結論
ウェルズ・ファーゴは、総資産約 2.3 兆ドル・預金約 1.5 兆ドル(平均)の全米第 3 位の銀行で、預金の約 7.5% を持つ。個人向け(カード・自動車・住宅・預金)、法人銀行、法人・投資銀行(CIB)、資産・富裕層運用(WIM)の 4 本柱で稼ぐ。2018 年から 7 年続いた連邦準備制度の資産上限が 2025 年 6 月に外れ、翌年 3 月には 2018 年の同意命令の残りも終わった。そこから貸出と預金が前年比 11% 伸び、2026 年 7〜9 月期の純利益は 59.5 億ドル、ROTCE 16.3%、効率比率 63% と、会社の中期目標(ROTCE 17〜18%)に近づいている。
事業の質は、預金の厚さと低い費用の歴史で JPモルガンに次ぐ大手の一角だが、純金利マージン(NIM)が 2.43% と同業で低く、市場業務と投資銀行の厚みも薄い。収益の約 6 割が純金利収益で、2026 年の見通し(約 500 億ドル)は据え置かれ、伸びの主役は貸出の増加と費用の削減である。CET1 は 10.0% で、1 年前の 11.0% から下がっており、自社株買いの余力は以前ほど大きくない。
資本コスト 8.25%(基本 8.0% に quality +0.25%)では、10 年後の ROE 13%(のれんと無形資産約 250 億ドルを除くと 14% 台)・成長 4% から利益ベースの式で出す上限 PER は 14.7 倍(資本コストを超える稼ぎは新しく投じるお金では半分に薄れる)、その 9 割の 13.2 倍・PBR 約 1.7 倍に置くと、中立の筋書きは 10 年後に時価総額が今の約 1.9 倍、還元を足して割り引くと今の値段を 2 割ほど上回る。ただし 10 年のうちの景気後退(やや悲観、確率 20%)と、規制違反の再発など構造的に負ける確率(12%)を、確率で厚くしている。結論はやや割安で、バンク・オブ・アメリカと同じ程度の差になるのは、資本コストが近く、ROE の改善余地が大きいことによる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もこの事業があるかを問う。ある。預金の約 7.5%、全国の支店網、約 2.3 兆ドルの顧客資産は 2008 年も 2020 年も消えなかった。堀は広がる方向で、資産上限の解除は、過去 7 年に他行へ譲った貸出と預金を取り戻す成長の許可でもある。ただし JPモルガンのように技術と規模で突き抜ける会社ではなく、「普通に強い大手」である。
次にオーナー利益を見る。銀行は貸出が増えるほど自己資本を積み増す必要があり、利益の全部は株主に出せない。貸出が年 6% 伸びる間は、純利益の約 6〜7 割が株主に出せる限度で、2025 年のように利益を超える還元は余剰資本の取り崩しで続かない。CET1 10.0% は必要水準の近くで、成長と還元の両立は規制の緩和待ちの面がある。
安全域では、利益ベースの式の PBR は ROE 13.0%・資本コスト 8.25%・成長 4% で約 1.7 倍、今は 1.40 倍で中立なら 2 割ほどの余裕がある。ただしこれは ROE が 12% 台に乗る前提で、ROE が 9% に落ちれば式の PBR は約 1.2 倍に下がり、余裕は消える。資本コスト 8.25% と g の差が 4% ほどと小さく、倍率が ROE と g の前提に敏感な点も割り引いて読む。銀行は信用循環で利益が 2〜3 年で半分になりうる業種で、リーマンの底でも大手の PBR は 0.2〜0.8 倍だった。過去の規制違反が示すように、経営の質(統制)への確信は他の大手より一段低い。確信度は、事業の存続は高く、値段は「安全域はあるが ROE 改善の達成が前提」と見る。
何で稼ぐ会社か
個人向け・貸出(Consumer Banking & Lending)は、全米の家計に預金(平均 8,250 億ドル)・クレジットカード・自動車ローン・住宅ローン・小口の事業向け貸出を提供する最大の部門で、2025 年の収益は 374 億ドル、純利益 79 億ドル。低コストの預金を貸出の原資に、利ざやと手数料で稼ぐ。カードは自社カード(アクティブ・キャッシュなど)の新規獲得で伸ばし、住宅ローンは縮小してきた。2026 年 7〜9 月期の純償却率は個人向けで 0.70%。
法人銀行(Commercial Banking)は中堅企業の貸出・預金・資金管理・商業用不動産で、2025 年の収益 120 億ドル・純利益 42 億ドル、7〜9 月期の貸出(平均)2,405 億ドル・預金 1,989 億ドル。法人・投資銀行(CIB)は大企業向けの貸出・資金管理に、投資銀行(M&A・引受)と市場業務(株・債券・為替)を足した部門で、2025 年の収益 192 億ドル・純利益 73 億ドル。貸出 3,534 億ドル、預金 2,481 億ドル(7〜9 月期の平均)と大きいが、市場業務の規模はJPモルガン・ゴールドマン・サックス・シティグループに比べ小さい。
