結論
メットライフ(MetLife)は米国最大級の生命保険会社で、団体保険(従業員向けの生命・障害・歯科・ペット保険など)、退職・収入ソリューション(RIS:年金リスクの移転・ファンディング契約・長寿再保険)、アジア(日本中心)、中南米、EMEA、そして 2025 年に買収した PineBridge を統合した運用部門(MetLife Investment Management:MIM)の 6 つで稼ぐ。2025 年の調整後利益は約 59 億ドル、2026 年 4〜6 月期は 16 億ドル(前年同期比 +15%)と勢いがあり、調整後 ROE は 17% と目標レンジ(15〜17%)の上限にある。
ただし会計上の純利益は 2025 年に 34 億ドルと調整後利益よりずっと小さい。金利ヘッジのデリバティブや投資の損益が毎年ぶれて差を作っており、2022〜25 年の合計では調整後より約 80 億ドル低かった。そこでこの分析は、調整後利益の 88% を株主が自由にできる正味の利益と置いた。
値段の見方:資本コスト 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。10 年後の中立は純利益 82 億ドル・自己資本 383 億ドル(今の 284 億ドルに利益の累計を足し、還元を引き、債券の含み損 約 70 億ドルの戻りを加えた額)で ROE は約 21%、検査の式の g 4% から正当化 PER は約 17.2 倍。その 7.5 割の 12.9 倍に置いた。確率は信用の事故(プライベートクレジット・商業用不動産ローン)と再保険先への集中を重く見て、やや悲観と悲観に合計 3 割台半ばを割いた。この置き方では、10 年の価値は今の時価総額を 2 割ほど上回り、期待の年率は 8.6% と資本コストをわずかに上回る程度で、やや割安。倍率は資本コストと含み損の戻りに敏感で、置き方で差は動く。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず 10 年後もこの事業は存在し、今より強いかを問う。団体保険と年金の引き受けは、物価が上がっても料金に転嫁でき、長寿化・雇用・老後資金の需要が続く事業で、潰れにくい。堀は団体保険の規模と年金を引き受ける信用力で、10 年後にも残るが、年金リスク移転では民間投資会社系の新規参入で堀が狭まる。
次にオーナー利益。調整後利益は約 59 億ドルだが、デリバティブや投資の損益で GAAP 純利益は大きく下振れする年が続いた。株主が自由にできる利益はその 88%(約 52 億ドル)と置き、これに対して今の時価総額は約 12 倍。配当と自社株買いで 9 割を返しており、再投資に回る利益は少ない。
最後に安全域。資本コスト 8.25% の利益ベースの倍率は 10 年目の利益に対して PER 約 12.9 倍で、10 年の価値は今の時価総額を 2 割ほど上回る。ただし自己資本が薄く(自己資本比率 3.8%)、リーマン級の信用損失(私募の信用・不動産ローン)では 2008 年並みの 7 割下落もあり得る。安全域は 2 割ほどと厚くなく、予測できない領域(信用の事故)が大きく、確信度は中程度。
何で稼ぐ会社か
団体保険は米国の雇用主を通じて数千万人の従業員に生命・障害・歯科・視力・事故・ペットなどを売る事業で、保険料は給与の伸びと雇用の増加に連動し、利益は「給付÷保険料」の引受損益率で決まる。メットライフは米国の団体生命で首位級。2026 年 4〜6 月期の調整後利益は 5.03 億ドル(+25%)と、給付率の改善が効いた。
RIS は企業年金の負債を丸ごと引き受ける年金リスク移転(PRT)、ファンディング契約、構造化決済、英国などの長寿再保険からなる。数量は預かる負債の残高、価格は運用利回りと契約者に払う利率の差(スプレッド)。調整後利益は年 17 億ドル前後で、2026 年 4〜6 月期は 3.77 億ドル(+2%)と伸びが最も鈍い。
アジアは日本の外貨建て保険・年金、韓国、オーストラリアなどで、調整後利益は年 16 億ドル、2026 年 4〜6 月期は 4.20 億ドル(+21%)。中南米はメキシコ・チリが中心、EMEA はトルコ・中東・英国の一部。
運用部門 MIM は一般勘定と第三者の資金を運用し、2025 年末の運用資産は 7,420 億ドル。PineBridge の買収で第三者向けの手数料収入が加わった。リスクを再保険のサイドカー(チャリオット・リー、ゼネラル・アトランティックと共同)に移し、資本を軽くして成長する戦略も取る。
優良さと弱いところ
堀は 3 つある。第 1 は団体保険の規模で、雇用主との長い関係と給付データが引受の精度になり、新規参入が難しい。第 2 は年金リスクの引き受けで、数十億ドル単位の負債を長期で受ける信用力と運用能力を持つ会社は限られる。第 3 は日本・中南米での販売網と現地の規制の経験。
弱さも明確にある。まず年金リスク移転とファンディング契約では、アポロ(アテネ)・ブラックストーン・KKR 系などの民間投資会社系の保険会社が高い利回りの資産を武器に価格で競ってくる。次に、GAAP の純利益が調整後利益より大きく下回る年が多く、利益の質が読みにくい。2025 年末の自己資本は 284 億ドルで、含み損(AOCI)が約 70 億ドルあり、自己資本比率は 3.8%。ROE の高さには、自社株買いで自己資本を縮めてきた分も入っている。
