結論
UNICONホールディングスは、山形県と福島県を中心に地元有力ゼネコンを束ね、道路・河川・防災などの公共工事を手掛ける地域連合型の建設会社である。筆者の結論は「割安」だ。地場の施工実績と技術者の共同活用という競争力があり、買収による拡大を控えめに見ても、10年先に現在より大きな利益を稼ぐ余地がある。
最大の特徴は、単なる建設会社の寄せ集めではないことだ。国土交通省の企業集団制度を利用し、子会社間で有資格技術者を融通できる。公共工事の受注に必要な技術者を機動的に配置できるため、地域ごとの仕事量の偏りを減らし、単独の地方建設会社には難しい受注機会を得られる。山和建設が東北の高速道路料金所工事で積み上げた実績も、特定分野における競争上の優位性を裏づけている。
2026年6月期は売上収益188億円、営業利益15億円だった。少雪によって高採算の除雪収益が減り、増収減益となったものの、受注高は224億円、受注残高は206億円へ増加した。2036年に売上収益800億円を目指す会社の長期ビジョンは野心的だが、これを中立の前提として無条件に採用する必要はない。既存事業の受注拡大と数件の買収を組み合わせるだけでも、長期の利益成長は見込める。
ただし、財務は盤石ではない。自己資本42億円に対し、のれんが約18億円あり、純有利子負債も存在する。地域建設会社の買収価格が高騰すれば、成長そのものが株主価値を傷つける可能性もある。また、現場技術者の高齢化は需要の不足以上に深刻な制約となりうる。
5つの筋書きから求めた現在の本質価値は時価総額で約157億円となり、基準日の約89億円を約77%上回る。上振れのすべてを経営計画の達成に依存した結論ではない。地域のインフラ維持という長寿命の需要、既存の施工実績、現在の利益率、そして株主還元を合わせて評価した結果である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社の魅力は、10年後にも地域の道路や河川を修繕する仕事がなくならないことである。工事は景気や予算で増減するが、橋梁の老朽化、土砂災害への備え、冬季の除雪は繰り返し必要になる。需要の寿命は長く、工事の資格と実績を持つ会社には継続して仕事が回る。この点で、流行や技術の変化によって突然消える事業よりも予測しやすい。
一方、長寿命の需要と高い値決め力は同じではない。公共工事は競争入札であり、費用上昇が利益率を押し下げることもある。同社の強みは、受注価格を自由に決めることではなく、工事成績、地域での信用、資格を持つ人材の配置によって競争を有利に進めることにある。高速道路料金所工事のような得意分野は評価できるが、その強さを全事業へ機械的に広げてはいけない。
筆者が最も注意するのは、買収による見かけの成長と株主の取り分を区別することだ。買収先の売上を加えるだけなら、借金を増やせば規模を拡大できる。しかし、買収価格が高く、追加で投じた資本の利回りが資本コストを下回れば、売上や利益が増えても株主価値は増えない。現在の高いROEも、自己資本の薄さや借入に支えられた部分があるため、増分の投下資本利益率を重視したい。
過去の買収で地域の有力企業を集約し、技術者融通と管理機能の共同化を進めた点は評価できる。2026年の大豊建設との提携も、規模の大きな工事に参加できる可能性を広げた。ただし、その成果を十分に確かめるには、実際の共同受注、採算、借入金、のれんの推移を見る必要がある。
現在の時価総額は約89億円で、過去の利益と今後の配当から考えれば、一定の安全域が存在すると判断する。ただし、ここでいう安全域は純資産によって守られているわけではない。構造的に利益を失えば、のれんの減損と借入負担によって価値が大きく下がる。長く持つ株主にとって最も望ましいのは、現在の配当規律を維持しながら、買収額を慎重に抑え、既存の優良な地域事業を少しずつ増やしていく経営である。
何で稼ぐ会社か
収益の中心は公共インフラの整備と維持管理である。2026年6月期のインフラ整備収益は約133億円で、道路、橋梁、河川、砂防、除雪、高速道路施設などの工事を担う。これに災害対応と環境保護を加えると約147億円となり、全社売上の78%を占める。発注者は国土交通省、地方自治体、高速道路関連会社などであり、売上は個別工事の進捗に応じて計上される。
主な事業会社は山和建設、小野中村、南会西部建設コーポレーション、南総建である。山和建設は山形県を地盤に道路や河川、高速道路施設の工事を得意とする。小野中村は福島県相馬地域で土木・公共建築に実績を持ち、南会西部建設コーポレーションと南総建は会津地方で除雪、砂防、河川工事や環境保護に強い。それぞれの地域で受注資格、施工実績、協力会社との関係を維持する一方、持株会社が人員配置、管理体制、資金調達、買収を支援する。
第二の収益源は民間工事で、2026年6月期の売上は約29億円だった。大型建築工事の獲得により前年から大きく増加したが、公共土木に比べて採算が低い案件が含まれる。2026年には浪江町の競走馬トレーニングセンター工事約40億円、狭山パーキングエリア関連施設約22億円を受注した。いずれも複数年度にまたがるため、受注金額がそのまま単年度の売上になるわけではない。
建設関連の兼業事業では、生コンクリートの仕入販売などから約9億円を得ている。その他の約3億円には、給油所、美容室、不動産賃貸、太陽光発電などが含まれる。利益への寄与は限定的だが、建設事業から離れた小規模な収益源を持っている。
建設業は材料と労働を自らすべて供給する事業ではない。同社の本質的な役割は施工管理であり、工程、品質、安全、資材、外注先を統括することにある。工事原価の多くは協力会社への発注や資材調達に回るため、受注の増加だけでなく、監理技術者の稼働率と外注費の管理が利益率を決める。
優良さと弱いところ
競争上の強みは、地域における施工実績と企業集団制度の組み合わせにある。公共工事では、一定の資格や技術者を備えているだけでなく、過去の工事成績や発注者の評価が次の入札に影響する。山和建設は2026年に国土交通省の工事成績優秀企業に認定され、東北地方整備局管内の入札で加点対象となった。こうした評価は一度の設備投資では簡単に取得できず、地域の参入障壁になりうる。
