結論
神田通信機は、東京の企業や官公庁に、構内の電話交換機やネットワークを納めて保守する会社だ。三菱電機と日立の特約店で、1947 年の創業になる。近年は、建物の照明を一つの仕組みで操る照明制御にも力を入れる。
筆者の結論は「割高」の入り口だ。手元の現金と政策保有株は時価総額の 7 割近くにあたる。だが本業の柱である構内の交換機は、クラウドの電話に置き換わりつつある。現金の厚さを足しても、縮む本業の稼ぐ力は資本コストに届かず、今の値段を支えきれない。
利益は安定している。2021 年 3 月期から営業利益率は 6〜10% で、赤字は出ていない。配当は自己資本に対する割合(DOE)で決め、毎年増やしている。
分かれ目は照明制御だ。受注は前の期に 2.6 倍になったが、売上はまだ 5 億円で赤字だった。ここが育てば本業の縮みを埋められる。育たなければ、会社は現金を抱えた小さな保守会社になる。筆者は、どちらに転んでも現金が下支えする形と見る。ただその現金が株主に戻る道筋は、まだ細い。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「縮む本業を、厚い現金が支えている事業」だ。10 年後も神田通信機は都内の企業の通信を支えているだろう。ただ中身は、交換機の保守から、移行の工事と照明制御に入れ替わっているはずだ。
株主のものになる利益で見ると、設備がほとんど要らない商売で、営業利益の多くが手元に残る。問題はその使い道だ。現金は 10 年で 5 倍に積み上がったが、事業の伸びには使われていない。
堀、つまり他社がまねできない強みは、顧客との長い付き合いだ。ただ値段を決める力は弱く、特約店の立場は崩れやすい。
床は現金にあるが、今の値段に安全域は無い、と筆者は見る。時価総額の半分近くが純現金で、本業がゆっくり縮んでも床は高い。ただ現金が株主に戻らない限り、その床は帳簿の上にとどまる。オーナーとして持つなら、経営が現金の使い道を示すかどうかを見続けることになる。
何で稼ぐ会社か
売上 68 億円のうち、9 割が情報通信、1 割弱が照明制御だ。不動産の賃貸は 0.6 億円と小さい。
情報通信は、企業の電話交換機、ネットワーク、情報システムの構築と保守だ。三菱電機と日立の特約店として機器を売り、工事をし、保守の契約で毎年の収入を得る。光回線の利用料の収入「かんだ光」も伸びている。営業利益は 5.4 億円で、利益率は 9% 弱だ。
子会社の日神電子は、無線や映像の通信機器の設計、施工、保守を担う。売上は 14 億円ある。
照明制御は、国際規格 DALI を使い、メーカーを選ばずに照明を一つの仕組みで操る。建物の設備と IT をつなぐ「マルチゲートウェイ」も売る。省エネと省人化を求めるビルや工場が客だ。前の期は大型案件の完工で売上が 4 割減り、人員と開発の費用で 1 億円の赤字になった。受注は 10 億円と 2.6 倍に増えた。
顧客は特定の会社に頼らず、中堅の企業から官公庁まで幅広い。工事と保守を一緒に持つので、客との付き合いは長い。
社員は連結で 244 人と小さく、うち 167 人が情報通信、34 人が照明制御で働く。人の数がそのまま工事と保守の量を決める。
優良さと弱いところ
強みは、長い付き合いの顧客と保守の契約だ。一度入れた交換機は 10 年近く使われ、その間の保守と入れ替えの工事が続く。80 年近い歴史で、都内の中堅の企業と官公庁に根を張る。
弱みは本業の縮みだ。企業の電話は、構内の交換機からクラウドの電話と携帯へ移っている。保守の収入はすでに減り始めた。特約店は機器を作らないので、値段を決める力も弱い。
照明制御は伸びしろだが、まだ小さく赤字だ。大手の電機メーカーも同じ市場を狙っており、勝てるかは見えない。
財務は堅い。自己資本比率は 65% で、借金はほとんど無い。自己資本利益率は 6〜9% で、資本コストにわずかに届かない。厚い現金と株が、資本の効率を押し下げている。
経営は 2027 年 3 月期までの中計で「旧来の事業からの転換の土台作り」を掲げる。言い換えれば、本業の縮みを経営自身が認めている。転換の成否は、まだ数字に出ていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
企業の電話は、構内に置く交換機から、ネットの上で動くクラウドの電話へ移っている。在宅勤務の広がりで、この流れは速まった。交換機を売って保守する商売は、ゆっくり細る側にいる。
ただ移行には工事が要る。社内の配線、ネットワーク、無線の整備、セキュリティだ。中堅の企業は自前で IT の人を抱えにくく、工事と保守を任せられる会社を求める。ここは神田通信機の出番になる。
照明制御は伸びる市場だ。国は建物の省エネの基準を年々厳しくしている。人手不足で、ビルの設備を遠くから操る需要も増える。国際規格 DALI は欧州で広く使われ、日本でも大型のビルや工場で採用が増えている。
競争は厳しい。交換機ではメーカー系の販売会社や NTT 系の工事会社と、照明制御では大手の電機メーカーと競う。小さな特約店が勝つには、メーカーを選ばない中立さと、きめ細かな保守が武器になる。
