結論
サンヨーホームズは、大阪を地盤に分譲マンションと住宅の請負を営む中堅の住宅会社だ。筆者の結論は「やや割高」で、いちばんの理由は資本コストに届かない稼ぐ力にある。
2026年3月期は営業利益が倍増し、過去最高に近い利益を出した。だが稼いだのはほぼマンションで、住宅の請負は赤字だった。マンションの受注残は前年の4割に減り、今期の1Qは大きな赤字で始まった。過去10年のROEの中央値は4.4%で、資本コストの半分しかない。
PBRは0.5倍を切り、帳簿から見れば安い。だが借金で分譲の在庫を持つ事業は、ためた利益が資本コストに見合って増えない。新株予約権の行使で株主の取り分も1割強薄まる。筆者は、利益率が過去の平均より少し上に戻る姿を中心に置く。その前提では、10年の価値は今の値段をやや下回る。
楽観の筋書きでは、大阪のマンションが最高益の水準で続き、和歌山のゴードンストウン・スクールの寮も新しい柱になる。それでもROEは7%台で、資本コストに届かない。市場の低い倍率は、この稼ぐ力の弱さを正しく映していると筆者は見る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「帳簿は安いが、事業は資本を増やさない」の典型だ。PBRは0.5倍を切る。だが過去10年、資本コストを超えて稼いだ年は無い。ためた利益が同じ額の価値を生まないなら、帳簿の安さは安全域にならない。
事業も予測しにくい。分譲マンションの利益は、用地を何戸分取れたか、いつ引き渡すかで年ごとに大きく変わる。10年後の稼ぐ力を確かな幅で読むのは難しい。
株主のものになる利益も、見た目より少ない。マンションの在庫を回すために借金を抱え、利益の多くは次の用地に消える。そのうえ新株予約権で取り分が薄まる。筆者は、マンションの利益が過去の平均に戻ると見るのが妥当だと考える。払う値段に見合う安全域は薄い。
持ち続けたいと思える条件は、住宅の請負が黒字に戻り、マンションの用地の仕入れが安定することだ。それが数字で見えるまでは、帳簿の安さに頼った判断は避けたい。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は分譲マンションだ。大阪の都心や湾岸で「サンメゾン」を開発し、1戸ずつ売る。2026年3月期は売上の半分、セグメント利益のほぼ全部をマンションが稼いだ。用地を借金で買い、建てて売るまでの2〜3年は在庫として持つ。引渡しが重なる年は利益が跳ね、少ない年は落ちる。
住宅の事業は、戸建住宅と賃貸住宅・高齢者向けの福祉住宅の請負、リフォーム、中古住宅を買い取って直して売る事業だ。売上はマンションに近いが、建築費の上昇を値段に乗せきれず、2026年3月期は赤字だった。
その他の事業として、子会社がマンションの管理、保育所、リハビリ型のデイサービスを営む。売上は1割ほどで、利益は小さい。
会社はもともと三洋電機の住宅部門から生まれた。今はLIXILが24.5%を持つ主要株主だ。2025年に新株予約権を出し、英国の名門寄宿学校ゴードンストウンの日本校を和歌山市に誘致する計画に資金を充てる。会社は敷地を貸し、寮を建てる。
お金の流れで見ると、この会社は在庫の商売だ。総資産の多くは分譲の用地と建物で、それを銀行の借金で賄う。利益が出ても、次の用地の仕入れに回るので、手元に残る現金は少ない。
優良さと弱いところ
堀、つまり他社がまねできない強みは、ほとんど無い。分譲マンションは、用地を仕入れる力と販売の力で決まる。大阪では大手のデベロッパーも積極的で、中堅の会社は用地の取り合いで不利だ。住宅の請負は、大手のハウスメーカーと地場の工務店の間で価格の競争にさらされている。
資本効率は低い。過去10年のROEの中央値は4.4%で、赤字の年も3度あった。2026年3月期の8%台は、マンションの引渡しが重なった山だ。会社はROE15〜20%を目標に掲げるが、届いた年は無い。
財務は借金に頼る。分譲の在庫を持つために有利子負債は約195億円あり、銀行の融資には財務の条件が付いている。金利が上がれば利払いが利益を削る。強みを挙げるなら、高齢者住宅や保育などの福祉の分野に早くから取り組んできた経験と、LIXILとのつながりだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の住宅市場は、世帯数の減少で縮んでいく。新設住宅の着工は2025年度に71万戸と、リーマン危機の後を下回る水準まで落ちた。10年後は60万戸台に縮むというのが、業界の見方の中心だ。
