結論
SDSホールディングスは、空調・電気設備の省エネ改修を設計から施工まで請け負う小さな工事会社だ。売上は 50 億円台で、AI 向けの小型データセンター工事にも手を伸ばしている。筆者の結論は「割高」である。営業利益は黒字に戻ったが、1 億円の営業利益に対して利息が 1 億円かかり、株主に残る利益はほぼない。
理由は 3 つある。第 1 に、18 期連続で最終赤字という履歴が、事業の収益力の低さを示している。第 2 に、自己資本比率は 10% しかなく、借入の借り換えで金利が上がれば利益が消える。第 3 に、増資を何度も重ねて、既存株主の持ち分が薄まってきた。
10 年後の中立でも、時価総額は今の 1 割に満たない。今の値段を超えるのは、利益率が今の 3 倍以上になる強気の筋書きだけだ。会社は 2027/03 期に売上 62 億円、営業利益 1.2 億円を計画するが、過去の計画は 2024 年と 2025 年に下方修正されている。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、まず事業が 10 年後も儲かっているかを問う。この会社は過去 18 期、最終赤字が続いており、利益の見通しを自信を持って立てられない。わからない事業は確信度を下げる、というのが基本だ。
次に、株主が自由に使える利益を考える。営業利益のほぼ全部が利息に消え、残る利益は小さい。工事は完成のたびに運転資金と受注残が要り、稼いだ現金が自由になるわけではない。
資本の使い方も気になる。本業の収益力が確立する前に、暗号資産や少数株への投資を始めている。株主から見れば、事業の改善より新しい賭けのほうが先に来ている。
最後に安全域だ。時価総額 24 億円に対し、純負債は約 20 億円で、10 年後の中立でも価値は今を大きく下回る。優良な会社に払う値段に安全域があるのではなく、不確実な会社に払う値段に安全域がない、という見立てになる。
何で稼ぐ会社か
主力は省エネソリューション事業で、ビルや工場の空調・照明・電気設備を省エネ型に入れ替える工事を、設計から施工まで一括で請け負う。顧客は商業施設・オフィス・工場の所有者だ。売上の大半はこの工事で、完成した時点で収益になる。
子会社の省電舎は、空気冷却を軸にした空調工事の実績を持つ。2026 年 2 月、その技術を生かして小型・分散型の AI データセンターの建設とGPU クラウドの事業に参入した。東京都内で高密度サーバー向けの工事を受注し、納入も済ませている。
2026 年 5 月には、持分法適用の関連会社 HARUMI TRUST の残りの株式を取得して完全子会社にした。同社は再生可能エネルギーの発電所、不動産の売買・賃貸、投資、暗号資産の取得を手がける。第三者割当で調達する資金は、暗号資産・少数株への投資・M&A に使う方針だ。
本業の工事と、投資・新分野の 2 本立てになった。工事は景気と入札で振れ、新分野は結果が読めない。筆者は、資金を本業の利益率の改善に使うのが先だと見る。売上の伸びを利益に変えられるかが、この会社の分かれ目になる。
優良さと弱いところ
堀と呼べるほどの強みは、今のところ見えない。省エネ工事は見積もりを競う市場で、大手設備会社・電機メーカー系・地場の設備業者が競合に並ぶ。値段を自分で決める力は弱い。
収益力を示す数字がそれを裏づける。営業利益率は過去 12 年で最良の年でも 2% 台、残りの年は赤字だ。2023 年 9 月の 3 か年計画は、省エネ事業で想定した利益率を保てないとして、2024 年 5 月と 2025 年 5 月に数値を修正した。
資本の面では、自己資本比率が 10%、利払いは営業利益とほぼ同額で、余裕がない。過去 20 年に増資で株数が増えた期が 6 回ある。
評価できる点もある。2025 年 6 月に継続企業の前提の注記を外し、2027/03 期 1Q は売上が 4 割伸びて過去最高になった。ただ利益が伴うかは、まだ確かめられていない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
省エネ改修の市場は、物価上昇と電気代の高止まりで底堅い。断熱・空調・照明の入れ替えは、省エネ法と補助金が後押しし、建物の老朽化で件数は増える方向にある。
問題は、この需要が小さな専業に利益を残さないことだ。設備工事では、元請けの大手が値段と工程を握り、専業は下請けや小口で受ける。2024 年 4 月の残業規制以降、技能労働者の不足で人件費が上がり、工事の採算が圧迫されている。上場の設備会社の多くが価格転嫁で利益率を改善した一方、小さな会社はその恩恵を受けにくい。
新分野のデータセンターは需要が急に立ち上がったが、大手のゼネコンや電気設備会社が大型案件を押さえている。小型・分散型は隙間だが、規模が小さく、顧客数も少ない。
業界全体の数量は実質で横ばいから微増と見る。人口が減る国内では、伸びるのは入れ替え需要だけだ。新築の少ない地方では、特にその傾向が強い。
価格は物価並みに上がるが、人件費の上昇が同じ速さで進むため、利益率を押し上げる力は弱い。新リース会計が 2028/03 期から入っても、工事の本質的な儲けは変わらない。
資本政策と M&A
還元はない。2026/03 期は無配で、2027/03 期の予想も無配だ。赤字が長く、配当原資がない。
