結論
カドス・コーポレーションは、土地を使いたい地権者と出店したいチェーン企業を結び付け、店舗の設計施工と不動産賃貸で稼ぐ会社である。筆者の結論は「割安」だ。店舗建設だけでなく、土地情報を継続して集める仕組みに価値があり、10年の本質価値は現在の時価総額を約37%上回ると考える。
2026年7月期の業績は大きく落ち込んだ。工事の着工や進捗が遅れ、不動産販売も減ったため、営業利益は前年の半分ほどになった。しかし、建設受注残高は期末に増えている。需要そのものが消えたのか、工事の計上時期がずれたのかを区別する必要がある。筆者は、直近の減益をそのまま10年続く衰退とは見ない。
同社の強みは、土地オーナーとの接点を自ら持つことにある。出店先を探す企業に用地を提案できれば、単に工事の入札を待つ建設会社とは違う立場で受注できる。2026年7月期末には管理する土地オーナーが321件、新築完工実績が累計570件に達した。ただし、特定のチェーン企業への依存があり、この営業上の優位が10年後もそのまま残ると決め付けることはできない。
最大の懸念は、安定収益を増やそうとして取得する不動産が、資本を大量に必要とする点である。2026年7月期には現預金が減る一方、借入金と賃貸用資産が増えた。向こう3年間にも50億円の成長投資を計画している。賃料が増えても、借金の利息と物件の更新費用を引いた後の利回りが資本コストに届かなければ、規模の拡大は株主価値の拡大にならない。
中立では、土地情報網を生かして建設工事を緩やかに増やし、不動産賃貸の比率を高める。一方、資本効率は過去の好調期より下がるとみる。それでも現在の時価総額約31億円に対し、5つの筋書きの確率加重価値は約43億円となる。借入拡大と主要顧客への集中を理由に悲観側の確率を厚くしてなお、安全域が残るという判断である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、最初に問うべきなのは「10年後も土地を探す出店企業から選ばれるか」である。建物を建てる仕事だけなら競合は多く、好況時の利益率を長期間守ることは難しい。しかし、土地所有者と継続して接し、商業施設の計画を持ち込めるなら、顧客がまだ工事会社を決めていない段階で選ばれる余地がある。この順番の違いは小さくない。
累計570件の完工実績と321件の土地オーナー管理は、会社が時間をかけて築いた信用の証拠だ。施工後も関係を保つことで、建て替えや別の土地の利用相談が戻ってくる可能性がある。ただし、取引を続ける法的な独占権はなく、地元不動産会社や競合建設会社も似た仕組みを作れる。筆者は堀が全くないとは思わないが、10年後も大きな超過利益を守れるほど強い堀とも評価しない。
さらに大切なのは、利益が現金として株主に残るかどうかだ。建設請負は完成時期のずれで年度利益が大きく動くが、設備投資そのものは比較的軽くできる。これに対し、土地と建物を持つ賃貸事業は、家賃が安定する代わりに資金を長期間固定する。営業利益が増えていても、次の物件購入に利益をすべて使い、借入まで増やすなら、株主が自由にできる現金は思ったほど残らない。
2026年7月期はこの二つの性格の違いがはっきり表れた。不動産取得のための投資キャッシュフロー流出が大きく、借入に依存する割合が高まった。今後の50億円の投資で賃料と利益が増えるとしても、資本コスト以上の追加収益が確認できるまでは、その拡大を全面的に評価しない。経営が将来のROE目標を実現できるかを、物件数だけでなく利益と自己資本の両方で確かめたい。
それでも現在の値段には余裕があるとみる。中立では資本効率の低下を織り込み、悲観ではチェーン店の出店減少と不動産価値の毀損を重ねている。楽観の成長を約束されたものとは扱わず、経営の投資判断が不十分になる場合にも相応の確率を与えた。その条件でも10年の割引後価値が現在の時価総額を上回るため、長期の所有者にとって検討に値する安全域がある。ただし、次の投資計画によって財務の性格がさらに変わることは忘れてはならない。
何で稼ぐ会社か
同社の出発点は、土地オーナーの情報を先に集める営業である。土地を有効活用したい所有者を探し、そこで出店できるドラッグストア、飲食店、コンビニエンスストア、家電量販店などの企業に提案する。この一連の仕組みを会社は「カドスLANシステム」と呼ぶ。土地の紹介から賃貸借契約、店舗設計、工事、完成後の修繕まで関わることで、単発の建設請負を継続的な顧客関係に変えている。
建設事業は、主として元請の立場で設計と工事管理を担い、実際の施工は協力会社が行う。2026年7月期の建設売上高は46.0億円だった。売上を計上した新築工事は26件で、施主への引き渡しが完了した17件とは数え方が違う。案件ごとに規模と進捗が異なるため、完工件数だけで年間売上を推定すると誤る。建設売上の93%は全国的に店舗を展開するチェーン企業関連だった。
土地の立地を提案する段階から関わると、競合との入札を避けた特命受注につながることがある。この点は、価格だけで選ばれる地方ゼネコンとの重要な違いだ。完工実績570件のうち458件がナショナルチェーン向けであり、同一ブランドから繰り返し工事を受けた実績も厚い。ただし、その関係性は発注企業に依存する。出店計画が変われば、既存の取引実績だけで将来の工事を保証できない。
