結論
金下建設は京都府宮津市に本店を置く地場のゼネコンだ。国や京都府の道路・河川の工事と、地元の病院や学校の建物を建てる。筆者の結論は「割高」で、一番の理由は本業がほとんど稼いでいないことにある。
帳簿の上では驚くほど安く見える。現金預金は約89億円、投資有価証券は約84億円あり、合わせると時価総額の2倍を超える。だが2025年12月期の営業利益は1億円に届かない。利益の大半は持ち合いの株の配当と預金の利息だ。
資産は会社の中にある限り、株主の手元には来ない。自社株買いの実績はあるが、還元の方針は数字で示されていない。持ち合いの株は地元の銀行や取引先とのつながりで、売る予定もない。
10年先の値打ちを、稼ぐ力と戻りうる現金で積むと、今の時価総額を下回る。資産の厚さは悪い筋書きの底を支えるが、上へ押し上げる力にはならない。
地元の公共工事を長く担ってきた信用は本物で、借金もない。会社が倒れる心配はまずない。だが倒れないことと、株主が報われることは別だ。資産が戻る道筋が数字で示された時に、見方は大きく変わりうる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「資産は厚いが、事業は弱い」典型だ。現金と株の山は、清算すれば今の値段を大きく上回る。だが会社は清算されない。少数株主は現金の使い道を決められない。
持ち主の目で見て大事なのは、事業がいくら稼ぎ、そのうちいくらが手元に戻るかだ。本業の営業利益は1億円前後で、預金の利息と持ち合いの配当を足してようやく利益が出る。その利益も半分は会社に残る。資本に対する稼ぎは資本コストの4分の1にも届かない。
安全域があるように見えるのは、帳簿の額を値打ちと取り違えた時だけだ。筆者は、資産が株主に戻る具体的な道筋、たとえば大きな自社株買いや持ち合いの売却の方針が示されるまで、この安さを安全域とは呼ばない。
資産の厚さは、悪い筋書きでの下値を支える点では意味がある。だから価値が大きく崩れる心配は小さい。ただ、上に伸びる力も弱い。
何で稼ぐ会社か
売上の9割強が建設だ。2025年12月期は建設が約84億円、残りがアスファルト合材の製造販売、産業廃棄物の中間処理、回転寿司の運営などで約4億円だった。
建設の中身は公共の土木と民間の建築に分かれる。完成した工事の57%は官公庁向けで、国土交通省だけで売上の2割を占める。京都府も1割だ。土木の受注はほぼ全てが競争入札で、値段は発注者が決める。
一方、次の期に繰り越した約97億円の工事は、7割強が民間だ。看護学校の整備を手がける合同会社が売上の1割を占め、大型の建物の仕事が続く。建築の受注の4割は入札でなく指名で、地元での信用が効いている。
地盤は宮津・舞鶴などの京都北部から京都市、兵庫に広がる。社員は連結で171人、平均年齢は48.5歳だ。施工は協力会社に頼り、本社の管理の費用が利益を大きく食う。建設の部門の利益は6.5億円あったが、全社の営業利益は1億円に縮んだ。
本業のほかに、預金と持ち合いの株からの収入がある。2025年12月期は営業利益1億円に対し、経常利益は3億円を超えた。差の大半は株の配当と預金の利息だ。土地の一部は貸しており、その賃料も入る。
優良さと弱いところ
強みは地元の公共工事での実績と、借金のない財務だ。国の出先や京都府の工事を長く続けてきた会社は、入札の資格や技術者の数で地元の新顔より有利に立つ。自己資本比率は8割を超え、倒れる心配はまずない。
弱みは稼ぐ力そのものだ。過去12年の営業利益率は高い年でも6%弱、中央値は2%台だ。ROEは2%にも届かない年が続く。資本の大半が現金と株で寝ており、事業に使われていない。
値決めの力も弱い。土木は入札で、建築も地元の同業と値段を比べられる。地盤の京都北部は人口の減りが速く、仕事の量は細っていく。現金を抱えたまま稼がない資本は、帳簿の額ほどの値打ちを持たない。
経営は堅実だが、資本の使い方は受け身だ。自己株は買ってきたものの、現金の厚さに比べれば規模は小さい。稼げない資本を減らすか、稼ぐ事業に回すか。そのどちらにも踏み出していない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
地方の建設市場には、追い風と向かい風が同時に吹いている。追い風は国土強靱化だ。国は2026年度から5年で約20兆円強を投じ、古くなった道路や橋、堤防の更新を進める。京都北部は台風や豪雨の被害が多く、国の河川や道路の工事は続く。
向かい風は人口と人手だ。丹後や中丹の地域は人口が年1%前後のペースで減り、民間の建物の需要は細る。2024年の残業の規制のあとは、技能者の不足が構造になった。業界全体では仕事を選び、資材と労務費の上昇を値段に乗せる流れが定着しつつある。
競合は京都府内の地場ゼネコンと、大手・準大手の京都の支店だ。小さな公共工事では地元の中小と、大型の建物では大手と争う。後継者のいない地元の業者は減っており、残った会社に仕事が寄る面もある。
