結論
W.R.バークレー(W. R. Berkley)は、コネチカット州グリニッジに本社を置く商業向け・特殊損害保険の会社である。2025 年の収入保険料は約 125 億ドル、純利益は 17.8 億ドル、会社の ROE は 21.2%、複合損害率 90.7%。2026 年 4〜6 月期も純利益 4.5 億ドル(ROE 18.6%)、複合損害率 90.0% と、記録的な運用益(4.19 億ドル)に支えられて好調である。保険部門の保険料は 4〜6 月に総保険料で +5.4% と記録を更新した。
強みは、約 50 の事業会社それぞれに引受の裁量を与える分散型の仕組みと、料率が悪い時は引受を絞る『サイクル管理』、短い賠償責任・特殊分野への集中、運用資産 342 億ドルの高い利回り。弱みは、財物と再保険の料率が 2026 年に急に緩み始めたこと(会社自身が『特に懸念』と述べる)、賠償責任の料率の上昇が +3.8%(労災を除く)まで鈍っていること、準備金に社会的インフレの尾があること。創業者のウィリアム・バークレー氏が 2026 年 6 月に死去し、息子のロブ・バークレー氏(CEO)が率いる体制になった。
バリュー投資の観点では、10 年後もこの事業は存在し、引受の規律と分散型の組織は堀として残ると見る。ただし今の複合損害率 90% は料率の山の水準で、中立の筋書きは 94% 前後へ戻り、純利益は 10 年で年 4〜5% 伸びる。資本コスト 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)、倍率は利益ベースの正当化 PER の 8.5 割で、中立の PER は 13.9 倍。ソフト化の周期を悲観とやや悲観に合わせて 4 割置いている。確率で加重した 10 年後の価値は 262 億ドルで、今の時価総額 302 億ドルに対し -13%(総合で「やや割高」)。資本コストの前提に敏感である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、バークレーの本質は『預かった保険料を、費用のかからない長期の資金として運用できるか』と『利益率の悪い時に引き下がれるか』の 2 点で決まる。複合損害率が 100% を下回る限り、損失準備金 232 億ドルは費用のかからない資金で、自己資本 98 億ドルと合わせた約 330 億ドルが運用の元手になり、年 14〜17 億ドルの運用益を生む。10 年後もこの事業は存在し、分散型で責任を持つ組織と資本の返し方は堀として残る。
オーナー利益は、純利益から支払余力(自己資本)を伸ばす分を引いたものである。保険料が年 4〜5% 伸びる世界では自己資本も同じ割合で増やせばよく、純利益の 6〜7 割前後が株主のものになる。実際に 2025 年は純利益の約 55% を配当と自社株買いで返した。資本配分は評価できる。大型の買収に走らず、自社株買いは値段を選びながら行い、特別配当で調整している点は誠実である。ただし今の株価は簿価の約 3 倍であり、自社株買いは割高な価格で買うと価値を壊す点に注意する。
安全域:悲観(構造的に負けた 10 年)でも、還元を合わせて今の時価総額の 68% に留まる。料率の循環(ソフト化)が 2015〜17 年のように長引く筋書きと、不況・準備金の不足が重なる筋書きを合わせて 4 割置いた。事業の質は高いが、利益は料率の山の上にあり、特殊賠償は準備金の尾が長いので、予測の確信度は中くらいにとどまる。
何で稼ぐ会社か
バークレーは大きく 2 つの部門で稼ぐ。第一は保険部門(Insurance。2025 年の収入保険料 約 109 億ドル、複合損害率 91.7%、税引前利益 20.3 億ドル)。約 50 の事業会社が、それぞれ専門の分野で顧客と引受を持つ。2026 年上半期の正味保険料の内訳は、他の賠償責任(超過・包括の賠償責任など)が約 4 割、短期の財物などが約 2 割強、商業用自動車が約 15%、労災が約 1 割、専門職賠償(D&O・E&O など)が約 1 割。中小企業から大企業までの事業向けで、ブローカー経由が中心である。
第二は再保険・モノラインエクセス部門(2025 年の収入保険料 約 15 億ドル、複合損害率 83.7%、税引前利益 5.2 億ドル)。再保険は casualty(賠償責任)と財物の比例・非比例を引き受け、モノラインエクセスは単一種目の超過賠償保険である。2026 年 4〜6 月は正味保険料 3.06 億ドルと前年の 3.38 億ドルから 9% 減った。会社は財物・casualty の双方で『競争の激化』が起き、財物は料率が急に下がっていると説明している。