経営は New Frontier(2024〜2029)で調整後 1 株利益の二桁成長・直接費用率の低減・フリーキャッシュフロー 250 億ドルを掲げ、2025 年は FCF 比率 81%(目標 65〜75% を上回る)。目標を守る実行力は評価できるが、1 株利益の伸びの半分近くは株数の減少(年 5〜6%)による点を割り引いて見る。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
米国の生保業界の一般勘定資産は約 5 兆ドル。長期金利が 5% 前後で止まる世界では、年金・貯蓄商品が売れる。2026 年 4〜6 月期の米国の年金販売は 1,212 億ドルで四半期の過去最高、元本の一部リスクを負う指数連動型(RILA)も過去最高。一方で金利が上がると、低利の古い債券の含み損が固定化し、契約者の解約と他の貯蓄商品への流出が起きやすい。
競争は 2 つの場所で動く。団体保険は、メットライフ・ユナム・ハートフォード・プリンシパルが大手で、価格は安定している。年金リスク移転・ファンディング契約は、アポロ(アテネ)・ブラックストーン・KKR などの民間投資会社系が加わり、高利回りの私募の信用資産と海外(バミューダ)再保険で価格を下げてくる。メットライフはこれに対抗してチャリオット・リーを作り、PineBridge で運用の力を買った。
循環の位置:団体保険は雇用が堅調で給付率が良い局面にあり、山に近い。アジアは日本の円安(ドル建ての見かけ)と新契約が好調。信用面は、私募の信用・商業用不動産ローンの損失が出ていない今が山に近く、景気後退で最初に傷む領域でもある。
資本政策と M&A
還元は 2025 年に自社株買い約 29〜39 億ドル(資料により差)と配当約 15 億ドルで、調整後利益の約 9 割に当たる。2025 年 4 月に 30 億ドルの新しい買い戻し枠を決め、2025 年末の残りは 21 億ドル。年 5〜6% 株数を減らしているので、1 株利益は会社全体の利益より速く伸びる。
M&A は 2025 年に PineBridge を買って MIM を作り、第三者の運用手数料を足した。再保険のサイドカー、チャリオット・リーには 2026 年 6 月末で 109 億ドルの再保険受取債権があり、無格付けの相手へ集中する危うさが残る。出資の追加約束は 0.67 億ドルと小さい。
オーナー利益の目で見ると、配当と自社株買いの合計が正味の持ち分利益とほぼ同じ水準なので、会社全体の利益の伸びは今の自己資本を増やす再投資ではなく、再保険の資本効率化と運用手数料に頼る。割高な時に自社株買いを積み上げると価値を壊すので、倍率が上がった局面での買い戻しの量を見る必要がある。 なお、決算期末後に実行済みの自社株買い 14.8 億ドル(10-Q・2026 年 1〜6 月)は、今の株数(時価総額)に反映済みなので、10 年の還元(payout_oku)からは除いてある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
メットライフは New Frontier の 3 年目で、目標をすべて前倒しで達成している。調整後 ROE は 17% で目標レンジの上限、FCF 比率は 81% で目標を上回り、2026 年 4〜6 月期の調整後利益は前年同期比 +15%、1 株利益は +20%。団体保険は給付率が改善して利益が 25% 増え、アジアは 21% 増。2026 年の通期見通し(調整後利益 +7〜9%)は保守的に見える。
金利が 5% で止まると、新規投資の利回りが 5.5〜6% と古い資産より高くなり、RIS のスプレッドが守られる。年金リスク移転は企業年金の負債の外出しが年 +10% で伸び、PineBridge の第三者運用手数料が上乗せになる。チャリオット・リーで資本を軽くして、同じ自己資本でもっと多く引き受けられる。
団体保険は雇用主との関係が長く、価格の力が落ちない。物価が 3.5% で続く限り給付と保険料が同じ速さで上がり、利益率が勝手に下がらない。年 5〜6% の自社株買いで、会社全体の利益が 5% 伸びれば 1 株利益は二桁で伸びる。資本コスト 8.25% でも、10 年後の ROE が 20% 前後なら利益ベースの上限は PER 約 17 倍で、中立の 12.9 倍は上限の 7.5 割に抑えてある。
慎重な見方
利益の質に疑問がある。調整後利益は約 59 億ドルだが、GAAP 純利益は 2022〜25 年の合計で 3 割以上低い。デリバティブ・投資損益を「一時的」と呼んで除くのは、金利が高止まりすると費用として定着する。自己資本は 284 億ドル、うち含み損(AOCI)が約 70 億ドルで、自己資本比率は 3.8% と薄い。ROE 17% は自己資本を自社株買いで縮めてきた結果でもある。
年金リスク移転では、アポロ(アテネ)・ブラックストーン・KKR 系が私募の信用資産と海外再保険で価格を下げており、RIS の利益は 2026 年 4〜6 月期でわずか +2%。メットライフ自身もチャリオット・リーなど無格付けの再保険先に 109 億ドルの債権を持ち、S&P もカウンターパーティ集中を指摘している。私募の信用と商業用不動産ローンの損失が出れば、リーマンの時のように株価が 7 割下がる。