不動産事業では、自社所有物件の賃貸だけでなく、土地や建物を借りてテナントへ又貸しする案件も扱う。2026年7月期末の対象物件数は105件で、売上高は12.83億円だった。その大部分は建物賃料9.47億円と土地賃料2.91億円である。不動産売買やその他の収入も含むため、すべてを恒常的な家賃収入とみなすことはできない。
両事業のつながりには意味がある。建設を引き受けた後も土地オーナーとの関係が続けば、テナントの入れ替え、修繕、建て替えで再び仕事を得られる。逆に、賃貸用不動産を自社で確保することで建設案件が生まれることもある。この循環が強くなれば、建設売上の変動を家賃収入が補う。ただし、賃貸物件を所有する部分では土地代と建物代が先に必要になるため、資本効率の性格は建設請負とは大きく異なる。
優良さと弱いところ
競争上の強みは、施工技術そのものよりも土地情報の蓄積と出店企業との関係にある。土地オーナーを321件管理し、契約後も相談を受けることで、一般の建設入札には出てこない案件に先に接する機会が生まれる。2026年7月期には12都市で27社の地元不動産会社と提携した。情報の入り口を広げるほど、土地探しと店舗出店の双方に役立つ仕組みである。
この仕組みは、弱いながらも本物の参入障壁になりうる。土地所有者の信頼、出店企業との過去の取引、協力施工会社の確保を一度に再現するには時間がかかるからだ。ただし、解約率や継続発注率を一定の形式で数値開示したものではない。受注単価を原価上昇以上に引き上げ続けた証拠も十分ではないため、独占的な価格決定力がある会社とは評価しない。
むしろ財務面では慎重さが必要になった。2026年7月期の自己資本は約45億円だが、現預金は約5億円にとどまり、借入金は約27億円ある。純有利子負債は約21億円となり、前年までの財務の軽さは失われた。自己資本比率も47.6%に低下している。賃貸不動産を取得した結果であり、直ちに資金繰りの危機を示すものではないが、以前と同じ無借金に近い建設会社として扱うことはできない。
2026年7月期の不動産事業は約2.9億円の営業利益を生んだが、賃貸等不動産の帳簿価額は約65.5億円に達する。この利益には自社所有以外の転貸物件も含まれるため、厳密な投下資本利益率は開示数値だけでは求められない。それでも、不動産取得額に対して十分な追加利益が出るかを厳しく確かめる必要がある。物件数と家賃が増えたという事実だけでは、優れた資本配分の証明にならない。
AIエージェントによる代替については、同社の主な収益が現実の建設工事と不動産賃貸であり、人月で売るSI受託、BPO、席課金ソフトには該当しない。設計補助、積算、土地情報の検索は自動化が進みうるが、土地の権利調整や施工責任そのものが消えるわけではない。技術リスクは事務工程の効率化と情報獲得競争の変化として捉える。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
地方の流通店舗建設は、人口増加だけに頼れない市場である。コンビニエンスストアやドラッグストアの店舗網はすでに厚く、新規出店だけでなく、移転、統廃合、建て替え、商圏の入れ替えが仕事を生む。人口が減る地域では店舗の純増が難しくなる一方、集客力のある道路沿いや生活拠点へ店舗を集約する需要は続く。10年後も設計施工の仕事は必要だが、建物の数が一方的に増え続ける市場ではない。
会社が引用する国土交通省の2025年建築着工統計では、山口、広島、岡山、福岡の4県の事務所・店舗の工事費予定額は年間約3,700億円だった。2026年7月期の同社建設売上46.0億円を単純に比べると約1.2%となる。ただし、工事費予定額は着工時点の統計、同社売上は工事進捗に応じた計上額であり、用途にも違いがある。したがって、これは厳密な市場シェアではなく、地域市場に対する規模の目安である。
主要な競争相手には、大和ハウス工業のような全国展開の事業用建築会社に加え、各県の地元ゼネコン、設計施工会社、商業用地を扱う不動産開発会社がいる。これらの企業について、同社と同じ「4県の流通店舗新築」という範囲にそろえた受注額とシェアの公表値は確認できない。同社は全国的な建築市場では小規模だが、土地所有者から出店企業へ直接提案する案件では競争の土俵を変えられる。筆者は、建設工事全体の需要増ではなく、営業対象都市での取引先獲得を数量増加の主因とみる。
同社が重点を置く人口10万人以上の22都市には、既存の全国チェーン施工実績が少ない13都市が残る。2026年7月期末には12都市で27社と業務提携しており、土地情報網を広げる余地はある。一方、進出地域が広がるほど、現場監督の確保、地場の協力会社との関係、移動費用が問題になる。新たな都市で同じ利益率を稼げるとは限らない。
不動産賃貸市場は建設市場とは別に考える必要がある。賃貸対象105件には自社所有と転貸が混在し、店舗以外の事務所や土地も含まれるため、比較可能な4県の市場契約件数と総賃料から同社のシェアを確定することはできない。10年の数量は市場全体のシェアを無理に推定せず、取得可能な物件数と賃貸契約の継続を起点とする。新たな物件には、大手不動産会社、地場所有者、金融機関から資金を調達する投資家が競合する。
