結論
オールステート(Allstate)は、個人向けの自動車保険と住宅保険を主力とする米国第 2 位の損害保険会社である。2025 年の P&C の経過保険料は 577 億ドル、純利益は 102 億ドル、複合損害率は 85.2 と、過去 10 年で最良の年だった。2026 年 4〜6 月期も純利益 32 億ドル、複合損害率 86.6 と好調で、契約は自動車 +2.8%・住宅 +2.9%、自動車の新規は +59% と攻めに転じている。
ただし今の利益は山にある。2025 年の自動車の複合損害率 85.0 には過年度の準備金の戻し 4.8 ポイントが含まれ、基礎の損害率は 88 前後。住宅も災害損失が軽かった。料率は 2026 年に差し引きゼロへ転じ、フロリダなどでは主要各社が値下げ、広告費は 2023 年通年 6 億ドルから 2026 年上期だけで 11 億ドル超へ膨らんでいる。会社は「できるだけ速く成長する」と言い、利益率は下がる側に動く。
バリュー投資の観点では、10 年後も自動車と住宅の保険は存在し、保険料は物価並みに近く伸びる。堀はプログレッシブほど深くない(価格決定力はデータの差で劣る)が、2 億 1 千万件の契約網・代理店・ブランド・保証事業とのクロス販売があり、今より弱くはならないと見る。中立の筋書きは、複合損害率が約 94〜95 に落ち着き、10 年後に純利益 94 億ドル・有形 ROE 約 20%。倍率は正当化 PER 13.4 倍の 8.4 割(11.3 倍)に置いた。
結論は +24%(総合で「やや割安」)。資本コスト 9.25%(基本 8.0% + quality +1.25%)と ROE の高さによる結果で、差は前提に敏感だ。悲観の確率は 10 年で 12% を置き、悲観では還元を合わせて今の時価総額の 91% まで落ちる筋書きも織り込んだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、個人向け自動車と住宅の保険は『預かった保険料(フロート)を安く使い続けられるか』で価値が決まる。オールステートは引受で利益を出しながら運用資産を 832 億ドルまで積み上げ、年 34 億ドルの運用益を得ている。引受益が出る限りフロートは費用のかからない資本であり、これが堀の中心である。ただしプログレッシブと比べて価格を決める力が弱く、利益率は景気ではなく競争で下がる。
オーナー利益は、純利益から支払余力(自己資本)を増やす分を引いたものである。保険料が増えれば自己資本も要るので、全部は株主のものにならない。2025 年は純利益 102 億ドルのうち配当と自社株買いは 22 億ドルにとどまり、余剰資本が 95 億ドルまで積み上がった(これは今後の還元に回る)。中立の筋書きでは、10 年間の純利益の合計約 810 億ドルのうち約 7 割を返せる計算になる。
資本配分の評価は中の上。災害年でも自社株買いを続け、買収で価値を壊した例は少ない。一方、2022〜23 年に損害額の急騰を読み違えて赤字を出した点は、事業の予測しやすさを下げる。安全域は、利益が山にあることと、ROE の高さが倍率を押し上げることの 2 点から、慎重に取る。倍率は正当化 PER の 8.4 割より割り引かず、悲観を厚く(10 年 12%)、基礎の利益率を平常(複合損害率 94)まで戻した筋書きに寄せた。わかりやすい事業なので確信度は高いが、災害と傷害の損害額という予測しにくい 2 つが残る。
何で稼ぐ会社か
オールステートは 5 つの塊で稼ぐ。第一に個人向け自動車。2025 年の経過保険料は 381 億ドルで P&C の 66%、契約は約 2,550 万件。専属の代理店、独立代理店、直販(電話・ネット)、ナショナル・ジェネラル(National General)経由の非標準自動車と、複数の売り方を持つ。第二に個人向け住宅(火災・風災・賃貸・コンドミニアム)。経過保険料 154 億ドル、契約 770 万件。ハリケーン・竜巻・雹・山火事の災害損失を負う側で、2025 年の災害損失は 50 億ドル、うち住宅が 41 億ドルだった。
第三にその他の個人保険(賃貸物件・二輪・傘保険など)と商業(小口)で、合わせて経過保険料約 42 億ドル。第四にプロテクション・サービス。電子機器や家電の保証(SquareTrade・Allstate Protection Plans が小売店・携帯会社経由で約 1 億 7 千万件)、ロードサイド、自動車ディーラー向け商品、ID 保護、運転データの Arity からなり、売上 35 億ドル・調整後純利益 2 億ドル。保険と違って災害に左右されにくく、保険を売る代理店・顧客への追加販売に使われる。第五に、運用。預かった保険料と自己資本の運用資産は 2025 年末に 832 億ドル、年間の純投資収益は 34 億ドルで、債券が 7 割、株式 1 割、リミテッド・パートナーシップ(私募ファンド)1 割。
2025 年に職域任意保険と団体医療(Allstate Health and Benefits)を売却し、保険以外の事業を整理した。会社の中核は『個人の自動車と住宅を、複数の窓口で売り、料率を細かく付ける』ことにあり、AI を使って引受・請求・販売の費用を下げる『Transformative Growth(変革的成長)』を 2023 年から進めている。2026 年上期の広告費は 11 億ドル超(資料により 21 億ドルの表記もあり、確認できた下限を書いた)と、2023 年通年の約 6 億ドルから大きく増やした。株主還元は配当と自社株買いで、2026 年 6 月末の保有会社の余剰資本は 95 億ドル、40 億ドルの自社株買い枠のうち残りは 26 億ドル。
優良さと弱いところ