企業集団制度も無視できない。通常は監理技術者と施工会社の間に継続的な雇用関係が必要だが、認定を受けた企業集団では、一定条件のもとで子会社間の技術者移動が認められる。同社はこの制度を受注機会の拡大に利用している。山和建設が東北4県の高速道路料金所関連工事で、約10年間に24件中23件を受注したという実績も特定分野の強みを示す。ただし、これは狭い市場の実績であり、公共工事全体に同水準のシェアがあることを意味しない。
値決め力は強いとは言い切れない。工事価格は入札で決まり、資材費や人件費の上昇を常に転嫁できるわけではない。2026年6月期は売上が増えた一方、少雪による工事構成の変化で営業利益率が前年の9.7%から8.0%へ低下した。これは高い採算が固定されたものではない証拠である。
ROEは直近で20%を超えているが、その数字には借入を活用した資本構成も影響している。2026年6月期末の自己資本比率は34.6%であり、経営陣自身も必ずしも財務安定性が高いとは認識していない。さらに、自己資本の相当部分は過去の企業買収に伴うのれんである。買収先の業績が悪化すれば、会計上の資本と将来の利益が同時に傷む。
現時点の主力事業は建設現場の施工管理と物理的な工事請負であり、AIエージェント代替の対象となる人月型SI、BPO、席課金SaaSには該当しない。事務処理や図面作成は自動化されうるが、現場の監理技術者、施工資格、安全責任をAIだけで代替することは難しい。長期の競争力を左右するのは、むしろ人材を確保し続けられるかである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の建設需要は、数量が大きく増えなくても名目金額が増えやすい局面にある。国土交通省の2026年度建設投資見通しでは、国内建設投資は約81.5兆円、うち政府投資は約26.6兆円とされる。ただし、材料費と労務費も上昇するため、名目売上の伸びがそのまま利益成長になるわけではない。長期の評価では、完成させる工事の実質数量と、工事価格の変化を分けて考える必要がある。
同社の主戦場である東北6県では、東日本建設業保証の2025年度統計による公共工事の請負金額が約1兆4,939億円、件数が約2万2,036件だった。同社のインフラメンテナンス売上約147億円は、この市場金額の約1%に相当する。ただし、保証契約と売上計上の時期が異なり、発注者や工事の範囲にも差があるため、厳密な市場シェアではなく規模を比較するための概算である。個別市町村や高速道路施設など、同社の得意分野ではこの平均より高いシェアを持つ可能性がある。
主な競合は、福島県の佐藤工業や会津土建などの地場建設会社と、工事規模によって参入する鹿島建設、大成建設、大林組などの大手ゼネコンである。競合別の同一市場における確定的なシェアは開示されていない。大規模工事では全国大手が資金力と施工体制で優位に立つが、地域の小規模工事や除雪では地場企業の機動性が強みとなる。2026年8月に資本業務提携した大豊建設は、従来の競争相手にもなりうる全国規模の建設会社であり、共同受注によって同社が参加できる市場を広げる可能性がある。
長期需要を支えるのはインフラの老朽化と防災投資である。国土強靱化政策では2026年度から5年間に約20兆円強の事業規模が想定される。建設後50年以上を経過する橋梁や河川管理施設も増えるため、維持更新の必要性は10年後も消えない。一方、人口減少と財政制約によって地方の新設工事は減少しやすい。すべての公共工事が増えるわけではない。
供給側では、技術者不足が一段と進む。厚生労働省と国土交通省によれば、建設技能者の約4分の1が60歳以上で、29歳以下は約12%にとどまる。発注量が増えても、施工可能な会社が減れば価格が上がる一方、技術者を確保できない会社は受注を増やせない。UNICONの企業集団制度にはこの環境で経済的な意味があるが、人手不足そのものを解消する仕組みではない。
10年の中心的な見通しは、東北の公共工事の実質数量が横ばい近辺で推移し、工事価格は年3%程度の物価上昇を反映するというものだ。同社は既存地域での競争力と買収によって市場シェアを広げる。民間工事は工場、物流施設、公共関連施設の投資循環に左右されるため、公共土木より変動を大きく見込む。
資本政策と M&A
同社の資本配分を評価するには、配当より先に買収の成果を見る必要がある。2019年に投資会社エンデバー・ユナイテッド傘下で持株会社の前身が設立され、2020年に山和建設、2021年に小野中村、2022年に南会西部建設コーポレーション、2023年に南総建がグループに加わった。買収先の施工実績と地域性を残しながら、経営管理と人材を共同化する事業モデルを作ってきた。
会社が2026年に公表した長期ビジョン2036では、2036年6月期の売上収益800億円、営業利益率8%以上、ROE20%以上を目指している。また、有価証券報告書には中期経営計画2027-2029が記載されており、既存子会社の強化とM&Aによる展開地域の拡大が基本方針となっている。確認できた資料では、2029年時点の独立した売上・利益・ROEの定量目標について、明確な数字の約束は確認できない。2036年目標は、あくまで積極的な買収を伴う長期の経営目標である。
株主還元の具体的な約束は、連結配当性向40%程度である。残る60%は買収、人材の拡充、財務基盤の強化に使う方針だ。2027年6月期は売上収益約207億円、営業利益約17億円、純利益約11億円を計画している。DOEや総還元性向の数値目標、継続的な自社株買いの金額については、確認した計画資料に具体的な約束はない。
2026年8月には大豊建設が発行済株式の17%を取得し、資本業務提携を結んだ。さらに9月にはシーティーエスと日本政策投資銀行への株式譲渡が行われ、エンデバー・ユナイテッドの保有割合は14.02%まで低下した。これは既存株主間の売買であり、同社への新規資金流入ではない。大豊建設との共同受注や技術協力が増えるか、単に株主構成が変わるだけかが今後の評価を分ける。