筆者は、この会社の仕事の量は10年で実質1割ほど減ると見る。値段は物価並みに上がるが、管理の費用も同じく上がり、利益率は大きく変わらない。
舗装と合材の仕事も道路の補修の量に連動する。強靱化の予算は下支えになるが、地方の自治体の財政は細っていく。人手の不足は、地元の業者の数をさらに減らしていく。
資本政策と M&A
1株あたりの配当は何年も同じ額で変わらない。2025年12月期の配当の総額は約1億円で、利益の半分弱にあたる。2025年2月には発行済みの約3%を上限に自己株を買うと決めた。発行済みの株の45%がすでに自己株で、過去に大きく買い戻してきたことがわかる。
一方、資本コストや株価を意識した経営の数値目標は見当たらない。中期計画の数値もない。持ち合いの株は京都フィナンシャルグループ、ライト工業、ニチレキグループなど8銘柄で、帳簿で約58億円ある。売る方針は示していない。
大株主は上原成商事が約9%、みずほ銀行と京都銀行がそれぞれ5%弱だ。支配する株主はいない。PBRが0.4倍を下回る水準は、物を言う株主の標的になりうる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
時価総額は約74億円だが、現金預金だけで89億円ある。投資有価証券を足せば170億円を超える。借金はほぼゼロだ。事業の価値をゼロと見ても、今の値段は現金を下回る。どれほど悪い筋書きでも、ここから資産が消えることはない。
会社は株主に背を向けてもいない。発行済みの45%を自己株として買い戻してきた実績があり、2025年にも自社株買いを決めた。配当も利益の半分を出す。東証が資本コストを意識した経営を求める中で、PBR0.4倍を放置し続けるのは難しい。物を言う株主が入れば、大きな還元や持ち合いの売却に動く公算は高い。
本業にも追い風がある。国土強靱化で国の河川と道路の工事は続き、繰越の工事は約97億円と厚い。金利が上がれば、厚い預金の利息だけで利益は大きく増える。地元の業者が減るほど、財務の堅い会社に仕事が回る。
持ち合いの株も、京都フィナンシャルグループなど値上がりした銘柄が多い。売れば数十億円の現金になる。
慎重な見方
現金が厚いことと、株主が報われることは別の話だ。会社は数十年この資産を抱えてきたが、本業の利益率は2%台に張り付いたままだ。資本に対する稼ぎは1〜2%で、資本コストに遠く届かない。この資本が稼ぐようになる道筋は見えない。
持ち合いの約58億円の株は、地元の銀行や取引先とのつながりで持っている。売る方針は無く、配当の2%前後しか株主のものにならない。自己株は買ってきたが、還元の数値目標はない。支配する株主がいないのに、物を言う株主もこの十数年現れていない。
本業の先行きも明るくない。京都北部の人口は減り、民間の仕事は細る。国の工事は入札で、値段は発注者が握る。本社の管理の費用は物価とともに上がり、建設の部門の稼ぎを食い続ける。受注は2025年に3割近く減った。仕事の量が細れば、営業利益は赤字に沈む。
帳簿の資産で安く見える会社は、いつまでも安いままのことが多い。受注の減少と資本の寝かせ方の両方が変わらない限り、安さは続く。
どちらに重みを置いたか
資産の厚さは事実だが、それが株主に戻る仕組みが弱いという指摘の方が強い。本業がほぼ稼がない以上、価値の大半は現金がどれだけ戻るかで決まる。確率はやや悲観の側に寄せ、還元が大きく動く楽観は低めにした。資産が悪い筋書きの底を支える点は認め、悲観でも価値は大きく崩れない。資産が戻る具体的な動きが出るまでは、厚い資産を割り引いて見るのが妥当だ。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/12 期)
確率で加重した株価時価総額 4,094 円86 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 921 円19 億円)。 今の値に割り戻すと 2,375 円50 億円、今との差 −30.8%、 期待の年率 +3.9%(資本コスト 8.8%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 6,048 円127 億円 | 1,425 円30 億円 | +117.9% | +8.1% | 598 円13 億円 |
| やや楽観 | 20% | 5,397 円114 億円 | 1,188 円25 億円 | +92.0% | +6.7% | 1,317 円28 億円 |
| 中立 | 38% | 4,575 円96 億円 | 950 円20 億円 | +61.1% | +4.9% | 2,100 円44 億円 |
| やや悲観 | 22% | 2,461 円52 億円 | 713 円15 億円 | −7.5% | −0.8% | 698 円15 億円 |
