結論
バンク・オブ・アメリカは、総資産約 3.4 兆ドル・預金約 2 兆ドルの全米第 2 の銀行である。消費者向け銀行(預金・カード・住宅ローン)、資産・富裕層運用(メリルとプライベートバンク。顧客資産約 4.75 兆ドル)、法人・投資銀行、市場業務の 4 本柱で稼ぐ。2025 年は純利益約 305 億ドル(ROE 10.1%)、2026 年 4〜6 月期は純利益 91 億ドル(ROTCE 17.0%)と過去最高水準に乗り、7〜9 月期は規制上の和解金 12 億ドル(資金洗浄・制裁の遵守に関する当局との同意命令)を引いて 69 億ドル、それを除くと 81 億ドルだった。CET1 は 10.9% で、JPモルガンの 14% 台より薄く、自社株買いは四半期 60 億ドルが上限に近い。
事業の質は JPモルガンに次ぐ水準で、預金の約 10%・富裕層の約 4.75 兆ドルという規模は 10 年後も存在し続ける。堀は広がるが、預金の伸びは年 2% と鈍く、ROE は JPモルガンより 5 ポイント近く低い。バリュー投資の観点では、この ROE 差が倍率の差であり、JPモルガンの PER 16 倍前後をそのまま当てはめない。
資本コスト 8.0%(基本 8.0% に quality 0%)では、10 年後の ROE 11.9%(のれんと無形資産約 710 億ドルを除くと 14% 台)・成長 4% から利益ベースの式で出す上限 PER は 14.9 倍(資本コストを超える稼ぎは新しく投じるお金では半分に薄れる)、その 9.5 割の 14.2 倍・PBR 約 1.7 倍に置くと、中立の筋書きは 10 年後に時価総額が今の約 1.9 倍、還元を足して割り引くと今の値段を 2 割ほど上回る。ただし 10 年のうちの不況で ROE が 8% 台に落ちる道(確率 19%)と、構造的な負け(確率 11%)があり、安全域は厚いが無条件ではない。結論はやや割安で、遵守上の問題(和解金)と薄い資本が JPモルガンとの差を生む。
バリュー投資の観点から
バリュー投資家なら、まず 10 年後もあるかを問う。答えは、ある。預金の約 10%、メリルの約 4 兆ドルの顧客資産、法人と市場の顧客基盤は、金融危機でもむしろ地位を保ってきた。堀は広がる方向にあり、消費者向け預金とメリルの切り替えの費用の高さは疑いにくい。
次にオーナー利益を見る。銀行は貸出が増えるほど自己資本を積み増す必要があり、利益のうち再投資に回る分が大きい。2025 年の純利益 305 億ドルのうち、規制資本(CET1)を維持したまま株主に出せる分は、10 年の実績で配当と自社株買いの約 7〜8 割で、直近の自社株買い(利益に近い額)は余剰資本の取り崩しを含み、続けられる水準ではない。CET1 10.9% は JPモルガンより薄く、規制の最低との差が小さい。
安全域では、利益ベースの式で出す PBR は ROE 11.9%・資本コスト 8.0%・成長 4% で約 1.7 倍、今は 1.19 倍で、中立なら 4 割ほどの余裕がある。ただしこの余裕は ROE 11〜12% が保たれる前提で、ROE が 9% に落ちれば式の PBR は 1.2 倍前後まで下がり、余裕はほぼ消える。銀行は信用循環で利益が 2〜3 年のうちに半減しうる業種で、リーマン級でも大手銀行の PBR は 0.2〜0.8 倍まで下がった。また遵守上の問題が表に出たことは、事業の質に対する確信を下げる。確信度は事業については高く、値段については、安全域は十分だが ROE の維持が前提と見る。
何で稼ぐ会社か
消費者向け銀行(Consumer Banking)は、全米の家計に約 9,490 億ドルの預金(平均)と約 3,210 億ドルの貸出を持つ。チェッキング・貯蓄・カード・住宅ローン・自動車ローン・中小企業向けが主で、低コストの預金を調達源に貸出と手数料で稼ぐ。2026 年 7〜9 月期の収益は 116 億ドル、純利益 35 億ドルで、自己資本利益率(ROAC)は 31% と全社で最も高い。消費者向けの純損失率は 1.41% で、カードの貸倒が収益の振れ幅を決める。
資産・富裕層運用(GWIM)は、メリル(Merrill)とバンク・オブ・アメリカ・プライベートバンクの二本立てで、2025 年末の顧客資産は全体で約 4.75 兆ドル(メリルは約 3.99 兆ドル)。運用報酬と、富裕層向けの貸出・預金の利ざやで稼ぎ、2025 年の純利益は 46.7 億ドル(前年比 +10%)、7〜9 月期の収益は 71 億ドル(前年比 +13%)と全社で最も伸びが速い。株高と顧客資産の増加の恩恵が出る。
法人・投資銀行(Global Banking)は、貸出・預金・投資銀行(M&A・引受)・資金管理で、平均預金 6,690 億ドル・貸出 4,190 億ドル、7〜9 月期の収益 62 億ドル(前年比ほぼ横ばい)・純利益 20 億ドル、ROAC は 15%。市場業務(Global Markets)は株・債券・為替・商品の売買で、7〜9 月期の収益 59 億ドル(前年比 -6%)・純利益 12 億ドル、ROAC 9% と全社で最も資本効率が低い。2026 年 4〜6 月期の売買収益は約 72 億ドルで、株式は +70%、債券・為替は 10 年来の最強だった。会社全体では純金利収益(7〜9 月期 164 億ドル、前年比 +8%)が収益の約 55%、手数料・市場業務が約 45% である。