人手不足は追い風にも逆風にもなる。工事の単価は上がるが、技術者を集める費用も上がる。中小の工事会社の廃業が続けば、残った会社に仕事が集まる面もある。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。方針は自己資本に対する配当の割合(DOE)3.5% 以上で、1 年前倒しで達成した。配当の総額は前の期に 1.9 億円で、次の期も増やす。自社株買いの実績は無く、株主優待の開示も見当たらない。
手元の純現金は約 30 億円で、10 年前の 6 億円から積み上がった。政策保有株も 9 銘柄 16 億円持つ。前の期は 12 銘柄を売り、縮める流れにある。
株主は個人の大株主が上位に並び、投資会社の UH Partners と光通信も合わせて 1 割強を持つ。還元を求める声が強まれば、自社株買いや増配に向かう余地がある。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
手元の純現金 30 億円と政策保有株 16 億円で、時価総額の 7 割近くになる。本業の価値は、ほとんど値段に入っていない。
利益は安定している。2021 年 3 月期から営業利益率は 6〜10% で、6 期続けて黒字だ。保守の契約は毎年入り、顧客は特定の会社に頼らない。
照明制御は育ち始めた。受注は前の期に 2.6 倍の 10 億円になった。国の省エネの基準は厳しくなり、メーカーを選ばない DALI の制御は大型のビルで採用が増える。ここが 20 億円の事業になれば、交換機の縮みを埋めて余る。
配当は DOE の方針で毎年増える。投資会社の UH Partners と光通信が株主に入り、還元を求める声は強まる。現金を自社株買いに回せば、株主の取り分は一気に増える。
構内の交換機が減っても、配線、無線、セキュリティの工事は残る。中堅の企業は自前で IT の人を抱えられず、長く付き合う工事会社に頼る。
慎重な見方
本業の交換機は、クラウドの電話に置き換わる。保守の収入はすでに減り始めた。工事も保守も要らない形に移れば、特約店の出番は消える。
照明制御は前の期に 1 億円の赤字だった。大手の電機メーカーも同じ市場を狙い、小さな会社が勝ち残れる保証は無い。受注の伸びは大型案件の波にすぎないかもしれない。
現金は厚いが、使われていない。10 年で 5 倍に積み上がり、自社株買いは一度も無い。経営が現金を株主に戻さないなら、その価値は帳簿の上にとどまる。
自己資本利益率は 6% で、資本コストに届かない。会社の次の期の予想は営業利益 4 億円と、2 期続けて減る。中計の ROE 9% は遠い。
社員の平均年齢は 45 歳に近く、技術者の高齢化も進む。若手を集めて育てる費用は上がり、利益率を削る。個人の大株主が多く、経営に変化を迫る声が通るとも限らない。政策保有株も 16 億円残り、資本の効率をさらに押し下げる。現金と株を除いた本業だけで見れば、稼ぐ力は時価総額の 3 割分ほどしかない。
どちらに重みを置いたか
現金の厚さは慎重な見方も認め、本業の縮みは強気の見方も認める。両方の言い分がほぼ釣り合うので、確率は中立に厚く置き、楽観側を少し厚くした。現金と政策保有株が悲観の床を高く保つためだ。余った現金は戻り方を 0.75 に割り引いた。自社株買いの実績が無く、使い道が示されていないからだ。照明制御が黒字に戻るか、自社株買いが始まれば、強気の見方に寄せる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,471 円79 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,032 円24 億円)。 今の値に割り戻すと 2,265 円52 億円、今との差 −21.9%、 期待の年率 +4.5%(資本コスト 8.3%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 5,992 円137 億円 | 1,389 円32 億円 | +154.5% | +9.8% | 738 円17 億円 |
| やや楽観 | 22% | 4,744 円109 億円 | 1,197 円27 億円 | +104.8% | +7.4% | 1,307 円30 億円 |
| 中立 | 38% | 3,689 円84 億円 | 1,136 円26 億円 | +66.4% | +5.2% | 1,833 円42 億円 |
| やや悲観 | 20% | 1,592 円36 億円 | 817 円19 億円 | −17.0% | −1.8% | 482 円11 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,083 円25 億円 | 349 円8 億円 | −50.6% | −6.8% | 143 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,471 円79 億円 | 1,032 円24 億円 | +55.3% | +4.5% | 4,503 円103 億円 |
今の株価時価総額 2,900 円66 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 10% クラウドの電話と照明制御が育ち、利益率 10% に乗る 利益 9 億円 · PER 14.0 倍 · 株価時価総額 5,992 円137 億円
