結論
植木組は、新潟県柏崎市に本社を置く創業 1885 年のゼネコンだ。道路や河川の土木が売上の半分、ビルや工場の建築が約 4 割を占める。筆者の結論は「やや割高」。足元の利益は過去最高圏だが、10 年で見ると今の値段を支える稼ぎが見えない。
直近の決算は絶好調だった。売上は 633 億円で前の期より 25% 増え、営業利益率は 5.9% と 1996 年以降で最高になった。ただ、この数字は景気と工事の巡り合わせが重なった山だ。会社自身が、次の期は増収でも営業利益が 14% 減ると見ている。
強みは財務の厚さだ。自己資本比率は 56% あり、時価総額も純資産の 6 割に満たない。弱みは手持ち工事の薄さである。単体の繰越工事は約 650 億円と、売上の 1 年分しかない。大手のような 3 年先まで見える安心感はない。
さらに、稼ぎが資本に見合わない。ROE は 7% 台で、株主が求める 8.5% に届かない。配当性向は 30% 台で、利益の 7 割近くは社内に残り、ROE を押し下げる。中立の筋書きでも、10 年後の営業利益は 37 億円前後と今と同じだ。物価で 3 割増える分を、地方の工事量の減りが消す。
純資産が厚くても、その中身が稼ぎを生まなければ、株主にとっての価値は帳簿より小さい。筆者は、今の値段にその割引が十分織り込まれていないと見る。
配当は性向 30% 以上を続ける方針で、直近は増配した。ただ、今期は減配の予想だ。利益の波が、そのまま配当の波になる会社だと考えておくべきだ。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、ゼネコンは資本が軽く、現金を生みやすい事業に見える。だが実際は、毎年新しい工事を取り直す商売で、利益は景気と人手の巡り合わせに左右される。
株主が自由に使える利益、つまり再投資を引いた利益は、純利益の 8 割ほどと見る。工場を増やす必要はなく、土地の仕入れも小さい。ただ工事が増える年は、売上債権と未成工事の立て替えで現金が出ていく。直近の営業キャッシュフローの赤字がその例だ。
経営者に求めたいのは、資本の使い方である。自己資本が 317 億円あるのに、稼ぎは 20 億円台だ。ためた利益に十分な稼ぎが付いていない。この資本を自社株買いや増配で戻せば、1 株あたりの価値は上がる。だが今の方針は配当性向 30% 台で、その動きは鈍い。
安全域の面では、時価総額が純資産の 6 割に満たない点は魅力に見える。しかし、ROE が資本コストに届かない会社の純資産は、帳簿どおりの価値にならない。しかも繰越工事が薄く、利益の持続性が読みにくい。筆者は、楽観の筋書きでも今の値段を大きく上回らない点を重く見る。
最後に、経営者への評価を添える。外部の目に左右されず、地元で 140 年続けてきた会社で、無理な拡大をしないことは美点である。ただ、資本の使い方に緊張感が薄く、株主の取り分を増やす意思が見えにくい。筆者は、そこが変わらない限り、割安に見える数字を額面どおりには受け取らない。
何で稼ぐ会社か
稼ぎの柱は建設事業で、連結売上の約 9 割を占める。その中身は二つに分かれる。
一つ目は土木だ。道路、トンネル、河川、ダムなど、国や県が発注する工事が中心である。直近の売上は 329 億円で全体の半分強を占め、北陸地方整備局が主な発注者に挙がる。公共工事は入札で決まるため、値段は自分で決められない。
二つ目は建築で、売上は 241 億円。前の期から 5 割増えた。工場、倉庫、事務所などを請け負う。有価証券報告書には、主な完成工事として重松製作所、大和証券リアルティ、東京都財務局が並ぶ。本社は柏崎だが、東日本が商圏で、首都圏の案件も手がける。
建設のほかに、不動産事業がある。不動産の売買、賃貸、開発を手がけ、直近の売上は 24 億円、利益は 2 億円と規模は小さい。首都圏のマンション販売を増やす計画だ。建材の製造販売と、その他の子会社群を合わせても売上は 38 億円ほどで、全体を左右しない。
従業員は連結で約 1,000 人、単体で 587 人だ。人手が売上の上限を決める事業であり、平均年収は 704 万円と前年比で 3% 上がった。顧客に売上の 1 割を超える先はなく、特定の客に頼る事業ではない。
受注と繰越の動きも押さえておく。直近の連結受注は約 655 億円で、売上とほぼ並ぶ。ただ単体の繰越工事は約 650 億円で、うち土木が 276 億円、建築が 374 億円だ。建築の繰越が厚く、土木が薄い。次の期は建築が支え、土木が重しになる形である。
子会社は 11 社あり、建材の製造販売などを担う。売上への寄与は小さい。
優良さと弱いところ
優良さを一言でいえば、「地域に根を張った、手堅いが平凡なゼネコン」だ。堀、つまり他社がまねできない強みは深くない。
