結論
守谷商会は、長野県を地盤に建築と土木の工事を請け負う中堅のゼネコンだ。2026年3月期は売上509億円、営業利益39億円で、営業利益率7.6%と過去10年で最高になった。時価総額は約119億円だが、純現金が約61億円あり、事業の値段は60億円ほどにしか置かれていない。
筆者の結論は、10年の稼ぐ力で測ると今の値段はやや割安、というものだ。ただし、今期の利益は山にあたる。営業利益率は10年の中立で5%前後に戻し、建築の施工量も実質で1割ほど減るとみた。それでも純現金と10年の配当が価値を支える。
足元は減益に向かう。2027年3月期の予想は売上490億円、営業利益25.5億円で、34%の減益だ。前期の受注高は建築が2割減り、受注残は薄い。土木の受注は2割近く増えている。
気になるのは、配当の低さだ。配当性向は14%で、純現金は何年も積み上がってきた。中期経営計画は2028年度に性向30%以上を掲げるが、自社株買いの記載はない。現金がどこまで株主に戻るかが、価値の分かれ目になる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安く見えるが、山の利益を見ている」と筆者は考える。
数字は魅力的だ。PERは約4倍、PBRは0.6倍、純現金は時価総額の5割。しかし、2026年3月期の純利益27億円は、過去10年で最高で、前期の16億円から1.7倍になったもの。2027年3月期の予想は17億円で、すでに4割近く減る。山の利益で割って安いのは、見かけだ。
10年の稼ぐ力に戻すと、営業利益率は5%前後、純利益は22億円ほど。この前提でも純現金で価値の半分を支えるので、割安は残る。
問題は、資本の使い方だ。利益を抑えて現金を積むと、ROEが下がる。配当性向は14%で、自社株買いもない。現金が戻らなければ、積み上がった現金の価値は割り引かれる。
倍率は、ROEが資本コストを下回る見通しなので、式の上限1÷kの9割に置いた。余った現金は、戻り方0.5で数えた。
何で稼ぐ会社か
守谷商会の事業は、建築、土木、不動産の3つに分かれる。2026年3月期の完成工事高は、建築が429億円、土木が76億円、不動産が約4億円だった。
建築は、長野県を中心にビル、工場、物流施設、ホテル、医療・福祉施設などを請け負う。売上の84%を占め、セグメント利益は52億円で利益率12%だった。前期は9%で、大型の採算の良い案件が重なって跳ね上がった。
土木は、道路、橋、河川、造成などの公共工事が中心だ。売上は76億円、セグメント利益は7.7億円で、利益率は10%に上がった。国土強靭化の予算が追い風になっている。
不動産は、賃貸と、保有地の開発・売却を手がける。前期は物件の売却で売上が36億円あったが、当期は4億円に減り、営業利益は49百万円の赤字だった。投資不動産を約30億円に積み増している。
連結子会社は5社で、土木の2社、不動産の1社、建築の2社。従業員は連結445人、提出会社331人で、平均年収は705万円。セグメント利益の合計59億円から全社の費用20億円を引いたものが、連結の営業利益39億円になる。
優良さと弱いところ
事業の質は、筆者の目には「地盤は固いが、稼ぎは景気と案件で振れる」だ。
強みは、地元との付き合いの長さにある。創業は1915年で、地元の官公庁、金融機関、取引先持株会との関係が厚い。民間の建築は、地元企業の工場や物流施設の建て替えで繰り返し受注する。
弱みは三つ。一つ目は、請負の価格が入札と見積りの競争で決まり、自分で値段を決められないこと。二つ目は、資材高と技能者不足で原価が上がること。三つ目は、案件の数が少なく、数件の大型工事で年の利益が大きく動くこと。
資本効率は、ROEが過去10年の中央値で10.5%、2026年3月期は14.6%。ただし14.6%は山で、自己資本が188億円まで積み上がり、純現金も61億円まで増えた。営業利益率は2015年3月期の1.7%から、2024年3月期の5.1%、2026年3月期の7.6%と上がってきた。
経営は、配当を抑えて現金を積む姿勢が強かった。2026年3月期の配当性向は14%。創業110周年の記念配当を含めても低い。ただ、中期計画で2028年度に30%以上を掲げた。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
この会社の市場は、地方の建築・土木の工事で、公共投資と民間の設備投資に連動する。
