結論
インターライフは内装工事と、劇場・ホールの音響・照明設備の工事を営む会社だ。内装の日商インターライフと、舞台設備のシステムエンジニアリングなどを束ねる。ここ2年で利益率が大きく上がり、2026年2月期の営業利益率は7.1%と過去最高になった。
筆者の結論は「やや割高」だ。いまの稼ぐ力が続けば安いが、10年で見るとその持続には疑問が残る。2015〜2023年の営業利益率は1〜2%台で、赤字の年もあった。利益率の改善は、職人の不足で工事の値段が上がった追い風と、採算の悪い子会社の売却の両方による。
会社は2031年2月期に営業利益20億円を目標に掲げ、配当性向も5割以上に上げた。株主への姿勢は前向きだ。ただ、工事の値段の上昇が一巡すれば、内装は再び価格の競争にさらされる。筆者は利益率が今の最高と過去の平均の間に落ち着くとみる。その前提で10年の価値を積むと、今の値段を2割ほど下回る。今の株価は、最高益が長く続く方に少し寄っている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「事業の力が変わったのか、追い風に乗っているだけか」を見極める必要がある。ROEは2年で2%台から17%台へ跳ねた。もし構造が変わったのなら安い。もし追い風なら、今の値段は利益の山を映している。
筆者は、半分は本物だと見る。採算の悪い子会社を売り、事業を2つに絞った判断は経営の質を示す。音響・照明の技術者の集団は、10年先も簡単には崩れない。一方で内装の利益率は、職人の不足という外の条件に支えられている。
株主のものになる利益は、見た目に近い。工事の会社は大きな設備を持たず、利益の多くを配当に回せる。配当性向5割以上の方針は、その性質に合っている。安全域は大きくないが、払う値段に見合う事業の質はある。持ち続けるなら、内装の利益率が5%を保てるかを毎年確かめたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎは2つの工事から来る。売上の6割が内装工事で、オフィスやホテル、商業施設の壁や天井の下地と仕上げを請け負う。ゼネコンの下で工事をする専業の部門と、店舗などの改装を元請けで受ける商環境の部門がある。2025年には清掃などのFMの会社を合併した。
残りの4割が音響・照明設備だ。劇場や公共ホール、ホテルの宴会場、放送局のスピーカーや舞台照明を設計し、据え付け、保守までを請け負う。こちらは専門の技術者が要る仕事で、利益率は内装の約2倍ある。
どちらの工事も、案件ごとに受注し、完成すると売上になる。大型の案件の完成が重なる年は利益が跳ね、少ない年は落ちる。2026年2月期の最高益も、採算の良い大型工事の完成が重なった面がある。
2025年に設備・メンテナンスの玉紘工業を売り、事業を2つに絞った。会長が代表を務める資産管理会社の辰巳が、議決権の31%を持つ筆頭株主だ。
大きな設備は持たず、資産の多くは工事の売掛金と現金だ。人と段取りで稼ぐ会社なので、利益が増えても設備に再投資する額は小さい。その分、利益を配当に回しやすい。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、事業によって差がある。音響・照明は、劇場やホールの音と光を設計できる技術者が少なく、保守の契約で客をつなぎとめられる。参入は簡単ではない。
内装は違う。仕事の中身は職人の手配と工程の管理で、元請けのゼネコンが値段を決める。今の高い利益率は、職人の不足で下請けの側が仕事を選べる局面が生んだものだ。この力関係が10年続く保証は無い。
資本効率は、ここ2年で見違えた。ROEは2025年2月期に16.7%、2026年2月期に17.7%となった。だが過去10年の中央値は2.7%で、資本コストの3分の1だ。経営は事業の入れ替えと配当の引き上げに前向きで、資本コストと株価を意識した経営を掲げる。その姿勢は評価できる。ただ、高いROEが続くかは、内装の利益率が保てるかにかかっている。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
建設業は人手不足の時代に入った。職人の高齢化と若い人の減少で、内装の工事を担う人は年々減っている。2024年からは時間外労働の上限も建設業に適用された。工事の量に対して人が足りないので、下請けの工事会社にとっては値段を上げやすい局面だ。
需要の面では、都心の再開発とホテルの建設・改装が追い風だ。訪日客の増加でホテルの客室と宴会場の改装が続き、オフィスもテナントの入れ替えのたびに内装をやり直す。大阪・関西万博の工事は一巡したが、大阪の再開発はまだ続く。
音響・照明の需要は、全国の公共ホールの老朽化が支える。1980〜90年代に建った文化ホールの多くが改修の時期を迎え、舞台の設備も入れ替えが要る。ただ、自治体の予算に左右されやすい。
10年で見ると、追い風はいずれ弱まる。再開発には波があり、資材と人件費の上昇で計画の先送りも出ている。人手不足は値段を押し上げる一方、受注できる量の上限にもなる。筆者は、工事の値段は物価をやや上回って上がるが、量はほぼ横ばいとみる。競争相手は、内装では乃村工藝社や丹青社のような大手の商環境の会社と、地域の内装の専門工事会社だ。
