結論
日本基礎技術は、斜面を守る法面工事、アンカー、地盤注入、重機工事を手がける大阪の専門工事会社だ。受注の9割が特命で、技術が値段を守る。筆者の結論は、今の値段はやや割高である。
2026年3月期の売上は274億円、営業利益は15億円、純利益は17億円。純利益は為替差益と保有株の売却益に支えられた。米国で進むLNG精製基地の地盤改良工事が、売上の1割を超える。
会社が示す中期計画は、2028年度に売上270億円、営業利益19億円、ROE 8%、PBR 1倍だ。売上は減るが利益は伸びる計画で、米国案件の山を越えたあとの稼ぎを見ている。
筆者が見るのは、その後の稼ぎ方だ。国内の公共工事は底堅く、人手不足が値段を押し上げる。中立は営業利益19億円で、計画と並ぶ。しかしROEは5%にとどまる。自己資本の4分の1は、持ち合いの株と現金に置かれている。ためた利益は額面より低い価値しか持たず、自己資本の6割という値段は、安さというより、その事実の反映だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、悪くない会社だが、安いと言い切れない。理由は、稼ぐ力が資本コストに届かないことと、利益の質に一過性が混じることだ。
良い点は、技術が値段を守っていること、財務が堅いこと、株主への還元が増えていることだ。特命が9割で、ゼネコンとの取引も長い。自動機械への投資は、人手不足の時代に正しい方向だ。
気になる点は三つある。第一に、2026年3月期の純利益17億円は、為替差益と保有株の売却益に支えられている。本業の営業利益は15億円で、前期から23%減った。第二に、米国の大型案件が山で、会社自身がその先を不透明と言っている。第三に、自己資本の4分の1が持ち合いの株と現金に置かれ、稼ぎを生んでいない。
安全域は、自己資本の厚さと、持ち合い株という売れる資産にある。ただ、悲観の床まで下がっても、今の値段との差は大きくない。
中立の純利益は15億円、ROE 5%。ためた利益は額面より低い価値しか持たない。筆者は、持ち合い株の売却と自社株買いが本当に進むかを見る。
何で稼ぐ会社か
事業の中身は、地盤と斜面を相手にする専門工事だ。提出会社の2026年3月期の完成工事高196億円のうち、重機工事が29%、法面保護が18%、注入が17%、アンカーが8%、その他土木が15%を占める。
法面工事は、道路や宅地の斜面をコンクリートや鉄筋で固める。アンカーは、地中に鋼材を打って斜面や構造物を支える。注入は、薬液で地盤を固める。重機工事は、大型の機械で杭や地盤改良を行う。ダム基礎や環境保全、維持修繕もある。
発注者は、官公庁が約55%、民間が約45%。売上の約95%が、ゼネコンから請け負う下請工事だ。受注の92.6%は特命で、入札で競り合う仕事は少ない。
別に、地質調査と建設コンサルタントの事業があり、売上は11億円。不動産の賃貸収入も約1億円ある。
海外は米国の子会社JAFEC USAが担う。LNG精製プラント基地の地盤改良工事が続き、主要取引先のベクテル・エナジーが連結売上の15%を占める。前期は29%だった。国内には、子会社のオーケーソイルもある。
連結の従業員は391人と少ない。売上の大半は外注費で、人の手を使いながら、機械を使った省人化を進めている。
優良さと弱いところ
強みは、特殊な工法と、ゼネコンとの長い取引にある。法面・アンカー・注入は、地盤や斜面の状態を見極める経験が要る。入札の価格勝負に出ず、特命で受注するのは、その技術が頼りにされている証拠だ。
財務は堅い。自己資本比率は64%、純有利子負債は17億円にとどまる。営業利益は支払利息の21倍を稼ぐ。機械の購入と自社株買いのため、2026年3月期は借入を使ったが、その規模は小さい。
弱みは三つある。第一に、利益率が低い。過去12年の営業利益率は最高でも6.2%で、赤字の期が5回ある。第二に、売上の95%が下請工事のため、ゼネコンの倒産と値下げ要求の影響を受ける。第三に、米国の大型案件への依存だ。2028年度以降の計画は会社自身も不透明と説明している。
資本効率も低い。過去10年のROEの中央値は2.3%で、資本コストを大きく下回ってきた。持ち合いの株が約59億円あり、自己資本の4分の1が事業の稼ぎに使われていない。
堀は普通と見る。技術は本物だが、ゼネコンへの依存が強く、価格を一方的には決められない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
専門工事の需要は、国土強靱化と老朽化インフラの補修に支えられている。2026年度から5年間で、事業規模約20兆円の強靱化計画が動く。道路橋の6割以上が、2035年に建設後50年を超える。法面や地盤の工事は、この予算の受け皿になる。
人手不足が最大の制約だ。技能労働者は高齢化し、若者の入職は少ない。2024年4月から残業の上限規制も始まった。業界は、取れる仕事を選び、値段を上げる方向に変わった。上場ゼネコンの大半で、粗利率が改善している。
