結論
ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは、企業の買収・資金調達と機関投資家の証券売買を仲介する世界的な投資銀行である。筆者は現時点の評価を「やや割安」と見る。大手銀行から少しずつ案件を奪う力に比べ、市場が長期の利益成長を十分には評価していないためだ。ただし、安定的な手数料事業として高い値を払える会社ではない。
2025年度の台帳上の純利益は6.3億ドル、自己資本は105.7億ドルである。2026年8月期第3四半期は投資銀行と株式市場業務がともに四半期最高水準となり、直近12か月の純収益は約85億ドルまで増えた。2026年10月の投資家説明会では、投資銀行の世界順位が上がり、株式現物取引の世界シェアが5%台になったことが示された。過去に採用した人員と構築した取引基盤から、ようやく利益を取り始めている。
一方、企業買収の報酬は案件が成立しなければ入らない。調達金利が高いままなら引受や信用投資の傷も残る。ファースト・ブランズに関係する売掛債権の問題は、金融会社の帳簿がどれほど複雑かを示した。純有利子負債209億ドルを単純な工業会社の借金として扱うべきではないが、現金150億ドルを余剰資金として全額足すのも誤りだ。
10年後の中立では、助言案件と売買の取り分が増え、純利益は17億ドル台まで伸びると考える。その代わり、増資や株式報酬を差し引いた株主還元は慎重に見積もった。悲観側は競争による手数料の低下だけでなく、信用事故が常態化して顧客を失う場合まで含める。上振れは大きいが、堀は取引所の独占ほど深くない。価格に多少の安全域はあるものの、長期保有には取引シェアと信用損失の両方を監視する条件が付く。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、投資銀行の仕事そのものは10年後も必要だと考える。買収や資金調達には、企業の事情を知る担当者、投資家への販売網、巨額の取引を引き受ける資本が要る。ジェフリーズは一度顧客の懐に入れば次の案件にも呼ばれやすい。2019年からの人員と技術への投資が世界の上位に入る規模を作ったことは、目に見える成果である。
ただし、顧客をつなぎ留める力は取引所や格付け会社ほどではない。競争相手の大手銀行には貸出の資金力があり、成功報酬を下げても案件を獲得できる。取引先が変われば、数年かけて作った関係から得られる収益が一度に消える。加えて、信用投資の損失は平常時の利益を何年分も奪う可能性がある。
本来のオーナー利益は、GAAP純利益から事業拡大に必要な自己資本を積み、株式報酬と増資の払い込みを除いた後の分だ。2025年度の株主純利益6.3億ドルをそのまま永続成長させるのではなく、案件数と売買収益を別々に見た。中立で2035年の純利益を17億ドル台にするには、世界的な取引基盤の増分投資が資本コストを上回り続ける必要がある。
過去の買い戻しは株主にとって良い実績だが、信用不安が起きた時ほど配当の約束は弱くなる。ファースト・ブランズの問題から学ぶべきことは、表に出た直接投資額よりも、誰が担保と顧客資金を確認する責任を負うかである。長く持つ判断では、会計の純資産を無条件の床とせず、売れる資産の税引き後の額を見極める。
期待値は現在の時価総額を少し上回るが、飛び抜けた安全域ではない。経営が業務を広げるほど顧客の信頼を失う事故の損失も大きくなるため、業務拡張より監督の質を優先して評価したい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの第一の柱は投資銀行である。企業のM&Aや事業再編に助言し、株式や社債の発行を引き受ける。2025年度は助言392件、株式等の発行215件、債券の調達1,115件を完了した。報酬は助言案件の規模と成立の難しさ、引受金額と料率で決まる。企業と投資ファンドが顧客であり、JPモルガン、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーが主要な競合となる。
第二の柱は市場業務だ。株式の現物・電子売買、オプション、プライム・ブローカレッジと呼ぶヘッジファンド向けの融資や証券貸借、債券の売買を担う。株式と債券の純収益は2025年度にそれぞれ約19億ドルと9億ドルだった。注文量に対する小さな売買手数料、売値と買値の差、貸借の金利差が利益になる。人を増やすだけでは伸びず、世界各地の売買基盤とリスク管理への投資が要る。
第三の柱は運用である。ルーカディア・アセット・マネジメントや提携運用会社を通じ、資産残高と運用成果から報酬を得る。2025年末の運用資産は約308億ドルで、報酬収入は約1.4億ドルだった。残りの収入には投資損益、不動産開発、通信子会社など、売却を進めている旧来の持ち分事業が多く含まれる。契約に基づく運用料と一時的な売却益を同じ質の利益とは考えない。
台帳の2025年売上89.4億ドルは、会社の10-Kで確認できる純収益73.44億ドルと一致しない。差の約15.96億ドルは独立した儲けと認定せず、表では表示上の調整として明示した。台帳の営業利益43億ドルも会社開示の税引前利益8.71億ドルとは定義が違う。投資価値の中心は台帳で確認した普通株主の純利益6.3億ドルと、成約件数・取引収益から見た将来のGAAP利益に置く。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社が容易に奪えない強みは、大手企業と投資ファンドから継続的に案件を任される信用にある。投資銀行は案件を一度引き受けると、次の借換え、買収、株式発行にも声がかかりやすい。日本の三井住友フィナンシャルグループとの提携は、銀行の資金調達力とジェフリーズの海外販売網を結び付ける。2026年の投資家説明会では、投資銀行の幹部が2019年の212人から376人に増えたことが示され、株式現物の世界シェアも5.3%に達した。
市場業務は取引先の数と電子取引の規模が利点だ。大口のヘッジファンドは複数の証券会社に注文を分散するため、単一社との強い囲い込みは難しい。それでもプライム向け残高が2022年から約4倍に伸びたことは、上位顧客の取引の一角を確保した証拠である。2026年の会社説明では株式の国際取引の割合も高まり、地域をまたぐ注文に対応できるようになった。
