結論
サイタホールディングスは、福岡県朝倉市で土木工事と砕石・生コンクリートを手がける創業 100 年の会社だ。利益を稼ぐのは建設よりも砕石と生コンで、道路や建物の材料を地元に売る。筆者は、今の値段を事業の価値に対して割安と見る。ただし 10 年先の姿は、受注の薄さと現金の使い道の乏しさで、割安を打ち消すほど強くない。
割安の根拠はまず現金だ。借入を引いても 23 億円の純現金があり、時価総額 25 億円とほぼ同じ額になる。つまり市場は、毎年 4〜5 億円の純利益を稼ぐ事業を、ほぼ無料で付けている。
足元の悪さも織り込むべきだ。2026 年 6 月期は営業利益が 4 割減り、建材が 2 割減収、建設の受注は 4 割近く減った。会社の予想では、2027 年 6 月期の営業利益はさらに 4 分の 1 減る。
懸念は 2 つある。第 1 に、建設の手持ち工事は 11 億円で、年間の完成工事高 31 億円の 3 分の 1 強にすぎない。第 2 に、配当性向が 9% と低く、現金が株主に戻る保証がない。大株主の賀和興産が 26% を持ち、少数株主の声は届きにくい。
それでも 10 年の中立では、営業利益を 6 億円弱で置く。物価で名目の売上が増える一方、人口減で数量はやや減る。現金を半分の価値で数えると、10 年後の時価総額は今の 2 倍強になる。ただし資本コストで割り引くと、価値は今の時価総額を 1 割ほど上回るだけで、適正の範囲に収まる。割安感は現金に頼っており、戻り方次第で結論が揺れる銘柄である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社はまず値段に目が行く。純現金が時価総額に迫り、毎年の純利益は時価総額の 2 割近い。事業を無料に近い値段で買える形だ。営業キャッシュフロー 6.1 億円から設備投資 2.4 億円を引いたオーナー利益は約 3.7 億円で、時価総額の 15% にあたる。
事業そのものの質は、建材と建設で大きく違う。建材は、地理が生む堀があり、設備投資も小さく、稼いだ利益の多くが現金で残る。わかりやすい事業で、10 年後も砕石と生コンは必要とされる。建設は、地元の役所と大学に頼った堅実な仕事だが、受注の薄さが心配だ。
資本の使い道は、最も気になる所だ。現金が株主のために使われる保証がなく、配当性向は 1 割に満たない。大株主が 26% を持つため、物言う株主も現れにくい。もし経営が配当を増やすか、自社株買いを始めれば、評価は大きく変わる。
安全域は十分にある。純現金が床になり、悲観でも半値より下には落ちにくい。持ち続けたい事業ではあるが、少数株主として現金の分け前を確実に得られるかが、見極めの焦点になる。
何で稼ぐ会社か
グループの稼ぎ頭は建材事業で、連結売上の 44% を占め、営業利益の大半を稼ぐ。才田砕石工業が山から石を切り出して砕き、道路・コンクリート・埋め戻しの材料(砕石・砕砂)として売る。2024 年 6 月には、持分法の会社だった朝倉生コンクリートを子会社にし、生コンクリートの製造・販売も加わった。砕石の山は約 109 万平方メートルの自社の土地にある。
建設事業は才田組が担い、売上の 46% を占める。官公庁の工事が 6 割、民間が 4 割で、朝倉市役所が連結売上の 1 割、福岡大学が才田組の完成工事高の 2 割を占める。地元の役所と大学に支えられた堅い商売だが、受注は 2026 年 6 月期に 37.5% 減り、手持ち工事は 11 億円まで細った。
ほかに酒類事業(売上 3 億円でほぼ赤字)、石油製品の販売、不動産、太陽光発電、警備、乳酸菌などの小さな事業がある。これらは合わせて売上の 1 割弱で、利益への寄与は小さい。
連結の従業員は 267 人で、建材が 125 人、酒類が 57 人、建設が 53 人だ。建設会社としては人数が少なく、施工の多くを協力会社に任せる。本社は 16 人の持ち株会社で、本社の費用が毎年約 2 億円かかる。
設備投資は 2026 年 6 月期に 2.4 億円で、うち建材が 2.3 億円を占めた。建材の生産実績は販売価格ベースで 29.7 億円と、売上のほぼ全部を自前で作っている。建設は土木工事と建築工事の両方を手がけ、大学や商業施設の建築も受ける。次期以降の大きな設備計画は、有価証券報告書に示されていない。
優良さと弱いところ
優良さは「建材は堅い、建設は並み、会社全体は還元が乏しい」と見る。