資本政策と M&A
還元の姿勢は、ここ2年ではっきり前向きになった。配当性向の目標を4割から5割以上に引き上げ、2027年2月期の配当予想も引き上げた。2025年には自己株式の取得も行った。役員向けの株式給付信託も入れている。
事業の入れ替えも進めた。2025年に設備・メンテナンスの玉紘工業を売却し、ファシリティーマネジメントを内装の会社に合併した。2026年7月には、上場したアイ・グリット・ソリューションズの株を売り、2.8億円の売却益を出した。今後はM&Aへの投資も掲げる。
筆頭株主の辰巳は2026年2月に174万株を売り出し、市場に出回る株を増やした。会長側の持株は今も3割あり、外からの買収は起こりにくい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
利益率の改善は一時の山ではなく、業界の構造の変化だ。建設の職人は10年で確実に減り、内装の工事ができる会社の数も減る。仕事を選べる側に回った工事会社は、もう過去のような安値の受注をしない。インターライフは2年続けて5%を超える利益率を出し、今期も上方修正した。
事業の入れ替えも効いている。利益の出ない玉紘工業を売り、FMの会社を合併して内装に集中した。会社は初年度で中計の利益目標を達成し、2031年2月期に営業利益20億円という新しい目標を掲げた。これは今の1.7倍だ。
音響・照明は、古い公共ホールの改修という長い需要がある。保守の契約で客が続き、技術者の集団は他社がまねしにくい。配当性向5割以上の方針で、利益の半分強が株主に戻る。今の株価は利益の約11倍で、利益が伸びる会社としては高くない。
ホテルの改装は訪日客が増える限り続き、オフィスもテナントが入れ替わるたびに内装をやり直す。需要の芯は、新築の波より安定している。
慎重な見方
過去10年のROEの中央値は2.7%で、赤字の年も2度あった。今の17%台のROEは、都心の再開発とホテルの工事の山、それに職人の不足という外の条件が重なって生まれた。条件が変われば、内装は元請けのゼネコンに値段を叩かれる下請けの仕事に戻る。
今期の上方修正にも、大型案件の完成が重なった面と、投資有価証券の売却益が入っている。工事の会社の利益は、完成の時期で大きく振れる。1年や2年の数字で構造が変わったと言うのは早い。
人手不足は値段を上げる一方、受注できる量の上限にもなる。会社の2031年の売上250億円という目標は、今の1.5倍の工事をこなす人手を前提にしており、達成は難しい。会長側が3割を持ち、配当性向の目標も業績次第で変わりうる。今の値段は、利益の山を10年続く前提で払う値段だ。
内装の大手には乃村工藝社や丹青社がいて、元請けの商環境の工事では規模で勝てない。下請けの専業の工事では、人手が戻れば値段の競争がすぐに戻る。
どちらに重みを置いたか
事業の見立ては両方に理があり、中立の利益率を今の最高と過去の平均の間に置いた。人手不足で工事の値段が上がる流れは本物だが、内装の利益率が10年続くとは限らない。確率は中立を中心に、やや楽観とやや悲観をほぼ同じ厚みにした。結果は今の値段を2〜3割下回り、やや割高だ。今の値段は、最高益が長く続く方に寄っている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/02 期)
確率で加重した株価時価総額 864 円133 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 275 円42 億円)。 今の値に割り戻すと 588 円90 億円、今との差 −3.9%、 期待の年率 +6.4%(資本コスト 8.0%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 1,652 円254 億円 | 398 円61 億円 | +235.0% | +12.9% | 205 円31 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,277 円196 億円 | 346 円53 億円 | +165.1% | +10.2% | 357 円55 億円 |
| 中立 | 35% | 951 円146 億円 | 299 円46 億円 | +104.2% | +7.4% | 437 円67 億円 |
| やや悲観 | 21% | 349 円54 億円 | 224 円34 億円 | −6.4% | −0.7% | 120 円18 億円 |
| 悲観 | 12% | 104 円16 億円 | 65 円10 億円 | −72.3% | −12.1% | 20 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 864 円133 億円 | 275 円42 億円 | +86.2% | +6.4% | 1,140 円175 億円 |
今の株価時価総額 612 円94 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.0% を下回るほど割高。
