結論
富士ピー・エスは、プレストレストコンクリート、略して PC の橋を得意とする福岡の建設会社だ。PC は鉄筋の代わりに鋼線で締めつけたコンクリートで、高速道路や新幹線の橋に使われる。2026/03 期の売上は 322 億円、営業利益は 16 億円だった。
筆者の結論は「割高」である。10 年後の価値は、今の時価総額の 6 割ほどにとどまる。会社が悪いのではない。橋の技術と受注残は確かだが、利益が薄く、借入が重いからだ。
営業利益率は 5% で、自己資本利益率は 8% にとどまる。資本コストの 8.5% をわずかに下回る水準だ。さらに有利子負債は 105 億円あり、現金は 20 億円しかない。金利が上がると、利払いが利益を食う。
今の株価は、この低い利益を前提にした値段としては高い。橋の更新需要の追い風は否定しないが、人手不足と入札競争が、その分の利益を相殺する。九州に本社を置く、堅実な会社だ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、建設会社は「利益の質」と「借入の重さ」で見る。
利益は低い。営業利益率 5% は、入札と人件費の上昇で伸びにくい。堀は、PC 橋の技術と実績だが、価格を決める力までは与えない。
借入は重い。純有利子負債は自己資本の 0.65 倍で、今後の金利上昇で利払いが増える。物価で資材費も上がるため、売上が増えても運転資金が膨らむ。
経営は堅実で、還元も増やしている。ただ、株主が受け取る利益は、年 10 億円前後だ。10 年後は、売上が物価並みに 1.3 倍ほどになり、営業利益は 22 億円と置いた。それでも、純利益は 12 億円で、自己資本利益率は 6% にとどまる。
資本コストを上回れない会社に、高い倍率は払えない。今の値段は、この低い収益に見合わない。安全域は小さいと筆者は見る。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの源は、橋を中心とした土木工事だ。2026/03 期の売上は土木が 231 億円、建築が 91 億円だった。
土木は、高速道路会社や国土交通省から、PC の橋の上部、つまり桁を受注する。工場で桁を作り、現場で組み立てる。九州の小竹、三重、滋賀、関東、東北などに工場を持つ。子会社の駿河技建は、コンクリート構造物の診断と補修を手がける。
建築は、関西と中部の耐震補強や再開発の工事が中心だ。2026/03 期は売上が 16% 減ったが、受注は 80% 増えた。ただ、採算は土木より低い。
不動産賃貸は、オフィスビルを持つが規模は小さい。2025/03 期に固定資産を売って 23 億円の特別利益を出した。
受注残は土木で 286 億円あり、売上の 1.2 年分に当たる。次の売上の見通しは立ちやすい。従業員は 491 人で、現場の施工管理と工場の技能者が中心だ。一方、2026/03 期の受注は土木が 7% 減った。会社は中期経営計画「VISION2030」で、売上 353 億円を目指したが、達成率は 91% にとどまった。橋の入札で競争が激しくなり、取れる件数が減っている。
優良さと弱いところ
この会社の良さは、PC 橋の技術と実績だ。工場で桁を作る体制を持ち、人手が足りない現場でも工期を守りやすい。受注残は 1 年分以上あり、すぐに仕事が尽きる心配は小さい。
大株主の太平洋セメントが約 18%、住友電気工業が約 13% を持つ。素材メーカーが背後にいるので、材料の調達と取引先に安定感がある。
弱いのは収益力だ。営業利益率は 5%、自己資本利益率は 8% で、中期経営計画の 2026/03 期の目標(売上 353 億円、営業利益 17.5 億円)にも届かなかった。橋の公入札で競争が激しくなったことが原因だ。
財務も楽ではない。自己資本比率は 37%、有利子負債は 105 億円、営業利益で利払いをまかなえる倍率は 11 倍だ。2026/03 期は営業キャッシュフローが 4 億円で、投資が上回った。
過去には、2007 年から 3 期連続の赤字を出した。建築の民間工事で損をした時期で、今も建築の採算は土木より薄い。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
橋の市場は、老朽化への対応で支えられる。道路橋の約 73 万橋のうち、建設から 50 年を超えるものは 2035 年に 65% に達する。補修と架け替えの予算は、緩やかに増える見通しだ。
ただ、PC 橋の新設は、新幹線や高速道路の大型工事が一巡すると減る。競合は、ピーエス・コンストラクション、オリエンタル白石、IHI インフラシステムなどだ。入札で価格が決まるため、技術があっても値段は譲らざるをえない。
建設業界の共通課題は人手不足だ。技能者の高齢化で施工量が増やせず、賃金も物価並みに上がる。会社は工場生産の比率を高めて対応するが、工場の人手と設備も要る。
資材と労務費の上昇は、受注した後に転嫁しにくい。公共工事は物価の上昇に応じて契約額を直す仕組みがあるが、遅れて反映される。
民間の建築は景気の波を受ける。大型の再開発では資材費の上昇が採算を圧迫する。補修・診断の分野は、新設より採算が良く、駿河技建を通じて育てている。会社は耐震補強に絞って受注するが、再開発などの大型工事では採算が落ちやすい。
