結論
大盛工業は、東京都の上下水道管の工事を主に請け負う中堅の土木会社だ。筆者の結論は「割高」で、いちばんの理由は資本コストに届かない稼ぐ力にある。
需要の芯は強い。都内の下水道管の多くは高度成長期に埋められ、更新の時期を迎えた。2025年の八潮市の道路陥没で、更新を急ぐ空気も強まった。2026年7月期の売上は25%増え、営業利益率は10%前後と過去の平均を大きく上回った。
だが仕事の多くは入札で決まり、値段を自ら決める力は弱い。過去10年のROEの中央値は5.8%で、資本コストを下回ってきた。来期の会社予想も減収減益だ。筆者は、工事の量は保つが、利益率は過去の平均より少し上に落ち着くと見る。その前提では、10年の価値は今の値段を大きく下回る。今の株価は、最近の好調が長く続く方に寄っている。
OLY工法という小さな技術の強みはある。ただ、それが入札の値段を変えるほどの力になるかは、まだ数字で見えていない。筆者はそこを見極めるまで、評価を上げない。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「需要は確かだが、取り分が薄い」事業だ。都内の下水道管は確実に古くなり、誰かが更新しなければならない。10年後もこの仕事は残る。そこは安心できる。
だが株主のものになる利益は大きくない。入札で決まる仕事は、良い年も悪い年も、発注の側が値段の上限を握る。過去10年、資本コストを超えて稼いだ年はほとんど無い。最近の好調は、大型の工事の重なりと人手不足による値上がりの追い風だ。
安全域も薄い。今の値段は利益の十数倍で、利益率の改善が長く続く前提に近い。筆者は、OLY工法という技術の強みを評価しつつ、払う値段に見合う稼ぐ力はまだ見えないと考える。持ち続けたいと思える条件は、ROEが2桁を数年保つことだ。
それが見えれば、OLY工法と都の実績は小さな堀として評価を変えうる。今はまだ、最近の追い風を割り引いて見るべき段階だ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は建設事業で、売上の8割を占める。東京都の下水道局などから、上下水道管を新しく埋める工事、古い管を取り替える工事、管を内側から補強する工事を請け負う。工事は入札で取り、完成した分が売上になる。
強みは、自社で開発したOLY工法だ。下水道の管を地中で押し進める工事には、出発と到着の立坑と呼ぶ縦穴が要る。OLY工法はその立坑を小さく、早く掘れる。道の狭い都内の住宅地で使いやすく、延べ5,000を超える現場で使われた。機材は自社の工事に使うほか、他社にも貸す。これがOLY事業で、鉄骨の加工も行う。
ほかに、不動産の売買と賃貸、通信回線の保守の事業を持つ。不動産は物件ごとに利益が振れ、通信の保守は小さいが安定している。
2026年7月期には子会社の港シビルを連結から外し、その売却益で純利益が膨らんだ。本業の純利益は5億円台とみるのが妥当だ。
お金の流れは素直だ。工事の代金は完成の時期に入り、大きな設備投資は要らない。借入は主に不動産とOLYの機材の見合いで、営業のお金で少しずつ返している。株主に回せる利益は、純利益に近い。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、半分だけある。OLY工法と都内の下水道工事の長い実績は、狭い道での工事の段取りや、下水道局との信頼の形で積み上がっている。新しい会社がすぐに追いつけるものではない。
だが値段を決める力は弱い。公共の土木は入札で、予定の価格の中で競う。人手不足で落札の値段は上がったが、人件費と資材も上がる。利益率の改善が10年続く保証は無い。
資本効率は物足りない。過去10年のROEの中央値は5.8%で、資本コストの8.5%を下回る。2026年7月期の11%は、大型の工事の重なりと売却益による。客が東京都にかたよる点も、強みであると同時に弱みだ。都の発注の方式が変われば、受注が大きく動く。
経営は事業を絞る方向に動いている。子会社を手放し、配当を少しずつ増やした。ただ、資本コストを意識した目標の数字は示しておらず、資本の使い方の巧拙はまだ判断しにくい。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
下水道の更新は、10年以上続く確かな需要だ。全国の下水道管は約49万キロあり、標準の耐用年数50年を超えた管は2040年代に大きく増える。2025年1月の埼玉県八潮市の道路陥没は、古い下水道管の破損が原因とされ、国は全国の大きな管の点検を急がせた。東京都も更新の計画を前倒ししている。国土強靱化の実施中期計画も、上下水道の老朽化への備えに厚い予算を付けた。
一方で、担い手は細る。土木の技術者と作業員は高齢化し、2024年からは時間外労働の上限も建設業に適用された。工事の量に対して人が足りないので、落札の値段は上がりやすい。ただ、受けられる工事の量の上限にもなる。
