結論
ナットウエスト・グループは、英国の個人預金、住宅ローン、法人融資を柱とする大手銀行である。筆者は、信用不安を十分に織り込んでも、今の時価総額は長期の稼ぐ力と株主還元に比べ割安だと見る。銀行の真価は貸出金利の高さではなく、顧客が長く使い続ける預金口座を低い費用で維持できることにある。
同行は当座預金の16.5%、英国住宅ローン残高の約12.5%を占め、法人の決済や運転資金でも主力行である。2025年の純利益は手元の財務台帳で72.2億ドル、自己資本利益率は14.1%だった。2026年上期も普通株主帰属利益が30億ポンド、実体自己資本利益率が19.7%と堅調だ。6月末にはエブリン・パートナーズの買収が完了し、預金と融資だけに頼らない運用手数料の比重が増した。
ただし英国景気への集中、住宅ローンの金利競争、預金獲得費用、商業用不動産の貸倒れは軽く見られない。2008年の救済と2020年の赤字を経た銀行だけに、今の利益率を10年間そのまま延ばすのは危険だ。銀行の現金はほぼ全額が顧客への返済義務と流動性規制に結びつき、余剰現金として足していない。
10年後の中立では、英国での営業基盤を保ち、運用事業の買収効果を取り込みつつ、純利益を123億ドルと見込む。一方で構造的な預金流出と信用損失が重なる悲観も15%の確率で考える。5つの筋書きと正味の配当・買戻しを資本コスト8.25%で割り引いた現在価値は約997億ドルで、台帳の時価総額約683億ドルより約46%大きい。収益の将来予測に自信過剰にならず、買収後の規制資本と貸倒費用を追い続けるべき銘柄である。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主が初めに知りたいのは、10年後も顧客がこの銀行を必要とするかだ。答えは、おそらく必要とする。給料を受け取り、住宅を買い、会社が売掛金を回収する仕組みはなくならない。銀行の窓口や画面がAIで変わっても、預金保護、貸借対照表の信用、決済の責任を担う主体は残る。英国で大きな預金基盤を持つこと自体が参入障壁である。
ただし預金量は利益と同じではない。高い金利を提示するライバルへ資金が流れれば、同じ貸出でも利ざやは小さくなる。優良さを測るなら、金利が変わっても手元に残る安定預金の比率と、減損後に自己資本コストを超える利益が持続するかを確かめたい。2008年に株主が深く傷ついた歴史を忘れてはいけない。
オーナー利益は会計利益の全額ではない。貸出が増えれば自己資本を積み、流動性を保ち、監督当局が求める余裕を守る必要がある。会社は2025年に大きな還元を行ったが、2026年の大型買収で余剰資本を使った。買収事業が運用手数料を増やし、統合の費用を回収できるかが資本配分の成績表になる。
筆者は、銀行を技術独占のような倍率で評価しない。中立の2035年純利益は123億ドルで、実質的な資本収益率を14%前後に保てるなら、規制資本に資金を再投入した後にも株主に相応の現金が残る。逆に危機のときは帳簿の自己資本さえ減損するため、悲観の資産処分価値も厳しく見積もった。この会社への確信は英国での事業存続には高いが、利益の変動幅には慎重である。
何で稼ぐ会社か
個人銀行は、ナットウエスト、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランドなどのブランドで、約1900万人に日常の口座、住宅ローン、カード、無担保融資を提供する。2025年にはセインズベリーズ銀行から移管した約100万人の顧客とメトロ銀行の住宅ローン債権も取り込んだ。2025年末の個人向け貸出は2161億ポンド、預金は2026億ポンドだった。預金を集め、住宅ローンや国債の運用益から預金利息を払った残りを稼ぐ。2025年の純金利収益は60.64億ポンドで、顧客口座を維持する強さが利益の中心だ。
法人・機関投資家部門は約150万の企業を相手に、融資、決済、資金管理、外国為替、金利商品を提供する。貸出残高1542億ポンド、預金1964億ポンドに加え、手数料・市場業務収入がある。2025年の純金利収益61.49億ポンドと非金利収益26.60億ポンドは、個人向けより景気と企業活動に敏感だ。インフラ、社会住宅、事業用不動産などに専門性があり、融資と決済を一緒に取ることで顧客が離れにくい。
プライベートバンキングはクーツを中核に、富裕層の預金、融資、資産管理で稼ぐ。2025年末の管理・預かり資産は585億ポンド、顧客預金は427億ポンドだった。2026年6月30日にエブリン・パートナーズを取得し、管理・預かり資産は上期末に1306億ポンドへ増えた。運用報酬は残高と料率の積で増えるため、住宅ローンより資本を使わずに伸ばせる余地がある。
法人向けには、2018年に取得したクラウド会計ソフト「フリーエージェント」もある。2025年の利用先は約22.5万件だが、多くは法人預金口座の付帯サービスとして無償で利用する。座席・利用契約から直接稼ぐ部分は全社売上の約0.1%にすぎず、口座との関係を強めるのが主な役割である。AIエージェントが請求書や記帳画面を代行すれば、このソフトの契約数量と有料単価は下がると見た。
最後は財務・流動性運用である。中央銀行預け金や高格付け債券が多く、金利収入は大きいが、調達利息やヘッジ費用と相殺される。財務台帳の2025年売上399億ドルは支払利息控除前の粗い収入を含み、会社が公表する純金利収益控除後の総収益166.41億ポンドとは定義が違う。数量と単価の表はこの差を明示して両者をつなぐ推計であり、預金や運用預かり資産を現金と同じ価値に見てはいない。
優良さと弱いところ
最大の堀は、預金口座と法人決済が生活や業務に組み込まれていることだ。英国の当座預金シェア16.5%は大きく、給与振込、住宅ローン、公共料金、企業の支払先の変更には手間がかかる。ナットウエストとRBSのブランドは地域で知られ、クーツは富裕層と長い関係を持つ。預金金利で他行が高い条件を提示すれば流出は起きるため、これを独占的な値上げ力とは評価しない。
規模も効く。2025年の顧客預金は4417億ポンドに達し、本人確認、サイバー防御、支払網、監督対応の固定費を多くの顧客に配れる。2025年の費用収益比率は48.6%で、前年の53.4%から改善した。2026年の上期は買収前後の営業効率がさらに良くなった。顧客の取引を減らさずに事務処理を自動化できれば、費用率は下がる。
資本効率には注意が必要だ。2025年の銀行が示す有形自己資本利益率19.2%は、財務台帳の会計上の自己資本利益率14.1%より高い。有形資本からのれんや無形資産を除いていることが主因であり、すべての成長投資が不要という意味ではない。2026年6月のエブリン買収で規制上の自己資本比率は14.0%から13.2%へ下がった。買収で発生したのれんには価格の裏付けとなる収益が必要だ。