優良さと弱いところ
堀は 4 層ある。第 1 は預金基盤で、約 2 兆ドルの預金は全米の約 10% で、無利息・低利の預金の厚みが調達コストを地銀より低くする。第 2 は規模と技術で、年 100 億ドルを超える技術投資を数兆ドルの資産に配れる。第 3 は事業の幅で、消費者・富裕層・法人・市場が景気の局面ごとに補い合う。第 4 はメリルの顧客資産約 4 兆ドルという富裕層の囲い込みで、ここは切り替えの費用が高く、手数料の質が良い。
資本効率は、ROE が 2025 年に 10.1%、ROTCE は 2026 年 4〜6 月期に 17.0% で、会社の 3〜5 年目標(ROTCE 16〜18%、EPS 年 12% 以上、効率比率 55〜59%)に乗ってきた。ただし JPモルガン(ROE 15% 台)には届かず、CET1 10.9%(2026 年 7〜9 月期は和解金と自社株買いで前期比 0.37 ポイント低下)は規制の最低に対する余裕が小さい。
弱点は 4 つ。第 1 に、市場業務の資本効率が低く(ROAC 9%)、投資銀行・市場の規模が JPモルガンやゴールドマン・サックスより小さい。第 2 に、2026 年 10 月の OCC と FinCEN の同意命令(資金洗浄・制裁の遵守)が示すように、リスク管理の欠陥が表に出ている。第 3 に、預金の伸びが年 2% と、貸出(年 7%)より遅い。第 4 に、モイニハン氏(65 歳)の後継が未確定で、共同社長のアタナシア氏・デマーレ氏、ボースウィック CFO が候補とされるだけで、人への依存が残る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の銀行業は、FDIC の 2026 年 4〜6 月期の速報で純利益 901 億ドル(年換算約 3,600 億ドル)、ROA 1.37%、NIM 3.32% と利益水準が高い。短期金利が 3.5〜4%、長期金利が 5% 前後で高止まりする世界では、2020〜21 年に買った低利の債券・住宅ローンが入れ替わって NIM は徐々に改善し、BAC は 2026 年の純金利収益が高い 1 桁の伸びと見込む(年初は 5〜7%)。一方で預金は無利息では残らず、預金コストは 2010 年代のゼロには戻らない。BAC の預金は 2026 年 7〜9 月期に前年比 +2%、貸出は +7% で、預金の伸びが貸出に追いついていない。
競争では、上位 4 行(JPモルガン・バンク・オブ・アメリカ・ウェルズ・ファーゴ・シティグループ)が預金の約 4 割を握る。ウェルズ・ファーゴは資産上限が 2025 年に解除されて攻勢に戻り、JPモルガンは技術投資で預金と法人の両面で先を行く。富裕層ではモルガン・スタンレー(Morgan Stanley)が主な競合、市場業務ではゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)と JPモルガンが上位。規制緩和(SLR の見直し・バーゼル III の再提案)は大手の資本負担を軽くし、自社株買いの余力を広げる。
循環でいえば、純損失率 0.44% は平常で、市場業務と富裕層が好調な山の手前〜山に近い。商業用不動産(オフィス)とノンバンク貸出に火種があり、物価と金利が高止まりすると借り手の返済負担が重くなる。分かれ目は、失業率、カードと法人貸出の延滞、預金コスト、長期金利の動きである。
資本政策と M&A
還元は 2026 年 7〜9 月期に自社株買い 60 億ドル・配当 22 億ドルで、合わせて純利益の約 1.2 倍(和解金で利益が減った分を含む)だった。自社株買いは株数を年 4% 前後減らしてきた(2025 年は 4.2%)。CET1 が 10.9% と JPモルガンの 14% 台より薄いため、自社株買いは資本規制の緩和(SLR・バーゼル III の再提案)と貸出の伸びの両方に制約される。分析の還元額(payout)は株式報酬で増える株の分を引いた正味で置いた。
M&A は、2008 年のカントリーワイド・メリルリンチの買収が後に巨額の訴訟費用を招き、2010 年代以降は自前の成長に徹している。平時の大型買収は規模の上限(預金シェア 10% 規制)と規制で難しく、今後はフィンテックやデータ・AI への小規模な投資が中心になる。買われる側になる可能性はない。
資本配分の規律は、2010 年代に ROE を 10% 前後で管理して自社株買いを積み上げたことから、概ね良い。ただし 2026 年 10 月の和解金が示す遵守・内部統制の投資不足は、過去の低コスト運営の裏返しの面があり、資本配分の質に疑問を残す。
2026 年に決算期末後すでに実行した自社株買い 132.5 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元には数えず、自己資本の起点(2899.9 億ドル)からも外した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