資本政策の中心は増資と M&A になっている。過去 20 年で 6 回、株数が増える希薄化の期があった。2026 年 5 月の HARUMI TRUST の完全子会社化は、第三者割当で資金を集め、暗号資産や少数株投資に回す方針を示した。
本業の利益率が低いまま、本業以外へ資金を振り向けることに、筆者は慎重だ。投資は結果が読めず、暗号資産は価格の振れが大きい。得た資金が借入の返済や工事の採算改善に向かうなら評価できるが、現時点ではその証拠がない。
TOB や買収の可能性は低い。時価総額が 24 億円と小さく、純負債が重いためだ。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
省エネ改修は物価と電気代の上昇で需要が続き、会社は 2028/03 期に売上 72 億円を計画している。2027/03 期の第 1 四半期は売上が 4 割増で、19 期ぶりに過去最高を更新した。省電舎の空気冷却技術は、電力を食う AI データセンターの課題にかみ合う。小型・分散型は大手が手を出しにくい隙間で、東京都内の案件はすでに引き渡している。
2025 年 6 月に継続企業の前提の注記を外し、営業利益は黒字に転じた。工事の件数が増えれば固定の本社費を薄められ、利益率は上がる余地がある。HARUMI TRUST を子会社にして資金を得たことで、借入の返済も進められる。売上が 2 倍になれば、利息を払ってもなお利益が残る構造になる。小さな時価総額に対して、立ち上がりの変化は大きい。会社は 2028/03 期までの増収を計画しており、勢いは数字に出始めている。データセンター向けの空調は、冷却の設計力が価格に反映されやすく、一般の改修より粗利が厚くなる可能性がある。
慎重な見方
18 期連続の最終赤字で、会社が出す計画は 2024 年にも 2025 年にも下方修正された。営業利益率は最良の年でも 2% 台で、1 億円の営業利益に対して利息が 1 億円かかる。借入の借り換えで金利が上がれば、利益はさらに削られる。自己資本比率は 10% で、赤字が 1 年出るだけで余裕がなくなる。
新分野も当てにならない。データセンター工事は大手が大型案件を押さえ、小さな専業が継続して受注できる保証がない。暗号資産への投資は価格の振れが大きく、本業の収益力を高めるものではない。増資で株数を増やし続けてきた履歴から、既存株主の取り分が薄まる可能性は高い。売上が伸びても利益が出ない構造のまま、規模だけが大きくなるのが最も起きやすい。小さな会社は、1 件の失注や 1 件の工事遅れが年間の利益を消してしまう。売上の伸びを示す数字より、営業利益と利息の差を見るべきだ。それが 18 期、改善していない。
どちらに重みを置いたか
弱気の見方が強い。利益が出ない構造は 18 期続いており、売上の伸びだけでは利息を賄えない。強気の筋書きは、利益率が今の 3 倍以上になることを求めるが、その裏づけは計画の達成実績にない。確率は、強気の筋書きに 1 割台しか置かず、慎重な側の合計を 5 割強に置いた。結果として、中立でも今の値段を大きく下回る。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 80 円8 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 5 円0 億円)。 今の値に割り戻すと 34 円4 億円、今との差 −85.2%、 期待の年率 −9.4%(資本コスト 10.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 5% | 688 円72 億円 | 58 円6 億円 | +227.1% | +12.6% | 37 円4 億円 |
| やや楽観 | 12% | 283 円30 億円 | 14 円2 億円 | +30.3% | +2.7% | 36 円4 億円 |
| 中立 | 30% | 29 円3 億円 | 0 円0 億円 | −87.4% | −18.7% | 9 円1 億円 |
| やや悲観 | 28% | 10 円1 億円 | 0 円0 億円 | −95.8% | −27.2% | 3 円0 億円 |
| 悲観 | 25% | 2 円0 億円 | 0 円0 億円 | −99.2% | −38.0% | 0 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 80 円8 億円 | 5 円0 億円 | −62.8% | −9.4% | 85 円9 億円 |
今の株価時価総額 228 円24 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 10.0% を下回るほど割高。
楽観 5% 省エネと AI 向け空調が噛み合い、赤字体質を抜ける 利益 6 億円 · PER 12.2 倍 · 株価時価総額 688 円72 億円