長期では配当性向40%を基本に据え、10年間の累積還元を筋書きごとに変える。余剰資金の株主への戻り方は0.75とする。配当の実績はあるが、過去5年間の総還元が継続して高水準だった証拠はなく、内部留保の多くを買収に投じる経営方針だからである。10年間の利益が大幅に増えれば還元額も増えるが、買収に失敗した場合は配当原資も減少する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
UNICONの強みは、地方建設会社が単独では克服しにくい構造的な弱点を、企業連合によって改善できることにある。高齢化で監理技術者が減れば、受注資格を持っていても工事を引き受けられない企業が増える。国土交通省の企業集団制度を活用できる同社は、子会社間で人材を融通し、受注機会を維持しやすい。小規模企業の廃業が進むほど、地域内で残存企業に工事が集中する可能性がある。
高速道路料金所関連工事での高い受注実績や、2026年の工事成績優秀企業認定は、地元での実行能力を示す証拠である。防衛省関連工事でも累計約26億円を受注し、山和建設で得たノウハウが別の子会社へ広がり始めた。共同化の成果が机上の構想ではなく、実際の受注につながっていることを評価できる。
市場全体が大きく伸びなくても、シェアの獲得による成長余地は十分にある。東北6県の公共工事市場は約1.5兆円で、同社の売上はその一部に過ぎない。数件の地場企業買収でも売上規模は大きく変わる。2036年の売上800億円という目標は容易ではないが、地方建設業界の分散した企業構造を考えれば、到達不可能な数字でもない。
2026年には大豊建設が大株主となり、大型国策案件の共同受注やPPP・PFI事業への参加が期待できるようになった。これまでの地域密着の強みを失わずに受注可能な工事を広げられれば、買収を伴わない内部成長も加速する。利益の40%を配当に回す方針が維持されれば、成長が実現するまでの期間も株主は一定の現金還元を受けられる。
慎重な見方
地方建設業界の最大の問題は、発注量よりも施工できる人間が減っていることだ。企業集団制度は既存の技術者を融通する仕組みであって、新たな技術者を生み出す仕組みではない。高齢の施工管理技士が退職する一方、若手の採用と育成が進まなければ、同社の受注可能額には明確な限界が生じる。給与を上げれば採用は改善するかもしれないが、同時に利益率を圧迫する。
同社の利益率には、地域における高採算工事や除雪関連収益が寄与している。2026年6月期は少雪によって営業利益が減少した。公共事業の総額が維持されても、採算の良い工事が毎年同じように発注される保証はない。民間工事の大型受注が増えれば売上は伸びるが、公共土木より低採算の案件が混ざり、利益率が低下する可能性もある。
財務の安全性も過大評価できない。自己資本比率は34.6%で、のれんは約18億円ある。買収によって売上を大きく伸ばす場合、追加の借入や株式発行が必要になる可能性がある。高い買収価格を支払った後で工事採算が悪化すれば、のれんの減損と金融費用の増加が重なり、株主に帰属する利益は急減する。
大豊建設との提携も、必ずしも利益の上積みを保証しない。共同受注では利益を分け合う必要があり、全国規模の競合との競争も増える。既存株主エンデバー・ユナイテッドの売却が進んだことは持株構成の分散につながる一方、今後も大口株主間で株式が移動する可能性を残す。構造的な優位性が証明される前に買収を急ぐ経営であれば、現在の高いROEは持続しない。
どちらに重みを置いたか
既存の公共土木事業の持続性では強気の見方が優勢だ。受注残高の増加、企業集団制度の活用、工事成績の高さは具体的な証拠がある。一方、2036年の売上800億円には連続的な買収が不可欠であり、その達成確率を高く見積もるべきではない。そこで楽観とやや楽観の合計を29%、やや悲観と悲観の合計を34%とし、資金調達と技術者確保の不確実性をやや下側に反映した。それでも現在の約89億円に対する本質価値は約157億円となる。これは経営目標を全面的に信じたためではなく、中立でも既存事業の価値と配当の積み重ねが大きいからである。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/06 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,726 円270 億円(+ 還元の換算額還元の合計 513 円51 億円)。 今の値に割り戻すと 1,680 円166 億円、今との差 +86.6%、 期待の年率 +15.4%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 7,909 円783 億円 | 1,112 円110 億円 | +902.3% | +29.5% | 722 円71 億円 |
| やや楽観 | 21% | 4,510 円446 億円 | 728 円72 億円 | +482.0% | +21.8% | 1,100 円109 億円 |
| 中立 | 37% | 2,629 円260 億円 | 514 円51 億円 | +249.3% | +15.1% | 1,163 円115 億円 |
| やや悲観 | 23% | 651 円64 億円 | 293 円29 億円 | +4.9% | +0.6% | 217 円21 億円 |
| 悲観 | 11% | 210 円21 億円 | 121 円12 億円 | −63.2% | −11.1% | 36 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,726 円270 億円 | 513 円51 億円 | +259.8% | +15.4% | 3,238 円320 億円 |