競う相手は、都内の下水道工事を手がける中堅の土木会社と、推進工法の専門の会社だ。大きな工事は準大手のゼネコンも狙う。発注の側が工区を大きくまとめれば、中堅の会社は下請けに回りやすい。筆者は、需要は太いが、利益の取り分は入札の仕組みで抑えられると見る。
10年の数量で見れば、更新の工事の件数は横ばいからやや増えるが、担い手の数が先に減る。値段は物価並みに上がるとみるのが中心だ。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。2026年7月期は配当を少し増やし、配当性向は3割強だった。来期の予想では、利益が減っても配当を据え置くので、性向は4割強に上がる。自社株買いの実績は乏しい。
過去には増資や新株予約権の行使で株数が増えた期が何度もあり、株主の取り分が薄まってきた。2026年7月期には子会社の港シビルを手放し、事業を絞った。借入は約38億円で、手元の現金と比べると純負債は10億円ほどだ。不動産と機材の見合いで、重くはない。
M&Aで大きく攻める会社ではなく、事業を絞って配当を守る姿勢が続くとみる。外からの買収は、時価総額が小さく下水道の実績を欲しい準大手には手ごろだが、具体的な動きは見えない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
下水道の更新は、これから20年続く国の大仕事だ。八潮市の陥没の後、国も東京都も予算を厚くした。都内の下水道工事を長く担ってきた大盛工業は、その中心にいる。2026年7月期の売上は25%増え、営業利益は過去最高を更新した。
OLY工法は、狭い道で小さな立坑を早く掘れる独自の技術だ。延べ5,000を超える現場の実績があり、機材のリースで他社の工事からも稼げる。人手不足の時代には、少ない人数で工事を進められる工法の価値が上がる。
技術者の不足は、入札の競争を和らげる。受けられる会社が減れば、落札の値段は上がる。子会社を手放して事業を絞り、配当も増やした。今のPERは十数倍で、成長が続くなら高くない。
都内の下水道管は総延長が長く、更新は何十年もかかる。仕事が途切れる心配はほぼ無い。実績を積んだ会社ほど、発注の側も工事を任せやすい。少ない人数で回せる工法を持つ会社の価値は、人手不足が進むほど上がる。
慎重な見方
過去10年のROEの中央値は5.8%で、資本コストに届いていない。2026年7月期の好調は、大型の工事の完成が重なったことと子会社の売却益による。来期の会社予想は減収減益で、すでに反動が見えている。
仕事は入札で取る公共の土木だ。値段の上限は発注の側が握り、人件費と資材が上がれば利益率は削られる。客が東京都にかたより、発注の方式が変われば受注は大きく動く。工区を大きくまとめる流れが進めば、中堅の会社は下請けに回る。
過去には増資で株数が増えた期が何度もあり、株主の取り分は薄まってきた。2009〜2012年には赤字が続いた。今の値段は、最近の利益率が10年続く前提に近い。
OLY工法も特許で守られた独占ではなく、似た小さな立坑の工法は他社にもある。需要が太いことと、この会社が厚い利益を取れることは別の話だ。人手不足は量の上限にもなり、受けられる仕事を増やせなければ利益は伸びない。株主の取り分を増やす仕組みも、まだ示されていない。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方がやや強い。下水道の更新の需要は確かだが、入札の仕事で利益の取り分は抑えられ、過去10年のROEは資本コストに届かなかった。確率は中立を中心に、やや楽観を少し厚くした。それでも10年の価値は今の値段を大きく下回る。需要の強さと株主の取り分は別の話だ。ROEが2桁を数年保てば、見方を変える余地はある。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/07 期)
確率で加重した株価時価総額 380 円71 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 116 円22 億円)。 今の値に割り戻すと 245 円46 億円、今との差 −39.4%、 期待の年率 +2.0%(資本コスト 8.5%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 590 円110 億円 | 156 円29 億円 | +84.2% | +6.3% | 75 円14 億円 |
| やや楽観 | 22% | 481 円90 億円 | 137 円26 億円 | +52.6% | +4.3% | 136 円25 億円 |
| 中立 | 36% | 421 円79 億円 | 120 円23 億円 | +33.7% | +2.9% | 195 円36 億円 |