楽観 10% 会社の2031年の目標を超える 利益 14 億円 · PER 17.1 倍 · 株価時価総額 1,652 円254 億円
都心の再開発とホテルの改装が10年途切れず続き、内装の職人を抱える会社に仕事が集まる。日商インターライフは元請けの商環境工事を伸ばし、大阪にも足場を築く。劇場やホールの音響・照明は、古い公共ホールの改修と保守の契約で受注が厚くなる。人手不足で工事の値段は物価を上回って上がり、営業利益率は7.5%と今の最高をさらに上回る。配当性向は5割を超え、小さなM&Aも実を結ぶ。ROEは14%台を保ち、株価は利益の17.14倍まで評価される。ただ、これは職人の不足と再開発の波が10年そろって続く場合に限られる。音響・照明の保守の契約も積み上がり、利益の振れは小さくなる。
- 内装工事:数量 460(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.36(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 167 億円・営業利益 11 億円。完工件数 1.15 倍 × 1 件の工事額 1.45 倍、営業利益率 6.5%
- 音響・照明設備:数量 360(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.30(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 107 億円・営業利益 12 億円。完工件数 1.20 倍 × 1 件の工事額 1.42 倍、営業利益率 11.0%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 17.5% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.1 倍。全体の PER 17.14 倍、時価総額 240 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の「NEXT STAGE 2030」の売上250億円・営業利益20億円を、10年で上回る筋書き。初年度で中計の利益目標を達成した勢いはあるが、7%を超える利益率が10年続いた例は無く、確率は低めにした。
やや楽観 22% いまの稼ぐ力が続く 利益 11 億円 · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 1,277 円196 億円
内装と音響・照明の工事の量は、職人の数に縛られて大きくは増えない。その代わり、採算の良い大型の案件を選んで取れるので、工事の値段は物価を少し上回って上がる。営業利益率は6%前後で落ち着き、過去の1〜2%台には戻らない。保守と清掃の仕事が積み上がり、利益の振れも小さくなる。配当性向5割超の方針は守られ、利益の半分強が株主に戻る。M&Aは小さな買収にとどまり、のれんの負担は軽い。ROEは12%前後で、資本コストを安定して上回る。内装の大手との競争は続くが、下請けの専業の工事では人手を持つ側の強みが残る。株価は利益の12倍ほどで評価される。
- 内装工事:数量 420(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.36(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 150 億円・営業利益 9 億円。完工件数 1.05 倍 × 1 件の工事額 1.42 倍、営業利益率 5.8%
- 音響・照明設備:数量 330(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.29(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 96 億円・営業利益 10 億円。完工件数 1.10 倍 × 1 件の工事額 1.40 倍、営業利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.2% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.4 倍。全体の PER 16.39 倍、時価総額 181 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人手不足の中で選んで受注する形が定着し、利益率が今より少し低い水準で続く筋書き。2025年2月期から2年続けて5%を超えた実績があり、確率を中立の次に置いた。
中立 35% 追い風が細り、利益率は中ほどへ 利益 8 億円 · PER 15.4 倍 · 株価時価総額 951 円146 億円
都心の再開発とインバウンド向けのホテルの工事は、2020年代の後半に山を越える。内装の工事の量は10年で少し減り、元請けの大型案件も今ほどは取れない。それでも人手不足で工事の値段は物価をやや上回って上がり、営業利益率は5.5%と過去の平均を大きく上回る水準で落ち着く。劇場・ホールの音響・照明は、公共施設の改修の波で量を保つ。配当性向は5割を超え、利益の半分強が株主に戻る。ROEは10%ほどで、資本コストをわずかに上回る。利益の山が去っても、事業の入れ替えの効果で過去の1〜2%台の利益率には戻らない。株価は利益の12倍弱で、自己資本をやや上回る。