分譲マンションは数を減らしつつ値段を上げてきた。建築費と地価の上昇で、大阪の新築マンションの価格も上がり続けている。大阪・関西万博と統合型リゾートの開発で、湾岸の地価は上がった。売れる値段が上がれば、デベロッパーの利益は増える。だが用地の値段も同じく上がるので、中堅の会社の利幅は大手ほど厚くならない。
金利の上昇は逆風だ。住宅ローンの金利が上がれば、買える価格は下がる。分譲の会社は借金で在庫を持つので、自らの利払いも増える。
戸建の請負は、大和ハウス工業や積水ハウスのような大手と、地場の工務店が競う。資材高と職人の不足で建築費は上がり、価格に乗せきれない中小の会社から利益が削られている。サンヨーホームズの住宅の赤字も、この構図の中にある。
10年で見ると、分譲の会社は数を絞って値段で稼ぐ形に変わる。用地を安く仕入れる力の差が、そのまま利益の差になる。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。年1回の期末配当で年3億円強を払い、配当性向20〜30%を目安にする。自社株買いは役員向けの株式給付信託の分にとどまる。
2025年9月に、マッコーリーなどへ新株予約権を出した。潜在株は約297万株で、今の株数の4分の1にあたる。2026年6月までに約112万株が行使された。残りが全部行使されれば、今の株主の取り分は約87%に薄まる。株価の下に行使価額が動くので、株価の重しにもなる。
LIXILが24.5%を持つが、親会社ではない。セコムは行使による株数の増加で主要株主から外れた。LIXILが持株を売るか増やすかは、再編の分かれ目になる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
PBRは0.5倍を切り、2026年3月期のPERは6倍に満たない。純資産170億円の会社が、時価総額80億円弱で売られている。マンションの事業は大阪の都心で手堅く稼ぎ、セグメント利益は33億円と過去最高だった。
大阪は万博の後も、統合型リゾートと湾岸の再開発で人と投資が集まる。新築マンションの値段は上がり続け、売れる値段が上がるほど分譲の会社の利益は増える。
ゴードンストウン・スクールの日本校は、和歌山に新しい需要を生む。寮の請負と敷地の賃貸は、マンションとは別の安定した稼ぎになる。住宅の受注も12%増え、受注残は2割増えた。会社は今期も増収増益を見込む。
LIXILが4分の1を持つ主要株主で、資本の再編が起きれば今の値段は安すぎる。配当は年3億円強で、時価総額に対する利回りは4%近い。
住宅の赤字も、受注の回復と値上げで縮む余地がある。高齢者住宅や保育など福祉の分野の経験は、人口が減っても需要が残る強みだ。
慎重な見方
最高益はマンションの引渡しが重なった山にすぎない。マンションの受注は前年の8割、受注残は4割に減った。今期の1Qは9億円の営業赤字で始まり、通期の計画も下期に寄っている。
住宅の請負は資材高を価格に乗せられず、赤字だった。大手と地場の工務店に挟まれ、値段の力は無い。
ROEの過去10年の中央値は4.4%で、資本コストの半分だ。借金195億円で在庫を持ち、金利が上がれば利払いが利益を削る。銀行の融資には財務の条件まで付いている。
PBRの低さは、資本コストを稼げない事業への市場の正しい評価だ。新株予約権で株主の取り分は1割強薄まり、行使の売りが株価を抑え続ける。ゴードンストウンの計画も、学校の開校と生徒の集まりに左右され、成否はまだ見えない。
大阪の用地は、大手のデベロッパーやホテルとの取り合いで高くなる一方だ。中堅の会社が仕入れで勝ち続けるのは難しい。管理や介護のサービスも利益は小さく、マンションの穴を埋める力は無い。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方の方が強い。最高益がマンションの山であることは受注残の減少と1Qの赤字が示しており、過去10年のROEが資本コストに届かない事実も重い。確率は中立を中心に、やや悲観をやや楽観より厚くした。帳簿の安さは、資本コストを稼げない事業では安全域にならない。結論は今の値段をやや下回る。楽観の筋書きでも、ROEは資本コストに届かない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 859 円106 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 208 円26 億円)。 今の値に割り戻すと 498 円62 億円、今との差 −21.0%、 期待の年率 +5.4%(資本コスト 9.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 10% | 2,122 円263 億円 | 369 円46 億円 | +295.3% | +14.7% | 249 円31 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,277 円158 億円 | 269 円33 億円 | +145.4% | +9.4% | 309 円38 億円 |
