結論
新韓金融グループは韓国の大手総合金融持株会社である。銀行に加え、国内有力のカード、生命保険、証券を抱える。筆者の結論は割安だ。今の値段では、成熟経済でも預金と融資を続ける力と、株主還元の改善を十分に評価していない。
ただし、安心して持てる成長株ではない。韓国の人口は減り、住宅と中小企業への与信は景気・不動産価格に左右される。預金では国民銀行・ハナ銀行・ウリ銀行、カードでは現代カードとサムスンカードとの競争が続く。金融の許認可と顧客基盤には堀があるが、価格を自由に上げられる堀ではない。
2025年の純利益は添付の財務を基準に33.6億ドルで、自己資本利益率は9.1%だった。2026年7〜9月期の親会社帰属利益は1.58兆ウォンとなり、1〜9月の5.03兆ウォンだけで前年通期の4.97兆ウォンを超えた。2026年9月末の普通株式等Tier1比率は13.62%へ上昇した。一方、同四半期は非金利収益が前期比で急減し、カードの不動産売却益も含まれたため、直近の伸びを10年間の傾きとは考えない。
中立では、韓国の貸出と決済は実質でわずかに伸び、価格に物価上昇が乗る。だが利ざやは預金競争に吸われ、10年後の利益は現在の約1.6倍にとどまると見る。2026年の還元強化は株主の取り分を増やすが、資本規制と保険買収が無制限の自社株買いを許さない。信用損失が長引く悲観まで織り込んでも、10年先の期待価値を割り引くと現在より約37%高い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、新韓が10年後にも銀行と保険の免許を持ち、韓国の給与・住宅・企業金融を支える確率は高い。口座と信用情報は単なるアプリの画面ではなく、長年の審査と決済の履歴を伴う。顧客が一斉に移る理由は少なく、金融危機でも事業の多くは残るだろう。
ただし、必要とされることと、株主が高い利回りを得ることは別問題だ。銀行は融資を増やすたびに自己資本を積む必要がある。貸出の純利ざやが薄くなると、いくら収益が膨らんでも増分自己資本の収益性は落ちる。10年後の中立ROEは約9.7%で、資本コスト8.25%を上回るが差は大きくない。この差が永遠に維持されるとは考えず、新しい資本の超過収益は先で半分薄まると見る。
経営が現金をどう使うかにも注目する。カードや海外銀行を高値で買うより、収益性の低い与信を抑え、余剰資本を配当と消却に回す方が価値を生む。実際に2025年は50%を超える総還元を実行したが、これは当面の政策目標であって永久の約束ではない。
最大の不確実性は韓国経済と金融規制だ。住宅市場の損失と預金競争が同時に続けば、帳簿に自己資本が残っても、そこから十分な利益を生めない。悲観の床は帳簿額を無条件に認めず、貸出や証券の回収可能額まで切り下げる。そのうえで今の値段に十分な安全域があるかを問うべきだ。今回は株主への還元を含めた長期の期待価値が現在を上回る。
何で稼ぐ会社か
事業の中心は新韓銀行である。2025年末のウォン建て貸出は主要五行の比較で約20%を占め、個人住宅ローン、中小企業融資、財閥企業との取引、外国為替決済を担う。稼ぎは預金と貸出の金利差に、投資商品販売や振込などの手数料を足したものだ。顧客の給与振込と商取引が残る限り銀行の役割は消えないが、利ざやは預金獲得競争に左右される。
新韓カードは会員約1,316万人を持ち、2025年の信用販売取扱額は約195兆ウォンだった。利用額に応じた加盟店収益と分割・カードローンの金利収入を得る。現代カード、サムスンカードと利用者を奪い合い、ポイント費用と貸倒が利益を左右する。銀行の低コスト調達と顧客紹介は武器だが、カードは消費の伸び以上に増え続ける事業ではない。
証券部門は株式仲介の国内取扱高シェアが8.44%で、売買手数料のほか債券運用、信用供与、引受から稼ぐ。新韓ライフは保障性保険の契約を長期に抱え、保険契約サービスと運用収益から利益を得る。保険契約サービスマージンは将来利益の蓄積を示すが、実際の保険金や費用の悪化で簡単に削られる。
新韓キャピタルの設備金融や不動産関連与信、資産運用・信託もある。総合金融の形は、顧客に複数の金融商品を売る機会を生む反面、リスクが連結財務に集まる。2025年の報告上の部門利益では銀行が大半を稼ぎ、カードの利益は前年から低下した。ドル建ての売上モデルは連結の数値に合わせ、内部取引や為替・デリバティブの大きな総額を重複計上しない。
優良さと弱いところ
新韓の堀は、顧客の預金と決済が日常生活に組み込まれている点にある。支店、給与口座、法人の資金管理、与信審査、保険・カードを組み合わせるには許認可と長年の投資が要る。2025年末の銀行スマートバンキング利用者は約2,466万人で、デジタル接点も厚い。カードは加盟店324万店、会員の稼働率が97%台と大きなネットワークを持つ。
ただし、堀が強固でも値上げできるとは限らない。貸出金利には競合の提示金利が効き、カードの加盟店手数料には規制が入る。銀行の金利スプレッドが少し縮むだけで、巨大な貸出残高の利幅が消える。証券手数料もネット証券の競争を受けるため、2025年の利益改善をそのまま永続化するのは危険だ。
2025年のROEは9.1%で、過去10年の中央値9.0%と近い。2026年9月の四半期ベースでは11.9%に改善し、CET1比率も13.62%へ上がった。増分資本の収益性を高める余地はあるが、長期の高ROEを保証するほどの証拠はまだない。経営陣が示すROE10〜12%の目標は、資本配分を律する指針として評価できる。
少数株主への配当と自己株式消却が実行に移ったことは、大きな改善だ。反対に、国民年金などの大株主と金融監督当局の影響を受け、株主だけの都合で資本を動かすことはできない。銀行の顧客与信・保険引受そのものはAIエージェント代替の対象ではない。カードの独自データ販売や証券調査は部分的に代替されうるが、独立した売上は開示されず、銀行全体の寿命を縮めるほどの比率と断定できない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
