結論
SAAFホールディングスは地盤調査・基礎工事を主軸に、自治体向けコンサルティング、システム開発、教員派遣を束ねる企業である。筆者の結論は「割高」だ。土を調べ、杭を打ち、安全を保証する仕事は10年後も消えないが、その強みだけでは借金と経営の資本配分の弱さまで補えない。
2026年3月期は売上296億円、営業利益11億円まで回復した。しかし過去8期のうち4期は最終赤字であり、自己資本24億円に対して純有利子負債は62億円ある。さらに2027年3月期第1四半期にはSchoo株式の評価損などが発生し、親会社株主に帰属する自己資本は約17億円へ減った。営業面の回復と株主の財産の増加は同じではない。
経営計画は2029年3月期の営業利益20億円、2032年3月期の35億円を目指す。中大型の地盤改良と鉄道・インフラ工事への移行には理がある。一方、人月で売る行政DX支援やシステム開発は、AIエージェントが仕事の一部を直接こなす時代には従来の人員計画をそのまま売上に換えられない。
10年後の五つの筋書きから求める現在の価値は約48億円で、基準時価総額約79億円を約40%下回る。好調な土木工事を評価しても、買収による損失、配当の不確実性、借入条件の重さを考えれば、長く持つ株主が望む安全域はまだ見いだせない。
バリュー投資の観点から
長く保有する株主なら、会社全体を一つの「DX成長株」として買うのではなく、現場で必ず求められる仕事と、いつでも競争にさらされる仕事を分けて考えるはずだ。軟弱地盤を測り、建物の荷重に耐える基礎をつくる仕事は、AIが普及しても必要である。地域の土質データや専門施工の蓄積も一朝一夕には模倣できない。それでも取引先は工事ごとに発注先を選べるので、稼いだ利益が永続する独占事業ではない。
株主が本当に受け取れる利益は、会計上の最終利益より厳しい。重機は買えば終わりではなく、更新費用と稼働率の維持が要る。物価の上昇で新しい機械や部材の取得費用は膨らむ一方、既存設備の減価償却は取得時の金額で進む。利益が増えて見えても、再投資の現金が同じ割合で増えるとは限らない。加えて借入の借り換え費用と保証・瑕疵への備えも株主の取り分を減らす。
もっと気になるのは資本配分だ。新規投資や企業買収がうまくいかなければ、現場で積み上げた小さな利益は一度に消える。Schoo投資の評価損、薄い自己資本、支配権を巡る対立は、事業の強さだけで価値を測れない例である。経営陣には、大きな売上目標の達成より、増分投下資本が資本コストを上回ると継続して示してほしい。
中立の10年後には土木の収益性が改善し、事業そのものは今より稼げるとみる。それでも利益の相当部分を利払いと運転資金に取られ、AIによって人月事業の数量が減る。市場価格との差を最後に照らすと、価値約48億円に対して時価総額約79億円であり、現段階で十分な安全域はない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの中心は建設土木事業で、2026年3月期の売上約172億円、全社の58%を占める。子会社サムシングは全国26拠点で地盤調査、地盤改良、保証を一体で請け負う。公表された年約3万5千件の調査・施工実績と土質データが営業基盤だ。戸建て住宅向けだけでなく、NEW-EAGLE杭工法を用いた中大型建築、ユーシンなどによる鉄道工事、ダム・造成工事の土質試験へ顧客を広げている。
戸建ての工事は住宅着工と地盤の悪さに左右され、建築会社が複数業者から見積もりを取る。中大型工事では大型機械を持ち、施工条件に適した工法を選べるかが受注を決める。鉄道の狭小地施工には専用機械と経験が要るため、小規模住宅工事より模倣は難しい。ただし、これらは受注の都度収入が決まる建設業であり、工期の遅延や外注費の上昇を吸収できなければ利益は残らない。
コンサルティング事業は官公庁と自治体のシステム標準化、業務改革、防災・教育DXを支援し、売上は約23億円である。システム開発事業は約57億円。NXTechなどの受託開発・技術者稼働に加え、雷・熱中症を測る防災IoT機器と保守も扱う。両事業の中心は専門人材の仕事量と単価であり、AI利用による自社効率化と顧客による外注削減がせめぎ合う。
人材事業は約44億円だが、2026年3月に製造・流通分野の派遣子会社アイニードを売却したため、過去売上をそのまま先へ延ばせない。残る柱のイストは教員・講師の紹介と派遣を学校や塾に提供し、登録教員約1万人、取引先2千校以上の基盤がある。その他の小事業は整理中であり、投資先Schooとの教育連携を含む新構想は、現時点の既存利益と切り離して評価する。
優良さと弱いところ
もっとも信頼できる強みは、地盤を実際に調べて施工する現場の力である。サムシングには全国26拠点、複数の認定・専門工法、20年以上にわたる地盤データがある。GeoWebによる調査記録の管理や保証への一貫対応は、取引先が手順を変える負担を生む。ただし、解約率、競争入札での単価上昇、独自データへの有料契約の継続率は十分に開示されていない。価格を自分で決められるほど広い堀とはまだ呼べない。
中大型の地盤工事と鉄道の特殊施工には、機械・資格・施工実績という参入障壁がある。一方、受注は案件ごとの競争であり、設備を増やすほど稼働不足の損失も大きい。2026年3月期の自己資本利益率は約19%だが、分母の自己資本が小さく、過去8期の中央値はほぼゼロである。増やした資本が継続して資本コスト以上の利益を生んだ証拠とは言い切れない。
AIエージェント代替は会社全体ではなく仕事別に見る。地盤施工と実際の教室で教える作業は残るが、行政向けの調査・提案書作成、受託システム開発、SES、教員の募集と照合には人月や事務工数の圧縮圧力が強い。地盤データも蓄積だけでは「記録の正本」として高い成長率を正当化できず、厳格な解約率や値上げ実績などの証拠が二つ以上そろっていない。
最大の弱点は経営と財務の耐久力である。Schoo株式の評価損約10億円と2026年の調査費用約3億円は、施工の腕前とは別に株主資本を削った。借入契約には財務制限条項もある。次の10年に必要なのは事業を買い集める勢いより、資金を使う基準を厳しくし、地盤工事で得た現金を確実に株主の財産へ変えることだ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
住宅地盤の数量には人口と住宅投資の天井がある。2025年度の国内新設住宅着工は約71万戸に落ち、2026年度は資材費と金利が建築主の負担となる。サムシングの公表資料にある年間地盤調査約2万2千件を全住宅着工と比べると約3%だが、これは分母に集合住宅を含む便宜的な比率であり、専門業者市場での正式なシェアではない。地場工事会社や地盤ネット系の事業者との競争が強く、戸建てで一段とシェアを奪える根拠は乏しい。