物価は年3%、金利は10年国債3%という共通前提を使う。工事単価や賃料が名目で上がっても、資材費、人件費、更新投資も増える。既存建物の減価償却は過去の取得価額に基づくため物価に比例して一斉には増えないが、新たに買う物件と建て替え費用は高くなる。将来の利益を考えるときは、会計上の減価償却と実際の更新支出を分けて見る必要がある。
資本政策と M&A
会社の長期ビジョンには、売上高100億円以上と株式時価総額100億円の早期実現が掲げられている。資本効率についてはROE10%以上、自己資本比率40%以上を目標とする。配当性向の目安は30%であり、少なくともこれらの数字は経営陣の明示的な約束である。ただし、長期売上目標の達成年限は定められておらず、営業利益の長期到達額についても同じ精度の約束はない。
2027年7月期からの3年間は、成長投資50億円と株主還元5億円を計画している。資金源として営業キャッシュフロー25億円と外部調達30億円を見込む。2026年7月期にも賃貸用不動産を中心に20億円超を投じた。これほど資本集約度を変える投資には、賃料の安定性だけでなく、借入利息を控除した利益と将来の物件売却可能性を検証する責任がある。
2026年7月期は減益にもかかわらず増配し、配当性向は57.5%となった。2027年7月期も同程度の配当を予定するが、その期は創業者への特別功労加算金による特別損失が見込まれ、純利益が伸びにくい。短期の配当性向だけで継続的な還元能力を判断してはいけない。中立の10年間では、会社の30%目標を基本に、当初の増配水準を加味した累計20億円の株主還元を見込む。
過去には自己株式11万株を約3.47億円で取得したが、そのうち10万4,400株はストックオプションの権利行使に伴って処分された。取得株数がそのまま発行済みの流通株数減少になったわけではない。2019年の子会社吸収合併以降、大型買収を繰り返した実績は確認できないが、今後の賃貸用資産取得には小規模買収に近い投資判断が伴う。株主にとって大切なのは、売上規模ではなく追加投資後の資本利益率である。
会社の取得不動産と土地情報網には事業上の価値がある一方、創業者への特別な金銭支給や経営権の集中には少数株主としての監視が必要だ。公開買付けや上場廃止予定を前提とした評価は行わない。将来の買収による上振れも、具体的な条件が示されていない段階では本質価値に先取りしない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
土地を自ら発掘できる建設会社は、単に工事を安く請け負う会社より有利な立場にある。同社は土地所有者と出店企業の両方に関係を持ち、設計施工から賃貸まで引き受けられる。累計570件の施工経験は、出店企業が地方へ進出する際に相談しやすい実績となっている。特にナショナルチェーン向けは継続取引の割合が高く、別の都市へ出店する場合も既存の関係を活用できる。
2026年7月期の減益は、事業モデルの破綻というより工事計上のずれと不動産販売の反動で説明できる部分が大きい。建設受注残高は期末に23億円を超え、翌期には営業利益の回復を会社が予想している。地元不動産会社との提携も増えており、これまで施工実績の少ない都市での用地提案が受注につながれば、建設工事件数を伸ばせる。新築需要の絶対量が横ばいでも、同社のシェアが上がる余地はある。
不動産賃貸を増やす方針にも合理性はある。建設事業だけなら、工期の変動で利益が大きく振れる。しかし、テナントとの長期契約から賃料を受け取れるようになれば、毎年の収益に下支えができる。会社が用地を選び、そこに入るテナントまで関わるため、一般の不動産投資家にはない情報を使える可能性がある。大型のカドスタウン案件が形になれば、一つの土地から複数の出店企業との関係も生まれる。
過去に利益を生みながら自己資本を積み上げてきたことも評価できる。直近期の落ち込みだけを恒久的な利益水準とみなせば、受注残高の回復や賃貸物件の積み増しから生まれる利益を見落とす。経営陣が利回りを吟味して取得物件を選び、借金を適切に管理できれば、10年先の利益と株主還元は現在より大きくなる。現在の株式評価は、その可能性を十分には映していない。
慎重な見方
最大の問題は、土地情報の強みを過大評価しやすいことである。地方の商業店舗は人口動態に左右され、全国チェーンは出店と閉店を同時に進める。新規出店が減れば、過去に何件施工したかより、次にどれだけ仕事を獲得できるかが大事になる。全国チェーンは自社でも候補用地を探し、他の設計施工会社を利用できる。同社の関係性に、顧客を長期間縛る仕組みはない。
顧客集中も軽くない。2026年7月期には複数の主要チェーンへの売上依存が大きく、一社の出店方針の変更で工事量が動く。小規模な会社では数件の工事遅延でも利益率が崩れることを、直近の決算が示した。元請として現場管理を担う以上、工期の遅れ、人手不足、下請費用の上昇は収益を直撃する。特命受注だからといって、顧客が原価上昇を無条件で受け入れてくれるわけではない。