しかし価格を自由に決められるわけではない。引受と助言は成果報酬が主で、会社の指名を外れれば次の収入は途絶える。株式取引は電子化と大手銀行の値下げで単価が下がりやすい。運用でも自社に独占的なデータはなく、フィーと投資損益の質に大きな差がある。このため堀は「普通」と判定し、永続的な超過収益を強い堀の水準まで残さない。
経営には良い資本配分の実績もある。2018年末からの総還元は約64億ドルに達し、希薄化後株数は約24%減った。半面、非議決権株による提携先への持ち分移転や株式報酬を考えると、買い戻し総額がそのまま既存株主の利益になるわけではない。十分な自己資本を維持しながら、買収や人材採用の増分利回りを資本コスト以上にできるかが本当の試金石となる。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
投資銀行の市場は長く残るが、景気で大きく振れる。企業が大きな買収をするとき、交渉、資金の引受、規制対応には人と信用の裏付けが必要だ。世界の投資銀行手数料の総額は年間およそ1,000〜1,500億ドルとの業界推定があり、ジェフリーズの2025年度投資銀行純収益37.9億ドルは、その約2.5〜3.8%に当たる。公式な同一定義の市場総額ではないため、ここでのシェアは概算である。
最大の相手はJPモルガン、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーだ。巨大な銀行は貸出の資金力を武器に手数料まで取りに来る。一方、ジェフリーズは独立系に近い機動性で、中堅から大型の企業買収やスポンサー案件を取り込んできた。会社が示した世界の投資銀行収益の順位は上位5社圏であり、これは過去の単なる拡大計画より重い証拠となる。
数量の中心となるM&A件数、引受件数、世界の機関投資家の売買機会は、長期では実質で年1〜3%程度増えると考える。物価3.5%による名目の値上がりは成約単価側で測る。中立では助言件数は392件から535件へ増え、株式と債券の引受を合計した件数は1,330件から1,650件へ増える。競合に対するシェアは小幅な上昇にとどめた。
市場業務は電子取引の集約と、大口ヘッジファンドの資金調達を一緒に提供できる会社への集中が続く。ジェフリーズの株式現物の世界シェア5%台は明確だが、デリバティブまで含めた収益シェアとは別物である。運用分野ではブラックロック、アポロ、アレスなどに比べてジェフリーズは小さく、規模で手数料を守る力は弱い。非公開融資や売掛債権の信用問題が続けば、市場が伸びても取引先からの信頼を失う危険がある。
2026年には日本の株式業務の合弁事業を2027年初めに始める計画や、未成立のヒルディーン持ち分取得がある。前者は顧客網の拡大に寄与し得るが、後者の未取得分の運用資産と利益を既成事実として加えていない。規制は自己資本・流動性・市場行為の監督を通じて競争条件を変える。現金の調達コストが高い環境では、売買の伸びが利益の伸びにつながるとは限らない。
資本政策と M&A
還元の基本は継続配当と機動的な自社株買いである。2025年度の台帳では配当約3.9億ドル、買い戻し約0.6億ドル、株式報酬約0.9億ドルだった。買い戻しが株式報酬の受け皿にもなるため、オーナーにとっては正味の還元を計算する必要がある。会社は2026年9月に新たな2.5億ドルの買い戻し枠を承認したが、10年分の確約ではない。
2018年末以降は64億ドルを株主に返し、希薄化後の株数を約24%減らした。一方、2025年末までの投資銀行員の増員や海外展開には大きな先行費用がかかった。これからは人員を急増させるより、既存の基盤で案件を増やして利益率を高める局面だ。会社が示す方向は明確だが、2035年の絶対利益や配当について拘束力のある数字の約束はない。
三井住友銀行は2026年8月時点で議決権株と非議決権株を合わせ約19.6%を保有する。少数株主への支配の集中は直ちに起きないものの、持ち分の計算は非議決権株も含める必要がある。約25億ドルの追加信用枠や日本の株式合弁は成長の支えとなる。ヒルディーンの50%取得は規制承認前で、予定される3.4億ドルの現金投資と未成立の対象利益は現在の連結実績に足していない。
旧事業のテセリスは売却契約が結ばれ、2027年初めの完了を見込む。非中核の資本を減らせば利益の変動を抑えられるが、売却益を恒常利益として扱うべきではない。信用事故が続けば還元より自己資本と資金繰りを優先する会社であり、悲観側では増資や株式報酬による取り分の目減りまで差し引いた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
この会社は長年「大手になりたい証券会社」だったが、すでに世界の上位に入る投資銀行になっている。2026年8月期の四半期では助言と株式売買が最高水準となった。投資銀行の幹部は2019年から大きく増えたが、2026年の会社説明では従業員の規模を生かす段階に移った。既存の取引基盤で売上を増やせるなら、追加の利益率はこれまでより高くなる。
三井住友フィナンシャルグループは大きな銀行の資金力を持つ一方、海外の投資銀行網はなお強化の余地がある。ジェフリーズはこの組み合わせで、日本企業の海外案件や欧州の投資ファンド取引を取れる。2026年には両社の共同案件が増えており、提携が単なる資本関係でないことも確認できた。日本の株式合弁が予定どおり進めば、電子売買と引受の顧客基盤も広がる。
株式現物の世界シェアは5%台に達し、プライム・ブローカレッジの顧客残高は2022年から約4倍になった。取引所の独占ほどの堀はなくても、世界で高度な電子注文を処理できる証券会社は限られる。規模が拡大すれば同じ基盤を多くの注文で使え、顧客に安い価格を示しながら利益を増やせる。AIは取引事務と調査の生産性を上げるが、新しい売上を生んだという未検証の期待は必要ない。
旧来の不動産・通信持ち分を売却して金融事業に集中すれば、純利益の質も良くなる。過去の総還元と株数減少からは、経営が株主への現金の返還を重く見てきたことが分かる。信用事故の対応費を十分に吸収できれば、2035年には資本利益率が15%を超え、増える利益と正味還元の両方を既存株主が受け取れる。
慎重な見方
収益の増え方は見栄えが良いが、投資銀行には一度成立しなかった案件の手数料を翌年取り戻せない弱さがある。企業買収の件数が落ちると、優秀な人材の報酬や拠点の費用だけが残る。大手銀行は融資と引受を一体で提案できるため、ジェフリーズの関係を切り崩せる。2026年の高い売買収益も、市場が大きく動いた時期の一時的な活況かもしれない。