建材の強みは、地理にある。砕石と生コンは重く、遠くへ運ぶと運賃が材料費を上回る。そのため、採石場の近くが勝つ。朝倉の山を持ち、周りの工事に材料を出せる地位は、新規参入が難しい。採石は許認可が要り、新しい山を開くのも簡単ではない。営業利益率が 17〜21% と、建設の 7〜12% を大きく上回るのは、この地理の堀による。
ただし、堀の深さは数量の安定とは別だ。2026 年 6 月期の建材は売上が 2 割減り、営業利益も 36% 減った。生産実績も前の期の 8 割にとどまった。大型の案件が一巡したとみるのが自然だが、会社は理由を詳しく開示していない。
建設は、官公庁工事が中心で価格競争が働く。手持ち工事の薄さは、2〜3 年先の完成工事高に響く。
財務は強い。自己資本比率は 68% で、現金が 34 億円ある。しかし、資本効率は低い。ROE は直近 8% 前後で、過去 10 年の中央値 13% を下回る。純現金を大量に抱えるため、事業そのものの稼ぎ方は ROE より良く見える。経営の資本配分は、配当性向が 9% と低い点が最大の弱点だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
砕石・生コンの需要は、公共工事と民間の建築・土木の量で決まる。国内の砕石の需要は、国土交通省の 2024 年度の見通しで約 9,600 万立方メートルとされる。公的な出荷統計は 2019 年度で止まり、実績は追えない。国土強靱化の計画で道路・河川・防災の工事が続くが、人口が減る九州の地方では、数量が増える理由に乏しい。
価格は、運賃と燃料・電力・人件費に引きずられる。生コンは地域の協同組合や大手メーカーが価格を決めやすく、値上げが通りやすい。砕石も、近隣に競合が少なければ値上げができる。ただし、2026 年 6 月期の建材は売上が 21.5% 減っており、数量の減少が価格の上昇を上回った。
建設業は、人手不足が続く。トラックの運賃も職人の賃金も年 3% 前後で上がり、受注の選別が進む。公共工事は価格競争が働き、民間は価格転嫁が進むが、地方では受注額が増えにくい。会社の手持ち工事が年間の完成工事高の 3 分の 1 強しかない点は、数量の不安材料だ。
技術の変化は、この業界では緩やかだ。生コンの品質管理や砕石の自動化が進む程度で、AI が仕事を奪う影響は小さい。環境規制と採石の許認可が、むしろ最大の外部要因になる。M&A では、地方の生コン会社の統合が進みやすく、同社も朝倉生コンクリートの取り込みで先行した。
資本政策と M&A
資本政策は、株主に厳しい。配当は年 4 億円強で、配当性向は 1 割に満たない。利益の大半が内部に残り、現金が 34 億円まで積み上がった。自社株買いは行っておらず、配当方針は「内部留保を確保しつつ継続的・安定的に」というだけで、数値目標はない。
大株主は賀和興産で 26% を持つ。同社は 1991 年に砕石販売と石油販売の事業を譲った相手だ。持株比率は大きいが、過半ではない。経営の安定には効くが、現金の使い道に少数株主が口を出しにくい構造だ。
M&A は、2023 年に朝倉生コンクリートへの出資を 19.8% から 48.8% に引き上げ、2024 年 6 月に子会社にした。これは本業の延長で、評価できる。政策保有株は 9 銘柄で 3 億円ほどと小さく、持ち合いの問題は大きくない。
筆者は、現金 34 億円を放置している点が最大の減点材料と見る。配当性向を 3 割に上げれば、時価総額の 6% 近い利回りになる。そうならない限り、純現金を満額では数えられない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
純現金が 23 億円あり、時価総額 25 億円とほぼ同じだ。事業を無料で手に入れる形で、悲観の筋書きでも現金が床になる。建材は地理の堀があり、2026 年 6 月期の減益は大型案件の一巡で、構造の悪化ではない。
建設は官公庁と福岡大学に支えられた堅い仕事で、受注は波があるが赤字にはならない。国土強靱化の予算が続き、九州の半導体関連の投資が周辺の工事を呼べば、建材の数量も戻る。