堀は個人・法人では長続きするが、英国の景気に偏り、ロイズ、バークレイズ、HSBC、ネーションワイドが常に競争する。自動化が進むほど小規模なデジタル銀行も費用面で追いつく。フリーエージェントの税務申告機能には制度対応の価値があるが、解約率や移行に数年要する事実を示す開示が足りず、ソフトだけは強い堀と認めない。全社では強い独占の堀ではなく、規模と口座関係が守る普通の堀と判断する。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
英国の銀行市場は成熟しており、数量が急に増える土地ではない。イングランド銀行によれば2025年末の住宅ローン残高は1兆7344億ポンドで、前年比3.0%増だった。ナットウエストの住宅ローンシェア約12.5%はこの数字と整合する。新規住宅融資ではロイズが2025年に18%、ネーションワイドが17%、ナットウエストは12.1%で3位だった。バークレイズ、HSBC、サンタンデールも価格を下げて顧客を奪い合う。
法人市場では、同行自身が対象市場で預金約25%、融資約20%のシェアを開示している。この比率は英国全銀行貸出を分母にした一律の比率ではなく、銀行が対象とする法人顧客群での推計だ。競合はロイズ、バークレイズ、HSBC、サンタンデールであり、決済と運転資金の両方を扱う業務関係が競争の主戦場となる。英国の中小企業銀行貸出残高は2025年末に約1910億ポンドだったが、同行の法人部門には大企業や機関投資家も含まれ、単純にその市場だけと比べるべきではない。
資産運用では、英国の規制当局が対象とする個人向け裁量運用市場は約1兆ポンドである。エブリンの取得で同行の管理・預かり資産は英国の主要な独立系運用会社と比肩する規模に広がった。ただし管理資産には助言だけの預かり資産もあり、総額をすべて高率の運用報酬の対象と見なしてはならない。セント・ジェームズ・プレイス、ラースボーンズ、クイールター、シュローダーなどが競う。指数運用とAIによる助言の普及は手数料率を下げうる。小規模の会計ソフト市場でも、フリーエージェントはゼロやセージ、クイックブックスと競う。英国の2025年の中小事業者数は約570万で、利用先22.5万件は母数の約4%だが、無償利用も多いためこれは有償ソフトのシェアではない。AIによる帳簿画面の代替を契約減で見込んだ。
今後10年は物価3.5%の名目拡大を前提にしても、住宅購入件数や英国の就業人口が大きく増えるとは見込めない。貸出は実質数量とシェアでゆっくり増え、利ざやは預金コストと固定金利住宅ローンの借換えで決まる。銀行業の平均貸倒率より同行の信用コストが低いことは強みだが、2025年の貸倒費用率16bpを永久に続くとみなさず、景気後退時には大幅な悪化を考える。英国の追加銀行税、自己資本規制、住宅ローンの貸付基準も利益の上限を決める。
資本政策と M&A
政府救済の後始末が終わったことは資本配分の転機である。英国政府は2025年5月30日に最後の持分を売却し、株主構成は通常の民間企業に戻った。2010年代には訴訟・事業縮小・赤字が長く続いたが、2021年以降は配当と自社株買いが復活した。2025年の会社発表では配当と買戻しを合わせた還元は41億ポンドで、普通株数も減った。2025年にはセインズベリーズ銀行の顧客・債権とメトロ銀行の住宅ローン債権を取り込み、既存の販売網を生かした。買戻しは合理的な値段なら株主に有利だ。
2026年2月にエブリン・パートナーズの取得を27億ポンドの企業価値で発表し、6月末に完了した。現金対価は約22億ポンドで、資本比率を約1.3ポイント押し下げる大型投資である。買収後の管理・預かり資産は約1270億ポンドの計算となり、年間で約1億ポンドの費用相乗効果を目指すが、その実現はまだ検証途中だ。
会社の2026年7月時点の見通しは、2026年の一時項目を除く総収益約179億ポンド、費用約85億ポンド、貸倒費用率25bp未満、有形自己資本利益率19%超である。2028年には顧客資産・負債の年率4%超の成長、費用収益比率45%未満、有形自己資本利益率18%超を目指す。通常配当は普通株主利益のおよそ50%、自己資本比率の目標は約13%で、次の買戻し発表は2026年通期決算の予定とした。
10年の還元には配当と株式買戻しから株式報酬・増資を差し引いた純額だけを入れた。中立の正味還元620億ドルは利益の累計976億ドルの約64%で、残りは規制資本と貸出・運用事業の成長を支える。過度な買収は将来の還元を脅かす。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
英国の銀行で、これほど多くの家計と中堅企業の日常口座を同時に持つ会社は限られる。個人の当座預金シェア16.5%、法人の主力行としての地位、住宅ローンの約12.5%という基盤は、単に広告費を増やしても他行が一気には奪えない。会社は2025年に約100万人の顧客を増やし、費用収益比率を48.6%へ下げた。固定費を広い顧客基盤に配れる強みは今後も続く。
住宅ローンはリスクの高いカード貸出と違い、保全のある長期資産だ。会社資料では2025年の3か月超延滞率は英国の業界水準より低く、貸倒費用率も小さい。商業・機関投資家部門ではインフラや社会住宅に強みがあり、企業向け決済と融資を組み合わせられる。貸出の数量が実質で増える一方で、預金の調達単価が落ち着けば、物価上昇に沿った収益拡大を利益へつなげられる。
2026年のエブリン買収は、住宅ローンから低い資本負担の運用手数料へ収益を分散させた。管理・預かり資産は上期に1306億ポンドになり、クーツの顧客とエブリンの助言網を結びつけられる。費用相乗効果1億ポンドが実現すれば、さらなる買収なしで利益を増やす余地がある。
英国政府が保有株を完全に売却した今、経営は規制資本を積んだ後の余りを通常株主へ戻せる。配当は利益の半分を基本とし、規制余力があれば買戻しを加える。2035年の純利益が172億ドルまで拡大し、銀行として健全な自己資本を保ちながら還元を続ける道には、かなりの上振れがある。
慎重な見方
英国一国に集中する銀行は、国の住宅市場と中小企業の信用循環から逃げられない。2008年の危機では株主の持分が激減し、2020年には再び赤字になった。2025年の高い利益は、住宅ローンの信用コストが低く、預金と貸出の利ざやが改善した時期のものだ。物価と金利が高い環境が続けば、借り手の返済能力にはいずれ疲れが出る。