日本基礎技術は、自動ボーリングマシンなど省人化の機械に投資している。2026年3月期は設備投資が14億円と、売上の5%にあたる。機械で人の数を補えれば、人手不足は逆に差別化の武器になる。
国内の公共投資は底堅いが、増えもしない。民間は大型の再開発とデータセンターなどが中心で、専門工事への波及は選別的だ。
海外は米国のLNG基地が山で、2028年度を過ぎると不透明になる。
リーマン級の谷では、民間工事が止まり、公共工事も削られる。この会社も2008年から2012年にかけて、赤字の期を重ねた。
資本政策と M&A
還元は、配当性向30%以上が目標だ。2026年3月期の配当性向は33.5%。自社株買いも6.6億円実行し、配当と合わせて約11億円、純利益の約7割を返した。中期計画では、ROE 8%・PBR 1倍を掲げ、自己株式の取得と、従業員向けの譲渡制限付株式を使う。
政策保有株は、上場分が約59億円、非上場が3億円ほどある。主な銘柄は日本国土開発、大成建設、安藤・間、りそななどだ。日本国土開発は大株主でもあり、持ち合いの関係にある。保有の理由は取引関係の維持で、取締役会が毎期点検している。
大株主は、取引先持株会が14.7%、日本国土開発が5.6%、従業員持株会が4.2%。支配株主はいない。TOBの参考確率は27%だが、筋書きには入れていない。
株主優待は確認できなかった。
機械の購入のため、短期借入を29億円、長期借入を7億円増やした。コミットメントラインは50億円、タームローンは45億円だ。借入は軽いが、金利が3.5%まで上がれば、利息が少しずつ重くなる。減価償却は物価で増やさず、新しい機械の分だけ足す。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
国内の専門工事は、人手不足で値段が上がり続ける。日本基礎技術は特命が92.6%で、技術で値段を守れる。2026年3月期は受注が8%増え、繰越工事高も増えた。会社の中期計画は、2028年度に営業利益19億円を掲げ、売上が減っても利益を伸ばす。
自動ボーリングマシンなどの機械投資で、少ない人で同じ工事ができる。省人化は、人手不足の時代の競争力そのものだ。
米国のLNG基地は、世界のエネルギー投資が続く限り、後続案件がある。ベクテルとの取引で実績を積み、米国の技術需要は国内と共通と会社は説明する。
財務は堅く、ROE 8%・PBR 1倍を掲げて、自社株買いと配当を厚くしている。持ち合いの株の売却も進めば、資本が軽くなる。自己資本の6割の値段で、10年後に営業利益30億円、純利益24億円まで伸びれば、時価総額は今の2倍に近づく。
会社は中期計画で、受注280億円・営業利益19億円を示し、資本効率の改善を約束している。国内の補修需要は10年単位で続くため、利益の下振れは小さいと見る。
慎重な見方
純利益17億円は、為替差益と保有株の売却益に支えられている。本業の営業利益は15億円で、前期から23%減った。第1四半期の経常利益は7.8億円と、通期予想の4割近くを占める。
米国のLNG基地は山にあり、会社自身が2028年度以降は不透明と書く。売上の15%を占める取引先の比率は、前期の29%から15%に下がった。後続の案件が取れなければ、米国の売上は消える。
国内は、売上の95%が下請工事で、ゼネコンの値下げ要求と倒産の影響を受ける。公共工事は約55%で、予算の削減に弱い。過去12年のうち赤字の期が複数あり、営業利益率は最高でも6.2%にとどまる。
ROEは過去10年の中央値が2.3%で、資本コストに届いたことがない。自己資本の4分の1は、持ち合いの株と現金で、稼ぎを生まない。ためた利益は額面の価値がなく、自己資本の6割という値段は、安さではなく妥当な水準だ。
仮に計画どおりに営業利益19億円を稼いでも、ROEは5%にとどまり、資本コスト8.25%に届かない。持ち合い株の売却と自社株買いが進まなければ、値段の差は縮まらない。
どちらに重みを置いたか
技術による値段の保ち方と、財務の堅さは確かだが、米国案件の山と利益率の低さ、ROEが資本コストに届かない構造も同じくらい確かだ。確率は強気8%、やや強気22%、中立38%、やや悲観22%、悲観10%に置いた。
中立の純利益は15億円、ROEは5%で、資本コストに届かない。価値は今の時価総額をやや下回る。強気に寄せなかった点は、確認しておく。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 940 円172 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 362 円66 億円)。 今の値に割り戻すと 669 円122 億円、今との差 −16.0%、 期待の年率 +5.0%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,608 円295 億円 | 546 円100 億円 | +170.7% | +10.5% | 172 円32 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,290 円236 億円 | 491 円90 億円 | +123.9% | +8.4% | 392 円72 億円 |