より深刻なのは不動産投資である。2026年7月期末の純有利子負債は20億円を超え、今後3年間には50億円の成長投資が計画されている。新たな物件から得られる賃料が安定しても、取得価格が高く、修繕費や借入利息が上がれば、投資利回りは低くなる。地方の事業用不動産は売却できる時期と相手が限られる。空室が出たときに帳簿の価格で売れる保証はない。
保有不動産の自己算定時価が帳簿価額を上回ることも、直ちに株主の利益を意味しない。物件売却には税金や手数料がかかり、借金とテナントに関わる義務が先に残る。創業者への特別な金銭支給など、少数株主が資本配分を厳しく検証すべき出来事もある。会社が売上100億円を目指して資産を増やし続け、利益が資本コストを下回るなら、規模の成長とは逆に本質価値が削られる可能性がある。
どちらに重みを置いたか
土地情報網と継続受注の実績は評価できるが、借入を使った不動産拡大にはまだ十分な投資利回りの証拠がない。そこで上側の筋書きの合計を29%、下側を37%とし、慎重な見方をやや厚くした。中立でも将来のROEは過去の中央値を下回る想定である。それでも割引後の確率加重価値は約43億円となり、現在の時価総額約31億円を上回った。結論は割安だが、その安全域の持続は賃貸不動産の取得利回りと借入管理にかかっている。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/07 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 7,328 円74 億円(+ 還元の換算額還元の合計 1,727 円17 億円)。 今の値に割り戻すと 4,390 円44 億円、今との差 +41.8%、 期待の年率 +13.0%(資本コスト 8.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 16,007 円161 億円 | 3,180 円32 億円 | +519.9% | +23.3% | 1,535 円15 億円 |
| やや楽観 | 21% | 11,460 円115 億円 | 2,385 円24 億円 | +347.3% | +18.6% | 2,907 円29 億円 |
| 中立 | 34% | 7,776 円78 億円 | 1,987 円20 億円 | +215.5% | +14.2% | 3,319 円33 億円 |
| やや悲観 | 24% | 3,164 円32 億円 | 994 円10 億円 | +34.3% | +3.4% | 998 円10 億円 |
| 悲観 | 13% | 1,828 円18 億円 | 447 円5 億円 | −26.5% | −3.3% | 296 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 7,328 円74 億円 | 1,727 円17 億円 | +192.6% | +13.0% | 9,055 円91 億円 |
今の株価時価総額 3,095 円31 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 土地情報網が広域に育ち、賃貸物件の投資も成功 利益 13 億円 · PER 12.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 16,007 円161 億円
地元不動産会社との提携が岡山、福岡にも広がり、土地オーナーの情報が継続的に集まる。大手チェーンが店舗を出す際、同社は建設会社を選ぶ前の用地検討段階から相談を受けるようになる。既存取引先の別都市への出店に加え、飲食店、ドラッグストア、家電量販店の移転需要も取り込む。工事規模が大型化しても、元請としての工程管理能力が追い付き、協力会社の確保にも成功する。
カドスタウンの開発が進み、複数のテナントを呼び込める用地をいくつか獲得する。不動産取得ではテナントとの契約を先に確認し、価格の高い物件を無理に買わない規律が働く。賃貸対象物件は200件に増えるが、借金だけを積み増すのではなく、営業で生んだ資金と適切な借入を組み合わせる。家賃収入の安定が建設利益の変動を補い、二つの事業の循環が強くなる。
この筋書きでは、建設事業の年間計上件数が40件に達し、営業利益率も改善する。不動産事業は規模拡大に伴って利益を厚くする。経営は利益の一定部分を配当などで株主へ返し、余った資金を投資利回りの高い案件に集中する。特定の大型買収による一時的な利益の上振れは含めず、既存の営業モデルを広げることで成長する。
- 建設事業:数量 40.0(当該年度に売上を計上した新築工事件数(件。引渡完了件数とは異なる))× 価格 2.62(売上計上工事1件当たり平均完成工事高(億円・名目))→ 売上 105 億円・営業利益 9 億円。売上計上40件、平均2.62億円。数量は現状の1.54倍、価格は現状の約1.48倍。4県の実質着工需要が概ね横ばいでも土地情報網を生かしてシェアを伸ばし、大型案件の構成比を高める。
- 不動産事業:数量 200(期末の不動産賃貸対象物件数(件。期中平均契約数の代理指標))× 価格 0.19(賃貸対象物件1件当たりの年間セグメント売上相当額(億円・名目))→ 売上 37 億円・営業利益 11 億円。賃貸対象200件、1件当たり実効年間売上0.185億円。保有・転貸物件の拡大、空室抑制、賃料改定と高採算物件の比率上昇を想定する。