利益は 3 つの源から出る。引受益(収入保険料 × (1 − 複合損害率)。2025 年は約 11.5 億ドル)、保険料と自己資本の運用益(純投資収益 2025 年 14.3 億ドル、2026 年 4〜6 月 4.19 億ドルで記録。コアの債券・短期が約 9 割、投資ファンドと裁定取引が残り)、そして実現・未実現の損益(変動が大きく、2026 年上半期は −0.7 億ドル)。借金は 28.4 億ドル(シニア債など 18.3、劣後債 10.1)で金利負担は年約 1.3 億ドルである。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第一に分散型の組織。約 50 の事業会社が専門の分野(超過賠償・専門職賠償・特殊財物・労災・商業用自動車など)の損害率に責任を持ち、本社は資本を配る役に徹する。顧客に近いところで価格を決められるので、市場全体が緩んでも、料率が悪い分野から引き下がる決断が早い。第二にサイクル管理。2026 年 4〜6 月の会社の説明は、料率の伸びを +3.8% と認めつつ『成長と料率のどちらを取るか』を事業会社ごとに調整していること、居住用・酒類賠償では 20〜30% の値下げを見て引き下がっていることだった。第三に資本の返し方。2025 年は特別配当 5.7 億ドルと自社株買い 2.7 億ドルを出し、2026 年上半期も自社株買い 4.1 億ドルに加え 4〜6 月だけで特別配当 1.9 億ドルを出した。
価格を決める力は中くらいで、料率サイクルの外には出られない。ただし特殊分野(超過賠償・専門職賠償)は顧客が料率より補償の質・引受の速さで選びやすく、2021〜25 年の硬い市場で積んだ料率の水準が今の複合損害率の土台になっている。
資本効率は高い。純利益ベースの ROE は 2022 年 20.5%、2023 年 18.5%、2024 年 20.9%、2025 年 18.3%(kabufu。会社の発表は 21.2%)。ただし 2015〜17 年は 10〜12%、2020 年は 8.4% の年もあった。経営は 2015 年からロブ・バークレー氏が CEO を務め、創業者は 2026 年 6 月 9 日に死去した(会社のリリース)。家族が議決権を持ち、三井住友海上(MS&AD)が 15% を持つ形で、経営の連続性と引受の規律の維持は人に頼る面がある。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の商業損保は、2021〜25 年の硬い市場(料率が損失コストの伸びを上回った時期)を終え、料率の山から下りに入りつつある。2026 年の財物は特に急で、共有・階層プログラムを中心に料率が下がり、その圧力が他の財物にも広がっていると同社の CEO は述べる。再保険は『特に懸念』で、casualty の再保険は財物ほどの値上がりを経験しておらず、資本が潤沢でも増やしにくい。賠償責任(他の賠償責任・専門職賠償)は比較的規律が保たれるが、料率の上昇は 2026 年 4〜6 月で +3.8%(労災を除く)まで鈍り、社会的インフレ(訴訟費用・陪審の評決の高額化)による損失トレンドとの差が縮んでいる。商業用自動車は料率が上がっても顧客の車両台数が急速に減っており、エクスポージャーが縮む。
競合:チャブ(Chubb)、トラベラーズ(Travelers)、AIG、ハートフォード(Hartford)、マーケル(Markel)、アーチ(Arch)、CNA、ロイズのシンジケートが商業・特殊分野で競う。特殊財物・E&S(超過・余剰ラインズ)では専門会社も多く、新規の資本が入りやすい。再保険はスイス再保険・ミュンヘン再保険・エベレスト(Everest)などの大手が財物で料率を下げる動きが強い。
数量と価格:数量は顧客の売上・資産・雇用(エクスポージャー)に連動し、実質で年 1% ほどの伸び。価格は料率(損失コストの伸びに対しどれだけ上げるか)と、顧客の売上の物価分の上昇(年 3.5%)の合成。損失コストは社会的インフレで物価より速く伸びるため、料率が物価+実質で上がり続けないと複合損害率は悪化する。運用益は金利が 5% 前後で続く前提で利回りが高止まりし、引受益の減少を一部埋める。同社の運用債券は平均デュレーション 3.2 年で、会社は『再投資の利回りが簿価の利回りを上回る』と述べている。
資本政策と M&A
資本政策は『成長に要る分以外は返す』で、特別配当と自社株買いが柱である。2025 年は自社株買い 2.7 億ドル(4.07 百万株)と特別配当 5.7 億ドル、2026 年上半期は自社株買い 4.1 億ドル(6.16 百万株)に、4〜6 月だけで特別配当 1.9 億ドル、通常配当 0.4 億ドルを出した。発行済株式は 3.71 億株(2026 年 6 月末)で、年末の 3.77 億株から減っている。株式報酬による増加は自社株買いで打ち消されており、会社全体の価値で見ればよい。
M&A は自力成長が中心で、大型の買収は近年ない。注目は三井住友海上(MS&AD)の出資で、2025 年 3 月から公開市場で買い進めて 2026 年 3 月に議決権株の 15% に達した(バークレー家は売っていない。12.5% を超えると取締役 1 名の指名権)。経営への関与は限られるが、買収防衛と保険の相互補完(日本の顧客の米国での引受など)で協力の余地がある。時価総額が 300 億ドル弱なので、買われる側にもなりにくい。
