結論
キャンディルは、新築の住宅のフローリングの傷や、店舗の内装を直す職人を全国に抱える会社だ。住宅会社やゼネコン、商業施設から補修と点検、改装の仕事を請け負う。筆者の結論は、今の値段はほぼ適正で、割安とはいえない。人手不足で単価は上がっているが、職人の仕事は参入の壁が低く、利幅を大きく広げる力は限られるからだ。
追い風は確かにある。建設の現場では職人が足りず、住宅会社は引き渡し前の補修や入居後の点検を外に出したがる。2026年9月期の中間は、単価の引き上げで営業利益が2割強伸びた。過去の買収で生じたのれんの償却も、2034年ごろに終わる。
一方で、新築の住宅は減り続ける。補修の仕事の芯は新築の数に結びつく。人件費の上昇を単価に移せない年は、利益がすぐに削られる。10年で見ると、新築の減りを点検と改装で埋め、利幅は今の水準を保つ姿がいちばんありそうだ。のれんの償却が消えて会計の利益は増えるが、それは帳簿の上の話で、稼ぐ力そのものが強くなるわけではない。
筆者が見たいのは、職人の数を増やしながら利幅を保てるかどうかだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、人手不足の時代に職人を抱える会社には、確かに値打ちがある。ただ、その値打ちが長く続く堀になるかは別の話だ。補修の仕事は地場の業者にも始められ、顧客は大手の住宅会社やチェーンで、値段の主導権を握っている。
オーナー利益、つまり設備の更新を済ませたあとに株主に残る利益は、のれんの償却を足し戻せば年に4億円前後だ。設備はほとんど要らないので、利益の多くは現金で残る。これは良い点だ。
気になるのは帳簿の中身だ。自己資本の6割はのれんで、過去の買収の値段を映している。その子会社が稼ぎ続ければ問題はないが、崩れれば一度に減損が出る。
今の値段は、のれんの償却の終わりと単価の上昇をある程度織り込んでいる。筆者は、職人の数を増やしながら利幅を保てる証拠が2〜3年続くまで、安全域は薄いと見る。
払う値段に対する安全域は、のれんの償却の終わりではなく、職人の網の強さで測るべきだ。
何で稼ぐ会社か
仕事は大きく三つある。一つ目はリペア、つまり補修だ。新築の住宅の引き渡し前に、床や建具、壁に付いた小さな傷を、張り替えずに専用の材料で目立たなくする。住宅会社にとっては、張り替えるより安く早い。売上の3分の1強を占め、補修の材料の販売もここに含まれる。
二つ目は住まい向けの建築サービスだ。住宅会社のアフターサービスの代わりに、入居後の点検や小さな修繕、リフォームを請け負う。三つ目は商業施設向けで、店舗の内装の工事や改装、修繕を、小売や飲食のチェーン、ゼネコンから受ける。この二つで売上の6割を占める。
稼ぎの形を一言で言えば、職人の手間を時間で売る商売だ。全国に職人と協力会社の網を持ち、急な依頼にも人を出せることが売り物になる。顧客は特定の1社に偏らず、売上の1割を超える取引先はない。
資本の面では、サカイ引越センターが2022年に資本業務提携を結び、27%を持つ筆頭株主だ。引っ越しの前後の補修や原状回復で協業する。会社は過去の組織再編と買収で生じたのれんを17億円抱え、年に2億円弱を償却している。
本社は持株会社で、仕事は四つの子会社が担う。
優良さと弱いところ
職人の網は強みだが、堀、つまり他社がまねできない強みとしては浅い。これが筆者の見立てだ。補修の技術は特殊でも、資格や設備の壁は低く、地場の小さな業者がいくらでも参入できる。会社自身も、有報で参入の壁が低い業界だと書いている。
利益の記録はそれを映す。営業利益率は過去10年で3%前後にとどまり、良い年でも3.7%だった。人件費の上昇を単価に移せない年には、利益はすぐに縮んだ。2021年9月期は赤字だった。
強みは規模だ。全国で急な依頼に人を出せる会社は少なく、大手の住宅会社やチェーン店にとっては窓口を一つにできる便利さがある。人手不足が深まるほど、職人を抱える会社の値打ちは上がる。2026年9月期の中間で単価の引き上げが通ったのはその表れだ。
弱みは帳簿にある。自己資本29.6億円のうち、のれんが17億円を占める。買収した子会社の稼ぎが落ちれば減損で自己資本が大きく減る。借入の一部には財務制限条項も付く。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
業界の前提は、新築の減少と人手不足の二つだ。国内の新設住宅の着工は人口と世帯の減少で細り、10年後は今より1割ほど少ないとみる。引き渡し前の補修の件数は新築の数に結びつくので、ここは縮む市場だ。