| やや悲観 | 20% | 237 円44 億円 | 104 円19 億円 | −15.9% | −1.7% | 68 円13 億円 |
| 悲観 | 12% | 134 円25 億円 | 53 円10 億円 | −53.8% | −7.4% | 22 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 380 円71 億円 | 116 円22 億円 | +22.5% | +2.0% | 496 円93 億円 |
今の株価時価総額 405 円76 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 10% 下水道の更新の波に乗る 利益 9 億円 · PER 11.9 倍 · 株価時価総額 590 円110 億円
埼玉県八潮市の道路陥没をきっかけに、国は老朽化した下水道管の更新を急ぐ。東京都の下水道局も、管の取り替えと補強の発注を増やす。大盛工業は都内の下水道工事の実績と、小さな立坑を掘るOLY工法を武器に、受注を1割強増やす。人手不足で入札の競争は和らぎ、工事の値段は物価を上回って上がる。OLY工法の機材のリースも、他社の現場に広がる。全社の営業利益率は10%を超え、ROEは9%台に届く。ただ資本コストをわずかに上回る程度で、株価は利益の11倍ほどにとどまる。配当は利益の4割を払い続け、10年で約30億円が株主に戻る。
- 建設事業:数量 150(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.70(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 105 億円・営業利益 10 億円。数量 1.15 倍 × 単価 1.42 倍、営業利益率 9.5%
- 不動産事業:数量 22.0(売買・賃貸の物件数(件・年、推定))× 価格 0.42(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 2 億円。数量 1.10 倍 × 単価 1.40 倍、営業利益率 17.0%
- OLY事業:数量 363(OLY工法の機材を貸す現場の数(現場・年、推定))× 価格 0.03(1 現場あたりの売上(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。数量 1.25 倍 × 単価 1.38 倍、営業利益率 17.0%
- 通信関連事業:数量 165(保守の契約の件数(件、推定))× 価格 0.04(1 件あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。数量 1.10 倍 × 単価 1.34 倍、営業利益率 17.0%
倍率:事業の純利益 9 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.7% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.9 倍。全体の PER 11.87 倍、時価総額 110 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2025年の八潮の道路陥没の後、下水道管の点検と更新に国と都の予算が厚く付く筋書き。東京都の工事を長く受けてきた実績はあるが、技術者の数が工事の量の上限になるので確率は低めにした。
やや楽観 22% 都の発注が太く続く 利益 8 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 481 円90 億円
東京都の下水道の管の多くは、高度成長期に埋められ、更新の時期を迎えている。都の発注は今の水準で10年続き、大盛工業の工事の量はわずかに増える。工事の値段は人手不足で物価をやや上回って上がるが、人件費と資材も同じく上がり、利益率は8%台に落ち着く。OLY工法の機材のリースと鉄骨の加工は、他社の現場での採用が少しずつ広がる。通信回線の保守も、安定した稼ぎとして残る。配当は利益の4割ほどを払い続ける。ROEは7%台で、資本コストにわずかに届かない。株価は利益の10倍台で、自己資本をやや下回る。都の発注に頼る形は変わらず、利益の振れも残る。
- 建設事業:数量 137(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.68(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 93 億円・営業利益 8 億円。数量 1.05 倍 × 単価 1.38 倍、営業利益率 8.5%