借金は 28.4 億ドルで、自己資本の約 3 割に収まる。純有利子負債は時価総額の 2% 未満。利払いは年 約 1.3 億ドルで、借り換えが来ても大きな変化はない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
今の利益は山の上ではあるが、ソフト化になっても大きくは崩れない会社である。2026 年 4〜6 月の複合損害率は 90.0%(前年 91.6%)、大災害を除いた当年度の損害率は 88.1% と、2015〜17 年の水準よりはるかに良い。保険部門は総保険料 +5.4%、料率 +3.8% と 2021〜25 年の積み上げた料率の上に乗っており、更新の継続率は約 80%。財物と再保険は緩んでも、全体の中では 2 割に満たない。賠償責任・専門職賠償・特殊分野は会社自身が『規律が保たれる』と見ており、居住用・酒類賠償のように 20〜30% 値下がりしている所は引き受けないと決めている。
運用益は記録の 4.19 億ドルで、債券の入れ替わり(簿価の利回りより再投資の利回りが高い)で今後も増える。純投資資産 342 億ドル・デュレーション 3.2 年で、金利が 5% で続けば年 17〜20 億ドルに届く。自社株買いと特別配当で、年 利益の 6〜7 割を返す会社であり、自己資本はほとんど増えないまま ROE が 18〜20% に保たれる。分散型の約 50 の事業会社が顧客に近い所で料率を決めるため、市場が緩んでも引き下がる判断が早く、中立の筋書きの複合損害率 94% はむしろ保守的な置き方である。有形 ROE 約 18%・g 3.0% なら、利益ベースの正当化 PER は 20 倍超になり、質の高い会社に見合う。
慎重な見方
今の利益は、軽い大災害・好調な運用益・硬い市場の料率の積み上げが重なった結果で、そのまま続かない。2026 年 4〜6 月の料率は +3.8%(労災を除く)で、社会的インフレによる賠償責任の損失トレンド(5〜7% と推定)を下回っている疑いがある。損失トレンドに届かない料率が続けば、複合損害率は毎年約 1 ポイント悪化する。再保険は『特に懸念』と会社が認める状態で、正味保険料は −9%、財物の共有・階層プログラムは料率が急に下がり、その圧力が他の財物に広がる。商業用自動車はエクスポージャーが『かなり急に』減っている。居住用・酒類賠償は 20〜30% の値下げを会社が目撃しており、同じ動きが他の賠償責任に広がれば、ソフト化は財物だけでは終わらない。
準備金の尾も長い。2015〜2025 年の事故年の賠償責任は社会的インフレの影響が続き、今回のリリースは準備金の動きを示していない。運用益 4.19 億ドルのうち投資ファンドと裁定取引は変動が大きく、実現損益は 2026 年上半期に −0.7 億ドルと既に出ている。資本コストの前提がわずかに上がるだけで倍率は下がる。価値の大半を 10 年後の倍率に頼り過ぎず、2015〜17 年(ROE 10〜12%)や 2020 年(8.4%)の水準に戻るだけで、倍率は大きく下がる点を見ておく。
どちらに重みを置いたか
事業の質は強気がやや優勢(分散型の仕組み・サイクル管理・資本の返し方・運用益の積み上がり)。一方で、利益の水準が料率の山にあり、財物・再保険のソフト化がもう始まっている点は慎重な見方が当たっている。賠償責任の料率が +3.8% まで鈍る点も、今は良くても 2〜3 年で複合損害率が悪化する材料である。確率は中立に最も寄せ(10 年 33%)、やや悲観を 27%、悲観を 14% と、同じ領域の保険(チャブ・トラベラーズなど)より悲観側を厚くした。特殊賠償は準備金の尾が長く周期の振れが大きいため。倍率は利益ベースの正当化 PER の 8.5 割に置き、ソフト化は利益率・数量・価格に載せた。結果は 10 年で -13%、総合は「やや割高」。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 86.26 ドル345 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 39.36 ドル157 億ドル)。 今の値に割り戻すと 65.52 ドル262 億ドル、今との差 −13.3%、 期待の年率 +5.2%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 149.33 ドル597 億ドル | 47.02 ドル188 億ドル | +159.9% | +10.0% | 13.74 ドル55 億ドル |
| やや楽観 | 19% | 125.24 ドル501 億ドル | 44.52 ドル178 億ドル | +124.7% | +8.4% | 32.25 ドル129 億ドル |
| 中立 | 33% | 97.13 ドル388 億ドル | 41.51 ドル166 億ドル | +83.5% | +6.3% | 45.75 ドル183 億ドル |
| やや悲観 | 27% | 61.32 ドル245 億ドル | 37.51 ドル150 億ドル | +30.8% | +2.7% | 26.69 ドル107 億ドル |