強みは三つある。一つ目は 140 年の歴史と、地元の官庁・企業との信用。二つ目は、土木と建築の両方を自社で施工できる幅だ。三つ目は、自己資本比率 56% の財務で、不況でも資金繰りに困りにくい。
弱みも三つある。一つ目は値決め力の弱さだ。公共工事は入札で、民間も相見積りで競う。二つ目は規模の小ささで、大型の工事を単独で取りにくい。三つ目は、利益が景気の波で大きく振れる点だ。2009 年 3 月期には赤字を経験した。
資本の使い方は、控えめだ。配当性向 30% 以上を続ける方針だが、自社株買いで資本を減らす姿勢は前面に出ていない。ROE の目標は 7% で、資本コストの手前にとどまる。政策保有株は上場分で 35 億円ほどと小さく、持ち合いが資本効率を縛る会社ではない。
筆者が気にしているのは、直近の営業キャッシュフローだ。売上債権が膨らみ、37 億円の支出になった。工事を増やしても現金が回収できなければ、借入が増える。会社は今期から回収が進むと説明しているが、確かめるべき点である。
財務の質は高い。自己資本は 317 億円で、有利子負債が重い会社ではない。ただし、直近は工事を増やした分だけ運転資金がふくらみ、短期借入が 36 億円増えた。財務の厚さは、工事が増える局面で借入に頼ることで、少しずつ削られる性質のものだ。
人材面では、単体の平均年齢が 44 歳、平均勤続が 19 年弱と、定着している。技術者の高齢化が進む業界では、これは強みである。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の建設市場は、量が増えない成熟市場だ。人口が減り、特に地方では民間の建築が細る。それでも今は「作れば儲かる」局面にある。2024 年 4 月に残業の上限規制が始まり、技能者が足りなくなった。受け手のゼネコンが仕事を選べるようになり、資材高の値上げも通っている。
上場ゼネコンの受注は 2025 年度に 16 兆円台と過去最高になり、繰越も積み上がった。ただこの恩恵は、大型再開発や半導体工場を取れる大手に厚い。地方の準大手・中堅は、公共工事と地元の民間工事が中心で、受注の伸びは限られる。
追い風は国土強靱化だ。2026 年度から 5 年で 20 兆円強の計画があり、老朽化した橋や上下水道、道路の更新が続く。新潟県は豪雪と地震への備えが要る土地で、土木の需要は底堅い。
向かい風は人手不足である。人が足りなければ工事を受けても施工できず、労務費は上がり続ける。新潟県内には福田組など地場のゼネコンも多く、公共工事の入札では競り合いが続く。
10 年先を見ると、再開発や工場投資の波は一巡し、国内の工事量は実質で横ばいから緩やかな縮小に向かう。地方の中堅では、売上を伸ばす力より、採算を守る力と、資金を効率よく使う力が差になる。再編も進みやすく、事業承継型の買収や中堅同士の統合が現実味を帯びる。
価格の面では、資材と労務費の上昇が物価を上回って続いてきた。発注者が値上げを受け入れる間は、利益率は守られる。公共工事は積算の単価が毎年見直され、労務費の上昇が予定価格に反映される仕組みがある。この仕組みが、準大手の利益率を下支えする。
数量の面では、国内の建設投資は実質で横ばいから緩やかな縮小に向かう。新潟県を含む北陸は人口減が速く、民間の建築の量は細りやすい。土木は更新の需要があるが、人手が足りず、取れる量には上限がある。
資本政策と M&A
資本政策は、安全運転だ。第 15 次中期経営計画(2025〜2027 年度)は、2027 年 3 月期に売上 650 億円、ROE 7% 以上、配当性向 30% 以上を掲げる。直近の配当性向は 33% で、前の期より配当を増やしたが、今期は減らす予想だ。
利益の 7 割近くは社内に残る。自己資本比率は 56% と高く、事業に必要な以上に資本を抱えていると筆者は見る。ROE を上げる意思は、目標が 7% と低いことに表れている。
大株主は分散している。ウエキエージェンシーと第四北越銀行がそれぞれ 5% 弱で並び、共栄会や持株会も上位にいる。支配株主はおらず、第四北越銀行の保有は政策投資の目的だ。
大型の買収の実績は確認できていない。株主優待にクオカードを出しているが、規模は小さく年 1 億円に届かないと推定する。費用は利益から引かれており、還元として数えても価値の差は 1 ポイントに満たない。
外部からの買収は、可能性として残る。時価総額は純資産の 6 割に満たず、地方の同業からは割安に映る。ただ、地元に根を張る会社であり、友好的な再編が現実的だ。
優待は、年 1 回、9 月末の株主にクオカードを贈る。保有期間が長いほど額が増える仕組みで、長期保有を促す狙いがうかがえる。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