| 中立 | 35% | 743 円92 億円 | 202 円25 億円 | +49.9% | +4.1% | 331 円41 億円 |
| やや悲観 | 22% | 453 円56 億円 | 152 円19 億円 | −3.9% | −0.4% | 133 円17 億円 |
| 悲観 | 13% | 242 円30 億円 | 97 円12 億円 | −46.2% | −6.0% | 44 円5 億円 |
| 加重平均 | 100% | 859 円106 億円 | 208 円26 億円 | +69.2% | +5.4% | 1,066 円132 億円 |
今の株価時価総額 630 円78 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 9.0% を下回るほど割高。
楽観 10% マンションと学校の寮が両輪になる 利益 25 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 2,122 円263 億円
大阪の都心と湾岸で用地が順調に手に入り、分譲マンションの引渡しは今より1割強増える。建築費の上昇は販売価格に乗り、マンションの利益率は10%を保つ。和歌山のゴードンストウン・スクール日本校は開校し、寮の請負と敷地の賃貸が新しい柱になる。戸建と賃貸福祉住宅の請負も、高齢者住宅の需要を取り込んで黒字に戻る。営業利益率は過去最高の4%台後半に届く。新株予約権の行使で入ったお金は寮と用地に回り、株主の取り分は1割強薄まるが、ROEは7%台まで上がる。それでも資本コストには届かず、株価は利益の9倍台にとどまる。
- マンション事業:数量 633(分譲マンションの引渡し戸数(戸・年、推定))× 価格 0.63(1 戸あたりの販売価格(億円・名目))→ 売上 397 億円・営業利益 40 億円。引渡し戸数 1.15 倍 × 1 戸の単価 1.40 倍、営業利益率 10.0%
- 住宅事業:数量 788(請負・販売の件数(件・年、推定))× 価格 0.41(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 326 億円・営業利益 11 億円。請負・販売の件数 1.15 倍 × 1 件の単価 1.38 倍、営業利益率 3.5%
- ライフサポート事業(その他):数量 18,700(管理・サービスの戸数(戸、推定))× 価格 0.00(1 戸あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 79 億円・営業利益 3 億円。管理・サービスの戸数 1.10 倍 × 1 戸の単価 1.36 倍、営業利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 25 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 8.6% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 277 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:大阪の分譲マンションが今の最高益の水準で続き、ゴードンストウンの寮の請負も成功する筋書き。マンションの受注残が4割に減っており、両方がそろう確率は低い。
やや楽観 20% マンションが細く長く稼ぐ 利益 14 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 1,277 円158 億円
分譲マンションの引渡しは今と同じ水準で続く。用地の値上がりで利益率は8%台に下がるが、大阪の中心部の小ぶりな物件で手堅く稼ぐ。住宅の事業は、リフォームと中古の買取再販が伸び、請負の赤字は止まる。マンションの管理や保育・デイサービスも、管理戸数が少しずつ増えて利益に貢献する。全社の営業利益率は3%台前半で、過去10年の平均を上回る。配当は1株あたりの配当を据え置き、利益の3割弱が株主に戻る。ROEは5%前後で、資本コストを下回る状態は続く。LIXILは主要株主のままで、資本の再編は起きない。新株予約権は全部行使され、株主の取り分は1割強薄まる。株価は利益の11.11倍ほどで、自己資本の半分にとどまる。