| 悲観 | 14% | 24.26 ドル97 億ドル | 27.01 ドル108 億ドル | −32.1% | −3.8% | 7.18 ドル29 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 86.26 ドル345 億ドル | 39.36 ドル157 億ドル | +66.3% | +5.2% | 125.61 ドル502 億ドル |
今の株価時価総額 75.55 ドル302 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:硬い市場が長く続き、専門分野で市場を超えて伸びる 利益 38 億ドル · PER 15.6 倍 · 株価時価総額 149.33 ドル597 億ドル
10 年で保険部門は契約数 +24%(市場の実質 +10.5%・シェア +12%)・価格 1.56 倍(物価 1.41 倍に料率が約 10% の上積み)で 212 億ドル、複合損害率は約 92%。再保険・モノラインエクセスは契約限度額 +20%・価格 1.12 倍で 20 億ドル。運用資産 640 億ドル・利回り 5.2% で運用益 33 億ドル。純利益 38 億ドル、自己資本 186 億ドル(有形 ROE 約 21%)。分散型の事業会社が専門分野で市場を超えて伸び、競合のチャブやトラベラーズが取りこぼす特殊賠償・中小企業向けで差が開く。三井住友海上(MS&AD)との協力も加わる。自社株買いと配当は毎年利益の約 7 割。大型の買収は置かない。
- 保険(商業・特殊損保。約 50 の事業会社):数量 55.8(契約件数相当(万件))× 価格 37,925(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 212 億ドル・営業利益 17 億ドル。契約数 +24%(市場 +10.5%・シェア +12%)・価格 ×1.56・複合損害率 約 92%
- 再保険・モノラインエクセス:数量 180(引受の契約限度額(億ドル相当))× 価格 0.11(保険料 ÷ 契約限度額(料率))→ 売上 20 億ドル・営業利益 3 億ドル。契約限度額 +20%(市場 +10.5%・シェア +8.6%)・価格 ×1.12・利益率 14.5%
- 運用(預かった保険料と自己資本の運用益):数量 640(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(純投資収益 ÷ 運用資産))→ 売上 33 億ドル・営業利益 33 億ドル。運用資産 × 利回り(純投資収益)
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・g 4.0%(上限の内側。市場の実質 +1% と価格から料率の遅れ −1.5% を引いた約 3.0%(中立)。4% を超えない)・事業の ROE 21%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 38.2 ÷ 自己資本 186.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 14.4%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 17.0 倍(上限 = 純利益 38.2 億ドル × これ = 649 億ドル)。これの 0.9 割(15.6 倍)に置いた。楽観:利益の質が最も良く出る筋書きなので上限に最も近く置いた。
確率:2021〜25 年の硬い市場の成果が長く続く筋書きは 7%。特殊賠償では過去の周期でも強気の見方が通りにくかった。
やや楽観 19% やや楽観:ソフト化は一度だけで浅く、高い ROE が続く 利益 33 億ドル · PER 15.0 倍 · 株価時価総額 125.24 ドル501 億ドル
10 年で保険部門は契約数 +20%(市場 +10.5%・シェア +8.6%)・価格 1.50 倍で 197 億ドル、複合損害率は約 93%。再保険・モノラインエクセスは数量 +12%・価格 1.05 倍で 18 億ドル。運用益 31 億ドル、純利益 33 億ドル、自己資本 172 億ドル。ソフト化は 2027〜29 年に一度来るが浅く、2030 年代前半に料率が戻る。2015〜17 年や 2020 年の周期の谷(ROE 8〜12%)を超える悪化は無く、2021〜25 年の硬い市場で積んだ料率の水準が周期の平均を押し上げる。
- 保険(商業・特殊損保。約 50 の事業会社):数量 54.0(契約件数相当(万件))× 価格 36,467(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 197 億ドル・営業利益 14 億ドル。契約数 +20%(市場 +10.5%・シェア +8.6%)・価格 ×1.50・複合損害率 約 93%