より深刻なのは信用と評判だ。ファースト・ブランズの債権について、会社は2026年8月期の10-Qで自らの関係投資をゼロ評価した。加えて別の売掛債権でも偽造の疑いを開示し、回収や訴訟に長い時間がかかると説明している。直接保有額だけを見れば資本を吹き飛ばす水準ではないが、資産運用の監督に弱点があるなら、第三者資金と取引相手の信頼も同時に失う。
金融の現金は顧客の資産や証券在庫の決済に必要で、台帳の現金150億ドルを自由に配れるわけではない。純負債209億ドルという数字も短期調達と証券貸借を含み、通常の事業会社と同じ物差しでは読めない。この複雑さが、見えている利益より大きな損失を生む危険を残す。危機時には自己資本を守るため株主への還元を止め、場合によっては株式を発行する。
AIエージェント代替も見逃せない。一般的な企業調査や資料作成は自動化され、顧客が証券会社の調査に払う費用を減らせる。助言の最終責任は人が負うとしても、競争によって報酬率が下がる恐れがある。最悪の場合、案件を取り逃がすことと信用損失が重なり、会社が以前の優良な地位へ戻らない。
どちらに重みを置いたか
規模の利益が出始めたことは確認できるが、過去のROEの低さと信用事故を無視するほどの堀はない。上振れの2筋書きは合計32%、中立30%、下振れの2筋書きは38%と、やや慎重側に寄せた。調査業務へのAIエージェント代替は数量と価格に反映しており、その同じ理由で資本コストを二重に上げていない。
資本コスト9%では、純利益を増やせば評価は伸びる一方、リスク管理が壊れた時は帳簿純資産より売却可能な資産を優先する。確率加重した10年の価値は約113億ドルで、台帳による今の時価総額約100億ドルを約14%上回る。「やや割安」だが、価格差だけで安心できるほどの企業ではない。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 80.41 ドル179 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 26.04 ドル58 億ドル)。 今の値に割り戻すと 50.89 ドル113 億ドル、今との差 +10.3%、 期待の年率 +10.3%(資本コスト 9.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 166.65 ドル371 億ドル | 44.45 ドル99 億ドル | +357.7% | +19.6% | 25.33 ドル56 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 122.83 ドル274 億ドル | 38.61 ドル86 億ドル | +250.0% | +16.0% | 32.29 ドル72 億ドル |
| 中立 | 30% | 86.48 ドル193 億ドル | 29.18 ドル65 億ドル | +150.8% | +11.5% | 34.70 ドル77 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 31.29 ドル70 億ドル | 15.26 ドル34 億ドル | +0.9% | +0.1% | 11.17 ドル25 億ドル |
| 悲観 | 14% | 17.08 ドル38 億ドル | 4.04 ドル9 億ドル | −54.2% | −8.1% | 2.96 ドル7 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 80.41 ドル179 億ドル | 26.04 ドル58 億ドル | +130.8% | +10.3% | 106.45 ドル237 億ドル |
今の株価時価総額 46.12 ドル103 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 楽観:世界上位行として規模の利益が定着 利益 29 億ドル · PER 12.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 166.65 ドル371 億ドル
大型M&Aの世界市場が景気後退を挟みながらも拡大し、ジェフリーズは企業や投資ファンドからの継続案件を増やす。助言は年間680件となり、平均報酬も案件規模の大型化で上がる。株式と債券の引受は2,200件に増え、三井住友との提携を通じて日本企業の海外調達も取り込む。JPモルガンやゴールドマン・サックスとの差は残るが、世界の投資銀行手数料プールで4%を超える取引獲得が続く。
市場業務では株式現物の世界シェアがさらに広がり、プライム向けの融資・清算が利益を支える。国際的な売買とデリバティブの量が増え、株式市場業務の収益は2025年の約3倍へ近づく。旧来の通信・不動産持ち分を処分して資本を主力業務に寄せる。未成立のヒルディーン取得は、そのままの運用利益を加えずに潜在的な成長機会と見る。
投資銀行の固定費を既存の基盤で吸収し、2035年の純利益は29億ドルとなる。自己資本は利益の積み上げと還元で183億ドル前後に達し、ROEは16%近くを保つ。10年間の正味還元は99億ドル。2026年に見えていた運用資産の信用問題が再発しなかったことが、この高い利益率を維持する条件である。
- M&A・企業助言:数量 680(年間成約助言案件数(件))× 価格 0.09(成約1案件あたりの純手数料(億ドル/件))→ 売上 59 億ドル・営業利益 20 億ドル。市場件数と案件獲得シェア、案件大型化を反映。人月単価は使わない。
- 株式・債券の引受:数量 2,200(株式等と債務調達の完了件数合計(件))× 価格 0.02(成約1件あたりの純引受収益(億ドル/件))→ 売上 42 億ドル・営業利益 12 億ドル。引受件数と平均発行額・交渉料率の組み合わせ。
- 株式市場業務・プライムサービス:数量 37.5(2025年の購買力で測る世界の株式市場業務収益プール×獲得シェアに相当する取引数量指数(億ドル相当))× 価格 1.50(1単位の取引仲介収入指数(2025年=1、物価分を含む))→ 売上 56 億ドル・営業利益 15 億ドル。取引数量・世界シェアの変化を含み、付帯リサーチのAI代替で減る部分を控除。