堀は 3 段で見る。第一に規模と販売網。契約は全体で 2 億 1,000 万件(保証・ID 保護を含む)、個人向け自動車では NAIC の 2025 年データでステート・ファーム 18.6%、プログレッシブ 18.6%、ガイコ 11.6% に次ぐ 10.2% の 4 位(会社単位)。専属代理店・独立代理店・直販の三本立てで、住宅と自動車のセット販売が強み。住宅を持つ家庭は自動車の契約が長続きしやすい。
第二に価格の精度。保険は事故の確率を 1 台ごとに値付けする競争で、プログレッシブは運転の記録とデータで先を行く。オールステートも 250 を超える分析モデルと 40 ペタバイトのデータを持つと言うが、2022〜23 年の損害額の急騰では料率が追いつかず複合損害率が 100 を超え(2022 年の営業利益は赤字)、その後に二桁の値上げで取り戻した。この経緯は、価格を決める力がプログレッシブより弱いことを示す。
第三に費用。変革的成長で AI による費用削減を進めるが、広告費は増えて 2026 年 4〜6 月期の費用率は 1 ポイント悪化した。資本効率は高い。2025 年の ROE は 34%(調整後 38%)、自己資本はまだ薄く、自社株買いで株数は年 3〜5% 減ってきた。弱みは、利益が災害と準備金の戻しで年ごとに大きく振れること(2022〜23 年は赤字・ほぼゼロ、2024 年 47 億ドル、2025 年 103 億ドル)、住宅の災害損失、傷害の損害額(訴訟費用・医療費)が下がらないことである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の個人向け自動車保険は年 3,800 億ドル規模(推定)で、上位 4 社が約 6 割を占める。2021〜23 年は修理費・中古車価格・医療費の急騰で損害が料率を上回り、各社は大幅に値上げした。2024〜25 年は事故の頻度が下がり、遅れて効いた値上げで利益が過去最高になった(2025 年の業界の個人自動車の複合損害率は 91.8、Triple-I)。
2026 年は利益が出すぎた局面で、競争が始まっている。フロリダの規制当局は主要 5 グループが 2026 年の料率を平均 −8% にしたと発表し、ジョージアでもオールステート傘下が −5%。オールステートの 2026 年 4〜6 月期は 36 州で改定したが全体は差し引きゼロ、新規契約は +59% に増えた。ステート・ファームはイリノイで 2 回に分けて合計約 15% を値下げし契約者へ 50 億ドルの配当を出すと発表、ガイコ(バークシャー・ハサウェイ)も攻めに転じている。住宅は過去 2 年で料率を大きく上げ、2025 年の複合損害率は 84.4 まで戻ったが、災害損失(ハリケーン・雹・山火事)は年ごとに振れ、損害の物価も高い。
構造の変化は 3 つある。運転支援・自動運転で事故が減ること(保険料の 1 件あたりの額が物価に届かなくなる)、気候による災害損失の恒常化(カリフォルニア・フロリダでは大手の撤退・縮小が続く)、関税による部品高である。業界ノートは、2026 年は料率の伸びが鈍り、2027〜28 年に利益率が平常へ戻ると見る。オールステートの個人自動車の中立の複合損害率は 94 前後、住宅は 94〜95 が妥当である。
資本政策と M&A
資本政策は『必要な資本を残し、余剰を自社株買いと配当で返す』である。2025 年は 22 億ドル超を還元し、同年に 40 億ドルの自社株買い枠(24 か月)を発表した。2026 年 6 月末の保有会社の余剰資本は 95 億ドルで、4〜6 月に 10 億ドルを買い戻し、残りは 26 億ドル。直近 1 年の還元は 35 億ドル(時価総額の 6.7%)。普通株は 2026 年 6 月末で 2.535 億株と 1 年で 3.9% 減った。優先株は約 20 億ドル、有利子負債は 75 億ドルで、自己資本の約 22%。
M&A は、2025 年に職域任意保険と団体医療を売却して保険に集中し、プロテクション・サービスは保証事業に絞る方向である。大きな買収は近年なく、2021 年のナショナル・ジェネラル(National General。非標準自動車・提携先)取り込みが最後の大型案件。買収の可能性より、余剰資本の使い道(自社株買い・販売網の増強・広告)が焦点になる。ガバナンスは CFO が 2026 年 8 月に交代(Christian Lown が就任)した以外に大きな変化は確認できなかった。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
オールステートは変革が実を結び始めた会社である。AI を使った引受と請求で費用率を下げ、広告と値下げを売り込みに使いながら複合損害率 85 を保つ余地がある。2026 年の自動車の新規契約は +59%、住宅の新規は +47% で契約は 2.8〜2.9% 増え、保有会社の余剰資本 95 億ドルは自社株買いに回る。ステート・ファームが値下げと配当で守りに回り、プログレッシブとガイコが広告を強める中でも、4 位から 3 位へ上がる余地は十分ある。
運用益は金利が高い世界の追い風を受ける。2025 年の純投資収益は 34 億ドル、2026 年 4〜6 月期は 10 億ドルで年 40 億ドルを超え、低利の債券が入れ替わるだけで増える。プロテクション・サービスは保証の件数が年 3% 台で伸び、調整後純利益も 2 億ドルを超える。住宅は 2 年の値上げで基礎の損害率 58〜62 まで戻り、災害損失が平年なら複合損害率 90 を切る。保険料が 10 年で約 1.9 倍になり、複合損害率が 92 前後に収まれば、純利益は 10 年後に 130 億ドルに届く。有形 ROE 25% なら、利益ベースの上限は PER 約 14 倍で、10 年後の時価総額は今の 2.6 倍に届く。