一方、インフラ基礎工事には違う需要がある。建設経済研究所の2026年度見通しでは建設投資全体は約81兆円、土木投資は約29兆円であり、国土強靱化と既存鉄道・社会資本の維持が案件を生む。もっとも、その全額が地盤・杭工事の市場ではない。専門基礎工事の全国市場規模とSAAFのシェアは公的に切り分けて開示されておらず、筆者は工事件数と請負単価から積み上げている。大手ゼネコン、テノックス、日本基礎技術、地域の基礎工事会社が受注を競う。
行政DXとソフトウェア開発には、政府システムの標準化や老朽基盤の刷新という当面の発注が残る。競争相手はNTTデータ、富士通、BIPROGYから地域のシステム会社まで広い。SAAFのコンサル・開発売上約80億円は2024年度の国内DX関連投資約5兆円と比べ小さく、自治体顧客約300団体の実績があっても、全市場の値段を左右する存在ではない。調達価格は競争入札と予算に拘束される。
向こう10年の最大の構造変化は、AIエージェントが画面操作、書類作成、コーディング、求人照合を人の代わりに実行することだ。人を増やせば売上も増えるという従来のモデルは成立しにくい。一般の人材派遣市場は2024年度に約9.9兆円あるが、SAAFの旧人材事業約44億円はその0.05%未満にすぎず、教育に限ったシェアは非開示だ。教育現場で先生そのものが不要になるとは見ないが、派遣会社が稼ぐ仲介事務や研修制作は自動化される。建設現場のデジタル化による需要拡大も、受託工数の減少と相殺して考える必要がある。
資本政策と M&A
2026年6月公表の中期経営計画MTG2028は、2029年3月期に売上353億円、営業利益20億円、ROE17.7%を掲げる。2032年3月期は売上500億円、営業利益35億円、ROE20.1%が目標だ。デジタル人材を2029年に700人、2032年に1,000人へ増やす構想がある。しかし、人員増加がAI時代の利益増加を意味するかは別に検証すべきである。
還元方針は中期計画期間の配当性向30%を目安とする業績連動配当で、DOEや自社株買い金額の数値目標は示していない。2026年3月期に約1.1億円の配当を実施したが、Schoo株式評価損を受けて2027年3月期の配当予想は10月1日に未定へ変更された。過去5年を通じた厚い還元の実績はなく、今後の余剰資金が全額株主に戻るとまでは見ない。
2018年にITbookとサムシングが統合して以降、子会社取得によって事業を広げ、2024年にはユーシンを取得した。その借入には財務制限条項が付く。2026年のアイニード売却は選択と集中として評価できるが、Schooへの投資は短期間で約10億円の評価損を生んだ。2026年3月期の営業キャッシュフロー約21億円に対し、投資キャッシュフローの支出は約19億円であり、投資判断の質がオーナー利益を左右している。
大規模買付けを巡る対抗措置は10月13日に停止が決まり、新株予約権は10月28日に無償取得・消却予定となった。これによる普通株式の希薄化は予定されないが、支配権紛争や特別調査に費やす資金・時間が戻るわけではない。現時点で公表済みのTOBや上場廃止予定は確認されない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
SAAFの価値は、目先の株式評価損だけでは測れない。2026年3月期の営業利益は過去最高の約11億円で、同年4〜6月も建設土木のセグメント利益は約3.3億円へ改善した。主要な損失はSchoo株式の評価替えや調査に伴う特別費用であり、地盤調査や基礎工事の顧客が突然消えたわけではない。26拠点と年間3万5千件を超す実績は、ゼネコンの工期と品質を守るための現場能力を示す。
国土強靱化に向けた投資が続けば、中大型地盤改良と鉄道工事に重点を移す判断は大きく実る。ユーシンの専用機械とNEW-EAGLEなどの工法を使い、高単価工事の受注比率を増やせる。2029年の売上353億円・営業利益20億円、2032年の500億円・35億円という会社目標は、セグメントごとに具体策があり、単なる夢物語ではない。教員派遣の登録基盤や官庁との関係も、現場工事とは別の収益源として残る。
AIエージェントの普及も、必ずしもすべての利益を奪うわけではない。自社で見積もり、施工報告書、設計支援、開発工程の効率を上げれば、人員を増やさずに利益率を上げられる。防災センサーや地盤の測定機器のように物理的な設備を伴う商品も育ちつつある。買収よりも事業を絞って現金を積み上げ、配当性向30%の約束を守れば、財務の脆さが薄まり、10年後の株主価値は大きく伸びる可能性がある。
慎重な見方
収益改善の実績はまだ短い。2019年3月期以降の8期で4期は最終赤字であり、2026年3月期の利益率3.7%ですら建設・開発の受注波を受ける。2027年3月期第1四半期には評価損と特別調査費用が重なり、純損失は約13億円だった。施工の黒字を上回る資本配分の損失が現実に発生しており、「一過性だから無視する」とは言えない。投資した現金と失われた自己資本は戻らないからだ。
地盤工事は地元の施工会社も受けられる。2025年度の住宅着工が落ち込み、ゼネコンの下請けでも資材費・労務費の転嫁が遅れる。中大型工事の機械を増やしても、受注が不足すれば固定費が残り、必要な更新投資は物価以上に重くなる。売上が増えても投下資本の利回りが資本コストを超えないなら、株主に利益は生まれない。
コンサルと受託開発は、顧客がAIエージェントで設計書、手順書、コード、レポートを作るほど外注人月が減る。行政向け案件に実績があっても、正式な解約率や値上げ実績が分からず、規制対応を理由に永続的な高単価を期待できない。さらに自己資本比率は直近四半期で約10%に低下した。借入の財務制限条項、株主間の対立、新規M&Aの誘惑を考えれば、好業績の数年を投資家の利益として受け取れる保証はない。
どちらに重みを置いたか
現場施工が残るという点では強い見方に分がある。しかし本質価値を決めるのは、工事を受注できるかだけでなく、増えた売上が株主資本へ残るかどうかだ。過去の最終赤字、直近の投資有価証券評価損、薄い自己資本から、上側24%に対し下側43%へ確率を寄せた。AI代替による人月の減少は中立の数量と10年後の長期成長率にすでに織り込み、確率でも同じ理由を重ねていない。五つの価値を資本コストで割り引いた約48億円は、現在の約79億円に届かない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 440 円107 億円(+ 還元の換算額還元の合計 64 円16 億円)。 今の値に割り戻すと 164 円40 億円、今との差 −46.8%、 期待の年率 +5.4%(資本コスト 13.0%)→ 割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 1,587 円386 億円 | 197 円48 億円 | +477.3% | +21.1% | 143 円35 億円 |