企業の電話は、構内の交換機からクラウドの電話へ移る。神田通信機はその移行の工事と保守を取り込み、「かんだ光」のような利用料の収入が積み上がる。顧客の数は少し増え、単価は物価を上回る。
照明制御は、国際規格 DALI の物件が大型のビルや工場で広がる。メーカーを選ばない制御という強みが評価され、物件の数は 3 倍になる。省エネと省人化を求める建物の持ち主が、設備と IT をつなぐ仕組みに値を払う。
全社の営業利益率は 10% に乗り、自己資本利益率は資本コストを超える。配当は DOE の方針で増え続け、余った現金の一部は自社株買いに回る。
- 情報通信:数量 6,300(顧客の事業所の数(か所、推定))× 価格 0.01(1 か所あたりの年の売上(億円・名目))→ 売上 91 億円・営業利益 9 億円。数量 今の 1.05 倍 × 単価 今の 1.40 倍、利益率 10.0%
- 照明制御:数量 150(完工した物件の数(件、推定))× 価格 0.14(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。数量 今の 3.00 倍 × 単価 今の 1.40 倍、利益率 10.0%
- 不動産賃貸:数量 3.0(貸している床(千平方メートル、推定))× 価格 0.27(千平方メートルあたりの年の賃料(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量 今の 1.00 倍 × 単価 今の 1.34 倍、利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.5% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.0 倍 + 余った現金(戻り方込み)14 億円。全体の PER 14.02 倍、時価総額 136 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:照明制御の受注は前の期に 2.6 倍になり、2024 年 3 月期には全社の営業利益率 10% を出した。両方がそろえば届くが、確率は低めに置いた。
やや楽観 22% 電話の移行を取り込み、照明制御が利益を出す 利益 7 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 4,744 円109 億円
構内の交換機の保守は細るが、クラウドの電話とネットワークの構築で埋め、情報通信の売上は物価を少し上回って伸びる。三菱電機や日立の特約店として、中堅の企業と官公庁の顧客を保つ。
照明制御は人員と開発への先行投資が実り、物件の数は 2.5 倍になる。赤字は消え、8% の利益率を出す。
全社の営業利益率は 9% 近くになる。配当は DOE 3.5% 以上の方針で増える。政策保有株は少しずつ売られ、配当の原資になる。
自己資本利益率は 8% に届くが、資本コストをわずかに下回る。
純現金はさらに積み上がり、投資会社の株主が還元を求める場面も出てくる。
- 情報通信:数量 6,000(顧客の事業所の数(か所、推定))× 価格 0.01(1 か所あたりの年の売上(億円・名目))→ 売上 85 億円・営業利益 8 億円。数量 今の 1.00 倍 × 単価 今の 1.37 倍、利益率 9.0%
- 照明制御:数量 125(完工した物件の数(件、推定))× 価格 0.13(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。数量 今の 2.50 倍 × 単価 今の 1.37 倍、利益率 8.0%
- 不動産賃貸:数量 3.0(貸している床(千平方メートル、推定))× 価格 0.27(千平方メートルあたりの年の賃料(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量 今の 1.00 倍 × 単価 今の 1.34 倍、利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.1% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)14 億円。全体の PER 13.26 倍、時価総額 106 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:直近 3 期の営業利益率は 6〜10% で、照明制御の受注は伸びている。移行の需要を取り込む形は十分に起きうる。
中立 38% 交換機の保守は細り、照明制御が穴を埋める 利益 6 億円 · PER 12.4 倍 · 株価時価総額 3,689 円84 億円
企業の電話はクラウドへ移り、構内の交換機の保守は年々細る。神田通信機は移行の工事とネットワークで顧客をつなぎ止めるが、顧客の数は 10 年で 5% 減る。単価は物価並みに上がる。
照明制御は物件の数が 2 倍になり、6% の利益率に戻る。ただ全社の売上の 1 割強にとどまり、主役にはならない。
全社の営業利益率は 7% 台後半で、直近の山の 10% には届かない。配当は DOE の方針で増え、利益の半分強を払い出す。手元の現金は積み上がり続けるが、使い道は示されない。自己資本利益率は 7% 前後で、資本コストに届かない。