慎重な見方
今の利益は山にある。2025 年の自動車の複合損害率 85.0 のうち 4.8 ポイントは過年度の準備金の戻しで、基礎は 88。個人自動車の複合損害率は 2022〜23 年に 100 を超え、会社自身も『ガイダンスなし・戻しは織り込まない』と言う。2026 年は料率が差し引きゼロ、傷害の損害額(訴訟・医療費)は高止まりで、広告費は上期だけで 11 億ドル超。利益率は下がる方向にしか動かない。
住宅は災害損失が 2025 年に 41 億ドルで軽い年だった。2024 年の複合損害率は 90、2023 年は 108。カリフォルニア・フロリダの規制や気候の変化で、災害の恒常化が起きれば利益は消える。長期では、運転支援と自動運転(ウェイモ、テスラ)で事故が減り、保険料の総額が伸びなくなる。個人自動車は寡占でも価格をデータで決める競争になり、オールステートは価格決定力でプログレッシブに及ばず、値下げに追随して利益率を削られる側に立つ。資本コストは quality で +1.25% 上げて 9.25% としたが、わずか 0.5% の上振れで倍率は 1 割以上下がり、前提に敏感である。
どちらに重みを置いたか
事業の質は、規模と販売網・運用益・資本還元の面で強気の見方が優勢だが、価格決定力と利益率の持続は慎重な見方を取った。基礎の利益率を準備金の戻しのない平常(自動車 94・住宅 94〜95)まで戻し、10 年後に純利益 94 億ドルとした。確率は中立に最も厚く(10 年 34%)、やや悲観に 26% を置き、悲観を 12% と慎重に置いた。倍率は利益ベースの正当化 PER の 8.4 割で、競争の影響は利益率と ROE の側に載せた。結果は 10 年で +24%、総合は「やや割安」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 372.03 ドル952 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 239.87 ドル614 億ドル)。 今の値に割り戻すと 307.71 ドル788 億ドル、今との差 +18.8%、 期待の年率 +9.0%(資本コスト 9.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 642.97 ドル1,646 億ドル | 310.16 ドル794 億ドル | +267.9% | +13.9% | 76.25 ドル195 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 522.19 ドル1,337 億ドル | 269.14 ドル689 億ドル | +205.4% | +11.8% | 158.27 ドル405 億ドル |
| 中立 | 34% | 414.41 ドル1,061 億ドル | 229.69 ドル588 億ドル | +148.6% | +9.5% | 218.99 ドル561 億ドル |
| やや悲観 | 26% | 248.87 ドル637 億ドル | 256.64 ドル657 億ドル | +95.1% | +6.9% | 131.43 ドル336 億ドル |
| 悲観 | 12% | 87.89 ドル225 億ドル | 136.72 ドル350 億ドル | −13.3% | −1.4% | 26.95 ドル69 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 372.03 ドル952 億ドル | 239.87 ドル614 億ドル | +136.2% | +9.0% | 611.90 ドル1,566 億ドル |
今の株価時価総額 259.10 ドル663 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 楽観:シェア 12.5% へ、AI の費用優位で複合損害率 91〜92 を保つ 利益 132 億ドル · PER 12.5 倍 · 株価時価総額 642.97 ドル1,646 億ドル
オールステートが個人自動車でシェアを 10.2% から 12.5% へ伸ばす筋書き。市場は台数 +0.8%/年・保険料 +2.5〜3.5%/年で約 1.5 倍の約 5,700 億ドル。個人向け自動車は契約 +33%・保険料 1 件あたり +38% で 700 億ドル、複合損害率 91.5(AI で費用率を 3 ポイント下げる)。住宅は契約 +33%・保険料 +56%(災害コストの転嫁)で 318 億ドル、複合損害率 92。保証事業は年 +8% で 77 億ドル。運用資産は 1450 億ドルで運用益 72 億ドル。純利益は 132 億ドル(今の約 1.3 倍)、自己資本 585 億ドル(保険料の約 0.53 倍を保つ)。P&C の保険料は 10 年で約 1.9 倍。
- 個人向け自動車:数量 3,350(契約件数(万件・年間平均))× 価格 2,090(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 700 億ドル・営業利益 60 億ドル。複合損害率 91.5%
- 個人向け住宅:数量 1,010(契約件数(万件・年間平均))× 価格 3,150(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 318 億ドル・営業利益 26 億ドル。複合損害率 92.0%