| やや楽観 | 16% | 1,028 円250 億円 | 144 円35 億円 | +279.1% | +15.7% | 187 円46 億円 |
| 中立 | 33% | 420 円102 億円 | 62 円15 億円 | +55.8% | +4.9% | 159 円39 億円 |
| やや悲観 | 29% | 29 円7 億円 | 16 円4 億円 | −85.2% | −19.6% | 13 円3 億円 |
| 悲観 | 14% | 12 円3 億円 | 0 円0 億円 | −96.0% | −27.5% | 2 円0 億円 |
| 加重平均 | 100% | 440 円107 億円 | 64 円16 億円 | +63.1% | +5.4% | 504 円123 億円 |
今の株価時価総額 309 円75 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% インフラ施工が全国で伸びる 利益 28 億円 · PER 11.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,587 円386 億円
2030年代の国土強靱化、都市再開発、鉄道更新が途切れず、SAAFは中大型の地盤改良と鉄道・インフラで全国のゼネコンから選ばれる。住宅の着工自体は減るので、戸建ての契約数は今より減少するが、特別工法の稼働率と施工単価が大幅に改善する。長年蓄積した地盤データとNEW-EAGLE杭、TBHなどの専門工法が大型案件での信頼につながり、土木利益率が過去の水準を明確に上回る。
防災・熱中症向けIoTは計測機器と保守の受注が広がり、受託開発が縮んでも物理製品の成長がその一部を補う。自治体コンサルとSESではAIを利用して人数当たりの生産性が上がるが、仕事量そのものは現在以下にとどめる。AIエージェント事業の確定売上が無いため、未実現の新事業の爆発的成長は見込まない。
新しい大型買収を控え、株主との対立を解消することで投資資金の流出が止まる。配当性向30%を中心に還元を続け、重機の更新資金を確保しながら借金を管理する。2036年3月期の売上は約538億円、営業利益は約46億円となり、会社の2032年目標を超える結果になる。
- 戸建住宅の地盤調査・改良:数量 22,000(地盤調査・地盤改良の契約役務件数(件/年))× 価格 0.00(役務1件の平均売上(億円))→ 売上 55 億円・営業利益 2 億円。戸建て着工と営業地域の縮小を反映
- 中大型建築の地盤改良:数量 850(大型施工契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.21(大型施工契約1件の平均売上(億円))→ 売上 179 億円・営業利益 14 億円。施工契約数と専門工法単価の変化
- 鉄道・インフラ基礎工事:数量 200(鉄道・インフラの施工契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.48(施工契約1件の平均売上(億円))→ 売上 96 億円・営業利益 8 億円。鉄道・公共基礎工事の受注と価格
- 地盤保証・土質試験・地質データ:数量 24,000(保証・土質試験の契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.00(契約単位の平均売上(億円))→ 売上 59 億円・営業利益 7 億円。保証・試験・土質データの受託推移
- 自治体向けDX・防災コンサルティング:数量 570(自治体・企業の年間受託案件換算数(件/年、推定))× 価格 0.05(案件1件の平均売上(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替を案件量に反映
- 受託開発・SES・ニアショア開発:数量 430(技術者稼働の年間人月/12換算(人年、推定))× 価格 0.15(技術者1人年の平均売上(億円))→ 売上 65 億円・営業利益 5 億円。AIエージェント代替を人年数量に反映
- 防災IoT機器・センサー:数量 900(機器・導入案件の年間換算台数(台/年、推定))× 価格 0.04(台当たり機器・設置・保守収入(億円))→ 売上 32 億円・営業利益 5 億円。防災・現場センサーの実機売上
- 教員・講師の派遣紹介:数量 550(教員の年間稼働契約換算数(件/年、推定))× 価格 0.04(年間稼働契約1件の平均売上(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 2 億円。現場授業の需要と仲介自動化を反映
- 譲渡済み製造・流通人材派遣:数量 0.0(派遣人員の年間稼働換算数(人年、推定))× 価格 0.00(旧派遣人員1人年の売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年3月譲渡で消滅
- 清算・撤退中のその他事業:数量 0.0(旧契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.00(旧契約1件の平均売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。撤退・清算で消滅
倍率:ROE約18.2%、k9.0%、弱い堀の超過収益持続率1/3からRONIC約12.1%。長期g1.8%を入れ、(1−g/RONIC)/(k−g)の約11.82倍。足し戻す余剰現金はゼロ。FY2036純利益28億円に正当化PERを適用し、株価を逆算の起点にしない。
確率:上側の実現には中大型施工の急成長、IoT機器の販路拡大、投資・ガバナンス改善の同時達成が必要であり、発生可能性は8%に限定する。
やや楽観 16% 計画の土木転換が定着 利益 18 億円 · PER 11.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 1,028 円250 億円
会社が進める戸建住宅から中大型・公共工事への移行が軌道に乗り、民間の再開発と鉄道保守の双方で案件が増える。ユーシンの専門施工能力を生かし、中大型地盤改良の売上が大きく伸びる。地盤保証・土質試験も公共案件の比率が増え、地域の地盤データが受注の信用につながる。ただし住宅着工の減少は止まらず、住宅向けの数量と取引先の広がりは以前の水準には戻らない。
DXコンサルとシステム開発は顧客のAI内製化に押され、受託する人年は現在を下回る。教育人材の登録基盤は維持するが、教員の照合や研修の周辺業務は自動化される。防災機器は増えるものの大手計測器会社との競争もあり、全社が高成長のソフト企業になるわけではない。
企業買収を絞り、収益の約3割を配当に回せる財務状態へ戻る。2036年には約427億円の売上と約30億円の営業利益を得る。利益は改善するが、会社が掲げる2032年の500億円計画には届かず、経営目標の一部達成にとどまる。
