結論
レイモンド・ジェームズ・ファイナンシャル(RJF)は、約 9,000 人のファイナンシャル・アドバイザーを通じて米国の家計に資産運用の助言をする証券・ウェルス会社で、顧客資産は 2026 年 6 月に 1.92 兆ドル(前年比 17% 増)、そのうち手数料型は 1.15 兆ドル(22% 増)に達した。収益は 5 本で、(1) 資産残高に応じた手数料が約半分、(2) RJ バンクなどの純金利収益が 16%、(3) 取引手数料が 18%、(4) 投資銀行が 7%、(5) その他である。決算期は 9 月で、2025 年 9 月期の純収益は 140.7 億ドル、純利益は 21.3 億ドル(株式報酬を費用にした GAAP)、ROE は約 17% だった。
今の時価総額は 304 億ドル、純利益に対する PER は 14.3 倍、PBR は 2.4 倍で、過去 20 期の PER の中央値(16.4 倍)より下にある。筋書きは、助言付き資産が市場の伸び(年 5.5%)と純流入(年 1〜2%)で年 7〜8% 増え、手数料率は競争で少しずつ下がるため、中立では 2028 年 9 月期の純利益が約 27 億ドル、2035 年 9 月期が約 43 億ドルとなる。悲観は、10 年で手数料競争と AI 助言に押されて伸びが止まり、アドバイザーが流出する形を置いた。
資本コストは 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。利益ベースの式(資本コストを超える稼ぎは新しく投じるお金では半分に薄れる)で 10 年後の中立の正当化 PER は約 15.9 倍(ROE 16.4%・検査の式の g 4%)、その 8 割の 12.7 倍に置いた。確率を慎重側(悲観・やや悲観で 3 割半)に寄せると、10 年の価値は今の値段を 1 割強上回り、期待の年率は 8.4% と資本コストと同程度で、やや割安。倍率は資本コストと g に敏感で、その幅を含めて読む必要がある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後を問う。RJF は 10 年後も存在し、今より強い可能性が高い。堀は 3 つあり、アドバイザーに選ばれる仕組み(独立型と従業員型の両方、寛大な収益分配)、顧客の乗り換えにくさ(家計の資産は一度預けると動きにくい)、規模による費用の薄まり(技術投資 年 10 億ドル)である。ただし堀は IBKR のように費用の低さで築いたものではなく、人(アドバイザー)に依存し、堀の幅は競合の報酬競争で毎年削られる。
オーナー利益を見ると、純利益 21 億ドルのうち、伸びに必要な追加資本は預かり資産の伸び(年 8% 前後)に比例する自己資本と銀行の自己資本で、正味の還元は 5〜6 割。つまり株主が自由に使える利益は純利益の半分強で、残りは成長に回る。資本配分は、買収を小粒にとどめ、自社株買いを PER 15 倍前後という安い局面で続けた点で評価できる。
値段は、PER 14.3 倍・PBR 2.4 倍で、過去 20 期の PER の中央値 16.4 倍より下にある。式の上限は 10 年後に 16 倍前後で、中立はその 8 割の約 12.7 倍。割り戻すと今の値段より 1 割強高いだけで、安全域は厚くない。資本コストは 8.25% で、期待の年率は同程度である。確信度は中程度で、強気の筋書き(目標の 200 億ドルを大きく上回る)を 1 割未満、慎重側(悲観・やや悲観)を 3 割半と厚くした。
何で稼ぐ会社か
RJF の事業は 4 つの部門からなる。最大の PCG(プライベート・クライアント・グループ)は、純収益 102 億ドル(2025 年 9 月期、部門間の相殺前で全体の約 7 割)。独立型(自分の会社を持つアドバイザーが RJ の基盤を借りる)と従業員型の両方を持ち、アドバイザーは 8,943 人(2025 年 9 月末)。預かり資産に手数料率を掛けた収益が主で、残りは売買手数料と、顧客の現金の運用(スイープ)である。アドバイザーに収益の約 65%(報酬比率)を払い、残りが会社の取り分になる。
資本市場部門(2025 年 9 月期の収益約 17 億ドル)は、中堅企業向けの M&A 助言、株式・債券の引受、公共・地域金融、機関投資家向け取引。2026 年 3 月に構造化クレジットのグリーンズレッジ(GreensLedge)を買収し、「18 億ドルから 30 億ドル、さらに 50 億ドル」という拡大目標を掲げる。資産運用部門は運用資産 3,450 億ドル(2026 年 6 月、前年比 31% 増)で、2026 年に運用会社クラーク・キャピタル(Clark Capital、運用資産約 360 億ドル)を買収し、傘下のカリロン(Carillon)などと合わせて PCG の顧客に自社運用商品を売る。
銀行部門の RJ バンクは、貸出残高 562 億ドル(前年比 13% 増)、うち証券担保ローンが 248 億ドル(34% 増)。顧客の預け金(スイープ)を預金として受け入れ、貸出で運用して純金利ざや 2.7% 前後を得る。つまり収益の本体は「アドバイザーが連れてくる家計の資産」で、数量は預かり資産の残高、価格は手数料率と金利ざや、という素直な構造である。
優良さと弱いところ