資産・富裕層運用(WIM)は、ウェルズ・ファーゴ・アドバイザーズ(個人営業の証券)とプライベートバンクで、顧客資産は約 2.3 兆ドル(推定)、収益 163 億ドル・純利益 21 億ドル、7〜9 月期の収益は前年比 +12%。純利益率が低く(収益の 13%)、費用率の改善が課題。会社全体の収益は約 840 億ドル(2025 年)で、純金利収益が約 6 割、手数料が約 4 割。2018 年の資産上限で 7 年間、貸出と預金の伸びを抑えられていたため、解除後は貸出が 1.03 兆ドルまで増え、法人貸出・カード・自動車で取り戻す局面にある。
優良さと弱いところ
堀は 3 層。第 1 は預金基盤で、約 1.5 兆ドルの預金は全米の約 7.5%、中でも個人の預金(約 8,250 億ドル)は無利息・低利の比率が高く、切り替えの費用が大きい。第 2 は全国の支店網と、住宅・カード・自動車・小口事業の貸出を一括して持つ規模。第 3 は法人・富裕層の取引の厚みである。
資本効率は、ROE が 2025 年に 11.8%(kabufu)、2026 年 7〜9 月期は ROE 13.8%・ROTCE 16.3% と上向き、会社は ROTCE 17〜18% を中期の目標にした。資産上限の間も費用を削り(人員は 1 年で約 8% 減、効率比率は 65% から 63%)、解除後の成長を支える形に変わった。ただし JPモルガンの ROTCE 20% 前後には届かず、NIM は 2.43% で同業の中で低い。
弱みは 4 つ。第 1 は過去の不祥事の記憶で、2016 年の無断口座開設、2018 年の資産上限で、規制当局の目は厳しいまま。第 2 は市場業務と投資銀行が小さいこと(収益の振れは小さいが、好況の取り込みも小さい)。第 3 は CET1 が 10.0% と必要水準(8.5% と上乗せ)の近くまで下がり、自社株買いの余力が薄いこと。第 4 は経営陣で、2019 年に就任したチャールズ・シャーフ(Charlie Scharf)CEO が改革を主導してきたが、後継の計画は示されていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の銀行は、FDIC の 2026 年 4〜6 月期の速報で純利益 901 億ドル(年換算 3,600 億ドル)、ROA 1.37%、NIM 3.32% と、利益の水準が高い。短期金利が 3.5〜4%、10 年国債が 5% 前後で止まる世界では、2020〜21 年に買った低利の債券・住宅ローンが満期で高利に入れ替わり、NIM は少しずつ改善する。一方で預金は無利息では残らず、預金コストは 2010 年代のゼロには戻らない。
WFC は NIM が 2.43% と業界平均(3.3%)の 4 分の 3 で、これは低利の固定金利資産(住宅ローン・債券)が多いことと、法人の預金コストが高いことによる。改善の余地は大きいが、2026 年の純金利収益の見通しは約 500 億ドルのまま据え置かれ、改善は貸出の増加に頼る形である。上位 4 行(JPモルガン・バンク・オブ・アメリカ・ウェルズ・ファーゴ・シティグループ)で預金の約 4 割を持ち、規模の利益で大手が有利、地銀は再編で規模を求める。
規制は緩和の方向で、資本規制(SLR の見直し・バーゼル III の再提案)が進めば大手の自社株買いの余力が増える。WFC は資産上限が外れ、他行が先に取り込んだ貸出・預金の成長を取り戻せる立場にある。見ておく点は、商業用不動産(オフィス)とカード・自動車の信用コスト、預金コスト、カード金利の上限案・クレジット・カード競争法(ネットワーク手数料の義務化)、AI による費用の圧縮である。
資本政策と M&A
還元は、2026 年 7〜9 月期に自社株買い 25 億ドルと配当で、上半期の還元は約 98 億ドル。4〜6 月期から配当を約 11% 上げた。ただし CET1 は 10.0% と前年(11.0%)から 1 ポイント下がり、自社株買いの余力は小さくなった。2025 年は配当と自社株買いの合計が純利益を超えたが(過去の余剰資本を取り崩した)、貸出が年 10% 前後伸びる間は、純利益のうち資本に残す割合を高めざるを得ない。分析の還元額は株式報酬で増える分を引いた正味で置き、10 年で純利益の約 6 割とした。
M&A は、2016 年以降の不祥事対応と資産上限で積極的な買収ができなかった。資産上限が外れ、規制の承認も早まる方向で、中小の銀行・事業の買収は選択肢になるが、預金シェア 10% の規制(全米で約 7.5% を持つ)と規制当局の目から大型の買収は難しい。買われる側になる可能性もない。
資本配分は、2019 年以降、費用削減と資産売却(資産運用部門・企業向け信託・住宅ローンの縮小)を進め、規律はよい。一方で、資産上限を 7 年抱えた経営の遅れを取り戻す局面で、成長への再投資と還元の配分が次の試金石になる。
2026 年に決算期末後すでに実行した自社株買い 70.2 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(1741.0 億ドル)からも外した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
