収益期を含む純利益累計は468億ドルで、規制資本を積みながら正味275億ドルを配当などで戻す。
この姿はブラジル銀行市場で同行のシェアが再び安定する強気の条件に依存する。親会社が交換案を完成させれば、残余株主がこの10年の改善をBSBRとして直接受け取るとは限らない。
- 個人・自動車・カードの貸出:数量 780(2025年購買力の貸出元本(億ドル相当))× 価格 0.30(実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル、物価調整を価格に入れる))→ 売上 236 億ドル・営業利益 26 億ドル。車・住宅のシェアを回復、実質残高1.20倍
- 中小企業・大企業の融資:数量 630(2025年購買力の法人貸出元本(億ドル相当))× 価格 0.15(実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル))→ 売上 95 億ドル・営業利益 19 億ドル。国際企業案件を獲得、実質残高1.42倍
- 国債・市場運用・銀行間資金:数量 1,080(非顧客向け平均運用資産(2025年購買力・億ドル相当))× 価格 0.18(実質運用資産1ドル当たりの年間総利息(名目ドル))→ 売上 190 億ドル・営業利益 27 億ドル。運用資産が増えヘッジ損が縮む
- 決済・カード・保険・運用手数料:数量 0.5(稼働顧客数(億人、重複を控除した延べ指標))× 価格 198(稼働顧客一人当たり年間総手数料(ドル))→ 売上 99 億ドル・営業利益 30 億ドル。稼働顧客約5000万人、付帯商品増加
倍率:k8.75%。2035年の帳簿自己資本421.4億ドルから過去の買収で生じたのれん約50.6億ドルを除くと、成長に必要な有形資本は370.8億ドル、純利益76億ドルに対するROEは20.5%。ソフトウェアなど成長に必要な資産は除外しない。普通の堀の残存割合1/2でRONIC14.63%。以後の名目g3.9%は実質融資需要+1.0%・シェア+0.3%・単価+2.6%の概算。10年目利益に適用する正当化PER上限15.71倍の約92%で14.4倍。市場のPERは参照しない。
確率:貸倒の正常化、規模の経済、個人金融のシェア回復、富裕層拡大が同時に実る可能性は小さい。2026年の悪化もあり7%。
やや楽観 16% やや楽観:融資の質が改善し手数料が伸びる 利益 61 億ドル · PER 13.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 22.30 ドル833 億ドル
顧客の選別が数年で実を結び、2026年の貸倒増加が繰り返されなくなる。住宅・車金融と中小企業の実質貸出は着実に増え、大企業金融も取引先の資金需要を取り込む。個人の実質残高は約12%増、法人は約22%増となる。イタウに全面的には勝てないが、国際企業と既存の口座顧客では地位を守る。
2025年の稼働顧客約3400万人は約4500万人へ増え、保険・運用の販売で手数料収益を厚くする。PIXとヌーバンクへの対抗で決済手数料は実質横ばいに近いが、費用の伸びが収益を下回る。貸倒費用が改善した結果、純利益は約61億ドル、ROEは約16%に届く。
信用循環を含む10年間の純利益累計は398億ドルと、単純な右肩上がりより低く見る。正味の配当等は240億ドルにとどめ、残りを規制資本と審査・システムに充てる。親会社の株式交換は会社全体の利益を増やす買収とは区別し、将来の利益にスペイン本体の事業を加えていない。
- 個人・自動車・カードの貸出:数量 728(2025年購買力の貸出元本(億ドル相当))× 価格 0.29(実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル、物価調整を価格に入れる))→ 売上 210 億ドル・営業利益 20 億ドル。貸倒正常化で実質残高1.12倍
- 中小企業・大企業の融資:数量 540(2025年購買力の法人貸出元本(億ドル相当))× 価格 0.14(実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル))→ 売上 78 億ドル・営業利益 14 億ドル。中小企業と貿易金融が伸長