- 不動産事業:数量 20.0(売買・賃貸の物件数(件・年、推定))× 価格 0.41(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00 倍 × 単価 1.36 倍、営業利益率 16.0%
- OLY事業:数量 319(OLY工法の機材を貸す現場の数(現場・年、推定))× 価格 0.03(1 現場あたりの売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。数量 1.10 倍 × 単価 1.36 倍、営業利益率 16.0%
- 通信関連事業:数量 158(保守の契約の件数(件、推定))× 価格 0.04(1 件あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。数量 1.05 倍 × 単価 1.34 倍、営業利益率 17.0%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 88 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:東京都の下水道の更新の発注が今の水準で長く続く筋書き。2026年7月期に売上が25%増えた実績があり、中立に次ぐ重みを置いた。
中立 36% 工事の量は保ち、利益率は平年へ 利益 6 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 421 円79 億円
東京都の下水道の更新は続くが、大型の工事の重なりは一巡し、完工する件数は10年で少し減る。入札の土木なので、値段は物価並みにしか上がらない。人件費と資材の上昇を吸収して、建設の利益率は7%台に落ち着く。不動産の売買は物件ごとに振れ、平均では今より少し薄い。OLY工法の機材のリースと通信の保守は、物価並みに伸びる。全社の営業利益率は8%台で、純利益は今の1.3倍ほどになる。配当性向は4割で、ROEは6%台にとどまる。株価は利益の10倍ほどで、自己資本の6〜7割にとどまる。需要は太くても、株主の取り分は入札の仕組みで抑えられる。
- 建設事業:数量 124(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.66(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 82 億円・営業利益 6 億円。数量 0.95 倍 × 単価 1.34 倍、営業利益率 7.5%
- 不動産事業:数量 18.0(売買・賃貸の物件数(件・年、推定))× 価格 0.40(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。数量 0.90 倍 × 単価 1.34 倍、営業利益率 14.0%
- OLY事業:数量 290(OLY工法の機材を貸す現場の数(現場・年、推定))× 価格 0.03(1 現場あたりの売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00 倍 × 単価 1.34 倍、営業利益率 15.0%
- 通信関連事業:数量 150(保守の契約の件数(件、推定))× 価格 0.04(1 件あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。数量 1.00 倍 × 単価 1.34 倍、営業利益率 16.0%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 70 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年7月期の売上の伸びは大型の工事の重なりとみて、工事の量がやや減り、利益率が過去の平均より少し上に落ち着く筋書きを中心に置いた。来期の会社予想も減収減益だ。
やや悲観 20% 入札の競争と人手の壁 利益 3 億円 · PER 9.4 倍 · 株価時価総額 237 円44 億円
下水道の更新の予算は付くが、都内の土木の会社が入札に多く参加し、落札の値段が下がる。大盛工業は技術者の採用が追いつかず、受けられる工事の量も2割減る。建設の利益率は5%に下がる。不動産の売買は買い手が細り、在庫の値下げが出る。OLY工法の機材のリースは、似た工法との競争で単価が伸びない。全社の営業利益率は6%前後で、純利益は今と同じくらいにとどまる。配当は細る。ROEは4%台で、株価は自己資本の3分の1ほどまで下がる。配当の性向は上がるが、額は細る。下水道の更新の需要そのものは残るが、それを利益に変える力が弱まる10年だ。
- 建設事業:数量 104(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.64(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 66 億円・営業利益 3 億円。数量 0.80 倍 × 単価 1.28 倍、営業利益率 5.0%