資産上限が外れた銀行は、他行が 7 年間享受してきた成長を取り戻す。貸出と預金は前年比 11% 伸び、費用は人員 8% 減で下がり、効率比率は 63% まで改善した。NIM 2.43% は同業で低く、低利の固定資産が満期で入れ替わるほど上がる余地が大きい。2026 年の純金利収益 500 億ドルの見通しは据え置かれたが、10〜12 月期は約 130 億ドルと上がっており、保守的である。
ROTCE は 7〜9 月期に 16.3% と、会社の目標 17〜18% まであと 1 ポイント台。CET1 10.0% でも、資本規制の緩和が進めば自社株買いは増やせ、すでに貸出の増加で収益は積み上がっている。CIB・WIM・カードの 3 本が同時に伸び、法人銀行は収益 +6%。バリュー投資の観点では、PBR 1.40 倍は、ROE 13.8%(直近)の銀行にとって、資本コスト 8.25% の下では低すぎる。過去 7 年の特殊な制約が外れた直後で、利益の伸びはまだ織り込み切れていない。さらに、同業が 2025 年に先に取り込んだ法人貸出・富裕層の顧客を取り戻す余地は、単なる景気の追い風でなく構造の変化である。
慎重な見方
7〜9 月期の ROTCE 16.3% や純償却率 0.38% は、信用コストが平常以下の山の値である。引当繰入は 1 年前の 6.8 億ドルから 10.3 億ドルへ増え、法人・自動車の引当が積み増されている。貸出の伸び 11% は、金利と信用の質を落とさないで続けられるかが分からず、成長を急ぐほど信用コストは後から出る。
NIM は 4〜6 月期から横ばいの 2.43% で、2026 年の純金利収益の見通しは据え置かれた。純金利収益の伸び(+5%)は貸出の伸び(+11%)を大きく下回り、成長しても利ざやが縮む形である。CET1 は 1 年で 1 ポイント下がり、自社株買いを続ける余力は小さい。会社は ROTCE 17〜18% を掲げるが、1〜3 月期の 14.5% の後に複数の証券会社が目標株価を下げたように、目標の達成は確実でない。過去の無断口座開設・資産上限が示すように、統制の弱さは再発しうる。経営の後継も示されていない。さらに、預金の 6 割以上を個人の無利息・低利に頼ってきた構造が、金利 3.5〜4% の世界で崩れれば、NIM の低さは改善でなく固定になる。
どちらに重みを置いたか
成長の方向と費用の改善は強気の見方が強く、信用コストが山にあることと資本の薄さは慎重な見方が強い。そこで中立に厚め(33%)、悲観を 12%、やや悲観を 20% と、バンク・オブ・アメリカ(悲観 11%・やや悲観 19%)より少し厚くした。過去の規制違反の前歴を、k に足さず、悲観の確率で表した。倍率は利益ベースの式で、ROE 13.0% に上限 PER 14.7 倍、その 9 割の 13.2 倍(PBR 約 1.7 倍)。ROE 13% 台が続かない場合のぶれは、倍率を下げずに確率で表した。結論は「優良で、やや割安」。ただし資本コストと g の差が小さく、倍率は前提に敏感で、ROE の改善が届くかが要である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 148.33 ドル4,473 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 51.24 ドル1,545 億ドル)。 今の値に割り戻すと 101.61 ドル3,064 億ドル、今との差 +22.4%、 期待の年率 +9.2%(資本コスト 8.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 224.68 ドル6,776 億ドル | 72.11 ドル2,175 億ドル | +257.5% | +13.6% | 32.65 ドル985 億ドル |
| やや楽観 | 24% | 194.74 ドル5,873 億ドル | 62.40 ドル1,882 億ドル | +209.8% | +12.0% | 61.71 ドル1,861 億ドル |
| 中立 | 33% | 156.51 ドル4,720 億ドル | 53.91 ドル1,626 億ドル | +153.5% | +9.7% | 69.44 ドル2,094 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 100.04 ドル3,017 億ドル | 40.61 ドル1,225 億ドル | +69.4% | +5.4% | 28.13 ドル848 億ドル |
| 悲観 | 12% | 43.50 ドル1,312 億ドル | 20.19 ドル609 億ドル | −23.3% | −2.6% | 7.64 ドル231 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 148.33 ドル4,473 億ドル | 51.24 ドル1,545 億ドル | +140.4% | +9.2% | 199.57 ドル6,019 億ドル |
今の株価時価総額 83.01 ドル2,503 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 11% 楽観:個人・法人・富裕層で取り戻し、ROE は 16% 台へ 利益 456 億ドル · PER 14.9 倍 · 株価時価総額 224.68 ドル6,776 億ドル