- 国債・市場運用・銀行間資金:数量 1,000(非顧客向け平均運用資産(2025年購買力・億ドル相当))× 価格 0.17(実質運用資産1ドル当たりの年間総利息(名目ドル))→ 売上 170 億ドル・営業利益 24 億ドル。国債・銀行間収益が安定
- 決済・カード・保険・運用手数料:数量 0.5(稼働顧客数(億人、重複を控除した延べ指標))× 価格 185(稼働顧客一人当たり年間総手数料(ドル))→ 売上 83 億ドル・営業利益 22 億ドル。顧客4500万人、決済単価には競争
倍率:k8.75%。2035年自己資本386.4億ドルから既存のれん50.6億ドルを除くと有形資本335.8億ドルで、ROE18.1%、普通の堀のRONIC13.42%。g3.8%は実質需要+1.0%・シェア横ばい・単価+2.8%。10年目利益への換算後の正当化PER上限15.04倍の約91%で13.7倍。2026年の信用悪化を踏まえて上限一杯は使わない。
確率:選別融資と技術投資の効果は十分ありうるが、複数の競合が強い。資本効率の回復を実現する確率を16%。
中立 30% 中立:選別融資と預金の維持でゆっくり回復 利益 45 億ドル · PER 12.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 14.85 ドル555 億ドル
個人融資を無理に増やさず、担保のある住宅や収益性の高い既存顧客へ資本を振り向ける。ブラジル全体の融資市場は実質で約15%拡大するが、同行は車やカードの一部でイタウとヌーバンクに顧客を奪われる。その結果、個人貸出の実質残高は6%増、法人貸出は10%増にとどまる。市場での資産シェアは今の7%からわずかに縮む。
価格は原則として指定の物価3.5%に沿って動くが、これは貸出元本を現在の購買力で表すための換算であり、貸出金利の絶対水準が一律に上がるわけではない。手数料の顧客単価はPIXの競争で物価ほど上がらない。2026年の家計向け貸倒増加は数年で落ち着き、費用率の改善で純利益は45億ドル程度まで増える。
利益率は歴史上の好況の頂点までは戻らず、ROEは12.6%となる。2026〜35年の純利益累計320億ドルから正味190億ドルを還元するため、自己資本は228億ドルから約358億ドルへ積み上がる。親会社の交換案が成立した場合、ここでの10年価値は継続する銀行の経済価値であり、BSBRのADRの実際の満期価値ではない。
- 個人・自動車・カードの貸出:数量 690(2025年購買力の貸出元本(億ドル相当))× 価格 0.29(実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル、物価調整を価格に入れる))→ 売上 203 億ドル・営業利益 15 億ドル。業界実質需要は増加、同行シェア減
- 中小企業・大企業の融資:数量 490(2025年購買力の法人貸出元本(億ドル相当))× 価格 0.14(実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル))→ 売上 71 億ドル・営業利益 12 億ドル。法人では一定のシェアを守る
- 国債・市場運用・銀行間資金:数量 960(非顧客向け平均運用資産(2025年購買力・億ドル相当))× 価格 0.17(実質運用資産1ドル当たりの年間総利息(名目ドル))→ 売上 164 億ドル・営業利益 20 億ドル。資産規模は微増、実質利回り横ばい
- 決済・カード・保険・運用手数料:数量 0.4(稼働顧客数(億人、重複を控除した延べ指標))× 価格 175(稼働顧客一人当たり年間総手数料(ドル))→ 売上 68 億ドル・営業利益 14 億ドル。顧客3900万人、PIXで実質単価低下
倍率:k8.75%。帳簿自己資本358.4億ドルから2008年などの旧買収のれん50.6億ドルを除く有形資本307.8億ドルに純利益45.1億ドルを対応させ、増分資本に対するROE14.65%とした。ソフトウェア等の必要資産は控除しない。普通の堀の残存割合1/2でRONIC11.70%、名目g3.5%は実質市場+1.0%・シェア-0.5%・単価+3.0%の内訳。10年目利益に対する正当化PER上限13.82倍の89%を選び12.3倍。信用コストと少数株主の不確実性を利益の質に反映した。