倍率:2036年のROEは12.5÷92.25=13.55%。資本コスト8.5%、堀が普通なので超過ROEの残存割合は1/2、RONIC=8.5%+0.5×(13.55%−8.5%)=約11.03%。長期名目gを2.5%とし、正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=約12.887倍とする。上限から任意の割引は加えていない。余剰現金の別加算はない。
確率:土地オーナーとの関係拡大、地方チェーンの出店機会獲得、賃貸不動産の高い稼働率、十分な取得利回りが同時に実現する必要がある。既存実績から可能性はあるが、建設人員と資金調達の両方で継続的な成功が求められるため8%とする。
やや楽観 21% 重点都市への営業拡大が進み賃料収入も伸びる 利益 9 億円 · PER 12.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 11,460 円115 億円
山口と広島で築いたチェーン企業との関係を、岡山と福岡で少しずつ広げる。全国的な店舗数は大きく増えないが、店舗の移転、老朽化した建物の建て替え、郊外商圏への再配置が続く。カドスLANシステムによる土地の先行提案が評価され、新規の土地オーナーも増える。工事の競争入札を完全に避けられるわけではないものの、利益率を守れる案件を選ぶ余地がある。
不動産では、用地取得と転貸契約を無理なく積み上げる。賃貸対象物件は175件となり、家賃は物価上昇と新しい物件の寄与で増える。銀行借入の負担は残るが、テナントの信用力を重視することで空室と貸倒れを抑える。取得物件の一部では当初の計画ほど高い利回りを得られなくても、全社利益を大きく損なう事態は避けられる。
建設の年間売上計上件数は34件となる。施工管理人員を育成できた結果、地方の元請企業として一定の収益力を維持する。家賃収入の積み上がりで業績の変動は緩やかになるが、競合に対する独占的な地位までは築かない。株主還元を継続しつつ、成長のために利益を留保するバランスの取れた10年間となる。
- 建設事業:数量 34.0(当該年度に売上を計上した新築工事件数(件。引渡完了件数とは異なる))× 価格 2.48(売上計上工事1件当たり平均完成工事高(億円・名目))→ 売上 84 億円・営業利益 7 億円。売上計上34件、平均2.48億円。案件数が現在の1.31倍、名目単価が約1.40倍になり、重点都市での取引先獲得と工事大型化が寄与する。
- 不動産事業:数量 175(期末の不動産賃貸対象物件数(件。期中平均契約数の代理指標))× 価格 0.18(賃貸対象物件1件当たりの年間セグメント売上相当額(億円・名目))→ 売上 31 億円・営業利益 9 億円。賃貸対象175件。追加投資の収益化が進む一方、借入金利と建物維持費の負担も織り込む。
倍率:2036年ROEは9.3÷84.25=11.04%、kは8.5%、普通の堀の残存割合は1/2。RONICは約9.77%となる。g_longによる名目2.5%を用い、正当化PER=(1−0.025÷RONIC)÷(0.085−0.025)=約12.402倍。過去の株価倍率を参照せず、式から得た上限をそのまま使う。
確率:2026年時点ですでに土地情報の提携先が増え、建設受注残高にも回復の兆しがあるため、既存事業の延長として十分に考えられる。ただし、計画した不動産投資が高い利回りを維持する必要があり、楽観より一段現実的な21%とした。
中立 34% 建設は緩やかに拡大するが不動産投資で資本効率は低下 利益 6 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 7,776 円78 億円
既存の土地オーナーとの関係が続き、会社は店舗の移転や建て替えを含む年間30件程度の工事売上を計上する。広島と福岡では営業対象を広げるが、県内の競合施工会社との争いも増える。全国チェーンの出店数が急拡大するわけではなく、新規案件の多くは商圏の入れ替えや古い店舗の更新から生まれる。建設利益率は好調だった2025年ほど高くないが、2026年の工事遅延による落ち込みからは回復する。
不動産の賃貸対象は150件となる。会社が計画する取得投資の一部は安定した家賃を生むが、借入金利や建物修繕費の上昇も同時に進む。家賃収入は年々増えるものの、買った物件の価格に対する追加利益はそれほど厚くない。資産と自己資本が膨らむため、利益が増えてもROEは過去の中央値を下回る。
会社は長期売上目標に近づくが、規模の拡大だけでは経済的な優良さが高まらないことが明らかになる。経営陣は取得する不動産を選別し、債務の管理と配当の継続を優先する。大型買収や特別な資産売却益を前提としない、既存事業の延長線上の10年間である。
- 建設事業:数量 30.0(当該年度に売上を計上した新築工事件数(件。引渡完了件数とは異なる))× 価格 2.37(売上計上工事1件当たり平均完成工事高(億円・名目))→ 売上 71 億円・営業利益 5 億円。年間30件で現在より約15%の数量増。単価2.37億円は2026年の約1.34倍で、原則として年3%の物価上昇を価格側だけに反映する。4県の広い着工市場に対する見かけの比率は約1.4%まで緩やかに高まる想定。