優良さは 4 点にある。第 1 に、アドバイザーに選ばれる設計。独立型の自由度と従業員型の安定を併せ持ち、収益の分け方(報酬比率 65% 前後)が寛大なので、2026 年上期にウォールハウス 4 社から出た 517 人のうち、レイモンド・ジェームズ・ロックフェラー・RBC が主な受け皿になった。新規採用アドバイザーが前の会社で上げていた収益は 4.6 億ドル(前年比 21% 増)で、持ち込み資産は 12 か月で 690 億ドルに達した。第 2 に、収益が分散している(手数料・金利・取引・投資銀行)。2008 年の危機でも黒字を保った。第 3 に、保守的な資本。Tier1 レバレッジ比率 11.7%、総資本比率 22.5%、銀行の貸倒れ引当は 2026 年に戻入れ(利益)になっている。第 4 に、経営の資本配分。自社株買いを四半期 4 億ドルで続け、買収は小粒(クラーク、グリーンズレッジ)に限る。
弱い点は 3 つ。第 1 に、アドバイザー個人への依存。顧客はアドバイザーについていくため、転籍の自由度が高い独立型では、報酬比率の引き上げ競争(LPL・アメリプライズ・スティーフェル)が続く。第 2 に、規模では 2 番手集団で、シュワブ・モルガン・スタンレー・LPL のような集中度はない。第 3 に、利益率は 19% 台で、IBKR(税前 77%)のような高さはない。人件費(アドバイザーの歩合)が収益に連動するので、相場が下がると利益は減るが、固定費は小さく、利益率の振れは比較的小さい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国のウェルス(助言付き資産運用)市場は、家計の金融資産の上に立つ(助言付きだけで約 40 兆ドルと推定。出典のない推定)。業界全体の伸びは、相場の名目の上昇(年 5.5% 前後)と、家計の積み立て・世代間の相続(年 1〜2%)の和で、年 7% 前後。RJF の顧客資産 1.92 兆ドルは業界の 4〜5%(推定)にあたり、純流入は 2026 年 9 か月で年率 6.6%(会社目標は 7% 以上)と業界平均を上回るので、シェアは毎年じわじわ上がっている。
競争は 3 層ある。ウォールハウス(モルガン・スタンレー・メリルリンチ・UBS・ウェルズ・ファーゴ)は雇用型で、アドバイザーが流出しており、独立型や中堅に流れる。独立型の LPL ファイナンシャルは独立系ブローカーでのシェアを 2020〜24 年に 16% から 24% へ上げ、規模の経済で低い手数料を出せる。アメリプライズ・スティーフェル・エドワード・ジョーンズ(非上場)は従業員型の競合で、リクルートの報酬を競う。RJ はその中間で、独立型と従業員型の両方を持つ珍しい形である。
金利の面では、2026 年の短期金利 3.5〜4% で、顧客の現金はスイープから高利の MMF に流れ(スイープ残高は前年比 7% 増の 588 億ドルと、資産の伸びより遅い)、純金利ざやは 2.7% 台に下がった。ただし、銀行貸出(証券担保ローン 34% 増)が補っている。資本市場は、M&A・引受が 2026 年に回復し(投資銀行収益 37% 増)、循環の中ごろにある。最大の波は相場の急落と信用事故である。
資本政策と M&A
還元は厚い。2025 年 9 月期は配当 約 4 億ドルと自社株買い 13 億ドルで、純利益 21 億ドルの約 8 割を返し、株式報酬による株の増加分を引いた正味の還元でも 5 割強になる。2026 年は四半期 4 億ドルの自社株買いを続け、残りの承認枠は 11 億ドル。余剰資本は約 24 億ドル(2026 年 3 月)で、経営陣は M&A と自社株買いに配分する方針。Tier1 レバレッジ比率は 11.7% と、目標の 10% 以上を保つ。
M&A は小粒で価値を壊しにくい。2026 年 3 月に構造化クレジットの GreensLedge と運用会社 Clark Capital を完了した。2030 年までの目標は純収益 200 億ドル・税前利益率 20%・報酬比率 65%・調整後 ROE 17% 以上・調整後 ROTCE 20% 以上(2026 年 5 月の投資家説明会、二次情報)。大型買収(取引所・銀行)の話はなく、成立していない買収の織り込みはしない。ガバナンスは普通の公開会社で、創業家などの議決権の集中はない。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 12.0 億ドル(10-Q・2025 年 10 月〜2026 年 6 月、株式報酬の源泉徴収分を除く)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
RJF は、ウォールハウスから流出するアドバイザーの有力な受け皿であり、その流れは構造的に続く。2026 年上期だけで 517 人がウォールハウスを去り、レイモンド・ジェームズが主な受け皿の 1 つだった。顧客資産は 1.92 兆ドル、手数料型は 1.15 兆ドル(22% 増)で、純流入は年率 6.6%、新規採用の過去収益は 4.6 億ドル(21% 増)。この採用の勢いは 2〜3 年先の収益として確実に入ってくる。
収益の質も上がっている。銀行の貸出は 562 億ドル(13% 増)で、証券担保ローンは 34% 増。資本市場は投資銀行の 37% 増と、グリーンズレッジ買収による構造化クレジットの上乗せが続く。税前利益率は 19.1% で目標の 20% に近く、報酬比率 65.5% は目標どおり。2030 年に純収益 200 億ドルという目標が達成されれば、利益は 2025 年の 1.7 倍を超える。自社株買いも毎四半期 4 億ドル続き、年 2〜3% の株数減で 1 株の価値が積み上がる。k が 8.25% の安定した金融の収益に、式の上限の 8 割の倍率を当てると、本質価値は今の値段をやや上回る。