| 中立 | 38% | 973 円178 億円 | 382 円70 億円 | +70.3% | +5.5% | 515 円94 億円 |
| やや悲観 | 22% | 565 円103 億円 | 273 円50 億円 | +5.2% | +0.5% | 184 円34 億円 |
| 悲観 | 10% | 339 円62 億円 | 44 円8 億円 | −52.0% | −7.1% | 38 円7 億円 |
| 加重平均 | 100% | 940 円172 億円 | 362 円66 億円 | +63.6% | +5.0% | 1,302 円238 億円 |
今の株価時価総額 796 円146 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 8% 自動機械と価格転嫁が効き、営業利益率が7%台に乗る 利益 24 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,608 円295 億円
技能労働者の不足が、専門工事の値段を押し上げる。日本基礎技術は特命での受注が92.6%を占め、技術で値段を守れる。1人あたり完成工事高は名目で1.50倍に上がり、自動ボーリングマシンなど省人化の機械が人員の制約を和らげる。
米国では、LNG精製プラント基地の後続案件を取る。国内は国土強靱化の予算に乗り、営業利益率は7.5%に達する。
売上は398億円、営業利益は30億円、純利益は24億円。ROEは7%で、資本コストにわずかに届かない。
自社株買いと配当を組み合わせ、10年で約100億円を株主に返す。
(名目の前提)国内の人員は1.0倍、1人あたり完成工事高は1.50倍。米国は人員1.0倍、1.34倍。本社費用は1.34倍。減価償却は物価で増やさず、新しい機械の分だけ足す。
- 国内の基礎・斜面工事:数量 330(施工にあたる人員(人・推定))× 価格 0.84(1人あたり完成工事高(億円))→ 売上 277 億円・営業利益 21 億円。数量 1.00倍・単価 1.50倍・営業利益率 7.5%
- 建設コンサル・地質調査:数量 17.6(技術者(人・推定))× 価格 1.00(1人あたり売上(億円))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。数量 1.10倍・単価 1.40倍・営業利益率 10.0%
- 米国・子会社の工事:数量 45.0(社員(人・推定))× 価格 2.31(1人あたり売上(億円))→ 売上 104 億円・営業利益 8 億円。数量 1.00倍・単価 1.34倍・営業利益率 8.0%
倍率:事業の純利益 24 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.3% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 294 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国土強靱化の予算が前倒しで執行され、人手不足が価格を押し上げる。自動機械による省人化で、人員は増やさず売上が伸びる必要がある。米国の後続案件も取れなければならず、三つが重なる確率は低い。同じ領域の強気(7〜10%)に合わせた。
やや楽観 22% 価格転嫁が続き、米国は一部が残って利益が伸びる 利益 20 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,290 円236 億円
国内は価格転嫁が続き、1人あたり完成工事高は1.45倍に上がる。人員は横ばいを保つ。
米国の大型案件は2028年に終わるが、一部の後続案件が残り、米国の売上は今の約0.85倍になる。
売上は373億円、営業利益は24億円、純利益は19.5億円。ROEは6%。
配当は性向を30%以上に保ち、自社株買いも続く。10年で約90億円を返す。
(名目の前提)国内の人員は1.0倍、1人あたり完成工事高は1.45倍。米国は人員0.85倍、1.34倍。本社費用は1.34倍。減価償却は物価で増やさない。
米国の山を越えたあとも、国内の補修需要が営業利益を支える筋書きだ。受注の9割が特命で、値段を守れる点が効く。
- 国内の基礎・斜面工事:数量 330(施工にあたる人員(人・推定))× 価格 0.81(1人あたり完成工事高(億円))→ 売上 268 億円・営業利益 17 億円。数量 1.00倍・単価 1.45倍・営業利益率 6.5%