預金・メリル・法人・市場で全国の顧客を押さえる会社は、JPモルガンの他にはない。固定金利の低利資産が満期で入れ替わるため、物価と金利が高止まりするほど NIM は改善し、2026 年の純金利収益は年初の見通し(5〜7% 増)から高い 1 桁へ引き上げられた。2026 年 4〜6 月期の ROTCE は 17.0% と、会社の 16〜18% の目標にすでに届いた。
GWIM は 7〜9 月期の収益が前年比 +13% と最も伸び、顧客資産の複利が手数料を押し上げる。資本規制の緩和で CET1 10.9% でも還元は増やせ、自社株買いで株数は年 4% 減る。EPS を年 12% 伸ばす会社の目標は、純利益が年 8%・株数が年 4% 減る算数で届く。和解金 12 億ドルは一過性で、除いた 81 億ドルが水準である。バリュー投資の観点では、PBR 1.19 倍は ROE 11〜12% の銀行にとって低い。
慎重な見方
2025 年の純利益 305 億ドルや 2026 年 4〜6 月期の ROTCE 17.0% は、信用コスト(純損失率 0.44%)が低く市場業務が絶好調な山の値である。7〜9 月期は市場業務の収益が前年比 -6% と早くも失速し、ROAC は 9% と資本コストを下回る。預金の伸びは年 2% で、貸出の伸び(7%)に追いつかず、調達を高い市場金利に頼るほど NIM の改善は鈍る。
12 億ドルの和解金は金額が小さく見えるが、資金洗浄・制裁の遵守という根本的なリスク管理の欠陥を認めたもので、当局の命令が成長の足かせになる可能性がある(ウェルズ・ファーゴの資産上限は 2018 年から 7 年続いた)。CET1 10.9% は薄く、自社株買いを続けるほど余裕がない。10 年後の ROE を 11.9% と置いても、資本コスト 8.0% の下の利益ベースの式の PBR は約 1.7 倍で、ROE が 2 ポイント落ちるだけで割安は縮む。モイニハン氏の後継、カード金利上限、預金の流出という火種が同時に控える。
どちらに重みを置いたか
事業の質と成長の方向は強気の見方が強いが、遵守上の問題・薄い資本・市場業務の低い資本効率は慎重な見方が強く、確率は中立に厚めに置き、悲観とやや悲観を JPモルガンより少し厚くした(10 年で悲観・やや悲観の合計 30%、楽観・やや楽観の合計 36%)。倍率は式どおりで、ROE 11.9% に対して PER 14.2 倍と JPモルガンの 16.6 倍より低く、ROE の差が式の中で倍率に出る。10 年の悲観は構造的な負け(預金流出・規制・遵守違反)を 1 割強とし、ROE が k を下回るので稼ぐ力(純利益 ÷ k)の 8.5 割で測った。結論は「優良で、やや割安」。安全域は JPモルガンより厚く見えるが、ROE 11〜12% の維持が前提である。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 87.09 ドル6,142 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 33.73 ドル2,379 億ドル)。 今の値に割り戻すと 63.30 ドル4,464 億ドル、今との差 +23.9%、 期待の年率 +9.0%(資本コスト 8.0%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 11% | 127.78 ドル9,012 億ドル | 39.81 ドル2,808 億ドル | +228.1% | +12.6% | 18.44 ドル1,300 億ドル |
| やや楽観 | 25% | 110.00 ドル7,758 億ドル | 36.97 ドル2,608 億ドル | +187.7% | +11.1% | 36.74 ドル2,591 億ドル |
| 中立 | 34% | 96.50 ドル6,806 億ドル | 37.11 ドル2,618 億ドル | +161.6% | +10.1% | 45.43 ドル3,204 億ドル |
| やや悲観 | 19% | 54.58 ドル3,849 億ドル | 28.61 ドル2,018 億ドル | +62.8% | +5.0% | 15.80 ドル1,115 億ドル |
| 悲観 | 11% | 21.38 ドル1,508 億ドル | 18.68 ドル1,318 億ドル | −21.6% | −2.4% | 4.41 ドル311 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 87.09 ドル6,142 億ドル | 33.73 ドル2,379 億ドル | +136.5% | +9.0% | 120.82 ドル8,521 億ドル |
今の株価時価総額 51.08 ドル3,602 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 11% 楽観:預金・市場・富裕層でシェアを伸ばし、費用率が下がって ROE が 13% 台へ 利益 596 億ドル · PER 15.1 倍 · 株価時価総額 127.78 ドル9,012 億ドル