省電舎の空気冷却を軸にした小型データセンターが東京圏で連続して受注され、省エネ改修と合わせて完工件数が 1.6 倍になる。大型化と値上げで 1 件あたりの売上も上がり、売上は 130 億円に届く。工事の粗利が厚くなり、本社費を吸収して営業利益は 10 億円近くまで伸びる。借入は 3.5% 前後の金利で借り換えるが、利益が利息を大きく上回り、自己資本は積み上がる。新事業の再生可能エネルギーと不動産の運営は、小さくても安定した利益を足す。配当も再開できる。ただしここまで行けば、もう『万年赤字の小さな工事会社』ではない。顧客との取引と施工の実績が積み上がり、元請けとして価格を決められる会社になっている。
- 省エネ工事(設計施工・リノベーション):数量 240(完工件数(件・年、推定))× 価格 0.45(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 108 億円・営業利益 9 億円。240 件 × 1 件 0.45 億円(今の 1.45 倍)、営業利益率 8%
- 新規事業(AI データセンター・再生可能エネルギー・不動産・投資):数量 30.0(案件数(件・年、推定))× 価格 0.75(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 23 億円・営業利益 3 億円。30 件 × 1 件 0.75 億円、営業利益率 15%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.7% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 14.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.2 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.2 倍。全体の PER 12.17 倍、時価総額 72 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:18 期のうち黒字化できていない会社が、10 年続けて利益率を 8% まで引き上げる筋書き。実現すれば大きいが、連続して当たる確度は低い。
やや楽観 12% 省エネ需要を取り込み、薄い利益が太くなる 利益 3 億円 · PER 11.3 倍 · 株価時価総額 283 円30 億円
省エネ改修とデータセンター向け空調工事の件数が 1.3 倍になり、売上は 100 億円に迫る。工事の利益率は 6% に上がるが、これは過去 12 年で最も良かった年の 2 倍以上であり、粗利の高い設計・保守を足せた時だけの水準だ。利息の負担は今とほぼ同じで、営業利益の増加分がそのまま純利益に回る。自己資本は 17 億円前後まで積み上がり、借入への依存は下がる。配当は小さく再開する。データセンター向けの空調は、冷却の設計力が価格に反映され、一般の改修より粗利が厚くなる。新事業の安定利益も加わり、会社は初めて継続的な黒字を実現する。
- 省エネ工事(設計施工・リノベーション):数量 195(完工件数(件・年、推定))× 価格 0.43(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 84 億円・営業利益 5 億円。195 件 × 1 件 0.428 億円(今の 1.38 倍)、営業利益率 6%
- 新規事業(AI データセンター・再生可能エネルギー・不動産・投資):数量 24.0(案件数(件・年、推定))× 価格 0.70(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 2 億円。24 件 × 1 件 0.7 億円、営業利益率 12%
倍率:事業の純利益 3 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 15.0% が k 10.00% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 12.5%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 11.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.3 倍。全体の PER 11.34 倍、時価総額 30 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社自身の 2028/03 期計画(売上 72 億円)に沿って件数が増え、利益率が少し改善する筋書き。過去の計画の修正実績から確度は中程度。
中立 30% 売上は伸びるが、利息が利益を食い続ける 利益 0 億円 · PER 10.0 倍 · 株価時価総額 29 円3 億円
省エネ改修の需要は続き、完工件数は 1.1 倍、売上は 78 億円ほどになる。しかし工事は入札と相見積もりで値段が決まり、人件費・資材費の上昇を価格に転嫁しきれない。営業利益率は 2% 弱と、直近の最良の年とほぼ同じにとどまる。営業利益は 1.5 億円、そこから借入の利息 1.1 億円を引くと、手元に残る純利益は 0.3 億円だ。自己資本は 7 億円台までしか増えず、配当は出せない。事業は存続するが、株主に残るものは薄い。最初の数年は赤字が残り、自己資本は 4 億円台まで細ってから、ゆっくり戻る形になる。