- 建設コンサル・地質調査:数量 16.8(技術者(人・推定))× 価格 0.99(1人あたり売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。数量 1.05倍・単価 1.38倍・営業利益率 8.0%
- 米国・子会社の工事:数量 38.3(社員(人・推定))× 価格 2.31(1人あたり売上(億円))→ 売上 88 億円・営業利益 6 億円。数量 0.85倍・単価 1.34倍・営業利益率 7.0%
倍率:事業の純利益 20 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.1% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 236 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年3月期に受注が8%増え、繰越工事高も増えた。中期計画も2028年度の営業利益19億円を掲げる。国内は計画どおり、米国は一部が残る形を、強気側の中心に置いた。
中立 38% 国内は物価並みに伸び、米国の大型案件は終わって利益は今の水準 利益 15 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 973 円178 億円
国内の人員は技能労働者の不足で0.98倍にとどまる。一方、1人あたり完成工事高は、価格転嫁と機械化で1.40倍になる。営業利益率は5.5%と、過去12年の最高(6.2%)の下に収まる。
米国は、LNG基地の大型案件が2028年度に区切りを迎え、後続案件が半分しか取れない。米国の売上は今の約0.9倍になる。
売上は341億円、営業利益は19億円、純利益は14.7億円。会社の中期計画(2028年度に売上270億円・営業利益19億円)の利益水準は保つが、売上は米国の山の分だけ上回る。
ROEは5%と、資本コストに届かない。10年で配当と自社株買いの合計は約70億円。
(名目の前提)国内の人員は0.98倍、1人あたり完成工事高は1.40倍。米国は人員0.70倍、1.34倍。本社費用は1.34倍。減価償却は物価で増やさず、機械の更新の分だけ足す。
- 国内の基礎・斜面工事:数量 323(施工にあたる人員(人・推定))× 価格 0.78(1人あたり完成工事高(億円))→ 売上 253 億円・営業利益 14 億円。数量 0.98倍・単価 1.40倍・営業利益率 5.5%
- 建設コンサル・地質調査:数量 16.0(技術者(人・推定))× 価格 0.96(1人あたり売上(億円))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00倍・単価 1.34倍・営業利益率 7.0%
- 米国・子会社の工事:数量 31.5(社員(人・推定))× 価格 2.31(1人あたり売上(億円))→ 売上 73 億円・営業利益 4 億円。数量 0.70倍・単価 1.34倍・営業利益率 6.0%
倍率:事業の純利益 15 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.7% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 178 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内は公共投資が底堅く、受注の9割が特命で価格を守りやすい。米国の大型案件は、2028年度以降が不透明(会社の説明)で、後続は半分しか取れないと見る。この二つの釣り合いが中心の筋書きだ。
やや悲観 22% 公共予算が絞られ、米国の仕事も細って利益が半分になる 利益 9 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 565 円103 億円
公共投資が絞られ、国内の人員は0.9倍に減る。1人あたり完成工事高は、価格競争で名目1.28倍にとどまる。
米国の大型案件は2028年度で終わり、後続はほぼ取れない。米国の売上は今の約0.5倍になる。
売上は265億円、営業利益は11.6億円、純利益は8.6億円。ROEは3%。
配当は性向30%を保つが、自社株買いは止まる。10年で約50億円を返す。
(名目の前提)国内の人員は0.9倍、1人あたり完成工事高は1.28倍。米国は人員0.40倍、1.25倍。本社費用は1.20倍。減価償却は物価で増やさない。
- 国内の基礎・斜面工事:数量 297(施工にあたる人員(人・推定))× 価格 0.72(1人あたり完成工事高(億円))→ 売上 213 億円・営業利益 10 億円。数量 0.90倍・単価 1.28倍・営業利益率 4.5%