資本政策と M&A
還元は増やしている。2026/03 期の配当性向は 39% で、2027/03 期は 44% を予想する。配当は 1 株 増やす。
資金は借入に頼る。有利子負債は 105 億円まで増え、現金は 20 億円にとどまる。九州小竹工場のリニューアルなど、年 8 億円ほどの設備投資が続く。2025/03 期は固定資産を売って 23 億円を得て、借入の増加を抑えた。
太平洋セメントが約 18% を持つ「その他の関係会社」で、住友電工も約 13% を持つ。経営の独立性は高いとは言えない。2026 年 5 月には、完全子会社のシーピーケイを吸収合併した。
M&A は、駿河技建の買収(2021 年)が目立つ程度で、大きくはない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
橋の老朽化は止まらず、国の予算は増える方向だ。受注残は土木で 286 億円あり、1 年分以上の仕事が確保されている。2027/03 期の第 1 四半期は、経常利益が前年の 2.4 倍に増えた。2026/03 期の営業利益は前期比で 79% 増えており、改善の方向にある。
PC 橋は、工場で作って現場で組み立てるため、人手不足の時代に有利だ。会社は技術を持ち、大手素材メーカーが背後にいる。入札競争が一巡すれば、利益率は 6% に回復する。
建築も、耐震補強で受注が 80% 増えた。九州の工場を更新して生産性を高めれば、人手不足の中でも施工量を保てる。補修・診断の駿河技建も、新設橋の減少を補う。大型工事の利益が改善すれば、営業利益は 20 億円を超える。株価純資産倍率 1 倍の今の値段は、資産に見合っており、配当も増えている。大手素材メーカー 2 社が株主にいるため、経営が揺らぐ心配も小さい。
慎重な見方
この会社の収益力は、資本コストを下回る。営業利益率 5%、自己資本利益率 8% で、中期経営計画の目標にも届かなかった。橋の公入札で競争が厳しくなり、土木の受注は 7% 減った。
借入が重い。有利子負債は 105 億円、現金は 20 億円で、営業利益で利払いをまかなえる倍率は 11 倍にとどまる。金利が 3.5% に上がれば、利払いは今の 2 倍近くになる。
建築は採算が薄く、過去に 3 期連続の赤字を出した。人手不足で賃金が上がり、資材も高い。公共工事の価格調整は遅れて反映されるため、利益が圧迫される。
2025/03 期の純利益は固定資産の売却益で膨らんだもので、実力ではない。受注の増減は大型案件に左右され、四半期ごとの利益もぶれやすい。ならした利益は 10 億円前後で、今の時価総額に対して 14 倍を払うことになる。有利子負債を足せば、事業全体の値段は営業利益の 14 倍を超える。大株主の素材メーカーは、資本の支援に動く保証もない。配当を増やしても、借入が減らなければ財務は改善しない。
どちらに重みを置いたか
強気の主張は、受注残と橋の更新需要の確かさをついている。慎重な主張は、利益の薄さと借入の重さをついている。筆者は後者を重くみた。10 年後の利益が物価並みに増えても、自己資本利益率は資本コストに届かない。確率は中立に 38% を置き、やや悲観と悲観の合計を 35% とした。楽観は 7% にとどめ、受注残の厚さは中立の売上に反映した。借入の重さは、資本コストの借金の欄で 0.5% を上乗せして表した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 756 円134 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 232 円41 億円)。 今の値に割り戻すと 499 円88 億円、今との差 −40.1%、 期待の年率 +1.7%(資本コスト 8.3%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 1,552 円274 億円 | 396 円70 億円 | +133.9% | +8.9% | 136 円24 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,104 円195 億円 | 328 円58 億円 | +71.9% | +5.6% | 286 円51 億円 |
| 中立 | 38% | 844 円149 億円 | 249 円44 億円 | +31.2% | +2.7% | 415 円73 億円 |
| やや悲観 | 23% | 346 円61 億円 | 170 円30 億円 | −38.1% | −4.7% | 119 円21 億円 |
| 悲観 | 12% | 223 円39 億円 | 45 円8 億円 | −67.8% | −10.7% | 32 円6 億円 |
| 加重平均 | 100% | 756 円134 億円 | 232 円41 億円 | +18.7% | +1.7% | 989 円175 億円 |
今の株価時価総額 833 円147 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.3% を下回るほど割高。
楽観 7% 国土強靱化で補修需要が増え、土木の利益率が 7% に届く 利益 21 億円 · PER 13.1 倍 · 株価時価総額 1,552 円274 億円