慎重な見方
RJF の収益の半分は、相場の水準に連動する手数料で、高値の時に最も良く見える。2026 年の記録的な数字(純収益 +16%、利益 +37%)は、相場の上昇と M&A の回復、顧客の現金金利が重なった結果で、そのどれかが逆回転すれば利益は簡単に 3〜4 割落ちる。2008 年のリーマンでは株価が山から 6 割下がった。
競争は費用側から効く。アドバイザーの報酬比率は上がり続け(LPL や従業員型の競合が高い報酬を提示)、RJ も採用のために費用を増やす。手数料率は、大口の顧客への値引き、AI を使った低価格の助言、ETF への移行で下がる。純金利収益は、短期金利の低下と MMF への資金流出でざやが 2.7% から縮み、スイープ残高の伸びは資産の伸びを下回る。銀行の 34% 増の証券担保ローンは、相場の急落で一斉に担保割れを起こす恐れがある。また、PBR 2.4 倍・PER 14 倍は、すでに年 8% の成長をそれなりに織り込んでいて、安全域は厚くない。
どちらに重みを置いたか
事業の質と成長の持続は強気の言い分が強く、利益の振れと手数料の競争は慎重な言い分が強い。式の倍率で割り戻すと、確率を慎重側に寄せても今の値段をやや上回るが、期待の年率は資本コストと同程度にとどまる。確率は、悲観 13%(手数料競争とアドバイザー流出による構造的な負け)、やや悲観 22%、中立 33%、やや楽観 23%、楽観 9% と、楽観を 1 割未満に抑えて置いた。相場連動の収益が半分を占め、利益の振れが大きいことを重く見た。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 263.22 ドル511 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 83.03 ドル161 億ドル)。 今の値に割り戻すと 174.99 ドル339 億ドル、今との差 +9.9%、 期待の年率 +8.1%(資本コスト 8.3%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 9% | 439.12 ドル852 億ドル | 91.75 ドル178 億ドル | +233.5% | +12.8% | 47.78 ドル93 億ドル |
| やや楽観 | 23% | 355.15 ドル689 億ドル | 91.24 ドル177 億ドル | +180.4% | +10.9% | 102.67 ドル199 億ドル |
| 中立 | 33% | 279.54 ドル542 億ドル | 89.18 ドル173 億ドル | +131.6% | +8.8% | 121.67 ドル236 億ドル |
| やや悲観 | 22% | 186.60 ドル362 億ドル | 84.54 ドル164 億ドル | +70.3% | +5.5% | 59.65 ドル116 億ドル |
| 悲観 | 13% | 67.01 ドル130 億ドル | 44.33 ドル86 億ドル | −30.1% | −3.5% | 14.47 ドル28 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 263.22 ドル511 億ドル | 83.03 ドル161 億ドル | +117.5% | +8.1% | 346.25 ドル672 億ドル |
今の株価時価総額 159.19 ドル309 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 9% 楽観:国内最大級の独立型ウェルスとして、純収益 370 億ドルへ 利益 58 億ドル · PER 14.8 倍 · 株価時価総額 439.12 ドル852 億ドル
2035 年 9 月期の手数料型資産は平均 2.65 兆ドル、預かり資産は 4.10 兆ドル(市場 年 5.5%、純流入 年 2.5%、シェアは 4.5% から 6% へ)。手数料率は 0.735%(アドバイザーの質で値下げを避ける)、NIM は 2.62%、投資銀行は手数料プール 2,800 億ドル × 取り分 1.0%(資本市場 50 億ドルの長期目標に届く)。純収益は約 366 億ドル(2025 年の 2.6 倍)、税前利益率は 20%、純利益は約 58 億ドル(2.7 倍)。10 年の還元は約 178 億ドル(5 割)。ウォールハウスの流出を取り込む構造が 10 年続く形。
- 資産連動手数料(手数料型資産 × 手数料率):数量 26,500(手数料型資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.01(残高に対する手数料率)→ 売上 195 億ドル・営業利益 47 億ドル。手数料型資産 26,500 億ドル × 率 0.735%
- 純金利収益(利息を生む資産 × 純金利ざや):数量 1,850(利息を生む資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.03(残高に対する純金利ざや(NIM))→ 売上 49 億ドル・営業利益 18 億ドル。利息を生む資産 1,850 億ドル × NIM 2.62%
