結論
大成温調は建物の空調・給排水設備を設計、施工し、改修や保守まで引き受ける設備工事会社である。筆者の結論は「割安」だ。改修需要と厚い現金に長期の価値がある一方、市場は足元の好業績を一時的なものと見すぎている。ただし全国的な独占企業ではなく、工事価格と人材確保に左右される事業だ。
2026年3月期の売上高は617億円、営業利益は40億円で、営業利益率は過去の最高水準にある。2015年には採算がほぼ消えた実績もあり、この利益率がそのまま続くとは考えない。2027年3月期の純利益予想53億円には本社不動産の売却益が大きく寄与するため、恒常的な稼ぎとは分ける必要がある。
10年先には国内新築の工事量が細る一方、省エネ改修や老朽設備の更新、ハワイの工事が売上を支えると見る。中立の売上高は約879億円、純利益は約43億円だ。インフレを売上の増加と混同せず、現場の施工件数と受注単価を分けると、利益はゆっくりとしか増えない。
2026年3月期の自己資本は約307億円、純現金は約185億円だが、前受工事代金まで自由に配れる現金ではない。余剰部分だけを資産価値に算入し、工事採算の悪化と資本配分の失敗を織り込んでも、10年の確率加重価値を現在に戻すと約467億円になる。基準時点の時価総額約307億円を約52%上回り、十分な安全域がある。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主がまず買うのは、空調機械そのものではなく、設備を期限どおり安全に使える状態にする能力だろう。老朽化した建物から改修需要は消えず、経験を積んだ監督者と協力会社の網は簡単に模倣できない。だが工事を一件請け負うたびに新しい原価リスクを抱えるため、優れた消費者ブランドのような予測しやすさはない。投資収益率の高い工事を断らずに選び取る規律が、利益の大きさ以上に大切である。
株主の取り分であるオーナー利益は、損益計算書の純利益そのものではない。現場の人員増強、保証や補修、工事の立替資金に現金が要る。2026年3月期の営業キャッシュフローには前受工事代金や消費税の支払い時期の影響が大きく、一年間の現金流入を永続する力とみなせない。物価が上がっても既存設備の減価償却はすぐ増えないが、新しい拠点や機器の更新費用は膨らむ。
それでも貸借対照表の余裕には価格を付ける価値がある。純現金の一部は顧客の仕事を完成させるために拘束されるので、独立した余剰現金は慎重に見積もる。政策保有株や保有不動産についても、処分後の税金と売却の実行可能性を考えなければならない。借金の少なさだけで経営の資本配分が優秀だとは言えない。
最大の問いは、次の十年も改修比率を高め、資本コストを上回る利益を新しい仕事から稼げるかである。独占的な堀はないが、既存顧客を守りながら過度な買収を避け、配当を着実に増やすなら、蓄積する価値は大きい。反対に工事の量を追って採算を落とし、余剰資金を買収に費やすなら帳簿の純資産は株主を守らない。今の評価には、その不確実性を差し引いても安全域が残る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、完成した建築設備工事の対価である。ゼネコンやビル所有者から空調、給排水、消火などの設備工事を請け負い、機器の調達、配管、据え付け、試運転までまとめる。施工後には設備更新や省エネ改修の受注機会が生まれる。単なる機器商社と違い、工期、現場安全、複数の職種を束ねる管理能力が商品の一部になっている。
2026年3月期の日本事業の売上高は約475億円で、営業利益は約35億円だった。親会社の完成工事高を分けると、新築工事が約235億円、改修工事が約201億円である。日本事業の残り約40億円には連結子会社の施工や関連取引が入る。顧客が建物を持ち続ける限り改修・更新の機会が続くが、修繕の発注先は必ずしも同じ会社に固定されない。
海外ではハワイを中心とする米国事業が約124億円を売り上げ、営業利益約8億円を稼いだ。現地子会社を通じて建物の設備工事を受けるため、国内の施工能力を単純に輸出しているわけではない。中国の売上高は約18億円だが営業赤字で、豪州の小規模な不動産関連事業もある。現時点の企業価値を中国の回復に大きく依存させる必要はない。
施工の実際の件数と契約単価は会社が公表していない。以下の数量は新築・改修の完成工事高を基準にした「等価案件数」の推定であり、確認された施工現場数ではない。2026年3月期にはフジタ向け売上が約63億円と連結売上の約1割を占めた。大口元請けとの取引は受注の厚みを生む一方、価格交渉で弱い立場にもなりうる。
優良さと弱いところ
この会社の堀、すなわち競合が簡単には奪えない強みは、施工実績と現場を動かす人の組織にある。空調・給排水の工事には技術者、協力会社、安全管理、工程調整が必要だ。建物を使いながら行う改修ほど失敗の許容度が低く、既存設備を知る受注者には一定の継続優位がある。しかし独自技術で価格を自由に決められる会社ではない。新築の競争入札では高砂熱学工業や新菱冷熱工業など大手に対し、規模の差もある。