建設業の構造が変わった。受け手が仕事を選べる時代になり、採算の悪い工事を取らなくてよい。植木組は、土木も建築も期初の計画を上回った。営業利益率 5.9% は 1996 年以降で最高で、選別受注の成果が出ている。
財務が厚く、倒産の心配がほぼない。自己資本比率は 56% で、不況でも工事を取り続けられる。大手が地方の小さな工事を取りにくい中、この会社は柏崎・新潟の官庁と企業に根を張る。国土強靱化の予算が 5 年で 20 兆円強あり、豪雪や地震に備える土木の需要は続く。
資産面の安全域もある。時価総額は純資産の 6 割に満たず、ROE が 7% に近づくだけで、今の値段は割安に見える。配当性向 30% 超を続ける方針は変わらず、利益が増えれば配当も増える。
首都圏では、大和証券リアルティや東京都の工事を手がけ、実績を積み上げた。マンション販売も増える計画で、不動産事業が育てば、利益の波は和らぐ。地方の中堅でも、選別と値上げを続ければ、利益率 5% 前後を保つことは十分にありうる。
さらに、会社の計画は保守的だ。次の期の営業利益 32 億円は、直近の 37 億円を下回る水準で、上振れの余地がある。コスト上昇を値上げに転嫁できる局面が続けば、計画を超える利益が出ても不思議はない。
慎重な見方
好調は景気の山の利益だ。営業利益率 5.9% は 1996 年以降で最高で、直近 12 年の平均は 4% 台にすぎない。次の期の営業利益は、会社自身が 14% の減益を見込む。資材高と労務費の上昇に、値上げが追いつかない構図がすでに始まっている。
繰越工事は単体で約 650 億円と、売上の 1 年分しかない。土木系は今期の減収を見込む。建築は直近で 5 割増えたが、大型工事が一巡すれば、反動で落ちる。しかも工事を増やした分の売上債権が膨らみ、営業キャッシュフローは 37 億円の支出になった。短期借入も増えた。
資本の質にも問題がある。自己資本は 317 億円あるのに、純利益は 20 億円台だ。ROE は資本コストの手前にとどまる。配当性向が 30% 台では、利益の大半が社内に残り、ROE はさらに下がっていく。
地方の建設需要は、人口減で縮む。新潟県を地盤とする以上、民間の建築は細り、公共工事の予算にも限りがある。県内の地場ゼネコンとの入札競争も続く。10 年後に、今の営業利益を保てる保証はない。
最後に、単一の地域に偏る危うさがある。柏崎・新潟の景気が崩れれば、公共も民間も同時に細る。大手の参入や、県内の同業の値引きが重なれば、採算は急に悪くなる。10 年は、この危うさが表に出るのに十分な長さだ。
どちらに重みを置いたか
慎重な見方が強い。選別受注と財務の厚さは本物だが、10 年の値付けを決めるのは、資本コストを上回る稼ぎが続くかどうかだ。そこでは、繰越の薄さと、配当性向の低さからくる ROE の低さが効く。確率は、中立に 4 割弱を置き、残りを慎重側に厚くした。悲観を 1 割強にしたのは、2009 年 3 月期の赤字と、単一地域への依存を無視できないからだ。強気の見方が強調する財務の厚さは、悲観の床を支えるが、上の筋書きの利益を増やすものではない。
強気の見方が示す財務の厚さと選別の成果は、悲観の床と中立の利益に反映した。一方、繰越の薄さと資本効率の低さは、確率を悲観側に寄せる理由として残した。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 4,297 円283 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 1,188 円78 億円)。 今の値に割り戻すと 2,912 円192 億円、今との差 +7.5%、 期待の年率 +7.3%(資本コスト 7.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 6% | 6,883 円453 億円 | 1,686 円111 億円 | +216.2% | +12.2% | 514 円34 億円 |
| やや楽観 | 16% | 6,107 円402 億円 | 1,473 円97 億円 | +179.7% | +10.8% | 1,213 円80 億円 |
| 中立 | 37% | 5,385 円355 億円 | 1,276 円84 億円 | +145.8% | +9.4% | 2,464 円162 億円 |
| やや悲観 | 28% | 2,485 円164 億円 | 1,093 円72 億円 | +32.0% | +2.8% | 1,002 円66 億円 |
| 悲観 | 13% | 1,684 円111 億円 | 562 円37 億円 | −17.1% | −1.9% | 292 円19 億円 |