- 債券・信用市場業務:数量 17.5(2025年購買力の世界債券ディーラー収益プール×獲得シェアに相当する数量指数(億ドル相当))× 価格 1.48(1単位の売買・組成手数料指数(2025年=1))→ 売上 26 億ドル・営業利益 5 億ドル。ディーラーの顧客取引と信用リスクを反映。
- 運用報酬・提携運用:数量 650(物価影響を除いた運用資産残高(億ドル、2025年購買力))× 価格 0.01(運用資産当たり報酬率(実質残高基準、物価変化を単価側に入れる))→ 売上 4 億ドル・営業利益 1 億ドル。AUMの実質変化と物価・報酬率の組み合わせ。
- 旧持ち分投資・運用投資損益:数量 2.0(保有資産からの収益機会(2025年売上換算指数))× 価格 1.00(資産1単位当たり換金・収益指数(2025年=1))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。売却・清算と保有リスクで数量が変わる非継続事業。
- 金融業務の売上表示差額(非事業調整):数量 25.0(台帳と10-Kの表示差に関係する金融取引の数量換算指数(億ドル相当))× 価格 1.40(融資・証券貸借に伴う総額表示の物価・金利感応指数(2025年=1))→ 売上 35 億ドル・営業利益 0 億ドル。売上表示の差だけ。顧客に販売した独立商品ではなく利益ゼロ。
倍率:利益ベースの正当化PERを用い、k=9.0%、成熟後のg=3.5%(案件市場の実質成長と市場シェアの小幅増、名目の契約単価上昇から導出)、普通の堀の残存割合1/2を適用。2035年の事業ROEは15.8%、RONICは12.4%で、来期利益の式(1−g/RONIC)/(k−g)に(1+g)を掛けた上限は約13.5倍。景気循環・報酬競争・信用事故を考え、その95%である12.80倍を選んだ。市場のPER・PBRは使わない。
確率:世界の大型M&A市場が実質で伸び、日米欧の大型案件でもシェアを確保する可能性はある。ただし十年間にわたり信用事故を抑えて進む確率は高くない。
やや楽観 20% やや楽観:規模拡大と資本効率改善が進む 利益 23 億ドル · PER 12.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 122.83 ドル274 億ドル
助言は600件、引受は1,900件へ増える。世界の案件全体が実質で拡大し、三井住友との共同案件も日本に限らず欧州・米国で定着する。競合のJPモルガンとゴールドマン・サックスは引き続き上位案件を押さえるが、ジェフリーズは中堅から大型の案件で一定の存在感を保つ。大型案件を獲得できても値決め力が特別に強いわけではなく、引受の単価上昇は物価に近い範囲にとどまる。
株式市場業務では、ヘッジファンドから受ける注文とプライム業務が伸びる。電子執行の価格競争を受けても量の増加が勝り、株式の純収益は40億ドル台へ拡大する。固定収益取引は好不況で落ちる年があっても長期で顧客数を増やす。運用報酬は外部資金の増加で積み上がるが、旧投資事業からの一時的な利益にはほとんど頼らない。
これまで採用した人員と技術の生産性が上がり、2035年の純利益は22.8億ドルに達する。10年の累計利益から正味86億ドルを返し、自己資本は165億ドル前後へ厚くなる。信用事故による一時的な費用を吸収できれば、資本利益率も約14%まで改善する。
- M&A・企業助言:数量 600(年間成約助言案件数(件))× 価格 0.08(成約1案件あたりの純手数料(億ドル/件))→ 売上 48 億ドル・営業利益 15 億ドル。市場件数と案件獲得シェア、案件大型化を反映。人月単価は使わない。
- 株式・債券の引受:数量 1,900(株式等と債務調達の完了件数合計(件))× 価格 0.02(成約1件あたりの純引受収益(億ドル/件))→ 売上 34 億ドル・営業利益 9 億ドル。引受件数と平均発行額・交渉料率の組み合わせ。
- 株式市場業務・プライムサービス:数量 32.0(2025年の購買力で測る世界の株式市場業務収益プール×獲得シェアに相当する取引数量指数(億ドル相当))× 価格 1.45(1単位の取引仲介収入指数(2025年=1、物価分を含む))→ 売上 46 億ドル・営業利益 11 億ドル。取引数量・世界シェアの変化を含み、付帯リサーチのAI代替で減る部分を控除。
- 債券・信用市場業務:数量 14.5(2025年購買力の世界債券ディーラー収益プール×獲得シェアに相当する数量指数(億ドル相当))× 価格 1.42(1単位の売買・組成手数料指数(2025年=1))→ 売上 21 億ドル・営業利益 4 億ドル。ディーラーの顧客取引と信用リスクを反映。
- 運用報酬・提携運用:数量 570(物価影響を除いた運用資産残高(億ドル、2025年購買力))× 価格 0.01(運用資産当たり報酬率(実質残高基準、物価変化を単価側に入れる))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。AUMの実質変化と物価・報酬率の組み合わせ。
- 旧持ち分投資・運用投資損益:数量 1.0(保有資産からの収益機会(2025年売上換算指数))× 価格 1.00(資産1単位当たり換金・収益指数(2025年=1))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。売却・清算と保有リスクで数量が変わる非継続事業。
- 金融業務の売上表示差額(非事業調整):数量 23.0(台帳と10-Kの表示差に関係する金融取引の数量換算指数(億ドル相当))× 価格 1.40(融資・証券貸借に伴う総額表示の物価・金利感応指数(2025年=1))→ 売上 32 億ドル・営業利益 0 億ドル。売上表示の差だけ。顧客に販売した独立商品ではなく利益ゼロ。
倍率:利益ベースの正当化PERを用い、k=9.0%、成熟後のg=3.5%(案件市場の実質成長と市場シェアの小幅増、名目の契約単価上昇から導出)、普通の堀の残存割合1/2を適用。2035年の事業ROEは13.8%、RONICは11.4%で、来期利益の式(1−g/RONIC)/(k−g)に(1+g)を掛けた上限は約13.0倍。景気循環・報酬競争・信用事故を考え、その92%である12.00倍を選んだ。市場のPER・PBRは使わない。
確率:助言と株式市場業務の伸びは既に2026年に確認できる。資本投下が大きく膨らまない範囲でシェアを維持し、一定の利益率改善が進む筋書きを中立よりやや低い確率で見る。