- 建設コンサル・地質調査:数量 15.2(技術者(人・推定))× 価格 0.90(1人あたり売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。数量 0.95倍・単価 1.25倍・営業利益率 5.0%
- 米国・子会社の工事:数量 18.0(社員(人・推定))× 価格 2.16(1人あたり売上(億円))→ 売上 39 億円・営業利益 2 億円。数量 0.40倍・単価 1.25倍・営業利益率 4.5%
倍率:ROE は約3%で k 8.25% を大きく下回る。PER の上限 1÷k=12.5 倍の約72%の9.0倍に置いた。利益が薄く、米国の山が引く筋書きのため。
確率:補修を先送りする運用や、米国の後続案件が取れない展開。公共工事は6割近くを占めるため、予算の影響が大きい。同じ領域の悲観側(20〜25%)の下端に置いた。
悲観 10% 公共予算の削減と米国案件の消滅が重なり、利益が消える 利益 −1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 339 円62 億円
公共投資が絞られ、国内の人員は今の0.7倍まで減る。価格競争で、1人あたり完成工事高は名目でも上がらない。
米国の大型案件は2028年度で終わり、後続の案件はない。米国の売上は消える。
売上は137億円まで縮み、営業利益は0.4億円の赤字。10年に設備と保有株の処分損で約45億円の損失が出て、自己資本は約200億円に削られる。
価値の支えは、稼ぐ力でなく、保有株・現金・売れる工事の債権になる。配当は性向を保てず、10年で約8億円にとどまる。
(名目の前提)国内の人員は0.7倍、1人あたり完成工事高は1.00倍。米国は消える。本社費用は1.10倍。減価償却は物価で増やさない。
- 国内の基礎・斜面工事:数量 231(施工にあたる人員(人・推定))× 価格 0.56(1人あたり完成工事高(億円))→ 売上 129 億円・営業利益 0 億円。数量 0.70倍・単価 1.00倍・営業利益率 0.0%
- 建設コンサル・地質調査:数量 11.2(技術者(人・推定))× 価格 0.72(1人あたり売上(億円))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。数量 0.70倍・単価 1.00倍・営業利益率 0.0%
- 米国・子会社の工事:数量 0.0(社員(人・推定))× 価格 1.72(1人あたり売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。数量 0.00倍・単価 1.00倍・営業利益率 0.0%
倍率:稼ぐ力はほぼゼロ。売れる資産の床(floor_assets_oku)をそのまま時価総額に置いた。今の自己資本247億円に対する PBR は約0.25倍。工事の債権や保有株を売り急ぐ筋書きのため、帳簿の自己資本は価値の床にならない。EV÷営業利益は赤字の年のため意味を持たず、参考にとどめる。
確率:補修の先送りが続いて公共投資が細り、米国の大型案件が終わって後続も取れない。過去には赤字の期が2008年3月期・2009年3月期・2011年3月期・2012年3月期・2017年3月期と5回ある。自己資本比率が6割台と厚いため、倒産には至らないが、稼ぐ力は失われる。同じ領域の悲観(8〜12%)に合わせた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
国内の基礎・斜面工事
提出会社の工事。重機工事・法面保護・注入・アンカー・ダム基礎・維持修繕・環境保全などで、官公庁が約55%、民間が約45%。受注の92.6%が特命。
| 数量施工にあたる人員(人・推定) | 価格1人あたり完成工事高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 330 | 0.56 | 184 | 8 |
| 10 年後 中立 | 323 | 0.78 | 253 | 14 |
取り方:提出会社の完成工事高195.95億円から、建設コンサル・地質調査の11.48億円を引いた184.47億円。工事部門の人員を約330人(提出会社346人から事務を除く推定)として割った。1人あたり約0.56億円は、下請の外注費を含む請負金額。営業利益は連結営業利益14.55億円の内訳の推定(開示は連結のみ)。
建設コンサル・地質調査
地質調査、設計、建設コンサルタント。賃貸不動産の収入(約1億円)もここに入る。
| 数量技術者(人・推定) | 価格1人あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 16.0 | 0.72 | 11 | 1 |
| 10 年後 中立 | 16.0 | 0.96 | 15 | 1 |
取り方:売上11.48億円を、建設コンサル等の従業員16人で割った。賃貸不動産の収入1.06億円を含む。営業利益は賃貸分を含めた推定。