収益力は改善したが、10年平均で見るとまだ並の設備工事会社である。過去10年のROE中央値は7.0%にすぎず、2026年3月期の11.6%を恒久的な基準にはできない。強い利益率は利益を生む工事を選ぶ受注管理と改修比率の改善を示唆する。ただし工期の長い案件では、労務費の上振れや設計変更が数年分の改善を消しうる。
財務は際立って厚い。純現金約185億円は時価総額の6割に相当し、借金に追われて不採算工事を受ける必要は乏しい。ただし未成工事受入金約71億円は顧客から先に預かった仕事の対価であり、将来の工事原価を支払うための資金だ。政策保有株も流動性があるが、売却方針と実行を伴わなければ少数株主の利益とは言い切れない。
AIエージェントが操作画面や人月契約を置き換える事業には当たらない。建設現場の据え付け、検査、安全責任は物理的に残る。設計積算の自動化は効率化の機会である半面、その便益を発注者との値下げ競争で失う余地がある。堀は「強い」ではなく「普通」で、維持にも人材投資が欠かせない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
建設設備工事は新築建物の着工だけで決まらない。設備は建物本体より短い周期で交換され、空調の高効率化、配管更新、耐震・防災改修が継続的な仕事になる。国土交通省の建設工事施工統計では、2024年度の管工事完成工事高は約10.3兆円に達する。大成温調の日本事業売上をこれと比べると約0.46%だが、対象範囲と元請・下請の計上が一致しないため、厳密な市場シェアではない。
競争相手には高砂熱学工業、新菱冷熱工業、三機工業、ダイダン、朝日工業社が並ぶ。高砂熱学の連結売上は4,000億円超、新菱冷熱も3,000億円超と、規模では大成温調を大きく上回る。競合の連結売上には海外や管工事以外の事業が含まれるため、そこから各社の国内管工事シェアを断定することはできない。業界全体では大手が大型案件を取りやすい一方、地元の専門工事会社にも更新・改修の余地が残る。
今後10年の国内新築工事量には労働人口の減少と着工物件の選別が逆風になる。逆に既存建物の築年数が上がり、脱炭素への対応や省エネの要求が強まるほど、更新工事は底堅い。業界全体の実質施工量が大幅に増えるとは見ないが、改修に得意分野を移す会社はシェアを伸ばせる。大成温調の中立では国内新築の等価件数が約1割減る一方、改修が約3割増える。
価格については年3%の物価上昇を共通前提とし、10年で約1.34倍を中心とする。これは値決め力の証拠ではなく、賃金、配管材、空調機器も同程度値上がりするという意味だ。技術者不足が深刻化すると施工可能な件数そのものが減り、契約に原価連動条項がなければ利幅が縮む。米国ハワイの建設循環、中国での競争と採算は国内とは別に見るべきである。
資本政策と M&A
資本政策は改善途上にある。2026年に公表した中期経営計画「LIVZON DREAM 2030 2nd half!」は、2031年3月期の営業利益70億円以上、ROE12%以上、株主資本配当率であるDOE4%以上を掲げた。今後5年間の成長投資には190~230億円、配当等の株主還元には60~80億円を見込む。
資金源には営業キャッシュフロー140~160億円、不動産売却50~60億円、借入20~40億円を想定する。2027年3月期に予想される本社不動産売却益約40億円は、一度しか生まれない。純利益予想を継続的な配当余力の尺度に使うのは危うい。2023年には消火設備分野のウッドテックを、2026年9月にはユニティーを取得し、周辺工事の内製・受注範囲を拡げている。
買収した会社が既存顧客から消火設備も受注できれば、現場一件から得られる利益が増す。一方で取得価格や統合後の採算が十分に開示されなければ、投資利回りを確認できない。上場政策保有株約31億円についても、保有の便益と売却還元を見続ける必要がある。DOE4%という明示目標は前進だが、中計に一定額の自社株買いを約束する数字はない。
10年間の累計還元は、利益の浮き沈みに応じて抑揚をつける。中立では配当と将来実行される買い戻し等で約170億円を見込む。株主優待は費用の詳細が未開示のため年0.15億円を暫定推定し、10年分を還元に含めた。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
建築設備の更新は、新築需要より長い息の仕事である。商業ビルや病院の空調機は建物より先に寿命を迎え、使いながら交換するには施主の工程を理解した施工会社が必要だ。大成温調は改修完成工事高が既に200億円を超え、日本事業の中で無視できない比率を占める。中期計画が掲げる改修・継続保守の受注比率引き上げが実現すれば、競争入札の新築案件より収益率の安定した仕事が増える。顧客の設備履歴を把握することが次の受注を呼び、施工能力の蓄積が穏やかな堀になっていく。
省エネ規制や建物の脱炭素対応は、更新の時期を早める可能性がある。大きな工事を完成できる人材が不足するほど、信用と施工体制を持つ中堅企業に注文が集まりやすい。空調・給排水に消火設備を加えるウッドテックとユニティーの取得も、同じ現場の仕事をまとめて請ける機会を増やす。材料・人件費の上昇を適切に契約価格へ転嫁できれば、名目売上が増すだけでなく、案件選別によって利益率も改善する。ハワイの工事は国内と異なる顧客・景気で収益を分散する。