過去 20 年の PER は中央値 9.7 倍・上位 4 分の 1 でも 15.7 倍で、今の PER 19 倍(GAAP)・調整後で 10 倍強は、すでに低くない。保険会社は金利・信用・長寿の複合リスクを抱えるので、式の上限(約 17 倍)をそのまま払うのは危うく、倍率の縮みが利益の伸びを打ち消す。団体保険の給付率は雇用の悪化で簡単に戻る。
どちらに重みを置いたか
どちらも一理あるが、強気の見方は事業の質(団体保険と年金の引き受け)と還元の厚さ、慎重な見方は利益の質と信用の事故を正しく突いている。利益の質の疑問は、調整後利益から 12% を引いた正味の利益で数字に入れた。信用の事故と海外再保険先への集中は、確率に入れた。悲観 15%・やや悲観 20% と、悪い側に合計 3 割台半ばを置いた。楽観は 10%、やや楽観は 22% にとどめ、中立は 33%。倍率は利益ベース(10 年の中立 約 12.9 倍)で、式の上限の 7.5 割に置いた。強気の見方がやや勝つが、期待の年率は資本コストをわずかに上回る程度で、確率は慎重な見方の分だけ悪い側に厚くしてある。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 151.55 ドル974 億ドル(+ 配当配当と自社株買いの合計 75.82 ドル487 億ドル)。 今の値に割り戻すと 119.60 ドル769 億ドル、今との差 +15.5%、 期待の年率 +8.2%(資本コスト 8.3%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 237.47 ドル1,526 億ドル | 98.85 ドル635 億ドル | +224.7% | +12.5% | 33.63 ドル216 億ドル |
| やや楽観 | 22% | 200.53 ドル1,289 億ドル | 91.07 ドル585 億ドル | +181.5% | +10.9% | 64.15 ドル412 億ドル |
| 中立 | 33% | 164.49 ドル1,057 億ドル | 83.29 ドル535 億ドル | +139.2% | +9.1% | 81.77 ドル525 億ドル |
| やや悲観 | 20% | 111.56 ドル717 億ドル | 64.61 ドル415 億ドル | +70.1% | +5.5% | 35.23 ドル226 億ドル |
| 悲観 | 15% | 47.29 ドル304 億ドル | 36.60 ドル235 億ドル | −19.0% | −2.1% | 12.58 ドル81 億ドル |
| 加重平均 | 100% | 151.55 ドル974 億ドル | 75.82 ドル487 億ドル | +119.5% | +8.2% | 227.37 ドル1,461 億ドル |
今の株価時価総額 103.57 ドル666 億ドル(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% 年金とアジアで優良さがさらに広がる 利益 100 億ドル · PER 15.3 倍 · 株価時価総額 237.47 ドル1,526 億ドル
2035 年末、団体保険は年 +5.5% 超(市場拡大とシェア維持)、アジアは日本の外貨建て商品とアジア他国で年 7%。RIS は PRT と長寿再保険で年 +8%、MIM は PineBridge と私募運用の統合で第三者運用資産が 3 倍に。純利益は約 100 億ドル、調整後 ROE は 17% を維持。民間投資会社系の新規参入があっても、メットライフの信用力と規模が優位になり、スプレッドは守られる。M&A は小型の運用会社の買収が数件。PER は 15.3 倍(式の上限 18.0 倍の 8.5 割)で、10 年の還元は 635 億ドル。
- 団体保険:数量 1,925(米国の団体保険の保険料市場(億ドル)× メットライフのシェア)× 価格 20.8%(シェア(保険料の取り分))→ 売上 401 億ドル・営業利益 41 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- 退職・収入ソリューション(RIS):数量 6,048(受け入れ負債の残高(億ドル))× 価格 0.06(負債残高あたりの収益(運用利回り+保険料+手数料))→ 売上 379 億ドル・営業利益 37 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- アジア:数量 6,426(アジアの対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 3.3%(シェア)→ 売上 213 億ドル・営業利益 38 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- 中南米:数量 1,944(中南米の対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 7.2%(シェア)→ 売上 140 億ドル・営業利益 21 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- EMEA:数量 1,436(EMEA の対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 3.5%(シェア)→ 売上 50 億ドル・営業利益 10 