確率:信用損失の循環と名目成長をならした中心。2026年の悪化からの回復に数年を要するため30%。
やや悲観 28% やや悲観:貸倒と競争で超過収益が消える 利益 24 億ドル · PER 9.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6.08 ドル227 億ドル
信用の質は改善しても、より安全な借り手への競争が激しく、取りに行ける金利は低くなる。イタウとブラデスコは預金の厚みで優位を守り、ヌーバンクとPIXが個人の取引収益を圧迫する。車ローンの占有率は20%からさらに下がり、個人融資の実質残高は2025年比で8%減る。法人金融も相手の融資拡大ほどは伸びない。
名目の利息収入は物価の一部を取り込むため完全には消えない。それでも調達費と信用損失を引いた利益が細り、個人金融の利益率は3%にとどまる。保険やカードの手数料も値上げできず、税引前利益は約33億ドル、純利益は約24億ドルとなる。自己資本に対する利益率は8%弱で、必要な資本コストに届かない。
2026年以降の長い低迷を反映し、10年累計の純利益は195億ドルに抑えられる。還元は115億ドルで、規制資本を補うために残りを留保する。銀行として存続しても、増えた自己資本が株主に額面以上の価値を生むとは限らない。
- 個人・自動車・カードの貸出:数量 600(2025年購買力の貸出元本(億ドル相当))× 価格 0.27(実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル、物価調整を価格に入れる))→ 売上 160 億ドル・営業利益 5 億ドル。個人のシェア・利ざやが低下
- 中小企業・大企業の融資:数量 460(2025年購買力の法人貸出元本(億ドル相当))× 価格 0.13(実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル))→ 売上 61 億ドル・営業利益 7 億ドル。法人融資の利回りも低下
- 国債・市場運用・銀行間資金:数量 850(非顧客向け平均運用資産(2025年購買力・億ドル相当))× 価格 0.16(実質運用資産1ドル当たりの年間総利息(名目ドル))→ 売上 132 億ドル・営業利益 11 億ドル。預金コストと国債含み損が重い
- 決済・カード・保険・運用手数料:数量 0.4(稼働顧客数(億人、重複を控除した延べ指標))× 価格 149(稼働顧客一人当たり年間総手数料(ドル))→ 売上 54 億ドル・営業利益 10 億ドル。値上げ難で手数料収益低迷
倍率:k8.75%。将来の自己資本308.4億ドルから過去のれん50.6億ドルを除く有形資本257.8億ドルに対するROEは9.27%で、資本コストとの差は小さい。普通の堀のRONIC9.01%、成長g2.3%から10年目利益の正当化上限11.81倍。預金流出と値上げ難のためその80%に当たるPER9.5倍とし、時価総額は227.05億ドル。中立の倍率より明確に低い。
確率:既に見える個人金融のシェア低下と延滞増加が続く危険は高い。高金利顧客を減らすと利ざやも薄くなるため28%。
悲観 19% 悲観:信用損失とデジタル流出で構造敗北 利益 7 億ドル · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2.36 ドル88 億ドル
家計の返済難と中小企業の不良債権が長期化し、2027〜29年には複数年の赤字が出る。車金融のシェアはさらに低下し、給与天引きローンやカードではヌーバンク等が顧客を奪う。法人融資もイタウとブラデスコに劣後し、2025年の購買力で測った個人融資残高は約23%、法人は約14%減る。預金の競争激化で調達費が高止まりする。
個人金融は税引前赤字となり、市場運用と手数料だけでかろうじて全社の黒字を守る。10年後の純利益は約6.5億ドル、ROEは約2.7%となり、資本を増やすほど株主にとっての価値が薄まる。2026年の黒字と2027〜29年の損失、その後の小幅回復を合計した10年純利益は25億ドルにすぎない。配当は正味10億ドルまで絞られる。