預金は安い調達源というより、顧客がいつでも他行へ移せる負債でもある。ネーションワイドやロイズが住宅ローン金利を引き下げ、デジタル銀行やマネー・マーケット・ファンドが預金を高利で奪えば、住宅ローン残高が伸びても利ざやは消える。市場が成熟しているため、借り手の実質人数が倍になるような成長は望めない。英国の銀行追加税、金融行動規制、資本規制も株主の取り分を制限する。
エブリンの買収価格には将来の手数料収入が織り込まれている。運用の助言料は投資信託の低手数料化やAIによる資産運用支援で下がり、専門家の採用費用と統合費用は残る。傘下の会計SaaSもAIエージェントが画面を飛ばせば、座席数と利用料が同時に細る。買収で規制資本比率は13.2%となり、2027年のバーゼル3.1導入ではリスク資産が約100億ポンド増える見通しだ。買収後の高い有形自己資本利益率がそのまま10年続くという確信は持ちにくい。
銀行の現金1146億ドルは借金や預金に対して自由に分配できる資金ではない。貸倒損失、長期の不祥事対応と市場取引の損失が同時に起これば、配当停止と資産売却が必要になる。見かけの簿価を安全域として認めず、債権の回収損と売却費用を控除するべきだ。
どちらに重みを置いたか
銀行が10年後も利益を生むという論点では、預金の規模、法人顧客との結びつき、買収済みの運用資産が支える強気の根拠を採った。ただし英国の景気と金融規制に集中する弱さを考え、楽観・やや楽観を合計28%、やや悲観・悲観を39%とし、分布を慎重側へ寄せた。会計SaaSのAI代替は小部門の数量と単価で既に反映しており、資本コストや確率で二重に罰してはいない。
中立の純利益123億ドルに対する将来の妥当な価値と、10年間の正味還元620億ドルが結論を支える。悲観でも金融機関の株主が預金を自由に取り出せるとは考えず、回収可能な資産と細った稼ぐ力だけで評価した。その結果でも現在価値は時価総額を約46%上回り、結論は割安である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 34.96 ドル1,420 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 12.95 ドル526 億ドル)。 今の値に割り戻すと 24.53 ドル997 億ドル、今との差 +58.6%、 期待の年率 +14.6%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 66.89 ドル2,718 億ドル | 17.47 ドル710 億ドル | +445.3% | +22.2% | 7.59 ドル308 億ドル |
| やや楽観 | 19% | 52.46 ドル2,132 億ドル | 16.49 ドル670 億ドル | +345.7% | +19.6% | 13.10 ドル532 億ドル |
| 中立 | 33% | 40.87 ドル1,661 億ドル | 15.26 ドル620 億ドル | +262.8% | +17.0% | 18.52 ドル753 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 18.43 ドル749 億ドル | 10.58 ドル430 億ドル | +87.5% | +8.2% | 6.96 ドル283 億ドル |
| 悲観 | 15% | 7.09 ドル288 億ドル | 4.43 ドル180 億ドル | −25.5% | −3.5% | 1.73 ドル70 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 34.96 ドル1,420 億ドル | 12.95 ドル526 億ドル | +209.7% | +14.6% | 47.91 ドル1,946 億ドル |
今の株価時価総額 15.47 ドル629 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 9% 楽観:法人の取引増と富裕層運用で堀が広がる 利益 172 億ドル · PER 15.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 66.89 ドル2,718 億ドル
2035年には、英国の住宅ローン市場が実質でゆっくり伸びる中、ナットウエストは新規住宅ローンの獲得でロイズやネーションワイドとの差を縮める。個人向け貸出の実質残高は2025年の約1.23倍になり、預金の長い顧客関係を使って金利競争による流出を抑える。個人部門の粗収入は231億ドル、信用費用と事務費を引いた利益は85億ドルに育つ。
法人ではインフラと中堅企業の取引を増やし、バークレイズ、HSBCから決済と融資の関係を奪う。実質融資数量は約1.36倍となり、法人部門の粗収入は319億ドル、利益は124億ドルになる。2026年に買収したエブリンの紹介網を活用し、富裕層顧客資産の実質数量は2025年比約2.7倍、利益は26億ドルへ伸びる。費用相乗効果の年間1億ポンドも定着する。
会社全体の純利益は172億ドルとなり、自己資本1023億ドルを保ちながら10年の正味還元710億ドルを株主へ戻す。これには株式報酬による持分増加を差し引き、買収額を重ねて価値に足さない。銀行の利益はなお景気で揺れるが、英国の基盤と手数料が補い合い、株主の超過収益が残る。
フリーエージェントはAIエージェント代替に直面し、楽観でも会計ソフト利用者数は増やさない。無償口座を含む実効単価だけが緩やかに伸びる。
- 個人銀行・住宅ローン:数量 3,500(個人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.07(2025年実質元本1単位当たりの名目粗収入。契約金利と手数料を含み、将来はインフレ指数を含む)→ 売上 231 億ドル・営業利益 85 億ドル。住宅ローンシェアが上昇。実質貸出+23%、名目単価+46%
- 法人・機関投資家銀行:数量 2,770(法人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.12(実質融資元本当たりの名目粗収入率。与信金利に決済・市場業務手数料を含む)→ 売上 319 億ドル・営業利益 124 億ドル。法人の実質貸出+36%、決済の関係を獲得
- プライベート銀行・資産運用:数量 4,300(富裕層預金・貸出・運用預かり資産の実質合計(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.01(顧客資産負債1単位当たりの名目粗収入。銀行利ざやと運用管理報酬の混合単価)→ 売上 64 億ドル・営業利益 26 億ドル。2026年買収のエブリンを含みAUMAの成長と相乗効果が成功