| 加重平均 | 100% | 4,297 円283 億円 | 1,188 円78 億円 | +102.4% | +7.3% | 5,485 円361 億円 |
今の株価時価総額 2,710 円178 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 6% 選別受注と更新需要で稼ぎが定着 利益 34 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 6,883 円453 億円
10 年間、採算の悪い工事を断り続ける。土木は国土強靱化の予算が続き、橋や河川の更新で量を保つ。建築は首都圏の工場や物流の案件を取り、利益率は 5% 台半ばを守る。不動産はマンション販売が軌道に乗り、利益の波を和らげる。
営業利益は 50 億円台に伸びる。物価の分だけ価格が上がり、人手不足でも値上げが通る形だ。配当性向は 4 割まで上がり、自社株買いも加わって ROE は 7% に近づく。資本の使い方に変化が出る筋書きでもある。
国内の量が実質で増えない点は変わらない。それでも、地域の信用と財務の厚さが、選別の力として働く最良の姿だ。
不動産と首都圏の建築が育てば、利益の波は和らぐ。財務の厚さを背景に、会社は還元を増やしつつ、地域の更新需要を取り切る。
- 土木系:数量 41.1(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 11(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 454 億円・営業利益 25 億円。41.14 万人日 × 1 人日あたり 11.04 万円、利益率 5.5%
- 建築:数量 28.7(施工量(万人日、実質))× 価格 11(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 317 億円・営業利益 17 億円。28.67 万人日 × 1 人日あたり 11.04 万円、利益率 5.5%
- 不動産:数量 170(開発・保有する不動産の残高(億円、今の値段で測った実質。推定))× 価格 0.33(残高1億円あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 55 億円・営業利益 6 億円。残高 170.0 億円 × 回転 0.3251、利益率 10.0%
- 建材・その他:数量 5.2(業務量(万人日換算、実質。推定))× 価格 11(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 56 億円・営業利益 3 億円。5.243 万人日換算 × 1 人日あたり 10.72 万円、利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 34 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.0% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 453 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:選別受注を 10 年続け、土木の更新需要と首都圏の建築も重なる筋書き。繰越が薄く、連続して当たる必要があるので低く置いた。
やや楽観 16% 値上げが通り、利益率が高めに残る 利益 30 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 6,107 円402 億円
値上げは物価並みに通り、建築と土木の利益率は 5% 台前半を保つ。民間の建築は実質で 1 割ほど減るが、土木が支える。不動産は首都圏のマンションで少しずつ伸びる。
営業利益は 40 億円台半ばになる。配当性向は 38% 前後に上がり、ROE は 6% 台に乗る。それでも資本コストには届かず、価値を押し上げる力は限られる。
国土強靱化の予算は続くが、人手が足りず、受注を増やすことは難しい。会社は量より採算を守る道を選び、堅実に利益を積む。
地元の信用で民間の建築も一定は取り続け、首都圏の案件が土木の波を補う。ただ、物価で増える人件費と資材費を価格に乗せ切る力は、中立ほど強くない。
首都圏の建築が受注の穴を埋め、売上債権の回収も落ち着く。自己資本は 470 億円ほどに積み上がり、配当は増えるが、資本の重さは残る。
- 土木系:数量 39.5(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 11(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 430 億円・営業利益 22 億円。39.49 万人日 × 1 人日あたり 10.88 万円、利益率 5.2%