一方で、建物の数そのものは減らない。全国の住宅と商業施設は年を追って古くなり、点検と修繕の需要は増える。住宅会社は自社の職人が足りず、アフターサービスの点検や小さな修繕を外に出す。小売と飲食のチェーンは、店舗の改装と原状回復を定期的に繰り返す。都市部の再開発も、商業施設の内装の仕事を生む。
人手不足は両刃の剣だ。職人を抱える会社には仕事と値上げの余地が生まれるが、自社の職人の採用と賃金も重くなる。建設の残業の規制と高齢化で、職人の数は減り続ける。業界は小さな業者が多く、価格の主導権は顧客の大手の住宅会社やチェーンにある。補修の技術は手の仕事なので、人工知能に置き換えられる心配は小さい。代わりに、職人を集め続けられるかが勝負を決める。
競争の相手は、同じように全国に職人を持つ数社と、無数の地場の業者だ。大手の住宅会社には、自社の系列で補修を手がける会社もある。規模の差はあっても、決定的な差ではない。
資本政策と M&A
還元は利益の4割ほどを配当に回す形だ。2025年9月期の配当性向は38%で、2026年9月期は増配を予想する。過去には自己株も買っており、発行済みの1割強を自己株として持つ。
純現金は4億円ほどで、事業に要らない現金として分ける額はない。借入は12億円あり、一部に財務制限条項が付く。
資本の再編では、27%を持つサカイ引越センターの動きが鍵になる。提携の契約では、株を買い増す時や売る時に事前に協議するとしている。引っ越しと補修の協業が深まれば、子会社にする道もありうるが、今のところ具体的な話はない。
増配の余地はあるが、のれんの重さを考えると、自己株買いを大きく増やす局面ではないとみる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
建設の現場では職人がいない。住宅会社も商業施設の運営会社も、補修と点検を自前でこなせなくなっている。全国に職人と協力会社の網を持ち、急な依頼に人を出せるキャンディルは、その受け皿になる。2026年9月期の中間は、単価の引き上げで営業利益が2割強伸びた。人手不足は値上げの理由になる。
仕事の芯も広がる。新築は減るが、建物は年を追って古くなり、点検と修繕は増える一方だ。住宅会社のアフターサービスの外注、店舗の改装と原状回復は、景気に左右されにくい繰り返しの仕事だ。サカイ引越センターとの協業で、引っ越しの前後の補修という新しい入り口もある。
のれんの償却は2034年ごろに終わり、会計の利益は2億円近く増える。設備がほとんど要らない事業なので、利益は現金で残り、配当に回せる。補修の手の仕事は人工知能に置き換えられにくい。職人を集められる会社の値打ちは、10年でむしろ上がる。
全国の大手の住宅会社と取引があることも、新しい仕事を取る足場になる。
慎重な見方
補修の仕事は参入の壁が低い。会社自身が有報でそう書いている。地場の小さな業者や住宅会社の自前の職人が、いつでも代わりになれる。顧客は大手の住宅会社とチェーンで、値段の主導権は向こうにある。人手不足で単価が上がっても、職人の賃金と協力会社への支払いも同じだけ上がる。過去10年の営業利益率が3%前後から動かないのは、その綱引きの結果だ。
仕事の芯も細る。引き渡し前の補修は新築の数に結びつき、新築は人口とともに減り続ける。点検と改装で埋めると言っても、その市場にも地場の業者がひしめく。
帳簿も重い。自己資本の6割がのれんで、買収した子会社の稼ぎが落ちれば減損で一気に減る。借入の一部には財務制限条項も付く。のれんの償却が終われば会計の利益は増えるが、現金の稼ぎは変わらない。その増益を価値の上がりと見るのは誤りだ。
職人の網も、引き抜きと高齢化で毎年少しずつ削られる。網を保つための採用と教育の費用は、利益から出ていく。サカイ引越センターとの協業も、4年たって目立つ成果はまだ見えない。
どちらに重みを置いたか
両方の言い分に理がある。人手不足が単価を押し上げる流れは本物だが、参入の壁の低さと人件費の上昇が利幅の広がりを抑える。中心は今の利幅を保ち、新築の減りを点検と改装で埋める筋書きで、上振れには3割強を残した。のれんと財務制限条項を見て、職人の網が崩れる悲観にも1割を置いた。のれんの償却が終わる効果は会計の利益を押し上げるが、価値は現金の稼ぎで測った。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/09 期)