韓国の銀行市場は、国民銀行、新韓銀行、ハナ銀行、ウリ銀行、農協銀行が中核だ。2025年末の主要五行のウォン建て貸出で新韓のシェアは約20.4%、国民銀行は約23.1%だった。別の主要四行とネット銀行を対象にした集計では、新韓の預金シェアは約23%となる。対象母集団が違う数字は直接足さず、競争の位置関係だけを見る。
業界の数量を支えるのは個人向け住宅資金、中小企業の運転資金、企業の設備投資である。人口減少と家計債務の大きさを考えると、韓国国内の実質貸出を米国のように年率数%で伸ばすのは難しい。名目の貸出はインフレとともに増えても、預金金利・規制資本・貸倒も同時に増える。海外のベトナムや日本で成長する余地はあるが、韓国本体の規模を覆すほどではない。
カード市場では2025年の国内信用カード取扱額が約1,077兆ウォンに達した。新韓カードの信用販売は約195兆ウォンであり、現代カードとの差は小さい。スマホ決済が増えても、カード発行会社が手数料全額を取れるわけではない。会員獲得費用と加盟店手数料の規制が、名目取扱高の伸びを利益に変えにくくする。
生命保険は高齢化で医療・保障の需要がある一方、出生数と新契約の伸びが鈍る。保険契約サービスマージンではサムスン生命とハンファ生命が先行し、新韓ライフが追う。証券ではキウム、未来アセット、韓国投資と仲介・引受で競う。AIは銀行の審査・事務の費用を下げるが、競合も同じ技術を導入する。市場シェアと資金調達費用の差を広げられない限り、利益の源になるのは地味な資産の質である。
資本政策と M&A
新韓金融は2024年に株主価値向上計画を示し、2025年には総還元性向50.2%を達成した。2026年4月に更新した計画では、ROE10〜12%、総還元性向50%以上、CET1比率13%以上を目標とした。2026年7〜9月期には4,500億ウォンの新たな自社株取得を決議し、年末までの取得予定総額は1.6兆ウォンとなる。これらは実行済み額と予定額を区別する必要がある。
2019〜21年には株式発行や保険事業の統合で株数が増えた。オレンジライフの完全子会社化で保険の幅は広がったが、少数株主の取り分は一時的に希薄化した。その後は自社株消却が進み、2024〜25年には株数が減少へ転じた。還元が高くても、規制資本を削って無理に買い戻せば長期の価値はむしろ傷む。
2026年10月13日にロッテ損害保険の77.04%を約6,933億ウォンで現金取得する決議をした。10月27日時点では監督当局の承認と手続きが残り、取得日は未確定である。会社はCET1比率への影響を約19bpと説明した。従って、この評価のセグメント数量と利益には買収先を加えていない。成立後の保険引受の改善は上振れ余地、保険金支払と追加資本負担は下振れ要因として扱う。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
国内人口が減っても、新韓は金融サービスの集中で利益を伸ばせる。銀行とカードに深い顧客基盤があり、預金・運用・保険を一つのグループで提供できる。2025年末の主要五行の貸出シェアは約20%で、2026年の純金利収益も貸出残高の伸びで底堅かった。資本規制を守りながら低採算資産から退出すれば、実質的な数量がゆっくり増えるだけでも利益率は改善する。
2026年7〜9月期のROEは11.9%に達し、CET1は13.62%となった。これは、会社が掲げたROE10〜12%が単なる希望ではないことを示す。50%を超える総還元が続けば、成長に必要のない資本が買い戻しと配当に回る。2025年までの10年間で預金の中身とカード取扱高を積み上げてきた実績もあり、資本配分の規律が定着しつつある。
証券は市場の取扱高が増え、保険は保障性商品の利益を積む。ベトナムなど海外銀行は韓国本体より成長が速い。2026年のロッテ損保買収が承認され、問題債権と引受条件の正常化まで成功すれば、保険の収益源がさらに増える。ただし買収先の利益は成立前なので予測の数量に含めず、現在の新韓だけで十分な伸びを見込む。
自動審査とAI窓口は支店・事務費を抑える。信用の質を落とさず経費率を下げられるなら、10年後もROEが12%台の企業として存続できる。現時点の株主還元実績はこの可能性を支える。
慎重な見方
韓国の人口減少は金融の利用件数と新規住宅ローンに直接効く。住宅価格が上がれば融資額は増えても、家計の返済能力が改善するとは限らない。預金では国民銀行、ハナ銀行、ウリ銀行と正面から競争し、カカオバンクやトスバンクは手数料を低くして若年顧客を集める。低コスト預金が流出すれば、同じ貸出額でも純金利収益は削られる。
カードの競争はさらに厳しい。2025年の新韓の信用販売は約195兆ウォンだが、現代カードとの差はわずかだった。規制が加盟店手数料を抑え、ポイント還元と延滞債権回収の費用が上がるなら、取扱高の増加は株主利益につながらない。2026年7〜9月期の非金利収益は前期比で45.5%落ち、証券・保険の損益は市場と保険数理の変化に弱いことも見えた。
資本面の数字にも錯覚がある。2025年の自己資本比率は添付の連結データで6.8%であり、銀行は大半が預金という短期の返済義務を負う。純有利子負債924億ドルは普通の製造業の借金とは違うが、147億ドルの現金も預金者のための資金であり株主の余剰現金ではない。帳簿の自己資本は信用損失で一気に縮みうる。
ロッテ損保の取得が完了すれば、弱い保険契約を引き継ぐおそれがある。企業向け不動産融資と保険の資本負担が重なれば、自社株買いは止まり、資本調達を優先せざるを得ない。増分ROEが資本コストを下回る会社では、利益を留保するほど株主価値が増えるとは限らない。
どちらに重みを置いたか
預金・カードの顧客基盤と還元政策の実行では、強気の材料が勝る。しかし人口構造と不動産信用の見通しには不確実性が残るため、確率は楽観2筋書きの30%に対し、慎重2筋書きを36%と少し厚くした。2026年の好決算を中立の長期成長率へそのまま持ち込まず、信用コストと利ざやの正常化を織り込む。