10 年後(2035 年末)、地銀の再編と規制緩和で預金・貸出が大手へ集まり、消費者向け銀行の預金と貸出の合計は 2.05 兆ドル、収益 769 億ドル。GWIM は顧客資産 10.5 兆ドルで 525 億ドル(Merrill の担当アドバイザーとデジタルの併用が効く)。法人・投資銀行は 382 億ドル。市場業務はプール 4,500 億ドルの 10%(450 億ドル)で、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)に迫る。AI で費用率が 4 ポイント下がり、純利益は約 610 億ドル、ROE は 13.6%、10 年の還元は 2,808 億ドル。成長が名目 5% に落ち着いた後で PER 13.8 倍が付く。
- 消費者向け銀行(Consumer Banking):数量 20,500(預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.04(残高あたりの純収益(純金利収益+手数料)の率)→ 売上 769 億ドル・営業利益 308 億ドル。地銀再編で預金が集まる
- 資産・富裕層運用(GWIM):数量 105,000(顧客資産残高(億ドル))× 価格 0.01(残高あたりの純収益の率(運用報酬と預金・貸出の利ざやを含む))→ 売上 525 億ドル・営業利益 163 億ドル。富裕層の資産増
- 法人・投資銀行(Global Banking):数量 18,000(法人の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.02(残高あたりの純収益の率(利ざやと投資銀行手数料を含む))→ 売上 382 億ドル・営業利益 172 億ドル。シェア上昇
- 市場業務(Global Markets):数量 4,500(世界の銀行の市場業務の収益プール(億ドル)× シェア)× 価格 10.0%(BAC のシェア)→ 売上 450 億ドル・営業利益 135 億ドル。シェア 10%
倍率:純利益と自己資本は優先配当(年約 15 億ドル)・優先株(約 250 億ドル)を引いた普通株の値(推定)。のれんと無形資産(約 710 億ドル)を除いた有形ベースの ROE は帳簿より 3 ポイント近く高いが、ここでは検査と同じ帳簿の ROE で置く。利益ベースの正当化 PER で置く(SCHEMA §1-1):k 8.00%(基本 8.0%+quality +0.00%)、事業の ROE 14.0%(純利益÷自己資本)、g 4.0%、残る割合 1/2(堀:普通)で RONIC 11.0% → (1−g÷RONIC)÷(k−g)=15.9 倍が上限。利益の質(預金・富裕層の堀は深いが、資本が薄く遵守上の問題を抱え、市場業務の資本効率が低い)から、上限の 9.5 割の PER 15.1 倍に置いた(検査の上限は時価総額 9488 億ドル)。
確率:規制緩和・AI による費用圧縮・市場と富裕層の拡大がそろう。10 年を通じた実現は 1 割強。
やや楽観 25% やや楽観:堀は保たれ、ROE は 12% 台で名目成長 利益 531 億ドル · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 110.00 ドル7,758 億ドル
10 年後、預金と貸出の合計は年 5.0% で伸び、消費者向け銀行は 736 億ドル、GWIM は顧客資産 10 兆ドルで 495 億ドル、法人・投資銀行は 357 億ドル、市場業務はプール 4,300 億ドルの 9.5%(408 億ドル)。信用コストは 10 年を通じて平常(景気後退を 1 回挟んでも資本の厚みで吸収する)。技術投資の効果で費用率は小幅に下がるが、競合も同じ投資をするため改善は限られる。純利益は約 550 億ドル、ROE は 12.4%、10 年の還元は 2,608 億ドル。PER は 17.8 倍。
- 消費者向け銀行(Consumer Banking):数量 19,900(預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.04(残高あたりの純収益(純金利収益+手数料)の率)→ 売上 736 億ドル・営業利益 280 億ドル。預金・貸出 年 5.0%
- 資産・富裕層運用(GWIM):数量 100,000(顧客資産残高(億ドル))× 価格 0.00(残高あたりの純収益の率(運用報酬と預金・貸出の利ざやを含む))→ 売上 495 億ドル・営業利益 148 億ドル。顧客資産 年 7.8%
- 法人・投資銀行(Global Banking):数量 17,400(法人の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.02(残高あたりの純収益の率(利ざやと投資銀行手数料を含む))→ 売上 357 億ドル・営業利益 154 億ドル。手数料は緩やかな増
- 市場業務(Global Markets):数量 4,300(世界の銀行の市場業務の収益プール(億ドル)× シェア)× 価格 9.5%(BAC のシェア)→ 売上 408 億ドル・営業利益 114 億ドル。シェア 9.5%