2035 年末、資産上限が外れた後の取り戻しが 10 年続き、個人向けの預金と貸出の合計は 2.03 兆ドル(年 6% 増)、カードと自動車でシェアを伸ばす。法人銀行は 8,000 億ドル、CIB は 1.12 兆ドルに伸び、投資銀行・市場業務でも存在感を上げる。WIM の顧客資産は 5.75 兆ドル(年 9.5% 増)。AI で費用率が 4 ポイント下がり、NIM は 2.7% に改善、効率比率は 55% 台。純利益は約 467 億ドルで、ROE は 16.6%(ROTCE で 20% 超)。資本規制の緩和で純利益の約 7 割を還元できる。倍率は式の上限の 9.2 割で PER 14.9 倍(ROE 17.3%・g 4%・資本コスト 8.25%)。
- 個人向け・貸出(Consumer Banking & Lending):数量 20,340(預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.04(残高あたりの純収益の率(利ざや+手数料))→ 売上 733 億ドル・営業利益 227 億ドル。個人の預金・貸出
- 法人銀行(Commercial Banking):数量 7,995(法人預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率)→ 売上 245 億ドル・営業利益 110 億ドル。中堅企業の貸出・預金
- 法人・投資銀行(CIB):数量 11,200(大企業の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率(利ざや・投資銀行・市場業務を含む))→ 売上 385 億ドル・営業利益 189 億ドル。大企業の貸出・預金と市場
- 資産・富裕層運用(WIM):数量 57,500(顧客資産残高(億ドル))× 価格 0.01(顧客資産あたりの純収益の率(報酬と預金・貸出の利ざや))→ 売上 388 億ドル・営業利益 81 億ドル。顧客資産
倍率:純利益と自己資本は優先配当(年約 11 億ドル)・優先株(約 180 億ドル)を引いた普通株の値(いずれも推定)。のれんと無形資産(約 250 億ドル)を除いた有形ベースの ROE は帳簿より 1 ポイント強高いが、ここでは検査と同じ帳簿の ROE で置く。利益ベースの正当化 PER で置く(SCHEMA §1-1):k 8.25%(基本 8.0%+quality +0.25%)、事業の ROE 17.3%(純利益÷自己資本)、g 4.0%、残る割合 1/2(堀:普通)で RONIC 12.8% → (1−g÷RONIC)÷(k−g)=16.2 倍が上限。利益の質(預金の厚い大手銀行で、資産上限の解除後も貸出の伸びは経済並み)から、上限の 9.2 割の PER 14.9 倍に置いた(検査の上限は時価総額 7366 億ドル)。
確率:資産上限の解除と AI による費用の圧縮が重なる姿は、10 年で 1 割強と置く(バンク・オブ・アメリカの 10 年楽観も 11%)。
やや楽観 24% やや楽観:中期目標の ROTCE 17〜18% に概ね届く 利益 413 億ドル · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 194.74 ドル5,873 億ドル
2035 年末(資産上限の解除から 10 年)、個人向けの預金と貸出の合計は 1.94 兆ドル(年 5.6% 増)、法人銀行 7,600 億ドル、CIB 1.06 兆ドル、WIM の顧客資産 5.4 兆ドル。NIM は 2.65% へ改善し、効率比率は 57%。信用コストは 10 年を通じて平常で、一度の景気後退は資本で吸収され、WIM は報酬率の低下を顧客資産の増加で吸収する。純利益は約 424 億ドル、ROE は 14.5%(ROTCE で約 18%)、純利益の約 65% を還元する。倍率は式どおり PER 17.5 倍(のれんを除いた ROE 16.6%・成長 4.5%)。
- 個人向け・貸出(Consumer Banking & Lending):数量 19,436(預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.04(残高あたりの純収益の率(利ざや+手数料))→ 売上 687 億ドル・営業利益 206 億ドル。個人の預金・貸出
- 法人銀行(Commercial Banking):数量 7,585(法人預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率)→ 売上 231 億ドル・営業利益 102 億ドル。中堅企業の貸出・預金
- 法人・投資銀行(CIB):数量 10,640(大企業の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率(利ざや・投資銀行・市場業務を含む))→ 売上 358 億ドル・営業利益 172 億ドル。大企業の貸出・預金と市場