朝倉生コンクリートの連結化で、砕石から生コンまで一貫して売れる体制ができた。経営が現金の使い道を示し、配当性向を 3 割に上げれば、2 倍の株価も見える。時価総額が 25 億円の会社に、毎年 4〜5 億円の純利益があるのは、割安の極みだ。TOB の的になりやすい水準でもある。建材は設備投資が小さく、2026 年 6 月期の営業キャッシュフローは 6 億円で、設備投資を引いても 3 億円超が現金で残った。この現金が毎年積み上がることが、下値を支える。
慎重な見方
建材の売上は 2026 年 6 月期に 2 割減り、会社自身が 2027 年 6 月期の営業利益をさらに 24% 減と予想している。建設の受注は 37.5% 減で、手持ち工事は年間の完成工事高の 3 分の 1 強しかない。2〜3 年先の建設の売上は大きく落ちる。
配当性向は 9% と低く、現金 34 億円は何年も積み上がるだけだった。大株主が 26% を持ち、少数株主が還元を迫る力は弱い。割安に見える純現金は、株主の手に届かなければ価値が半分ほどになる。
九州の人口は減り、公共工事の予算には天井がある。砕石は、環境規制や採石の許認可、新しい山を開けない制約で、成長の余地も狭い。酒類事業は赤字が続き、本社費が毎年 2 億円かかる。純利益の一部は為替差益と資産売却益で、稼ぐ力そのものではない。経常利益の 7.5 億円には為替差益が 1 億円弱含まれ、会社自身も 2027 年 6 月期の純利益を半減の 2.5 億円と予想している。事業の実力は、営業利益の 4.5〜6 億円とみるべきだ。
どちらに重みを置いたか
強気の見方がやや優勢だが、慎重な見方の指摘は的を射ている。純現金と建材の堀は本物で、悲観でも半値より下に落ちにくい。一方、現金が戻らない点と受注の薄さは、割安の度合いを削る。そのため、中立の確率を 38%、やや悲観を 27% と重めに置き、悲観は構造的に建材と建設がともに縮む筋書きで 10% とした。現金の戻り方は 0.5 に割り引いた。最大の分かれ目は、現金が株主に戻るかどうかだ。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した株価時価総額 10,314 円65 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 841 円5 億円)。 今の値に割り戻すと 5,468 円34 億円、今との差 +45.4%、 期待の年率 +11.5%(資本コスト 7.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 21,321 円134 億円 | 1,808 円11 億円 | +515.1% | +19.9% | 1,156 円7 億円 |
| やや楽観 | 20% | 16,481 円104 億円 | 1,079 円7 億円 | +367.0% | +16.7% | 3,512 円22 億円 |
| 中立 | 38% | 12,402 円78 億円 | 872 円6 億円 | +253.0% | +13.4% | 5,044 円32 億円 |
| やや悲観 | 27% | 4,062 円26 億円 | 634 円4 億円 | +24.9% | +2.2% | 1,268 円8 億円 |
| 悲観 | 10% | 1,428 円9 億円 | 317 円2 億円 | −53.6% | −7.4% | 174 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 10,314 円65 億円 | 841 円5 億円 | +196.7% | +11.5% | 11,155 円70 億円 |
今の株価時価総額 3,760 円24 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 5% 楽観:九州の建設需要が続き、現金も戻る 利益 8 億円 · PER 14.7 倍 · 株価時価総額 21,321 円134 億円
国土強靱化の工事が続き、九州の半導体関連の投資が周辺の道路・倉庫・住宅の工事を呼ぶ。砕石と生コンの出荷は今より 1 割増え、近隣に競合が少ない朝倉周辺で値上げも通る。朝倉生コンクリートの連結化で、砕石から生コンまで一貫して売れる強みが出て、建材の営業利益率は 18% を超える。建設は官公庁の受注が回復し、利益率が 9% まで上がる。経営は現金の使い道を見直し、配当性向を 2 割に引き上げ、自社株買いも始める。純利益は今の 2 倍になる。建設は手持ち工事の薄さを克服し、官公庁の受注が 2 年で元の水準に戻る。本社費と酒類の赤字は、売上の増加で吸収される。10 年の終わりには、現金が時価総額を超える水準まで積み上がり、株主還元の議論が避けられなくなる。