- 不動産事業:数量 150(期末の不動産賃貸対象物件数(件。期中平均契約数の代理指標))× 価格 0.16(賃貸対象物件1件当たりの年間セグメント売上相当額(億円・名目))→ 売上 25 億円・営業利益 6 億円。賃貸対象150件で現状の1.43倍、実効単価は約1.34倍。家賃の名目上昇と物件追加が成長源だが、追加投資には借入と維持費を要する。
倍率:2036年ROEは6.2÷80=7.75%で資本コスト8.5%を下回る。不動産投資のために自己資本を蓄積するが、追加利益がその資本コストに十分届かない筋書きである。ROEがk以下の場合の正当化PER上限は1÷k=11.7647倍。成長を理由に上乗せせず、利益6.2億円にこの稼ぐ力の倍率を適用する。余剰現金や賃貸不動産の含み益を別途足していない。
確率:店舗建設の需要は成熟している一方、同社には土地情報網と未開拓都市への営業余地がある。賃貸用不動産は増えるが、追加投資の利益率は全社の資本コストを大きく超えないと考える。受注回復と借入負担の双方を織り込む中心の筋書きとして34%とする。
やや悲観 24% 出店需要が弱まり取得不動産の利回りも低迷 利益 3 億円 · PER 10.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,164 円32 億円
地方のチェーン店舗が新規出店を抑え、採算の低い既存店舗を整理するようになる。建て替え需要は残るが、工事件数は現在を下回る。出店企業は価格に敏感になり、用地を紹介できた案件でも、設計施工の利益率を十分に確保できない。岡山や福岡への営業拡大は人件費と移動費の負担が先行し、管理できる案件の数は思ったほど増えない。
不動産賃貸は契約のある物件から家賃を得られるため、すぐに崩壊するわけではない。ただし、新しく取得した資産には割高な物件が混ざり、地方の一部地域で空室が長引く。銀行借入の更新金利が上昇し、土地・建物の維持管理にも費用がかかる。賃貸対象物件の数は少し増えるが、追加利益は資産の増加に見合わない。
経営は配当を縮小しつつ維持するが、余った資金を自社株買いへ回す余力は乏しい。売上高は物価上昇によって一定水準を保っても、建設利益率が低下し、ROEは資本コストを大きく下回る。土地情報網に一定の価値は残るものの、資本効率の悪い地方の建設・賃貸会社として収益力を評価される。
- 建設事業:数量 22.0(当該年度に売上を計上した新築工事件数(件。引渡完了件数とは異なる))× 価格 2.24(売上計上工事1件当たり平均完成工事高(億円・名目))→ 売上 49 億円・営業利益 1 億円。売上計上22件。数量は現状の約85%、価格は約1.27倍で物価1.34倍に届かず、価格転嫁不足と案件構成の悪化を表す。
- 不動産事業:数量 125(期末の不動産賃貸対象物件数(件。期中平均契約数の代理指標))× 価格 0.15(賃貸対象物件1件当たりの年間セグメント売上相当額(億円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 3 億円。対象125件、名目実効単価0.15億円。取得は続くが空室と金利負担で利益率が低下する。
倍率:2036年ROEは2.6÷61=4.26%でk8.5%以下。継続利益の上限は1÷k=11.76倍だが、工事受注の縮小と賃貸資産の低収益化が続き、将来の余剰利益を生みにくい。構造的に弱い会社の稼ぐ力としてPER10.4倍とし、時価総額27.04億円を得る。この価値は税後売却可能資産の床18.35億円を上回る。
確率:2026年の大幅減益で工事計上の変動が確認でき、2027年以降の大きな不動産投資には金利と空室の不確実性がある。土地情報の強みは残っても、工事量と投資利回りの両方で期待を下回る可能性を比較的高く見積もり24%とする。
悲観 13% 建設受注が構造的に減少し賃貸資産も毀損 利益 −2 億円 · PBR 0.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,828 円18 億円
地方人口の減少と店舗網の再編が進み、主要チェーンが新たな出店を大幅に減らす。企業が自ら探した土地を別の施工会社へ発注する事例も増え、土地情報を先行して集める優位が弱まる。建設の売上計上件数は14件まで減少し、事務所と施工管理人員の固定費を賄えなくなる。原材料や人件費が上がっても請負価格への転嫁は進まず、建設事業は営業赤字となる。
不動産では大口テナントの撤退と長期空室が重なる。地方の賃貸用物件を売ろうとしても買い手が限られ、取得価格より大幅に安い価格での処分を迫られる。物件の修繕と借入金利の支払いは残り、賃料収入が続いても資本効率は著しく悪化する。会社は新規取得を止め、借入返済と既存物件の管理に資金を回す。
経営は建設拠点の整理と不採算資産の減損を迫られ、成長企業としての評価を失う。期間前半のわずかな還元を除き、株主への現金の戻りは期待しにくい。10年後の営業利益は赤字となり、将来の利益倍率から価値を見いだすことが難しい。このため価値は過去の株価倍率でなく、借金と売却費用を控除した処分可能資産を慎重に評価する。