何より財務の強さがある。予期せぬ不採算工事が出ても資金繰りで追い詰められる可能性は低い。2031年に営業利益70億円以上を目指す計画には実行上の条件があるが、達成後も改修・保守に資本を振り向けられれば、利益と配当が継続して伸びうる。経営が政策保有資産を整理し、投資先の収益性を厳しく問うなら、現金を眠らせる弱点まで解消できる。
慎重な見方
設備工事には、客が離れられないほど強い堀はない。発注者は見積もりを比較し、現場監督と協力会社を確保できる競合へ容易に工事を振り替える。特に大型新築工事はゼネコンとの力関係が強く、大口顧客への依存が価格交渉を不利にする。直近の高い利益率は案件の選別と採算管理が奏功した結果だとしても、好況が続かなければ同じ水準で工事を選び続けられない。2015年3月期には営業利益がほとんど出なかった事実を軽く扱うべきではない。
施工技術者と熟練協力会社が高齢化し、人手不足が深まれば、受注できる工事量の上限が下がる。賃金上昇は下請費に波及し、契約締結後の費用増を施主に転嫁できない案件が増える。改修需要が増えても競争会社は同じ市場へ参入してくるため、案件数の増加がそのまま利益率上昇になるとは限らない。ハワイでは地場建設景気が冷えれば固定費を抱え、中国では赤字から抜けられないまま人と資金が残る。
財務の厚さも全額を株主のための現金と呼ぶことはできない。工事前受金は先々の材料と労務費に使われ、政策保有株は売却しない限り役立たない。中計の成長投資190~230億円が買収や大型案件へ向かい、投下資本利益率が資本コストを下回れば、自己資本だけが積み上がる。2031年の営業利益70億円目標を急ぐほど、受注の採算を緩める誘惑も増す。たとえ2027年の不動産売却で純利益が一時的に膨らんでも、翌年の現場で同じ利益は生まれない。
どちらに重みを置いたか
改修需要の持続性と財務の余裕では強い見方が勝る。しかし値決め力は限定的で、直近の過去最高利益率を10年先へ延長できないという慎重な指摘も正しい。したがって最も重い確率は改修が伸びても利益率は正常化する中立に置く。楽観側を34%、悲観側を30%とし、現金の厚さを理由に強気一辺倒にはしない。下振れで株主が全資産を換金できる前提も置かない。それでも足元の時価総額は、慎重に見た事業利益と累計還元に比べて低い。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 3,062 円762 億円(+ 還元の換算額還元の合計 679 円169 億円)。 今の値に割り戻すと 1,999 円497 億円、今との差 +60.8%、 期待の年率 +13.3%(資本コスト 7.2%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 12% | 5,849 円1,455 億円 | 924 円230 億円 | +444.9% | +20.8% | 813 円202 億円 |
| やや楽観 | 22% | 4,344 円1,081 億円 | 824 円205 億円 | +315.8% | +17.4% | 1,137 円283 億円 |
| 中立 | 36% | 2,988 円743 億円 | 683 円170 億円 | +195.4% | +13.1% | 1,322 円329 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,337 円333 億円 | 563 円140 億円 | +52.8% | +5.2% | 380 円95 億円 |
| 悲観 | 10% | 618 円154 億円 | 281 円70 億円 | −27.7% | −3.7% | 90 円22 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,062 円762 億円 | 679 円169 億円 | +201.0% | +13.3% | 3,741 円931 億円 |
今の株価時価総額 1,243 円309 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 12% 更新工事でシェアを奪い施工採算も上がる 利益 80 億円 · PER 16.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 5,849 円1,455 億円
改修・保守の受注比率が中期計画の目標を超えて定着し、顧客の設備履歴を把握している利点が更新工事で発揮される。国内新築も都市の再開発案件で選別受注が進み、平均請負単価は原価上昇を超えて改善する。国内新築の完成等価件数は112件と今より増え、改修は1,550件まで伸びる。単純な市場の成長ではなく、競合から優良案件を取り込む結果だ。
消火設備のウッドテックとユニティーが既存顧客の工事に入り、関連施工の売上が厚くなる。ハワイでは現地の施工技術者を確保でき、高採算の設備更新が継続する。中国では赤字工事から撤退して選別した案件だけを残し、僅かな事業でも黒字へ転じる。グループ営業利益は約99億円に達し、利益率は8%台へ改善する。