| 悲観 | 12% | 2,090 円44 億円 | 428 円9 億円 | −26.6% | −3.0% | 302 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,094 円86 億円 | 921 円19 億円 | +46.2% | +3.9% | 5,015 円106 億円 |
今の株価時価総額 3,430 円72 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.8% を下回るほど割高。
楽観 8% 還元が動き、本業も強靱化の波に乗る 利益 7 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 6,048 円127 億円
国土強靱化の工事が京都北部でも続き、仕事の量は今の水準を保つ。人手不足で地元の業者が減り、残った会社は値段を選べるようになる。建設の部門の利益率は11%に上がり、本社の費用を引いても営業利益は5億円を超える。預金の利息と持ち合いの配当を足すと、純利益は今の3倍近くになる。
PBRの低さに目を付けた株主が還元を求め、会社は自社株買いを続ける。それでも資本に対する稼ぎは資本コストに届かない。厚い資本は守りにはなるが、稼ぐ力を大きく上げるには至らない。
持ち合いの株も一部を売り、その現金を還元に回す。資産は少しずつ株主の手元に戻り始める。
- 建設:数量 120(完成した工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.98(1件あたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 117 億円・営業利益 13 億円。件数 横ばい・単価 1.40 倍・利益率 11%
- 製造・販売等:数量 40.0(アスファルト合材などの販売量(千トン・年、推定))× 価格 0.16(1千トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 2 億円。量 横ばい・利益率 25%
倍率:事業のROEは約3%でk 8.75%を大きく下回り、ためた利益は額面未満の価値なのでPERの上限は1÷k=11.41倍。楽観なので上限の10割。余った現金80億円は戻り方0.75で足した。
確率:大きな還元と本業の利益率の改善が重なる筋書き。過去12年で営業利益率5%を超えたのは一度だけなので8%。
やや楽観 20% 値段の転嫁が定着し、利益率が一段上がる 利益 6 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 5,397 円114 億円
人口減で仕事の量は1割弱減るが、資材と労務費の上昇を値段に乗せられるようになる。建設の部門の利益率は10%台に乗り、本社の費用の上昇を吸収する。営業利益は4億円前後に戻る。
金利が上がり、厚い預金の利息が利益を押し上げる。配当は今の水準から少しずつ増え、自社株買いも時々行う。現金は大きくは減らないが、積み上がりもしない。資本に対する稼ぎは3%弱にとどまり、帳簿の価値に見合う稼ぎにはならない。
株主から見れば、悪くはないが心は躍らない姿だ。会社は堅いまま、ゆっくりと年を重ねる。繰越の工事が切れ目なく続き、利益の振れも今より小さくなる。
- 建設:数量 114(完成した工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.96(1件あたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 109 億円・営業利益 11 億円。件数 0.95 倍・単価 1.37 倍・利益率 10.5%
- 製造・販売等:数量 38.0(アスファルト合材などの販売量(千トン・年、推定))× 価格 0.15(1千トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。量 0.95 倍・利益率 22%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.6% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)60 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 114 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業界全体の値段の転嫁の流れに乗る筋書き。繰越の工事が厚く、受注の底は見えているので20%。
中立 38% 資産は厚いまま、本業はほぼ稼がない 利益 4 億円 · PER 11.4 倍 · 株価時価総額 4,575 円96 億円