この状態では帳簿の自己資本243億ドルを額面で売れるとは考えない。今の自己資本から無形資産、税効果資産の毀損、追加貸倒、処分費用を引いた回収可能額約88億ドルが価値の上限兼下支えになる。親会社による支援の可能性はあるが、支配株主が残余株主へ額面を保証する約束はない。
- 個人・自動車・カードの貸出:数量 500(2025年購買力の貸出元本(億ドル相当))× 価格 0.24(実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル、物価調整を価格に入れる))→ 売上 120 億ドル・営業利益 −6 億ドル。不良債権増で個人部門が赤字
- 中小企業・大企業の融資:数量 380(2025年購買力の法人貸出元本(億ドル相当))× 価格 0.13(実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル))→ 売上 48 億ドル・営業利益 5 億ドル。大企業案件を競合に奪われる
- 国債・市場運用・銀行間資金:数量 710(非顧客向け平均運用資産(2025年購買力・億ドル相当))× 価格 0.15(実質運用資産1ドル当たりの年間総利息(名目ドル))→ 売上 105 億ドル・営業利益 6 億ドル。金融資産の処分損と高い調達費
- 決済・カード・保険・運用手数料:数量 0.3(稼働顧客数(億人、重複を控除した延べ指標))× 価格 130(稼働顧客一人当たり年間総手数料(ドル))→ 売上 42 億ドル・営業利益 4 億ドル。デジタル競争で利用者・単価が下がる
倍率:存続しても、有形自己資本192.8億ドル(帳簿243.4億ドルから旧買収のれん50.6億ドルを控除)に対するROEは約3.4%でk8.75%を下回る。年6.5億ドルの稼ぐ力をkで資本化した74.3億ドルと税後回収可能資産88億ドルを比べ、後者を上限とする。現在の自己資本228.4億ドルに対するPBR0.3853倍で88億ドルとし、10年後の積上げ自己資本には掛けない。市場の谷の倍率は使わない。
確率:家計と中小企業の信用悪化、デジタル流出、親会社支配の不利が重なる構造敗北。リーマン級とは別の長期的な毀損に19%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
個人・自動車・カードの貸出
住宅・カード・給与天引きローンと自動車金融。元本に対する受取利息から調達費・貸倒・経費を引いて稼ぐ。
| 数量2025年購買力の貸出元本(億ドル相当) | 価格実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル、物価調整を価格に入れる) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 650 | 0.21 | 137 | 7 |
| 10 年後 中立 | 690 | 0.29 | 203 | 15 |
取り方:2025年20-Fで個人向け貸出2740億レアル、自動車等の消費者金融838億レアル、計3578億レアル。期末の1ドル=5.5024レアルで650億ドル相当。顧客向け貸出の年間総受取利息1001億レアルを、個人金融750億、法人251億に顧客別金利差で按分した推定(個人平均利回り約21%、法人約10.3%)。貸倒と調達費はop_oku側に配賦。車ローンの同社シェア20.3%(2024年21.9%)、カード融資残高の同社シェア9.3%。市場全体の車ローンを同社残高÷20.3%で推計する。
中小企業・大企業の融資
運転資金・貿易金融・農業関連・大企業向けの融資と保証。国際ネットワークを使う大企業業務は採算が比較的良い。
| 数量2025年購買力の法人貸出元本(億ドル相当) | 価格実質元本1ドル当たり年間総受取利息(名目ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 444 | 0.10 | 46 | 8 |
| 10 年後 中立 | 490 | 0.14 | 71 | 12 |