- 取引手数料(預かり資産 × 取引収益率):数量 41,000(顧客の預かり資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産に対する取引収益の率)→ 売上 62 億ドル・営業利益 3 億ドル。預かり資産 41,000 億ドル × 率 0.150%
- 投資銀行・資本市場(手数料プール × 取り分):数量 2,800(RJ が狙う投資銀行の手数料プール(億ドル、中堅市場と米国中心。推定))× 価格 1.0%(プールに対する RJ の取り分(シェア))→ 売上 28 億ドル・営業利益 6 億ドル。手数料プール 2,800 億ドル × 取り分 1.00%
- その他の口座収益(預かり資産 × 収益率):数量 41,000(顧客の預かり資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産に対する収益率)→ 売上 34 億ドル・営業利益 4 億ドル。預かり資産 41,000 億ドル × 率 0.0820%
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 18.3%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 315 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 13.3%、g 4.0%(預かり資産は市場 +5.5%・純流入 +1.5% で伸び、手数料率が少し下がって、長期の名目は 4% 前後)。式の値は 16.4 倍で、これが検査の上限になる。アドバイザーの採用で預かり資産が伸び、手数料型の比率が高い。ただ手数料率の下落と相場への連動を抱えるので、上限の 8 割前後に置く。 上限の 9.0 割の 14.8 倍に置いた。
確率:確率 9%。純流入が年 7% を 10 年保ち、相場が名目で上がり続け、手数料率の下げも小さい必要がある。
やや楽観 23% やや楽観:シェアを少し上げ、資本市場も 40 億ドル台へ 利益 50 億ドル · PER 13.8 倍 · 株価時価総額 355.15 ドル689 億ドル
2035 年 9 月期の手数料型資産は平均 2.43 兆ドル、預かり資産は 3.75 兆ドル(市場 年 5.5%、純流入 年 2%)。手数料率は 0.728%、NIM は 2.58%、投資銀行は手数料プール 2,450 億ドル × 取り分 0.95%。純収益は約 330 億ドル、税前利益率は 19.5%、純利益は約 50 億ドル(2025 年の 2.3 倍)。10 年の還元は約 177 億ドル。独立型と従業員型の両輪で、シェアを 4.5% から 5.2% に上げる。資本市場は買収(グリーンズレッジ)と採用で 2030 年に 30 億ドルへ届き、その後は市場並みに伸びる。報酬比率は 65% で保たれ、手数料率の下げは年 0.7% にとどまる。
- 資産連動手数料(手数料型資産 × 手数料率):数量 24,300(手数料型資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.01(残高に対する手数料率)→ 売上 177 億ドル・営業利益 41 億ドル。手数料型資産 24,300 億ドル × 率 0.728%
- 純金利収益(利息を生む資産 × 純金利ざや):数量 1,700(利息を生む資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.03(残高に対する純金利ざや(NIM))→ 売上 44 億ドル・営業利益 16 億ドル。利息を生む資産 1,700 億ドル × NIM 2.58%
- 取引手数料(預かり資産 × 取引収益率):数量 37,500(顧客の預かり資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産に対する取引収益の率)→ 売上 56 億ドル・営業利益 3 億ドル。預かり資産 37,500 億ドル × 率 0.148%
- 投資銀行・資本市場(手数料プール × 取り分):数量 2,450(RJ が狙う投資銀行の手数料プール(億ドル、中堅市場と米国中心。推定))× 価格 1.0%(プールに対する RJ の取り分(シェア))→ 売上 23 億ドル・営業利益 4 億ドル。手数料プール 2,450 億ドル × 取り分 0.95%
- その他の口座収益(預かり資産 × 収益率):数量 37,500(顧客の預かり資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産に対する収益率)→ 売上 30 億ドル・営業利益 4 億ドル。預かり資産 37,500 億ドル × 率 0.0800%