京都北部の人口減で、仕事の量は10年で1割減る。国の河川と道路の工事が下支えし、値段は物価並みに上がる。建設の部門の利益率は9%台を保つが、本社の費用も物価とともに膨らみ、営業利益は2億円弱にとどまる。
利益の柱は預金の利息と持ち合いの配当だ。純利益は4億円台になるが、その7割は本業以外から来る。配当は利益の半分ほどで続き、残りは会社に残る。現金と株は厚いまま、株主にとっての値打ちは帳簿の額を大きく下回る。
倒れる心配はないが、株主の手取りは配当だけで、資産の多くは会社の中で眠り続ける。物を言う株主も現れず、資本の使い方は今と変わらない。
- 建設:数量 108(完成した工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.94(1件あたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 101 億円・営業利益 10 億円。件数 0.9 倍・単価 1.34 倍・利益率 9.5%
- 製造・販売等:数量 36.0(アスファルト合材などの販売量(千トン・年、推定))× 価格 0.15(1千トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。量 0.9 倍・利益率 20%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 2.5% が k 8.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)60 億円。全体の PER 11.43 倍、時価総額 96 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去12年の利益率の中央値に近い姿が続く中心の筋書き。
やや悲観 22% 受注が細り、本業は赤字に沈む 利益 2 億円 · PER 7.1 倍 · 株価時価総額 2,461 円52 億円
大型の建物の仕事が一巡し、民間の受注が細る。国の工事も入札で地元の同業と値段を削り合う。仕事の量は今の4分の3に落ち、値段は物価に届かない。本社の費用は少し削るが、営業損益は赤字になる。
利息と配当が赤字を埋め、最終の利益はかろうじて黒字に残る。配当は細り、現金の一部は赤字の穴埋めに消える。会社は資産を抱えたまま、縮む地盤で仕事を探し続ける。
持ち合いの株の配当も、地元の銀行の業績しだいで細る。資本に対する稼ぎはほぼゼロに近づく。本社の人員を減らしても、固定の費用は売上ほど縮まない。自己株の買い戻しも止まる。
- 建設:数量 90.0(完成した工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.87(1件あたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 79 億円・営業利益 6 億円。件数 0.75 倍・単価 1.25 倍・利益率 7.5%
- 製造・販売等:数量 32.0(アスファルト合材などの販売量(千トン・年、推定))× 価格 0.14(1千トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。量 0.8 倍・利益率 15%
倍率:本業は赤字で、利益は利息と配当だけ。稼ぐ力の弱い筋書きなので上限10.8倍の6割の7.05倍。余った現金は谷で使う分を引いた60億円を戻り方0.75で足した。
確率:2025年に受注が3割近く減り、2021年に営業赤字の年もあるので、やや悲観を楽観側より厚くして22%。
悲観 12% 地盤が縮み、赤字が続いて資産を食う 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 2,090 円44 億円
京都北部の民間の需要が細り、国の工事も入札で値段を削られる。仕事の量は今の6割に落ちる。協力会社も職人の引退で細り、受注できる工事が減る。本社の費用は重く、営業赤字が毎年続く。
利息と配当では赤字を埋めきれず、現金は少しずつ減る。会社は清算されず、資産は帳簿に残ったまま株主には戻らない。値打ちは、手元の現金と持ち合いの株のうち、株主に戻りうる分だけになる。
帳簿の自己資本は厚く見えても、稼げない資本の値打ちは小さい。株主の手取りは細い配当だけになる。協力会社の職人も減り、取れる工事の上限が下がっていく。
- 建設:数量 72.0(完成した工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.80(1件あたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 58 億円・営業利益 2 億円。件数 0.6 倍・単価 1.15 倍・利益率 4%