- 資産・富裕層運用(WIM):数量 54,050(顧客資産残高(億ドル))× 価格 0.01(顧客資産あたりの純収益の率(報酬と預金・貸出の利ざや))→ 売上 357 億ドル・営業利益 73 億ドル。顧客資産
倍率:純利益と自己資本は優先配当(年約 11 億ドル)・優先株(約 180 億ドル)を引いた普通株の値(いずれも推定)。のれんと無形資産(約 250 億ドル)を除いた有形ベースの ROE は帳簿より 1 ポイント強高いが、ここでは検査と同じ帳簿の ROE で置く。利益ベースの正当化 PER で置く(SCHEMA §1-1):k 8.25%(基本 8.0%+quality +0.25%)、事業の ROE 15.1%(純利益÷自己資本)、g 4.0%、残る割合 1/2(堀:普通)で RONIC 11.7% → (1−g÷RONIC)÷(k−g)=15.5 倍が上限。利益の質(預金の厚い大手銀行で、資産上限の解除後も貸出の伸びは経済並み)から、上限の 9.2 割の PER 14.2 倍に置いた(検査の上限は時価総額 6384 億ドル)。
確率:資産上限後の成長に費用の削減が重なり、会社の中期目標に概ね届く姿。確率 24%(バンク・オブ・アメリカは 25%)。
中立 33% 中立:ROE は 12〜13% で定着し、目標には届かない 利益 357 億ドル · PER 13.2 倍 · 株価時価総額 156.51 ドル4,720 億ドル
2035 年末、個人向けの預金と貸出の合計は 1.86 兆ドル(年 5.1% 増)、法人銀行 7,200 億ドル、CIB 1.0 兆ドル、WIM の顧客資産 5.1 兆ドル(年 8.2% 増)。NIM は 2.55% 前後、効率比率は 60% 前後で、10 年のうちに不況(純償却率 2.5% 前後)を 1 度挟む。WIM の報酬率は低下するが、顧客資産の増加が上回る。資産上限の解除で遅れを取り戻す分が最初の 3〜4 年に集まり、その後は貸出・預金とも名目の経済成長(物価 3.5% +実質 1.5%)に近い伸びに落ち着く。純利益は約 368 億ドル(2025 年の約 1.7 倍)、ROE は 12.6%(ROTCE で約 15.5%)、純利益の約 62% を還元する。倍率は式どおり PER 15.8 倍(のれんを除いた ROE 14.3%・成長 4%。PBR 約 2.6 倍で、過去の幅の最大 2.6 倍に近い)。
- 個人向け・貸出(Consumer Banking & Lending):数量 18,645(預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率(利ざや+手数料))→ 売上 647 億ドル・営業利益 175 億ドル。個人の預金・貸出
- 法人銀行(Commercial Banking):数量 7,175(法人預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率)→ 売上 216 億ドル・営業利益 91 億ドル。中堅企業の貸出・預金
- 法人・投資銀行(CIB):数量 10,080(大企業の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率(利ざや・投資銀行・市場業務を含む))→ 売上 336 億ドル・営業利益 155 億ドル。大企業の貸出・預金と市場
- 資産・富裕層運用(WIM):数量 50,600(顧客資産残高(億ドル))× 価格 0.01(顧客資産あたりの純収益の率(報酬と預金・貸出の利ざや))→ 売上 330 億ドル・営業利益 61 億ドル。顧客資産
倍率:純利益と自己資本は優先配当(年約 11 億ドル)・優先株(約 180 億ドル)を引いた普通株の値(いずれも推定)。のれんと無形資産(約 250 億ドル)を除いた有形ベースの ROE は帳簿より 1 ポイント強高いが、ここでは検査と同じ帳簿の ROE で置く。利益ベースの正当化 PER で置く(SCHEMA §1-1):k 8.25%(基本 8.0%+quality +0.25%)、事業の ROE 13.0%(純利益÷自己資本)、g 4.0%、残る割合 1/2(堀:普通)で RONIC 10.6% → (1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.7 倍が上限。利益の質(預金の厚い大手銀行で、資産上限の解除後も貸出の伸びは経済並み)から、上限の 9.0 割の PER 13.2 倍に置いた(検査の上限は時価総額 5243 億ドル)。
確率:成長は続くが NIM の改善は預金コストに食われ、ROTCE は 15〜16% に落ち着く姿を中心に置く。確率 33%。
やや悲観 20% やや悲観:預金コストと信用コストで ROE が 10% 割れ 利益 257 億ドル · PER 11.7 倍 · 株価時価総額 100.04 ドル3,017 億ドル
2035 年末、10 年のうちに不況が 2 回あり、貸出・預金は年 4% 台の伸び。個人向けの預金と貸出の合計は 1.64 兆ドル、法人銀行 6,150 億ドル、CIB 8,680 億ドル。預金は国債の MMF やステーブルコインへ流れ、預金コストが 4% 台に固定されて NIM は 2.4% 前後に下がる。WIM の顧客資産は 4.1 兆ドルで、報酬率は 12% 下がる。純利益は約 268 億ドル、ROE は 9.5%、純利益の約 58% を還元する。倍率は式どおり PER 13.5 倍(のれんを除いた ROE 10.7%・成長 3.5%。PBR 約 1.6 倍)。