足元は追い風が強い。国土強靭化の予算で公共工事は堅調で、民間も工場、物流、ホテル、医療施設の建て替えが続く。技能者が足りず、工事費が上がり、価格への転嫁が進んでいる。同社の利益率が上がったのも、この流れの中にある。
ただし、三つの逆風も見える。一つ目は、公共工事の入札に参加する会社が増え、競争が激しくなっていること。二つ目は、中東情勢などによる資材・エネルギー価格の高騰。三つ目は、少子化と人口減で、地方の工事の量が10年で細る可能性。
建設は、景気の山で利益が膨らみ、谷で赤字になる業種でもある。同社も2007年3月期、2008年3月期、2013年3月期に赤字を出した。
競合は、長野県内の地場のゼネコンと、全国の準大手・大手の支店だ。長野県は、首都圏と中京圏の間にあり、物流施設や工場の誘致が続く一方、冬の積雪で工期に制約もある。大手は大型案件を取り、地場は中小の案件と公共を取る形で、棲み分けている。AIの影響は、設計や積算の効率化に限られ、現場の施工が置き換わる度合いは低い。
資本政策と M&A
還元の方針は、期末配当を基本とし、2028年度に配当性向30%以上を目指すというものだ。2026年3月期の期末配当は、分割前の1株(普通と創業110周年の記念を合わせ、分割前で)、総額3.9億円で、純利益27億円の14%にあたる。2027年3月期の年間配当は、前期の実質より約6%多い予想。自社株買いの記載はない。
純現金は61億円で、時価総額の5割を超える。現金78億円から借入18億円を引いた額だ。借入は前期の8億円から10億円増えた。投資不動産の取得に約18億円を使い、現金は将来さらに不動産に回る可能性がある。
政策保有株は、上場が109銘柄で簿価9.9億円、非上場が1億円。純資産の約5%で、小さい。当期の売却はなく、方針は「削減」だ。
株主は、守谷奨学財団が8.8%、個人が上位で8.7%、7.3%。親会社はなく、創業家に近い個人と財団が厚く、買収の防衛が堅い面もある。kabufuのモデルでは、10年内のTOBの確率は約33%と出ている。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
守谷商会は、PER約4倍、PBR0.6倍、純現金が時価総額の5割という、数字の上では極端に安い会社だ。純現金61億円を引くと、事業の値段は60億円ほど。2026年3月期の純利益27億円で割れば、事業の値段は純利益の2年強分にしかならない。
利益の質も改善している。営業利益率は2015年の1.7%から7.6%へ上がり、背景には技能者不足による工事費の上昇と、価格転嫁がある。国土強靭化の予算は当面続き、土木の受注は前期に19%増えた。
財務は強い。自己資本比率は49%、純現金で借金の心配はない。配当は2026年3月期の性向14%と低く、2028年度の目標30%に向けて増配の余地が大きい。時価総額の5割を占める現金が、配当や自社株買いで戻れば、再評価の材料になる。
政策保有株は純資産の5%と小さく、「削減」の方針で、保有株の売却も還元の原資になる。株主構成は財団と個人が厚く、安定している。kabufuのモデルでも、10年内のTOBの確率は約33%と出ている。
慎重な見方
今の利益は山で、見かけが安いだけだ。2026年3月期の純利益27億円は過去10年で最高で、前期の16億円から1.7倍になった。2027年3月期の会社予想はすでに17億円へ38%減る。第1四半期は売上が23%減り、営業利益が47%減っている。
建築の受注は前期に2割減り、受注残は薄い。次の年の売上が見えにくい。大型案件が数件重なって利益率が12%まで上がった反動が、これから出る。
建設は、景気と案件で利益が振れる業種だ。この会社も2007年、2008年、2013年に赤字を出している。10年のうちに不況が来る確率は低くない。
純現金61億円は、そのまま株主の価値ではない。ゼネコンの現金には、工事の前受金や下請けへの支払い待ちが含まれる。さらに、配当性向は14%で、自社株買いもなく、現金は投資不動産に回りつつある。純現金の積み上がりが、株主に戻る保証はない。
人口減で地方の工事量は細り、入札競争も激しくなる。
どちらに重みを置いたか