- 建築:数量 27.2(施工量(万人日、実質))× 価格 11(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 296 億円・営業利益 15 億円。27.16 万人日 × 1 人日あたり 10.88 万円、利益率 5.2%
- 不動産:数量 140(開発・保有する不動産の残高(億円、今の値段で測った実質。推定))× 価格 0.33(残高1億円あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 46 億円・営業利益 4 億円。残高 140.0 億円 × 回転 0.3251、利益率 9.0%
- 建材・その他:数量 5.0(業務量(万人日換算、実質。推定))× 価格 11(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 54 億円・営業利益 3 億円。5.004 万人日換算 × 1 人日あたり 10.72 万円、利益率 5.0%
倍率:事業の純利益 30 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.4% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 397 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:値上げが物価並みに通り、利益率が過去の山の手前で定着する筋書き。国土強靱化の予算が支えるが、地方の量は戻らない。
中立 37% 量は細り、価格だけが上がる成熟 利益 25 億円 · PER 13.3 倍 · 株価時価総額 5,385 円355 億円
土木の量は実質で 1 割弱減り、建築は直近の山から 15% ほど減る。価格は物価並みに上がる。営業利益率は 4% 台後半に落ち着き、営業利益は 37 億円前後と、今とほぼ同じになる。
物価で売上が 2 割ほど増えても、量の減りと利益率の低下がそれを消す。配当性向は 36% 前後で、利益の大半が社内に残る。自己資本は 470 億円ほどに膨らみ、ROE は 5% 台と資本コストを大きく下回る。
堅実だが、株主にとっては物足りない 10 年である。大きな失敗も、大きな成功もない。人手不足の中で、採算を守る力が会社の差になる。
不動産は首都圏のマンション販売が少しずつ伸び、利益は 3〜4 億円に育つ。ただ、全体を変えるほどの規模にはならない。
- 土木系:数量 37.9(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 11(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 406 億円・営業利益 19 億円。37.85 万人日 × 1 人日あたり 10.72 万円、利益率 4.6%
- 建築:数量 25.7(施工量(万人日、実質))× 価格 11(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 275 億円・営業利益 13 億円。25.65 万人日 × 1 人日あたり 10.72 万円、利益率 4.6%
- 不動産:数量 130(開発・保有する不動産の残高(億円、今の値段で測った実質。推定))× 価格 0.33(残高1億円あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 42 億円・営業利益 4 億円。残高 130.0 億円 × 回転 0.3251、利益率 8.5%
- 建材・その他:数量 4.8(業務量(万人日換算、実質。推定))× 価格 11(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 51 億円・営業利益 3 億円。4.766 万人日換算 × 1 人日あたり 10.72 万円、利益率 4.8%
倍率:事業の純利益 25 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 5.7% が k 7.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 13.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.3 倍。全体の PER 13.33 倍、時価総額 333 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:量は実質で少し減り、価格は物価並み。会社の 2027 年 3 月期の利益率(約 5%)の近くに落ち着く、最も標準的な姿。