米国・子会社の工事
米国のJAFEC USAによるLNG精製プラント基地の地盤改良工事と、国内子会社オーケーソイルの工事。
| 数量社員(人・推定) | 価格1人あたり売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 45.0 | 1.72 | 78 | 6 |
| 10 年後 中立 | 31.5 | 2.31 | 73 | 4 |
取り方:連結売上273.53億円から、提出会社195.95億円を引いた77.6億円(連結調整を含む推定)。主要取引先ベクテル・エナジーの比率は連結の15.3%(約42億円)。社員は連結391人から提出会社346人を引いた約45人。売上の約95%が下請工事のため、1人あたりが大きい。営業利益は推定。
リスクと懸念
米国の大型案件の終了
米国のLNG精製プラント基地の地盤改良工事は、連結売上の15%を占める。中期計画は、2028年度以降の計画が不透明として、売上と受注を減らして置く。後続の案件が取れなければ、米国の売上が消える。為替差益のような営業外の収益も、続かない。
公共投資への依存
国内売上の約55〜57%が公共工事。公共投資が減れば、価格競争で受注と利益が細る。入札や資格審査で不正があれば、営業停止や指名停止の処分を受ける。国土強靱化の予算の執行速度が、国内の数量を左右する。
ゼネコンへの依存と貸倒
売上の約95%が下請工事で、発注元はゼネコンだ。特命が多い一方、値下げ要求や支払い条件を押し付けられる立場にある。発注元の倒産による貸倒のリスクも、有価証券報告書に挙がる。売上債権は2026年3月期に14億円増えた。
人手不足と労務費
技能労働者の不足が深刻で、労務費の上昇は続く。残業の上限規制で、同じ人数ではこなせる工事が減った。機械化で補うが、機械の購入が先に出る。2026年3月期の設備投資は14億円、その後も12億円の機械の購入を予定する。
利益の質と一過性
2026年3月期の純利益は、為替差益や保有株の売却益を含む。営業利益は23%減った。持ち合い株の売却益は、残り玉が減れば続かない。営業利益率は最高でも6.2%で、会社が掲げる7%(2028年度の計画)は一度も届いていない。
施工事故と品質
斜面やダムの工事は、一度の事故や手直しで、採算が大きく崩れる。不採算工事の発生も有価証券報告書に挙がる。品質の問題は信用を直接損ない、特命の受注にも響く。
今後の分かれ目
- 2027年3月期の営業利益が会社予想の18億円を上回る
- 国内の価格転嫁と省人化が進んでいる合図で、やや強気の筋書きに寄る。営業利益率が6%を超えるかが分かれ目になる。
- 米国で、LNG基地の後続案件の受注が発表される
- 2028年度以降の不透明さが晴れる合図で、強気側に寄る。
- 米国の売上が減り、国内の受注が補えない
- 米国の山を越えて穴が開く合図だ。やや悲観の筋書きに寄る。
- 持ち合い株の売却と、自社株買いが実行される
- 中期計画のPBR 1倍が本気で進む合図だ。ためた利益の価値が上がる。
- 国土強靱化の予算が縮小される、または補修の先送りが広がる
- 公共投資の需要が細る合図で、悲観側に寄る。
- 取引先のゼネコンが経営不安に陥る
- 売上債権の貸倒が現実になる合図だ。悲観側に寄る。
見ておくもの
- 受注高と繰越工事高(官公庁と民間の比率)
- 米国の受注残と、ベクテル・エナジー以外の取引先
- 営業利益率(6%台に届くか)
- 自社株買いの実行額、持ち合い株の売却
- 設備投資と省人化機械の稼働
- 公共工事の予算と補修の実施率
倍率と資本コストの決め方
人員と1人あたり完成工事高から利益を積み、倍率は式で置いた。今の市場の評価(PBR 0.6倍・PER 9倍前後)には寄せていない。k は基本7.5%に quality 0.5%(循環+0.25・値決め0・借金0・寿命+0.25)を足した8.0%。同じ領域(特殊土木・インフラ補修)の k 7.8〜8.2%の中ほど。ROEがkを下回る全ての筋書きは、PERの上限1÷k=12.5倍の約7〜9割に置いた。堀は普通と見て、強気側でも上限の約88%にとどめた。減価償却は物価で増やさない。米国の売上は為替を150円で固定した。持ち合い株の配当は利益に入っているため、価値に足していない。新リース会計は、借りて営む資産が少なく、影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→12.12 倍・やや楽観 PER 10→12.12 倍・中立 PER 9→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 0.5% = 8.0%。米国案件の継続や持ち合い株の売却などの個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.00% → 8.25%。