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- MetLife Investment Management(MIM):数量 9,720(第三者の運用資産(億ドル))× 価格 0.00(運用資産あたりの手数料率)→ 売上 45 億ドル・営業利益 13 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 25.5%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 392 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 16.9%、g 4.0%(団体保険は市場 +5%(物価 3.5% + 実質 1.5%)、年金リスク移転は +4.8%。長期の名目は 3.5% 前後で、式の 4% より低く置く)。式の値は 18.0 倍で、これが検査の上限になる。団体保険と年金リスク移転で規模は大きいが、私募の信用資産・再保険先・バミューダの規制と、民間投資会社系との価格競争を抱える。 上限の 8.5 割の 15.3 倍に置いた。
確率:年金と運用の勝ち筋が通る確率は 1 割。民間投資会社系の参入が価格を下げるので厚くしない。
やや楽観 22% 目標を長く保つ 利益 91 億ドル · PER 14.2 倍 · 株価時価総額 200.53 ドル1,289 億ドル
調整後 ROE が 15〜17% に収まり、利益は年 +6%(10 年で約 1.7 倍)。団体保険と年金の需要は堅調で、競合に少しシェアを取られても市場の伸びで補う。純利益は約 91 億ドル、PER は 14.2 倍(式の上限 17.7 倍の 8 割)。堀は広がらないが狭まらず、オーナー利益の増え方は堅い。競合は年金リスク移転で民間投資会社系だが、メットライフは信用力と規模で一定のシェアを守り、MIM が第三者の運用手数料で補う。M&A は PineBridge の統合が終わり、小型の運用会社の買収が時々ある。10 年の還元は 585 億ドル。自己資本は債券の含み損の戻り 約 70 億ドルを含め約 378 億ドル。
- 団体保険:数量 1,853(米国の団体保険の保険料市場(億ドル)× メットライフのシェア)× 価格 20.6%(シェア(保険料の取り分))→ 売上 382 億ドル・営業利益 38 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- 退職・収入ソリューション(RIS):数量 5,824(受け入れ負債の残高(億ドル))× 価格 0.06(負債残高あたりの収益(運用利回り+保険料+手数料))→ 売上 362 億ドル・営業利益 34 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- アジア:数量 6,188(アジアの対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 3.3%(シェア)→ 売上 203 億ドル・営業利益 35 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- 中南米:数量 1,872(中南米の対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 7.1%(シェア)→ 売上 133 億ドル・営業利益 20 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- EMEA:数量 1,383(EMEA の対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 3.4%(シェア)→ 売上 47 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- MetLife Investment Management(MIM):数量 9,360(第三者の運用資産(億ドル))× 価格 0.00(運用資産あたりの手数料率)→ 売上 43 億ドル・営業利益 12 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 24.1%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 378 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 16.2%、g 4.0%(団体保険は市場 +5%(物価 3.5% + 実質 1.5%)、年金リスク移転は +4.8%。長期の名目は 3.5% 前後で、式の 4% より低く置く)。式の値は 17.7 倍で、これが検査の上限になる。団体保険と年金リスク移転で規模は大きいが、私募の信用資産・再保険先・バミューダの規制と、民間投資会社系との価格競争を抱える。 上限の 8.0 割の 14.2 倍に置いた。
確率:目標(ROE 15〜17%)を長く保つのは実績から 2 割強。
中立 33% 市場並みに成長し、堀は変わらない 利益 82 億ドル · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 164.49 ドル1,057 億ドル