- 建材(砕石・生コンクリート):数量 79.5(出荷量(万トン。生コンは重量に換算して合算、推定))× 価格 0.60(1 万トンあたりの売上(億円))→ 売上 48 億円・営業利益 9 億円。出荷 79.5 万 t・1.40 倍
- 建設(才田組の土木・建築):数量 40.0(完成工事の件数(推定))× 価格 1.15(1 件あたりの完成工事高(億円))→ 売上 46 億円・営業利益 4 億円。40 件
- 酒類:数量 30.0(出荷(万本、推定))× 価格 0.13(1 万本あたりの売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。出荷 30 万本
- その他(石油製品・不動産・太陽光・警備・乳酸菌など):数量 372(取引・契約の件数(推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。契約 372 件
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.7 倍 + 余った現金(戻り方込み)10 億円。全体の PER 14.72 倍、時価総額 122 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国土強靱化と九州の投資が重なり、さらに配当が増える筋書きは、足元の減益からは遠く、5% にとどめた。
やや楽観 20% やや楽観:減益が一巡して建材が戻る 利益 6 億円 · PER 13.5 倍 · 株価時価総額 16,481 円104 億円
2026 年 6 月期の落ち込みは大型案件の一巡で、建材の出荷は今の水準を保つ。生コンと砕石の価格は物価並みに上がり、営業利益率は 17% 台に戻る。建設は手持ち工事が回復し、完成工事高は件数が今の 95% で単価が物価並みに上がる。本社費も物価で増える。配当性向は 14% まで上がり、現金は積み上がり続ける。純利益は 6 億円ほどになる。受注が減った建設も、2〜3 年かけて手持ち工事が元に戻る。砕石の山は新しい採石区域に移るため、設備投資は今より少し大きいが、営業の現金はそれを上回る。経営は還元に前向きになりつつある、という中間の姿だ。
- 建材(砕石・生コンクリート):数量 74.5(出荷量(万トン。生コンは重量に換算して合算、推定))× 価格 0.57(1 万トンあたりの売上(億円))→ 売上 43 億円・営業利益 7 億円。出荷 74.5 万 t・1.34 倍
- 建設(才田組の土木・建築):数量 38.0(完成工事の件数(推定))× 価格 1.10(1 件あたりの完成工事高(億円))→ 売上 42 億円・営業利益 3 億円。38 件
- 酒類:数量 30.0(出荷(万本、推定))× 価格 0.13(1 万本あたりの売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。出荷 30 万本
- その他(石油製品・不動産・太陽光・警備・乳酸菌など):数量 372(取引・契約の件数(推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。契約 372 件
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.5% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)10 億円。全体の PER 13.5 倍、時価総額 90 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元の減益が一巡して平均的な水準に戻る筋書きで、2 割とした。
中立 38% 中立:数量はやや減り、物価で名目が伸びる 利益 4 億円 · PER 12.9 倍 · 株価時価総額 12,402 円78 億円