中立では10年後のROEを約9.7%とし、ROE10〜12%の会社目標を自動的に達成すると決めつけない。資本コスト8.25%の下で増分の超過収益を半減させた利益倍率を使い、悲観では回収可能資産を床とする。確率を掛けた時価総額と正味還元を割り引くと、今の時価総額312億ドルを約37%上回る。結論は割安だが、成長と与信の質を監視しながら持つ会社である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 130.43 ドル614 億ドル(+ 還元の換算額還元の合計 47.47 ドル223 億ドル)。 今の値に割り戻すと 90.97 ドル428 億ドル、今との差 +38.7%、 期待の年率 +12.7%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 243.11 ドル1,144 億ドル | 66.30 ドル312 億ドル | +371.7% | +20.1% | 30.94 ドル146 億ドル |
| やや楽観 | 20% | 189.35 ドル891 億ドル | 59.93 ドル282 億ドル | +280.1% | +17.3% | 49.85 ドル235 億ドル |
| 中立 | 34% | 140.79 ドル663 億ドル | 54.19 ドル255 億ドル | +197.3% | +14.1% | 66.29 ドル312 億ドル |
| やや悲観 | 24% | 72.47 ドル341 億ドル | 35.49 ドル167 億ドル | +64.6% | +6.3% | 25.91 ドル122 億ドル |
| 悲観 | 12% | 24.93 ドル117 億ドル | 15.94 ドル75 億ドル | −37.7% | −5.6% | 4.90 ドル23 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 130.43 ドル614 億ドル | 47.47 ドル223 億ドル | +171.2% | +12.7% | 177.90 ドル837 億ドル |
今の株価時価総額 65.59 ドル309 億ドル(2026-10-30)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 10% 楽観:貸出の質と総合力を高め、ROEは12%台へ 利益 80 億ドル · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 243.11 ドル1,144 億ドル
10年後、銀行は実質貸出の基盤を2025年より約28%増やし、国民銀行との差を縮める。名目金利に沿う利息と手数料が乗り、既存銀行の収入は約309億ドルとなる。2026年のCET1の余裕を使って不採算与信から撤退し、損失率を抑えながら銀行の税引前利益率は26%へ改善する。ベトナムなど海外銀行の比重も増えるが、韓国の人口減少そのものが止まるわけではない。
カードは現代カードとサムスンカードに対し、新韓SOLペイと銀行顧客の紹介で地位を守る。決済取扱量は実質で約2割増え、与信の質と加盟店単価も改善する。証券は韓国株仲介のシェア8.44%を維持して出来高を取り込み、保険は契約サービスマージンを着実に利益へ変える。2026年のロッテ損保取得が成立して改善する余地はあるが、未成約の会社の利益は本筋の数字に足していない。
AIによる事務合理化と資本配分の規律が定着し、既存事業の営業利益は約113億ドル、純利益は約80億ドルへ伸びる。10年間の累計利益は約568億ドルで、成長資本を残しながら正味312億ドルを還元する。2025年に比べROEは12%台へ高まるが、銀行資本を必要とする以上、長期の超過収益が際限なく続くとは見ない。
- 銀行・預金貸出:数量 3,700(貸出平均残高の2025年ドル換算実質額(億ドル))× 価格 0.08(実質貸出残高に対応する年当たり連結収益率(元利差・手数料・名目価格補正を含む))→ 売上 309 億ドル・営業利益 80 億ドル。実質銀行基盤1.28倍、適正な預貸利ざや
- クレジットカード・消費者金融:数量 1,560(韓国での新韓カード年間信用販売取扱額の2025年実質換算(億ドル))× 価格 0.04(取扱額に対する連結総収入率(貸付利息・自動車金融も含む、名目価格補正後))→ 売上 65 億ドル・営業利益 12 億ドル。カード取扱量1.19倍、延滞管理改善
- 証券・投資銀行:数量 3,800(仲介取扱高と投資銀行案件の相当取引量(2025年実質換算、億ドル))× 価格 0.01(取扱高当たり総収入率(仲介手数料・信用供与・引受・自己勘定の複合率))→ 売上 47 億ドル・営業利益 10 億ドル。証券取引高と金融仲介が拡大
- 生命・損害保険:数量 660(既存保険契約・運用資産に対応する実質基礎残高(億ドル))× 価格 0.09(基礎残高当たり保険サービス・投資収益の複合率(名目価格補正後))→ 売上 59 億ドル・営業利益 12 億ドル。既存保険の保障性契約と運用収入が増える
- キャピタル・リース:数量 110(キャピタル・リース会社の実質稼働債権・設備残高(億ドル))× 価格 0.14(債権・設備残高当たり総収益率(名目化を含む))→ 売上 15 億ドル・営業利益 3 億ドル。低採算債権の処分を進める
- 資産運用・信託・その他:数量 145(信託・受託資産などの実質収益基盤(億ドル))× 価格 0.05(受託資産の加重報酬・その他収入の合成率)→ 売上 7 億ドル・営業利益 2 億ドル。資産運用・信託の規模が拡大