- 個人向け・貸出(Consumer Banking & Lending):数量 16,385(預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率(利ざや+手数料))→ 売上 542 億ドル・営業利益 130 億ドル。個人の預金・貸出
- 法人銀行(Commercial Banking):数量 6,150(法人預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率)→ 売上 178 億ドル・営業利益 68 億ドル。中堅企業の貸出・預金
- 法人・投資銀行(CIB):数量 8,680(大企業の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率(利ざや・投資銀行・市場業務を含む))→ 売上 283 億ドル・営業利益 119 億ドル。大企業の貸出・預金と市場
- 資産・富裕層運用(WIM):数量 41,400(顧客資産残高(億ドル))× 価格 0.01(顧客資産あたりの純収益の率(報酬と預金・貸出の利ざや))→ 売上 259 億ドル・営業利益 39 億ドル。顧客資産
倍率:純利益と自己資本は優先配当(年約 11 億ドル)・優先株(約 180 億ドル)を引いた普通株の値(いずれも推定)。のれんと無形資産(約 250 億ドル)を除いた有形ベースの ROE は帳簿より 1 ポイント強高いが、ここでは検査と同じ帳簿の ROE で置く。利益ベースの正当化 PER で置く(SCHEMA §1-1):k 8.25%(基本 8.0%+quality +0.25%)、事業の ROE 9.7%(純利益÷自己資本)、g 4.0%、残る割合 1/2(堀:普通)で RONIC 9.0% → (1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.0 倍が上限。利益の質(預金の厚い大手銀行で、資産上限の解除後も貸出の伸びは経済並み)から、上限の 9.0 割の PER 11.7 倍に置いた(検査の上限は時価総額 3353 億ドル)。
確率:預金コストの高止まりと信用コストの上昇が続く姿。確率 20%(バンク・オブ・アメリカは 19%)。
悲観 12% 悲観:規制違反の再発と預金流出で、もう優良ではなくなる 利益 137 億ドル · PER 9.6 倍 · 株価時価総額 43.50 ドル1,312 億ドル
2035 年末、再び資産上限のような成長の制限が数年課され、預金は国債の MMF・ステーブルコインへ流出する。個人向けの預金と貸出の合計は 1.3 兆ドルにとどまり、NIM は 2.3% 前後へ低下、カード金利の上限規制とネットワーク手数料の義務化で手数料も減る。WIM の顧客資産は 3.0 兆ドル(年 2.7% 増)。信用コストは 2 回の不況で高止まりする。純利益は約 148 億ドル、ROE は 5.3%。配当は維持し、自社株買いは大きく減らし、純利益の約 45% を還元する。倍率は式どおり PER 9.6 倍(のれんを除いた ROE 5.8%・成長 3.5%)で PBR 約 0.5 倍。優良ではなくなったので、PBR 1 倍を大きく割って定着する。
- 個人向け・貸出(Consumer Banking & Lending):数量 12,995(預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率(利ざや+手数料))→ 売上 408 億ドル・営業利益 78 億ドル。個人の預金・貸出
- 法人銀行(Commercial Banking):数量 4,715(法人預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率)→ 売上 131 億ドル・営業利益 39 億ドル。中堅企業の貸出・預金
- 法人・投資銀行(CIB):数量 6,720(大企業の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益の率(利ざや・投資銀行・市場業務を含む))→ 売上 212 億ドル・営業利益 68 億ドル。大企業の貸出・預金と市場
- 資産・富裕層運用(WIM):数量 29,900(顧客資産残高(億ドル))× 価格 0.01(顧客資産あたりの純収益の率(報酬と預金・貸出の利ざや))→ 売上 181 億ドル・営業利益 20 億ドル。顧客資産
倍率:純利益と自己資本は優先配当(年約 11 億ドル)・優先株(約 180 億ドル)を引いた普通株の値(いずれも推定)。のれんと無形資産(約 250 億ドル)を除いた有形ベースの ROE は帳簿より 1 ポイント強高いが、ここでは検査と同じ帳簿の ROE で置く。ROE 5.3% が k 8.25%(基本 8.0%+quality +0.25%)以下なので、ためた利益は額面を下回る価値で、PER は 1÷k=12.1 倍が上限。利益の質(預金の厚い大手銀行で、資産上限の解除後も貸出の伸びは経済並み)から、上限の 7.9 割の PER 9.6 倍に置いた(検査の上限は時価総額 1661 億ドル)。