将来の買収は工事の施工体制を増やす小規模なものにとどまり、手元資金を割高な事業へ費やさない。DOEに基づく配当と追加の買い戻しで株主への累計還元も増える。経営者が工事ごとの投資利益率を守れた場合に限る、稀だが十分に起こりうる上振れである。
- 国内新築設備工事:数量 112(年間の新築完成等価案件数(件、アナリスト推定))× 価格 3.38(等価案件1件当たり平均完成工事高(億円、名目))→ 売上 378 億円・営業利益 30 億円。大型再開発で優良案件を選別
- 国内改修・設備更新:数量 1,550(年間の改修・保守等価案件数(件、アナリスト推定))× 価格 0.29(等価案件1件当たり平均工事高(億円、名目))→ 売上 445 億円・営業利益 45 億円。設備更新の指名案件が増える
- 国内子会社・周辺設備工事:数量 385(関連施工・機器供給の年間等価案件数(件、推定))× 価格 0.18(等価案件1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 71 億円・営業利益 7 億円。消火設備の買収相乗効果
- 米国・ハワイ設備工事:数量 82.0(米国で完了する大小工事の年間等価案件数(件、推定))× 価格 2.92(等価工事1件当たり平均工事高(億円、円建て名目))→ 売上 240 億円・営業利益 19 億円。ハワイの施工拡大
- 中国設備工事・豪州その他:数量 32.0(中国設備工事中心の年間等価案件数(件、推定))× 価格 0.83(等価案件1件当たり合計売上(億円、豪州の小額事業込み))→ 売上 27 億円・営業利益 1 億円。中国赤字の解消
倍率:資本コストk7.25%、2036年の純利益79.98億円÷自己資本654.7億円=ROE12.22%。堀は通常で超過収益の残存割合1/2、増分資本利益率RONIC9.74%、10年後以降の名目成長g3.3%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)の上限16.73倍を使用。初期の余剰現金80億円の利息税後1.12億円を利益から除き、戻り方0.75の60億円を加算する。現在の相場のPERから導いていない。
確率:国内大型新築と改修の双方でシェア上昇し、ハワイも順調に育ち、買収の相乗効果が出る必要がある。複数条件の同時達成なので12%に抑える。
やや楽観 22% 改修主導で営業利益目標へ近づく 利益 61 億円 · PER 15.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,344 円1,081 億円
新築は完成等価件数がほぼ横ばいでも、受注時に原価上昇を転嫁できる工事へ絞ることで名目売上が伸びる。改修は1,430等価件数となり、更新のたびに施工実績が次の相談を呼ぶ。中期計画の営業利益目標には時間をかけて近づくものの、70億円台の利益を大きく超えるほど独占的な値上げ力は付かない。
ユニティーの取り込みで消防設備を含む案件が増え、国内の工事管理体制にも生産性改善が生まれる。米国ではハワイの事業が受注を確保し、現地子会社の利益率は堅調に推移する。中国は採算重視の方針へ切り替え、おおむね損益均衡まで改善する。現場施工そのものはAIで置き換わらないが、設計積算の効率化は競合にも広がるため独り占めできない。
営業利益は約75億円となる。政策保有株の段階的な削減と配当の積み上げが進み、現金が事業に必要な額を超えても株主に還元される。財務の強さは維持され、競争力も現在より少し高い企業として10年目を迎える。
- 国内新築設備工事:数量 102(年間の新築完成等価案件数(件、アナリスト推定))× 価格 3.21(等価案件1件当たり平均完成工事高(億円、名目))→ 売上 328 億円・営業利益 22 億円。新築を採算重視で受注
- 国内改修・設備更新:数量 1,430(年間の改修・保守等価案件数(件、アナリスト推定))× 価格 0.28(等価案件1件当たり平均工事高(億円、名目))→ 売上 396 億円・営業利益 35 億円。改修の需要と顧客の継続受注
- 国内子会社・周辺設備工事:数量 350(関連施工・機器供給の年間等価案件数(件、推定))× 価格 0.18(等価案件1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 62 億円・営業利益 6 億円。消火設備工事の横展開
- 米国・ハワイ設備工事:数量 72.0(米国で完了する大小工事の年間等価案件数(件、推定))× 価格 2.80(等価工事1件当たり平均工事高(億円、円建て名目))→ 売上 202 億円・営業利益 14 億円。米国現地受注は堅調
- 中国設備工事・豪州その他:数量 26.0(中国設備工事中心の年間等価案件数(件、推定))× 価格 0.81(等価案件1件当たり合計売上(億円、豪州の小額事業込み))→ 売上 21 億円・営業利益 0 億円。中国損益がほぼ均衡
倍率:k7.25%、純利益61.02億円÷自己資本584.9億円=ROE10.43%。通常の堀でRONIC8.84%、g3.3%から正当化PERは約15.87倍。その上限そのものを使い、事業純利益から余剰現金80億円の税後利息1.12億円を除き、現金の戻り方0.75を掛けた60億円を別に加える。