- 情報通信:数量 5,700(顧客の事業所の数(か所、推定))× 価格 0.01(1 か所あたりの年の売上(億円・名目))→ 売上 79 億円・営業利益 6 億円。数量 今の 0.95 倍 × 単価 今の 1.34 倍、利益率 8.0%
- 照明制御:数量 100(完工した物件の数(件、推定))× 価格 0.13(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。数量 今の 2.00 倍 × 単価 今の 1.34 倍、利益率 6.0%
- 不動産賃貸:数量 3.0(貸している床(千平方メートル、推定))× 価格 0.27(千平方メートルあたりの年の賃料(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量 今の 1.00 倍 × 単価 今の 1.34 倍、利益率 10.0%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)14 億円。全体の PER 12.43 倍、時価総額 82 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:構内の交換機の縮みと、照明制御の伸びが綱引きする、いちばん起きやすい形に厚く置いた。
やや悲観 20% クラウドに客を取られ、利益率が半分に落ちる 利益 3 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 1,592 円36 億円
企業の電話は、工事も保守も要らないクラウドの電話と携帯に置き換わる。通信事業者や大手の IT 会社が直接売り、特約店を通さない。神田通信機の顧客は 2 割減る。
照明制御は大型物件の波が続かず、物件の数は今のままだ。人員の固定費が重く、利益は出ない。
全社の営業利益率は 4% 台に落ちる。配当は DOE の方針で保たれるが、増配は止まる。手元の現金と政策保有株は残り、株主の取り分の床になる。ただ現金の使い道は示されず、谷で一部を食う。
経営は照明制御への投資を続けるが、回収は遅れる。技術者の高齢化で工事の量も保てず、保守の契約の更新で値下げを求められる。
- 情報通信:数量 4,800(顧客の事業所の数(か所、推定))× 価格 0.01(1 か所あたりの年の売上(億円・名目))→ 売上 62 億円・営業利益 3 億円。数量 今の 0.80 倍 × 単価 今の 1.25 倍、利益率 5.0%
- 照明制御:数量 50.0(完工した物件の数(件、推定))× 価格 0.12(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。数量 今の 1.00 倍 × 単価 今の 1.25 倍、利益率 0.0%
- 不動産賃貸:数量 3.0(貸している床(千平方メートル、推定))× 価格 0.25(千平方メートルあたりの年の賃料(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量 今の 1.00 倍 × 単価 今の 1.25 倍、利益率 5.0%
倍率:純利益 2.5 億円の稼ぐ力(利息を除き純利益÷k で約 27 億円)に、余った現金の 0.75 倍(13.5 億円)を戻り方 0.75 で足す。ROE は k を大きく下回り、上限 1÷k の 77% の 9.0 倍。
確率:電話のクラウド化は、工事の要らない形にも進みうる。交換機の保守に頼る会社には現実の分かれ目だ。
悲観 10% 構内の電話が消え、事業が細って現金だけが残る 利益 0 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,083 円25 億円
構内の交換機はほぼ消え、保守の収入も細る。クラウドの電話は通信事業者が直接売り、神田通信機の出番は配線と小さな工事だけになる。顧客は 4 割減る。
照明制御は大手の電機メーカーが自社の規格で押さえ、物件は半分に減る。全社の営業利益はほぼ零になる。
配当は大きく減り、手元の現金と政策保有株が株主の取り分の大半になる。経営は現金を事業の立て直しに使い、株主に戻す動きは遅い。価値は純現金と株の売れる額の床を下回る。
交換機の保守で長年つないできた顧客は、クラウドの電話会社に直接移る。社員の高齢化で技術者も減り、残った事業を回すだけで精一杯になる。
- 情報通信:数量 3,600(顧客の事業所の数(か所、推定))× 価格 0.01(1 か所あたりの年の売上(億円・名目))→ 売上 43 億円・営業利益 0 億円。数量 今の 0.60 倍 × 単価 今の 1.15 倍、利益率 1.0%
- 照明制御:数量 25.0(完工した物件の数(件、推定))× 価格 0.11(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。数量 今の 0.50 倍 × 単価 今の 1.15 倍、利益率 -10.0%
- 不動産賃貸:数量 3.0(貸している床(千平方メートル、推定))× 価格 0.23(千平方メートルあたりの年の賃料(億円・名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。数量 今の 1.00 倍 × 単価 今の 1.15 倍、利益率 0.0%