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 17.5%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 286 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 12.9%、g 4.0%(預かり資産は市場 +5.5%・純流入 +1.5% で伸び、手数料率が少し下がって、長期の名目は 4% 前後)。式の値は 16.2 倍で、これが検査の上限になる。アドバイザーの採用で預かり資産が伸び、手数料型の比率が高い。ただ手数料率の下落と相場への連動を抱えるので、上限の 8 割前後に置く。 上限の 8.5 割の 13.8 倍に置いた。
確率:採用の勢いが 10 年のうち前半に強く、後半は市場並みに落ち着く。公表した 2030 年の目標を超えて伸びる形。
中立 33% 中立:資産は年 8% 近くで増え、純収益は 290 億ドル台へ 利益 43 億ドル · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 279.54 ドル542 億ドル
2035 年 9 月期の手数料型資産は平均 2.20 兆ドル、預かり資産は 3.40 兆ドル(市場 年 5.5%、純流入 年 1.5%、手数料型への切り替え)。手数料率は 0.720%(競合の報酬競争・値引き・AI 助言で 10 年に 0.74% から 3% ほど下がる。手数料率は資産の名目値に掛かるので物価上昇ぶんは資産の増加に入っている)、NIM は 2.55%、投資銀行は手数料プール 2,100 億ドル × 取り分 0.90%。純収益は約 293 億ドル(2025 年の 2.1 倍)、税前利益率は 18.7%、純利益は約 42.6 億ドル(2.0 倍)。10 年の還元は約 173 億ドル(正味 58%)。2030 年の目標(純収益 200 億ドル)とは同じ軌道。
- 資産連動手数料(手数料型資産 × 手数料率):数量 22,000(手数料型資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.01(残高に対する手数料率)→ 売上 158 億ドル・営業利益 36 億ドル。手数料型資産 22,000 億ドル × 率 0.720%
- 純金利収益(利息を生む資産 × 純金利ざや):数量 1,550(利息を生む資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.03(残高に対する純金利ざや(NIM))→ 売上 40 億ドル・営業利益 14 億ドル。利息を生む資産 1,550 億ドル × NIM 2.55%
- 取引手数料(預かり資産 × 取引収益率):数量 34,000(顧客の預かり資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産に対する取引収益の率)→ 売上 49 億ドル・営業利益 2 億ドル。預かり資産 34,000 億ドル × 率 0.145%
- 投資銀行・資本市場(手数料プール × 取り分):数量 2,100(RJ が狙う投資銀行の手数料プール(億ドル、中堅市場と米国中心。推定))× 価格 0.9%(プールに対する RJ の取り分(シェア))→ 売上 19 億ドル・営業利益 3 億ドル。手数料プール 2,100 億ドル × 取り分 0.90%
- その他の口座収益(預かり資産 × 収益率):数量 34,000(顧客の預かり資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産に対する収益率)→ 売上 27 億ドル・営業利益 3 億ドル。預かり資産 34,000 億ドル × 率 0.0780%
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 16.4%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 259 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 12.3%、g 4.0%(預かり資産は市場 +5.5%・純流入 +1.5% で伸び、手数料率が少し下がって、長期の名目は 4% 前後)。式の値は 15.9 倍で、これが検査の上限になる。アドバイザーの採用で預かり資産が伸び、手数料型の比率が高い。ただ手数料率の下落と相場への連動を抱えるので、上限の 8 割前後に置く。 上限の 8.0 割の 12.7 倍に置いた。
確率:議論の落としどころ。採用の優位は続くが相場は名目並み、手数料率と金利ざやは少しずつ下がる。
やや悲観 22% やや悲観:手数料率が下がり、報酬の競争で利益率が縮む 利益 32 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 186.60 ドル362 億ドル
2035 年 9 月期の手数料型資産は平均 1.90 兆ドル、預かり資産は 2.95 兆ドル(市場 年 5.5%、純流入 年 1%)。手数料率は 0.695%(大口の値引きと低価格の助言に押される)、NIM は 2.45%、投資銀行は手数料プール 1,800 億ドル × 取り分 0.82%。報酬比率が 67% 台に上がり、税前利益率は 16.8%、純収益は約 243 億ドル、純利益は約 31.7 億ドル(2025 年の 1.5 倍)。10 年の還元は約 164 億ドル。伸びは市場並みにとどまり、シェアは小さく下がる。