倍率:純利益と自己資本は優先配当(年約 15 億ドル)・優先株(約 250 億ドル)を引いた普通株の値(推定)。のれんと無形資産(約 710 億ドル)を除いた有形ベースの ROE は帳簿より 3 ポイント近く高いが、ここでは検査と同じ帳簿の ROE で置く。利益ベースの正当化 PER で置く(SCHEMA §1-1):k 8.00%(基本 8.0%+quality +0.00%)、事業の ROE 12.8%(純利益÷自己資本)、g 4.0%、残る割合 1/2(堀:普通)で RONIC 10.4% → (1−g÷RONIC)÷(k−g)=15.4 倍が上限。利益の質(預金・富裕層の堀は深いが、資本が薄く遵守上の問題を抱え、市場業務の資本効率が低い)から、上限の 9.5 割の PER 14.6 倍に置いた(検査の上限は時価総額 8168 億ドル)。
確率:預金と市場業務の地位が保たれ、規制も大きく変わらない。起こりやすい。
中立 34% 中立:優良な成熟銀行として名目並みに成長、ROE は 11〜12% 利益 480 億ドル · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 96.50 ドル6,806 億ドル
10 年後、預金と貸出の合計は年 4.7% で伸び、消費者向け銀行は 704 億ドル、GWIM は顧客資産 9.5 兆ドルで 466 億ドル、法人・投資銀行は 336 億ドル、市場業務はプール 4,100 億ドルの 9.2%(377 億ドル)。景気後退を 2 回挟み、そのたびに純利益は一時的に 3 割ほど落ちるが、ならすと年 5%。10 年後の純利益は約 495 億ドル、期末の自己資本は 4,300 億ドル(普通株は 4,050 億ドル)、ROE は 11.5%。10 年の正味の還元は 2,618 億ドル。成長は名目 4% 前後(k − g ≥ 2.5%)に落ち着き、PER は 16.1 倍。過去の中央値 13.7 倍より高いが、今の値段にも過去にも寄せず ROE と k から式で出した値。
- 消費者向け銀行(Consumer Banking):数量 19,300(預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.04(残高あたりの純収益(純金利収益+手数料)の率)→ 売上 704 億ドル・営業利益 253 億ドル。預金・貸出 年 4.7%
- 資産・富裕層運用(GWIM):数量 95,000(顧客資産残高(億ドル))× 価格 0.00(残高あたりの純収益の率(運用報酬と預金・貸出の利ざやを含む))→ 売上 466 億ドル・営業利益 135 億ドル。顧客資産 年 7.2%
- 法人・投資銀行(Global Banking):数量 16,800(法人の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.02(残高あたりの純収益の率(利ざやと投資銀行手数料を含む))→ 売上 336 億ドル・営業利益 141 億ドル。名目並みの成長
- 市場業務(Global Markets):数量 4,100(世界の銀行の市場業務の収益プール(億ドル)× シェア)× 価格 9.2%(BAC のシェア)→ 売上 377 億ドル・営業利益 102 億ドル。シェア 9.2%
倍率:純利益と自己資本は優先配当(年約 15 億ドル)・優先株(約 250 億ドル)を引いた普通株の値(推定)。のれんと無形資産(約 710 億ドル)を除いた有形ベースの ROE は帳簿より 3 ポイント近く高いが、ここでは検査と同じ帳簿の ROE で置く。利益ベースの正当化 PER で置く(SCHEMA §1-1):k 8.00%(基本 8.0%+quality +0.00%)、事業の ROE 11.9%(純利益÷自己資本)、g 4.0%、残る割合 1/2(堀:普通)で RONIC 9.9% → (1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.9 倍が上限。利益の質(預金・富裕層の堀は深いが、資本が薄く遵守上の問題を抱え、市場業務の資本効率が低い)から、上限の 9.5 割の PER 14.2 倍に置いた(検査の上限は時価総額 7164 億ドル)。
確率:業界ノートの中立(貸出 年 +5%・大手の ROE 14〜16%)より、BAC の ROE は低め(11〜12%)と置く。市場業務・預金の構成と資本効率の差を反映。
やや悲観 19% やや悲観:預金コスト固定と規制で ROE が 8% 台に下がる 利益 333 億ドル · PER 11.6 倍 · 株価時価総額 54.58 ドル3,849 億ドル
10 年後、預金は MMF・ステーブルコイン・フィンテックへ流れて預金コストは 4% 台で固定される。カード金利の上限規制とクレジット・カード競争法で消費者向け銀行の利益率は 28% に下がる。市場業務は JPモルガン・ゴールドマン・サックスに押され、プール 3,600 億ドルの 8.5%(306 億ドル)へ。GWIM は運用報酬の低下で 391 億ドル。信用コストは貸出の 0.7% 前後に上がり、純利益は約 350 億ドル、ROE は 8.5%、10 年の還元は 2,018 億ドル。超過収益の多くが消えた普通の大手銀行として PER 11.5 倍。