- 建設事業:数量 14.0(当該年度に売上を計上した新築工事件数(件。引渡完了件数とは異なる))× 価格 2.05(売上計上工事1件当たり平均完成工事高(億円・名目))→ 売上 29 億円・営業利益 −1 億円。工事売上計上14件。現状から数量が約46%減り、価格も10年間の物価上昇を十分には転嫁できない。固定費と施工管理費が残るため営業赤字になる。
- 不動産事業:数量 95.0(期末の不動産賃貸対象物件数(件。期中平均契約数の代理指標))× 価格 0.13(賃貸対象物件1件当たりの年間セグメント売上相当額(億円・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。賃貸対象95件まで縮小。物件処分、空室、賃料減額によって名目の1件当たり売上はほぼ横ばいにとどまり、利益の大半が失われる。
倍率:最終年度が赤字のためPERを用いない。2026年7月期の現在自己資本約45.25億円を床のPBRの分母とし、18.4÷45.25=約0.4066倍とする。2036年の自己資本24億円へ床の倍率を掛けることはしない。自己開示の賃貸等不動産時価を25%減額し、売掛債権の回収可能額と現預金を加え、負債総額と諸費用を差し引いた税後処分可能資産約18.35億円を下回らない時価総額18.4億円とした。2036年の自己資本は期間中の営業損失と不動産減損によって減少する想定であり、これを価値の床には使わない。
確率:主要チェーンの出店縮小、建設粗利の悪化、借入で取得した地方不動産の価値下落が重なる筋書きである。土地情報網の蓄積と既存賃貸契約が一部の下支えになるものの、借入増加後の財務構造を考えれば無視できないため13%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建設事業
土地所有者とチェーン企業をマッチングし、主に流通店舗の設計施工を元請として受注する。実際の施工は協力会社を活用する。
| 数量当該年度に売上を計上した新築工事件数(件。引渡完了件数とは異なる) | 価格売上計上工事1件当たり平均完成工事高(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 26.0 | 1.77 | 46 | 2 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 2.37 | 71 | 5 |
取り方:2026年7月期有価証券報告書に記載された完成工事高4,600百万円と売上計上分の新築工事26件を使用し、46.0017億円÷26件=約1.7693億円とした。引渡済み17件を分母に使っていない。案件ごとに進捗計上額と規模が違うため、この平均は工事契約の平均総額を表すものではない。2025年の山口・広島・岡山・福岡4県における事務所・店舗の着工工事費予定額約3,700億円に対する売上規模は約1.2%だが、統計の対象と売上認識時点が異なるので厳密なシェアではない。未来の数量は同4県での土地情報網と営業対象都市の拡大による年間計上案件数、未来の価格は物価上昇と案件大型化を含む名目の案件当たり計上高で表す。
不動産事業
自社所有または賃借した土地・建物を店舗等のテナントに賃貸する。付随的に不動産売買、仲介等も行う。
| 数量期末の不動産賃貸対象物件数(件。期中平均契約数の代理指標) | 価格賃貸対象物件1件当たりの年間セグメント売上相当額(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/07 | 105 | 0.12 | 13 | 3 |
| 10 年後 中立 | 150 | 0.16 | 25 | 6 |
取り方:2026年7月期有価証券報告書の対象物件105件、建物賃料9.47億円、土地賃料2.91億円、不動産販売0.09億円、その他約0.35億円を起点とする。セグメント売上12.8348億円÷105件=0.122236億円は賃料を中心とする実効単価であり、全物件の純粋な契約賃料平均ではない。期末件数を年平均件数の近似として使う点、所有物件と転貸物件が混在する点を不確実性として残す。10年後の売上には大規模売却益の反復を織り込まない。建設事業の年間着工市場は賃貸不動産の既存ストック市場と異なり、同条件にそろった4県の賃貸契約総件数・総賃料と競合別シェアは確認できないため、数量は取得・転貸可能物件数から積み上げる。
リスクと懸念
主要チェーンへの顧客集中
建設事業の売上の多くが全国チェーン向けであり、特定のドラッグストア、家電量販店、食品スーパーなどの出店方針に左右される。取引実績が厚いことは強みでもあるが、顧客が新規出店を止めたり、他の工事会社へ発注を移したりすれば、売上計上工事件数が急減しうる。年間の工事件数が多くないため、数件の進捗遅れでも利益率への影響が大きい。
不動産取得の利回りと借入増加
2026年7月期には賃貸用不動産への大きな投資によって純有利子負債が増えた。今後3年間に50億円の成長投資を進める計画であり、賃料収入が増える一方で返済、利払い、物件更新費用が重くなる可能性がある。取得時の期待利回りが低いと、会計上は増益でも追加投資の利益率は資本コストを下回る。