今の株価時価総額 900 円89 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 地域連合モデルが全国へ拡大 利益 46 億円 · PER 16.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 7,909 円783 億円
UNICONは東北で培った地域連合型ゼネコンの仕組みを、隣接する東日本の各地域へ広げる。地元で高い工事成績と専門施工技術を持つ建設会社を継続的に買収し、買収後は施工管理、情報共有、人材育成を共同化する。各地域の経営者や技術者を維持したまま、企業集団としての調整能力が拡大する。
大豊建設との協業も成果を生み、大規模な国策工事やPPP・PFI案件への共同参加が進む。防衛施設工事や高速道路更新工事では、従来の地方企業では参加しにくかった案件を獲得する。地方の競合が技術者不足で施工能力を落とす一方、同社は採用と配置の効率化によってシェアを拡大する。
2036年の売上は約786億円に達し、会社が掲げる長期目標にほぼ到達する。公共土木の施工件数は既存の約3倍へ拡大し、収益性の高い工種の比率も上昇する。買収後の管理費は増えるが、グループ全体の営業利益率は約9.6%となる。資金調達に伴う金融費用を負担しても、純利益は46億円まで増える。
配当性向40%を維持し、10年間で約110億円を還元する。買収による借入は増えるが、利益と自己資本の成長によって財務を支えられる。地域密着の強みを失わずに規模の経済を獲得できた、最も成功した10年である。
- インフラ整備・災害対応・環境保護:数量 620(東北公共工事の平均規模で換算した年間完成工事件数(件・実質))× 価格 1.00(完成工事1件相当の平均売上収益(億円・名目))→ 売上 620 億円・営業利益 73 億円。新規地域への買収展開で工事年換算620件。高付加価値案件の拡大により平均単価は現在の約1.47倍。
- 民間建築・民間土木工事:数量 55.0(年間工事進捗を標準案件に換算した工事件数(件・実質))× 価格 2.22(標準案件1件相当の平均完成工事売上(億円・名目))→ 売上 122 億円・営業利益 10 億円。大豊建設との共同受注を含む大型施設工事が増加。標準案件55件、平均単価2.22億円。
- 建設関連の兼業事業:数量 113,000(生コンクリート相当の年間取扱数量(立方メートル・推定))× 価格 0.00(生コンクリート相当1立方メートルの平均売上(億円・名目))→ 売上 36 億円・営業利益 3 億円。買収地域にも資材取引を展開し、生コン換算数量が増加。平均単価は約3.15万円。
- その他事業:数量 8.0(開示された主要事業領域の年間稼働単位数(事業領域換算))× 価格 1.00(1事業領域換算あたりの年間平均売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 0 億円。買収先の周辺事業が加わり、8事業領域換算へ拡大。
倍率:10年後ROEは46.0÷206.0=22.3%。資本コスト7.5%、通常の堀の残存割合1/2より、増分資本の長期利回りRONICは約14.9%となる。2036年以降の名目成長率gは2.5%。正当化PER=(1-g÷RONIC)÷(k-g)≒16.65倍。長期の成長と再投資利回りを使った上限そのものを採用し、市場の過去の倍率は参照しない。
確率:会社が掲げる2036年の売上800億円に近い規模への成長を実現するには、複数地域で買収を連続成功させ、技術者融通と共同受注の仕組みを拡張する必要がある。大豊建設との提携は追い風だが、資金調達と人材確保を同時に成功させる難しさから8%とする。
やや楽観 21% 買収と共同受注が順調に進む 利益 26 億円 · PER 16.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 4,510 円446 億円
東北における既存子会社の受注は堅調に推移し、技術者融通が工事の繁閑をならす。山和建設の高速道路施設、南会西部建設コーポレーションの除雪・砂防、小野中村の公共土木といった得意分野は維持される。国土強靱化と老朽化施設の更新需要が継続し、公共事業全体の実質数量が大きく伸びなくても、地域内でのシェアが拡大する。
買収は着実に進み、東北とその周辺で複数の建設会社がグループに加わる。大豊建設との協業により、大型工事の受注機会も増える。ただし、買収先の統合作業や技術者の育成には時間がかかり、会社の2036年目標には届かない。
2036年の売上は約476億円となる。公共土木の案件数は現在より大幅に増える一方、民間工事の比率も高まるため、営業利益率は約8.9%にとどまる。金融費用と税負担を差し引いた純利益は26億円台となり、自己資本も増加する。
配当性向40%を維持することで、10年間の累積還元は約72億円となる。経営陣は買収に慎重な価格規律を保ち、成長と財務健全性のバランスを崩さない。特別な独占企業ではないが、地方建設業の再編を進める優良な地域企業グループとして評価される。
- インフラ整備・災害対応・環境保護:数量 400(東北公共工事の平均規模で換算した年間完成工事件数(件・実質))× 価格 0.95(完成工事1件相当の平均売上収益(億円・名目))→ 売上 380 億円・営業利益 43 億円。複数の地域企業買収と受注拡大で工事年換算400件。平均単価は現在の約1.40倍。
- 民間建築・民間土木工事:数量 33.0(年間工事進捗を標準案件に換算した工事件数(件・実質))× 価格 2.08(標準案件1件相当の平均完成工事売上(億円・名目))→ 売上 69 億円・営業利益 5 億円。大型民間案件を選別しながら受注。標準案件33件相当。
- 建設関連の兼業事業:数量 73,000(生コンクリート相当の年間取扱数量(立方メートル・推定))× 価格 0.00(生コンクリート相当1立方メートルの平均売上(億円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。建設事業の拡大に伴う資材販売の増加と、単価への物価転嫁が進む。