- 財務・流動性運用:数量 2,200(中央銀行預け金・高品質債券等の実質流動性資産(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.07(実質流動性資産1単位当たりの名目受取利息等。調達費用は利益率側に計上)→ 売上 143 億ドル・営業利益 4 億ドル。規制流動性を保ち、調達費用が落ち着く
- フリーエージェント(会計SaaS):数量 225,000(会計ソフトのアクティブ利用事業者数(契約・件))× 価格 190(1利用者当たり年収入のドル(有償と無償利用の混合実効単価))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代理処理で契約は増えず、有料利用の実効単価は小幅増。長期gは0%
倍率:ROE16.8%を伸びに要る会計自己資本に対する税引後利益率とする。英国実質銀行需要+1.3%、シェア+0.3%、名目単価+2.4%で2035年以降のgを4.0%とした。資本コストk=8.25%、普通の堀の残存割合1/2により増分ROE(RONIC)12.54%、2035年末利益に掛ける正当化PER上限は16.66倍(翌年利益の式に1+gを掛ける)。金融機関の信用循環と規制下の配当制約を考慮し、上限の94.8%にあたる15.8倍を採用した。純現金は預金・銀行債務を控除した後に自由にならず、別加算は0とした。FreeAgentだけはAIエージェント代替の席課金型で部門の長期gを0%とし、全社利益への寄与がごく小さいため銀行全体のgは変えない。
確率:英国の住宅ローン・法人融資で実質シェアを拡大し、エブリンの紹介案件と費用相乗効果まで成功するには複数の好条件が必要である。長期の景気後退も無傷で終える確率は小さく9%。
やや楽観 19% やや楽観:英国の顧客基盤を守り運用収益を増やす 利益 145 億ドル · PER 14.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 52.46 ドル2,132 億ドル
英国の家計と法人向け貸出は名目では拡大するが、顧客数の実質の増加はゆっくり進む。同行はロイズとネーションワイドに住宅ローン金利の一部を譲っても、既存の口座と支払網を守る。個人向け実質貸出は約1.16倍となり、粗収入211億ドルに対し利益76億ドルを確保する。
法人部門は大口融資だけでなく、運転資金と決済の複合取引で稼ぐ。対象市場シェアを大きく落とさず、法人貸出の実質数量は2025年の約1.28倍、利益は102億ドルとなる。エブリン買収の管理・預かり資産とクーツの富裕層顧客を組み合わせ、運用事業の粗収入は54億ドル、利益20億ドルへ伸びる。
2027年の資本規制強化と買収ののれんを吸収しても、CET1をおおむね目標水準に維持できる。10年の正味還元は670億ドル、自己資本は928億ドル、純利益は145億ドルとなる。利益拡大をすべて自社株買いへ回さず、貸出の増加に必要な自己資本も残す。これは預金の堀が大きく削られない道である。
フリーエージェントはAIエージェント代替で会計ソフトの契約が約9%細る。実効単価の小幅上昇では埋められず、収入はわずかに減る。
- 個人銀行・住宅ローン:数量 3,300(個人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.06(2025年実質元本1単位当たりの名目粗収入。契約金利と手数料を含み、将来はインフレ指数を含む)→ 売上 211 億ドル・営業利益 76 億ドル。住宅ローン数量+16%、調達の規律を維持
- 法人・機関投資家銀行:数量 2,600(法人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.11(実質融資元本当たりの名目粗収入率。与信金利に決済・市場業務手数料を含む)→ 売上 283 億ドル・営業利益 102 億ドル。法人の実質貸出+28%、手数料を保持
- プライベート銀行・資産運用:数量 3,850(富裕層預金・貸出・運用預かり資産の実質合計(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.01(顧客資産負債1単位当たりの名目粗収入。銀行利ざやと運用管理報酬の混合単価)→ 売上 54 億ドル・営業利益 20 億ドル。エブリン取得後の資産流入が続く
- 財務・流動性運用:数量 2,100(中央銀行預け金・高品質債券等の実質流動性資産(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.06(実質流動性資産1単位当たりの名目受取利息等。調達費用は利益率側に計上)→ 売上 130 億ドル・営業利益 3 億ドル。金利ヘッジ費用を抑制
- フリーエージェント(会計SaaS):数量 205,000(会計ソフトのアクティブ利用事業者数(契約・件))× 価格 190(1利用者当たり年収入のドル(有償と無償利用の混合実効単価))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIエージェント代替で実質契約0.91倍、実効単価1.07倍
倍率:ROE15.6%、英国実質市場数量+1.0%、シェア+0.2%、名目単価+2.6%で長期g3.8%。規制対応の残存利益は一般的な銀行並みとした。資本コストk=8.25%、普通の堀の残存割合1/2により増分ROE(RONIC)11.94%、2035年末利益に掛ける正当化PER上限は15.90倍(翌年利益の式に1+gを掛ける)。金融機関の信用循環と規制下の配当制約を考慮し、上限の92.4%にあたる14.7倍を採用した。純現金は預金・銀行債務を控除した後に自由にならず、別加算は0とした。FreeAgentだけはAIエージェント代替の席課金型で部門の長期gを0%とし、全社利益への寄与がごく小さいため銀行全体のgは変えない。
確率:個人・法人の主力口座の関係を保ち、買収した運用事業を平穏に統合するのは十分ありうる。ただし住宅ローンの価格競争や英国低成長のため楽観ほどではない。
中立 33% 中立:住宅ローンは横ばい、法人と運用が補う 利益 123 億ドル · PER 13.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 40.87 ドル1,661 億ドル