- 戸建住宅の地盤調査・改良:数量 19,500(地盤調査・地盤改良の契約役務件数(件/年))× 価格 0.00(役務1件の平均売上(億円))→ 売上 50 億円・営業利益 2 億円。戸建て着工と営業地域の縮小を反映
- 中大型建築の地盤改良:数量 750(大型施工契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.19(大型施工契約1件の平均売上(億円))→ 売上 139 億円・営業利益 10 億円。施工契約数と専門工法単価の変化
- 鉄道・インフラ基礎工事:数量 165(鉄道・インフラの施工契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.45(施工契約1件の平均売上(億円))→ 売上 74 億円・営業利益 5 億円。鉄道・公共基礎工事の受注と価格
- 地盤保証・土質試験・地質データ:数量 18,500(保証・土質試験の契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.00(契約単位の平均売上(億円))→ 売上 41 億円・営業利益 4 億円。保証・試験・土質データの受託推移
- 自治体向けDX・防災コンサルティング:数量 510(自治体・企業の年間受託案件換算数(件/年、推定))× 価格 0.05(案件1件の平均売上(億円))→ 売上 25 億円・営業利益 2 億円。AIエージェント代替を案件量に反映
- 受託開発・SES・ニアショア開発:数量 370(技術者稼働の年間人月/12換算(人年、推定))× 価格 0.15(技術者1人年の平均売上(億円))→ 売上 55 億円・営業利益 3 億円。AIエージェント代替を人年数量に反映
- 防災IoT機器・センサー:数量 750(機器・導入案件の年間換算台数(台/年、推定))× 価格 0.03(台当たり機器・設置・保守収入(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 3 億円。防災・現場センサーの実機売上
- 教員・講師の派遣紹介:数量 500(教員の年間稼働契約換算数(件/年、推定))× 価格 0.04(年間稼働契約1件の平均売上(億円))→ 売上 21 億円・営業利益 2 億円。現場授業の需要と仲介自動化を反映
- 譲渡済み製造・流通人材派遣:数量 0.0(派遣人員の年間稼働換算数(人年、推定))× 価格 0.00(旧派遣人員1人年の売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年3月譲渡で消滅
- 清算・撤退中のその他事業:数量 0.0(旧契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.00(旧契約1件の平均売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。撤退・清算で消滅
倍率:ROE約16.5%、k9.0%、超過収益の持続は1/3でRONIC約11.5%。AI代替後の長期g1.8%から正当化PERは約11.72倍。純利益18億円を基準とし余剰現金を別に加えない。現行の市場PERに合わせず式の上限そのものを採用する。
確率:特殊施工の拡大が計画に沿って進む一方、行政DXと開発の工数減少は避けられない筋書きで、好調な土木と防災機器が必要なため16%とする。
中立 33% 地盤転換は進むが人月が減る 利益 7 億円 · PER 11.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 420 円102 億円
地盤を測って改良する仕事は10年後も不可欠だが、戸建て住宅着工の長期減少は避けられない。会社は住宅向けの量を追うことをやめ、中大型の地盤改良と鉄道・インフラの現場を増やす。特殊施工で利幅は改善するものの、建設費の上昇と工事の落札競争があり、土木の全国シェアが急拡大するとは見ない。保証・土質試験のデータ活用は受注維持の助けとなる。
行政向けコンサルの人手による案件量は現在の7割、受託開発・SESは約3分の2となる。単価は物価上昇におおむね沿うが、AIエージェントが事務・設計・開発を内製化するため、従来の売上成長は続かない。教員派遣は現場に人が残る一方、募集・照合業務の価値が薄れる。IoTの実機販売は伸びるが、まだ全社の中心にはならない。
Schoo株式の評価損と特別調査で落ちた自己資本は、事業利益から徐々に回復する。配当を利益に応じて再開し、重機の更新と借金返済を優先する。2036年の売上は約298億円、営業利益は約16億円となり、2029年の会社目標に遅れて近づく程度である。
- 戸建住宅の地盤調査・改良:数量 16,500(地盤調査・地盤改良の契約役務件数(件/年))× 価格 0.00(役務1件の平均売上(億円))→ 売上 41 億円・営業利益 1 億円。戸建て着工と営業地域の縮小を反映
- 中大型建築の地盤改良:数量 550(大型施工契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.16(大型施工契約1件の平均売上(億円))→ 売上 88 億円・営業利益 5 億円。施工契約数と専門工法単価の変化
- 鉄道・インフラ基礎工事:数量 120(鉄道・インフラの施工契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.40(施工契約1件の平均売上(億円))→ 売上 48 億円・営業利益 3 億円。鉄道・公共基礎工事の受注と価格
- 地盤保証・土質試験・地質データ:数量 13,700(保証・土質試験の契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.00(契約単位の平均売上(億円))→ 売上 27 億円・営業利益 2 億円。保証・試験・土質データの受託推移
- 自治体向けDX・防災コンサルティング:数量 420(自治体・企業の年間受託案件換算数(件/年、推定))× 価格 0.05(案件1件の平均売上(億円))→ 売上 20 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替を案件量に反映
- 受託開発・SES・ニアショア開発:数量 300(技術者稼働の年間人月/12換算(人年、推定))× 価格 0.14(技術者1人年の平均売上(億円))→ 売上 43 億円・営業利益 1 億円。AIエージェント代替を人年数量に反映
- 防災IoT機器・センサー:数量 500(機器・導入案件の年間換算台数(台/年、推定))× 価格 0.03(台当たり機器・設置・保守収入(億円))→ 売上 13 億円・営業利益 1 億円。防災・現場センサーの実機売上