やや悲観 28% 地方の縮小と人手不足で採算が細る 利益 16 億円 · PER 7.3 倍 · 株価時価総額 2,485 円164 億円
地方の人口減と、公共工事の予算の伸び悩みで、量が実質で 2 割前後減る。価格転嫁は止まり、人件費の上昇だけが重くのしかかる。建築も土木も、利益率は 3% 台まで落ちる。
営業利益は 25 億円前後になる。会社は配当を守ろうとし、性向は 4 割近くに上がるが、ROE は 4% を割る。自己資本は積み上がるのに稼ぎが伴わない。
県内の同業との入札競争が続き、選別受注を貫けない。売上債権の回収にも時間がかかり、借入が増える。地域に根を張る強みが、縮む市場の中で重荷にもなる。
首都圏の建築で穴を埋めようとしても、大手や中堅との競争が厳しく、利益率の低い工事が増える。不動産の販売も金利の上昇で伸びにくい。
首都圏の建築に出ても、大手や中堅との競争に勝てず、利益の穴を埋められない。会社は減配を避けようとするが、利益が細れば、いずれ維持は難しくなる。
- 土木系:数量 35.0(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 10(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 364 億円・営業利益 13 億円。34.97 万人日 × 1 人日あたり 10.4 万円、利益率 3.6%
- 建築:数量 21.7(施工量(万人日、実質))× 価格 10(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 226 億円・営業利益 8 億円。21.73 万人日 × 1 人日あたり 10.4 万円、利益率 3.6%
- 不動産:数量 90.0(開発・保有する不動産の残高(億円、今の値段で測った実質。推定))× 価格 0.32(残高1億円あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 28 億円・営業利益 2 億円。残高 90.0 億円 × 回転 0.3154、利益率 6.0%
- 建材・その他:数量 4.3(業務量(万人日換算、実質。推定))× 価格 10(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 45 億円・営業利益 2 億円。4.289 万人日換算 × 1 人日あたり 10.4 万円、利益率 3.5%
倍率:ROE 3.73%。RONIC = 8.5% + 1/2 ×(ROE − 8.5%)= 6.12%、g 4% から正当化 PER = 7.7 倍。地方の縮小で稼ぎが資本に見合わない局面で、悲観側は式の値の 9 割 5 分の 7.3 倍に置いた。
確率:地方の人口減と人手不足が重なり、値上げが止まる。繰越の薄さと単一地域への依存から、中立に近い厚みで置いた。
悲観 13% 構造的に負け、低採算の工事に頼る 利益 6 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 1,684 円111 億円
構造的に負ける。地方の建設市場が縮み、人手不足の中でも受注を選べなくなる。低採算の工事を取らざるを得ず、土木・建築とも利益率は 2% 前後に沈む。
不動産事業でも評価損が出て、減損で自己資本が 25 億円ほど減る。営業利益は 10 億円に届かず、赤字の年も混じる。配当は維持しようとするが、利益の 4 割台を割いても額は小さい。
財務の体力は残るが、稼ぐ力の回復は見えない。優良なゼネコンとは見られなくなり、友好的な再編の対象になる可能性が高い。この筋書きは、10 年かけてじわじわ表に出る。
純資産は残るが、少数株主が資産を現金にする手段は限られる。配当は細り、株価は資産の割引で長く低迷する。単一の地域に偏った弱さが、最も悪い形で出る姿だ。
自己資本が厚いため、倒産には至らない。ただ、配当は大きく削られ、株式市場は純資産に大きな割引をつけ続ける。
- 土木系:数量 29.6(施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質))× 価格 9.76(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 289 億円・営業利益 6 億円。29.62 万人日 × 1 人日あたり 9.76 万円、利益率 2.0%
- 建築:数量 16.6(施工量(万人日、実質))× 価格 9.76(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 162 億円・営業利益 2 億円。16.6 万人日 × 1 人日あたり 9.76 万円、利益率 1.5%