10 年後(2035 年末)、団体保険の市場は名目年 +5%(物価 3.5% + 実質 1.5%)、メットライフのシェアは 20% で維持、RIS の残高は年 +4.8%、アジアは年 +5.8%。純利益は 82 億ドル(2025 年の正味の持ち分利益 52 億ドルの 1.55 倍、業界ノートの中立と同じ)。営業利益 119 億ドル。民間投資会社系との競争で RIS の価格(スプレッド)は少し縮み、MIM が補う。自己資本は約 383 億ドル(今の 284 億ドル + 純利益の合計 579 億ドル − 還元 535 億ドル + 債券の含み損の戻り 約 70 億ドル)。PER は 12.9 倍(式の上限 17.2 倍の 7.5 割)。10 年の還元は 535 億ドル。
- 団体保険:数量 1,782(米国の団体保険の保険料市場(億ドル)× メットライフのシェア)× 価格 20.4%(シェア(保険料の取り分))→ 売上 364 億ドル・営業利益 34 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- 退職・収入ソリューション(RIS):数量 5,600(受け入れ負債の残高(億ドル))× 価格 0.06(負債残高あたりの収益(運用利回り+保険料+手数料))→ 売上 344 億ドル・営業利益 31 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- アジア:数量 5,950(アジアの対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 3.3%(シェア)→ 売上 193 億ドル・営業利益 32 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- 中南米:数量 1,800(中南米の対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 7.0%(シェア)→ 売上 127 億ドル・営業利益 18 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- EMEA:数量 1,330(EMEA の対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 3.4%(シェア)→ 売上 45 億ドル・営業利益 8 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- MetLife Investment Management(MIM):数量 9,000(第三者の運用資産(億ドル))× 価格 0.00(運用資産あたりの手数料率)→ 売上 40 億ドル・営業利益 11 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 21.4%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 383 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 14.8%、g 4.0%(団体保険は市場 +5%(物価 3.5% + 実質 1.5%)、年金リスク移転は +4.8%。長期の名目は 3.5% 前後で、式の 4% より低く置く)。式の値は 17.2 倍で、これが検査の上限になる。団体保険と年金リスク移転で規模は大きいが、私募の信用資産・再保険先・バミューダの規制と、民間投資会社系との価格競争を抱える。 上限の 7.5 割の 12.9 倍に置いた。
確率:市場並みの成長が最頻だが、悪い側を厚くして 3 分の 1。
やや悲観 20% スプレッドの縮みと信用の損失が重なる 利益 65 億ドル · PER 11.0 倍 · 株価時価総額 111.56 ドル717 億ドル
民間投資会社系との年金の価格競争が 10 年続き、RIS の利益率が 2 割落ちる。信用の景気後退が 2 回あり、損失が積もる。団体保険は AI による引受の料金低下の影響を受ける。純利益は 65 億ドル(10 年で 1.25 倍)。PER は 11.0 倍(式の上限 15.3 倍の 7.2 割)。信用の傷は利益と確率に入れ、倍率では引かない。優良さは薄れ、価格を決める力は弱まる。競合の民間投資会社系にシェアを取られ、M&A で穴を埋めようとしても割高な買収が増える。自社株買いは景気後退の年に止まり、10 年の還元は 415 億ドル。
- 団体保険:数量 1,657(米国の団体保険の保険料市場(億ドル)× メットライフのシェア)× 価格 20.0%(シェア(保険料の取り分))→ 売上 331 億ドル・営業利益 28 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- 退職・収入ソリューション(RIS):数量 5,208(受け入れ負債の残高(億ドル))× 価格 0.06(負債残高あたりの収益(運用利回り+保険料+手数料))→ 売上 314 億ドル・営業利益 25 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- アジア:数量 5,534(アジアの対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 3.2%(シェア)→ 売上 176 億ドル・営業利益 26 