- 教員・講師の派遣紹介:数量 450(教員の年間稼働契約換算数(件/年、推定))× 価格 0.04(年間稼働契約1件の平均売上(億円))→ 売上 19 億円・営業利益 2 億円。現場授業の需要と仲介自動化を反映
- 譲渡済み製造・流通人材派遣:数量 0.0(派遣人員の年間稼働換算数(人年、推定))× 価格 0.00(旧派遣人員1人年の売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年3月譲渡で消滅
- 清算・撤退中のその他事業:数量 0.0(旧契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.00(旧契約1件の平均売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。撤退・清算で消滅
倍率:純利益7.3億円と自己資本56億円からROE約13.0%。k9.0%、弱い堀の残存率1/3でRONIC約10.34%、長期g1.8%から正当化PER約11.47倍。新規投資が資本コスト以上の価値を生む割合を限定し、直近の株価や過去のPERは使わない。
確率:中立は住宅縮小、専門土木への緩やかな移行、AIによる開発工数圧縮を並行して認め、会社計画の一部達成にとどまる33%の中心ケースとする。
やや悲観 29% 公共工事の伸びが採算に届かない 利益 0 億円 · PBR 0.2 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 29 円7 億円
戸建ての工事件数が減り、中大型工事への設備移転も十分な稼働率に結びつかない。ゼネコンとの契約では工期遅延や外注費の上昇分を取り切れず、住宅事業と大型地盤改良の営業利益率は薄いままである。保証と土質試験は一定の需要が残るが、他社との差を広げるほどの独占的なデータ事業には育たない。
行政DXはAIが報告書と手順書を作り、システム開発でも外注する開発工数が減少する。社内のAI活用で費用を削減する努力は続くが、顧客の発注単価も圧縮されて相殺される。教員派遣の授業需要は消えないものの、学校の予算制約と紹介業務の自動化で手数料が伸びない。
過去の投資失敗の処理と資本の再構築が続き、配当は当初の少額に限られる。2036年の全社売上は約208億円、営業利益は約2億円となり、利払い後の最終利益はほぼ残らない。自己資本の帳簿額を将来の株価の保証には使わず、低い稼ぐ力と売却可能資産を基礎に評価する。純利益0.2億円では継続企業としての稼ぐ力はごく小さく、既存株主に残る価値は、のれんなどを除いた税後売却可能資産がほぼ上限となる。
- 戸建住宅の地盤調査・改良:数量 12,000(地盤調査・地盤改良の契約役務件数(件/年))× 価格 0.00(役務1件の平均売上(億円))→ 売上 26 億円・営業利益 −1 億円。戸建て着工と営業地域の縮小を反映
- 中大型建築の地盤改良:数量 390(大型施工契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.15(大型施工契約1件の平均売上(億円))→ 売上 59 億円・営業利益 2 億円。施工契約数と専門工法単価の変化
- 鉄道・インフラ基礎工事:数量 90.0(鉄道・インフラの施工契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.38(施工契約1件の平均売上(億円))→ 売上 34 億円・営業利益 1 億円。鉄道・公共基礎工事の受注と価格
- 地盤保証・土質試験・地質データ:数量 10,500(保証・土質試験の契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.00(契約単位の平均売上(億円))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。保証・試験・土質データの受託推移
- 自治体向けDX・防災コンサルティング:数量 340(自治体・企業の年間受託案件換算数(件/年、推定))× 価格 0.04(案件1件の平均売上(億円))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替を案件量に反映
- 受託開発・SES・ニアショア開発:数量 250(技術者稼働の年間人月/12換算(人年、推定))× 価格 0.13(技術者1人年の平均売上(億円))→ 売上 33 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替を人年数量に反映
- 防災IoT機器・センサー:数量 280(機器・導入案件の年間換算台数(台/年、推定))× 価格 0.02(台当たり機器・設置・保守収入(億円))→ 売上 7 億円・営業利益 0 億円。防災・現場センサーの実機売上
- 教員・講師の派遣紹介:数量 360(教員の年間稼働契約換算数(件/年、推定))× 価格 0.04(年間稼働契約1件の平均売上(億円))→ 売上 14 億円・営業利益 1 億円。現場授業の需要と仲介自動化を反映
- 譲渡済み製造・流通人材派遣:数量 0.0(派遣人員の年間稼働換算数(人年、推定))× 価格 0.00(旧派遣人員1人年の売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年3月譲渡で消滅
- 清算・撤退中のその他事業:数量 0.0(旧契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.00(旧契約1件の平均売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。撤退・清算で消滅
倍率:修正前の時価総額6.1億円は、純利益0.2億円に対する稼ぐ力約2.2億円と、税後売却可能資産4.0億円のいずれも超えていたため採用できない。修正後は、稼ぐ力2.2億円と資産の床4.0億円の大きい方である4.0億円を時価総額とする。PBRは今の自己資本24.4億円に対する4.0÷24.4=0.1639344262倍であり、2036年の自己資本30億円には掛けない。のれんや無形資産に回収価値を付けず、過去の市場PBRも根拠にしない。
確率:下に寄せる理由:自己資本比率が薄く、2026年の投資有価証券評価損と買収防衛紛争により耐久力が低下した。土木転換の遅れとAI人月圧縮が同時に起こる確率を29%とするが、AIは数量とgに反映済みで確率に二重掛けしない。
悲観 14% 再編と資本毀損が常態化 利益 −4 億円 · PBR 0.1 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 12 円3 億円