- その他個人・商業:数量 700(契約件数(万件・年間平均))× 価格 1,230(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 86 億ドル・営業利益 9 億ドル。複合損害率 90.0%
- プロテクション・サービス:数量 26,000(保有契約件数(万件))× 価格 30(1 件あたり年間売上(ドル))→ 売上 77 億ドル・営業利益 8 億ドル。保証・ロードサイド・Arity
- 運用(保険料の預かり資産と自己資本):数量 1,450(運用資産(億ドル・年間平均))× 価格 0.05(利回り(運用益 ÷ 運用資産))→ 売上 73 億ドル・営業利益 73 億ドル。運用資産 × 利回り
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.25%)・g 4.0%(上限の内側。物価 3.5% を下回る価格の伸び(運転支援と競争)で 3.25%。上限 4% より低く置いた)・事業の ROE 23%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 132.0 ÷ 自己資本 585.3 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 15.9%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 14.3 倍(上限 = 純利益 132.0 億ドル × これ = 1882 億ドル)。これの 0.9 割(12.5 倍)に置いた。楽観:利益の質が最も良く出る筋書きなので上限に最も近く置いた。
確率:データと AI の費用優位が実現し、複合損害率 92 を 10 年保つ確率。ステート・ファーム・プログレッシブ・ガイコの反応を考え 8% に抑えた。
やや楽観 20% やや楽観:シェア 12%、複合損害率 93 前後 利益 113 億ドル · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 522.19 ドル1,337 億ドル
シェアが 10.2% から 12.0% に伸び、複合損害率は 93 前後で安定する筋書き。個人向け自動車は契約 +28%・保険料 +38% で 670 億ドル、複合損害率 93。住宅は契約 +29%・保険料 +53% で 303 億ドル、複合損害率 93.5。運用益は 69 億ドル、純利益は 113 億ドル、自己資本は 558 億ドル。P&C の保険料は 10 年で約 1.8 倍。広告で取った契約が長く続き、独立代理店と専属代理店の併売(Custom360 は 41 州)で住宅と自動車のセット契約が増える一方、料率競争で自動車の利益率は平常より少し低い。傷害の損害額の上昇は料率で吸収でき、住宅は災害コストの転嫁が続く。保証事業は年 +7% で伸び、運用益は 5% 前後の利回りが続く。
- 個人向け自動車:数量 3,220(契約件数(万件・年間平均))× 価格 2,080(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 670 億ドル・営業利益 47 億ドル。複合損害率 93.0%
- 個人向け住宅:数量 980(契約件数(万件・年間平均))× 価格 3,090(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 303 億ドル・営業利益 20 億ドル。複合損害率 93.5%
- その他個人・商業:数量 670(契約件数(万件・年間平均))× 価格 1,200(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 80 億ドル・営業利益 7 億ドル。複合損害率 91.0%
- プロテクション・サービス:数量 24,700(保有契約件数(万件))× 価格 29(1 件あたり年間売上(ドル))→ 売上 71 億ドル・営業利益 7 億ドル。保証・ロードサイド・Arity
- 運用(保険料の預かり資産と自己資本):数量 1,380(運用資産(億ドル・年間平均))× 価格 0.05(利回り(運用益 ÷ 運用資産))→ 売上 69 億ドル・営業利益 69 億ドル。運用資産 × 利回り
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.25%)・g 4.0%(上限の内側。物価 3.5% を下回る価格の伸び(運転支援と競争)で 3.25%。上限 4% より低く置いた)・事業の ROE 20%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 113.0 ÷ 自己資本 558.1 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.7%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 13.9 倍(上限 = 純利益 113.0 億ドル × これ = 1569 億ドル)。これの 0.9 割(11.8 倍)に置いた。やや楽観:楽観より伸びと利益率が控えめなので一段下。
確率:強気の見方の中心(契約の増加と運用益)は通り、利益率だけ平常に近づく確率。
中立 34% 中立:優良な 4 位から契約は年 2%、複合損害率 94〜95 で安定 利益 94 億ドル · PER 11.3 倍 · 株価時価総額 414.41 ドル1,061 億ドル