- マンション事業:数量 550(分譲マンションの引渡し戸数(戸・年、推定))× 価格 0.61(1 戸あたりの販売価格(億円・名目))→ 売上 335 億円・営業利益 29 億円。引渡し戸数 1.00 倍 × 1 戸の単価 1.36 倍、営業利益率 8.5%
- 住宅事業:数量 719(請負・販売の件数(件・年、推定))× 価格 0.41(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 293 億円・営業利益 7 億円。請負・販売の件数 1.05 倍 × 1 件の単価 1.36 倍、営業利益率 2.5%
- ライフサポート事業(その他):数量 17,850(管理・サービスの戸数(戸、推定))× 価格 0.00(1 戸あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 75 億円・営業利益 2 億円。管理・サービスの戸数 1.05 倍 × 1 戸の単価 1.34 倍、営業利益率 3.0%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.6% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 160 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:マンションの利益率が今の最高から少し下がり、住宅が小さく黒字になる筋書き。2026年3月期に住宅の受注が12%増えた実績はあるが、マンションの受注は2割減っている。
中立 35% マンションの山が去り、元の稼ぐ力へ 利益 7 億円 · PER 11.1 倍 · 株価時価総額 743 円92 億円
2026年3月期の最高益は、大阪のマンションの引渡しが重なった山だった。用地の値上がりと受注残の減少で、マンションの戸数は10年で15%ほど減る。利益率も7%台に戻る。住宅の事業は、建築費の上昇を請負の値段に乗せきれず、利益はほぼ出ない。管理や介護のサービスは物価並みに伸びるが、利益は小さい。全社の営業利益率は2%台後半で、借金の利払いも増える。純利益は今の6割ほどになる。配当は年3億円台を保つ。ROEは3%台で資本コストを大きく下回り、株価は利益の11.11倍ほどにとどまる。新株予約権は行使され、入ったお金はゴードンストウンの寮と用地に回るが、稼ぎを大きく変えるほどではない。LIXILとの関係も今のまま続く。
- マンション事業:数量 468(分譲マンションの引渡し戸数(戸・年、推定))× 価格 0.60(1 戸あたりの販売価格(億円・名目))→ 売上 281 億円・営業利益 21 億円。引渡し戸数 0.85 倍 × 1 戸の単価 1.34 倍、営業利益率 7.5%
- 住宅事業:数量 651(請負・販売の件数(件・年、推定))× 価格 0.40(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 262 億円・営業利益 5 億円。請負・販売の件数 0.95 倍 × 1 件の単価 1.34 倍、営業利益率 1.8%
- ライフサポート事業(その他):数量 17,000(管理・サービスの戸数(戸、推定))× 価格 0.00(1 戸あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 71 億円・営業利益 2 億円。管理・サービスの戸数 1.00 倍 × 1 戸の単価 1.34 倍、営業利益率 2.5%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 3.1% が k 9.00% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.1 倍。全体の PER 11.11 倍、時価総額 81 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今の最高益はマンションの引渡しが重なった山とみて、利益率が過去の平均より少し上に戻る筋書きを中心に置いた。受注残の減少と1Qの赤字がこの見方を支える。
やや悲観 22% 用地が取れず、マンションが細る 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 453 円56 億円