中立 30% 中立:案件は増えるが報酬競争は残る 利益 17 億ドル · PER 11.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 86.48 ドル193 億ドル
世界のM&A案件と発行需要は今後10年で実質的に緩やかに増える。ジェフリーズは大型行の背中を追い、2025年の助言392件を2035年には535件へ増やす。引受は株式と債券を合わせ1,650件となる。助言の平均料金は物価にほぼ沿って増えるが、引受では競争による値引きが残り、件数と価格の両方が利益の伸びを制限する。
株式市場業務は電子取引の集約とプライムサービスの拡大で実質数量を約44%増やす。2026年の世界現物シェア5%台を大きく伸ばすことは当てにせず、取引の多様化で収益を増やす。債券市場業務は2025年の低調な水準から正常化するが、信用リスクを取った運用で無理に稼がない。調査サービスの一部はAIエージェントに置き換わり、同じ業務を人手で行っていた時の手数料は戻らない。
旧事業の売却で一時収益が減る一方、金融の主力に費用を集中できる。2035年のGAAP純利益は17.2億ドルとなり、自己資本158.2億ドルに対するROEは約10.9%へ改善する。累計の正味還元は65億ドルで、利益を全額吐き出すことはない。信用事故の後始末を含めても損益が安定してくるが、最大手の銀行のような幅の広い堀は得られない。
- M&A・企業助言:数量 535(年間成約助言案件数(件))× 価格 0.08(成約1案件あたりの純手数料(億ドル/件))→ 売上 41 億ドル・営業利益 12 億ドル。市場件数と案件獲得シェア、案件大型化を反映。人月単価は使わない。
- 株式・債券の引受:数量 1,650(株式等と債務調達の完了件数合計(件))× 価格 0.02(成約1件あたりの純引受収益(億ドル/件))→ 売上 27 億ドル・営業利益 6 億ドル。引受件数と平均発行額・交渉料率の組み合わせ。
- 株式市場業務・プライムサービス:数量 27.5(2025年の購買力で測る世界の株式市場業務収益プール×獲得シェアに相当する取引数量指数(億ドル相当))× 価格 1.40(1単位の取引仲介収入指数(2025年=1、物価分を含む))→ 売上 39 億ドル・営業利益 9 億ドル。取引数量・世界シェアの変化を含み、付帯リサーチのAI代替で減る部分を控除。
- 債券・信用市場業務:数量 12.5(2025年購買力の世界債券ディーラー収益プール×獲得シェアに相当する数量指数(億ドル相当))× 価格 1.38(1単位の売買・組成手数料指数(2025年=1))→ 売上 17 億ドル・営業利益 3 億ドル。ディーラーの顧客取引と信用リスクを反映。
- 運用報酬・提携運用:数量 500(物価影響を除いた運用資産残高(億ドル、2025年購買力))× 価格 0.01(運用資産当たり報酬率(実質残高基準、物価変化を単価側に入れる))→ 売上 3 億ドル・営業利益 1 億ドル。AUMの実質変化と物価・報酬率の組み合わせ。
- 旧持ち分投資・運用投資損益:数量 0.7(保有資産からの収益機会(2025年売上換算指数))× 価格 1.00(資産1単位当たり換金・収益指数(2025年=1))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。売却・清算と保有リスクで数量が変わる非継続事業。
- 金融業務の売上表示差額(非事業調整):数量 20.0(台帳と10-Kの表示差に関係する金融取引の数量換算指数(億ドル相当))× 価格 1.40(融資・証券貸借に伴う総額表示の物価・金利感応指数(2025年=1))→ 売上 28 億ドル・営業利益 0 億ドル。売上表示の差だけ。顧客に販売した独立商品ではなく利益ゼロ。
倍率:利益ベースの正当化PERを用い、k=9.0%、成熟後のg=3.5%(案件市場の実質成長と市場シェアの小幅増、名目の契約単価上昇から導出)、普通の堀の残存割合1/2を適用。2035年の事業ROEは10.9%、RONICは9.9%で、来期利益の式(1−g/RONIC)/(k−g)に(1+g)を掛けた上限は約12.2倍。景気循環・報酬競争・信用事故を考え、その92%である11.20倍を選んだ。ROEがkを超えるため1/kの11.11倍より高く、市場のPER・PBRは使わない。
確率:2026年の投資銀行幹部の増員成果と株式売買シェアの上昇を認める一方、信用費用と単価下落を織り込んだ中間の道筋である。最頻の単独筋書きと見るが過半数にはしない。
やや悲観 24% やや悲観:投資銀行の地位は残るが利幅が縮小 利益 8 億ドル · PER 8.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 31.29 ドル70 億ドル
M&Aの世界市場が伸びても、ジェフリーズへの案件の流入は鈍る。JPモルガン、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーが融資と引受を組み合わせて顧客を確保し、助言は430件にとどまる。引受は1,360件で横ばいに近く、単価の伸びも物価に追い付かない。中核の投資銀行は残るが、最高水準の成約を前提に固定費を抱えた効果が逆に出る。
株式の現物取引では電子執行の価格競争が進み、会社が2026年に獲得したシェアの一部を失う。プライムの顧客は維持するものの、融資条件が厳しく、余剰資本を積み増す必要がある。調査資料や企業分析を自動で作るAIエージェントが増え、証券会社の付帯情報の価値も削られる。旧事業は換金が進むが、信用事故に伴う訴訟と監督の費用が利益を押し下げる。
2035年の純利益は8.2億ドルで、10年の累計正味還元は34億ドルにとどまる。自己資本は144.2億ドルまで積み上がってもROEは約5.7%で、増分投資に十分な超過収益が生まれない。過去のROEや市場が付けた倍率を下値の理由にはせず、稼ぐ力と税引き後に売れる資産を上限・床として評価する。
- M&A・企業助言:数量 430(年間成約助言案件数(件))× 価格 0.07(成約1案件あたりの純手数料(億ドル/件))→ 売上 30 億ドル・営業利益 6 億ドル。市場件数と案件獲得シェア、案件大型化を反映。人月単価は使わない。
- 株式・債券の引受:数量 1,360(株式等と債務調達の完了件数合計(件))× 価格 0.01(成約1件あたりの純引受収益(億ドル/件))→ 売上 20 億ドル・営業利益 4 億ドル。引受件数と平均発行額・交渉料率の組み合わせ。