人口減で、砕石と生コンの出荷は今の 95% に、建設の件数は今の 85% に緩やかに減る。価格は燃料・人件費の上昇を転嫁して、建材は 1.30 倍、建設は物価並みの 1.34 倍になる。建材の営業利益率は 16% で、今の 17.5% より低い。更新投資が物価で膨らむ一方、既存設備の償却は取得価額のままで増えないため、利益は見かけでは守られるが、現金は更新投資で出ていく。本社費は物価で 1.34 倍になる。配当は少しずつ増えるが、配当性向は 1 割強にとどまる。売上は 84 億円ほど、営業利益は 6 億円弱になる。足元の受注減で建設は 2〜3 年弱いが、その後は件数が緩やかに減るだけだ。建材の価格は、近隣の競合が少ない地域では物価並みに上げられる。現金は積み上がり続け、半分ほどが株主に戻る価値を持つと数える。
- 建材(砕石・生コンクリート):数量 68.7(出荷量(万トン。生コンは重量に換算して合算、推定))× 価格 0.55(1 万トンあたりの売上(億円))→ 売上 38 億円・営業利益 6 億円。出荷 68.7 万 t(95%)・1.30 倍
- 建設(才田組の土木・建築):数量 34.0(完成工事の件数(推定))× 価格 1.10(1 件あたりの完成工事高(億円))→ 売上 37 億円・営業利益 2 億円。34 件(85%)
- 酒類:数量 30.0(出荷(万本、推定))× 価格 0.13(1 万本あたりの売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。出荷 30 万本
- その他(石油製品・不動産・太陽光・警備・乳酸菌など):数量 372(取引・契約の件数(推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。契約 372 件
倍率:事業の純利益 4 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.5% が k 7.75% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)10 億円。全体の PER 12.9 倍、時価総額 64 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:足元は悪化しているが、建材の地理の堀と純現金があり、大きく崩れにくい中心を 4 割弱に置いた。
やや悲観 27% やや悲観:建材の数量が 2 割減り、建設の受注も細る 利益 1 億円 · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 4,062 円26 億円
九州の人口減と公共工事の天井で、建材の出荷は今の 8 割に縮み、近隣の砕石会社との価格競争で価格は 1.20 倍にとどまる。建設は手持ち工事が薄いまま受注が戻らず、件数は今の 7 割になり、営業利益率は 3.5% に沈む。酒類は赤字が続く。本社費は物価で増える一方、売上は名目で横ばいに近い。現金は一部が事業の立て直しに使われる。配当は今の水準を保つ程度にとどまる。建設は入札で価格を叩かれ、粗利が薄い工事を取らざるをえなくなる。建材の利益率が 11% まで下がっても、現金があるため経営は危機にはならず、損益は低空飛行を続ける。
- 建材(砕石・生コンクリート):数量 57.8(出荷量(万トン。生コンは重量に換算して合算、推定))× 価格 0.51(1 万トンあたりの売上(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 3 億円。出荷 57.8 万 t(8 割)・1.20 倍
- 建設(才田組の土木・建築):数量 28.0(完成工事の件数(推定))× 価格 1.07(1 件あたりの完成工事高(億円))→ 売上 30 億円・営業利益 1 億円。28 件(7 割)
- 酒類:数量 27.0(出荷(万本、推定))× 価格 0.12(1 万本あたりの売上(億円))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。出荷 27 万本
- その他(石油製品・不動産・太陽光・警備・乳酸菌など):数量 300(取引・契約の件数(推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。契約 300 件
倍率:事業の ROE 1.4%(事業の純利益÷事業の自己資本)、k 7.75%。ROE が k 以下なので PER の上限は 1÷k=12.5 倍。上限の 7.0 割に置いて 8.8 倍。余った現金 9.8 億円は利息分を事業の利益から外し、戻り方 0.50 を掛けて足した。利益の質が落ちる筋書きで、上限の 7 割に置いた。