確率で加重した株価時価総額 1,077 円100 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 154 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 616 円57 億円、今との差 +14.2%、 期待の年率 +8.6%(資本コスト 7.8%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 13% | 2,161 円201 億円 | 258 円24 億円 | +347.9% | +16.2% | 314 円29 億円 |
| やや楽観 | 22% | 1,522 円142 億円 | 204 円19 億円 | +219.7% | +12.3% | 380 円35 億円 |
| 中立 | 35% | 1,096 円102 億円 | 161 円15 億円 | +132.9% | +8.8% | 440 円41 億円 |
| やや悲観 | 20% | 331 円31 億円 | 86 円8 億円 | −22.7% | −2.5% | 83 円8 億円 |
| 悲観 | 10% | 108 円10 億円 | 21 円2 億円 | −75.9% | −13.3% | 13 円1 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,077 円100 億円 | 154 円14 億円 | +127.9% | +8.6% | 1,231 円115 億円 |
今の株価時価総額 540 円50 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.8% を下回るほど割高。
楽観 13% 職人の不足を追い風に、建物の手当ての窓口になる 利益 10 億円 · PER 18.8 倍 · 株価時価総額 2,161 円201 億円
職人の不足は建設の全体で深まり、住宅会社も商業施設の運営会社も、補修と点検を自前でこなせなくなる。キャンディルは全国の職人網を武器に、引き渡し前の補修から入居後の点検、店舗の改装までをまとめて請け負う窓口になる。
新築の数は減るが、住宅会社のアフターサービスの外注と、店舗の改装の需要が伸び、仕事の量は増える。単価は人手不足を映して物価を上回って上がる。
のれんの償却は2034年ごろに終わり、営業利益率は6%に届く。自己資本の稼ぎは15%に乗り、サカイ引越センターとの協業で引っ越しの前後の補修も取り込む。
- リペア(補修):数量 172(補修の作業件数(千件・年、推定))× 価格 4.35(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 75 億円・営業利益 4 億円。件数 1.00 倍 × 単価 1.45 倍、利益率 6%
- 住まい向け建築サービス:数量 31.0(工事の件数(千件・年、推定))× 価格 28(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 88 億円・営業利益 5 億円。件数 1.50 倍 × 単価 1.42 倍、利益率 6%
- 商業施設向け建築サービス:数量 3.6(工事の件数(千件・年、推定))× 価格 208(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 76 億円・営業利益 5 億円。件数 1.20 倍 × 単価 1.39 倍、利益率 6%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 19.4% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 13.6%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 18.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 18.8 倍。全体の PER 18.82 倍、時価総額 190 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:人手不足で職人を抱える会社の値打ちは上がっており、受注単価の上昇は2026年9月期の中間にも出ている。ただ、利益率が今の倍近くになるには採用と協力会社の確保が続く必要があり、1割強にとどめた。
やや楽観 22% 単価の上昇が続き、のれんの償却が消える 利益 8 億円 · PER 17.7 倍 · 株価時価総額 1,522 円142 億円
新築の住宅は減り、引き渡し前の補修の件数は少し細る。それを住宅会社のアフターサービスの外注と、商業施設の改装が埋め、仕事の量は全体で増える。