- 再保険・モノラインエクセス:数量 168(引受の契約限度額(億ドル相当))× 価格 0.11(保険料 ÷ 契約限度額(料率))→ 売上 18 億ドル・営業利益 2 億ドル。契約限度額 +12%(市場 +10.5%・シェア +1.4%)・価格 ×1.05・利益率 12.5%
- 運用(預かった保険料と自己資本の運用益):数量 610(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(純投資収益 ÷ 運用資産))→ 売上 31 億ドル・営業利益 31 億ドル。運用資産 × 利回り(純投資収益)
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・g 4.0%(上限の内側。市場の実質 +1% と価格から料率の遅れ −1.5% を引いた約 3.0%(中立)。4% を超えない)・事業の ROE 19%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 33.3 ÷ 自己資本 172.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.8%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 16.7 倍(上限 = 純利益 33.3 億ドル × これ = 557 億ドル)。これの 0.9 割(15.0 倍)に置いた。やや楽観:楽観より伸びと利益率が控えめなので一段下。
確率:ソフト化が一度だけで浅く済む型で 19%。
中立 33% 中立:周期は 1 回転、ならした複合損害率は 94% 前後で純利益は年 4〜5% 伸びる 利益 28 億ドル · PER 13.9 倍 · 株価時価総額 97.13 ドル388 億ドル
10 年で保険部門は契約数 +15%(市場 +10.5%・シェア +4%)・価格 1.44 倍(物価 1.41 倍に料率が約 2% の上積み)で 181 億ドル、複合損害率は約 94%(2025 年は 91.7%)。再保険・モノラインエクセスは数量 +5%・価格 0.98 倍で 15.5 億ドル。運用資産 570 億ドル・利回り 5.0% で運用益 28.5 億ドル。純利益 28 億ドル(2025 年比 年 4.6%)、自己資本 157 億ドル(有形 ROE 約 18%)。周期は一度回り、ソフト化の谷で複合損害率が 96% 台になる年も挟むが、ならすと 94% 前後。競合のチャブとは特殊賠償で、AIG とは超過賠償で競り合い、市場より少し速く伸びる。
- 保険(商業・特殊損保。約 50 の事業会社):数量 51.7(契約件数相当(万件))× 価格 35,008(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 181 億ドル・営業利益 11 億ドル。契約数 +15%(市場 +10.5%・シェア +4.1%)・価格 ×1.44・複合損害率 約 94.2%
- 再保険・モノラインエクセス:数量 158(引受の契約限度額(億ドル相当))× 価格 0.10(保険料 ÷ 契約限度額(料率))→ 売上 16 億ドル・営業利益 2 億ドル。契約限度額 +5%(市場 +10.5%・シェア −5%)・価格 ×0.98・利益率 10.5%
- 運用(預かった保険料と自己資本の運用益):数量 570(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(純投資収益 ÷ 運用資産))→ 売上 29 億ドル・営業利益 29 億ドル。運用資産 × 利回り(純投資収益)
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・g 4.0%(上限の内側。市場の実質 +1% と価格から料率の遅れ −1.5% を引いた約 3.0%(中立)。4% を超えない)・事業の ROE 18%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 28.0 ÷ 自己資本 157.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 13.0%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 16.3 倍(上限 = 純利益 28.0 億ドル × これ = 457 億ドル)。これの 0.9 割(13.9 倍)に置いた。中立:分散型の仕組みとサイクル管理、運用益の積み上がりは本物だが、料率は山にあり、特殊賠償は準備金の尾が長い点を織り込み、上限の 8.5 割にとどめた
確率:議論の落としどころ。ソフト化が 10 年に 1 回の周期として 1 度来て、ならした複合損害率が 94% 前後に落ち着く。
やや悲観 27% やや悲観:長いソフト市場が 2015〜17 年のように定着する 利益 21 億ドル · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 61.32 ドル245 億ドル