- 不動産事業:数量 16.0(売買・賃貸の物件数(件・年、推定))× 価格 0.38(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。数量 0.80 倍 × 単価 1.25 倍、営業利益率 8.0%
- OLY事業:数量 247(OLY工法の機材を貸す現場の数(現場・年、推定))× 価格 0.03(1 現場あたりの売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。数量 0.85 倍 × 単価 1.30 倍、営業利益率 12.0%
- 通信関連事業:数量 143(保守の契約の件数(件、推定))× 価格 0.04(1 件あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。数量 0.95 倍 × 単価 1.30 倍、営業利益率 14.0%
倍率:ROE 3.8% と低く、PER の上限 1÷k = 11.8 倍の 8 割の 9.4 倍。入札の競争が戻り、稼ぐ力を薄く見た。
確率:技術者の採用が追いつかず、入札の競争も戻って利益率が下がる筋書き。2017年7月期まで営業利益率が3〜5%台だった実績があり、悪い方に振れる余地は小さくない。
悲観 12% 都の工事を失い、薄利の下請けへ 利益 1 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 134 円25 億円
東京都が下水道の更新を大きな工区でまとめて発注するようになり、中堅の大盛工業は元請けの座を失う。仕事は大手の下請けになり、利益はほぼ出ない。工事の量は4割減る。不動産の事業は在庫の処分で赤字になり、OLY工法の機材のリースも細る。借金の返済のため、賃貸の物件や機材を売る。配当は止まり、株主の取り分は資産を売って借金を返した後に残る額だけになる。強みだった都の工事の実績は、発注の形が変われば守りにならない。株価は自己資本の4割ほどに沈み、資産の売却で借金を返した後の額だけが価値を支える。株主にできることは少ない。
- 建設事業:数量 78.0(完工する工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.60(1 件あたりの工事額(億円・名目))→ 売上 46 億円・営業利益 0 億円。数量 0.60 倍 × 単価 1.20 倍、営業利益率 1.0%
- 不動産事業:数量 12.0(売買・賃貸の物件数(件・年、推定))× 価格 0.35(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。数量 0.60 倍 × 単価 1.15 倍、営業利益率 0.0%
- OLY事業:数量 174(OLY工法の機材を貸す現場の数(現場・年、推定))× 価格 0.02(1 現場あたりの売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。数量 0.60 倍 × 単価 1.20 倍、営業利益率 6.0%
- 通信関連事業:数量 135(保守の契約の件数(件、推定))× 価格 0.04(1 件あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。数量 0.90 倍 × 単価 1.25 倍、営業利益率 12.0%
倍率:利益はほぼ無く、利益の倍率は使えない。床は資産を売って借金を返した後に残る額(floor_assets_oku)。facts の今の自己資本 58.71 億円(2025年7月期)に 0.4258 倍を掛けて同じ額。EV÷営業利益は利益がほぼ無いので大きく出るが、資産の床で測る筋書き。
確率:東京都の発注の方式が大きな会社に有利に変わり、主な客を失う筋書き。2009〜2012年7月期に赤字が続いた過去があり、構造が崩れる確率は1割強とみた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建設事業
東京都などの上下水道管の新設・更新・補強の土木工事を元請けで請け負う。
| 数量完工する工事の件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの工事額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 130 | 0.50 | 65 | 5 |
| 10 年後 中立 | 124 | 0.66 | 82 | 6 |