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- 中南米:数量 1,674(中南米の対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 6.9%(シェア)→ 売上 116 億ドル・営業利益 15 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- EMEA:数量 1,237(EMEA の対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 3.3%(シェア)→ 売上 41 億ドル・営業利益 7 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- MetLife Investment Management(MIM):数量 8,370(第三者の運用資産(億ドル))× 価格 0.00(運用資産あたりの手数料率)→ 売上 37 億ドル・営業利益 9 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
倍率:式 PER = (1 − g÷RONIC)÷(k − g)。k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)。事業の ROE 14.7%(この筋書きの純利益 ÷ 自己資本 443 億ドル)、残る割合 1/2(普通 1/2)で RONIC 11.5%、g 4.0%(団体保険は市場 +5%(物価 3.5% + 実質 1.5%)、年金リスク移転は +4.8%。長期の名目は 3.5% 前後で、式の 4% より低く置く)。式の値は 15.3 倍で、これが検査の上限になる。団体保険と年金リスク移転で規模は大きいが、私募の信用資産・再保険先・バミューダの規制と、民間投資会社系との価格競争を抱える。 上限の 7.2 割の 11.0 倍に置いた。
確率:スプレッドの縮みと信用の景気後退 2 回は 10 年では 2 割。
悲観 15% 構造的に優良でなくなる 利益 26 億ドル · PBR 1.1 倍 · 株価時価総額 47.29 ドル304 億ドル
私募の信用・不動産ローンの損失、再保険先(チャリオット・リーなど)の破綻、バミューダ再保険の規制強化が重なり、ROE が 8% に落ちる。年金リスク移転は民間投資会社系に価格で負け、シェアを失う。団体保険は AI による料金低下で利益が落ちる。損失で自己資本は 300 億ドルにとどまり、ROE 8.7%・g 2%・k 8.25% の式で PBR 約 1.07 倍。純利益は 26 億ドル相当で、営業利益は今より小さい 38 億ドル。競合では民間投資会社系が年金・ファンディング契約の市場を取り、団体保険でも AI による引受の自動化で料金が下がる。M&A で補おうとして高く買う失敗も重なる。10 年の還元は 235 億ドル。
- 団体保険:数量 1,426(米国の団体保険の保険料市場(億ドル)× メットライフのシェア)× 価格 19.4%(シェア(保険料の取り分))→ 売上 276 億ドル・営業利益 14 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- 退職・収入ソリューション(RIS):数量 4,480(受け入れ負債の残高(億ドル))× 価格 0.06(負債残高あたりの収益(運用利回り+保険料+手数料))→ 売上 262 億ドル・営業利益 13 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- アジア:数量 4,760(アジアの対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 3.1%(シェア)→ 売上 147 億ドル・営業利益 13 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- 中南米:数量 1,440(中南米の対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 6.7%(シェア)→ 売上 96 億ドル・営業利益 8 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- EMEA:数量 1,064(EMEA の対象市場の保険料(億ドル)× シェア)× 価格 3.2%(シェア)→ 売上 34 億ドル・営業利益 3 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
- MetLife Investment Management(MIM):数量 7,200(第三者の運用資産(億ドル))× 価格 0.00(運用資産あたりの手数料率)→ 売上 31 億ドル・営業利益 5 億ドル。数量・シェア・利益率は本文の筋書きのとおり
倍率:構造的に ROE 8.7%(純利益 26 億ドル ÷ 損失で減った自己資本 300 億ドル)に落ち、g 2%・k 8.25% の式 PBR = (ROE − g)/(k − g) ≒ 1.07 倍(PER の式と同じもの)。式どおりで割り引いていない。今の自己資本 284 億ドルに掛けて時価総額 約 304 億ドル。