確率:過去の統制の弱さ(資産上限の前歴)を悲観の確率で表した。確率 12%(バンク・オブ・アメリカは 11%)。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
個人向け・貸出(Consumer Banking & Lending)
個人・小口事業の預金、カード、自動車・住宅ローン。預金の約 7.5% を持つ全米最大級の個人向け預金基盤。
| 数量預金と貸出の平均残高の合計(億ドル) | 価格残高あたりの純収益の率(利ざや+手数料) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 11,300 | 0.03 | 374 | 98 |
| 10 年後 中立 | 18,645 | 0.03 | 647 | 175 |
取り方:2026 年 7〜9 月期の平均預金 8,251 億ドル・貸出 3,421 億ドルの合計は約 1.17 兆ドル、2025 年の平均は約 1.13 兆ドルと置く(推定)。2025 年の収益 373.6 億ドルで率 3.31%。税引前 98 億ドルは純利益 78.7 億ドルを税率 22% で戻した推定。価格は NIM で決まり物価では上がらない(預金も貸出も金利で動く)ので、物価の分は名目の残高の伸びに入れた。
法人銀行(Commercial Banking)
中堅企業の貸出・預金・資金管理・商業用不動産。
| 数量法人預金と貸出の平均残高の合計(億ドル) | 価格残高あたりの純収益の率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 4,100 | 0.03 | 120 | 53 |
| 10 年後 中立 | 7,175 | 0.03 | 216 | 91 |
取り方:7〜9 月期の平均貸出 2,405 億ドル・預金 1,989 億ドルの合計は 4,394 億ドル、2025 年の平均を約 4,100 億ドルと置く(推定)。2025 年の収益 119.8 億ドルで率 2.92%。税引前 53 億ドルは純利益 41.8 億ドルからの逆算。競合は JPモルガン・バンク・オブ・アメリカ・USバンコープ。
法人・投資銀行(CIB)
大企業の貸出・資金管理に、投資銀行(M&A・引受)と市場業務(株・債券・為替)を足した部門。
| 数量大企業の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル) | 価格残高あたりの純収益の率(利ざや・投資銀行・市場業務を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 5,600 | 0.03 | 192 | 93 |
| 10 年後 中立 | 10,080 | 0.03 | 336 | 155 |
取り方:7〜9 月期の平均貸出 3,534 億ドル・預金 2,481 億ドルの合計は 6,015 億ドル、2025 年の平均を約 5,600 億ドルと置く(推定)。2025 年の収益 192.3 億ドルで率 3.43%、市場業務と投資銀行の手数料を含む。税引前 93 億ドルは純利益 72.8 億ドルからの逆算。競合は JPモルガン・ゴールドマン・サックス・バンク・オブ・アメリカ・シティグループで、市場業務のシェアはこれらより小さい。
資産・富裕層運用(WIM)
ウェルズ・ファーゴ・アドバイザーズ(個人営業の証券)とプライベートバンク。
| 数量顧客資産残高(億ドル) | 価格顧客資産あたりの純収益の率(報酬と預金・貸出の利ざや) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 23,000 | 0.01 | 163 | 27 |
| 10 年後 中立 | 50,600 | 0.01 | 330 | 61 |
取り方:顧客資産を約 2.3 兆ドルと置く(推定。確認していない値)。2025 年の収益 163.3 億ドルで率 0.71%。税引前 27 億ドルは純利益 21.2 億ドルからの逆算で、純利益率は 13% と低く、費用率の改善が課題。競合はモルガン・スタンレー・バンク・オブ・アメリカ(メリル)・UBS・JPモルガン。報酬率はパッシブ運用の拡大で下がると置き、物価の分は顧客資産の名目の伸びに入れた。
リスクと懸念
統制・規制の再発(過去 7 年の資産上限の記憶)
2016 年の無断口座開設から 2018 年の資産上限(2025 年 6 月に解除)まで、7 年間、成長を止められた。解除後も、当局が追加の措置を課せば貸出・預金の伸びが再び止まる。統制の費用は終わっておらず、10 年の悲観の確率に入れた。
信用コストの正常化〜悪化(カード・自動車・商業用不動産)