財務の安全と、現金の厚さについては強気の言い分に分がある。しかし、今の利益が山にあるという慎重な見方も正しい。中立の営業利益率を5%に戻し、施工量を実質で1割減らしても、純現金と10年の配当が価値を支える。確率は、中立を最大に置き、やや悲観と悲観を合わせて4割弱とした。現金の戻り方は0.5で数えた。この前提で、今の値段を上回る価値が残った。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 3,016 円329 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 601 円66 億円)。 今の値に割り戻すと 1,844 円201 億円、今との差 +70.7%、 期待の年率 +12.8%(資本コスト 7.8%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 6,341 円692 億円 | 1,191 円130 億円 | +597.4% | +21.4% | 527 円58 億円 |
| やや楽観 | 18% | 4,862 円531 億円 | 916 円100 億円 | +435.0% | +18.3% | 1,040 円114 億円 |
| 中立 | 37% | 3,553 円388 億円 | 678 円74 億円 | +291.7% | +14.6% | 1,565 円171 億円 |
| やや悲観 | 26% | 1,237 円135 億円 | 330 円36 億円 | +45.0% | +3.8% | 407 円44 億円 |
| 悲観 | 12% | 504 円55 億円 | 137 円15 億円 | −40.6% | −5.1% | 77 円8 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,016 円329 億円 | 601 円66 億円 | +234.9% | +12.8% | 3,617 円395 億円 |
今の株価時価総額 1,080 円118 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 7% 地方の工事が活況で、今の高い利益率が続く 利益 37 億円 · PER 16.8 倍 · 株価時価総額 6,341 円692 億円
筆者が描く上振れは、「今の高い利益率が定着する」姿だ。国土強靭化と民間の工場・物流・データセンターの建設が続き、技能者不足で工事費が上がり、価格転嫁が進む。建築の施工量は今と同じ水準を保ち、価格は物価の1.40倍まで上がる。
採算の良い案件が続き、建築の利益率は11%を保つ。土木も公共工事の予算が保たれて、9.5%。不動産は投資不動産の賃貸が育つ。
全社の費用は、人を増やして26億円まで膨らむ。営業利益は51億円、営業利益率は7%台。配当は性向40%で、10年で130億円を返す。
ただし、この筋書きは、過去10年に前例がない利益率が10年続くことが前提で、公共工事の入札の競争が緩まなければ成り立たない。
- 建築:数量 10.7(完成した延床面積(万㎡。推定))× 価格 56(1㎡あたりの工事単価(万円。名目))→ 売上 600 億円・営業利益 66 億円。施工量を保ち、利益率11%
- 土木:数量 190(完成した工事の件数(件。推定))× 価格 0.56(1件あたりの工事高(億円。名目))→ 売上 106 億円・営業利益 10 億円。公共工事の予算が保たれる
- 不動産:数量 0.6(賃貸・販売に供する不動産の延床面積(万㎡。推定))× 価格 9.08(1㎡あたりの年間収入(万円。名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。賃貸が育つ
倍率:事業の純利益 37 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.9% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.8 倍 + 余った現金(戻り方込み)14 億円。全体の PER 16.8 倍、時価総額 632 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:2026年3月期の営業利益率7.6%がそのまま10年続く姿は、過去10年に前例がなく、条件も多いので7%。
やや楽観 18% 工事費の上昇が定着し、利益率が高めに残る 利益 29 億円 · PER 15.9 倍 · 株価時価総額 4,862 円531 億円
上振れの中心は、「工事費の上昇が定着し、利益率が高めに残る」姿だ。建築の施工量は実質で5%減るが、価格は物価の1.36倍まで転嫁できる。建築の利益率は10%、土木は8.5%に収まる。