確率:10 年で構造的に優良でなくなる確率(信用の事故・再保険先・規制・AI による料金低下)を 15% に置く。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億ドル。
団体保険
米国の雇用主向け団体生命・障害・歯科・視力・事故・ペット等。利益は保険料 × 引受損益率。
| 数量米国の団体保険の保険料市場(億ドル)× メットライフのシェア | 価格シェア(保険料の取り分) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,150 | 20.4% | 235 | 22 |
| 10 年後 中立 | 1,782 | 20.4% | 364 | 34 |
取り方:米国の団体・従業員向け保険の保険料市場を約 1,150 億ドルと推定(業界団体・ユナム・ハートフォード・プリンシパルなどの開示から概算)。メットライフのシェアは約 20%(最大手級)で売上約 235 億ドル。税引前利益は調整後利益 17 億ドル ÷ 0.78 ≒ 22 億ドル。2026 年 4〜6 月期は +25% で、給付率が良い局面。市場の名目成長(物価 3.5% を含む)は年 5%。
退職・収入ソリューション(RIS)
年金リスク移転・ファンディング契約・構造化決済・長寿再保険。数量は預かる負債残高、価格はスプレッド。
| 数量受け入れ負債の残高(億ドル) | 価格負債残高あたりの収益(運用利回り+保険料+手数料) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,500 | 0.06 | 220 | 22 |
| 10 年後 中立 | 5,600 | 0.06 | 344 | 31 |
取り方:預かる負債の残高を約 3,500 億ドルと推定、残高あたり収益 6.3%(運用利回りと一時払い保険料を含む)で売上 220 億ドル。税引前利益 22 億ドル(残高の約 0.63%)は調整後利益 17 億ドル ÷ 0.78。年金リスク移転は民間投資会社系が参入し、価格(スプレッド)は物価に連動せず、横ばいからやや下がると置いた。
アジア
日本の外貨建て保険・年金、韓国、オーストラリアなど。契約数と保険料が数量。
| 数量アジアの対象市場の保険料(億ドル)× シェア | 価格シェア | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,400 | 3.1% | 105 | 21 |
| 10 年後 中立 | 5,950 | 3.3% | 193 | 32 |
取り方:メットライフが売るアジアの生保市場を約 3,400 億ドルと推定し、シェア約 3.1% で売上約 105 億ドル。税引前利益は調整後利益 16 億ドル ÷ 0.78 ≒ 20.5 億ドル。為替は 150 円で固定。日本は貯蓄性の外貨建て商品が柱で、市場の名目成長は年 6%。
中南米
メキシコ・チリが中心の生保・年金・団体保険。
| 数量中南米の対象市場の保険料(億ドル)× シェア | 価格シェア | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 1,000 | 7.0% | 70 | 12 |
| 10 年後 中立 | 1,800 | 7.0% | 127 | 18 |
取り方:対象市場を約 1,000 億ドルと推定、メットライフのシェア約 7% で売上約 70 億ドル。税引前利益は調整後利益約 9 億ドル ÷ 0.78 ≒ 11.5 億ドル。為替を動かさず、物価と実質成長で名目年 7%。
EMEA
トルコ・中東・英国など。団体・個人保険。
| 数量EMEA の対象市場の保険料(億ドル)× シェア | 価格シェア | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 700 | 3.1% | 22 | 4 |
| 10 年後 中立 | 1,330 | 3.4% | 45 | 8 |
取り方:対象市場を約 700 億ドルと推定、シェア約 3.1% で売上約 22 億ドル。税引前利益は調整後利益約 3.3 億ドル ÷ 0.78 ≒ 4.3 億ドル。4Q は 0.97 億ドルで 2025 年に利益が +30% 伸びた。名目成長は年 8%。
MetLife Investment Management(MIM)
PineBridge を買収して作った運用部門。第三者の運用資産が数量、手数料率が価格。
| 数量第三者の運用資産(億ドル) | 価格運用資産あたりの手数料率 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 3,000 | 0.01 | 15 | 4 |
| 10 年後 中立 | 9,000 | 0.00 | 40 | 11 |
取り方:運用資産 7,420 億ドルのうち第三者の分を約 3,000 億ドル(PineBridge 取り込み前の 2025 年の値として推定)、手数料率 0.5% で売上約 15 億ドル。税引前利益 4 億ドル。運用資産は PineBridge の取り込みで 2028 年に約 5,200 億ドルへ。手数料率は競争(パッシブ・私募の手数料圧縮)で 3 年 0.48%・10 年 0.45% と物価並みには上がらない。
リスクと懸念
信用の損失(私募・商業用不動産ローン・RMBS)