確率:改修の需要増と利益率改善は既存の完工実績と会社の中期計画に一定の根拠があるが、工事入札には競合が多いので22%とする。
中立 36% 新築減少を更新需要が補い利益率は平常化 利益 43 億円 · PER 14.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,988 円743 億円
国内新築の実質工事量は、労働人口の減少と建築主の投資選別で緩やかに減る。新築完成等価件数は100件から90件へ縮む一方、改修・更新は設備の老朽化と省エネ化を背景に1,270件まで増える。受注単価は原則として年3%の物価上昇に連動する。改修比率の上昇が採算を支えるが、競合との見積もり競争も続き、2026年の過去最高利益率は定着しない。
ウッドテックとユニティーの消火設備工事は既存顧客に一定程度浸透し、国内子会社売上は着実に積み上がる。米国ハワイは現地景気の波を受けながらも、設備更新を中心に2026年より施工量をやや増やす。中国は契約量を減らして赤字を圧縮するものの、完全撤退や大幅な利益貢献は想定しない。営業利益は約52億円、純利益は約43億円となる。
2031年の営業利益70億円以上という計画は一度達成しても継続が難しいか、未達のまま正常な水準に落ち着く。配当方針は守られ、累計還元約170億円が株主へ渡る。現場の施工能力は十分な価値を持つが、特別に広い堀を築かない10年である。
- 国内新築設備工事:数量 90.0(年間の新築完成等価案件数(件、アナリスト推定))× 価格 3.15(等価案件1件当たり平均完成工事高(億円、名目))→ 売上 284 億円・営業利益 16 億円。実質工事量10%減・単価は物価並み
- 国内改修・設備更新:数量 1,270(年間の改修・保守等価案件数(件、アナリスト推定))× 価格 0.27(等価案件1件当たり平均工事高(億円、名目))→ 売上 343 億円・営業利益 25 億円。更新需要27%増・単価は物価並み
- 国内子会社・周辺設備工事:数量 320(関連施工・機器供給の年間等価案件数(件、推定))× 価格 0.18(等価案件1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 57 億円・営業利益 5 億円。周辺施工は小幅な拡張
- 米国・ハワイ設備工事:数量 65.0(米国で完了する大小工事の年間等価案件数(件、推定))× 価格 2.77(等価工事1件当たり平均工事高(億円、円建て名目))→ 売上 180 億円・営業利益 10 億円。ハワイの実質施工量は微増
- 中国設備工事・豪州その他:数量 19.0(中国設備工事中心の年間等価案件数(件、推定))× 価格 0.82(等価案件1件当たり合計売上(億円、豪州の小額事業込み))→ 売上 16 億円・営業利益 0 億円。中国で工事縮小・赤字圧縮
倍率:k7.25%、純利益43.47億円÷自己資本532.2億円=ROE8.17%、残存割合1/2のRONIC7.71%、10年後以降のg3.3%。正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=約14.48倍を上限としてそのまま使う。余剰現金80億円の利息税後1.12億円を事業純利益から引き、帳簿現金の0.75に当たる60億円を加える。
確率:足元の過去最高利益率を固定せず、新築の実質減少と改修需要の増加を相殺する最も自然な道筋として36%を中心に据える。
やや悲観 20% 人手不足で採算を失い受注も鈍る 利益 22 億円 · PER 11.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,337 円333 億円
国内の新築大型工事が減り、採算のよい案件を選びきれず受注価格で譲歩する。新築の完成等価件数は70件まで減少し、改修は老朽化需要のおかげで件数を増やすが、競争激化で利幅を失う。人材不足による外注費の増加も重なり、売上の名目増加の多くは原価の上昇に吸収される。
取得した周辺工事会社から期待した相乗効果が出ず、営業管理費だけが膨らむ。ハワイでは開発案件の停滞により工事量と単価の両面が弱くなり、利益率が低下する。中国では縮小しても工事保証や固定費が残り、赤字が続く。会社の施工技術が消えるわけではないが、顧客から指名される力は弱まり、営業利益は約25億円に後退する。
現金の一部は受注減少期の立替資金や統合費用へ消える。配当はDOEの目標を機械的に守るより資金繰りを優先して抑え、累計還元は約140億円になる。会社は存続し、改修の需要も残るが、株主資本を超える利益を継続して稼げない状態だ。
- 国内新築設備工事:数量 70.0(年間の新築完成等価案件数(件、アナリスト推定))× 価格 3.03(等価案件1件当たり平均完成工事高(億円、名目))→ 売上 212 億円・営業利益 8 億円。競争受注が増え利益率4%