人手不足を映して受注の単価は物価をやや上回って上がる。人件費も上がるが、職人を確保できる会社に仕事が集まるので、利幅は保てる。
のれんの償却が2034年ごろに終わり、営業利益率は5%に乗る。自己資本の稼ぎは13%ほどになり、配当も増える。業界の参入の壁は低いが、全国に職人を持つ規模がものを言う。大手の住宅会社にとって、窓口を一つにまとめられる便利さは手放しにくい。サカイ引越センターとの協業も、少しずつ仕事を運んでくる。
- リペア(補修):数量 163(補修の作業件数(千件・年、推定))× 価格 4.26(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 70 億円・営業利益 3 億円。件数 0.95 倍 × 単価 1.42 倍、利益率 5%
- 住まい向け建築サービス:数量 27.9(工事の件数(千件・年、推定))× 価格 28(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 77 億円・営業利益 4 億円。件数 1.35 倍 × 単価 1.38 倍、利益率 5%
- 商業施設向け建築サービス:数量 3.3(工事の件数(千件・年、推定))× 価格 204(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 68 億円・営業利益 3 億円。件数 1.10 倍 × 単価 1.36 倍、利益率 5%
倍率:事業の純利益 8 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 16.0% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.9%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.7 倍。全体の PER 17.68 倍、時価総額 133 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注単価の上昇と協力会社網の拡充は会社の開示に表れている。のれんの償却が終わる効果は確実なので、中立に次ぐ重みを置いた。
中立 35% 新築の減りを点検と改装で埋める 利益 6 億円 · PER 16.5 倍 · 株価時価総額 1,096 円102 億円
新築の住宅は10年で1割ほど減り、引き渡し前の補修の件数も細る。一方で、住宅会社がアフターサービスの点検を外に出す流れは続き、住まい向けの仕事は2割増える。店舗の改装は都市部の再開発に支えられ、わずかに増える。
単価は人件費の上昇を映し、物価並みかやや上に上がる。利幅は今ののれん償却前の水準を保つ。
2034年ごろにのれんの償却が終わり、会計の利益はその分だけ増える。自己資本の稼ぎは1割前後になり、配当は利益の4割ほどを保つ。サカイ引越センターは筆頭株主のまま、協業は細く続く。会社は職人の採用と協力会社の網に投資を続け、規模で地場の業者との差を保つ。利益は現金で残るので、借入は少しずつ返していく。
- リペア(補修):数量 155(補修の作業件数(千件・年、推定))× 価格 4.20(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 65 億円・営業利益 3 億円。件数 0.90 倍 × 単価 1.40 倍、利益率 4.2%
- 住まい向け建築サービス:数量 24.8(工事の件数(千件・年、推定))× 価格 28(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 69 億円・営業利益 3 億円。件数 1.20 倍 × 単価 1.38 倍、利益率 4.2%
- 商業施設向け建築サービス:数量 3.2(工事の件数(千件・年、推定))× 価格 201(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 64 億円・営業利益 3 億円。件数 1.05 倍 × 単価 1.34 倍、利益率 4.2%
倍率:事業の純利益 6 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.1% が k 7.75% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.5 倍。全体の PER 16.46 倍、時価総額 94 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:新築の減少は確かだが、住宅のアフターサービスと店舗の改装の需要は底堅く、会社は単価の引き上げを通している。今の利益率の水準が続き、のれんの償却が消える道筋がいちばんありそうだ。