倍率:営業利益がほぼ零で PER は当てない。売れる資産の床(約 32 億円)を下回る 25 億円を、今の自己資本 63.5 億円に対する PBR 0.39 倍として置いた。現金の使い道は少数株主には決められないため床を下回ってよい。
確率:過去 25 年で赤字は 7 期あり、構内の交換機という本業そのものが縮む。ただ純現金が厚く、悲観の確率は高くしない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
情報通信
企業・官公庁の電話交換機、ネットワーク、情報システムの構築と保守。子会社の日神電子の無線・映像通信を含む。
| 数量顧客の事業所の数(か所、推定) | 価格1 か所あたりの年の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 6,000 | 0.01 | 62 | 5 |
| 10 年後 中立 | 5,700 | 0.01 | 79 | 6 |
取り方:顧客の数は非開示のため、売上 62.3 億円を 1 か所あたり年約 104 万円と見て割り、約 6,000 か所と推定。営業利益 5.39 億円は開示(共通費は配賦済み)。
照明制御
国際規格 DALI による照明制御と、設備と IT をつなぐマルチゲートウェイ。
| 数量完工した物件の数(件、推定) | 価格1 件あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 50.0 | 0.10 | 5 | −1 |
| 10 年後 中立 | 100 | 0.13 | 13 | 1 |
取り方:物件の数は非開示のため、売上 4.9 億円を 1 件約 1,000 万円と見て割り約 50 件と推定。営業損失 0.99 億円は開示。受注は 10.0 億円。
不動産賃貸
持っている建物の賃貸。
| 数量貸している床(千平方メートル、推定) | 価格千平方メートルあたりの年の賃料(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 3.0 | 0.20 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3.0 | 0.27 | 1 | 0 |
取り方:売上 0.6 億円を千平方メートルあたり年 0.2 億円と見て約 3 千平方メートルと推定。営業損失 0.01 億円は開示。
リスクと懸念
構内の交換機の縮み
企業の電話はクラウドと携帯へ移り、構内の交換機の保守は細る。工事も保守も要らない形が広がれば、売上の 9 割を占める情報通信の土台が崩れる。
照明制御の先行投資
人員と開発に先に投じたが、前の期は 1 億円の赤字だった。大型案件の波に左右され、大手の電機メーカーとの競争で勝てる保証は無い。
特約店の立場
三菱電機と日立の機器を売る特約店で、値段を決める力は弱い。メーカーが販売の形を変えれば、取り分が細る。
現金の使い道
純現金は 10 年で 5 倍の 30 億円に積み上がったが、自社株買いは無い。使い道が示されないまま積み上がれば、株主の取り分にならない。
技術者の確保
通信と照明制御の工事には技術者が要る。社員の平均年齢は 45 歳で、若手を集める費用は物価以上に上がりうる。
今後の分かれ目
- 照明制御が 2 期続けて黒字になり、売上が 10 億円を超えたら
- やや楽観の確率を上げる。
- 自社株買いを始めるか、DOE をさらに上げたら
- 余った現金の戻り方を 1.0 に見直す。
- 情報通信の受注が 2 期続けて減ったら
- 交換機の縮みが速まった証拠として、やや悲観の確率を上げる。
- 投資会社の株主が還元や再編を求めたら
- 現金の戻り方と、買収の上振れを見直す。
- 政策保有株の縮減の方針を数字で示したら
- 売却の分を余った現金に足すか検討する。
見ておくもの
- 情報通信の受注と保守の収入
- 照明制御の受注と損益
- 純現金の積み上がりと使い道
- DOE と配当の総額
- 政策保有株の売却
倍率と資本コストの決め方
情報通信は顧客の事業所の数(推定)× 1 か所の年の売上、照明制御は物件の数(推定)× 1 件の売上で積み、数量は実質、単価は名目(中立 1.34 倍)。k は 7.5% + quality 1.0% の 8.5%。中立の ROE は 7% 前後で k に届かず、PER は上限 1÷k の 85%。余った現金 18 億円は利息を除いて PER を掛け、戻り方 0.75 で足した。今の株価・PBR は倍率に使っていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.1→14.02 倍・やや楽観 PER 10.6→13.26 倍・中立 PER 10→12.43 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.0% で 8.5%。通信事業者の大きな工事を持つコムシスやエクシオ(7.5〜8.0%)より、規模が小さく本業の交換機が縮む分だけ高い。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 8.25%。