2026 年 7〜9 月期の純償却率は 0.38% と平常以下で、引当繰入は法人・自動車で積み増されている。物価と金利が高止まりすると、カードは 2010 年に約 10% まで上がった。貸出が年 10% 伸びているので、不況の時の損失は新しい貸出が多い分だけ重い。
NIM の低さと預金コスト
NIM は 2.43% で、4〜6 月期から横ばい。純金利収益(収益の約 6 割)の伸びは +5% と、貸出の伸び(+11%)を下回る。無利息預金が MMF・国債・ステーブルコインへ流れ、預金コストが 4% 台に固定されれば、NIM は改善せず縮む。
資本の薄さと自社株買いの制約
CET1 は 10.0% で、1 年前の 11.0% から下がった。必要水準(8.5% と上乗せ)の近くで、貸出が増えるほど資本を食う。資本規制の緩和(SLR・バーゼル III の再提案)が遅れれば、還元の増額は止まり、ROE の改善が遅れる。
中期目標(ROTCE 17〜18%)の未達
1〜3 月期の ROTCE は 14.5%、4〜6 月期は 17.7%、7〜9 月期は 16.3%。目標は信用コストが平常以下であることを前提にしている面があり、正常化すれば届かない。1〜3 月期の後に複数の証券会社が目標株価を下げた。
市場業務・投資銀行の規模の小ささ
CIB の収益のうち市場業務・投資銀行は JPモルガン・ゴールドマン・サックス・バンク・オブ・アメリカより小さく、市場が好調な時の取り込みが小さい。大企業の顧客を取り戻せなければ、CIB の ROE は低いまま。
経営の継続と後継
2019 年に就任したシャーフ CEO が改革を主導してきたが、後継の計画は公表されていない。後継の時期と人選が見えないまま、費用・統制の規律が緩めば、人員削減や効率比率の改善の多くが戻りうる。改革の中心人物への依存が残る点を、経営の質の不確かさとして確信度に反映する。
今後の分かれ目
- 失業率が 5% を超え、カード・自動車・商業用不動産の延滞が 2 四半期続けて上がったら
- 引当が積み上がり、やや悲観・悲観の確率を上げる。谷の PBR は 0.7 倍前後を見て、利益が半分以下になっても資本は保たれる前提で考える。
- 資本規制の緩和(SLR・バーゼル III の再提案)が確定し、CET1 の必要水準が下がったら
- 自社株買いの余力が広がり、ROE が 1〜2 ポイント上がる。楽観・やや楽観の確率を上げ、ROE を上げて式で倍率を引き直す。
- 当局が資産上限のような成長の制限・事業の制限を再び課したら
- 貸出・預金の伸びが数年止まり、10 年の悲観の確率を 5 ポイント上げる。ROE と g を下げて式で倍率を引き直す。
- 預金コストが上がり続け、NIM が 2.4% を割り込んだら
- 純金利収益の見通しを下げ、やや悲観の確率を上げる。ROE は 10% 台へ下げて見る。
- ROTCE が 2 四半期続けて 17% を超え、効率比率が 60% を下回ったら
- 中期目標の達成が見えたとして、やや楽観・楽観の確率を上げる。
- カード金利の上限案・クレジット・カード競争法が成立したら
- カードの収益と手数料が減り、個人向けの利益率を 2 ポイント下げて見る。
見ておくもの
- 純金利収益の見通し(約 500 億ドル)と NIM(2.43%)、預金コスト・預金の伸び
- 純償却率・カード/自動車の延滞・商業用不動産の引当、引当繰入の方向
- CET1 比率(10.0%)と自社株買い・配当の増額、資本規制の緩和の進展
- 効率比率(63%)と人員の削減、費用見通し(約 557 億ドル)
- ROTCE(目標 17〜18%)の四半期の推移と、CIB・WIM の純利益率
- 当局の追加措置の有無、シャーフ CEO の後継計画、FDIC の四半期(含み損・預金)
倍率と資本コストの決め方
今の PER 11.9 倍・PBR 1.40 倍を見る前に、4 つのセグメントごとの残高(貸出+預金)・顧客資産 × 残高あたりの収益率を積み上げ、ROE・成長・資本コストから利益ベースの正当化 PER の上限を出し、その 9 割に倍率を置いた。資本コストは基本 8.0% に quality +0.25%(信用循環・貸出の伸びで振れる)を足した 8.25%。中立の 10 年後は ROE 13.0%・g 4%・RONIC 10.6% で上限 PER 14.7 倍、その 9 割の 13.2 倍(PBR 約 1.7 倍)。ROE が届かない道は、やや悲観・悲観の確率で表す。今の 1.40 倍にも過去の幅にも寄せていない。2026 年の利益は信用コスト(純償却率 0.38%)が平常以下で山に近いと見て、中立の信用コストは 0.5% へ戻し、悪い側の確率を厚めに置いた。表の純利益・自己資本は優先株を除く普通株の値で、文章の純利益・ROE は優先配当前の値。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β 0.96 × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.25% = 8.25%。預金基盤は厚いが NIM は同業で低く、市場業務の厚みも薄いので、JPモルガン(7.75%)よりは高く置いた。過去の規制違反の再発や信用循環は k に足さず、悲観の確率と利益率で表した。