- 株式市場業務・プライムサービス:数量 19.5(2025年の購買力で測る世界の株式市場業務収益プール×獲得シェアに相当する取引数量指数(億ドル相当))× 価格 1.26(1単位の取引仲介収入指数(2025年=1、物価分を含む))→ 売上 25 億ドル・営業利益 4 億ドル。取引数量・世界シェアの変化を含み、付帯リサーチのAI代替で減る部分を控除。
- 債券・信用市場業務:数量 10.0(2025年購買力の世界債券ディーラー収益プール×獲得シェアに相当する数量指数(億ドル相当))× 価格 1.22(1単位の売買・組成手数料指数(2025年=1))→ 売上 12 億ドル・営業利益 1 億ドル。ディーラーの顧客取引と信用リスクを反映。
- 運用報酬・提携運用:数量 390(物価影響を除いた運用資産残高(億ドル、2025年購買力))× 価格 0.01(運用資産当たり報酬率(実質残高基準、物価変化を単価側に入れる))→ 売上 2 億ドル・営業利益 0 億ドル。AUMの実質変化と物価・報酬率の組み合わせ。
- 旧持ち分投資・運用投資損益:数量 0.4(保有資産からの収益機会(2025年売上換算指数))× 価格 1.00(資産1単位当たり換金・収益指数(2025年=1))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。売却・清算と保有リスクで数量が変わる非継続事業。
- 金融業務の売上表示差額(非事業調整):数量 17.0(台帳と10-Kの表示差に関係する金融取引の数量換算指数(億ドル相当))× 価格 1.25(融資・証券貸借に伴う総額表示の物価・金利感応指数(2025年=1))→ 売上 21 億ドル・営業利益 0 億ドル。売上表示の差だけ。顧客に販売した独立商品ではなく利益ゼロ。
倍率:利益から見たROEは5.7%でk9.0%以下であり、長期に新規投資しても資本コストを稼げないためPER上限は1/k=11.11倍。取引先との関係劣化と信用損失を反映して8.50倍とした。税引き後の売れる金融資産の推定床50.0億ドルを上回り、稼ぐ力による上限91.1億ドルを下回る。過去の市場倍率を床には使わない。
確率:大手行との手数料競争と売買の電子化が進み、信用事故の追加費用も残る。事業の存続は見込めるが自己資本利益率が資本コストに届かない場合を重く見る。
悲観 14% 悲観:信用と市場シェアを同時に失う 利益 1 億ドル · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 17.08 ドル38 億ドル
信用投資で追加の不正と回収不能が発覚し、監督当局と主要顧客の信頼を失う。顧客の情報を適切に確認できない証券会社という評判が広まると、損失を穴埋めするだけでは元の商売に戻れない。大手銀行が案件を奪い、助言件数は230件へ減る。引受も950件に縮み、低価格でしか受注できなくなる。合意済みの大型買収による救済や、旧事業売却益への依存は見込まない。
株式市場業務はヘッジファンド向けの貸付と売買が細る。機関投資家がより安全な決済先を選び、電子取引の規模で劣勢となる。調査資料はAIエージェントで代替され、人を抱える情報サービスにも値下げが広がる。信用事業では不良資産の処分が続き、資産運用の委託も減る。2026年の強さは一時的な山となり、会社は収益の大半を失う。
10年間には初期の黒字約13億ドルに対して信用・訴訟・減損の損失約30億ドルが起き、その後の小幅な利益を合わせると累計純損失は約8億ドルになる。正味還元は配当の初期分から増資の払い込みを差し引いて9億ドルに縮み、自己資本は約88.7億ドル。2035年の純利益は1.1億ドルにすぎない。価値の床は今の自己資本の額面ではなく、金融資産を処分して債務と費用を払った後の回収額に限る。
- M&A・企業助言:数量 230(年間成約助言案件数(件))× 価格 0.06(成約1案件あたりの純手数料(億ドル/件))→ 売上 14 億ドル・営業利益 1 億ドル。市場件数と案件獲得シェア、案件大型化を反映。人月単価は使わない。
- 株式・債券の引受:数量 950(株式等と債務調達の完了件数合計(件))× 価格 0.01(成約1件あたりの純引受収益(億ドル/件))→ 売上 10 億ドル・営業利益 0 億ドル。引受件数と平均発行額・交渉料率の組み合わせ。
- 株式市場業務・プライムサービス:数量 11.0(2025年の購買力で測る世界の株式市場業務収益プール×獲得シェアに相当する取引数量指数(億ドル相当))× 価格 1.10(1単位の取引仲介収入指数(2025年=1、物価分を含む))→ 売上 12 億ドル・営業利益 1 億ドル。取引数量・世界シェアの変化を含み、付帯リサーチのAI代替で減る部分を控除。
- 債券・信用市場業務:数量 8.0(2025年購買力の世界債券ディーラー収益プール×獲得シェアに相当する数量指数(億ドル相当))× 価格 1.08(1単位の売買・組成手数料指数(2025年=1))→ 売上 9 億ドル・営業利益 0 億ドル。ディーラーの顧客取引と信用リスクを反映。
- 運用報酬・提携運用:数量 200(物価影響を除いた運用資産残高(億ドル、2025年購買力))× 価格 0.00(運用資産当たり報酬率(実質残高基準、物価変化を単価側に入れる))→ 売上 1 億ドル・営業利益 0 億ドル。AUMの実質変化と物価・報酬率の組み合わせ。
- 旧持ち分投資・運用投資損益:数量 0.1(保有資産からの収益機会(2025年売上換算指数))× 価格 1.00(資産1単位当たり換金・収益指数(2025年=1))→ 売上 0 億ドル・営業利益 0 億ドル。売却・清算と保有リスクで数量が変わる非継続事業。
- 金融業務の売上表示差額(非事業調整):数量 10.0(台帳と10-Kの表示差に関係する金融取引の数量換算指数(億ドル相当))× 価格 1.10(融資・証券貸借に伴う総額表示の物価・金利感応指数(2025年=1))→ 売上 11 億ドル・営業利益 0 億ドル。売上表示の差だけ。顧客に販売した独立商品ではなく利益ゼロ。
倍率:信用事故で構造的に敗れ、10年後のROE1.2%がk9%を大幅に下回るため利益の永続資本化をしない。今の普通株自己資本105.7億ドルを基準にPBR0.36倍とし、時価総額38.05億ドル。税引き後の処分可能資産は約38.0億ドルという独立した試算に基づき、同額が実現可能な床に近い。将来の積み上がった自己資本にはPBRを掛けず、過去の谷の倍率も使わない。