- 資産連動手数料(手数料型資産 × 手数料率):数量 19,000(手数料型資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.01(残高に対する手数料率)→ 売上 132 億ドル・営業利益 27 億ドル。手数料型資産 19,000 億ドル × 率 0.695%
- 純金利収益(利息を生む資産 × 純金利ざや):数量 1,350(利息を生む資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.02(残高に対する純金利ざや(NIM))→ 売上 33 億ドル・営業利益 11 億ドル。利息を生む資産 1,350 億ドル × NIM 2.45%
- 取引手数料(預かり資産 × 取引収益率):数量 29,500(顧客の預かり資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産に対する取引収益の率)→ 売上 41 億ドル・営業利益 2 億ドル。預かり資産 29,500 億ドル × 率 0.140%
- 投資銀行・資本市場(手数料プール × 取り分):数量 1,800(RJ が狙う投資銀行の手数料プール(億ドル、中堅市場と米国中心。推定))× 価格 0.8%(プールに対する RJ の取り分(シェア))→ 売上 15 億ドル・営業利益 2 億ドル。手数料プール 1,800 億ドル × 取り分 0.82%
- その他の口座収益(預かり資産 × 収益率):数量 29,500(顧客の預かり資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産に対する収益率)→ 売上 22 億ドル・営業利益 2 億ドル。預かり資産 29,500 億ドル × 率 0.0750%
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 14.4%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 220 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 11.3%、g 4.0%(預かり資産は市場 +5.5%・純流入 +1.5% で伸び、手数料率が少し下がって、長期の名目は 4% 前後)。式の値は 15.2 倍で、これが検査の上限になる。アドバイザーの採用で預かり資産が伸び、手数料型の比率が高い。ただ手数料率の下落と相場への連動を抱えるので、上限の 8 割前後に置く。 上限の 7.5 割の 11.4 倍に置いた。
確率:手数料の値下げと報酬競争が続き、シェアも小さく失う形。競合が多いので 2 割強を置く。
悲観 13% 悲観:手数料の崩れとアドバイザーの流出で、優良ではなくなる 利益 11 億ドル · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 67.01 ドル130 億ドル
2035 年 9 月期の手数料型資産は平均 1.45 兆ドル、預かり資産は 2.30 兆ドルに低迷し、シェアは 4.5% から 3% に下がる。手数料率は 0.640%(2025 年の 0.746% から 14% 下がる)、NIM は 2.25%、投資銀行は手数料プール 1,300 億ドル × 取り分 0.70%(資本市場の拡大計画が頓挫)。アドバイザーの流出で固定費が重くなり、手数料型の営業利益率は 11.5%、純収益は約 170 億ドル、営業利益は約 14.6 億ドル、純利益は約 11.4 億ドルと 2026 年の水準を大きく下回る。事業の ROE は 7.4% で k(8.25%)を下回るので、PER は 1÷k の 12.1 倍まで。損失に備えて配当と買い戻しを絞り、10 年の還元は約 86 億ドル(利益の約 85%)。
- 資産連動手数料(手数料型資産 × 手数料率):数量 14,500(手数料型資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.01(残高に対する手数料率)→ 売上 93 億ドル・営業利益 11 億ドル。手数料型資産 14,500 億ドル × 率 0.640%
- 純金利収益(利息を生む資産 × 純金利ざや):数量 1,050(利息を生む資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.02(残高に対する純金利ざや(NIM))→ 売上 24 億ドル・営業利益 5 億ドル。利息を生む資産 1,050 億ドル × NIM 2.25%
- 取引手数料(預かり資産 × 取引収益率):数量 23,000(顧客の預かり資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産に対する取引収益の率)→ 売上 29 億ドル・営業利益 1 億ドル。預かり資産 23,000 億ドル × 率 0.125%
- 投資銀行・資本市場(手数料プール × 取り分):数量 1,300(RJ が狙う投資銀行の手数料プール(億ドル、中堅市場と米国中心。推定))× 価格 0.7%(プールに対する RJ の取り分(シェア))→ 売上 9 億ドル・営業利益 0 億ドル。手数料プール 1,300 億ドル × 取り分 0.70%