2035年の英国では人口が大きく増えず、住宅ローン新規獲得はロイズ、ネーションワイド、バークレイズとの金利競争が続く。ナットウエストの個人向け実質貸出は10年で約1.11倍にとどまり、名目元本が物価とともに増える分だけ総収入は伸びる。利益率の改善は限定的で、個人部門の粗収入195億ドルから利益68億ドルが残る。
法人では決済と預金の関係を保ち、実質貸出が約1.20倍に増える。営業費用と正常化した貸倒費用を差し引いて法人部門の利益は89億ドルとなる。2026年6月に成立したエブリン買収は既に含め、富裕層の管理資産は2025年の倍以上の実質規模となるが、運用料率は競争で一部下がる。富裕層部門の利益は17億ドル、財務部門の利益は2億ドルとみる。
2026年の好調さを永久には延ばさず、途中に景気悪化を一度挟んだ累計純利益は976億ドルとする。これに対する正味還元620億ドルを差し引くと、自己資本は約868億ドル、最終年の純利益は123億ドルとなる。有形自己資本利益率の高さをそのまま使わず、会計上のROEは約14.2%で成熟する。
フリーエージェントではAIエージェントが記帳画面を代替し、利用契約は現在の8割に縮む。名目単価が1割上がっても、売上は細る。
- 個人銀行・住宅ローン:数量 3,150(個人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.06(2025年実質元本1単位当たりの名目粗収入。契約金利と手数料を含み、将来はインフレ指数を含む)→ 売上 195 億ドル・営業利益 68 億ドル。英国住宅ローン市場+実質約1割、シェアをほぼ維持
- 法人・機関投資家銀行:数量 2,450(法人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.11(実質融資元本当たりの名目粗収入率。与信金利に決済・市場業務手数料を含む)→ 売上 261 億ドル・営業利益 89 億ドル。法人実質数量+20%、信用コストは正常化
- プライベート銀行・資産運用:数量 3,500(富裕層預金・貸出・運用預かり資産の実質合計(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.01(顧客資産負債1単位当たりの名目粗収入。銀行利ざやと運用管理報酬の混合単価)→ 売上 48 億ドル・営業利益 17 億ドル。エブリン買収を含め資産数量2.23倍、実質手数料低下
- 財務・流動性運用:数量 2,000(中央銀行預け金・高品質債券等の実質流動性資産(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.06(実質流動性資産1単位当たりの名目受取利息等。調達費用は利益率側に計上)→ 売上 120 億ドル・営業利益 2 億ドル。資金調達を相殺した利益は小さい
- フリーエージェント(会計SaaS):数量 180,000(会計ソフトのアクティブ利用事業者数(契約・件))× 価格 196(1利用者当たり年収入のドル(有償と無償利用の混合実効単価))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。席課金SaaS型。AI代替で数量0.80倍、単価1.10倍、長期g0%
倍率:10年後の会計自己資本ROE14.2%、長期gは英国実質市場数量+0.8%、シェア0%、名目単価+2.7%の合計3.5%。運用部門が増えても銀行全体は成熟と判断した。資本コストk=8.25%、普通の堀の残存割合1/2により増分ROE(RONIC)11.21%、2035年末利益に掛ける正当化PER上限は14.99倍(翌年利益の式に1+gを掛ける)。金融機関の信用循環と規制下の配当制約を考慮し、上限の90.1%にあたる13.5倍を採用した。純現金は預金・銀行債務を控除した後に自由にならず、別加算は0とした。FreeAgentだけはAIエージェント代替の席課金型で部門の長期gを0%とし、全社利益への寄与がごく小さいため銀行全体のgは変えない。
確率:英国の貸出市場は成熟し、預金・住宅ローンのシェア維持とエブリン買収後の運用収益成長がもっとも自然である。ただし景気後退を繰り返すため一つの筋書きに過半は置かない。
やや悲観 24% やや悲観:預金調達費と信用費用が利益を削る 利益 72 億ドル · PER 10.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 18.43 ドル749 億ドル
住宅ローンの新規契約でロイズやネーションワイドが攻勢を強め、既存預金を保つにはより高い金利が要る。個人の実質貸出はほぼ横ばいで、粗収入168億ドルのうち利益は52億ドルにとどまる。長年の口座関係は続くものの、顧客を引き留めるための費用が増えて、優良な利ざやは薄れる。
法人融資では商業用不動産と中堅企業の貸倒れが数年にわたり増え、決済や資金管理の取引も競合へ移る。法人の実質融資数量は1.11倍にしか増えず、利益は57億ドルへ落ち着く。運用事業はエブリン取得で顧客資産は増えるが、AIを使った低コストの助言が普及して単価が下がり、利益は9億ドルにとどまる。財務・調達損益も小幅赤字となる。
最終年の純利益は72億ドルで、利益率の低い年を挟むため10年間の累計は650億ドルとする。単純な両端平均なら約721億ドルだが、2028年から数年の信用損失による約71億ドルの下振れを含める。正味還元を430億ドルへ縮め、自己資本約732億ドルを維持する。堀はなおあるが、資本コストを少し上回るだけの銀行になる。
フリーエージェントの会計画面がAIに代替されると、利用先も単価も低下する。部門は赤字だが、銀行の信用収益と混同しない。
- 個人銀行・住宅ローン:数量 3,000(個人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.06(2025年実質元本1単位当たりの名目粗収入。契約金利と手数料を含み、将来はインフレ指数を含む)→ 売上 168 億ドル・営業利益 52 億ドル。住宅ローンシェア後退と調達単価上昇
- 法人・機関投資家銀行:数量 2,250(法人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.09(実質融資元本当たりの名目粗収入率。与信金利に決済・市場業務手数料を含む)→ 売上 203 億ドル・営業利益 57 億ドル。貸倒と競争で利ざや・手数料が悪化
- プライベート銀行・資産運用:数量 2,750(富裕層預金・貸出・運用預かり資産の実質合計(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.01(顧客資産負債1単位当たりの名目粗収入。銀行利ざやと運用管理報酬の混合単価)→ 売上 32 億ドル・営業利益 9 億ドル。エブリン取得後も運用料率は低下