- 消費者向け銀行(Consumer Banking):数量 18,200(預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.04(残高あたりの純収益(純金利収益+手数料)の率)→ 売上 637 億ドル・営業利益 178 億ドル。預金流出・規制
- 資産・富裕層運用(GWIM):数量 85,000(顧客資産残高(億ドル))× 価格 0.00(残高あたりの純収益の率(運用報酬と預金・貸出の利ざやを含む))→ 売上 391 億ドル・営業利益 102 億ドル。運用報酬低下
- 法人・投資銀行(Global Banking):数量 15,600(法人の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.02(残高あたりの純収益の率(利ざやと投資銀行手数料を含む))→ 売上 293 億ドル・営業利益 103 億ドル。競争で手数料低下
- 市場業務(Global Markets):数量 3,600(世界の銀行の市場業務の収益プール(億ドル)× シェア)× 価格 8.5%(BAC のシェア)→ 売上 306 億ドル・営業利益 67 億ドル。シェア低下
倍率:純利益と自己資本は優先配当(年約 15 億ドル)・優先株(約 250 億ドル)を引いた普通株の値(推定)。のれんと無形資産(約 710 億ドル)を除いた有形ベースの ROE は帳簿より 3 ポイント近く高いが、ここでは検査と同じ帳簿の ROE で置く。利益ベースの正当化 PER で置く(SCHEMA §1-1):k 8.00%(基本 8.0%+quality +0.00%)、事業の ROE 8.6%(純利益÷自己資本)、g 4.0%、残る割合 1/2(堀:普通)で RONIC 8.3% → (1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.0 倍が上限。利益の質(預金・富裕層の堀は深いが、資本が薄く遵守上の問題を抱え、市場業務の資本効率が低い)から、上限の 8.9 割の PER 11.6 倍に置いた(検査の上限は時価総額 4325 億ドル)。
確率:預金コストの固定、カード・決済の規制、遵守上の問題による成長制限などが重なる展開。起きても不思議はない。
悲観 11% 悲観:構造的に負け、優良銀行でなくなる 利益 142 億ドル · PER 10.6 倍 · 株価時価総額 21.38 ドル1,508 億ドル
10 年後、預金がフィンテックと国債 MMF へ大量に流出して預金コストが 4% 台で固定される。カードの金利上限規制と決済手数料の義務化で消費者向け銀行の利益率は 15% に落ち、法人・投資銀行と市場業務は競合にシェアを奪われる。同時に、今回の和解金(12 億ドル)より重い、制裁金と事業制限を伴う遵守上の問題が起きてリスク管理の信頼を損なう。純利益は約 160 億ドル、ROE 4%、10 年の還元は 1,318 億ドル。もう優良銀行ではなく普通の大手として、稼ぐ力(純利益 ÷ k)の 8.5 割の PER 10.6 倍で定着する(PBR は 0.44 倍で、これは結果であって根拠ではない)。
- 消費者向け銀行(Consumer Banking):数量 16,500(預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.03(残高あたりの純収益(純金利収益+手数料)の率)→ 売上 544 億ドル・営業利益 82 億ドル。預金流出・カード金利規制・不祥事
- 資産・富裕層運用(GWIM):数量 70,000(顧客資産残高(億ドル))× 価格 0.00(残高あたりの純収益の率(運用報酬と預金・貸出の利ざやを含む))→ 売上 294 億ドル・営業利益 53 億ドル。運用資産の流出
- 法人・投資銀行(Global Banking):数量 14,000(法人の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル))× 価格 0.02(残高あたりの純収益の率(利ざやと投資銀行手数料を含む))→ 売上 238 億ドル・営業利益 52 億ドル。シェア喪失
- 市場業務(Global Markets):数量 3,000(世界の銀行の市場業務の収益プール(億ドル)× シェア)× 価格 7.5%(BAC のシェア)→ 売上 225 億ドル・営業利益 27 億ドル。プール縮小とシェア喪失
倍率:稼ぐ力で測る(SCHEMA §1-3)。構造的に負けた普通株の純利益 142 億ドルを、ROE が k を下回るので 1÷k の PER が上限とみる。ROE 4.1% が k 8.00%(基本 8.0%+quality +0.00%)以下なので、ためた利益は額面を下回る価値で、PER は 1÷k=12.5 倍が上限。上限の 8.5 割の PER 10.6 倍(時価総額 1775 億ドルが上限)に置いた。今の自己資本に対する PBR は結果であって根拠ではない。構造的に負ける筋書きなので、自己資本の厚み(CET1 10% 超)は床にならず、稼ぐ力で下げた。