- その他事業:数量 6.0(開示された主要事業領域の年間稼働単位数(事業領域換算))× 価格 0.98(1事業領域換算あたりの年間平均売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。周辺事業が6事業領域換算に拡大。
倍率:ROEは26.4÷150.2=17.6%。k7.5%、残存割合1/2からRONICは約12.5%。2036年以降の名目成長率2.5%を使うと、利益ベースの正当化PERは約16.01倍となる。既存事業の優位性と買収効果を10年後の利益に反映し、倍率側では重複した成長プレミアムを加えない。
確率:既存の4つの地域事業会社の実績と企業集団制度の優位性は確認できる。複数件の買収と大豊建設との共同受注が一定の成果を生む可能性はあるが、全国展開まで成功する場合より条件を緩め、21%とする。
中立 37% 既存の競争力を維持し、買収は選別的に成功 利益 16 億円 · PER 15.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,629 円260 億円
東北地方の公共工事は、老朽化対策と防災需要に支えられて実質数量が概ね横ばいとなる。国土強靱化政策による需要は続くが、人口減少と地方財政の制約から、新設工事の大幅な増加は起こらない。一方、工事価格は労務費と資材費の上昇に合わせて名目で増加する。
UNICONは既存地域での施工実績を維持し、企業集団制度を活用して技術者の稼働率を改善する。山和建設の高速道路関連工事や、会津地方の除雪・河川工事は引き続き受注できる。競合する地方建設会社の一部は事業承継難で撤退し、同社は数件の買収と受注先の広がりによってシェアを上げる。ただし、技術者の採用・育成が制約となり、拡大速度は緩やかである。
2036年の売上は約336億円となり、現在の約1.8倍へ増える。公共土木の採算は維持されるが、賃金上昇や民間工事の構成比拡大によって、営業利益率は約7.6%となる。純利益は15.6億円で、現在を上回るものの、売上ほど急速には伸びない。
配当性向40%を基本に10年間で約51億円を還元する。残る利益は運転資金、設備更新、借入金の返済、企業買収に用いられ、自己資本は約118億円へ増える。その結果、ROEは現在の高水準から13%台へ低下するが、資本コストは上回る。規模拡大に伴って資本効率が落ち着いた、持続可能な地域インフラ企業となる。
- インフラ整備・災害対応・環境保護:数量 292(東北公共工事の平均規模で換算した年間完成工事件数(件・実質))× 価格 0.91(完成工事1件相当の平均売上収益(億円・名目))→ 売上 265 億円・営業利益 26 億円。公共市場の実質数量は概ね横ばい。地域シェア拡大と数件の買収で工事年換算292件、平均単価は物価3%の10年分に相当する約1.34倍。
- 民間建築・民間土木工事:数量 26.0(年間工事進捗を標準案件に換算した工事件数(件・実質))× 価格 1.95(標準案件1件相当の平均完成工事売上(億円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 3 億円。大型民間工事の受注が緩やかに増加。標準案件26件、平均単価は現在の約1.34倍。
- 建設関連の兼業事業:数量 53,000(生コンクリート相当の年間取扱数量(立方メートル・推定))× 価格 0.00(生コンクリート相当1立方メートルの平均売上(億円・名目))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。建設資材数量は現在より約22%増加。生コン相当単価は物価並みに上昇。
- その他事業:数量 5.0(開示された主要事業領域の年間稼働単位数(事業領域換算))× 価格 0.92(1事業領域換算あたりの年間平均売上(億円・名目))→ 売上 5 億円・営業利益 0 億円。その他事業は小幅に拡大し、5事業領域換算となる。
倍率:ROEは15.6÷117.9=13.2%。k7.5%、通常の堀の残存割合1/2からRONICは約10.4%。長期名目成長率g2.5%を使うと、正当化PER=(1-0.025÷RONIC)÷(0.075-0.025)≒15.18倍。10年間の成長は完成工事件数と平均単価から既に利益へ反映しているため、2036年以降には地域人口減少を織り込んだ控えめな成長率を採用する。市場の現在・過去のPERを倍率の根拠にしない。
確率:道路・河川・除雪の需要寿命は長く、現在の工事成績と受注残高は堅調である。一方、施工管理技術者の不足やM&A資金の制約があるため、会社目標をそのまま中立に採用しない。既存事業の名目成長と数件の選別的な買収が実現するケースを37%とする。
やや悲観 23% 人手不足と工事採算の悪化で成長が止まる 利益 5 億円 · PER 10.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 651 円64 億円
地方の公共工事予算は名目では維持されるが、実質数量は徐々に減少する。人件費と資材費が上昇する一方、発注者の予算制約で工事価格への転嫁が遅れる。施工管理技士の退職も進み、企業集団制度による融通だけでは必要人員を確保できなくなる。
既存子会社は地域内での受注をある程度維持するが、買収対象企業の価格が高くなり、新規買収は停滞する。大豊建設との提携から生まれる共同受注も限定的で、大型工事では採算を優先して参加を見送ることが増える。高採算の除雪や専門工事が減少し、一般的な公共工事の割合が高まる。
2036年の売上は約209億円で、現在より名目では増えるものの、物価を考慮した実質規模は縮小する。営業利益率は約3.8%まで低下する。借入金の金融費用も残り、純利益は約4.6億円に減る。