- 省エネ工事(設計施工・リノベーション):数量 165(完工件数(件・年、推定))× 価格 0.42(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 69 億円・営業利益 3 億円。165 件 × 1 件 0.415 億円(今の 1.34 倍)、営業利益率 4%
- 新規事業(AI データセンター・再生可能エネルギー・不動産・投資):数量 15.0(案件数(件・年、推定))× 価格 0.67(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。15 件 × 1 件 0.67 億円、営業利益率 7%
倍率:事業の純利益 0 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.7% が k 10.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 10.0 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 10.0 倍。全体の PER 10 倍、時価総額 3 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 18 期のうち黒字は一度もなく、会社計画の営業利益率も 2% 前後にとどまる。それをほぼ追認し、確率を最も厚く置いた。
やや悲観 28% 工事の値下げ競争と資金繰りで、赤字が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 10 円1 億円
省エネ改修は元請けの大手が力を持ち、小さな専業は下請けに回って利益が出ない。完工件数は 1 割減り、価格競争で単価の伸びも物価に届かない。営業利益は 0.4 億円で利息を賄えず、毎年 1 億円弱の赤字が出る。減損と少額の増資でしのぐが、自己資本は 5 億円ほどに細る。新事業の再生可能エネルギーや投資も当たらず、損失が出る。工事の採算管理が追いつかず、不採算の案件で粗利が削られる。配当は出せず、株主に返る現金はない。会社は存続するが、利息と赤字で、時間とともに体力が細っていく。取引先や金融機関の見る目も厳しくなり、新しい借入の条件も悪くなる。
- 省エネ工事(設計施工・リノベーション):数量 140(完工件数(件・年、推定))× 価格 0.39(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 55 億円・営業利益 2 億円。140 件 × 1 件 0.39 億円(今の 1.26 倍)、営業利益率 3%
- 新規事業(AI データセンター・再生可能エネルギー・不動産・投資):数量 8.0(案件数(件・年、推定))× 価格 0.60(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。8 件 × 1 件 0.6 億円、営業利益率 0%
倍率:ROE がマイナスで稼ぐ力から値が付かないので、今の自己資本 5.8 億円(または純現金+売れる資産)に 0.2 倍を掛けた床。
確率:長い赤字の履歴と、自己資本比率 10% の薄さから、悲観寄りの確率を厚く置いた。
悲観 25% 資金繰りが行き詰まり、希薄化と減損で株主の取り分が消える 利益 −3 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 2 円0 億円
データセンター向け工事は競合に取られ、本業の省エネ改修も大手の下請けに沈む。件数は 2 割減り、営業利益は 2 億円近い赤字になる。借入の借り換えは金利 3.5% 以上になり、利息が重くのしかかる。減損と赤字で自己資本は 2 億円まで削られ、増資を重ねる。既存の株主の持ち分は大きく薄まり、残る価値は売れる資産の一部にとどまる。会社が清算されない限り、少数株主には使い道を決める力がなく、純現金があっても株主に戻る保証はない。事業の撤退や売却が進めば、残る価値は工事の請負契約と設備の売却額にほぼ限られる。
- 省エネ工事(設計施工・リノベーション):数量 120(完工件数(件・年、推定))× 価格 0.38(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 46 億円・営業利益 −1 億円。120 件 × 1 件 0.38 億円(今の 1.23 倍)、営業利益率 −2%
- 新規事業(AI データセンター・再生可能エネルギー・不動産・投資):数量 5.0(案件数(件・年、推定))× 価格 0.55(1 件あたり売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。5 件 × 1 件 0.55 億円、営業利益率 −5%
倍率:稼ぐ力は赤字で値が付かず、床は売れる資産の税後。今の自己資本 5.8 億円に 0.1 倍を掛けた。
確率:債務超過寸前の自己資本、営業利益の 1.1 倍しかない利払い、過去の度重なる増資という履歴から、構造的な負けの確率を 1 割台でなく 25% 置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