国土強靱化の予算が拡大され、橋の補修と更新の発注が増える。入札の競争は落ち着き、PC 橋の技術と工場生産の強みが値段に反映される。
土木の施工量は今の 1.15 倍、1 人日あたり売上は 1.40 倍になる。営業利益率は 7% 台に乗り、営業利益は 34 億円になる。建築も耐震補強で堅調だ。
借入は返済が進み、金利負担は抑えられる。配当性向は 45% 前後を保ち、10 年で還元は 70 億円になる。人手不足は残るが、工場生産の比率を高めて対応する。この筋書きでは、入札の価格が下げ止まる。駿河技建の補修事業が育ち、新設橋の減少を補う。
- 土木(PC 橋の上部工・補修):数量 26.6(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 14(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 373 億円・営業利益 28 億円。数量 1.15 倍・価格 1.40 倍・営業利益率 7.5%
- 建築(耐震補強・再開発):数量 14.3(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 9.38(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 134 億円・営業利益 6 億円。数量 1.10 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 4.5%
倍率:事業の純利益 21 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.7% が k 8.25% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.0%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.1 倍。全体の PER 13.06 倍、時価総額 274 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:予算の拡大と入札の落ち着きが同時に起きる必要があり、条件が厳しい。7% にとどめた。
やや楽観 20% 受注残に支えられ、利益率が 6% 前後に上がる 利益 16 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 1,104 円195 億円
橋の更新需要が続き、受注は安定する。入札の価格競争は緩やかになり、土木の利益率は 6.5% に上がる。建築は耐震補強に絞り、採算が 4% に改善する。
土木の施工量は今の 1.07 倍、1 人日あたり売上は 1.37 倍になる。営業利益は 27 億円、純利益は 16 億円になる。
配当は増え、10 年の還元は 58 億円になる。橋の更新は全国で続き、会社は九州と中国・近畿で受注を安定させる。借入は増えず、金利負担は営業利益の 1 割台で収まる。建築は耐震補強の受注が続くが、再開発の大型工事は慎重に選ぶ。大手素材メーカー 2 社との取引も安定する。
- 土木(PC 橋の上部工・補修):数量 24.8(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 14(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 339 億円・営業利益 22 億円。数量 1.07 倍・価格 1.37 倍・営業利益率 6.5%
- 建築(耐震補強・再開発):数量 13.0(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 9.24(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 120 億円・営業利益 5 億円。数量 1.00 倍・価格 1.32 倍・営業利益率 4.0%
倍率:事業の純利益 16 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.9% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 195 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:橋の更新需要は確かで、受注残も厚い。ただ入札競争が続く可能性が高く、20% とした。
中立 38% 物価並みに売上は増えるが、利益率は 5% 台 利益 12 億円 · PER 12.1 倍 · 株価時価総額 844 円149 億円
土木の施工量は人手の制約で今と変わらない。1 人日あたり売上は物価並みの 1.34 倍に上がる。建築は価格転嫁が遅れて 1.30 倍にとどまる。
営業利益率は土木で 5.8%、建築で 3.5%。営業利益は 22 億円になる。借入の金利が 3.5% に上がり、純利益は 12 億円にとどまる。
既存の工場の償却は取得時の値段のままだが、更新の投資は建築費の上昇で膨らむ。配当性向は 40% 前後で、10 年の還元は 44 億円になる。自己資本利益率は 6% 台で、資本コストを下回る。補修と診断の比率が少しずつ上がるが、全体の利益率を押し上げるほどではない。