配当は業績に合わせて縮小し、10年間の累積還元は約29億円となる。自己資本は過去の利益の蓄積で増えるが、ROEは資本コストを下回る。ため込んだ資本が十分な利益を生まないため、名目売上が保たれていても、株主価値は大きく低下する。
- インフラ整備・災害対応・環境保護:数量 195(東北公共工事の平均規模で換算した年間完成工事件数(件・実質))× 価格 0.84(完成工事1件相当の平均売上収益(億円・名目))→ 売上 164 億円・営業利益 10 億円。資格保有技術者の減少で工事年換算195件。価格上昇は10年で約24%と物価に届かない。
- 民間建築・民間土木工事:数量 18.0(年間工事進捗を標準案件に換算した工事件数(件・実質))× 価格 1.75(標準案件1件相当の平均完成工事売上(億円・名目))→ 売上 32 億円・営業利益 1 億円。民間投資と受注件数が停滞。原価上昇で採算が悪化。
- 建設関連の兼業事業:数量 40,000(生コンクリート相当の年間取扱数量(立方メートル・推定))× 価格 0.00(生コンクリート相当1立方メートルの平均売上(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。生コン相当の数量が減少し、資材価格の上昇も十分に転嫁できない。
- その他事業:数量 4.0(開示された主要事業領域の年間稼働単位数(事業領域換算))× 価格 0.75(1事業領域換算あたりの年間平均売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。事業領域数は維持するが、小規模事業の採算は弱い。
倍率:ROEは4.6÷84.6=5.4%でk7.5%に届かない。将来の増分投資が十分な利益を生まないため、成長価値を積極的に評価しない。稼ぐ力の上限1÷k=13.33倍を下回る10.2倍とし、価格競争による超過利益の喪失を反映する。現在や過去の市場倍率ではなく、資本コストと持続的な利益に基づく評価である。
確率:技術者の高齢化と公共入札の価格競争は実際に確認できるリスクである。買収が進まない場合、物価による名目成長だけでは利益を維持できず、採算が低下する可能性があるため23%とする。
悲観 11% 買収失敗と人材流出で地域の優位性を失う 利益 −2 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 210 円21 億円
地域建設業の人手不足が深刻化し、主要子会社で監理技術者が相次いで退職する。企業集団制度を使っても十分な技術者を配置できず、以前は受注できていた道路、河川、高速道路関連の工事で競合に敗れる。大型工事の採算も悪化し、事業の一部を縮小せざるを得なくなる。
経営陣は事業の立て直しを狙って買収を進めるが、取得価格が高かった企業の収益が想定を下回る。資材費と人件費の上昇に加え、借入金利が高くなり、買収によって増えた金融負担を支えられない。過去の買収で生じたのれん約18億円の減損も発生する。
2036年の売上は約125億円まで減少する。高採算の公共土木工事を失ったことにより、営業損益は小幅な赤字となる。借入金利を含む金融費用によって純利益も赤字になり、従来の高ROE企業という評価は消える。
配当は途中から大幅に減少し、赤字が定着した後は停止する。10年間の累積還元は約12億円にとどまる。累積利益による資本の増加が減損と還元でほぼ相殺され、10年後の自己資本は現在に近い約42億円にとどまる。事業を継続できても高い収益性は失われ、価値の中心は売却可能な資産から負債を差し引いた残余となる。
- インフラ整備・災害対応・環境保護:数量 130(東北公共工事の平均規模で換算した年間完成工事件数(件・実質))× 価格 0.78(完成工事1件相当の平均売上収益(億円・名目))→ 売上 101 億円・営業利益 4 億円。工事年換算130件まで縮小。競争激化と案件構成の悪化で平均単価も物価上昇に大幅に届かない。
- 民間建築・民間土木工事:数量 11.0(年間工事進捗を標準案件に換算した工事件数(件・実質))× 価格 1.40(標準案件1件相当の平均完成工事売上(億円・名目))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。大型工事の受注が減少し、不採算案件と固定費負担で赤字となる。
- 建設関連の兼業事業:数量 25,000(生コンクリート相当の年間取扱数量(立方メートル・推定))× 価格 0.00(生コンクリート相当1立方メートルの平均売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。生コン相当数量が大幅減少。価格転嫁も進まず利益はほぼ消える。
- その他事業:数量 3.0(開示された主要事業領域の年間稼働単位数(事業領域換算))× 価格 0.65(1事業領域換算あたりの年間平均売上(億円・名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。周辺事業の一部を整理し、事業領域が縮小する。
倍率:営業赤字と純損失が継続し、利益に基づく正当化PERでは価値を表せない。現在の自己資本41.6億円から、売却価値の乏しいのれん約18億円、その他無形資産約0.2億円、資産売却・回収時の損失約2.6億円を控除した20.8億円を資産価値の床とする。倍率0.50は現在の自己資本41.6億円に対する床20.8億円の比率であり、10年間に積み上がる自己資本へ掛けるものではない。
確率:複数の子会社で監理技術者が不足し、過去の高採算案件を維持できず、さらに買収先の収益悪化によるのれん減損が重なる場合である。構造的な敗北には複数の悪条件が必要だが、買収持株会社特有の財務リスクを踏まえて11%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
インフラ整備・災害対応・環境保護
国や自治体、高速道路関連会社から受注する道路、河川、砂防、除雪、防災、環境保護工事。全社売上の約78%を占める中核事業。