やや悲観 20% 職人が集まらず、値下げの競争に戻る 利益 3 億円 · PER 8.8 倍 · 株価時価総額 331 円31 億円
新築の住宅が想定より速く減り、引き渡し前の補修の件数は4分の1減る。住宅会社は費用を抑えるため、補修を自社の職人や安い地場の業者に回す。店舗の改装も景気の波で細る。
職人の採用は人件費の高騰で追いつかず、協力会社への支払いも上がる。単価は物価に届かず、営業利益率は2.5%に落ちる。
のれんの償却は終わるが、本業の稼ぎの細りがそれを打ち消す。自己資本の稼ぎは6%ほどで資本コストを下回り、配当も伸びない。職人を抱える固定費は仕事が減っても簡単には削れず、利幅の回復には時間がかかる。会社は規模を保つために、採算の悪い仕事も受け続ける。
- リペア(補修):数量 129(補修の作業件数(千件・年、推定))× 価格 3.90(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 50 億円・営業利益 1 億円。件数 0.75 倍 × 単価 1.30 倍、利益率 2.5%
- 住まい向け建築サービス:数量 20.7(工事の件数(千件・年、推定))× 価格 26(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 54 億円・営業利益 1 億円。件数 1.00 倍 × 単価 1.30 倍、利益率 2.5%
- 商業施設向け建築サービス:数量 2.9(工事の件数(千件・年、推定))× 価格 195(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 56 億円・営業利益 1 億円。件数 0.95 倍 × 単価 1.30 倍、利益率 2.5%
倍率:事業の ROE 6.0% が k 7.75% 以下なので PER の上限は 1÷k=12.1 倍。ROE÷k 0.73 を掛けて 8.8 倍。稼ぐ力(純利益÷k=33 億円)の範囲に収まる。
確率:業界は参入の壁が低く、人件費の上昇を単価に移しきれない年は過去にもあった。新築の落ち込みが速ければ補修の件数も減るので、厚めに置いた。
悲観 10% 職人の網が崩れ、のれんを減損する 利益 0 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 108 円10 億円
職人の引き抜きと高齢化で、全国の職人網が維持できなくなる。住宅会社と商業施設の大口の顧客は、別の業者に切り替える。仕事の量は減り、単価も値下げの競争に戻る。
営業利益率は0.5%前後に沈み、買収した子会社の収益力の低下でのれんを減損する。自己資本は大きく減り、借入の財務制限条項にも気を配る経営になる。
配当はほぼ止まる。価値は事業の稼ぎでは測れず、純現金と売掛金から借入と未払いを引いた正味の資産のうち、少数株主が受け取れる見込みの分でしか測れない。サカイ引越センターが救いの手を出す可能性はあるが、少数株主に有利な値段になるとは限らない。
- リペア(補修):数量 120(補修の作業件数(千件・年、推定))× 価格 3.80(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 46 億円・営業利益 0 億円。件数 0.70 倍 × 単価 1.27 倍、利益率 0.5%
- 住まい向け建築サービス:数量 17.6(工事の件数(千件・年、推定))× 価格 25(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 44 億円・営業利益 0 億円。件数 0.85 倍 × 単価 1.25 倍、利益率 0.5%
- 商業施設向け建築サービス:数量 2.4(工事の件数(千件・年、推定))× 価格 190(1 件あたりの平均単価(万円・名目))→ 売上 46 億円・営業利益 0 億円。件数 0.79 倍 × 単価 1.27 倍、利益率 0.5%
倍率:稼ぐ力がほぼ無く、のれんも減損するので、今の自己資本 29.6 億円に床の PBR を掛けた。中身は floor_assets_why の正味の資産。
確率:人手を抱える事業は、採用が止まると一気に崩れる。のれんが自己資本の6割を占めるので、減損の打撃も大きい。財務制限条項の付いた借入もあり、1割を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