一般勘定の高利回り資産が景気後退で傷むと、利益と自己資本が同時に減る。2008 年はメットライフの株価が山から谷で −73%。2022〜23 年の金利上昇でも −34% 下がった。自己資本比率が 3.8% と薄く、損失の吸収余地が小さい。
利益の質(調整後利益と GAAP の差)
調整後利益は 2025 年に約 59 億ドルだが GAAP 純利益は 34 億ドル。デリバティブ・投資の損益が定着すると、調整後利益は株主が自由にできる利益を過大に見せる。2022〜25 年の合計で 3 割以上の差がある。
再保険先への集中(チャリオット・リー)
チャリオット・リーへの再保険受取債権は 2026 年 6 月末で 109 億ドル。無格付けの再保険先で、S&P もカウンターパーティ集中を指摘している。再保険先が傷むと、メットライフが負債を引き受け直す必要がある。
年金リスク移転の価格競争
アポロ(アテネ)・ブラックストーン・KKR 系などが私募の信用資産と海外再保険で価格を下げる。RIS の調整後利益は 2026 年 4〜6 月期に +2% と伸びが鈍い。スプレッドが 1〜2 割縮むだけで、全社の利益に 2〜3% 響く。
金利の動き
金利が急に下がると、再投資利回りが落ちてスプレッドが縮む。急に上がると含み損が拡大し解約が増える。物価と金利を動かさない前提だが、現実には両方向のリスクがある。2022〜23 年の金利上昇では保険各社の株価が山から谷で約 3 割下がり、含み損の拡大と解約の増加が同時に起きた。
団体保険の給付率
雇用の悪化や医療費の上昇で給付率が上がると、団体保険の利益が簡単に落ちる。2026 年 4〜6 月期の +25% は給付率の改善によるもので、平年に戻れば伸びは鈍る。団体保険はメットライフの調整後利益の約 3 割を占め、給付率が 1pt 上がるだけで年 2 億ドル以上の利益が動くので、全社への影響が大きい。
経営の目標に対する依存
New Frontier の 1 株利益の二桁成長は、年 5〜6% の株数減少に支えられる。倍率が上がった局面での自社株買いは、割高で買うことになり価値を壊す。配当と自社株買いで利益の約 9 割を返しているため、成長のための再投資は少なく、利益が伸びなくなれば 1 株利益の伸びも止まる。
今後の分かれ目
- 年金リスク移転の価格競争で、RIS のスプレッドが 3 割以上縮む
- RIS の利益が 3 割落ち、全社の利益は約 8% 減る。やや悲観・悲観の確率を上げ、ROE と g を下げて PER を 10 倍前後に置く。
- 私募の信用・商業用不動産ローンの損失が総資産の 1% を超える
- 自己資本が約 15% 減り、自社株買いが止まる。リーマン級の悲観の確率を上げる。
- チャリオット・リーの資本不足・格下げ
- 再保険の債権(109 億ドル)の回収が疑われ、メットライフが資本を積み増す必要が出る。悲観の確率を上げる。
- 団体保険の給付率が平年並みに戻り、2 年続く
- 団体保険の利益が 2 割ほど落ちる(全社で約 5%)。中立に倍率を寄せる。
- 金利が 3% 台まで急に下がる
- RIS の再投資利回りが下がり、スプレッドが縮む。一方で含み損が縮み、自己資本が増える。差し引きは小さい。
- 日本の外貨建て保険の販売が急に伸びる
- アジアの利益が年 10% 以上伸び、全社の利益が 3% ほど上積みされる。楽観に寄せる。
見ておくもの
- RIS のスプレッド(新規投資利回りと契約者利率の差)と年金リスク移転の販売
- 団体保険の給付率(調整後利益の伸び)
- 私募の信用・商業用不動産ローンの損失と含み損(AOCI)
- チャリオット・リーへの再保険受取債権と格付け
- GAAP 純利益と調整後利益の差(デリバティブ・投資損益)
- 自己資本比率とフリーキャッシュフロー比率、株数の減少
- 2029 年までの New Frontier の目標(調整後 ROE 15〜17%)の達成
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の PER 19.2 倍(GAAP)や PBR 2.28 倍からではなく、10 年後の ROE(純利益 82 億ドル ÷ 自己資本 383 億ドル。会計の自己資本は債券の含み損で薄く、その戻りを加えた)・k 8.25%(基本 8.0% + quality +0.25%)・検査の式の g 4% から利益ベースの正当化 PER(約 17.2 倍)を出し、その 7.5 割の 12.9 倍を 10 年後の中立に置いた。利益の質は正味の利益(調整後 × 0.88)に入れてある。悲観の床は ROE 8.7%・g 2%・k 8.25% の式 PBR 1.07 倍を今の自己資本 284 億ドルに掛けた。結論はやや割安(10 年の価値は今を約 2 割上回る)だが、k に近い期待の年率なので、確率は悪い側に厚くした。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 5% + β — × 5%。k = 基本 8.0% + quality +0.25% = 8.25%。内訳は cycle +0.25・pricing +0.00・debt +0.00・life +0.00(%)で、理由は quality_why。β は使わない。個別の懸念(私募の信用損失・再保険先・バミューダ規制)は k に足さず、筋書きの数量・利益率と確率で表した。