| 数量東北公共工事の平均規模で換算した年間完成工事件数(件・実質) | 価格完成工事1件相当の平均売上収益(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 217 | 0.68 | 147 | 15 |
| 10 年後 中立 | 292 | 0.91 | 265 | 26 |
取り方:2026年6月期有報のインフラ整備132.76547億円、災害対応2.07699億円、環境保護12.33977億円を合算して147.18223億円。東日本建設業保証の2025年度東北6県公共工事統計では、請負金額14,938.68億円、件数22,036件で、平均請負金額は約0.678億円。これを工事1件相当の売上単価と仮定すると、当社売上は約217件に相当する。会社自身の完成工事件数の開示ではなく、工事年換算の推計値である。保証契約と収益計上の期間差、大型工事の複数年進捗、官民の範囲差を含むため、確定的な案件数ではない。金額シェア約0.99%も東北6県市場との規模比較であり、正確な落札シェアではない。10年後の数量増加は公共市場全体の数量成長ではなく、地域シェアの拡大、技術者融通、買収による施工能力の増加を主因とする。利益は会社が分野別に開示していないため、公共土木の相対的な高採算性を踏まえて推定配分し、本社調整と合算して実績営業利益15.0億円へ一致させている。市場統計:https://www.ejcs.co.jp/ejcsv1/wp-content/uploads/2026/04/touhoku_R0803.pdf
民間建築・民間土木工事
民間事業者向けの建築・土木工事。大型施設案件の受注によって売上規模が大きく変わるが、公共土木より利益率は低い傾向にある。
| 数量年間工事進捗を標準案件に換算した工事件数(件・実質) | 価格標準案件1件相当の平均完成工事売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 20.0 | 1.45 | 29 | 2 |
| 10 年後 中立 | 26.0 | 1.95 | 51 | 3 |
取り方:2026年6月期有報の民間工事売上実績2,903,122千円、すなわち29.03122億円を採用した。会社は実際の完成工事件数と案件別単価を公表していない。2026年に公表した浪江町の施設工事40.33億円、狭山パーキングエリア関連工事22.25億円などが複数年度にまたがることを踏まえ、年度売上に換算した標準案件を約20件、平均1.45億円と推定した。これは受注契約の実件数ではない。将来の数量は既存地域の民間設備投資と大豊建設との協業、買収による営業地域拡大で増減させる。単価には建築費上昇を含めるが、大型案件の構成差が生じるため平均単価の実質変化も筋書きごとに反映する。会社の決算説明では大型民間建築工事は公共土木より採算が低いと明言されており、営業利益率は主力公共工事より低く推定した。
建設関連の兼業事業
生コンクリートの仕入販売など、建設工事に関連する資材取引。需要数量と地域の建設資材単価に左右される。
| 数量生コンクリート相当の年間取扱数量(立方メートル・推定) | 価格生コンクリート相当1立方メートルの平均売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 43,500 | 0.00 | 9 | 1 |
| 10 年後 中立 | 53,000 | 0.00 | 15 | 1 |
取り方:有報の兼業事業売上914,444千円を基準とする。連結子会社の大和生コン白川工場は生コンクリートの仕入販売を行う。建設物価調査会の2026年10月東北地区市況では、代表規格の生コン価格が福島約21,000円、山形約21,800円、仙台約19,400円である。約21,022円を参考単価とすれば、売上9.14444億円は約43,500立方メートルに相当する。ただし、兼業事業には生コン以外の取引も含まれ、実際の生コン出荷数量ではない。将来の数量は建設現場への資材供給量、単価は建設資材価格と取引条件によって変える。地域価格:https://www.kensetu-bukka.or.jp/sikyou/region/02-tohoku/
その他事業
給油所、美容室、不動産賃貸、太陽光発電などの小規模事業。建設工事と異なる需要を持つが、連結業績への寄与は小さい。
| 数量開示された主要事業領域の年間稼働単位数(事業領域換算) | 価格1事業領域換算あたりの年間平均売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/06 | 4.0 | 0.68 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 5.0 | 0.92 | 5 | 0 |
取り方:有報のその他の事業売上272,651千円を採用した。事業内容として給油所、美容室、不動産賃貸、太陽光発電の4領域が開示されているため、4領域を年間稼働単位とした。各事業の店舗数、販売数量、料金別売上は開示されておらず、約0.682億円は各領域の単純な平均収益であって実際の個別単価ではない。異質な小規模事業をまとめた補助的な近似であり、全社価値への感応度は低い。将来の数量は事業・施設の増減、単価は物価と各事業の採算に従って変える。
リスクと懸念
施工管理技術者の不足
建設業では有資格技術者を現場に配置する必要がある。業界全体の高齢化が進むなか、若手の採用と育成が追いつかなければ、企業集団制度による融通にも限界が生じる。地域の競合が撤退して受注機会が増えても、自社に施工能力がなければ市場シェアを拡大できない。採用費と人件費の上昇が利益率を押し下げる危険もある。
買収価格の上昇とのれん減損