倍率:銀行・保険・証券の事業を合算し、普通株に帰属する純利益と株主資本から求める帳簿ROE約12.8%を使用。k8.25%、moat normal(超過収益が残る割合1/2)よりRONIC約10.53%。長期の名目g4.0%=市場融資需要の実質0.5%+シェア0%+物価や手数料3.5%。10年目利益に対する正当化PER上限は約15.17倍。銀行調達網と規制資本を保ちつつ海外・証券・保険がそろうが、信用循環は残るため上限の約94%。このためPER14.3倍とし、純利益80億ドルに掛けた時価総額1144億ドル。市場のPERやPBRは倍率根拠に使わない。銀行の調達負債と預金者向け現金は余剰現金として別に足さない。
確率:国内シェアが小幅に上がり、海外・保険と証券がそろって伸びる場合。金融規制を守りながら10年続く確率は1割とみる。
やや楽観 20% やや楽観:預金優位を維持し、還元も続く 利益 66 億ドル · PER 13.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 189.35 ドル891 億ドル
銀行は主要五行のシェアをおおむね維持し、企業貸出と住宅ローンが物価を上回る勢いで増える。新韓銀行の国内基盤にベトナムなど海外事業が重なり、融資量は実質で約22%伸びる。預金金利の競争は続くが、長期の顧客と企業決済を守り、銀行部門の税引前利益率は24%を確保する。
新韓カードは現代カードの販促に対抗しながら、利用者数と取扱高をゆっくり伸ばす。証券はネット化で手数料が抑えられても、外国株取引と法人向け引受の案件が支える。新韓ライフは保障性商品の利益を積み上げる。2026年に合意したロッテ損保買収は完了の有無も含めて監視するが、未成立分を買収前の収入に足さない。
CET1比率13%以上を維持しつつ、株主には正味約282億ドルを返す。純利益は66億ドル、10年後のROEは11%台となり、会社の中期目標が長期でもおおむね保たれる。再投資の収益は高いが、大手行の競争によってその一部は次第に平均化される。
- 銀行・預金貸出:数量 3,530(貸出平均残高の2025年ドル換算実質額(億ドル))× 価格 0.08(実質貸出残高に対応する年当たり連結収益率(元利差・手数料・名目価格補正を含む))→ 売上 282 億ドル・営業利益 68 億ドル。主要行シェアを維持し融資が実質1.22倍
- クレジットカード・消費者金融:数量 1,450(韓国での新韓カード年間信用販売取扱額の2025年実質換算(億ドル))× 価格 0.04(取扱額に対する連結総収入率(貸付利息・自動車金融も含む、名目価格補正後))→ 売上 57 億ドル・営業利益 10 億ドル。カード決済量が緩やかに増える
- 証券・投資銀行:数量 3,500(仲介取扱高と投資銀行案件の相当取引量(2025年実質換算、億ドル))× 価格 0.01(取扱高当たり総収入率(仲介手数料・信用供与・引受・自己勘定の複合率))→ 売上 40 億ドル・営業利益 8 億ドル。海外証券仲介と引受が堅調
- 生命・損害保険:数量 610(既存保険契約・運用資産に対応する実質基礎残高(億ドル))× 価格 0.09(基礎残高当たり保険サービス・投資収益の複合率(名目価格補正後))→ 売上 52 億ドル・営業利益 10 億ドル。保険の新契約収益が安定
- キャピタル・リース:数量 102(キャピタル・リース会社の実質稼働債権・設備残高(億ドル))× 価格 0.14(債権・設備残高当たり総収益率(名目化を含む))→ 売上 14 億ドル・営業利益 2 億ドル。資本効率の低い融資を整理
- 資産運用・信託・その他:数量 135(信託・受託資産などの実質収益基盤(億ドル))× 価格 0.05(受託資産の加重報酬・その他収入の合成率)→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。信託運用を増やす
倍率:銀行・保険・証券の事業を合算し、普通株に帰属する純利益と株主資本から求める帳簿ROE約11.3%を使用。k8.25%、moat normal(超過収益が残る割合1/2)よりRONIC約9.77%。長期名目g3.9%=市場の実質伸び0.4%+シェアほぼ0%+価格3.5%。10年目利益に対する正当化PER上限は約14.35倍。貸出資本の収益性は高まり、決済・保険の多角化を評価するが、同業と金利で競争するため上限の約94%。このためPER13.5倍とし、純利益66億ドルに掛けた時価総額891億ドル。市場のPERやPBRは倍率根拠に使わない。銀行の調達負債と預金者向け現金は余剰現金として別に足さない。
確率:ROEが会社目標の範囲に収まり、信用コストが大崩れしない姿。年次計画の達成余地を認めるが人口減少が上限となる。
中立 34% 中立:預金と融資は続くが、人口減少が利益を抑える 利益 53 億ドル · PER 12.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 140.79 ドル663 億ドル
2035年末の新韓銀行は今と同じく韓国の主要行として残る。国民銀行との差は大きく縮まらず、ハナ銀行とウリ銀行に対して預金競争が続く。貸出数量は2025年の実質換算で15%増えるが、これは年率1%台の伸びにすぎない。名目残高にはインフレが乗り、銀行部門の収入は約260億ドルとなる。競争と規制で利ざやの拡大は限られる。
カードの取扱量はほぼ横ばいで、金融サービスの価格は上昇しても加盟店手数料の競争が続く。証券は海外株と引受が伸び、保険は新韓ライフの保障性契約が緩やかに増える。2026年に合意したロッテ損保の買収は監督当局の承認待ちであり、成立を前提に損保利益を積み増さない。資金調達金利と信用コストは直近の好況より正常化させる。
営業利益は約78億ドル、親会社株主に残る純利益は53億ドルとなる。10年間の累計利益は約433億ドルで、株主へ正味255億ドルを配分しても自己資本は約547億ドルに積み上がる。ROEは9%台後半で、会社の中期ROE目標は完全には定着しない。堀は残るが強化も限定的という、持続可能な成熟金融グループの姿である。