個人向け自動車でシェアを 10.2% から約 11.5% へ伸ばす筋書き。市場は台数 +0.8%/年・保険料 +3.5%/年で約 1.5 倍。個人向け自動車は契約 +22%(シェア獲得と市場の台数増)・保険料 1 件あたり +37%(物価の 1.41 倍よりわずかに下。運転支援による事故減と競争が一部を打ち消す)で 639 億ドル、複合損害率 94.5(引受益 35 億ドル)。住宅は契約 +25%・保険料 +50%(災害コスト)で 288 億ドル、複合損害率 95。その他個人・商業 75 億ドル、保証事業 67 億ドル。運用資産は 1300 億ドルで運用益 64 億ドル。純利益は 94 億ドル(今の約 9 割)、自己資本 531 億ドル(有形 ROE 約 20%)。P&C の保険料は 10 年で約 1.7 倍。基礎の利益率は 2025 年の水準から、複合損害率 94〜95(自動車の準備金の戻しなし)まで落ち着く。
- 個人向け自動車:数量 3,090(契約件数(万件・年間平均))× 価格 2,069(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 639 億ドル・営業利益 35 億ドル。複合損害率 94.5%
- 個人向け住宅:数量 950(契約件数(万件・年間平均))× 価格 3,030(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 288 億ドル・営業利益 14 億ドル。複合損害率 95.0%
- その他個人・商業:数量 640(契約件数(万件・年間平均))× 価格 1,166(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 75 億ドル・営業利益 6 億ドル。複合損害率 92.0%
- プロテクション・サービス:数量 23,500(保有契約件数(万件))× 価格 28(1 件あたり年間売上(ドル))→ 売上 67 億ドル・営業利益 6 億ドル。保証・ロードサイド・Arity
- 運用(保険料の預かり資産と自己資本):数量 1,300(運用資産(億ドル・年間平均))× 価格 0.05(利回り(運用益 ÷ 運用資産))→ 売上 64 億ドル・営業利益 64 億ドル。運用資産 × 利回り
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.25%)・g 4.0%(上限の内側。物価 3.5% を下回る価格の伸び(運転支援と競争)で 3.25%。上限 4% より低く置いた)・事業の ROE 18%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 93.8 ÷ 自己資本 531.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.5%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 13.4 倍(上限 = 純利益 93.8 億ドル × これ = 1256 億ドル)。これの 0.8 割(11.3 倍)に置いた。中立:2025 年の利益は準備金の戻しと軽い災害年で山にあるので基礎の利益率を平常に戻し、価格決定力はプログレッシブに劣るため、位置は上限の 8 割強にとどめた
確率:議論の落としどころ。シェアは 10.2% から 11% 台へ伸び、利益率は平常に戻る。
やや悲観 26% やや悲観:シェア横ばい、料率競争で複合損害率 96〜97 が常態 利益 67 億ドル · PER 9.6 倍 · 株価時価総額 248.87 ドル637 億ドル
シェアは 10% 前後で動かず、競争と気候で利益率が平常を下回る筋書き。個人向け自動車は契約 +13%(市場の台数増のみ)・保険料 +32%(物価より低い)で 567 億ドル、複合損害率 96.5。住宅は災害損失の恒常化で複合損害率 97.5、契約 +18%・保険料 +46% で 266 億ドル。保証事業の利益率は 7% に下がり、運用益は 56 億ドル(運用資産 1200 億ドル)。純利益は 67 億ドル、自己資本は 495 億ドル(保険料の約 0.55 倍)。P&C の保険料は 10 年で約 1.6 倍にとどまる。10 年の還元は 657 億ドル。保険料に要る資本(保険料の約 0.55 倍)を超えた分は、配当と自社株買いで返す。
- 個人向け自動車:数量 2,850(契約件数(万件・年間平均))× 価格 1,990(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 567 億ドル・営業利益 20 億ドル。複合損害率 96.5%
- 個人向け住宅:数量 900(契約件数(万件・年間平均))× 価格 2,960(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 266 億ドル・営業利益 7 億ドル。複合損害率 97.5%
- その他個人・商業:数量 600(契約件数(万件・年間平均))× 価格 1,100(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 66 億ドル・営業利益 4 億ドル。複合損害率 94.5%
- プロテクション・サービス:数量 21,800(保有契約件数(万件))× 価格 27(1 件あたり年間売上(ドル))→ 売上 60 億ドル・営業利益 4 億ドル。保証・ロードサイド・Arity
- 運用(保険料の預かり資産と自己資本):数量 1,200(運用資産(億ドル・年間平均))× 価格 0.05(利回り(運用益 ÷ 運用資産))→ 売上 56 億ドル・営業利益 56 億ドル。運用資産 × 利回り