- 国内改修・設備更新:数量 1,090(年間の改修・保守等価案件数(件、アナリスト推定))× 価格 0.26(等価案件1件当たり平均工事高(億円、名目))→ 売上 280 億円・営業利益 15 億円。改修の値上げが人件費に負ける
- 国内子会社・周辺設備工事:数量 280(関連施工・機器供給の年間等価案件数(件、推定))× 価格 0.17(等価案件1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 48 億円・営業利益 2 億円。買収先が十分稼げない
- 米国・ハワイ設備工事:数量 48.0(米国で完了する大小工事の年間等価案件数(件、推定))× 価格 2.63(等価工事1件当たり平均工事高(億円、円建て名目))→ 売上 126 億円・営業利益 3 億円。海外固定費を吸収できない
- 中国設備工事・豪州その他:数量 12.0(中国設備工事中心の年間等価案件数(件、推定))× 価格 0.72(等価案件1件当たり合計売上(億円、豪州の小額事業込み))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。縮小しても中国赤字が残る
倍率:10年後のROE4.82%はk7.25%を下回り、成長投資を続けると資本価値を損なう。成長価値を積まず稼ぐ力の上限1÷k=13.79倍を参照し、再受注リスクと収益の持続性を反映した11倍で測る。余剰現金は工事運転資金・買収費用への流出を想定して60億円へ減額し、税後利息0.84億円を控除した利益に11倍を掛け、0.75の戻り方で45億円を足す。
確率:元請けとの競争入札、人材・下請費の上昇、中国赤字の長期化は具体的な弱点である。一方、改修需要の底堅さがあるため20%とする。
悲観 10% 工事管理の競争力を失い収益が崩れる 利益 5 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 618 円154 億円
新築設備工事の落札競争が激しくなり、発注件数の減少と材料・労務費の高騰が同時に起きる。受注を維持するため赤字に近い工事を取る悪循環に入り、新築等価件数は54件へ落ち込む。更新需要そのものはなくならないが、競合に顧客を奪われ、改修の等価件数も810件に縮む。価格は物価に追い付かず、利益率も下がる。
買収した子会社の管理が行き届かず、一部に減損や追加の資金負担が出る。ハワイは施工人員を減らしきれないまま建設需要が冷え、中国は受注がほぼ消えても保証義務と撤退費用が残る。連結営業利益は約6億円まで低下する。これは景気の谷だけでなく、施工能力と顧客関係を競合に奪われ、優良さを失う構造的な負けである。
顧客から預かった工事代金と政策保有資産は、そのまま少数株主へ配れるわけではない。過去に積み上げた自己資本の価値も低い資本収益率で傷む。10年目は現時点の純資産と売却可能資産を慎重に見直した水準が株式価値の目安となる。配当や買い戻しは縮小し、累計還元は約70億円にとどまる。
- 国内新築設備工事:数量 54.0(年間の新築完成等価案件数(件、アナリスト推定))× 価格 2.82(等価案件1件当たり平均完成工事高(億円、名目))→ 売上 152 億円・営業利益 2 億円。案件喪失と低価格落札
- 国内改修・設備更新:数量 810(年間の改修・保守等価案件数(件、アナリスト推定))× 価格 0.25(等価案件1件当たり平均工事高(億円、名目))→ 売上 203 億円・営業利益 6 億円。更新工事も競争に負ける
- 国内子会社・周辺設備工事:数量 220(関連施工・機器供給の年間等価案件数(件、推定))× 価格 0.16(等価案件1件当たり平均売上(億円、名目))→ 売上 36 億円・営業利益 0 億円。統合効果なく固定費が残る
- 米国・ハワイ設備工事:数量 33.0(米国で完了する大小工事の年間等価案件数(件、推定))× 価格 2.51(等価工事1件当たり平均工事高(億円、円建て名目))→ 売上 83 億円・営業利益 1 億円。ハワイ景気の後退と減員遅れ
- 中国設備工事・豪州その他:数量 4.0(中国設備工事中心の年間等価案件数(件、推定))× 価格 0.68(等価案件1件当たり合計売上(億円、豪州の小額事業込み))→ 売上 3 億円・営業利益 −1 億円。撤退費用で大きな赤字
倍率:構造的な競争力の喪失でROE1.23%とk7.25%を大幅に下回り、将来利益の資本化より現在の売れる資産を基準とする。PBR0.50を2036年の自己資本441.9億円ではなく現時点の自己資本307.3億円に掛けるため時価総額153.7億円。過去の株価のPBRの底を根拠にしていない。純現金から前受金などを控除した回収資産149億円を下回らない。
確率:過去に営業利益がほぼゼロとなった年度があり、構造的に競争力を失う可能性は無視できない。しかし純現金が厚く短期倒産の危険は小さいので10%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内新築設備工事
国内親会社が新築建物の空調・給排水・防災設備を請け負い、引き渡す工事。