- 銀行・預金貸出:数量 3,340(貸出平均残高の2025年ドル換算実質額(億ドル))× 価格 0.08(実質貸出残高に対応する年当たり連結収益率(元利差・手数料・名目価格補正を含む))→ 売上 260 億ドル・営業利益 58 億ドル。銀行貸出は実質1.15倍、名目収益は物価に近い伸び
- クレジットカード・消費者金融:数量 1,340(韓国での新韓カード年間信用販売取扱額の2025年実質換算(億ドル))× 価格 0.04(取扱額に対する連結総収入率(貸付利息・自動車金融も含む、名目価格補正後))→ 売上 51 億ドル・営業利益 7 億ドル。カード利用量は1.02倍、利幅は規制で圧縮
- 証券・投資銀行:数量 3,250(仲介取扱高と投資銀行案件の相当取引量(2025年実質換算、億ドル))× 価格 0.01(取扱高当たり総収入率(仲介手数料・信用供与・引受・自己勘定の複合率))→ 売上 36 億ドル・営業利益 7 億ドル。証券は件数増、値下げが相殺
- 生命・損害保険:数量 570(既存保険契約・運用資産に対応する実質基礎残高(億ドル))× 価格 0.08(基礎残高当たり保険サービス・投資収益の複合率(名目価格補正後))→ 売上 47 億ドル・営業利益 8 億ドル。既存の保険契約・サービス収益が拡大
- キャピタル・リース:数量 92.0(キャピタル・リース会社の実質稼働債権・設備残高(億ドル))× 価格 0.13(債権・設備残高当たり総収益率(名目化を含む))→ 売上 12 億ドル・営業利益 1 億ドル。低収益の設備金融は回復限定
- 資産運用・信託・その他:数量 123(信託・受託資産などの実質収益基盤(億ドル))× 価格 0.05(受託資産の加重報酬・その他収入の合成率)→ 売上 6 億ドル・営業利益 1 億ドル。信託と運用は足元の利益率を平準化
倍率:銀行・保険・証券の事業を合算し、普通株に帰属する純利益と株主資本から求める帳簿ROE約9.7%を使用。k8.25%、moat normal(超過収益が残る割合1/2)よりRONIC約8.97%。長期名目g3.7%=市場貸出実質0.5%+競争によるシェア−0.3%+名目価格3.5%。10年目利益に対する正当化PER上限は約13.39倍。国内の実質貸出増と名目価格上昇は見込めるが、人口減少・利ざや競争と与信循環から上限の約93%。このためPER12.5倍とし、純利益53億ドルに掛けた時価総額662.5億ドル。市場のPERやPBRは倍率根拠に使わない。銀行の調達負債と預金者向け現金は余剰現金として別に足さない。
確率:銀行シェアを維持し、貸出の実質増は年1%台、カードはほぼ横ばい。2026年の利益急増は一時要因を差し引いて評価する。
やや悲観 24% やや悲観:預金競争で新たな資本が稼がない 利益 31 億ドル · PER 11.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 72.47 ドル341 億ドル
預金金利を引き上げても国民銀行やハナ銀行、ネット銀行への流出を止められず、新韓の貸出シェアはゆっくり低下する。住宅規制で家計向け融資の伸びが止まり、企業貸出でも採算を優先すると、実質の銀行融資基盤は現在からほぼ増えない。名目残高は物価で膨らむが、利ざやと利益率が下がり、銀行部門の利益は約39億ドルにとどまる。
カードは現代・サムスンとの競争で取扱量が減り、手数料率も薄くなる。証券は取引アプリの低手数料化で収益を失う。新韓ライフは保有契約を維持するものの、保険数理の見直しと保険金負担で利益率が下がる。ロッテ損保の取得が完了すれば、改善ではなく追加引当と資本拘束が先行するおそれがある。
2026年の利益が高い間は還元を続けるが、その後に信用費用がかさみ、後半は自社株買いを縮小する。10年間の累計利益は約340億ドル、正味還元は167億ドルへ減る。2035年の純利益は31億ドル、ROEは約5.7%となり、資本コストを下回る。自己資本が積み上がっても高く評価できない銀行へ変わった姿である。
- 銀行・預金貸出:数量 3,000(貸出平均残高の2025年ドル換算実質額(億ドル))× 価格 0.07(実質貸出残高に対応する年当たり連結収益率(元利差・手数料・名目価格補正を含む))→ 売上 207 億ドル・営業利益 39 億ドル。国内融資シェアが減り実質量は横ばい
- クレジットカード・消費者金融:数量 1,100(韓国での新韓カード年間信用販売取扱額の2025年実質換算(億ドル))× 価格 0.04(取扱額に対する連結総収入率(貸付利息・自動車金融も含む、名目価格補正後))→ 売上 39 億ドル・営業利益 4 億ドル。カードは現代にシェアを奪われる
- 証券・投資銀行:数量 2,800(仲介取扱高と投資銀行案件の相当取引量(2025年実質換算、億ドル))× 価格 0.01(取扱高当たり総収入率(仲介手数料・信用供与・引受・自己勘定の複合率))→ 売上 27 億ドル・営業利益 3 億ドル。証券仲介の手数料圧縮
- 生命・損害保険:数量 520(既存保険契約・運用資産に対応する実質基礎残高(億ドル))× 価格 0.08(基礎残高当たり保険サービス・投資収益の複合率(名目価格補正後))→ 売上 39 億ドル・営業利益 5 億ドル。保険数理の見直しで採算悪化
- キャピタル・リース:数量 80.0(キャピタル・リース会社の実質稼働債権・設備残高(億ドル))× 価格 0.12(債権・設備残高当たり総収益率(名目化を含む))→ 売上 10 億ドル・営業利益 0 億ドル。不動産金融の貸倒増
- 資産運用・信託・その他:数量 115(信託・受託資産などの実質収益基盤(億ドル))× 価格 0.04(受託資産の加重報酬・その他収入の合成率)→ 売上 5 億ドル・営業利益 1 億ドル。信託・情報関連も競争で縮む