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 9.25%(基本 8.0% + quality +1.25%)・g 4.0%(上限の内側。物価 3.5% を下回る価格の伸び(運転支援と競争)で 3.25%。上限 4% より低く置いた)・事業の ROE 13%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 66.5 ÷ 自己資本 494.7 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.3%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 12.3 倍(上限 = 純利益 66.5 億ドル × これ = 820 億ドル)。これの 0.8 割(9.6 倍)に置いた。やや悲観:伸びが落ち堀が削れた会社として中立より下。
確率:個人自動車の寡占の中で、データで勝つプログレッシブに追われ、利益率が平常を下回る確率。
悲観 12% 悲観:運転支援・自動運転と気候で、構造的に細る 利益 18 億ドル · PBR 0.8 倍 · 株価時価総額 87.89 ドル225 億ドル
運転支援・自動運転と競争、気候で、個人自動車と住宅の保険料が構造的に細り、もう優良な会社ではなくなっている筋書き。ウェイモ(Waymo)やテスラ(Tesla)のように車の作り手が自分で保険を引き受け、事故が減って保険料の総額が伸びない。オールステートは契約を守るために値引きし、個人向け自動車は契約 −7%・保険料 +14% で 404 億ドル、複合損害率 101.5。住宅は大災害の恒常化で複合損害率 104(カリフォルニア・フロリダでは引受を絞る)。運用益 43 億ドルが利益の大半を占め、純利益は 18 億ドル(有形 ROE 5.0%)、自己資本 300 億ドル。ならした利益では見ず、自己資本 × 式の PBR で測る。保険料が細るぶん要る資本も減り、余った資本は配当と自社株買いで返し、足りない分は運用資産の売却で払う。10 年の還元は 350 億ドル。
- 個人向け自動車:数量 2,350(契約件数(万件・年間平均))× 価格 1,720(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 404 億ドル・営業利益 −6 億ドル。複合損害率 101.5%
- 個人向け住宅:数量 780(契約件数(万件・年間平均))× 価格 2,700(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 211 億ドル・営業利益 −8 億ドル。複合損害率 104.0%
- その他個人・商業:数量 520(契約件数(万件・年間平均))× 価格 1,000(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 52 億ドル・営業利益 −1 億ドル。複合損害率 102.0%
- プロテクション・サービス:数量 18,000(保有契約件数(万件))× 価格 25(1 件あたり年間売上(ドル))→ 売上 45 億ドル・営業利益 1 億ドル。保証・ロードサイド・Arity
- 運用(保険料の預かり資産と自己資本):数量 1,000(運用資産(億ドル・年間平均))× 価格 0.04(利回り(運用益 ÷ 運用資産))→ 売上 43 億ドル・営業利益 43 億ドル。運用資産 × 利回り
倍率:構造的に負けた筋書き。10 年目の純利益 18 億ドルは有形自己資本に対し ROE 5% 前後で k を下回るので、価値は稼ぐ力(純利益 ÷ k = 約 190 億ドル)より、縮小しながら資本を返せる床の資産で測る。床は今の自己資本 306 億ドルから、準備金の戻しで積み上がった分の巻き戻しと売却の割引を合わせて約 25% 引いた約 225 億ドルで、PBR 0.75 倍。市場の値付けや過去の底からは置いていない。
確率:運転支援・自動運転、車の作り手の自社保険、住宅の引受不能と価格競争が重なる確率を 12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
個人向け自動車
専属代理店・独立代理店・直販・ナショナル・ジェネラル経由の個人向け自動車保険。P&C の約 66%。
| 数量契約件数(万件・年間平均) | 価格1 件あたり年間保険料(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,522 | 1,510 | 381 | 57 |
| 10 年後 中立 | 3,090 | 2,069 | 639 | 35 |
取り方:2025 年の経過保険料 380.9 億ドルを、年間平均の契約 2,522 万件(期首 2,494 万・期末 2,550 万の平均)× 1 件あたり 約 1,510 ドルに置いた。引受益は 57.2 億ドル(複合損害率 85.0。うち過年度の準備金の戻し 4.8 ポイント、基礎は 88.1)。市場は米国の個人自動車保険(約 3,800 億ドルと推定)で、NAIC の 2025 年データによるシェアは 10.15%(ステート・ファーム 18.64%・プログレッシブ 18.60%・ガイコ 11.56%)。価格は 3 年 1.03 倍・10 年 1.37 倍(物価 1.11 倍・1.41 倍より低い。2026 年は料率が差し引きゼロから下げ、運転支援による事故減と競争が一部を打ち消す)。競合はステート・ファーム、プログレッシブ、ガイコ、USAA。
個人向け住宅
持家・賃貸・コンドミニアム向けの住宅保険。災害損失を最も負う塊。