大阪の都心の用地は、大手のデベロッパーやホテルとの取り合いで高くなる。中堅のサンヨーホームズは採算の合う土地を取れず、マンションの引渡しは3分の2に減る。利益率も5%に下がる。住宅の事業は請負の値段の競争で赤字すれすれが続き、寮の請負も一度きりで終わる。全社の営業利益はほぼ本社費で消え、純利益は数億円にとどまる。借金の利払いは増え、配当は細る。株価は自己資本の2割ほどまで下がる。価値を支えるのは、在庫を時間をかけて売り、借金を返した後に残る額だ。LIXILも積極的には動かない。会社は用地の仕入れを絞り、借金を減らして守りに入るが、利益の柱を失った後の打ち手は乏しい。
- マンション事業:数量 385(分譲マンションの引渡し戸数(戸・年、推定))× 価格 0.57(1 戸あたりの販売価格(億円・名目))→ 売上 221 億円・営業利益 13 億円。引渡し戸数 0.70 倍 × 1 戸の単価 1.28 倍、営業利益率 6.0%
- 住宅事業:数量 582(請負・販売の件数(件・年、推定))× 価格 0.39(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 227 億円・営業利益 2 億円。請負・販売の件数 0.85 倍 × 1 件の単価 1.30 倍、営業利益率 1.0%
- ライフサポート事業(その他):数量 16,150(管理・サービスの戸数(戸、推定))× 価格 0.00(1 戸あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 67 億円・営業利益 1 億円。管理・サービスの戸数 0.95 倍 × 1 戸の単価 1.32 倍、営業利益率 1.8%
倍率:純利益はほぼゼロで、稼ぐ力(純利益÷k)では数億円にしかならない。床は在庫を時間をかけて売り借金を返した後に残る額(floor_assets_oku)。今の自己資本 170.1 億円に 0.2234 倍を掛けて同じ額。EV÷営業利益は利益がほぼ無いので大きく出るが、この筋書きは利益でなく資産の床で測る。
確率:大手のデベロッパーとの用地の取り合いに負け、マンションの戸数が3分の2に減る筋書き。マンションの受注が前年の8割に落ちた実績があり、悪い方に振れる余地は大きいとみた。
悲観 13% 分譲の在庫が重荷になる 利益 −19 億円 · PBR 0.2 倍 · 株価時価総額 242 円30 億円
住宅ローンの金利が上がり、分譲マンションの販売が止まる。在庫を値引きで売り、評価損を出す。用地の仕入れも止まり、マンションの事業は赤字に転じる。戸建と賃貸福祉住宅の請負も、資材高と人手不足で赤字の工事が出る。借金の金利は3.5%に上がり、利払いが利益を削る。銀行の財務制限条項に触れかけ、配当は止まる。株価が下がるので新株予約権も行使されない。価値を支えるのは、在庫と賃貸の不動産を売って借金を返した後に残るものだけだ。投げ売りでは在庫の値段は帳簿の7割まで下がり、株主に残る額は自己資本の2割に満たない。
- マンション事業:数量 220(分譲マンションの引渡し戸数(戸・年、推定))× 価格 0.54(1 戸あたりの販売価格(億円・名目))→ 売上 118 億円・営業利益 −1 億円。引渡し戸数 0.40 倍 × 1 戸の単価 1.20 倍、営業利益率 -1.0%
- 住宅事業:数量 480(請負・販売の件数(件・年、推定))× 価格 0.38(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 180 億円・営業利益 −4 億円。請負・販売の件数 0.70 倍 × 1 件の単価 1.25 倍、営業利益率 -2.0%
- ライフサポート事業(その他):数量 15,300(管理・サービスの戸数(戸、推定))× 価格 0.00(1 戸あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 62 億円・営業利益 1 億円。管理・サービスの戸数 0.90 倍 × 1 戸の単価 1.30 倍、営業利益率 1.0%
倍率:赤字で稼ぐ力は測れない。床は在庫と不動産を売って借金を返した後に残る額(floor_assets_oku)。今の自己資本 170.1 億円に 0.1764 倍を掛けて同じ額。
確率:金利の上昇で分譲マンションが売れ残り、在庫の評価損と赤字が続く筋書き。2016年・2023年3月期の赤字と、借金で在庫を持つ形から、構造が崩れる確率は小さくないとみた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
マンション事業
大阪を中心に「サンメゾン」の分譲マンションを開発・販売する。賃貸の物件も持つ。
| 数量分譲マンションの引渡し戸数(戸・年、推定) | 価格1 戸あたりの販売価格(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 550 | 0.45 | 247 | 33 |