確率:建材の減収・受注の減少が足元で進んでおり、悪い方向に振れやすい。27% と重めに置いた。
悲観 10% 悲観:建材と建設がともに構造的に縮む 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 1,428 円9 億円
九州の人口減と公共工事の縮小が重なり、建設の受注は半分に減る。砕石は近隣の供給過剰で値下げ競争になり、出荷は今の 6 割、価格は物価に届かない 1.05 倍にとどまる。環境規制の強化で採石の費用が膨らむ。本社費と酒類の赤字は固定的に残り、営業利益は赤字になる。経営は現金を事業の維持と再編に使い、少数株主には戻らない。時価総額は、事業の稼ぐ力でなく、運転資金を除いた純現金の一部で値が付く。朝倉生コンクリートの連結化は、価格競争の激しい生コンの比重を高め、結果として利益率の足を引っ張る。酒類事業も整理を迫られ、損失を計上する。
- 建材(砕石・生コンクリート):数量 43.4(出荷量(万トン。生コンは重量に換算して合算、推定))× 価格 0.45(1 万トンあたりの売上(億円))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。出荷 43.4 万 t(6 割)・1.05 倍
- 建設(才田組の土木・建築):数量 20.0(完成工事の件数(推定))× 価格 0.98(1 件あたりの完成工事高(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 0 億円。20 件(半分)
- 酒類:数量 20.0(出荷(万本、推定))× 価格 0.10(1 万本あたりの売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。出荷 20 万本
- その他(石油製品・不動産・太陽光・警備・乳酸菌など):数量 200(取引・契約の件数(推定))× 価格 0.01(1 件あたりの売上(億円))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。契約 200 件
倍率:床の資産(運転資金を除いた純現金に、戻り方を掛けた分)で値が付く筋書き。今の自己資本に床の PBR を掛けた。
確率:九州の需要の縮小と規制・価格競争が重なる構造的な負けを 1 割に置いた。受注の薄さと建材の減益は、この方向を指している。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建材(砕石・生コンクリート)
才田砕石工業の砕石・砕砂と、朝倉生コンクリートの生コンの製造・販売・運搬。
| 数量出荷量(万トン。生コンは重量に換算して合算、推定) | 価格1 万トンあたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 72.3 | 0.43 | 31 | 5 |
| 10 年後 中立 | 68.7 | 0.55 | 38 | 6 |
取り方:売上 30.86 億円・営業利益 5.41 億円は開示。数量は開示がなく、砕石を約 16.5 億円(1 トン約 3 千円)、生コンを約 14.4 億円(1 立方メートル 1.9 万円・約 2.3 トン)と割って重量にした推定で、全体で約 72 万トン・1 トンあたり約 4.3 千円。
建設(才田組の土木・建築)
官公庁と民間の土木・建築工事。福岡県の朝倉市周辺が中心。
| 数量完成工事の件数(推定) | 価格1 件あたりの完成工事高(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 40.0 | 0.82 | 33 | 2 |
| 10 年後 中立 | 34.0 | 1.10 | 37 | 2 |
取り方:完成工事高 32.82 億円・営業利益 2.36 億円は開示。件数は開示がなく、1 件約 8,200 万円の地方の工事規模から 40 件前後と置いた推定。
酒類
酒類の製造・販売。ほぼ赤字が続く小さな事業。