倍率:ROE5.7%がk8.25%を下回るため、長期的に留保資本が十分に稼がない。PERの理論上限は1/k=12.12倍。成長率を名目1.5%とし、国内貸出の実質減、シェア低下、価格上昇が物価を下回る展開を想定した。貸倒と再編費用を反映して上限より低い11.0倍にした。純利益31億ドル×11.0倍=341億ドル。純現金はなく預金見合いの現金は加えない。資産回収の床は現時点自己資本369.4億ドルから、税後の貸倒追加約95億ドルと証券・保険資本目減り約39億ドルを差し引いた235.4億ドルとする。
確率:人口減少・住宅金融の規制・カード手数料圧迫が重なるが、銀行としての存続力は残る。過去の信用循環を考えると約4分の1の重み。
悲観 12% 悲観:住宅・与信と保険が長く傷む 利益 12 億ドル · PER 10.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 24.93 ドル117 億ドル
韓国の住宅・商業不動産の信用調整が数年続き、個人と中小企業の延滞が急増する。新韓銀行は貸出を抑え、国民銀行やハナ銀行、低費用のネット銀行に顧客を失う。融資数量は2025年の実質基準で約8%減り、預金流出のため調達費用が高止まりする。銀行の税引前利益率は13%まで下がり、かつての安定した大手行の強さは失われる。
カードは利用量が3割ほど減り、貸倒率の高いローンの整理を迫られる。証券の手数料と自己勘定利益は小さくなり、保険では保障性契約の解約と支払負担が重なる。ロッテ損保の取得が成立した場合は追加資本が必要になりうるが、未成立会社の保険料・利益は今回の数値に含めない。
この10年には2026年の好決算も含まれる一方、信用不況期に税後約88億ドルの追加損失・減損を仮定する。その結果、期間の純利益合計は約140億ドルにとどまり、配当は維持しても自社株買いは多くの年で止まる。正味還元は75億ドルとなり、2035年の純利益は11.5億ドル、ROEは3%を下回る。株主に返せるのは残る預金・貸出・証券資産の回収可能価値に近づく。
- 銀行・預金貸出:数量 2,680(貸出平均残高の2025年ドル換算実質額(億ドル))× 価格 0.06(実質貸出残高に対応する年当たり連結収益率(元利差・手数料・名目価格補正を含む))→ 売上 163 億ドル・営業利益 21 億ドル。与信減と資金コスト増が同時に進む
- クレジットカード・消費者金融:数量 900(韓国での新韓カード年間信用販売取扱額の2025年実質換算(億ドル))× 価格 0.03(取扱額に対する連結総収入率(貸付利息・自動車金融も含む、名目価格補正後))→ 売上 28 億ドル・営業利益 2 億ドル。カード利用量が減り貸倒が増える
- 証券・投資銀行:数量 2,400(仲介取扱高と投資銀行案件の相当取引量(2025年実質換算、億ドル))× 価格 0.01(取扱高当たり総収入率(仲介手数料・信用供与・引受・自己勘定の複合率))→ 売上 20 億ドル・営業利益 1 億ドル。証券収益の縮小と不良資産整理
- 生命・損害保険:数量 445(既存保険契約・運用資産に対応する実質基礎残高(億ドル))× 価格 0.07(基礎残高当たり保険サービス・投資収益の複合率(名目価格補正後))→ 売上 29 億ドル・営業利益 1 億ドル。保険金の支払増と解約
- キャピタル・リース:数量 65.0(キャピタル・リース会社の実質稼働債権・設備残高(億ドル))× 価格 0.10(債権・設備残高当たり総収益率(名目化を含む))→ 売上 7 億ドル・営業利益 0 億ドル。不動産貸出の実損で赤字
- 資産運用・信託・その他:数量 92.0(信託・受託資産などの実質収益基盤(億ドル))× 価格 0.04(受託資産の加重報酬・その他収入の合成率)→ 売上 3 億ドル・営業利益 0 億ドル。運用・信託事業も縮小
倍率:ROE2.6%がk8.25%を大幅に下回り、PERは1/k=12.12倍を上限とする。数量の縮小と手数料の競争から名目長期gは0.5%。10年末純利益11.5億ドルの10.2倍=117.3億ドルで、資本コストに届かない利益の質を反映した。利益による時価総額117.3億ドルは、現時点の金融資産から推定した税後回収可能価値115.4億ドルを上回る。預金払い戻しに必要な現金を別建てしない。
確率:銀行の存続自体は見込むが、不動産信用不況・資金調達高騰・保険引受の失敗が複合する尾部事象。2008年と韓国の家計債務を踏まえ1割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
銀行・預金貸出
新韓銀行、済州銀行および海外銀行の預金・個人法人融資・資金決済。貸出に伴う利息と手数料を受け、預金と調達債券の利息および貸倒費用を負担する。
| 数量貸出平均残高の2025年ドル換算実質額(億ドル) | 価格実質貸出残高に対応する年当たり連結収益率(元利差・手数料・名目価格補正を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,900 | 0.06 | 170 | 38 |
| 10 年後 中立 | 3,340 | 0.08 | 260 | 58 |
取り方:2025年20-Fによれば全社の平均貸出は約461兆ウォン、2025年末のカード債権は約28.4兆ウォン。銀行中心の平均貸出を約429兆ウォンとし、一定のドル換算率を用いて約2,900億ドルの実質残高とした。連結売上に整合する銀行向けの収入寄与を約170億ドルと見積もり、元本1単位当たり5.862%で表した。20-Fの銀行部門純金利収益9.333兆ウォンと純手数料1.052兆ウォンを検算に使用し、連結消去前の銀行単体総営業収益をそのまま売上に足さない。セグメント税引前利益5.178兆ウォンの全社に対する比率から、添付factsの営業利益51.6億ドルに揃え銀行の38.0億ドルを得た。韓国主要5銀行の2025年ウォン建て貸出で新韓のシェア20.4%、国民23.1%、ハナ19.4%。
クレジットカード・消費者金融