確率:金融監督の失敗と取引先の流出が重なる構造的敗北を置いた。倒産そのものを前提とはしないが、約10年間の減益と資本毀損を受けた会社に高い評価は与えない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
M&A・企業助言
企業の買収・事業売却・再編助言。件数と成立案件の規模に応じた成功報酬を得る。
| 数量年間成約助言案件数(件) | 価格成約1案件あたりの純手数料(億ドル/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 392 | 0.05 | 21 | 12 |
| 10 年後 中立 | 535 | 0.08 | 41 | 12 |
取り方:2025年10-Kで助言392件、助言純収益21.454億ドルを確認。21.454÷392=1件約0.0547億ドル。世界の投資銀行手数料総量は約1000〜1500億ドルの概算で、助言の取り分は世界大手の3〜4%程度と推計。これは人月契約ではなく成立案件への報酬のためAI人月型に当たらず、通常の取引数量×価格で測る。
株式・債券の引受
株式発行、転換証券、社債・ローンの主幹事と引受を担う。発行件数と発行額、引受料率で稼ぐ。
| 数量株式等と債務調達の完了件数合計(件) | 価格成約1件あたりの純引受収益(億ドル/件) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,330 | 0.01 | 16 | 9 |
| 10 年後 中立 | 1,650 | 0.02 | 27 | 6 |
取り方:10-Kの2025年株式等215件と債務調達1115件を合計1330件。株式引受7.719億ドルと債務引受8.700億ドルで合計16.419億ドル、加重平均手数料を約0.01235億ドルとする。案件構成が変われば単価も変わるため単価は固定契約料金ではない。資金調達の発行件数は実質、金額の名目化は平均料金に入れる。
株式市場業務・プライムサービス
株式・株式デリバティブの売買、電子執行、ヘッジファンドへの融資と証券貸借。調査サービスも顧客取引に付随する。
| 数量2025年の購買力で測る世界の株式市場業務収益プール×獲得シェアに相当する取引数量指数(億ドル相当) | 価格1単位の取引仲介収入指数(2025年=1、物価分を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 19.1 | 1.00 | 19 | 12 |
| 10 年後 中立 | 27.5 | 1.40 | 39 | 9 |
取り方:10-Kの株式市場純収益19.079億ドルと、2026年投資家説明会で現物株の世界市場シェア5.3%を確認。株式全体の金銭収益プールは約850億ドルという独自推定で、19.08÷850=2.25%の獲得シェアに相当する。ただし5.3%は現物出来高シェアであり収益シェアではない。電子売買・プライムはAIエージェント代替の直接の人月型ではないが、付帯する調査情報は情報サービス型として中立の調査数量0.65倍、単価1.15倍、長期g0%を想定。調査単独の売上は非開示なので全社売上に独立して二重計上せず、現物取引の量・単価の伸びから控除した。
債券・信用市場業務
社債、ローン、証券化商品、地方債、為替・信用商品を売買し、利幅と顧客への流動性供給で収益を得る。
| 数量2025年購買力の世界債券ディーラー収益プール×獲得シェアに相当する数量指数(億ドル相当) | 価格1単位の売買・組成手数料指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 9.1 | 1.00 | 9 | 6 |
| 10 年後 中立 | 12.5 | 1.38 | 17 | 3 |
取り方:10-Kの2025年債券純収益9.099億ドル。世界の機関債券ディーラー収益プール約1000億ドルは大手各社の市場業務収入をもとにした粗い推定で、同社の獲得シェアは約0.91%。実際の債券売買枚数は会社非開示なので実質取引機会のシェアで代替し、利回り5%の想定は利ざやと損失の側に反映する。
運用報酬・提携運用
自己の運用資金と提携運用会社に預けた外部資金に対し、残高連動報酬や成果報酬を受ける。
| 数量物価影響を除いた運用資産残高(億ドル、2025年購買力) | 価格運用資産当たり報酬率(実質残高基準、物価変化を単価側に入れる) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 308 | 0.00 | 1 | 1 |
| 10 年後 中立 | 500 | 0.01 | 3 | 1 |
取り方:2025年10-Kの運用資産AUM308.42億ドルと運用報酬・提携会社からの収入1.409億ドルから0.457%を算出。AUMには自社投資や報酬対象外資産も含むため、報酬率は契約純料率そのものではない。物価を含んで増える将来の名目AUMを実質に直した値を数量に置き、物価による増加を単価に1回だけ入れる。運用資産残高×報酬なので人月・席型には該当しない。
旧持ち分投資・運用投資損益
不動産開発、通信事業、保有ファンド投資など。順次売却し、将来の定常的な売上源にはしない。
| 数量保有資産からの収益機会(2025年売上換算指数) | 価格資産1単位当たり換金・収益指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 6.0 | 1.00 | 6 | 3 |
| 10 年後 中立 | 0.7 | 1.00 | 1 | 0 |
取り方:会社開示の資産運用純収益7.102億ドルから運用報酬1.409億ドルを差し引くと5.693億ドル。これに全社その他収益約0.255億ドルを加え約5.95億ドルとした。これは市場に対する成長事業ではなく、実現益・持分収益・保有資産の粗い収益換算。テセリス売却などで数量が縮む。
金融業務の売上表示差額(非事業調整)
台帳の売上と会社開示の純収益をつなぐ定義差。独立した顧客事業とみなさず、価値を生む利益も与えない。
| 数量台帳と10-Kの表示差に関係する金融取引の数量換算指数(億ドル相当) | 価格融資・証券貸借に伴う総額表示の物価・金利感応指数(2025年=1) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 16.0 | 1.00 | 16 | 0 |