営業利益は約40億円、営業利益率は6%台で、過去最高を更新した2026年3月期の水準には届かない。
配当は、中期計画のとおり性向30%を超え、38%まで上がる。10年で100億円を返す。
不動産の賃貸は育ち、年の利益は小さいが営業利益に入る。この筋書きでも、地方の工事量は実質で緩やかに減り、成長は名目の物価分に限られる。
- 建築:数量 10.2(完成した延床面積(万㎡。推定))× 価格 54(1㎡あたりの工事単価(万円。名目))→ 売上 554 億円・営業利益 55 億円。施工量5%減・価格は物価の1.36倍
- 土木:数量 181(完成した工事の件数(件。推定))× 価格 0.54(1件あたりの工事高(億円。名目))→ 売上 98 億円・営業利益 8 億円。公共工事は横ばい
- 不動産:数量 0.6(賃貸・販売に供する不動産の延床面積(万㎡。推定))× 価格 8.82(1㎡あたりの年間収入(万円。名目))→ 売上 5 億円・営業利益 1 億円。賃貸が育つ
倍率:事業の純利益 29 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.0% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.9 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.9 倍 + 余った現金(戻り方込み)14 億円。全体の PER 15.89 倍、時価総額 470 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:技能者不足による工事費の上昇と国土強靭化が続き、利益率が2024年3月期の5.1%を超えて残る姿は、現実的な上振れ。中心の上で18%。
中立 37% 利益率は5%前後に戻り、施工量は実質で1割減る 利益 22 億円 · PER 14.6 倍 · 株価時価総額 3,553 円388 億円
筆者が最も起こりやすいと見るのは、「山から降りて、平らな稼ぎに戻る」姿だ。2026年3月期は、採算の良い大型案件が重なって営業利益率が7.6%になった。2027年3月期の会社予想は5.2%、2028年3月期は5.6%。10年の中立はこの間の5%前後に置く。
建築の施工量は、受注が2割減ったこと、人口減、技能者不足による受注の絞りを考えて、実質で12%減る。価格は物価の1.34倍まで上がる。建築の利益率は9.0%で、前期の8.9%とほぼ同じ。
土木は、国土強靭化で受注が戻り、施工量は5%減。利益率は8.0%に収まる。不動産は賃貸が年4億円。
全社の費用は、賃金の上昇で今の20億円が24億円まで膨らむ。営業利益は約30億円、純利益は約23億円。配当は性向35%まで上がり、10年で74億円を返す。
純現金は、事業に必要な分を残して積み上がる。ROEは自己資本の積み上がりで7%に下がる。
- 建築:数量 9.4(完成した延床面積(万㎡。推定))× 価格 54(1㎡あたりの工事単価(万円。名目))→ 売上 506 億円・営業利益 46 億円。施工量12%減・価格は物価の1.34倍
- 土木:数量 181(完成した工事の件数(件。推定))× 価格 0.54(1件あたりの工事高(億円。名目))→ 売上 97 億円・営業利益 8 億円。国土強靭化で受注が戻るが施工量は5%減
- 不動産:数量 0.5(賃貸・販売に供する不動産の延床面積(万㎡。推定))× 価格 8.69(1㎡あたりの年間収入(万円。名目))→ 売上 4 億円・営業利益 1 億円。賃貸が年4億円
倍率:事業の純利益 22 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.9% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.8%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.6 倍 + 余った現金(戻り方込み)14 億円。全体の PER 14.59 倍、時価総額 332 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:FY26の高い利益率が、FY24〜25の水準とFY27の予想の間に戻る姿。最も起こりやすい中心として約4割。
やや悲観 26% 受注が細り、入札競争で利益率が3%に落ちる 利益 11 億円 · PER 8.5 倍 · 株価時価総額 1,237 円135 億円