| 数量年間の新築完成等価案件数(件、アナリスト推定) | 価格等価案件1件当たり平均完成工事高(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 2.35 | 235 | 14 |
| 10 年後 中立 | 90.0 | 3.15 | 284 | 16 |
取り方:2026年3月期有価証券報告書の国内親会社の新築完成工事高23,459百万円を正本とする。完成案件の件数と単価は会社非開示なので、構造・規模の異なる工事をならした等価案件を年100件と仮定し、1件当たり2.3459062億円に換算した。実際の施工件数100件と会社が発表した事実ではない。営業利益13.5億円も推計配賦であり、現場利益率5.75%の仮定を用いる。
国内改修・設備更新
既存ビル・公共施設・工場などの空調更新、配管・給排水改修、保守関連の完成工事。
| 数量年間の改修・保守等価案件数(件、アナリスト推定) | 価格等価案件1件当たり平均工事高(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 1,000 | 0.20 | 201 | 17 |
| 10 年後 中立 | 1,270 | 0.27 | 343 | 25 |
取り方:有報の国内親会社「改修工事」完成工事高20,082百万円を使用。現場件数と単価は非開示であり、大型更新から小口修繕までを年1,000の等価案件と仮定して1件0.20081666億円とする。営業利益17.1億円は日本事業の公表利益34.565億円から、新築・子会社分との相対採算を考えて配賦した推定値(利益率約8.52%)であり公表セグメント利益ではない。
国内子会社・周辺設備工事
日本事業に含まれる連結子会社の設備工事・消火設備など。
| 数量関連施工・機器供給の年間等価案件数(件、推定) | 価格等価案件1件当たり平均売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 300 | 0.13 | 40 | 4 |
| 10 年後 中立 | 320 | 0.18 | 57 | 5 |
取り方:地域別開示の日本事業売上475.26867億円から、国内親会社の新築234.59062億円と改修200.81666億円を引いた39.86139億円。内部売上の相殺を含む残差であり、子会社の独立した完成工事高そのものではない。施工・機器案件を年300件相当と置いた単価は公開件数ではなく推定。営業利益3.9653億円も国内事業利益との整合をとるための分析上の配賦である。2026年9月取得のユニティーの売上を基準期へ遡及していない。
米国・ハワイ設備工事
米国現地子会社によるハワイなどの空調・給排水設備の施工請負。
| 数量米国で完了する大小工事の年間等価案件数(件、推定) | 価格等価工事1件当たり平均工事高(億円、円建て名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 60.0 | 2.06 | 124 | 8 |
| 10 年後 中立 | 65.0 | 2.77 | 180 | 10 |
取り方:有報の地域別セグメント売上123.50787億円、営業利益8.21244億円を使用。現場件数非開示のため60等価案件、1件2.0584645億円と仮定する。米ドル150円は共通前提で固定し、数量を米国での工事稼働数、価格を円建て単価として物価上昇を価格側に計上する。
中国設備工事・豪州その他
中国の設備施工を中心とし、ごく少額の豪州不動産関連収益を含む。
| 数量中国設備工事中心の年間等価案件数(件、推定) | 価格等価案件1件当たり合計売上(億円、豪州の小額事業込み) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30.0 | 0.61 | 18 | −2 |
| 10 年後 中立 | 19.0 | 0.82 | 16 | 0 |
取り方:中国の売上17.93442億円・営業損失2.46489億円に豪州の売上0.47967億円・営業利益0.19107億円を合算。全体の97%超が中国施工であるため等価案件数30は中国工事を代表させ、豪州の不動産関連は微小な加算として単価に含む便法とした。現場数の実績や中国のシェアは非開示。豪州部分には実際の工事件数を対応させていない。
リスクと懸念
人手不足と協力会社の施工能力
設備工事は現場監督、配管工、施工管理技士が揃って初めて完成する。国内で熟練工が減ると、受注可能な施工量は需要とは別に細る。外注費が契約時の見積もりを超えても途中で値上げできなければ、新築だけでなく高採算を期待する改修でも利益率が下がる。生産性目標が実際の完成工事数に結びつくかが重要だ。
大型案件の採算悪化と前受工事代金
工事完成まで時間がかかる案件では、設計変更、資材不足、工期遅延によって原価が膨らむ。2026年3月期には未成工事受入金が約71億円あり、現金が増えても将来の仕入れや下請けへの支払いが残る。運転資金に使う現金を余剰資金として二重に評価してはいけない。受注残だけでなく不採算案件の発生を追うべきだ。
顧客とゼネコンの交渉力