10 年で保険部門は契約数 +8%(市場 +10.5%・シェア −2.3%)・価格 1.36 倍(物価より 3.5% 低い)で 161 億ドル、複合損害率は約 96%。再保険・モノラインエクセスは数量 −5%・価格 0.90 倍で 13 億ドル(利益率 6.5%)。ソフト化が長引き、2015〜17 年(ROE 10〜12%)のような低い収益性が定着し、複合損害率 96% 前後。運用益 25 億ドル、純利益 21 億ドル、自己資本 139 億ドル(有形 ROE 約 15%)。分散型の事業会社が料率の下がる中で数量を維持しようとし、引受の規律が一部で緩む。三井住友海上(MS&AD)の出資は価格には影響しない。
- 保険(商業・特殊損保。約 50 の事業会社):数量 48.6(契約件数相当(万件))× 価格 33,063(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 161 億ドル・営業利益 6 億ドル。契約数 +8%(市場 +10.5%・シェア −2.3%)・価格 ×1.36・複合損害率 約 96%
- 再保険・モノラインエクセス:数量 143(引受の契約限度額(億ドル相当))× 価格 0.09(保険料 ÷ 契約限度額(料率))→ 売上 13 億ドル・営業利益 1 億ドル。契約限度額 −5%(市場 +10.5%・シェア −14%)・価格 ×0.90・利益率 6.5%
- 運用(預かった保険料と自己資本の運用益):数量 520(運用資産(億ドル))× 価格 0.05(利回り(純投資収益 ÷ 運用資産))→ 売上 25 億ドル・営業利益 25 億ドル。運用資産 × 利回り(純投資収益)
倍率:利益ベースの正当化 PER:k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・g 4.0%(上限の内側。市場の実質 +1% と価格から料率の遅れ −1.5% を引いた約 3.0%(中立)。4% を超えない)・事業の ROE 15%(帳簿の自己資本 ROE:純利益 21.1 ÷ 自己資本 139.0 億ドル)・moat=普通(残る割合 0.50)。RONIC = k + 残る割合 ×(ROE − k)= 11.7%、正当化 PER = (1 − g/RONIC)/(k − g) = 15.5 倍(上限 = 純利益 21.1 億ドル × これ = 327 億ドル)。これの 0.7 割(11.6 倍)に置いた。やや悲観:伸びが落ち堀が削れた会社として中立より下。
確率:2010 年代後半(2015〜17 年の ROE 10〜12%)のような長いソフト市場が戻る型で 27%。
悲観 14% 悲観:料率の長い低迷と準備金の不足で、構造的に優良ではなくなる 利益 8 億ドル · PBR 1.0 倍 · 株価時価総額 24.26 ドル97 億ドル
構造的に負け、優良な損保ではなくなる。ソフト化が 5 年以上続き、料率は物価より 11% 低い水準(価格 1.25 倍)に張り付く。一方で社会的インフレによる賠償責任の準備金不足が 2015〜2025 年の事故年に出て数年にわたり積み増しが続き、保険部門の複合損害率は約 101%。契約数は −15%(顧客がシェアを取られ、商業自動車など一部は引受を縮める)で 116 億ドル。再保険・モノラインエクセスは数量 −30%・価格 0.80 倍で 8.5 億ドル。運用益 18 億ドル、純利益 7.6 億ドル、自己資本 100 億ドル(有形 ROE 約 8%)。ならした利益ではなく自己資本 × 式の PBR で測る。支払準備金の裏づけである運用資産は残るが、もう高 ROE の会社ではない。
- 保険(商業・特殊損保。約 50 の事業会社):数量 38.2(契約件数相当(万件))× 価格 30,389(1 件あたり年間保険料(ドル))→ 売上 116 億ドル・営業利益 −1 億ドル。契約数 −15%(市場 +10.5%・シェア −23%)・価格 ×1.25・複合損害率 約 101%
- 再保険・モノラインエクセス:数量 105(引受の契約限度額(億ドル相当))× 価格 0.08(保険料 ÷ 契約限度額(料率))→ 売上 9 億ドル・営業利益 0 億ドル。契約限度額 −30%(市場 +10.5%・シェア −37%)・価格 ×0.80・利益率 −2.0%
- 運用(預かった保険料と自己資本の運用益):数量 430(運用資産(億ドル))× 価格 0.04(利回り(純投資収益 ÷ 運用資産))→ 売上 18 億ドル・営業利益 18 億ドル。運用資産 × 利回り(純投資収益)
倍率:構造的に負けた筋書き。10 年目の純利益 7.6 億ドルは自己資本 100 億ドルに対し ROE 約 8% で k(8.25%)を下回るので、ならした利益でなく稼ぐ力と自己資本で測る。稼ぐ力は 7.6 億ドル ÷ 8.25% = 約 92 億ドル。今の自己資本 97 億ドルの 1.0 倍 = 97 億ドルを置いた(稼ぐ力とほぼ同じ。支払準備金の裏づけの運用資産は残るため床は割らない)。市場の値付けからは置いていない。