やや悲観は、「地方の工事量が細り、入札競争で利益率が落ちる」姿だ。建築の施工量は実質で2割減り、価格は物価の1.30倍までしか転嫁できない。建築の利益率は7.0%、土木は5.5%に落ちる。
営業利益は約15億円、営業利益率は2.8%。過去10年の中央値の3.6%を下回る。
全社費用は22億円に抑える。配当は性向30%を守り、10年で36億円。純現金は積み上がるが、運転資金の増加と不動産への投資で、自由な現金は想定の4分の3に減る。
過去には2021年3月期に営業利益率が2.4%まで落ちた。この水準に近い。
- 建築:数量 8.6(完成した延床面積(万㎡。推定))× 価格 52(1㎡あたりの工事単価(万円。名目))→ 売上 446 億円・営業利益 31 億円。施工量2割減・入札競争で利益率7%
- 土木:数量 152(完成した工事の件数(件。推定))× 価格 0.52(1件あたりの工事高(億円。名目))→ 売上 79 億円・営業利益 4 億円。公共工事の競争で5.5%
- 不動産:数量 0.5(賃貸・販売に供する不動産の延床面積(万㎡。推定))× 価格 8.43(1㎡あたりの年間収入(万円。名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。賃貸は伸びず
倍率:ROEは約4%で資本コスト7.75%を大きく下回る。式の上限は1÷k=11.8倍。その約7割の8.5倍に置く。余った現金は0.75倍に減ると見て、戻り方0.5で数える。
確率:受注が前期に2割減り、受注残が薄いことは、足元の減益予想とも整合する。やや悲観は4分の1強が妥当。
悲観 12% 建設不況が来て、利益が消える 利益 −5 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 504 円55 億円
悲観は、「建設不況で受注が細り、利益が消える」姿だ。2013年3月期には営業利益率が−2%まで落ちた。同じ規模の不況が来て、建築の施工量は実質で4割減る。価格は物価の1.2倍までしか上がらない。
営業利益は約−8億円の赤字。全社費用を19億円まで削るが追いつかない。
会社は清算されないので、少数株主は現金の使い道を決められない。床は純現金から未成工事受入金や預り金などを除き、戻り方を掛けた額とみる。
純現金と不動産、保有株を合わせた床は約55億円。配当は減らし、10年で15億円。不況でも財務は残るが、稼ぐ力は戻らない。
- 建築:数量 6.6(完成した延床面積(万㎡。推定))× 価格 48(1㎡あたりの工事単価(万円。名目))→ 売上 319 億円・営業利益 10 億円。施工量4割減・利益率3%
- 土木:数量 124(完成した工事の件数(件。推定))× 価格 0.48(1件あたりの工事高(億円。名目))→ 売上 59 億円・営業利益 2 億円。公共工事も減る
- 不動産:数量 0.3(賃貸・販売に供する不動産の延床面積(万㎡。推定))× 価格 7.78(1㎡あたりの年間収入(万円。名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。賃貸の空室
倍率:稼ぐ力は消え、価値は資産で測る。今の自己資本187.5億円に0.293倍をかけた約55億円を置く。
確率:2007年3月期、2008年3月期、2013年3月期の3度の赤字が示すように、10年に1度は建設不況が来る。1割強。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建築
長野県を中心にビル・工場・物流・ホテル・医療福祉施設などを請け負う建築工事。
| 数量完成した延床面積(万㎡。推定) | 価格1㎡あたりの工事単価(万円。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.7 | 40 | 429 | 52 |
| 10 年後 中立 | 9.4 | 54 | 506 | 46 |
取り方:2026年3月期の完成工事高428.65億円、セグメント利益51.54億円(利益率12.0%)。前期は利益率8.9%で、当期は採算の良い大型案件が重なった山。セグメント利益は全社費用20億円を引く前の数字。床面積は完成工事高を単価40万円/㎡(推定)で割り戻した値で、単価は名目。10年の中立は物価の1.34倍(約54万円/㎡)。
土木
道路・橋・河川・造成などの公共工事が中心の土木工事。