フジタ向けは2026年3月期売上高の約1割を占める。大型建築案件の元請けが価格を主導すれば、施工品質が良くても設備会社の採算は絞られやすい。単一顧客の工事量や請負条件が変化したとき、同規模の工事を同じ利益率で他社から獲得できる保証はない。顧客分散と価格転嫁の実績を確認する必要がある。
ハワイの建設循環と中国の撤退費用
米国事業は売上約124億円、営業利益約8億円と利益への寄与が大きいが、ハワイの地場工事需要や工賃に左右される。観光・不動産投資が冷えれば現場人員の固定費が重荷となる。中国はすでに営業赤字であり、受注縮小を続けても契約保証や拠点整理の負担が残る可能性がある。両市場の伸びを国内需要の延長として扱わない。
買収投資と政策保有資産の資本効率
中期計画の成長投資190~230億円は、現在の自己資本に対して無視できない大きさだ。取得した消火設備会社の技術者や顧客を活用できればよいが、統合費用だけが増えると投下資本の利回りは資本コストを下回る。約31億円の政策保有株も、売却や明確な取引利益がなければ価値の回収に時間がかかる。
一過性利益と資産価値の二重計上
2027年3月期の予想純利益には本社不動産の売却益が大きく含まれ、設備工事の反復的な稼ぎではない。売却代金が現金に変わったときは利益成長の倍率と保有不動産の資産価値の両方に同じ利益を数えてはならない。配当方針を守るために土地の売却に頼るなら、成長資金と株主還元との競合が強まる。
AIによる積算効率化の価格転嫁圧力
現場の施工、検査、安全管理はAIエージェントが机上で代替できる人月サービスではない。その一方、設計図の読み取り、数量拾い、工事見積もりは自動化が進みやすい。自社だけが効率化できるとは限らず、元請けが安い見積もりを要求する場合、削減した事務工数の便益が施工会社の利益に残らない危険がある。
今後の分かれ目
- 改修・継続保守の受注比率が中計目標の50%を超え、国内営業利益率も複数年度で上向いたら
- 顧客設備の知識が繰り返し受注につながっていると判断し、改修の実質件数と利益率を上方修正する。単年度の最高益だけでは更新しない。
- 2031年3月期の営業利益70億円以上が、一過性の不動産益なしで実現したら
- 国内の採算と人員生産性の改善実績を確かめ、基本筋書きの営業利益率と増分資本利回りを上げる。目標達成が買収依存なら別に評価する。
- 未成工事受入金が減り、純現金の減少以上に配当・自己株買いが進んだら
- 営業に拘束されない現金の還元実績として認め、余剰現金の戻り方0.75を1.0へ見直す余地が生じる。
- 売上が増えても工事損失引当金や外注費の増加で国内の利益率が4%を割ったら
- 見積もりと調達管理の悪化を重く受け止め、改修工事も含むやや悲観の重みを増やす。
- ハワイの受注残が大幅に減り、中国事業の営業赤字も継続したら
- 海外施工の実質件数を減らして予想を改める。国内の改修需要が堅調でも全社の利益見通しを引き下げる。
- 取得したユニティーなどの買収価格と投資後の利益が開示され、資本コストを上回る利回りが確認できたら
- 周辺工事の一括受注による再投資余地を高く評価する。反対にのれん減損が発生したら、買収への将来資金配分を慎重に見る。
- 実質の新築等価件数が10年で4割以上落ち込み、改修件数も減り始めたら
- これは単なる景気の谷ではなく顧客と施工能力の喪失を示すため、構造的な悲観のシナリオを中心に据え直す。
見ておくもの
- 国内親会社の新築・改修別完成工事高と受注高、工事採算
- 改修・継続保守受注比率:中計目標50%以上に対する実績
- 国内施工部門の営業利益率と施工人員一人当たり売上
- ハワイの受注残、売上高、営業利益率と中国事業の営業損益
- 未成工事受入金、未払消費税、営業キャッシュフローの差と純現金
- 2031年3月期の営業利益70億円、ROE12%、DOE4%目標の達成状況
- ウッドテック・ユニティー買収後の売上相乗効果と投下資本利益率
- 政策保有株の削減、配当・新規自社株買いの実行額
倍率と資本コストの決め方
市場価格や他社のPER・過去のPBRを倍率の起点にしていない。10年間の物価上昇約1.34倍は単価だけに反映し、数量には重ねていない。減価償却は既存資産が歴史的原価のまま残るため一律1.34倍にはせず、2036年の中立で年間7~8億円程度と想定し、更新投資の現金支出は別に必要と見る。
10年先のPERは資本コスト7.25%、増分資本利益率、2036年以降の成長率3.3%の式だけで決める。初期余剰現金80億円は利益から利息を除いて別建てにした。2036年の自己資本は現在307.3億円に10年の概算純利益の合計を加え、累計還元を引いて確かめた。悲観の資産の床149億円は清算を強制できない少数株主の限界も考えた。2028年3月期からの新リース会計変更は比較可能な利益に調整する。
確率加重した10年後の時価総額を10年分、累計還元を5年分の資本コストで割り引くと約467億円となる。
資本コスト 7.2% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債利回り3%と株式リスクプレミアム4.5%の基本7.5%に、事業の質の調整-0.25%を加えた。個別の買収・工事採算リスクは倍率で重複させず筋書きで扱う。