リペア(補修)
新築住宅の引き渡し前の床・建具・壁の傷の補修と、補修材料の販売。
| 数量補修の作業件数(千件・年、推定) | 価格1 件あたりの平均単価(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 172 | 3.00 | 52 | 2 |
| 10 年後 中立 | 155 | 4.20 | 65 | 3 |
取り方:件数は非開示。リペア 44.9 億円と商材の販売 6.7 億円の計 51.6 億円を、1 件 3 万(万円で 3.0)とならして年約 17 万件と推定した。利益はのれん償却前の全社の利益率 4.4% で按分。
住まい向け建築サービス
住宅会社の代わりに行う入居後の点検・修繕・リフォーム。
| 数量工事の件数(千件・年、推定) | 価格1 件あたりの平均単価(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 20.7 | 20 | 41 | 2 |
| 10 年後 中立 | 24.8 | 28 | 69 | 3 |
取り方:件数は非開示。売上 41.5 億円を 1 件 20 万(万円で 20)とならして年約 2 万件と推定した。利益はのれん償却前の全社の利益率で按分。
商業施設向け建築サービス
店舗の内装工事・改装・修繕・原状回復。
| 数量工事の件数(千件・年、推定) | 価格1 件あたりの平均単価(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 3.0 | 150 | 46 | 2 |
| 10 年後 中立 | 3.2 | 201 | 64 | 3 |
取り方:件数は非開示。売上 45.5 億円を 1 件 150 万(万円で 150)とならして年約 3,000 件と推定した。利益はのれん償却前の全社の利益率で按分。
リスクと懸念
職人の確保
仕事の源は職人と協力会社だ。建設の全体で職人が減り、賃金の取り合いが激しくなる。採用が追いつかなければ、仕事を断るか、利幅を削って外注するしかない。
新築の減少
引き渡し前の補修の件数は新築の住宅の数に結びつく。着工が想定より速く減れば、売上の3分の1強を占める補修の仕事が細る。
のれんの減損
自己資本29.6億円のうち、のれんが17億円を占める。買収した子会社の稼ぎが落ちれば減損が出て、自己資本は一度に大きく減る。
財務制限条項
借入の一部には、純資産の維持や経常の黒字を求める条項が付く。赤字や減損が重なれば、資金の調達に制約がかかりうる。
参入の壁の低さ
補修や改装は地場の小さな業者でも始められる。顧客の大手が値下げを求めれば、単価の引き上げは止まり、人件費の上昇が利益を削る。
今後の分かれ目
- 単価の引き上げが続き、のれん償却前の営業利益率が5%を超えたら
- 値決めの力が付いたとみて、やや楽観の確率を上げる。
- 住まい向けの点検・修繕の売上が年1割以上伸び続けたら
- 新築の減りを埋める柱が育ったとみて、楽観側に重みを移す。
- サカイ引越センターが株を買い増したら
- 協業の深まりと再編の可能性として、上振れの筋書きを見直す。
- 人件費の上昇で営業利益が前年を割ったら
- やや悲観に寄せる。
- のれんの減損が出たら
- 子会社の稼ぎが崩れたとみて、悲観の確率を上げる。
見ておくもの
- 受注単価と人件費の伸びの差
- 新設住宅の着工戸数
- 住まい向けと商業施設向けの売上の伸び
- のれんの残高と減損の有無
倍率と資本コストの決め方
倍率は今の値段から置かず、資本コスト7.75%と10年後の自己資本の稼ぎだけで決めた。2035年9月期にはのれんの償却が終わっているので、純利益に償却を含めず、その分は roe_why と net_op_why に書いた。中立は正当化 PER の9割強で、参入の壁の低さを映して上限より下に置いた。やや悲観は ROE が k を下回るので 1÷k から引き、悲観はのれんを除いた正味の資産の床で測った。今の PER と PBR は計算のあとに見ただけで、根拠にしていない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 14→18.82 倍・やや楽観 PER 12.9→17.68 倍・中立 PER 12.6→16.46 倍)。
資本コスト 7.8% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。