- 財務・流動性運用:数量 1,850(中央銀行預け金・高品質債券等の実質流動性資産(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.06(実質流動性資産1単位当たりの名目受取利息等。調達費用は利益率側に計上)→ 売上 102 億ドル・営業利益 −3 億ドル。高い流動性費用とヘッジ損
- フリーエージェント(会計SaaS):数量 155,000(会計ソフトのアクティブ利用事業者数(契約・件))× 価格 165(1利用者当たり年収入のドル(有償と無償利用の混合実効単価))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AI代理記帳が普及し契約が約31%縮小。単価も低下
倍率:2035年ROE9.8%、長期gは市場実質数量+0.4%、シェア−0.4%、名目単価+2.5%。中立より低い倍率を選び、信用損失の残りやすさを割り引いた。資本コストk=8.25%、普通の堀の残存割合1/2により増分ROE(RONIC)9.05%、2035年末利益に掛ける正当化PER上限は12.90倍(翌年利益の式に1+gを掛ける)。金融機関の信用循環と規制下の配当制約を考慮し、上限の80.6%にあたる10.4倍を採用した。純現金は預金・銀行債務を控除した後に自由にならず、別加算は0とした。FreeAgentだけはAIエージェント代替の席課金型で部門の長期gを0%とし、全社利益への寄与がごく小さいため銀行全体のgは変えない。
確率:英国の住宅ローン金利競争、預金の高金利化と不況のうち二つが重なる筋書きは起こりやすい。歴史的な業績の振れと英国市場集中を踏まえ、やや悲観を比較的厚くした。
悲観 15% 悲観:信用損失と預金流出で構造的に負ける 利益 30 億ドル · PER 9.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 7.09 ドル288 億ドル
英国の不動産不況と中小企業倒産が長期化し、預金金利の競争でも敗れる。ロイズ、ネーションワイド、デジタル銀行へ顧客を奪われ、個人の実質融資数量は2025年の約0.91倍へ縮む。住宅ローンの貸倒れが増え、粗収入135億ドルから残る利益は32億ドルになる。顧客との関係という堀そのものが薄くなる。
法人では与信基準を厳しくしても既存債権の損失が止まらず、実質融資数量は約0.88倍に落ちる。法人部門の利益は24億ドルへ減少する。エブリン買収は統合費用と運用料率の低下で収益への貢献が限られ、財務部門には資金調達・処分損の赤字が残る。銀行監督上の資本規制で、普通株主への還元は長期間制約される。
2035年は純利益30億ドル、ROE約5.2%で資本コストに届かない。2028〜2030年に融資減損と訴訟・処分費用が集中し、両端平均による累計約511億ドルから271億ドル減って、10年間の純利益は合計240億ドルにとどまる。正味還元180億ドルの大半は初期に実施され、後半は配当を抑える。会計上の自己資本が約572億ドル残っても、それを全額で買い取る相手はいない。優先するのは実現できる資産と細った稼ぐ力である。
フリーエージェントはAIエージェントが会計画面を代替し、利用先と単価がともに大きく減る。採算割れの損失も含めている。
- 個人銀行・住宅ローン:数量 2,600(個人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.05(2025年実質元本1単位当たりの名目粗収入。契約金利と手数料を含み、将来はインフレ指数を含む)→ 売上 135 億ドル・営業利益 32 億ドル。預金流出、実質貸出9%減、信用費用拡大
- 法人・機関投資家銀行:数量 1,800(法人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.08(実質融資元本当たりの名目粗収入率。与信金利に決済・市場業務手数料を含む)→ 売上 135 億ドル・営業利益 24 億ドル。法人実質融資12%減、担保・取引関係の劣化
- プライベート銀行・資産運用:数量 2,500(富裕層預金・貸出・運用預かり資産の実質合計(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.01(顧客資産負債1単位当たりの名目粗収入。銀行利ざやと運用管理報酬の混合単価)→ 売上 25 億ドル・営業利益 4 億ドル。取得した運用資産からの収益化に失敗
- 財務・流動性運用:数量 1,650(中央銀行預け金・高品質債券等の実質流動性資産(2025年ドル価値、億ドル))× 価格 0.05(実質流動性資産1単位当たりの名目受取利息等。調達費用は利益率側に計上)→ 売上 84 億ドル・営業利益 −15 億ドル。資金調達・処分費用と長期損失
- フリーエージェント(会計SaaS):数量 100,000(会計ソフトのアクティブ利用事業者数(契約・件))× 価格 140(1利用者当たり年収入のドル(有償と無償利用の混合実効単価))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。AIによる申告・請求の代替で契約が半分以下、採算割れ
倍率:会計自己資本ROE5.2%はk8.25%未満で、翌年成長が続いても超過利益を認めない。市場実質数量−0.8%、シェア−0.6%、名目単価+2.4%で長期g1%とする。資本コストk=8.25%、普通の堀の残存割合1/2により増分ROE(RONIC)6.75%、2035年末利益に掛ける正当化PERは11.86倍(翌年利益の式に1+gを掛ける)。別途ROEがk以下の会社の1/kの上限は12.12倍。金融機関の信用循環と規制下の配当制約を考慮し、式の倍率11.86倍の80.9%にあたる9.6倍を採用した。純現金は預金・銀行債務を控除した後に自由にならず、別加算は0とした。ROEが資本コスト未満なので利益の上限1/k=12.12倍も守る。資産回収の床280億ドルを下回らない。FreeAgentだけはAIエージェント代替の席課金型で部門の長期gを0%とし、全社利益への寄与がごく小さいため銀行全体のgは変えない。
確率:2008年型の破綻そのものではなく、長期の信用不安・規制違反・預金流出が重なり通常の利益水準へ戻れない筋書き。過去の公的救済と英国集中を踏まえ15%を与えた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
個人銀行・住宅ローン