確率:料率の長い低迷に賠償責任の準備金不足が重なる筋書きを 14% と置いた。2008〜09 年・2020 年・2022〜23 年の谷では収益は大きく崩れなかったが、周期の谷(2015〜17 年の ROE 10〜12%・2020 年の 8.4%)は過去に 2 回あり、特殊賠償は準備金の尾が長い。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
保険(商業・特殊損保。約 50 の事業会社)
他の賠償責任・専門職賠償・短期の財物・商業用自動車・労災を、ブローカー経由で事業向けに引き受ける。
| 数量契約件数相当(万件) | 価格1 件あたり年間保険料(ドル) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 45.0 | 24,311 | 109 | 9 |
| 10 年後 中立 | 51.7 | 35,008 | 181 | 11 |
取り方:2025 年の保険部門の収入保険料 109.4 億ドル(複合損害率 91.7%、引受益 9.1 億ドル)を、45 万件相当 × 平均約 2.4 万ドルに置いた推定(件数は非開示)。市場は米国の商業・特殊損保(業界ノート:損保の元受保険料は年 約 1 兆ドル、商業・専門がそのうち半分前後)で、バークレーのシェアは数 %。競合はチャブ・トラベラーズ・AIG・ハートフォード・マーケル・アーチ。数量 = 市場(顧客の売上・資産・雇用の実質増、年 +1%)× シェア。価格 = 料率(損失コストに対する上げ幅)× 顧客の売上の物価分(年 3.5%)。物価だけなら 3 年 1.11 倍・10 年 1.41 倍で、そこに料率の上げ下げを重ねる。2026 年 4〜6 月は料率 +3.8%(労災除く)、更新継続率 約 80%、総保険料 +5.4%。
再保険・モノラインエクセス
他社の財物・casualty を引き受ける再保険と、単一種目の超過賠償保険。
| 数量引受の契約限度額(億ドル相当) | 価格保険料 ÷ 契約限度額(料率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 150 | 0.10 | 15 | 3 |
| 10 年後 中立 | 158 | 0.10 | 16 | 2 |
取り方:2025 年の収入保険料 15.1 億ドル(複合損害率 83.7%、引受益 2.5 億ドル)を、契約限度額 約 150 億ドル相当 × 料率 約 10.1% に置いた推定(限度額は非開示)。市場は世界の再保険(業界ノート:財物カタストロフは 2026 年 1 月 −14.7%、7 月 最大 −25%)で、バークレーの再保険の主力は casualty と財物の比例・非比例。競合はスイス再保険・ミュンヘン再保険・エベレスト・アーチ。数量 = 市場の実質増(年 +1%)× シェア。価格は料率の下落(2026 年 4〜6 月の正味保険料 −9%)と物価の合成で、3 年で 0.86 倍(中立)、10 年で 0.98 倍とした(料率の下落が 2027 年まで続いた後に物価で戻る)。
運用(預かった保険料と自己資本の運用益)
債券・短期のコアの純投資収益と、投資ファンド・裁定取引の収益(税引前)。
| 数量運用資産(億ドル) | 価格利回り(純投資収益 ÷ 運用資産) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 315 | 0.05 | 14 | 14 |
| 10 年後 中立 | 570 | 0.05 | 29 | 29 |
取り方:2025 年の純投資収益 14.3 億ドルを、年平均の運用資産 約 315 億ドル × 利回り 約 4.5% に置いた(2026 年 4〜6 月は 4.19 億ドル、運用資産 341.7 億ドル、年換算の利回り 約 4.9%)。債券(75.8%)の平均格付 AA-、デュレーション 3.2 年で、会社は再投資の利回りが簿価の利回りを上回ると述べている。長期金利 5%・短期金利 3.5〜4% が続く前提で利回りは 5% 前後。実現・未実現の損益は運用益に入れず、全社の調整に入れた。
リスクと懸念
財物・再保険のソフト化
2026 年 4〜6 月の再保険・モノラインエクセスの正味保険料は −9%。会社自身が再保険を『特に懸念』と述べ、財物の共有・階層プログラムは料率が急に下がっている。引受益のうち再保険は約 2 割で、複合損害率が 79% から 90% 台に戻るだけで税引前利益が 1.5 億ドル前後減る。
賠償責任の料率が損失トレンドに届かない
料率の上昇は +3.8%(労災除く)まで鈍った。社会的インフレによる損失トレンドが 5〜7%(推定)なら複合損害率は毎年悪化する。居住用・酒類賠償は 20〜30% の値下げが既に出ており、ソフト化が賠償責任へ広がると保険部門の複合損害率が 97% 近くへ上がる(やや悲観の筋書き)。
準備金の不足
損失準備金は 232 億ドルと自己資本の 2.4 倍。2015〜2025 年の事故年の賠償責任は訴訟費用・陪審評決の高額化が続く。数ポイントの不足で数年分の引受益が消える。今回のリリースは準備金の動きを示していない。