- 内装工事:数量 380(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.35(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 134 億円・営業利益 7 億円。完工件数 0.95 倍 × 1 件の工事額 1.40 倍、営業利益率 5.0%
- 音響・照明設備:数量 300(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.29(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 86 億円・営業利益 8 億円。完工件数 1.00 倍 × 1 件の工事額 1.38 倍、営業利益率 9.0%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.8% が k 8.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.4 倍。全体の PER 15.4 倍、時価総額 129 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:再開発とホテルの工事の山が過ぎ、利益率が今の最高から少し下がる筋書きを中心に置いた。ここ2年の利益率の改善が本物か、山の一時の利益かの中間をとった。
やや悲観 21% 工事の山が去り、価格の競争に戻る 利益 4 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 349 円54 億円
都心の再開発が一巡し、ホテルや商業施設の改装も先送りが増える。職人の取り合いが落ち着くと、元請けのゼネコンは内装の値段を再び叩き始める。内装の工事の量は2割減り、営業利益率は3%に下がる。音響・照明は公共ホールの予算の制約で受注が細り、利益率は7%に落ちる。全体の営業利益は今の半分になる。配当は利益に合わせて減り、ROEは5%を割る。株価は自己資本の半分ほどまで下がる。職人を抱える固定費が重く、受注の減りが利益を大きく削る。資材の値上がりを元請けに転嫁できず、赤字の案件も出る。配当も利益に合わせて半分ほどに減る。
- 内装工事:数量 320(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.33(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 104 億円・営業利益 3 億円。完工件数 0.80 倍 × 1 件の工事額 1.30 倍、営業利益率 3.0%
- 音響・照明設備:数量 270(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.28(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 74 億円・営業利益 5 億円。完工件数 0.90 倍 × 1 件の工事額 1.32 倍、営業利益率 7.0%
倍率:ROE 5.6% と k を下回り、PER の上限は 1÷k の 11.8 倍。工事の山が去り価格の競争に戻る筋書きなので 9.0 倍に下げた。
確率:建設の投資が細り、職人の取り合いが落ち着いて価格の競争に戻る筋書き。2015〜2023年に営業利益率が1〜2%台だった実績があり、悪い方に振れる余地は大きいとみた。
悲観 12% 下請けの薄利に戻る 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 104 円16 億円
建設の投資が冷え込み、内装の工事は値段だけで選ばれる下請けの仕事に戻る。工事の量は3割以上減り、内装はほぼ利益が出なくなる。音響・照明も受注の奪い合いで利益率が半分になる。営業利益はほぼゼロで、人員と拠点の整理が続く。配当は大きく減る。価値を支えるのは、純現金の一部と土地、手元に残る投資有価証券だけだ。それも人件費の支払いと整理の費用に食われ、株主の手に届くのは帳簿の一部にとどまる。株価は自己資本の2割ほどに沈む。会長側の持株が厚く、外からの再編で価値が表に出る道も狭い。配当も年1億円ほどに細る。
- 内装工事:数量 260(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.31(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 82 億円・営業利益 0 億円。完工件数 0.65 倍 × 1 件の工事額 1.25 倍、営業利益率 0.5%
- 音響・照明設備:数量 225(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.26(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 59 億円・営業利益 2 億円。完工件数 0.75 倍 × 1 件の工事額 1.25 倍、営業利益率 4.0%