新韓カードの買物決済・カードローン・分割払い・オートリース。加盟店手数料と貸付利息から、ポイント・調達・貸倒費用を差し引いて稼ぐ。
| 数量韓国での新韓カード年間信用販売取扱額の2025年実質換算(億ドル) | 価格取扱額に対する連結総収入率(貸付利息・自動車金融も含む、名目価格補正後) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,310 | 0.03 | 38 | 5 |
| 10 年後 中立 | 1,340 | 0.04 | 51 | 7 |
取り方:2025年の専業カード7社比較資料に新韓カード取扱額194.9兆ウォン、現代カード189.8兆、サムスン178.5兆、KB151.4兆の記載。2025年全カード市場の信用取扱額約1077兆ウォンに対して新韓は約18.1%だが、比較集団・定義が異なるため概算である。取扱額を約1310億ドルに固定換算し、ローン金利・リース収益を含む実効収入率2.901%を推定。20-Fでは会員1315.9万人、加盟店324.3万店、2025年カード部門純金利1.947兆ウォン・純手数料0.764兆ウォン・部門税引前0.742兆ウォン。セグメント利益は連結factsの全社利益への同比率換算で5.45億ドル。カードのデータ販売は売上内訳が公表されず独立額を推定しない。
証券・投資銀行
新韓投資証券による株式・債券仲介、引受、投資銀行、証拠金融、債券・為替取引。取扱高に手数料率を掛けた収入に運用損益が乗る。
| 数量仲介取扱高と投資銀行案件の相当取引量(2025年実質換算、億ドル) | 価格取扱高当たり総収入率(仲介手数料・信用供与・引受・自己勘定の複合率) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,500 | 0.01 | 22 | 4 |
| 10 年後 中立 | 3,250 | 0.01 | 36 | 7 |
取り方:20-Fによれば2025年の新韓証券の韓国株式仲介出来高シェア8.44%、オプション13.30%、先物19.65%。国内外の株・デリバティブ仲介の実質的な有効出来高を約2500億ドルと試算し、証券信用・引受・市場取引利益を含めた合成収入率0.88%で概算。0.88%は通常の株式約定手数料ではなく異なる収益を束ねたモデル上の単価である。部門の純金利0.572兆ウォンと純手数料0.690兆ウォン、税引前0.488兆ウォンを確認し、factsの全社営業利益へ同比率で3.59億ドルとした。競合はキウム証券、未来アセット証券、韓国投資証券、サムスン証券。
生命・損害保険
新韓ライフなど既存保険子会社の保障性保険・貯蓄性契約と運用。契約サービス収益・運用益を得る一方、保険金・費用を負担する。
| 数量既存保険契約・運用資産に対応する実質基礎残高(億ドル) | 価格基礎残高当たり保険サービス・投資収益の複合率(名目価格補正後) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 500 | 0.06 | 31 | 6 |
| 10 年後 中立 | 570 | 0.08 | 47 | 8 |
取り方:新韓生命の2025年保険サービス収益は3.072兆ウォン、保険契約サービスマージン(CSM)は2025年末約7.55兆ウォン。保険契約と運用資産から合計約500億ドルの基礎残高を推定し、保険サービス収入と投資収入の複合率6.2%で約31億ドルの連結寄与を試算した。これは単純な正味保険料率ではない。20-Fの保険部門税引前利益0.759兆ウォンの比率を用い営業利益5.58億ドル。韓国生命保険の2025年CSMではサムスン生命約13.2兆ウォン、ハンファ生命約8.7兆、同社約7.55兆、教保生命約6.5兆。2026年10月に合意したロッテ損保77.04%取得は規制承認前であり数量に入れない。
キャピタル・リース
新韓キャピタルなどによる設備・法人・不動産担保融資とリース。残高と利ざやで稼ぐが、不動産事業向けの信用コストが重い。
| 数量キャピタル・リース会社の実質稼働債権・設備残高(億ドル) | 価格債権・設備残高当たり総収益率(名目化を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 80.0 | 0.10 | 8 | 0 |
| 10 年後 中立 | 92.0 | 0.13 | 12 | 1 |
取り方:2025年20-Fの信用・リース部門は貸出・ファシリティリースが中心。2025年の部門税引前利益は0.041兆ウォンへ落ち、前年の0.122兆ウォンから急減した。金利収益の裏付けとなる債権・リース基礎残高を約80億ドルと保守的に概算し、10%の複合収益率で約8億ドルの収入、利益0.31億ドルを推定。独立した貸出残高・利回りを一意に取得できず、収入額の確度は銀行・カードより低い。
資産運用・信託・その他
新韓アセットマネジメント、信託、投資助言、海外関連会社など。運用・受託資産の報酬と企業向け金融サービスから収益を得る。
| 数量信託・受託資産などの実質収益基盤(億ドル) | 価格受託資産の加重報酬・その他収入の合成率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120 | 0.04 | 4 | 2 |
| 10 年後 中立 | 123 | 0.05 | 6 | 1 |
取り方:20-Fのその他部門の純手数料は0.377兆ウォン、部門税引前利益0.274兆ウォン。信託・運用資産および付随する金融役務のうち収益を生む基盤を約120億ドルと概算し、報酬・その他収入合算3.58%で4.3億ドルとした。投資助言・カードのデータ販売にAI代替の影響があるが独立した収益額は非開示である。基礎残高と単価は推定であり、2025年の高い利益率は単発収益を含むため10年後に横滑りさせない。
リスクと懸念
韓国の家計債務と住宅信用