地方不動産の換金性とテナント撤退
賃貸等不動産には自己開示時価があるが、その価格でいつでも売れるとは限らない。人口の減る地域では、テナント退去後の次の借り手が見つかりにくく、賃料の引き下げや修繕費が必要になる。所有物件だけでなく転貸物件には地主への支払い義務が残るため、空室が発生しても費用をすぐに減らせない。帳簿の純資産をそのまま清算価値とみなすのは危険である。
施工管理人員と協力会社の不足
建設事業は元請として施工を管理し、現場作業は協力会社に頼る。出店地域が広がるほど、現場監督と地域の施工会社の確保が必要になる。技能者不足、資材の値上がり、工期の長期化が重なると、受注が増えても利益率は下がりうる。2026年7月期の減益は、売上の計上時期が固定費負担を通じて利益を大きく動かすことを示した。
経営者の資本配分と少数株主の監視
売上と時価総額を大きくする目標が、必ずしも株主の利益を大きくするとは限らない。創業者への特別功労加算金が計画されているほか、過去の自己株式取得では大半がストックオプションの権利行使に充当された。今後の不動産取得や配当を、利益率、自己資本の増減、実際の株数変化まで含めて検証する必要がある。
土地情報の優位の希薄化とAIの普及
同社の主な売上は物理的な工事と不動産賃貸であり、AIエージェントが直接代替する人月型BPOや画面操作型SaaSには当たらない。しかし、用地検索、初期設計、見積もり、出店候補地の評価はデジタル化が進む。大手チェーンや競合建設会社が土地情報を効率よく集められるようになれば、同社が先に土地オーナーと接点を持つことの優位が薄くなる可能性がある。
今後の分かれ目
- 重点22都市のうち施工実績の少ない都市で、土地情報の提携先と工事受注が継続して増えたら
- 土地情報網の横展開が証明されたと考え、年間売上計上工事件数と地域シェアを引き上げる。特命受注の利益率も確認できれば、やや楽観側の確率を増やす。
- 2027年7月期以降の建設受注残高が増えても、完成工事高と営業利益に結び付かなかったら
- 着工遅延を一時的な問題と見る前提を弱める。現場監督不足や案件採算の悪化を調べ、建設の数量と利益率を下方修正する。
- 新規取得不動産の賃料収入が増え、借入利息と更新投資を控除した追加投資利回りが8.5%を継続して上回ったら
- 賃貸拡大による株主価値の創出が確認されたと考え、中立の利益と資本効率を引き上げる。投資規模よりも利益の増分と投入資金の対応を重視する。
- 純有利子負債が自己資本を大きく上回り、自己資本比率40%の方針を維持できなくなったら
- 不動産取得のペースを弱め、金利と借り換えの負担を重く見る。悲観側の確率を増やし、資産の処分価格も見直す。
- 配当性向30%の方針と異なる大幅な株主還元が続き、かつ賃貸投資の採算が低いと分かったら
- 追加投資より還元を選ぶことが価値につながる可能性を評価する。ただし、配当の継続が借入や既存資産の維持を圧迫していないかを併せて確認する。
- 主要チェーンの撤退、賃貸物件の空室増加、減損が同時に確認されたら
- 土地情報の堀と賃貸収益の安定性を再評価する。利益倍率による価値を下げ、税後で売却できる不動産と残存債務を中心に悲観の床を更新する。
見ておくもの
- 建設事業の受注高・期末受注残高・売上計上工事件数と新築完工件数の差
- 土地オーナー管理件数321件からの増加と、重点22都市における不動産会社提携の進捗
- 全国チェーン向け売上比率、主要顧客別売上比率、特命受注の採算
- 賃貸対象物件105件からの増加、家賃収入、空室・契約更新・物件売却の状況
- 賃貸用不動産の取得額と追加営業利益、借入残高、営業キャッシュフロー、維持更新支出
- ROE10%以上と自己資本比率40%以上の達成状況、配当性向30%方針との整合性
- 賃貸等不動産の帳簿価額・自己開示時価・実際の売却価格の差
倍率と資本コストの決め方
株価と比較する前に、2026年7月期の建設工事26件と賃貸対象105件をそれぞれ数量の起点とし、物価年3%の分は案件単価・実効賃料単価にだけ入れた。倍率は現在や同業のPER・PBRではなく、資本コスト8.5%、長期名目成長2.5%、2036年のROEと超過利益の残存率から導いた。中立のROEが資本コスト未満なので、将来の高成長倍率を与えていない。賃貸不動産の含み益は利益倍率に重複加算せず、売却可能価値は悲観の床に限って利用した。新リース会計基準による将来の表示変更があっても、10年の利益は現在と同じ営業費用の考え方で比較する。添付の株数1,006,400株と公表短信の発行済株式1,012,500株から自己株式5,600株を引いた1,006,900株には500株の差があるが、basisは依頼指定値を維持した。現在の時価総額は約31.25億円、5シナリオの割引後価値は約42.87億円で、差は約プラス37.2%となる。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、利益の循環0.5ポイントと値決め力の弱さ0.5ポイントを加えた8.5%。経営者固有の問題や新たな投資失敗の可能性は資本コストへ加算せず、筋書きの利益と確率で扱う。