- 製造・販売等:数量 28.0(アスファルト合材などの販売量(千トン・年、推定))× 価格 0.13(1千トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。量 0.7 倍・利益率 5%
倍率:赤字が続くのでPERは当てない。価値は床の資産(戻りうる現金と株の税後)44億円で決まる。今の自己資本194億円に対して0.23倍。
確率:京都北部の建設需要が人口減で構造的に縮む負け筋。過去に営業赤字の期が4回あるので12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建設
国・京都府の土木工事と、地元の病院・学校・福祉施設などの建築工事。
| 数量完成した工事の件数(件・年、推定) | 価格1件あたりの完成工事高(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 120 | 0.70 | 84 | 7 |
| 10 年後 中立 | 108 | 0.94 | 101 | 10 |
取り方:件数は開示が無いので推定。建設の売上83.91億円を、地方の公共土木と中規模の建物の平均を1件0.7億円前後とみて約120件とした。利益は建設のセグメント利益(本社費を引く前)。
製造・販売等
アスファルト合材の製造販売、産業廃棄物の中間処理、回転寿司の運営など。
| 数量アスファルト合材などの販売量(千トン・年、推定) | 価格1千トンあたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/12 | 40.0 | 0.11 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 36.0 | 0.15 | 5 | 1 |
取り方:量は推定。外部向けの売上4.46億円を、合材の単価1トン1.1万円前後とみて約4万トン相当とした。利益は前の期から7割減っており、振れが大きい。
リスクと懸念
本業の利益の薄さ
過去12年の営業利益率の中央値は2%台で、本社の費用が建設の部門の利益の大半を食う。受注が少し減るだけで営業赤字に転じる。
資産が株主に戻らない
現金と株は時価総額の2倍を超えるが、還元の数値目標はない。会社が資産を抱え続ければ、株主にとっての値打ちは帳簿の額を大きく下回る。
受注の減少
2025年12月期の受注は前の期より3割近く減った。大型の建物の仕事が一巡したあと、次の柱が見つからなければ売上は細る。
地盤の人口減
京都北部は人口の減りが速く、民間の建物の需要は細っていく。国の工事も入札で、値段は発注者が握る。
持ち合いの株の値下がり
京都フィナンシャルグループなど8銘柄で約58億円を持つ。株の値下がりは自己資本を減らし、配当の減額は利益を直接削る。
今後の分かれ目
- 大きな自社株買いや持ち合いの株の売却の方針を数字で示したら
- 資産が株主に戻る確かさが増し、戻り方を上げて価値を見直す。
- 物を言う株主が大株主に入ったら
- 還元や持ち合いの解消が進む公算が高まり、楽観側に重みを移す。
- 受注が2年続けて100億円を超えたら
- 本業の量が保たれたと見て、やや楽観に近づく。
- 営業赤字が2年続いたら
- 本社の費用の重さが構造になったと見て、悲観側の確率を上げる。
- 近隣の地場ゼネコンを買収したら
- 払った値段と地盤の広がりを見る。現金の使い道としては悪くない。
見ておくもの
- 受注工事高と次期繰越工事高
- 建設のセグメント利益と本社の費用
- 自社株買いと配当の方針
- 持ち合いの株の売却
- 国土交通省と京都府の発注額
倍率と資本コストの決め方
建設は件数(推定)×1件の単価、製造・販売等は合材の量(推定)で積み、本社の費用は物価で1.34倍にした。ROEはどの筋書きも1〜3%でk 8.75%を大きく下回るので、PERは1÷kの10.8倍を上限に利益の質で置いた。持ち合いの株は配当を利益に残したので余った資産には足さず、清算の値打ちは悲観の床だけに使った。今の株価・PER・PBRは見ていない。帳簿の資産が厚くても割高と出るのは、本業が稼がず資産が戻る道が細いためだ。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.8→11.41 倍・やや楽観 PER 9.7→11.43 倍・中立 PER 8.65→11.43 倍・やや悲観 PER 6.5→7.05 倍)。
資本コスト 8.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% + quality 1.75%。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 9.25% → 8.75%。