住宅ローンの規制やマンション価格の下落は、担保の評価と新規融資需要を同時に傷める。国内の大手銀行という地位だけでは貸倒を免れない。2025年の総貸出は約470兆ウォンと大きく、資産のわずかな毀損でも自己資本の一部が失われる。延滞・要注意先・不動産プロジェクト融資を毎四半期見る。
預金調達の値上がりと利ざや
新韓銀行には長年の口座と決済の基盤があるが、国民・ハナ・ウリ銀行とインターネット銀行の競争で預金金利を引き上げれば純金利マージンが縮む。2026年7〜9月期は銀行NIMが前期比3bp低下した。融資量が増えても調達コストに利益を奪われると、増分のROEが資本コストを下回る。
カード手数料・消費者延滞
新韓カードは2025年に年間約195兆ウォンの信用販売を扱ったが、現代カードとの取扱高の差は小さい。加盟店手数料の規制、ポイント費用、海外決済費用、延滞率が同時に上がれば、取扱額の成長は利益にならない。2026年のカード部門には本社ビル売却益もあり、底力と一時益を分けて確認する。
保険数理とロッテ損保買収
新韓ライフの保険契約サービスマージンが増えても、解約率・死亡率・医療費など実際の経験が数理前提より悪ければ利益は減る。2026年10月13日に決議したロッテ損保の77.04%取得はまだ承認前で、損害率の悪化や追加資本を引き受ける可能性がある。未成立の事業を利益に加えてはいない。
韓国ウォン・ADRと少数株主
普通株1株に対しADR1口の制度で、為替と預託手数料がドル建て株主の受取額に影響する。評価のドル換算では基準為替を固定したが、実際のウォン急落局面には株主リターンが減る。国内金融監督の指示、政策金融の負担、大株主の事情により、50%以上の還元目標が予定どおり続くとは限らない。
資本比率・金融市場と証券会社の評価損
銀行の有利子負債には預金という仕入れが多く、通常の企業のネット負債倍率では測れない。CET1比率が13%を割り込めば、配当と自社株買いより資本保全が優先する。証券の債券価格下落やプロジェクト金融の減損が重なると連結利益が傷む。2026年7〜9月期に非金利収益が大幅に落ちた事実も重い。
AIエージェント代替(非中核)とデジタル競争
銀行の許認可、預金債務、貸出実行や保険契約そのものはAIエージェントに置き換わらない。一方、新韓カードのデータ分析販売、証券調査、投資助言の情報部分は人が報告書を作る価値が薄れ、価格と数量の両方に圧力がかかる。これらの独立売上は非開示であり、中核預金事業に同じ縮小率を一律に掛けない。
今後の分かれ目
- 新韓銀行のNIMが4四半期続けて低下し、預金残高シェアが主要行の20%を下回ったら
- 預金の堀が弱くなったと見て銀行部門の名目収入率を下げ、やや悲観の比重を増やす。還元の維持可能性も再点検する。
- CET1比率が13%を割り、自己株取得が凍結されたら
- 資本の取り分を減らす。買収や不良資産償却のために自己資本を積み直す筋書きを重くし、持続的な還元額を引き下げる。
- ROE10%以上と総還元性向50%以上を3年連続で両立したら
- 増分資本の稼ぎと経営の規律が確認できる。やや楽観の比重を上げ、利益率と正味還元の道筋を再評価する。
- 新韓カードの取扱高シェアが15%未満へ下がり、延滞率も上がったら
- カードの加盟店ネットワークの弱体化を認める。量と収益率を同時に下げ、やや悲観から悲観への移行を検討する。
- ロッテ損保買収が正式に完了し、実際の引当・保険金・K-ICS資本が開示されたら
- その時点の取得対価と資本消費を反映し、既存事業と分けて保険契約量・単価・利益を積み直す。未成約時点の会社には遡って加えない。
- 韓国の銀行不良債権比率が急上昇し、不動産信用の損失が資本を10%以上減らしたら
- 資産売却時の税後回収額と信用費用を点検し、悲観側の下限資産と10年間の純利益累計を引き下げる。
- AIがカードのデータ販売や証券調査の顧客向け収益を明確に代替し、独立売上比率が開示されたら
- 該当する情報・調査サービスを切り出す。中立の実質数量0.55〜0.75倍、名目単価は物価上昇率以下、長期g0%として再推計する。
見ておくもの
- 新韓銀行の国内ウォン建て貸出・預金シェア(国民・ハナ・ウリとの比較)と銀行NIM
- グループCET1比率13%ライン、総還元性向50%目標の達成、株式消却の実施額
- 連結信用コスト率、要注意・不良債権比率、住宅・不動産PF・中小企業融資の延滞
- カード年間取扱額・現代カードとの差・貸倒率・加盟店手数料規制
- 新韓ライフのCSM増減と実際の経験差損、ロッテ損保買収の当局承認・K-ICS
- 証券仲介シェア8.44%と非金利収益の変動・資産運用報酬の維持
- 韓国の人口と実質家計貸出の需要、ウォン・ドル為替とADR換算の乖離
倍率と資本コストの決め方
今のADR価格や過去のPERを見て10年後の倍率を逆算していない。まず2025年20-Fの銀行貸出・カード利用・証券仲介・保険資産と各部門の税引前損益を基礎に、実質数量と名目単価を分け、連結売上273.3億ドル・営業利益51.6億ドルをfactsの基準に合わせた。2025年20-Fの各部門総営業収益は連結消去や金融商品の総額表示のため加算せず、収益率はモデル上の実効率と明記した。次に中立ROE9.7%、k8.25%、新資本の超過利益が半分残る普通の堀、事業から導く長期g3.7%から正当化PER上限約13.39倍を得て、その93%に当たる12.5倍にした。ROEは伸びの根拠ではなく必要資本を表す。時価総額の割安判定は最後に行い、今の株価に寄せていない。銀行の現金は預金払い戻しに必要で余剰現金を二重計上していない。2026年のロッテ損保買収は未成約で数量に含めない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k=米国株共通の基礎8.0%+quality0.25%=8.25%。韓国固有の不動産・監督・為替・M&Aの不確実性をbetaや上乗せで二重計上せず、信用の悪い筋書きと確率で表す。