| 数量契約件数(万件・年間平均) | 価格1 件あたり年間保険料(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 760 | 2,021 | 154 | 24 |
| 10 年後 中立 | 950 | 3,030 | 288 | 14 |
取り方:2025 年の経過保険料 153.6 億ドルを、年間平均の契約 760 万件(期首 751 万・期末 770 万の平均)× 1 件あたり 約 2,020 ドルに置いた。引受益は 23.9 億ドル(複合損害率 84.4。基礎 57.9、災害損失 40.9 億ドルは 26.6 ポイント分)。価格は 2 年の値上げの満年度化と災害コストの転嫁で 3 年 1.16 倍・10 年 1.50 倍(物価より高い)。複合損害率は 2023 年に 100 超、2024 年 90.1、2025 年 84.4 と災害で大きく振れる。競合はステート・ファーム、リバティ・ミューチュアル、USAA、チャブ、地域の専業社。
その他個人・商業
賃貸物件・二輪・傘保険などその他の個人保険と、小口の商業保険。
| 数量契約件数(万件・年間平均) | 価格1 件あたり年間保険料(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 508 | 833 | 42 | 4 |
| 10 年後 中立 | 640 | 1,166 | 75 | 6 |
取り方:P&C 全体の経過保険料 576.8 億ドルから自動車と住宅を引いた 42.3 億ドルを、契約約 508 万件(P&C 全体の平均契約 3,790 万件から自動車・住宅を引いた差)× 1 件あたり 約 833 ドルに置いた推定。引受益は P&C 全体の引受益 85.4 億ドルから自動車・住宅を引いた差の 4.2 億ドル。価格は 3 年 1.10 倍・10 年 1.40 倍(物価並み)。競合はトラベラーズ、チャブ、地域の専業社。
プロテクション・サービス
電子機器・家電の保証、ロードサイド、ディーラー向け商品、ID 保護、運転データ(Arity)。
| 数量保有契約件数(万件) | 価格1 件あたり年間売上(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 16,900 | 21 | 36 | 3 |
| 10 年後 中立 | 23,500 | 28 | 67 | 6 |
取り方:2025 年の売上 35.46 億ドル(保証 23.0・ディーラー 5.9・ロードサイド 2.3・Arity 2.7・ID 保護 1.6)を、保有契約約 1.69 億件(期末 1.72 億件)× 1 件あたり 約 21 ドルに置いた。調整後純利益 2.18 億ドルを税引前に直して営業利益 2.8 億ドル(Arity は 0.34 億ドルの赤字)。件数は年 3% 台で伸び、価格は 3 年 1.09 倍・10 年 1.35 倍。競合は保証ではアシュラント(Assurant)など、ロードサイドではアメリカ自動車協会(AAA)など。
運用(保険料の預かり資産と自己資本)
預かった保険料を支払うまでの間と自己資本の運用益。債券 71%・株式 10%・私募ファンド 11%。
| 数量運用資産(億ドル・年間平均) | 価格利回り(運用益 ÷ 運用資産) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 779 | 0.04 | 35 | 35 |
| 10 年後 中立 | 1,300 | 0.05 | 64 | 64 |
取り方:2025 年の純投資収益 34.49 億ドルを、年間平均の運用資産 779 億ドル(期首 726 億・期末 832 億)× 利回り 4.43% に置いた。2026 年 4〜6 月期は純投資収益が前年比 +34% の 10.1 億ドルで、年換算 40 億ドルを超える。短期 3.5〜4%・長期 5% の世界では、低利の債券が満期で入れ替わるだけで利回りが 4.8〜5.0% まで上がる。本社費・借入金利などは adjust に入れた。
リスクと懸念
利益率の山からの平常化(準備金の戻しの消失と値下げ競争)
2025 年の自動車の複合損害率 85.0 は準備金の戻し 4.8 ポイントを含み、基礎は 88.1。2026 年の戻しは上期で 15 億ドル、会社は今後の戻しを織り込まないと言う。料率は 2026 年 4〜6 月期に差し引きゼロとなり、フロリダ・ジョージアでは大手各社が値下げしている。広告費は上期で 11 億ドル超。利益率は 3 年で複合損害率 94 前後へ戻る可能性が高い。
傷害損害額(訴訟・医療費)の高止まりと損害額のインフレ
2026 年も傷害の損害額は上昇が続くと会社が述べ、弁護士の関与の増加と医療費が理由。物損は鈍化している。値下げ競争の中で料率が追いつかないと、2022〜23 年と同じ損害率の悪化が起きる。2022 年の営業利益は赤字(−14 億ドル)だった。
住宅の災害損失(ハリケーン・雹・山火事)の恒常化
2025 年の災害損失は 50 億ドル(住宅 41 億ドル)と平年並みに近いが、2023 年は住宅の複合損害率が 100 を大きく超えた。気候で災害が増え、カリフォルニア・フロリダでは規制や再保険費用の高騰で撤退・縮小する大手が相次ぐ。住宅の契約を増やす戦略は、災害の年に損失を増やす。
運転支援・自動運転による保険料の減少
運転支援が広がれば事故が減り、1 件あたりの保険料が物価に届かなくなる。ウェイモ(Waymo)やテスラ(Tesla)のように車の作り手が自分で保険を引き受ければ、個人自動車の市場そのものが細る。10 年の悲観の確率に 12% を置いた。
プログレッシブとの競争(価格を決める力の差)