| 数量出荷(万本、推定) | 価格1 万本あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 30.0 | 0.10 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 30.0 | 0.13 | 4 | 0 |
取り方:売上 2.94 億円・営業損失 0.05 億円は開示。本数は開示がなく、1 本 1 千円弱の推定で割り戻した。
その他(石油製品・不動産・太陽光・警備・乳酸菌など)
小さな事業の集まり。
| 数量取引・契約の件数(推定) | 価格1 件あたりの売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 372 | 0.01 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 372 | 0.01 | 5 | 0 |
取り方:売上 3.72 億円・営業利益 0.29 億円は開示。件数は開示がなく、1 件 100 万円の推定で割り戻した。
リスクと懸念
建設の手持ち工事の薄さ
才田組の手持ち工事は 11 億円で、年間の完成工事高 31 億円の 3 分の 1 強しかない。2026 年 6 月期の受注は 37.5% 減で、今後 2〜3 年の建設の売上と利益が細る。
建材の数量の落ち込み
建材の売上は 2026 年 6 月期に 21.5% 減り、営業利益は 36% 減った。会社は 2027 年 6 月期の営業利益をさらに 4 分の 1 減と予想する。大型案件が戻らなければ、減益が定着する。
現金が株主に戻らない
配当性向は 9% で、現金 34 億円が積み上がる。自社株買いもない。大株主の賀和興産が 26% を持ち、少数株主の還元要求は通りにくい。
環境規制と採石の許認可
砕石は採石法・砕石業法の規制を受け、新しい山を開くのは難しい。規制の強化や行政処分は、建材の数量と利益に直撃する。
人口減と公共予算の天井
九州の地方は人口が減り、公共工事の予算にも限りがある。建設・建材の数量は、物価の分を除けば減るのが基本だ。
本社費と小さな事業の負担
持ち株会社の費用が年 2 億円かかり、酒類事業は赤字が続く。建材の利益が細ると、この固定的な負担が重くのしかかる。
今後の分かれ目
- 配当性向を 3 割へ引き上げる、または自社株買いを始めたら
- 余った現金の戻り方を 0.5 から上げてよい。中立の価値が 2 割ほど上がる。
- 建設の受注高が 2 期続けて完成工事高を下回ったら
- 建設の数量を下げ、やや悲観の確率を上げる。
- 建材の売上が 2027 年 6 月期に会社予想を下回り、2 期連続で減ったら
- 建材の数量を下げ、中立の営業利益を下げる。
- 朝倉生コンクリートの連結で建材の営業利益率が 20% を超えて定着したら
- 楽観・やや楽観の確率を上げる。
- TOB や大株主の動きなどの報道が出たら
- 割安度は上がるが、価格が上がった後の期待リターンは下がる。買付価格は純現金を織り込むかを見る。
- 採石の許認可の更新や環境規制の変更が出たら
- 建材の利益率と数量の見通しを見直す。
見ておくもの
- 建設の受注高と手持ち工事高
- 建材の売上と営業利益率(四半期)
- 配当方針と自社株買い
- 賀和興産の持株比率と大量保有報告
- 採石・環境の規制と許認可
倍率と資本コストの決め方
倍率は ROE と k から式で出した。事業の ROE は純現金を除いても資本コストを超えにくく、PER の上限は 1÷k で、中立は上限の 8.5 割に置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。数量は人口減で建材 0.95 倍・建設 0.85 倍、価格は物価並み(建材 1.30 倍・建設 1.34 倍)。本社費は物価で増やし、建材設備の償却は取得価額のまま(年 2 億円前後の推定)とし、更新投資で現金が出ていく点は利益率に織り込んだ。余った現金は戻り方 0.5 で割り引いた。新リース会計基準は、リース資産が小さい(提出会社 410 万円)ため影響は軽微。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.9→14.72 倍・やや楽観 PER 11.2→13.5 倍・中立 PER 10.6→12.9 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。