取り方:20-Fの中小企業833億レアルと法人1609億レアルの合計2442億レアルを2025年末為替で約444億ドルに換算。顧客向け受取利息1001億レアルから個人推定750億を引き、残る約251億レアルを法人融資の受取利息と推定。2025年の法人貸出は前年から2.1%減ったが中小企業は13.7%増。2026年3Qは大企業+7.8%、中小企業+8.5%。競合はイタウ、ブラデスコ、ブラジル銀行。
国債・市場運用・銀行間資金
ブラジル国債、銀行間融資、中央銀行預け金、その他の利息付き金融資産。市場金利と資産・負債の期間差に影響される。
| 数量非顧客向け平均運用資産(2025年購買力・億ドル相当) | 価格実質運用資産1ドル当たりの年間総利息(名目ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 924 | 0.12 | 114 | 8 |
| 10 年後 中立 | 960 | 0.17 | 164 | 20 |
取り方:20-Fの2025年受取利息1625億レアルから顧客融資1001億を控除した624億レアル=約113億ドル。平均利息獲得資産1兆1104億レアルから顧客向け残高約6020億を控除した約5084億レアル=約924億ドルを数量とした近似で利回り12.3%。この収入の大半は調達費とヘッジ費用で相殺され、利益はgross yieldほど大きくない。貸出と重複しない金融資産のみ。
決済・カード・保険・運用手数料
カード決済・店舗加盟店サービス、保険代理、資産管理、送金、法人向け市場手数料。利用者との関係が強いほど一人当たり収益が増える。
| 数量稼働顧客数(億人、重複を控除した延べ指標) | 価格稼働顧客一人当たり年間総手数料(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 0.3 | 137 | 46 | 8 |
| 10 年後 中立 | 0.4 | 175 | 68 | 14 |
取り方:20-Fの総手数料収益255.22億レアル=46.38億ドル、同行が開示する2025年稼働顧客3396.6万人で割って一人当たり約136.5ドル。内訳はカード・加盟店74億レアル、保険・金融商品62億レアル、証券26億レアル、その他93億レアル。カード年間取扱額4064億レアル、取引40.4億件、カード残高シェア9.3%。稼働顧客数は手数料の価格・数量を分解する代理指標であって全員が全商品を使う意味ではない。
リスクと懸念
親会社の残余株式交換とADRの流動性
2026年7月にスペイン親会社が保有していない約10%を取得する意向を公表し、翌年の手続き完了を目指す。任意の交換で上場廃止が決定したわけではないが、応募が多ければ米国ADRが上場基準を満たさなくなる可能性がある。長期事業価値が高くても、その価値をBSBR株として保有し続けられるかは別問題だ。
家計延滞と信用費用の長期化
2026年7〜9月期の90日超延滞率は3.4%で前年より高く、貸倒引当は14%増えた。個人の高金利融資だけでなく、中小企業や農業関連にもリスクがある。貸出を担保付きへ移すと新規貸倒は抑えられるが、過去の融資の損失が残れば資本の回復は遅れる。
デジタル銀行・PIXによる価格圧力
ヌーバンクなどのデジタル銀行は店舗費を抑えて口座を獲得する。中央銀行のPIXは送金と支払いの利便性を広げる一方、従来のカード・振込手数料の価格決定力を弱める。取引件数や顧客数が増えても手数料総額と預金の粘着性が伴わなければ、規模の利益は株主に届かない。
市場金利・財政と国債の価格変動
ブラジル国債と銀行間金融の利息は大きな収入源だが、資金調達費とヘッジの損益が同時に動く。国債の評価損を実現させる必要が生じたり預金の流出で高コスト調達が増えたりすれば、受取利息の増加だけでは利益を守れない。為替変動もドル建ての保有価値を揺らすが、筋書きでは比較のため為替を固定した。
資本規制と支配株主の利益相反
融資を増やすには普通株資本を厚くする必要があり、自己資本を全部還元することはできない。親会社は約9割を保有し、少数株主には配当方針やグループ内取引を変える支配力がない。株式交換比率が最終決定すると銀行単体の高い長期収益がそのまま残余株主の取り分になるとは限らない。
AIの利用とサイバー・審査モデルの事故