| 数量完成した工事の件数(件。推定) | 価格1件あたりの工事高(億円。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 190 | 0.40 | 76 | 8 |
| 10 年後 中立 | 181 | 0.54 | 97 | 8 |
取り方:2026年3月期の完成工事高76.00億円(前期比3.0%減)、セグメント利益7.74億円(利益率10.2%、前期6.9%)。受注は82億円で前期比19%増と回復。件数は1件あたり約0.4億円(推定)で割り戻した値で、工事高は名目。
不動産
賃貸と、保有地の開発・売却。
| 数量賃貸・販売に供する不動産の延床面積(万㎡。推定) | 価格1㎡あたりの年間収入(万円。名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 0.6 | 6.48 | 4 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.5 | 8.69 | 4 | 1 |
取り方:2026年3月期の売上3.89億円(前期は物件売却で35.7億円)、セグメント利益は−0.49億円(前期は2.5億円)。投資不動産の簿価は29.8億円で、賃貸の収入はこれから増える見込み。売却益は年ごとにぶれる。
リスクと懸念
建設不況による赤字
2007年3月期、2008年3月期、2013年3月期に赤字を出した。景気の谷や公共工事の削減で受注が細ると、固定費が重く、利益が一気に消える。
今期の利益が山であること
2026年3月期の営業利益率7.6%は、過去10年で最高。2027年3月期の予想は5.2%で、営業利益は34%減る。山の利益を目安に評価すると、割安に見えすぎる。
受注残の薄さ
前期の建築の受注は前期比2割減で、受注が完成工事高を下回り、受注残が減った。次の年の売上の見通しが悪くなる。2027年3月期の第1四半期は、売上が23%減った。
入札競争と原価の上昇
公共工事の入札に参加する会社が増え、競争が激しい。資材高と技能者不足で原価が上がり、価格転嫁が遅れると利益率が下がる。
案件の偏り
建築の利益率は、前期の8.9%から当期の12.0%へ大きく動いた。数件の大型案件で年の利益が決まり、一部の工事の採算悪化や瑕疵が響く。
現金が戻らない
配当性向は14%で、純現金は何年も積み上がった。自社株買いの記載はなく、現金が不動産などに回る可能性もある。純現金を価値として数えても、株主に戻らなければ実現しない。
不動産への投資
投資不動産を約30億円に積み増した。賃貸の収益はまだ小さく、不動産セグメントは前期に赤字だった。空室や市況で、投資の回収が遅れるおそれ。
今後の分かれ目
- 受注高が売上高を上回り、受注残が積み上がる
- 来期以降の売上が安定する。中立の施工量の減りを見直す。
- 営業利益率が2期続けて6%を超える
- 採算の良い案件が山ではなく定着した。建築の中立の利益率を上げる。
- 配当性向が30%を超え、自社株買いが始まる
- 余った現金の戻り方を0.5から0.75へ見直す。
- 営業利益率が3%を下回る
- 入札競争の悪化が定着した。やや悲観の側に確率を寄せる。
- 不動産の投資を大きく増やす
- 現金が事業用の資産に回る。余った現金の額と戻り方を見直す。
- 他社によるTOBや提携の話が出る
- 純現金と地盤の価値が価格に織り込まれるかを、本質価値と比べる。
見ておくもの
- 受注高と受注残(建築・土木)
- 完成工事総利益率と営業利益率
- 配当性向と自社株買いの有無
- 投資不動産の残高と賃貸収益
- 現金と有利子負債の推移
倍率と資本コストの決め方
倍率は、ROEが資本コストを下回る見通しなので、式の上限(1÷k=11.8倍)の9割に置いた。今の株価(PER約4倍)も同業のPERも見ていない。中立の営業利益率は、FY26の山(7.6%)ではなく、FY24〜25の平均(4.9%)とFY27予想(5.2%)の間の約5%に置いた。純現金は余った分だけを戻り方0.5で数え、運転資金の約42億円は除いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.5→16.8 倍・やや楽観 PER 11→15.89 倍・中立 PER 10.5→14.59 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。