英国約1900万人の家計の預金口座、住宅ローン、カード・無担保融資。粗収入の源は貸出金利と支払手数料で、利益は預金調達費と貸倒費用を引いて残る。
| 数量個人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル) | 価格2025年実質元本1単位当たりの名目粗収入。契約金利と手数料を含み、将来はインフレ指数を含む | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,850 | 0.05 | 129 | 41 |
| 10 年後 中立 | 3,150 | 0.06 | 195 | 68 |
取り方:Form20-Fの個人向け融資2161億ポンドを2025年の台帳整合の1ポンド約1.319ドルで換算し約2850億ドル。第三者向け貸出利回り約4.3%にカード等の手数料収入を足すと粗収入約129億ドル。会社開示の個人部門の純金利収益60.64億ポンド、非金利収益4.31億ポンドとは、預金への利息支払前後で定義が違う。英国の住宅ローン残高約1兆7344億ポンドの12.5%に相当し、競合はロイズとネーションワイド。将来volumeは物価を除く実質貸出数量、priceは名目元本への換算指数を含むため、表のpriceを実際の住宅ローン約定年利と取り違えない。
法人・機関投資家銀行
約150万社向けの法人融資、決済、キャッシュ管理、為替・金利取引。市場規模は企業の実質資金需要と決済件数で、収入は貸出金利とサービス手数料の積。
| 数量法人向け貸出の実質元本(2025年ドル価値、億ドル) | 価格実質融資元本当たりの名目粗収入率。与信金利に決済・市場業務手数料を含む | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,035 | 0.08 | 158 | 54 |
| 10 年後 中立 | 2,450 | 0.11 | 261 | 89 |
取り方:Form20-FのC&I融資1542億ポンドを2025年台帳に合わせドル換算すると約2035億ドル。第三者向け貸出利回り約6%で粗利息は約92億ポンド、非金利収益26.60億ポンドを加え約119億ポンド、すなわち約158億ドルと推計。純収益88.09億ポンドは預金・市場調達利息控除後なので一致させない。会社は対象法人市場の預金約25%、融資約20%のシェアを主張し、主な競合はロイズ、バークレイズ、HSBC。物価増はvolumeでなくpriceの名目単価に入れる。FreeAgentを別掲するためこのうち粗収入0.4億ドル、利益0.05億ドルを切り出した。
プライベート銀行・資産運用
クーツの富裕層預金・貸出と、投資商品の運用・預かり手数料。2026年6月に買収完了したエブリンの運用預かり資産を将来数量に含める。
| 数量富裕層預金・貸出・運用預かり資産の実質合計(2025年ドル価値、億ドル) | 価格顧客資産負債1単位当たりの名目粗収入。銀行利ざやと運用管理報酬の混合単価 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,570 | 0.01 | 17 | 5 |
| 10 年後 中立 | 3,500 | 0.01 | 48 | 17 |
取り方:2025年PBWMの顧客資産・負債1190億ポンドを約1.319倍でドル換算し1570億ドル。融資189億ポンドの顧客向け利率約4.7%に非金利収益3.74億ポンドを加え粗収入約13億ポンド、約17億ドルと推計。AUMA585億ポンドは数量に含まれるが預金・融資と重ねて二重計上せず、会社のCAL定義に従う。2026年6月買収のエブリンAUMA690億ポンドはFY2025の実績には含めず2035年の数量増に明示的に加える。英国個人裁量運用市場約1兆ポンドが比較対象で、競合はラースボーンズ、セント・ジェームズ・プレイス等。
財務・流動性運用
中央銀行預け金・高格付け国債を保有し、銀行全体の流動性とヘッジを担う。粗い受取利息は大きいが調達支払利息で相殺される。
| 数量中央銀行預け金・高品質債券等の実質流動性資産(2025年ドル価値、億ドル) | 価格実質流動性資産1単位当たりの名目受取利息等。調達費用は利益率側に計上 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,920 | 0.05 | 95 | 3 |
| 10 年後 中立 | 2,000 | 0.06 | 120 | 2 |
取り方:2025年末の中央銀行現金約811億ポンド、高品質国債約614億ポンド等を実質運用資産約1450億ポンド、約1920億ドルと概算。全社の2025年粗収入は受取利息256.98億ポンド+受取手数料32.47億+売買収益11.12億+その他1.86億=約302.43億ポンド、約399億ドル。個人・法人・富裕層の貸出利率と手数料による粗収入の推計を差し引いた約95億ドルを、流動性運用とヘッジの粗受取収入に対応させた。部門単独の粗受取額は非開示なので推定精度は低い。全社利益102.8億ドルに合う中央損益2.8億ドルは財務台帳とIRの為替・区分差を含む概算。
フリーエージェント(会計SaaS)
英国の中小企業・会計士向けの請求・記帳・税務申告ソフト。課金型契約はAIによるUI操作代替を受け、NatWest口座保有者には無料提供されるため銀行側の預金維持にも寄与する。
| 数量会計ソフトのアクティブ利用事業者数(契約・件) | 価格1利用者当たり年収入のドル(有償と無償利用の混合実効単価) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 225,000 | 178 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 180,000 | 196 | 0 | 0 |
取り方:NatWest 2025年20-FはFreeAgentの顧客約22.5万件を開示。FreeAgent Central Ltdの2024年公開売上2899.7万ポンドから2025年を約3000万ポンドと仮置きし、台帳に合わせて約0.4億ドル、1利用者年178ドルの実効収入(NatWest口座で無償の人も含む)と推計した。連結決算で単独売上は開示されず、連結消去・内部補助もあるため精度は低い。英国内の中小事業者約570万件を母数にすると顧客浸透率約4%で、これは有料会計ソフト市場シェアではない。競合はゼロ、セージ、クイックブックス。AIエージェント代替の型は操作画面・席課金のSaaSであり、正式な税務接続だけでは低解約率や代替不能性の証拠が二つ足りないため『記録の正本』型とはしない。中立10年の数量0.80倍、単価1.10倍、部門長期g0%とする。