| 10 年後 中立 | 468 | 0.60 | 281 | 21 |
取り方:戸数は開示が無いので推定。2026年3月期のマンション事業の売上246.5億円を、大阪の新築マンションの1戸の価格の目安(約4,500万円)で割り約550戸とした。営業利益はセグメント利益33.1億円。
住宅事業
戸建住宅と賃貸・福祉住宅の請負、リフォーム、中古住宅の買取再販(リニューアル流通)を営む。
| 数量請負・販売の件数(件・年、推定) | 価格1 件あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 685 | 0.30 | 206 | −2 |
| 10 年後 中立 | 651 | 0.40 | 262 | 5 |
取り方:件数は開示が無いので推定。売上205.5億円を、戸建・賃貸住宅の請負とリフォーム・再販をならした1件の売上(約3,000万円)で割り約685件とした。セグメント損失2.3億円。
ライフサポート事業(その他)
子会社のサンヨーホームズコミュニティが、マンションの管理、保険の代理、保育所とリハビリ型のデイサービスを営む。
| 数量管理・サービスの戸数(戸、推定) | 価格1 戸あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 17,000 | 0.00 | 53 | 1 |
| 10 年後 中立 | 17,000 | 0.00 | 71 | 2 |
取り方:管理戸数は開示を確かめられず推定。売上53.1億円を約1.7万戸で割り、1戸あたり年31万円(管理料と保育・介護の売上をならした値)とした。セグメント利益0.9億円。本社費9.9億円は adjust に分けた。
リスクと懸念
マンションの山の反動
2026年3月期の利益の大半はマンションの引渡しが重なった結果だ。受注残は前年の4割に減り、今期の1Qは営業赤字で始まった。用地を取れない年が続けば、利益はすぐに過去の水準へ戻る。
金利と在庫
有利子負債約195億円で分譲の在庫を持つ。金利が上がれば住宅ローンで買える価格が下がり、売れ残りと値引きが出る。同時に自らの利払いも増え、評価損と利払いの両方で利益が削られる。
住宅の請負の赤字
資材高と職人の不足で建築費が上がり、戸建や賃貸住宅の請負は価格に乗せきれていない。大手のハウスメーカーと地場の工務店に挟まれ、値段の力が無い構図は簡単には変わらない。
新株予約権による薄まり
2025年に出した新株予約権のうち約185万株が残る。行使されれば今の株主の取り分は約87%に下がる。行使価額は株価に合わせて動くので、行使の売りが株価を抑える面もある。
財務制限条項
銀行の融資には、単体の純資産の維持と、経常利益が2期続けて赤字にならないことという条件が付いている。マンションの不振が重なれば、借り換えの条件が厳しくなる。
今後の分かれ目
- マンションの受注残が2期続けて増える
- 用地の仕入れが戻ったとみて、やや楽観の確率を上げる。
- 住宅事業のセグメント利益が黒字に戻る
- 請負の値上げが通ったとみて、中立の住宅の利益率を見直す。
- ゴードンストウン・スクール日本校の開校が決まる
- 寮の請負と賃貸の稼ぎが見えるので、楽観の筋書きを厚くする。
- LIXILが持株を売る、または買い増す
- 資本の再編の可能性が動くので、確率の重みを見直す。
- 販売用不動産の評価損が出る
- 在庫の重さが表に出たとみて、悲観に寄せる。
見ておくもの
- マンションの受注高と受注残
- 住宅事業のセグメント損益
- 新株予約権の行使の進み
- 有利子負債と平均の金利
- LIXILの持株比率
倍率と資本コストの決め方
倍率は事業のROEと資本コスト9.0%から決めた。ROEが全筋書きでkを下回るので、PERの上限は1÷kの11.1倍で、その9割前後に置いた。今のPBR0.46倍やPER5.6倍、過去の株価は使っていない。中立の利益率は最高益の年でなく、過去の平均より少し上に置いた。悲観は在庫と不動産を売って借金を返した後に残る額から出した。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 10→11.11 倍・やや楽観 PER 10→11.11 倍・中立 PER 10→11.11 倍)。
資本コスト 9.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.5% = 9.0%。同じ領域の大和ハウス工業(8.25%)より、規模が小さく分譲の在庫を借金で持つ分だけ高い。