大型の杭工事では施工単価の競争と設備稼働不足が重なり、住宅地盤は人口減と工事価格の下落で大きく縮む。鉄道工事も大型受注を失い、装置の償却と保守だけが残る。地盤保証に事故費用が増えれば、地域の知名度と施工実績があっても優良な利益を維持できない。建設土木の売上は今の大きさを大幅に下回る。
受託開発と行政DXの工数は急減し、AIで置き換えられない特殊案件だけが残る。自社のAI製品を販売する計画は顧客から継続した対価を得られず、IoTも競合の大手計測器メーカーに押される。教員派遣の物理的な需要は一部残るが、仲介機能の収益は細る。
営業利益が赤字化し、借り換えの際には担保や資本増強を要求される。買収した子会社の減損や売却を余儀なくされ、株主還元は停止する。2036年には売上約152億円、営業損失約2億円、最終損失約4億円となる。法的破綻を確定させる筋書きではないが、継続損失により債権回収費用や設備の処分損が増えるため、やや悲観より売却可能資産が減る。既存株主に残る価値は、金融債権者への返済後のわずかな部分に限られる。
- 戸建住宅の地盤調査・改良:数量 8,000(地盤調査・地盤改良の契約役務件数(件/年))× 価格 0.00(役務1件の平均売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 −1 億円。戸建て着工と営業地域の縮小を反映
- 中大型建築の地盤改良:数量 280(大型施工契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.14(大型施工契約1件の平均売上(億円))→ 売上 39 億円・営業利益 1 億円。施工契約数と専門工法単価の変化
- 鉄道・インフラ基礎工事:数量 65.0(鉄道・インフラの施工契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.35(施工契約1件の平均売上(億円))→ 売上 23 億円・営業利益 0 億円。鉄道・公共基礎工事の受注と価格
- 地盤保証・土質試験・地質データ:数量 10,000(保証・土質試験の契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.00(契約単位の平均売上(億円))→ 売上 17 億円・営業利益 0 億円。保証・試験・土質データの受託推移
- 自治体向けDX・防災コンサルティング:数量 280(自治体・企業の年間受託案件換算数(件/年、推定))× 価格 0.04(案件1件の平均売上(億円))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。AIエージェント代替を案件量に反映
- 受託開発・SES・ニアショア開発:数量 225(技術者稼働の年間人月/12換算(人年、推定))× 価格 0.13(技術者1人年の平均売上(億円))→ 売上 29 億円・営業利益 −1 億円。AIエージェント代替を人年数量に反映
- 防災IoT機器・センサー:数量 190(機器・導入案件の年間換算台数(台/年、推定))× 価格 0.02(台当たり機器・設置・保守収入(億円))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。防災・現場センサーの実機売上
- 教員・講師の派遣紹介:数量 300(教員の年間稼働契約換算数(件/年、推定))× 価格 0.04(年間稼働契約1件の平均売上(億円))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。現場授業の需要と仲介自動化を反映
- 譲渡済み製造・流通人材派遣:数量 0.0(派遣人員の年間稼働換算数(人年、推定))× 価格 0.00(旧派遣人員1人年の売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。2026年3月譲渡で消滅
- 清算・撤退中のその他事業:数量 0.0(旧契約換算件数(件/年、推定))× 価格 0.00(旧契約1件の平均売上(億円))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。撤退・清算で消滅
倍率:2036年の最終損失4億円であるため、正のPERによる継続的な稼ぐ力の価値は認めない。資産価値もやや悲観より低く、長期損失と金融機関による処分を考慮した税後売却可能資産3.0億円を価値の上限とする。今の自己資本24.4億円に対して3.0÷24.4=0.1229508197倍を使い、将来の自己資本5億円をPBRの分母には使わない。のれん・無形資産に回収価値を加えず、過去の市場PBRも根拠にしない。
確率:金融機関の条件厳格化と子会社事業の競争力喪失が重なる極端な下振れだが、既に投資失敗と資本毀損が起きているので14%は無視できない。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
戸建住宅の地盤調査・改良
地盤調査・柱状改良・鋼管杭など住宅着工時の現場業務。サムシングの調査と施工の二つの役務を数える。
| 数量地盤調査・地盤改良の契約役務件数(件/年) | 価格役務1件の平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 35,000 | 0.00 | 66 | 0 |
| 10 年後 中立 | 16,500 | 0.00 | 41 | 1 |
取り方:会社の2025年事業説明では地盤調査年2.2万棟以上、地盤改良1.3万棟以上。両サービスを別役務として合計3.5万件とする。2026年6月中計27頁の戸建住宅売上は建設土木本体167億円の約40%で約66億円。価格は66億円÷3.5万役務=約18.9万円。件数は別役務なので住宅3.5万棟を意味しない。営業利益は建設土木全体2.38億円からの推定配分。
中大型建築の地盤改良
大型重機を使用するマンション・ホテルの地盤改良と杭工事。NEW-EAGLE杭・コラムZ工法を含む。
| 数量大型施工契約換算件数(件/年、推定) | 価格大型施工契約1件の平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 417 | 0.12 | 50 | 1 |
| 10 年後 中立 | 550 | 0.16 | 88 | 5 |
取り方:2026年6月中計27頁の中大型地盤改良売上50億円を使用。工事件数は非開示のため大型・中型をまとめて417契約換算件(平均約1,200万円)と推定した。国交省建設投資の土木・非住宅建築は広い上限市場であり、そのままSAAFの市場シェアにしない。部門利益0.8億円は建設全体の利益から暫定配賦した推定値。
鉄道・インフラ基礎工事
ユーシン、東名などによる鉄道下・狭小地での基礎工事、ダムや再開発の杭施工。