プログレッシブはデータと費用で優位で、NAIC の 2025 年シェアで首位を争う。オールステートは 4 位で、広告費を 2023 年の 6 億ドルから上期だけ 11 億ドル超へ増やした。広告で取った契約の質(保険金の請求が多い契約が混ざる逆選択)が悪ければ利益率は下がる。
運用資産の評価損と私募ファンドの振れ
運用資産 878 億ドルの 7 割は債券で、残りの株式と私募ファンドは景気後退で評価損が出る。2026 年 4〜6 月期は私募ファンドの収益が 2.4 億ドルと高かったが、年ごとに大きく振れる。金利が下がれば運用益の底上げも止まる。
資本コストの前提への鋭敏さ
k は quality で +1.25% 上げて 9.25% とした。k が 0.5% 上がれば倍率は約 1 割下がる。価値の大半は 10 年後の倍率に依存するので、悲観の確率と深さを厚めに置いた。有形 ROE 約 20% と、保険料 ÷ 自己資本を 1.9 倍前後に保つ前提にも敏感である。
今後の分かれ目
- 自動車の複合損害率が 90 を超えて悪化し、各社の値下げが止まらない
- 基礎の利益率が平常を下回る方向に動く。10 年の純利益は 67 億ドル前後(やや悲観)まで下がりうる。料率の引き上げは遅れて効くので、悲観の確率を引き上げる。
- オールステートが契約を伸ばしながら複合損害率 90 を保ち、広告費の比率が下がる
- 変革的成長が実を結んだ証拠。中立から楽観へ確率を寄せる。純利益は 10 年後に 110 億ドルを超えうる。
- 大型ハリケーンや山火事で災害損失が 100 億ドルを超える年が来る
- 住宅の複合損害率が 105 を超え、純利益は 1 年で半減する。ただし料率は後から上がり、再保険で下は守られる。長期の価値の変化は小さいが、災害が続けば住宅の戦略(契約を増やす)を見直す必要が出る。
- 運転支援付きの車の保険料割引や、車の作り手の保険引受の事故率が 1〜2 割下がる実績が出る
- 10 年の保険料の伸びを物価の半分以下に置き直し、悲観の確率を 12% から上げる。
- 傷害の損害額が再び急上昇し、2022〜23 年と同じく料率が追いつかない
- 複合損害率が 100 を超える年が来る。自社株買いは続けられるが縮み、純利益は数年ゼロ近辺に落ちる。
- 10 年金利が 3% 台へ下がる
- 運用益の底上げが止まり、利回りの上昇(4.4%→4.8%)が遅れる。純利益は 10 年で 1 割ほど減るが、割引率が下がり価値の差は小さい。
見ておくもの
- P&C の複合損害率(自動車・住宅別)と、過年度の準備金の戻し・積み増しの額
- 自動車の料率変更(州別の差し引き)と、新規契約・継続率
- 広告費の額と、新規 1 件あたりの獲得費用
- ステート・ファーム・プログレッシブ・ガイコの新規契約と料率
- 災害損失(住宅)と再保険の更新(1 月・6 月)
- 傷害の損害額(訴訟・医療費)の伸び
- 余剰資本の額と自社株買いの進み方
- 運転支援・自動運転と自動車保険料の関係
倍率と資本コストの決め方
今の PER・PBR を先に見ず、事業ごとに契約 × 保険料で 10 年の利益を積み、その時点の有形 ROE と g から式で倍率を出した。k = 基本 8.0% + quality +1.25% = 9.25%、g は物価 3.5% を下回る価格の伸び(運転支援と競争)で 3.25% とし、4% を超えない。PER は (1 − g/RONIC)/(k − g) を来年の利益に対して出し、資本コストを超える分は新しく投じるお金では半分に薄れる形で使った。中立の 10 年は正当化 PER 13.4 倍の 8.4 割 = 11.3 倍で、やや悲観も同じ式の上限に対する割合で置き、過去の PER や PBR には寄せていない。10 年の利益は 2025 年の純利益(準備金の戻しと軽い災害年で山)より小さく置いたので、利益側は慎重である。悲観は稼ぐ力ではなく、縮小しながら資本を返せる床の資産(約 225 億ドル)と還元の合計が今の時価総額を下回る筋書きにした。総合は +24% で「やや割安」。
資本コスト 9.3% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +1.25% = 9.25%(β は使わない。決まり v2。内訳は quality_parts と quality_why)。損害額・災害・準備金の戻しで利益が大きく振れ、価格決定力もプログレッシブに劣るので quality を厚めに見た。金融なので負債の補正は quality の debt で見る。災害・競争・運転支援のような個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益率と悲観の確率・深さで表した。長期の g は 4.0% まで、k − g ≥ 3.5% を守る。
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読んだ資料
- オールステート 2025 年通期決算(8-K)
- オールステート 2026 年 4〜6 月期決算(プレスリリース)
- オールステート 2026 年 1〜3 月期決算(8-K)
- オールステート 2026 年 4〜6 月期 Form 10-Q(損害額・価格)
- 2026 年 4〜6 月期の決算説明の要点(成長・資本還元・AI)
- 独立代理店の拡大と料率(Insurance Business)
- NAIC 2025 年の個人自動車シェア(Repairer Driven News の引用)
- フロリダの 2026 年自動車料率の引き下げ(州当局発表の報道)
- オールステートの時価総額(PitchBook・2026-09-18)