倍率:利益はほぼ無く、利益の倍率は使えない。床は純現金の一部、土地と投資有価証券の税後の額(floor_assets_oku)。今の自己資本 46.8 億円に 0.3419 倍を掛けて同じ額。
確率:内装の仕事が下請けの価格の競争に戻り、利益がほぼ消える筋書き。2018年2月期と2019年2月期の赤字があり、構造が元に戻る確率は小さくない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
内装工事
日商インターライフが、オフィス・ホテル・商業施設の下地や仕上げの内装工事を請け負う。専業の下請けの工事と、店舗などの元請けの工事、清掃などのFMを持つ。
| 数量完工する工事の件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの工事額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 400 | 0.25 | 100 | 7 |
| 10 年後 中立 | 380 | 0.35 | 134 | 7 |
取り方:件数は開示が無いので推定。2026年2月期の売上100.5億円を、内装の1件あたりの工事額の目安(約0.25億円)で割り、約400件とした。営業利益はセグメント利益6.53億円。
音響・照明設備
システムエンジニアリングとサンケンシステムが、劇場・ホール・ホテル・放送局の音響と舞台照明の設備を設計・施工し、保守も請け負う。
| 数量完工する工事の件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの工事額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/02 | 300 | 0.21 | 63 | 7 |
| 10 年後 中立 | 300 | 0.29 | 86 | 8 |
取り方:件数は開示が無いので推定。売上62.7億円を、ホール・ホテルの設備の1件あたりの目安(約0.21億円、保守の小口を含む平均)で割り、約300件とした。営業利益はセグメント利益6.82億円。本社費1.69億円は adjust に分けた。
リスクと懸念
利益率の山
2026年2月期の営業利益率7.1%は過去最高で、2015〜2023年は1〜2%台だった。職人の不足で値段が上がる局面と、大型案件の完成が重なった結果で、追い風が弱まれば利益率は大きく戻る。
建設の投資の波
都心の再開発とホテルの改装は、金利や資材の上昇で先送りされることがある。内装の工事の量は、こうした投資の波に左右される。山が去れば受注が細り、職人を抱える固定費が重くなる。
元請けとの力関係
内装の多くはゼネコンの下での工事で、値段は元請けが決める。職人の取り合いが落ち着けば、元請けは再び値段を叩く。下請けの利益率は、過去のように1〜2%台に戻りうる。
人手の確保
職人と技術者の高齢化は、値段を上げる追い風であると同時に、受注できる量の上限でもある。2031年の目標の売上250億円は、今の1.5倍の工事を前提にしており、人が集まらなければ届かない。
公共ホールの予算
音響・照明の需要は、自治体の文化ホールの改修が支える。自治体の財政が厳しくなれば、改修は先送りされる。保守の契約は残るが、大型の更新の受注は振れる。
今後の分かれ目
- 2028年2月期まで営業利益率が6%を保つ
- 利益率の改善が構造的とみて、やや楽観の確率を上げる。
- 内装のセグメント利益率が3%台に落ちる
- 追い風が去ったとみて、やや悲観に寄せる。
- M&Aで音響・照明の会社を買う
- 堀のある側が厚くなるとみて、中立の利益率を見直す。
- 受注残高が2年続けて減る
- 工事の山が過ぎたとみて、中立の数量を下げる。
- 配当性向5割以上を守りながら自社株買いも続ける
- 利益が株主に戻る形が定着したとみて、還元の見込みを上げる。
見ておくもの
- 内装と音響・照明のセグメント利益率
- 受注残高の前年比
- 都心の再開発とホテルの着工の動き
- 配当性向と自社株買い
- 職人と技術者の採用の数
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業のROEと資本コスト8%から決めた。中立はROEがkをわずかに上回るので、下限の1÷kの11.8倍。楽観側は正当化PERの約9割。今のPERやPBR、過去の株価の山は使っていない。中立の利益率は今の最高7.1%と過去の平均の間の5.5%に置き、会社の2031年の目標は楽観の目安にとどめた。悲観は純現金の一部・土地・投資有価証券の税後の額から出した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 13→17.14 倍・やや楽観 PER 12.2→16.39 倍・中立 PER 11.8→15.4 倍)。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。