| 10 年後 中立 | 20.0 | 1.40 | 28 | 0 |
取り方:添付factsの2025年度売上89.4億ドルから、会社10-Kの純収益73.44億ドルを引いた15.96億ドルとの差を端数調整して表示。両資料は収益定義・集計方法が異なり、差の個別取引内訳は検証できない。実際の独立した金融商品ではなく、将来も営業利益0として扱う会計上の橋渡しであり、金利収入をもう一度利益に足さない。
リスクと懸念
M&Aと引受市場の循環
成約件数は景気、株価、買収融資の条件で急減する。大口案件は延期されるだけでなく中止になるため、翌年の受注残に必ず残るわけではない。人材の固定報酬と国際拠点の費用はすぐには減らせず、2026年の最高水準を平年の利益と誤認すると、長期の純利益を大きく見積もる。
ファースト・ブランズと信用事故
ルーカディアのポイント・ボニータが保有していた売掛債権に不正の疑いが生じ、2026年8月期の開示では同社の関連投資がゼロ評価された。別の貿易金融債権でも書類偽造の疑いがあり、回収は年単位となり得る。直接の損失だけでなく、販売する信用商品に対する投資家と規制当局の信頼を損ねる可能性がある。
証券在庫と金融調達
台帳の純有利子負債208.8億ドルは大きいが、証券貸借やレポによる市場仲介の負債を含む。安定した非金融企業の借入と同じ倍率にしてはいけない。一方で証券の担保価値が下がり資金調達が細れば、売れるはずの資産を安値で処分することになり、帳簿の自己資本と実際の回収額は大きく食い違う。
AI エージェント代替
株式リサーチの資料作成、調査情報の要約、初期的な企業分析はAIエージェント代替の対象である。調査は取引手数料に付帯し単独売上が非開示なので、数量0.65倍・価格1.15倍の情報サービス型を内部感応度として考慮する。大口案件の法的責任や執行は別だが、AIを自社の有料商品として販売した実績は確認できず、利益率改善のみを断定しない。
顧客関係と値決め力の不足
グローバルの助言取引ではJPモルガン、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーが同じ大型顧客を狙う。融資と引受を組み合わせる競合に対し、ジェフリーズは案件ごとの価格交渉になりやすい。株式現物のシェアが伸びても電子執行の単価は下がり得るため、売買の数量増がオーナー利益の増加につながるとは限らない。
買収・提携と既存株主の取り分
三井住友銀行の経済持ち分は約20%で非議決権株を含む。提携先の資本は強みとなるが、種類株の転換・報酬株の発行と買い戻しを別々に見ると既存株主の正味の還元を誤る。ヒルディーン50%取得の3.4億ドルの投資も未成立で、成果が確定する前から運用利益を丸ごと織り込まないことが必要である。
規制資本・取引監督・訴訟
投資銀行は自己資本、顧客資産保全、証券販売の適合性、マネーロンダリング防止など複数国の規制を受ける。信用事故の調査や訴訟費用が増えると、取引先の信用枠が縮み、配当や自社株買いの余力が落ちる。深刻な不祥事では損失金額以上に営業上の資格や顧客関係が損なわれる。
今後の分かれ目
- 投資銀行の市場シェアが世界の手数料プールで4%以上を維持し、助言完了件数も年500件を超えたら
- 中立の助言数量が裏付けられ、楽観側の確率を増やす。人員増加なしで税引前利益率が高まるかを同時に確認する。
- 株式現物の世界シェアが5%台に定着し、プライム事業の残高が成長を続けたら
- 売買と金融仲介が規模の利益を生むため、株式市場業務の数量と利益率を引き上げる。単価下落がそれを食わないか点検する。
- ファースト・ブランズ関連以外でも追加の売掛債権の不正が発見され、監督の欠陥が認定されたら
- 信用損失に加え顧客の流出を想定し、やや悲観と悲観の確率を厚くする。帳簿純資産でなく税引き後の処分可能資産を床にする。
- 調査サービスの有償契約・取引手数料がAIの普及で継続的に減り、調査数量の減少が35%を超えたら
- 付帯リサーチの縮小が売買仲介にも波及すると判断する。株式市場業務の実質数量と単価を下げ、楽観側を減らす。
- テセリス売却とヒルディーン取得の承認が進み、残存持ち分投資の実現利益が明確になったら
- 旧事業の損失要因が減った分だけ全社の純利益の持続性を高める。ただし成立前の対象利益や売却益を恒常利益に算入しない。
- 配当と自社株買いから株式報酬・新規払込を引いた正味還元が純利益の半分を継続的に超えたら
- 成長に必要な自己資本を確保できていることを条件に、正味還元の筋書きを強める。種類株の変換は時価総額と還元の二重計上を避ける。
見ておくもの
- 助言成約件数、企業買収の公表額と投資銀行手数料の世界シェア
- 株式現物の世界出来高シェア、電子取引の収益とプライム向け残高
- 投資銀行・市場業務の税引前利益率と社員報酬比率
- SMBCの経済持ち分、非議決権株数、2027年の日本株式合弁の実行
- ファースト・ブランズ、ポイント・ボニータ、他の貿易金融債権の回収損益
- テセリス売却、ヒルディーン取得と旧事業持ち分の圧縮状況
- 株式報酬控除後の正味還元と資産運用の第三者AUM・顧客純流入
倍率と資本コストの決め方
2025年の会社決算にある案件件数・引受件数、株式・債券の純収益、運用資産から数量と価格を先に見積もった。台帳の売上と会社の純収益の差を売上表示の調整として切り分け、その項目には営業利益を一切与えていない。中立の利益は2035年の個別事業の取引機会と税引前採算から17.2億ドルとなり、現時点の株価から逆算していない。資本コストは基本8%と循環加算1%で9%、長期成長率3.5%、普通の堀として正当化PERは中立約12.2倍となるため、景気変動と信用損失の不確実性を考慮して11.2倍を採用した。純現金は余剰として足しておらず、金融業の利払いは売買・調達収支に含めた。米国のオフィス賃貸はASC842で既に計上済みで、将来の比較でも家賃を営業費用として見続ける。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。米国の基本8.0%+質の補正1.0%=9.0%。金融会社の調達負債は業務原価であり純負債倍率を機械的に上乗せしない。事故の個別リスクは悲観の利益と確率に織り込み、βと今の市場の評価倍率は使わない。