取り方:2026年7月期のセグメントの数字は短信の本文が画像で確かめられず、2025年7月期の構成(建設48.1億円・セグメント利益5.04億円)と2026年7月期の連結(売上80.75億円・営業利益8.01億円)から推定。件数も開示が無く、1件約0.5億円の目安で割った。
不動産事業
都内などで不動産を仕入れて売り、賃貸の物件も持つ。
| 数量売買・賃貸の物件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 20.0 | 0.30 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 18.0 | 0.40 | 7 | 1 |
取り方:2025年7月期の売上6.0億円・セグメント利益1.17億円を基に推定。物件数は開示が無く、1件約0.3億円で割った。
OLY事業
自社のOLY工法(下水道の工事の小さな立坑を掘る工法)の機材を他社に貸し、鉄骨の加工も行う。
| 数量OLY工法の機材を貸す現場の数(現場・年、推定) | 価格1 現場あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 290 | 0.02 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 290 | 0.03 | 8 | 1 |
取り方:2025年7月期の売上5.8億円・セグメント利益0.90億円を基に推定。延べ5,000現場超の実績から年約290現場、1現場約200万円とした。
通信関連事業
通信回線の保守と管理の業務を請け負う。
| 数量保守の契約の件数(件、推定) | 価格1 件あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 150 | 0.03 | 4 | 1 |
| 10 年後 中立 | 150 | 0.04 | 6 | 1 |
取り方:2025年7月期の売上4.49億円・セグメント利益0.75億円を基に推定。件数は開示が無く、1件約300万円で割った。本社費はセグメントに配分済みで、セグメント利益の合計が営業利益に近いので adjust は 0。
リスクと懸念
大型工事の反動
2026年7月期の売上25%増は大型の工事の完成が重なった面が大きい。会社は来期を減収減益と見込む。工事の会社の利益は完成の時期で振れ、1年の数字で稼ぐ力が変わったとは言えない。
東京都へのかたより
売上の多くが東京都の下水道局の工事だ。都が工区を大きくまとめて発注する方式に変えれば、中堅の会社は元請けの座を失い、大手の下請けに回る。客のかたよりは強みであり弱みでもある。
入札の値段
公共の土木は入札で、値段の上限は発注の側が握る。人手不足で落札の値段は上がったが、人件費と資材も上がる。競争が戻れば利益率はすぐに削られる。
技術者の不足
土木の技術者の高齢化が進み、採用が追いつかなければ受けられる工事の量が減る。人手不足は値段の追い風であると同時に、量の上限でもある。
株主の取り分の薄まり
過去に増資と新株予約権の行使で株数が増えた期が何度もある。資金が要る局面で再び株を出せば、利益が増えても1株あたりの取り分は伸びない。
今後の分かれ目
- 営業利益率が3期続けて9%を超える
- 人手不足による値上がりが定着したとみて、やや楽観の確率を上げる。
- 東京都が下水道の更新の発注を大きな工区にまとめる
- 元請けの座が揺らぐとみて、悲観に寄せる。
- OLY事業の売上が他社への貸し出しで伸びる
- 技術の強みが外に広がったとみて、中立の利益率を見直す。
- 国の下水道の更新の予算が数年続けて増える
- 工事の量を中立より上に見直す。
- 増資や新株予約権の発行が出る
- 株主の取り分が薄まるとみて、価値を下げる。
見ておくもの
- 受注高と受注残
- 建設事業のセグメント利益率
- 東京都の下水道局の発注の量と方式
- OLY事業の売上
- 配当性向と株数の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業のROEと資本コスト8.5%から決めた。楽観を除きROEはkを下回るので、PERの上限は1÷kの11.8倍で、その9割前後に置いた。今のPERや過去の株価の山は使っていない。起点は最新の2026年7月期の短信で、子会社の売却益を除いた純利益5.3億円にした。悲観は資産を売って借金を返した後に残る額から出した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.7→11.87 倍・やや楽観 PER 10.6→11.76 倍・中立 PER 10.6→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.0% = 8.5%。分譲の在庫を借金で持つサンヨーホームズ(9.0%)より循環と借金が軽く、客のかたよりの分だけ上乗せした。