- 土木(PC 橋の上部工・補修):数量 23.1(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 13(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 310 億円・営業利益 18 億円。数量 1.00 倍・価格 1.34 倍・営業利益率 5.8%
- 建築(耐震補強・再開発):数量 13.0(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 9.10(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 118 億円・営業利益 4 億円。数量 1.00 倍・価格 1.30 倍・営業利益率 3.5%
倍率:事業の純利益 12 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.2% が k 8.25% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 12.1 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.1 倍。全体の PER 12.12 倍、時価総額 149 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 10 年の営業利益率は 2〜6% で、5% 前後が上限に近い。最大の確率を置いた。
やや悲観 23% 入札競争が続き、利益率が 4% に下がる 利益 7 億円 · PER 8.0 倍 · 株価時価総額 346 円61 億円
橋の入札で価格が下がり、受注の質が落ちる。土木の施工量は今の 9 割に減り、1 人日あたり売上も物価に届かない。
土木の営業利益率は 4.5% に、建築は 2% に下がる。営業利益は 14 億円、純利益は 7 億円。借入の金利負担が重く、配当性向を守るのが精いっぱいだ。新設の橋が減り、補修に回る工事は競争相手が多い。技能者の確保にも苦労し、工場の稼働率が下がる。
工場の更新も先送りされ、競争力がさらに落ちる。還元は 30 億円にとどまる。建築は受注を絞るが、固定費の重さが残り、利益率は 2% 前後にとどまる。技能者の採用も難しくなる。
- 土木(PC 橋の上部工・補修):数量 21.3(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 13(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 273 億円・営業利益 12 億円。数量 0.92 倍・価格 1.28 倍・営業利益率 4.5%
- 建築(耐震補強・再開発):数量 11.7(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 8.75(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 102 億円・営業利益 2 億円。数量 0.90 倍・価格 1.25 倍・営業利益率 2.0%
倍率:事業の自己資本利益率は 3〜4% で資本コストを大きく下回る。PER の上限は 1÷k の 11.8 倍。利益の質が落ちると見て、約 68% の 8.0 倍に置いた。
確率:橋の公入札の競争が続く展開は、すでに進行中。23% を置いた。
悲観 12% 公共予算が先送りされ、建築で赤字が出る 利益 1 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 223 円39 億円
公共予算が他の政策に回り、橋の補修と更新が先送りされる。入札の競争が激化し、土木の施工量は今の 8 割に落ちる。建築では大型工事で赤字が出て、人員を減らす。
営業利益は 6 億円まで落ち、利払いを引くと純利益はほぼ 1 億円になる。借入の返済が重くなり、配当は大きく減らす。
財務が悪化し、工場や賃貸ビルの売却が進む。人員も縮小し、受注の選別が厳しくなる。公共工事の発注者は、価格だけでなく工期の遵守も重くみるため、実績の薄い会社は取りにくくなる。株主に残る価値は、売れる資産から借入を引いた分に近づく。大株主の素材メーカーが支援に動くかどうかが、会社の方向を決める。
- 土木(PC 橋の上部工・補修):数量 18.5(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 12(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 222 億円・営業利益 7 億円。数量 0.80 倍・価格 1.20 倍・営業利益率 3.0%
- 建築(耐震補強・再開発):数量 9.1(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 8.05(1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1)→ 売上 73 億円・営業利益 −1 億円。数量 0.70 倍・価格 1.15 倍・営業利益率 -1.0%