リスクと懸念
英国住宅市場と信用循環
貸出の大半は英国の家計・企業に向く。住宅価格が停滞し、失業と中小企業倒産が増えると貸倒引当が膨らむ。2025年の貸倒費用率16bpは低い局面の数字であり、金融危機では損失が数倍になる。住宅ローンの担保があっても処分までの費用と時間はかかり、自己資本と配当余力を減らす。
預金獲得費用と利ざや
顧客預金は4417億ポンドと大きいが、ロイズ、ネーションワイド、ネット銀行との金利競争で流出しうる。低利の固定住宅ローンが入れ替わる収益改善は、預金に払う金利が上がれば相殺される。中央銀行金利と住宅ローン利回りの差だけでなく、無利息当座預金と有利息定期預金の構成を監視する。
エブリン買収と規制自己資本
2026年6月末の運用事業買収は成立済みだが、統合と収益面の相乗効果はまだ仮説である。のれんへの規制上の控除でCET1は13.2%となった。2027年のバーゼル3.1でリスク加重資産が増えれば、通常配当の50%方針を残しても買戻しの余力は小さくなる。運用資産の市場価値が下落すれば買収資産の利益も縮む。
英国の銀行税と監督・訴訟
英国の銀行利益への追加税、預金者保護費用、金銭販売や口座管理に関する訴訟は、景気と無関係に純利益を削りうる。銀行に必要な最低CET1資本比率が引き上げられると、帳簿上利益が出ても還元に回せない。過去に公的救済を受けた歴史を踏まえ、規制の変化を成長率でなく配当可能性にも反映した。
法人融資と商業用不動産
インフラ、社会住宅や中堅企業の融資は関係を深める半面、英国不況が続けば担保評価と借換えの両方が悪化する。大企業・ファンド融資は市場の資金繰り悪化で一度に大口損失が出ることがある。融資増が利ざやの拡大だけで成り立っている時は、貸倒費用率の正常化で増収の意味が消える。
AIエージェント代替と運用・会計手数料
預金・融資・運用資産を保有して利ざやや運用料で稼ぐ銀行の大部分は、操作画面や人月で売る業務のAIエージェント代替類型に当たらない。ただし2018年買収のフリーエージェントは会計SaaSで、画面操作と契約課金に代替圧力がかかる。2025年の利用約22.5万件から中立10年の契約数を0.80倍、単価を1.10倍、部門の長期gを0%とした。HMRCの電子申告機能は強みでも、独占データ・低解約率など二つ以上の堀の証拠は確認できず、正本型としては評価しない。全社売上比は約0.1%なので銀行全体の長期gを0にすることはしない。
ドルで持つ英国銀行の為替・株主権
事業の貸出・預金・費用は主にポンドで発生し、米国のNWGはADRで保有する。比較のため見通しでは為替を固定しているが、実際のドル建て投資成果はポンドとドルの変動を受ける。ADR1口は普通株2株に相当し、会社全体の価値を計算する際に両方の株数を二重に数えてはいけない。特別議決権や政府の支配は現在の大きな制約ではない。
今後の分かれ目
- 顧客預金が2四半期連続で前年同期比減り、預金コストが貸出利回りより速く上がったら
- 個人・法人の名目粗収入率から利息費用増分を差し引き、やや悲観の確率を上げる。CET1の低下が伴えば正味還元も下げる。
- 住宅ローンの3か月超延滞が業界の水準へ接近し、貸倒費用率が年50bpを超えたら
- 中立の信用費用を引き上げて純利益と自己資本を再計算する。延滞が長期化すれば悲観の資産回収額も切り下げる。
- エブリンの運用資産純流入が継続し、年間費用相乗効果1億ポンドが実現したら
- 買収済みの運用部門の利益率と顧客資産数量を引き上げ、やや楽観側の確率を上げる。買収額を改めて資産価値に足すことはしない。
- 規制資本比率が13%を割り、同時に次の自社株買いが見送られたら
- 10年の正味還元を小さくし、自己資本留保が増えてもROEと利益の値決めを自動で上げない。規制資本の余裕が戻るまで慎重に見る。
- 法人の貸出残高が実質で年3%以上伸びる一方、延滞率が安定したら
- 対象顧客群でのシェア拡大が進む証拠となり、法人部門の数量の成長を上方修正する。スプレッドの縮小を伴えば単価側で相殺する。
- 英国で住宅ローン金利競争が強まり、新規融資シェアが10%を下回ったら
- 家計向け貸出の実質数量と利ざやを同時に引き下げる。新規契約の悪化が既存残高に遅れて及ぶため、利益減少は数年後に現れる。
- 2026年10月30日発表予定の第3四半期決算で2026年の収益または信用費用見通しが大幅に変わったら
- 現時点で確認できる最新の2026年上期から出発点を更新する。先に出た通期見通しの改定を10年の数量・価格・信用費用に反映する。
見ておくもの
- 個人・法人の貸出と預金の実質残高、英国住宅ローン新規実行の市場シェア
- 個人銀行と法人銀行の純金利マージン、預金コスト・無利息当座預金比率
- 貸倒費用率、住宅ローン3か月超延滞、商業用不動産と大企業融資の第3段階残高
- CET1比率13%の維持、バーゼル3.1に伴うリスク加重資産増加額
- 2026年6月完了のエブリン買収後AUMAの純流入、運用報酬単価、費用相乗効果
- 2028年の費用収益比率45%未満・有形自己資本利益率18%超の達成度
- 配当性向約50%、株式報酬控除後の買戻し額、英国の銀行追加税と顧客保護規制。会計SaaSフリーエージェントの継続利用数と実効単価も確認
倍率と資本コストの決め方
台帳の売上399億ドルは粗利息を含むため、会社開示の純収益と区別した。貸出の実質量、運用資産、手数料と名目単価から各部門の粗収入を再現し、調達費用・貸倒れを引いた利益を考えた。資本コストは8.0%+quality0.25%=8.25%。PERは10年後のROE、k、実質の市場数量と名目単価から出したgと、超過利益の残存割合1/2による正当化上限の約8〜9.5割で置いた。今や過去のPER・PBRと結論を合わせていない。会計SaaSはAI代替の数量0.80倍、単価1.10倍、長期g0%。全社売上0.1%のため銀行のgと分けた。銀行の現金は預金返済と流動性規制に要るため余剰現金を加算せず、ドル建てADRの基礎株数は普通株2株につき1口に整合させた。2026年10月29日時点で第3四半期は10月30日発表予定であり、確認済みの最新決算は2026年上期である。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国株の共通基本8.0%に質の調整+0.25%を加えた8.25%。英国経済への集中は信用循環に含め、エブリン買収や個別の不祥事は追加のkにせずシナリオと確率で扱う。株価βは使わない。