長期ビジョン2036の実現には企業買収が重要になる。事業承継を必要とする地方建設会社が増えても、買収を狙う企業が増えれば取得価格は上がりうる。すでに連結自己資本約42億円に対し、のれんが約18億円存在する。収益力を確認せず買収を進めれば、追加借入、金融費用、のれん減損によって既存株主の価値が傷つく。
公共工事への依存と除雪収益の変動
全社売上の大半は公共インフラ関連であり、国や自治体の予算執行に影響される。財政制約で新設工事や維持管理費が削られれば受注数量が減る。また、2026年6月期には少雪によって相対的に高採算の除雪関連収益が減少し、増収にもかかわらず営業減益となった。公共投資総額が堅調でも、工種の構成次第で利益は大きく変わる。
資材費・人件費と入札価格のずれ
物価が年3%上昇する環境では、材料、外注費、給与も上昇する。公共工事には単価改定や契約変更の仕組みがあるが、すべての工事で同時に転嫁できるわけではない。受注済み案件の原価が上昇した場合、利益率が下がる。特に民間の大型建築工事では、契約時の採算と実際の工事原価のずれが損失につながる可能性がある。
借入金と運転資金の負担
2026年6月期末の現金は約16.68億円である一方、有利子負債は約32.2億円と推定される。建設業は完成までに外注先や資材会社への支払いが先行する場合があり、売上が伸びるほど運転資金が必要になることもある。金利が3.5~4.5%程度へ借り換わる環境で買収を重ねれば、純利益の成長が営業利益ほど進まない可能性がある。
大株主の変化と資本配分
2026年に大豊建設が17%を取得し、エンデバー・ユナイテッドの保有割合は14.02%まで低下した。資本業務提携は大型工事の受注機会を広げる可能性があるが、共同受注の利益配分、経営方針、追加の株式移動には不確実性が残る。株主構成の変化そのものを業績改善と同一視せず、実際の受注と増分利益を確認する必要がある。
AIエージェント代替と業務領域の変化
現在の建設工事請負は、AIエージェントが人の操作画面や事務工数を直接置き換える型には該当しない。現場の安全管理、監理技術者の配置、施工責任は物理的な作業と法的資格を伴う。一方、将来買収を検討している設計コンサルなどの周辺事業では、資料作成、積算、調査などの事務部分が自動化される可能性がある。その領域へ進出する場合は、買収価格と利益見通しを別途慎重に評価する必要がある。
今後の分かれ目
- 公共工事の受注高と受注残高が複数年度にわたり増加し、工事成績優秀企業の認定も維持されたら
- 既存地域における競争力が持続している証拠となる。中立の公共工事数量を上方修正し、やや楽観側の確率を高める。受注額だけでなく粗利益率と技術者数も併せて確認する。
- 大豊建設との共同受注が拡大し、国策案件やPPP・PFI案件で利益の上積みが確認できたら
- 単なる資本提携が事業上の競争力へ変わったと評価できる。民間工事と大型公共工事の数量見通しを引き上げ、買収に依存しない成長の確度を高める。
- 買収企業数が増える一方、営業利益率やROICが低下し、のれんと純有利子負債が急増したら
- 売上の成長を株主価値の成長と見なさず、増分資本の利回りを再評価する。会社の長期売上目標に近づいていても、やや悲観・悲観側の確率を引き上げる。
- 有資格の施工管理技術者数が減り続け、受注残高に対する完成工事高が低下したら
- 建設需要の不足ではなく、施工能力の不足によって成長が制約されている可能性が高い。数量の長期成長率と利益率を引き下げ、企業集団制度の競争力を再点検する。
- 民間大型工事の構成比が上昇し、連結営業利益率が5%を下回る状態が続いたら
- 公共土木の相対的な高採算性が薄れたと考える。売上規模が増えても純利益を下方修正し、事業の資本効率と正当化PERを見直す。
- 配当性向40%が維持され、利益成長に応じた増配と純有利子負債の削減が同時に進んだら
- 経営者が成長と株主還元の両立に成功していると評価する。余剰資金の株主への戻り方を0.75から1.0へ見直す余地が生じ、本質価値の上方修正要因となる。
見ておくもの
- インフラ整備・災害対応・環境保護・民間工事の分野別受注高と受注残高の推移
- 工事成績評定、工事成績優秀企業認定、東北の高速道路施設関連工事における受注実績
- 施工管理技士などの有資格技術者数、年齢構成、若手採用数、グループ内の出向実績
- 営業利益率と売上総利益率の推移、除雪関連収益の寄与、民間大型工事の案件構成
- 買収先の取得価格、買収後の営業利益、のれん、純有利子負債、増分投下資本利益率
- 大豊建設との共同受注額、PPP・PFI案件への参画、資本業務提携による利益への寄与
- 2036年長期ビジョンへの進捗と中期経営計画2027-2029の更新、配当性向40%方針の継続
- 東北6県の公共工事保証請負額、実質工事数量、建設労務費・資材価格の変化
倍率と資本コストの決め方
現在の株価896円や現在・過去のPERを使って10年後の倍率を逆算していない。最初に公共工事の地域市場規模と案件数、会社の分野別売上、民間工事の具体的な大型受注、生コンの地域単価から数量と価格を組み立てた。公共工事の件数は会社の実開示件数ではなく、東北6県の契約件数と平均工事金額から求めた工事年換算であることを明示した。10年後の純利益と自己資本からROEを計算し、資本コスト7.5%、増分資本の長期利回りRONIC、2036年以降の名目成長率2.5%によって正当化PERを求めた。楽観から中立まで上限倍率を恣意的に割り引いていない。悲観は現在の自己資本41.6億円からのれん等を控除した資産回収価値を床にし、10年間の留保利益を床のPBRの分母に用いていない。会社はIFRS適用済みで、リース負債の会計処理を日本基準の新リース会計基準による新規の財務悪化として重ねていない。金利負担は純利益の換算率に、買収失敗は数量・利益率・確率に反映し、資本コストへの二重加算を避けた。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%を合わせた基本7.5%を使用する。公共工事の長寿命性と入札による価格競争の弱さが相殺するため、個別の危険性を追加の割引率に重ねない。