倍率:赤字に近く、稼ぐ力では値が付かない。売れる資産から負債を引いた 40 億円を床とし、今の自己資本の約 0.3 倍に置いた。EV で見ても営業利益がほぼ消えるため、利益の倍率では測らない。
確率:公共予算の制約と民間建築の赤字が重なる展開は、過去に実際にあった(2007 年)。12% を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
土木(PC 橋の上部工・補修)
高速道路会社・国交省から PC の橋の桁を受注し、工場で作って架ける。子会社の駿河技建が補修を担う。賃貸・その他を含む。
| 数量施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質) | 価格1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 23.1 | 10 | 231 | 13 |
| 10 年後 中立 | 23.1 | 13 | 310 | 18 |
取り方:土木の売上 230.5 億円と賃貸・その他 0.9 億円の合計。労務量は開示がなく、プレキャスト部材を工場で作る割合が高いので 1 人日あたり売上を 10 万円とみて約 23 万人日と置いた(同領域のピーエス・コンストラクションの置き方に合わせた推定)。セグメント利益 41.2 億円は売上総利益ベースで、全社の販管費約 35 億円を売上総利益の比で配分し、営業利益を約 13 億円とした推定。
建築(耐震補強・再開発)
関西・中部の耐震補強や再開発の建築工事。採算は土木より薄い。
| 数量施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質) | 価格1 人日あたり売上(万円)。rev_factor は 1 | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 13.0 | 7.00 | 91 | 3 |
| 10 年後 中立 | 13.0 | 9.10 | 118 | 4 |
取り方:建築の売上 90.8 億円(前期比 −15.6%)。1 人日あたり売上を 7 万円とみて約 13 万人日と置いた(同領域の準大手に合わせた推定)。セグメント利益 9.4 億円は売上総利益ベースで、販管費を売上総利益の比で配分し、営業利益を約 2.9 億円とした推定。
リスクと懸念
入札競争の激化
橋の公入札で競争が厳しくなり、2026/03 期の土木の受注は 7% 減った。値段を下げて受注すると、利益率が 5% を割る。
借入の重さと金利
有利子負債は 105 億円、現金は 20 億円。借り換えで金利が 3.5% に上がれば、利払いが営業利益の 2 割ほどに増える。
建築の採算
建築は営業利益率が 3% 台で、過去に赤字を出した。資材費と外注費の上昇を、契約に転嫁しにくい。
人手不足と賃金
技能者が足りず、賃金は物価並みに上がる。工場生産で対応するが、工場の人手も不足する。工期が延びれば、利益は削られる。
設備の更新費
工場の設備と建物の償却は、取得した時の値段で積まれており、物価で見かけ上の利益はふくらむ。一方、更新の投資は建築費の上昇で膨らみ、年 8 億円の設備投資が増える。
大株主の方針
太平洋セメントが約 18% を持つ。再編や資本政策が、少数株主の意向と一致しない可能性がある。
今後の分かれ目
- 国土強靱化の予算が拡大され、橋の補修・更新の発注が増える
- 土木の受注が増え、価格競争が和らぐ。楽観の筋書きに近づく。
- 土木の営業利益率が 7% に届く
- 自己資本利益率が資本コストを超え、倍率の上限が上がる。
- 借入金利が 4% を超えて上がる
- 利払いが営業利益を圧迫し、純利益が減る。やや悲観の筋書きに近づく。
- 建築で大型工事の赤字が出る
- 過去の赤字の再来となり、悲観の筋書きに近づく。
- 太平洋セメントや住友電工が株を買い増す、または TOB を行う
- 株価に変動が出るが、事業の価値は変わらない。
見ておくもの
- 土木の受注高と受注残
- 橋の公入札の落札率
- 営業利益率(土木・建築別)
- 有利子負債と金利の動き
- 九州小竹工場の更新と設備投資
- 中期経営計画 VISION2030 の進み
倍率と資本コストの決め方
倍率は、事業の自己資本利益率(10 年後で 6% 台)が資本コスト 8.25% を下回るため、式の上限 1÷k(11.8 倍)の約 85% の 10 倍に置いた。今の株価や同業の倍率は使っていない。中立の営業利益率は 5.2% で、過去 12 年の最高(6.4%)を下回る。費用は物価で増やしたが、既存の工場や建物の償却は取得時の値段のままとし、更新の投資だけ建築費の上昇を載せた。新リース会計基準の影響は小さい。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11→13.06 倍・やや楽観 PER 10.5→12.12 倍・中立 PER 10→12.12 倍)。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。