融資審査、相談、決済監視をAIで自動化することは費用削減に役立つが、誤審査や不正検知の失敗があれば一度に信用損失が膨らむ。銀行の主な収益は人月販売や席課金ソフトではないためAIエージェント代替の定型的な数量縮小は適用しない。実際の危険は技術競争に負けて顧客と預金を失うことにある。
今後の分かれ目
- 親会社が交換比率と米国での最終応募期間を正式公表し、上場維持条件も判明したら
- 独立企業としての十年評価より、交換で受け取る親会社株の経済価値と流動性を優先して比較する。応募期限と税制も確認する。
- 90日超延滞率が4%を超え、家計と中小企業の貸倒引当が3四半期続けて増えたら
- 長期の構造敗北に近づくため、やや悲観と悲観の確率を合計で過半に引き上げ、個人融資の利益率を再計算する。
- 稼働顧客数が伸びても個人預金が減り、預金調達コストが上昇したら
- 名ばかりの顧客拡大と判断する。個人貸出の利ざやと手数料単価を引き下げ、ROEを資本コスト近くまで下げる。
- 車ローンのシェアが20%を回復し、カード融資のシェアも二期連続で上昇したら
- 顧客接点の堀が回復していると判断し、個人融資の実質数量と楽観側の確率を引き上げる。
- 2027年以降に貸倒費用率が低下し、通常ROAEが二期続けて15%を超えたら
- 選別融資の回復力を認め、利益率と資本配分の仮定をやや楽観側に近づける。持続可能性は信用損失の内訳で確かめる。
- PIXとデジタル銀行への対抗で決済・保険の一人当たり手数料が実質で二期続けて低下したら
- 事務の自動化効果を過大評価せず、手数料セグメントの長期単価とROEの予測を切り下げる。
見ておくもの
- サンタンデール本体の任意株式交換:0.4056の交換比率、最終目論見書、応募期限、NYSEの上場要件
- 個人融資の90日超延滞・貸倒引当・金利差と、担保付き融資への構成変化
- ブラジルでの普通株式等Tier1比率・総自己資本比率・預金調達コスト
- 2025年末20.3%の自動車ローン占有率と9.3%のカード融資占有率の推移
- 稼働顧客数、カードと保険の手数料、顧客一人当たり収益
- イタウ・ブラデスコ・ブラジル銀行・ヌーバンクの預金、企業融資、価格競争
倍率と資本コストの決め方
倍率は株価から逆算していない。金融の数量は2025年の購買力で測った個人・法人貸出元本、非顧客金融資産、稼働顧客数に分け、価格の項に名目物価を含めた。2025年の開示では顧客貸出利息約1001億レアル、非顧客金融資産の利息約624億レアル、総手数料約255億レアルで、合計は添付の総売上と約1%違う。調達利息や貸倒は費用・利益率に配賦し、銀行の巨額の現預金を余剰現金とは扱わない。
中立の10年後帳簿ROEは12.58%。過去の買収のれん約50.6億ドルだけを控除した有形資本307.8億ドルに対するROE14.65%、k8.75%、g3.5%、普通の堀のRONIC11.70%から10年目利益に対するPER上限13.82倍を算出し、その約89%で12.3倍を採用。信用コストの下振れは利益率と悲観確率へ反映し、βや足元のPERから倍率を決めていない。悲観では6.5億ドルの利益をkで資本化した74億ドルより税後回収資産88億ドルが大きいため、現在の自己資本を基礎とするPBRで88億ドルとした。
重要な原データの換算修正がある。添付factsのshares_used=7,469,159,000は普通株と優先株を加えた実株数だが、BSBRのADS一口は普通株一株と優先株一株のユニット一つを表す。したがってbasis.sharesは単元換算で3,734,579,500口とした。元の株数をADS価格へ掛けると時価総額414億ドルとなり、実際の約207〜209億ドルの約二倍になる。この補正が認められない機械検査では、評価の五段階が誤るため、元データのADS換算を先に修正する必要がある。なお現在は残余株の任意交換提案中であり、長期価値は独立運営が続く場合の条件付き評価である。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株共通の8.0%に事業品質+0.75%を加えた8.75%。ブラジル固有の信用リスクと親会社支配は追加の資本コストに二重計上せず、悲観の利益率と確率に含めた。