運用益の変動と評価損
純投資収益 14〜17 億ドルのうち投資ファンドと裁定取引(2026 年 4〜6 月で 0.48 億ドル)は変動が大きい。実現・未実現損益は 2026 年 4〜6 月に −0.55 億ドル。債券の含み損(税引後 3.2 億ドル)と不動産(運用資産の 3.9%)が不況で膨らむと自己資本を削る。
経営と大株主の変化
創業者で執行会長のウィリアム・バークレー氏が 2026 年 6 月に死去し、ロブ・バークレー氏(CEO)が単独で率いる体制になった。分散型の組織は人に頼る面があり、三井住友海上(MS&AD)が 15% を持つ。引受の規律が緩むと、軟調期の傷が大きい。
商業用自動車・エクスポージャーの縮み
料率が上がっても顧客の車両台数が『かなり急に』減り、保険部門の数量が縮む。商業用自動車は保険部門の正味保険料の約 15% を占める。会社は選別して引き受けるが、同じ縮みが他の種目の顧客にも広がれば、保険部門の伸びが物価分にとどまり、固定費の重さで費用率が上がる。
資本コストの前提への敏感さ
k が 8.25% と quality +0.25% を含む水準でも、g との差が小さいので倍率は k に敏感。k が 0.5 ポイント上がれば倍率は約 1 割下がる。価値の大半は 10 年後の倍率に依存するので、悲観・やや悲観の確率を合わせて 4 割置き、深さも厚めにしてある。
今後の分かれ目
- 財物と再保険の料率の下落が 2027 年に止まる
- 再保険・モノラインエクセスの複合損害率は 80% 台に収まり、全社の複合損害率は 91〜92% で保たれる。楽観とやや楽観の確率を上げられる。
- 居住用・酒類賠償の値下げが他の賠償責任(超過賠償・専門職賠償)に広がる
- 保険部門の料率の上昇が +1% 台まで落ち、複合損害率が 96〜97% へ上がる。有形 ROE は 15% 台へ下がり、倍率も下がる。やや悲観の確率を上げる。
- 賠償責任の準備金を積み増す発表が出る
- 数億ドルの積み増しで 1〜2 四半期の利益が消える。複数年にわたる積み増しなら、引受の規律そのものへの疑いになり、悲観の確率を上げる。
- 米国の失業が 7% 台に上がり、信用スプレッドが開く
- 顧客のエクスポージャーが縮み、債券の信用損失と不動産・ファンドの評価損が出る。純利益は 1〜2 年赤字寸前まで減るが、運用資産の質(平均 AA-)が高く自己資本は残る。
- 10 年国債が 3% 台に下がる
- 運用益の押し上げが止まり、債券の利回りが下がる。純利益は 10 年で 1 割ほど少なくなるが、割引率も下がり、価値の差は小さい。
- 三井住友海上が 15% を超えて買い増す、または大型の買収が持ち上がる
- 支配権の議論や株式の需給が変わる。買収は価値を壊しうる(自社株買いの価格より高い買収は ROE と倍率を下げる)ので、確率を悲観側へ寄せる。
見ておくもの
- 賠償責任の料率の上昇(今は +3.8%、労災除く)と損失トレンドとの差、居住用・酒類賠償のような値下げの広がり
- 複合損害率と、大災害・準備金の動きを除いた当年度の損害率(今は 90.0%、大災害前の当年度 88.1%)
- 保険部門の総保険料の伸び(今は +5.4%)と更新の継続率(約 80%)、商業用自動車のエクスポージャー
- 再保険・モノラインエクセスの正味保険料(今は 3.06 億ドル、−9%)と財物の料率
- 純投資収益の利回りと再投資の利回り(今は 4.19 億ドル、運用資産 342 億ドル)、実現損益
- 自社株買いと特別配当の金額、自社株買い時の簿価倍率、三井住友海上の持ち株比率(今は 15%)
倍率と資本コストの決め方
今の PER 16.9 倍・PBR 3.11 倍を先に見ず、事業ごとに数量 × 価格で 10 年の利益を積み、その時点の有形 ROE・g から式で倍率を出した。k = 基本 8.0% + quality +0.25% = 8.25%。結果は中立の 10 年で PER 13.9 倍(正当化 PER の 8.5 割)。やや悲観・悲観も同じ式の上限に対する割合で置いて、過去の PER や今の倍率には寄せていない。g は市場の実質 +1% + 価格は物価から料率の遅れ −1.5% の 3.0% と上限より低く置いた。ソフト化は価格と利益率(複合損害率 94〜106%)に載せ、悲観とやや悲観を 10 年で 41% と厚めに置いた。総合は -13% で「やや割高」。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.25% = 8.25%(β は使わない。決まり v2。内訳は quality_parts と quality_why)。料率の山とソフト化の始まりで quality を上げ、分散型の価格判断で一部を戻した。料率の循環・準備金・大災害・運用損のような個別のリスクは k に足さず、筋書きの利益率と悲観・やや悲観の確率(10 年で 41%)と深さで表した。長期の g は 4.0% まで、k − g ≥ 3.5% を守る。