| 数量鉄道・インフラの施工契約換算件数(件/年、推定) | 価格施工契約1件の平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 110 | 0.30 | 33 | 1 |
| 10 年後 中立 | 120 | 0.40 | 48 | 3 |
取り方:2026年6月中計27頁の鉄道・インフラ工事33億円が売上起点。TBH・BH工法の実件数や単価は開示されていないので、専門工事110契約換算件×約3,000万円で組み立てる。工期の異なる案件の平均化であり受注公表件数ではない。利益は建設土木の全社実績から仮配賦。
地盤保証・土質試験・地質データ
地盤保証THE LAND、住宅品質検査、土質試験、アースプライムの地質調査を含む。
| 数量保証・土質試験の契約換算件数(件/年、推定) | 価格契約単位の平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 15,000 | 0.00 | 23 | 0 |
| 10 年後 中立 | 13,700 | 0.00 | 27 | 2 |
取り方:会社の2025年事業資料に地盤保証1万棟以上との記載がある。土質試験などは非開示なので5千契約換算件を仮定し合計1.5万件。売上は建設土木171.79647億円から中計27頁の戸建66億円・中大型50億円・鉄道33億円を引いた残り22.79647億円。アースプライムと保証等の混在した代理単価であり正式な料金表ではない。
自治体向けDX・防災コンサルティング
官公庁・自治体の標準化、防災、教育DX、人材育成支援など。基本はプロジェクト工数で請求する。
| 数量自治体・企業の年間受託案件換算数(件/年、推定) | 価格案件1件の平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 600 | 0.04 | 23 | 3 |
| 10 年後 中立 | 420 | 0.05 | 20 | 1 |
取り方:有報2026年3月期コンサルティング外部売上22.76290億円、セグメント利益2.54572億円。会社中計が自治体顧客約300団体を記載するが民間案件もあるため、年間600案件換算と推定し平均約379万円。AIエージェント代替の対象は調査・文書作成・研修と受託工数で、顧客関係だけで記録の正本型とは認めない。
受託開発・SES・ニアショア開発
NXTech等のラボ開発・SES・自治体システムの改修など、技術者の稼働で稼ぐ部分。
| 数量技術者稼働の年間人月/12換算(人年、推定) | 価格技術者1人年の平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 450 | 0.11 | 51 | 2 |
| 10 年後 中立 | 300 | 0.14 | 43 | 1 |
取り方:有報システム開発売上56.81013億円からIoT等6.01013億円を推定分離し、受託・SESを50.8億円と見積もる。計画のデジタル人材300人は特定4社だけなので、開発関連全体の稼働450人年を仮定した。単価は約1,129万円/人年。AIエージェント代替の中立数量はその約2/3へ減らす。
防災IoT機器・センサー
みまわり伝書鳩、熱中症センサー、環境計測ODM、設備に紐づく保守。画面の席課金ではなく機器を中心に測る。
| 数量機器・導入案件の年間換算台数(台/年、推定) | 価格台当たり機器・設置・保守収入(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 300 | 0.02 | 6 | 0 |
| 10 年後 中立 | 500 | 0.03 | 13 | 1 |
取り方:有報にIoT機器・計測・機器販売の存在は開示されるが金額・出荷台数は非開示。システム開発事業総売上56.81013億円のうち6.01013億円を機器系と仮定し、設置案件300台換算×約200万円とした分析上の補助区分。実販売台数の主張ではなく、稼働率・価格ともに不確実。SIの工数型とは別の物理設備型。
教員・講師の派遣紹介
イストによる学校・塾向け教員派遣、講師紹介および教育現場の付随支援。
| 数量教員の年間稼働契約換算数(件/年、推定) | 価格年間稼働契約1件の平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 600 | 0.03 | 19 | 2 |
| 10 年後 中立 | 450 | 0.04 | 19 | 2 |
取り方:2026年3月期人材セグメント44.27981億円のうち、2026年3月2日譲渡したアイニード以外の教育人材等を19億円と推定。登録教員約1万人と学校・塾2千超は会社の事業計画20頁の開示だが、稼働者数は不明なので年600契約換算と置く。現場授業は継続するが事務的マッチングはAI代替。利益は残存事業への仮配賦。
譲渡済み製造・流通人材派遣
2026年3月に売却したアイニードなど、翌年度に残らない製造・流通向け人材派遣の旧売上。
| 数量派遣人員の年間稼働換算数(人年、推定) | 価格旧派遣人員1人年の売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 800 | 0.03 | 25 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:有報でアイニード譲渡日を2026年3月2日と確認。残存教育人材等19億円を人材総売上44.27981億円から引き、過年度に含まれた退出対象の売上を25.27981億円と推定。実際の子会社別売上の開示ではないため初年度再分類は不確実。翌年以降の数量は0とし、投資家が過去売上を延長しないため独立表示する。
清算・撤退中のその他事業
旧金融・M&A助言・ドローン等、会社が廃止を予定している小規模な残存事業。
| 数量旧契約換算件数(件/年、推定) | 価格旧契約1件の平均売上(億円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 10.0 | 0.02 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
取り方:有報のその他セグメント売上0.15742億円、赤字0.06376億円。会社は清算等による区分廃止を明示している。件数10件は事業の方向性を示す便宜的な契約換算で、将来の売上・利益は0とする。
リスクと懸念
AIエージェント代替で人月と仲介手数料が縮む
官公庁向けコンサル、ニアショア開発、SESは人が作る資料とコードに請求する部分が大きい。顧客がAIエージェントで直接処理すれば、発注される人月そのものが減る。中立ではコンサル案件量を現状の7割、SI稼働を約3分の2とし、10年後以降の同事業の名目成長をゼロとみる。現場施工や物理的なセンサーには同じ縮小率を掛けない。