確率:預金流出・規制・大規模な遵守違反(資産上限型)のうち複数が重なる。10 年での実現を 1 割強と置く。ウェルズ・ファーゴの資産上限(2018〜25 年)型の事故を下敷きにした。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
消費者向け銀行(Consumer Banking)
個人・中小企業の預金・カード・住宅ローン・自動車ローン。全米で預金約 10% を持つ最大級の個人向け預金基盤。
| 数量預金と貸出の平均残高の合計(億ドル) | 価格残高あたりの純収益(純金利収益+手数料)の率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 12,200 | 0.04 | 440 | 155 |
| 10 年後 中立 | 19,300 | 0.04 | 704 | 253 |
取り方:2026 年 7〜9 月期の平均預金 9,490 億ドルと貸出 3,210 億ドルの合計は約 1.27 兆ドルだが、2025 年の平均は約 1.22 兆ドルと置く。2025 年の収益は約 440 億ドル(推定。7〜9 月期の 116 億ドルの年換算 464 億ドルより低い)で、残高あたりの率 3.61%。税引前利益 155 億ドルは純利益約 120 億ドルから逆算した推定。預金は全米で約 10%(JPモルガン約 11〜12%、ウェルズ・ファーゴ約 7.5%)。価格(残高あたりの率)は利ざやで決まり物価では上がらないので、物価の分は名目の残高の伸びに入れた。
資産・富裕層運用(GWIM)
メリルとプライベートバンクの資産運用・富裕層向け預金・貸出。顧客資産約 4.75 兆ドル。
| 数量顧客資産残高(億ドル) | 価格残高あたりの純収益の率(運用報酬と預金・貸出の利ざやを含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 47,500 | 0.01 | 249 | 62 |
| 10 年後 中立 | 95,000 | 0.00 | 466 | 135 |
取り方:2025 年末の顧客資産約 4.75 兆ドル(メリル 3.99 兆ドル)に、純収益約 249 億ドルの率 0.524%。税引前 62 億ドルは純利益 46.7 億ドルの逆算。富裕層向けではモルガン・スタンレー・UBS・JPモルガンの AWM と競る。顧客資産は名目の資産価格と純流入で伸びるので物価の分はそこに入り、報酬率は物価で上げず、パッシブ運用の拡大で少しずつ下がると置いた。
法人・投資銀行(Global Banking)
法人向けの貸出・預金・資金管理と投資銀行(M&A・株式・債券の引受)。
| 数量法人の預金と貸出の平均残高の合計(億ドル) | 価格残高あたりの純収益の率(利ざやと投資銀行手数料を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 10,600 | 0.02 | 240 | 100 |
| 10 年後 中立 | 16,800 | 0.02 | 336 | 141 |
取り方:2026 年 7〜9 月期の平均預金 6,690 億ドル・貸出 4,190 億ドルの合計約 1.09 兆ドル、2025 年の平均を約 1.06 兆ドルと置く。2025 年の収益は約 240 億ドル(推定)で率 2.26%。税引前 100 億ドルは純利益約 80 億ドルからの逆算。競合は JPモルガン・シティグループ・ゴールドマン・サックス。投資銀行手数料の世界シェアは約 6〜7%(推定)で JPモルガンに次ぐ層。
市場業務(Global Markets)
株・債券・為替・商品の売買。機関投資家向けの市場業務。
| 数量世界の銀行の市場業務の収益プール(億ドル)× シェア | 価格BAC のシェア | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 2,500 | 9.4% | 235 | 62 |
| 10 年後 中立 | 4,100 | 9.2% | 377 | 102 |
取り方:世界の大手銀行の市場業務(売買)の収益プールを約 2,500 億ドル(推定)と置き、BAC の収益約 235 億ドル(推定)のシェア 約 9.4%。税引前 62 億ドルは純利益約 50 億ドルからの逆算。競合は JPモルガン(約 12〜13%)・ゴールドマン・サックス(約 10%)・シティグループ(約 9%)。プールは取引額・資産価格とともに物価以上に伸びる(10 年 1.6 倍)ので、価格(シェア)は物価で上げない。なお金融の借金は仕入れなので、下調べの利払いの変化(10 年 -120 億ドル)は純利益へ入れず NIM で扱った。
リスクと懸念
遵守・内部統制(資金洗浄・制裁)
2026 年 10 月に OCC と FinCEN の同意命令で民事制裁金 12 億ドル(損金不算入)を引当。金額より、命令に基づく遵守プログラムの改修費用と、当局が成長を制限する可能性(ウェルズ・ファーゴの資産上限は 2018〜25 年)が火種。