- その他の口座収益(預かり資産 × 収益率):数量 23,000(顧客の預かり資産の平均残高(億ドル))× 価格 0.00(預かり資産に対する収益率)→ 売上 16 億ドル・営業利益 1 億ドル。預かり資産 23,000 億ドル × 率 0.0680%
倍率:事業の ROE 7.4%(この筋書きの純利益 11.4 億ドル ÷ 自己資本 154 億ドル)が k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)以下なので、PER は 1÷k = 12.1 倍まで(ためた利益は額面未満の価値。SCHEMA §1-1)。構造的に負けた会社の床として上限の 9.4 割の 11.4 倍に置いた。稼ぐ力(純利益 ÷ k)で測り、市場の過去倍率には寄せない。
確率:構造的な負け:AI・低価格助言・ETF で手数料率が崩れ、アドバイザーが大手や独立系に流れ、信用事故も重なる。確率 13%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
資産連動手数料(手数料型資産 × 手数料率)
アドバイザーが預かり資産の残高に応じて受け取る運用・助言手数料と、運用子会社・管理業務の手数料。収益の半分を占める。
| 数量手数料型資産の平均残高(億ドル) | 価格残高に対する手数料率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 9,450 | 0.01 | 71 | 17 |
| 10 年後 中立 | 22,000 | 0.01 | 158 | 36 |
取り方:2025 年 9 月期の PCG 手数料型資産は期末 1.01 兆ドル(前年比 15% 増)、期初は約 8,800 億ドルなので平均を 9,450 億ドルと置いた。資産管理・関連管理手数料は 9 か月で 60.9 億ドル(前年比 17% 増)から逆算して年約 70.5 億ドル、率は 0.746%。利益は報酬比率 65% 前後のあとの 24%(推定)。
純金利収益(利息を生む資産 × 純金利ざや)
RJ バンクの貸出(証券担保ローン・住宅ローン・企業向け)と、顧客のスイープ預金の運用で得る受取利息から支払利息を引いた収益。
| 数量利息を生む資産の平均残高(億ドル) | 価格残高に対する純金利ざや(NIM) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 790 | 0.03 | 22 | 8 |
| 10 年後 中立 | 1,550 | 0.03 | 40 | 14 |
取り方:2026 年 4〜6 月期の純金利収益は 5.60 億ドル(銀行 4.72 億ドル、NIM 2.71〜2.67%)。銀行貸出は 562 億ドル(前年比 13% 増)。年 22 億ドル ÷ NIM 2.78% で利息を生む資産を約 790 億ドルと置いた。利益率は銀行セグメントの税前利益(4〜6 月期 2.06 億ドル)から 36%。
取引手数料(預かり資産 × 取引収益率)
顧客の株・債券・投資信託の売買手数料と、自己勘定の売買益(プリンシパル取引)。
| 数量顧客の預かり資産の平均残高(億ドル) | 価格預かり資産に対する取引収益の率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 15,800 | 0.00 | 25 | 1 |
| 10 年後 中立 | 34,000 | 0.00 | 49 | 2 |
取り方:2025 年 9 月期の PCG 預かり資産は期末 1.67 兆ドル(前年比 11% 増)、期初 1.5 兆ドル弱で平均 1.58 兆ドル。ブローカレッジ収益は年約 24.8 億ドル(9 か月 18.8 億ドルが前年比 11% 増)から率 0.157%。アドバイザーへの歩合が大きいので利益率は 4%(推定)。
投資銀行・資本市場(手数料プール × 取り分)
M&A 助言・株式と債券の引受・シンジケートローン・構造化クレジットなど、資本市場部門の手数料。
| 数量RJ が狙う投資銀行の手数料プール(億ドル、中堅市場と米国中心。推定) | 価格プールに対する RJ の取り分(シェア) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,300 | 0.8% | 11 | 2 |
| 10 年後 中立 | 2,100 | 0.9% | 19 | 3 |
取り方:投資銀行収益は 2026 年 4〜6 月期に 2.91 億ドル(前年比 37% 増)、9 か月で 7.78 億ドル。2025 年 9 月期は約 10.5 億ドル(推定)。世界の投資銀行手数料プール 1,000〜1,500 億ドル(業界ノートの推定)のうち RJ が関わる範囲を 1,300 億ドルと置き、取り分 0.81%。資本市場部門全体の税前利益は年約 1.7 億ドル規模。
その他の口座収益(預かり資産 × 収益率)
口座サービス手数料・税額控除投資・保険・信託の手数料など、預かり資産に付く細かな収益。
| 数量顧客の預かり資産の平均残高(億ドル) | 価格預かり資産に対する収益率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 15,800 | 0.00 | 13 | 1 |
| 10 年後 中立 | 34,000 | 0.00 | 27 | 3 |