純負債と財務制限条項による資金調達リスク
2026年3月期の純有利子負債は約62億円で自己資本約24億円の2.5倍に及ぶ。2024年のユーシン取得資金のシンジケートローンには財務制限条項が付いている。金利が借り換えで3.5%以上へ上がり、注文が減れば利払いと元本返済が先に必要となる。2036年の営業利益だけで余力を測れず、銀行の条件変更と運転資金を常に点検したい。
Schoo評価損と企業買収の資本配分失敗
教育連携による新規受注を期待して取得した株式が、2027年3月期第1四半期に約10億円の評価損を生んだ。過去の買収で積み上がったのれんは2026年3月期に約15億円ある。地盤工事で得た利益を他事業の買収で失うなら増分投下資本利益率は資本コストに届かない。今後の投資額、減損と買収後の現金回収を分けて監視する。
住宅市場の縮小と専門工事の価格競争
国内の新設住宅着工は2025年度に約71万戸まで減少した。戸建て地盤調査・改良は相見積もりになりやすく、建築資材、燃料、労務費の値上がりを受注価格に転嫁できる保証はない。中大型案件への転換は合理的だが、大型重機の固定費は工事受注が減っても残る。工事件数だけでなく施工単価と機械稼働率を合わせて見る必要がある。
株主間対立・特別調査と統治コスト
2026年には大規模買付けへの対抗方針を巡って臨時株主総会や訴訟対応が続いた。10月13日に新株予約権の無償取得・消却を決めたため今回の希薄化は避けられる見込みだが、調査費用等は既に約3.4億円に上った。所有構造と経営陣の方針が再び対立すれば、現場投資より法務費に資金と経営時間を取られる。
施工品質、瑕疵保証と更新投資負担
地盤工事は施工後の沈下・液状化・保証請求に長く対応する。品質事故が発生すると、当期の工事売上より大きい費用や信用低下を生む可能性がある。物価上昇下でも保有機械の償却は過去の取得価額で進む一方、更新する重機と鋼材は現在の高い単価で買うため、会計利益ほど現金を自由には使えない。2036年の利益率には更新負担を反映する。
新規IoTと地盤データ事業の収益化の不確実性
みまわり伝書鳩や環境計測機器の実地導入と、地盤データを使ったサービスには成長余地がある。ただし、機器出荷数、継続契約の単価、SaaS解約率、独自データの有料利用収益は十分に開示されていない。現場で試験されたことと、大きな利益が継続して生まれることは別である。上振れには採用台数と粗利益を数字で確認する必要がある。
今後の分かれ目
- 2029年3月期までに中大型地盤改良93億円、鉄道・インフラ56億円という中期計画の売上目標が採算を伴って達成されたら
- 施工単価と重機稼働率を確認したうえで中立の土木数量・営業利益率を上方修正する。投資した重機の増分ROICも資本コスト9%を超える必要がある。
- DXコンサルとSESの人年稼働量が減りながら、成果報酬契約や自社AIサービスの継続売上が金額付きで開示されたら
- 人月の縮小を部分的に補うことを認め、サービスに実績がある範囲だけAI関連の数量と長期gを見直す。試行開発や提携発表のみでは上方修正しない。
- 親会社株主資本が再び20億円台後半へ回復し、純有利子負債が営業利益の4倍以下に下がったら
- 借入リスクの低下を確認して資本コストの借金加算を減らす可能性がある。評価益による一時的な純資産増ではなく、営業キャッシュからの返済を重視する。
- 2027年3月期以降も投資有価証券の減損、追加調査費用、買収後の資産売却損が続いたら
- 資本配分の失敗が反復するものとして、自己資本の成長率を下げ、やや悲観・悲観の確率を引き上げる。新規投資の停止だけでは過去損失を取り戻せない。
- 戸建地盤の年契約が減っても中大型工事の粗利率と工事別利益が一貫して上がったら
- 価格競争に負けず需要構造の転換が成功した証拠とする。反対に増収でも工事採算が下がるなら大型重機の稼働不足を疑う。
- 2027年3月期配当が再開され、計画の配当性向30%が複数期で維持され、株数の減少も確認できたら
- 未配当と持ち合いの懸念を見直し、余剰現金の戻り方を0.75から1.0へ引き上げる。ROEだけの改善では還元可能性を高めない。
- 新株予約権の10月28日の予定どおりの消却が実施されず、資本増強に向けた増資・新たな潜在株式が発生したら
- 現在の既存株主の取り分を行使後の株数で調整する。今回の権利は消却が予定されているため、現時点では希薄化を先取りしていない。
見ておくもの
- 2027年3月期以降の建設土木受注高、施工数量、現場別粗利益と大型重機の稼働率
- 中期計画2029年3月期の売上353億円・営業利益20億円・ROE17.7%への進捗
- 戸建住宅の地盤調査件数、全国の新設住宅着工戸数と中大型杭工事への売上構成転換
- 2026年10月28日の買収防衛用新株予約権消却の実施、主要株主の移動、調査・訴訟費用
- 純有利子負債、財務制限条項、金利支払額、親会社株主持分と追加減損の有無
- コンサルとSIの受注残、技術者稼働人年、成果課金やAI自社製品の金額付き売上開示
- 2027年3月期の配当再開と配当性向30%の実行、事業買収の新規支出
- IoT計測機器の納入台数、継続保守率および地盤データの外部有料契約額
倍率と資本コストの決め方
地盤調査2.2万件、改良1.3万件、保証1万件と決算売上を起点に、非開示の工事件数・SI人年は仮定と明記した。物価年3%は価格側だけに入れ、AIエージェント代替は人月数量の縮みと長期g1.8%に反映し、資本コストの寿命で重複させない。kは7.5%の共通基準に借金と値決め力の1.5%を加え9%。2026年のセグメント利益計8.32億円と連結営業利益10.94億円の差は消去・共通費であり、独立収益とみなさず中立の本社等調整は−1億円とした。正当化PERは増分投下資本の利回りであるRONICの競争減衰を考えた式で求め、現在・過去の市場PERは参照しない。住宅・建設の更新投資は名目増額、既存設備の減価償却は取得時価格のままとし、新リース会計の2028年以降の表記変更で事業価値を増やしていない。2026年6月末の自己資本毀損を悲観の資産床に織り込む。検査指摘を受けて、やや悲観の時価総額を稼ぐ力約2.2億円と売却可能資産4.0億円の大きい方へ修正した。さらに、より厳しい悲観では換価費用が増えるため資産床を3.0億円とし、二つの悲観シナリオで資産価値の順序が逆転しないことを確認した。修正後の確率加重現在価値は約47.88億円、基準時価総額79.39億円との差は約−39.7%であり、結論は割高で変わらない。
資本コスト 13.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。国債3%と株式プレミアム4.5%の基本7.5%に、値決め力0.5%・純負債1.0%を加えて9.0%。個別投資失敗と支配権紛争は利益と確率で表し、kには上乗せしない。