信用循環(カード・法人・商業用不動産)
純損失率は 0.44% と平常だが、カードは 2010 年に約 10% まで上がった。物価と金利が高止まりすると返済負担が重くなり、2025 年のノンバンク貸出の混乱が広がれば引当が数年にわたり利益を削る。
預金コストの固定と預金の伸びの鈍さ
預金は前年比 +2% と貸出(+7%)に追いつかない。短期金利 3.5〜4% では無利息預金が MMF・国債・ステーブルコインへ流れ、預金コストが 4% 台に固定されると NIM が縮み、純金利収益(利益の約 55%)が減る。
市場業務の山と資本効率
市場業務は 2026 年 4〜6 月期に過去最高圏だったが 7〜9 月期は前年比 -6% と鈍化し、ROAC は 9% と低い。市場が荒れれば損失が出る一方、平常でも資本を食うので、全社の ROE を押し下げる要因になる。
薄い資本と自社株買いの制約
CET1 は 10.9% で、JPモルガンの 14% 台より薄い。和解金の引当と自社株買いで前期比 0.37 ポイント低下した。資本規制の緩和が遅れれば、年 4% の株数減(EPS 年 12% の目標の約半分)が続けられなくなる。
後継と経営の継続
モイニハン氏(65 歳、2010 年から CEO)は「この 10 年の終わりまで」続けると述べ、共同社長のアタナシア氏・デマーレ氏、ボースウィック CFO が候補とされる。後継の時期と人選が不透明で、交代後に資本配分の規律が緩むと価値を損なう。
含み損・規制・AI とフィンテック
米銀全体の有価証券含み損は 2026 年 1〜3 月期末で 3,251 億ドル。金利が下がらなければ含み損は残り続ける。カード金利上限・クレジット・カード競争法・ステーブルコインの決済への侵食が、収益の質を変える火種。
今後の分かれ目
- 失業率が 5% を超え、カードと法人貸出の延滞が 2 四半期連続で上がったら
- 貸倒引当が積み上がり、やや悲観・悲観の確率を上げる。谷の PBR は 0.7 倍前後を見て、利益が半分以下になっても資本は保たれる前提で考える。
- 資本規制の緩和(SLR の見直し・バーゼル III の再提案)が確定し、CET1 の最低水準が下がったら
- 自社株買いの余力が広がり、ROE が 1〜2 ポイント上がる。楽観・やや楽観の確率を上げ、PER を 1 倍ほど上げて見る。
- 当局が資産上限や事業制限など、同意命令を超える成長の制限を課したら
- 収益の伸びが数年止まり、10 年の悲観(構造的な負け)の確率を上げる。ROE と g を下げて式で倍率を引き直す。
- 預金コストが上がり、無利息預金の比率が下がり続けたら
- NIM が縮み、純金利収益の見通しを下げる。やや悲観の確率を上げ、ROE は 10% 台へ下げて見る。
- 市場業務の収益が 2 四半期連続で前年比マイナスになり、ROAC が 9% を下回り続けたら
- 市場業務の利益率と規模を下げ、全社の ROE 11〜12% の前提を見直す。
- モイニハン氏が退任し後継が決まったら
- 資本配分の規律が保たれるかを確信度に反映する。方針の継続が確認できれば確率は動かさず、買収志向へ転じるなら、ROE と g を下げて式で倍率を引き直す。
見ておくもの
- 純金利収益の見通しと NIM、預金コスト、預金の伸び(貸出との差)
- 純損失率・カードの延滞・商業用不動産の引当
- CET1 比率(10.9%)と自社株買いの額、資本規制の緩和の進展
- 市場業務と投資銀行の収益(四半期の前年比)と ROAC
- 同意命令の遵守プログラムの改修の進み方と、当局の追加措置
- モイニハン氏の後継計画、FDIC の四半期(含み損・預金の動き)、カード金利規制・ステーブルコインの法制
倍率と資本コストの決め方
今の PER 11.8 倍・PBR 1.19 倍を見る前に、4 つのセグメントごとの残高・顧客資産・収益プール × シェアを積み上げ、ROE・g・k から利益ベースの正当化 PER の上限を出し、その 9.5 割に倍率を置いた。資本コストは基本 8.0% に quality 0%(預金と富裕層の堀の分と、資本の薄さ・信用循環の分が打ち消し)を足した 8.0%。中立は ROE 11.9%・g 4%・RONIC 9.9% で上限 PER 14.9 倍、その 9.5 割の 14.2 倍。JPモルガンの倍率を写さず、ROE の低い分は式の ROE で反映した。過去の倍率にも今の倍率にも寄せていない。結論は計算が決めた(やや割安)。2025〜26 年の利益は山に近いと見て、中立の純利益は年 5〜8% 増に抑えた。表の純利益・自己資本は優先株を除く普通株の値で、文章の純利益・ROE は優先配当前の値。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 5% + β 1.13 × 5%。k = 基本 8.0% + quality 0% = 8.0%。預金と富裕層の堀は深いが、資本が薄く、遵守上の問題で市場業務の資本効率が低い分を、値決め力の差し引きで 0 とした。個別の不祥事や信用循環は k に足さず、悲観の確率と利益率で表した。