省エネ工事(設計施工・リノベーション)
ビル・工場の空調・照明・電気設備を省エネ型に入れ替える設計施工。売上の約 9 割。
| 数量完工件数(件・年、推定) | 価格1 件あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 150 | 0.31 | 47 | 2 |
| 10 年後 中立 | 165 | 0.42 | 69 | 3 |
取り方:短信のセグメント内訳は開かず、売上 52.5 億円のうち 46.5 億円を省エネ工事、残りを新規と推定。1 件あたり約 0.31 億円(小口から大型まで混在)として件数を約 150 件と推定した。件数は実質の数量で、物価 3% と大型化は 1 件あたり売上に入れた。営業利益 2.0 億円は、会社全体の営業利益 1.1 億円に本社費約 1.4 億円を戻して推定。
新規事業(AI データセンター・再生可能エネルギー・不動産・投資)
省電舎の小型データセンター、HARUMI TRUST の発電所・不動産・投資など。売上の約 1 割。
| 数量案件数(件・年、推定) | 価格1 件あたり売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 12.0 | 0.50 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 15.0 | 0.67 | 10 | 1 |
取り方:データセンター工事や再エネ・不動産の売上を合わせて約 6 億円と推定し、1 件 0.5 億円で 12 件とした。開示が薄いため推定。件数は実質、1 件あたりは名目。
リスクと懸念
利払いが利益を食う
営業利益は約 1 億円に対し、支払利息も約 1 億円。借入は借り換えのたびに新しい金利になり、3.5% 前後まで上がれば営業利益の増加分が利息に消える。自己資本比率は 10% で、赤字が続けば自己資本が細り、借り換えの条件も悪くなる。
希薄化(増資の繰り返し)
過去 20 年に株数が増える期が 6 回あった。2026 年 5 月の HARUMI TRUST の完全子会社化も、第三者割当による資金調達が絡む。増資のたびに既存株主の持ち分は薄まり、1 株あたりの価値が下がる。
本業の利益率が上がらない
営業利益率は最良の年でも 2% 台。2024 年 5 月と 2025 年 5 月に中期計画の数値を修正した。省エネ工事は入札で値段が決まり、人件費と資材費の上昇を価格に転嫁しきれない。件数が増えても利益が伴わない恐れがある。
暗号資産・少数株投資の損失
調達資金の使い道に暗号資産と少数株への投資が挙がっている。価格の振れが大きく、本業の収益力を高めるものでもない。損失が出れば、薄い自己資本が直接削られる。
データセンター事業の持続性
小型・分散型の AI データセンターは需要が急に立ち上がったが、大手の電気設備会社・ゼネコンが大型案件を押さえている。少数の顧客に依存し、受注が途切れれば売上の伸びが止まる。
人手不足と工期
2024 年 4 月の残業規制以降、技能労働者の不足で人件費が上がっている。小さな会社は、採用と外注の単価で大手に劣り、工期の遅れと採算悪化の影響を受けやすい。
今後の分かれ目
- 営業利益が 3 億円を超えて 2 期続いたら
- 利息を払ってもなお利益が残る構造になり、強気側の筋書きの確率を上げる。
- 借入の借り換えで金利が 4% を超えたら
- 純利益が営業利益を大きく下回り、慎重な側の筋書きに寄せる。
- 追加の第三者割当増資が出たら
- 既存株主の持ち分が薄まるため、1 株あたりの価値を下方に見直す。
- 暗号資産への投資で評価損が出たら
- 自己資本が削られ、財務の余裕がさらに薄くなる。悲観側の確率を上げる。
- データセンター工事の受注が複数の顧客で続いたら
- 新規事業が収益の柱になり得るため、件数の前提を上げる。
- 自己資本比率が 5% を割ったら
- 資金繰りの懸念が強まり、悲観の筋書きが近づいたと見る。
見ておくもの
- 営業利益と支払利息の比率(四半期)
- 自己資本比率と借入の借り換え条件
- 第三者割当・新株予約権の発行
- データセンター・省エネ工事の受注残と顧客数
倍率と資本コストの決め方
今の株価(時価総額 24 億円)には寄せず、完工件数 × 1 件あたり売上で 10 年を積んだ。k は基本 7.5% に quality +2.5%(循環・値決め・借金・寿命)を足して 10.0%。中立は ROE が k を下回るので PER は 1÷k=10 倍が上限で、その約 7 割に置いた。純有利子負債は約 20 億円あり、時価総額を大きく上回るため、悲観では資産の売却と希薄化を床に置いた。新リース会計は今の形(家賃を営業費用に入れる)でそろえている。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10.3→12.17 倍・やや楽観 PER 8.9→11.34 倍・中立 PER 7→10 倍)。
資本コスト 10.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。