取り方:純収益 140.7 億ドルから上の 4 つを引いた残り 12.9 億ドルを平均預かり資産で割って 0.0816%(推定)。
リスクと懸念
相場の下落と手数料収入の連動
収益の約半分(資産連動手数料 70 億ドル)は預かり資産の残高に連動する。2008 年のように株価が 3〜4 割下がれば、手数料は 1〜2 割、取引と投資銀行はそれ以上減る。報酬比率は固定ではなく歩合なので利益の落ち方は緩やかだが、悲観の年は利益が 4 割ほど減ると置いた。
アドバイザーの報酬競争と流出
アドバイザーは顧客を連れて動く。LPL・アメリプライズ・スティーフェルが高い契約金と報酬比率で引き抜けば、RJ も報酬比率を上げる必要があり、費用が増える。報酬比率は 65% 前後で、1 ポイント上がると税前利益率は 1 ポイントほど下がる。
顧客の現金の流出と純金利ざやの縮み
短期金利 3.5〜4% では、顧客が現金をスイープから高利の MMF に移す。スイープ残高は 588 億ドル(7% 増)で資産の伸びに届かず、銀行の純金利ざやは 2.8% 前後から 2.7% に下がった。さらに下がれば純金利収益(収益の 16%)の伸びが止まる。
証券担保ローンと銀行の信用事故
銀行貸出 562 億ドルのうち証券担保ローンは 248 億ドルで、1 年で 34% 増えた。相場の急落で担保が足りなくなると、強制売却が連鎖して損失が出る。住宅ローンと企業向け貸出(商業用不動産を含む)の引当は 2026 年は戻入れだが、景気後退では増える。
資本市場の循環
投資銀行は 2026 年に 37% 増と回復の途中にあるが、M&A と引受は景気・相場で 3〜5 割振れる。資本市場を 18 億ドルから 50 億ドルに伸ばす計画は、人材の採用と買収(グリーンズレッジ)に費用が先行する。
手数料率の低下と AI 助言
AI による低価格の助言・ロボアドバイザー、ETF の広がり、大口顧客への値引きで、手数料率(手数料型資産に対して 0.75%)は年 0.5〜1.5% ずつ下がるおそれがある。シュワブなど低い手数料の競合が富裕層に広がれば、価格が崩れる。
今後の分かれ目
- ウォールハウスからの流出が続き、純流入が年 7% 以上を保つ
- 顧客資産の伸びが年 8〜9% に乗り、中立からやや楽観へ。2030 年の純収益 200 億ドルの目標が前倒しになる。
- 株価が 3 割以上下がり、顧客資産が減る
- 手数料が 1〜2 割減り、取引と投資銀行はそれ以上減る。利益は 3〜4 割落ちる。10 年の悲観に近づくかは、手数料率とアドバイザーの流出で決まる。ただし自己資本は厚く、赤字にはなりにくい。
- アドバイザーの報酬比率が 65% から 67% に上がる
- 税前利益率が 2 ポイント下がり、純利益は 1 割強減る。やや悲観の筋書き。
- 顧客の現金の MMF 流出で NIM が 2.5% を割る
- 純金利収益(収益の 16%)が伸びず、純利益は中立から 3〜5% 下がる。
- 証券担保ローンで大きな損失が出る
- 引当の積み増しで 1 年の利益が 1〜2 割減り、堀(リスク管理)の評判が傷つく。倍率の下げ要因。
- 余剰資本で大型の買収(取引所・銀行)を発表する
- 成立するまでは織り込まない。買収が高値なら価値を壊す可能性がある。自社株買いの減額で還元は下がる。
見ておくもの
- 四半期ごとの顧客資産・手数料型資産・純流入(年率 7% の目標との差)
- 新規採用アドバイザーの過去収益と、ウォールハウスからの流入の件数
- 純金利ざや(NIM)とスイープ残高、証券担保ローン残高と引当
- 資本市場(投資銀行)の収益と、グリーンズレッジの貢献、報酬比率(65%)と税前利益率(20% の目標)
- 自社株買いの額と余剰資本(約 24 億ドル)、LPL・アメリプライズの採用競争の動き
倍率と資本コストの決め方
今の PER 14.3 倍・PBR 2.4 倍・時価総額 304 億ドルを見る前に、5 つの収益(手数料型資産 × 率、利息を生む資産 × NIM、預かり資産 × 取引率、手数料プール × 取り分、預かり資産 × その他)を 10 年先まで積み上げ、利益ベースの正当化 PER((1−g/RONIC)/(k−g)、RONIC = k + 1/2 ×(ROE − k))の 7.5〜9 割を当てた。k は基本 8.0% + quality +0.25% の 8.25%、g は検査の式で 4%(この会社の長期の名目は 4.0% 前後)、ROE は帳簿の自己資本 ROE(中立 16.4%)。中立の正当化 PER は 15.9 倍で、その 8 割の 12.7 倍に置いた。倍率は過去の PER(中央値 16.4 倍)や今の PER に寄せていない。悲観は ROE 7.4% が k を下回るので PER を 1÷k の 12.1 倍までとし、11.4 倍に置いた。結果は今の値段を 1 割強上回り、期待の年率が資本コストと同程度のため、確率を慎重側(悲観 13%)に寄せて偏りを抑えた。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.25% = 8.25%。内訳は cycle +0.25・pricing +0.00・debt +0.00・life +0.00(%)で、理由は quality_why。β は使わない。個別の懸念(手数料率の下落・アドバイザーの流出・相場)は k に足さず、筋書きの数量・利益率と確率で表した。