- 不動産:数量 50.0(開発・保有する不動産の残高(億円、今の値段で測った実質。推定))× 価格 0.30(残高1億円あたりの年間売上(億円・名目))→ 売上 15 億円・営業利益 0 億円。残高 50.0 億円 × 回転 0.296、利益率 0.0%
- 建材・その他:数量 3.3(業務量(万人日換算、実質。推定))× 価格 9.76(1人日あたり売上(万円・名目))→ 売上 33 億円・営業利益 0 億円。3.336 万人日換算 × 1 人日あたり 9.76 万円、利益率 1.0%
倍率:構造的に優良でなくなった姿。谷の年の純利益は小さく、稼ぐ力(純利益 ÷ k)は 65 億円ほどにしかならない。売れる資産の税後で測ると、総資産 563 億円の 7 割を回収し、負債 246 億円を払って残る約 150 億円。少数株主は清算を決められず、戻り方を 0.75 と見て、今の自己資本 317 億円に PBR 0.35 倍(約 111 億円)を掛けた。営業利益は小さく、EV ÷ 営業利益は参考にならない。
確率:地方市場の縮小と価格競争で構造的に優良でなくなる筋書き。2009 年 3 月期の赤字と、単一地域に依存する点から 1 割強に置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
土木系
道路・河川・トンネル・ダムなど、国や県が発注する土木工事。売上の半分強を占め、国土強靱化の予算が支える。
| 数量施工量(万人日。技能者の延べ作業日数、実質) | 価格1人日あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 41.1 | 8.00 | 329 | 18 |
| 10 年後 中立 | 37.9 | 11 | 406 | 19 |
取り方:土木系の売上 329.1 億円(補足資料)。営業利益は開示がなく、建設事業の利益 32.57 億円を、土木 18.0 億円(利益率 5.5%)と建築 14.57 億円(同 6.0%)に分けたのは筆者の推定。数量は、技能者の労務費を売上の約 3 割、日当を 2.4 万円と置き、約 41 万人日と推定した。売上を労務量で割った 1 人日あたり売上(8.0 万円)が価格で、物価の分は価格に入る。
建築
工場・倉庫・事務所・マンションなどを請け負って建てる。直近は前の期から 5 割増えた。
| 数量施工量(万人日、実質) | 価格1人日あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30.2 | 8.00 | 241 | 15 |
| 10 年後 中立 | 25.7 | 11 | 275 | 13 |
取り方:建築の売上 241.4 億円。数量は土木と同じ要領で約 30 万人日、1 人日あたり売上は 8.0 万円と推定した。利益は上の分け方どおり 14.57 億円。直近は大型工事で売上が 5 割増えた山の年で、数量は平常時より大きい。
不動産
不動産の売買・賃貸・開発。首都圏のマンション販売を増やす計画で、規模は小さい。
| 数量開発・保有する不動産の残高(億円、今の値段で測った実質。推定) | 価格残高1億円あたりの年間売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 100 | 0.24 | 24 | 2 |
| 10 年後 中立 | 130 | 0.33 | 42 | 4 |
取り方:不動産事業の売上 24.26 億円・利益 2.27 億円(開示)。残高は開示がなく、売上の約 25% 回転と見て 100 億円と推定した。数量は実物(残高)で、増やすのは会社の販売計画による。名目の伸びを数量に置いたのではなく、物価は価格の 1.34 倍で見る。
建材・その他
建材の製造販売と、その他の子会社群(売上 38 億円)。本社費などの調整を含む。
| 数量業務量(万人日換算、実質。推定) | 価格1人日あたり売上(万円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 4.8 | 8.00 | 38 | 2 |
| 10 年後 中立 | 4.8 | 11 | 51 | 3 |
取り方:建材製造販売(売上 6.81 億円)とその他(31.32 億円)の合計 38.13 億円。営業利益は両者の 3.64 億円から全社調整 1.27 億円を引いた 2.37 億円(連結営業利益 37.21 億円と合う)。労務中心の業務量を同じ要領で約 4.8 万人日に換算した。
リスクと懸念
景気の谷で受注と採算が崩れる
ゼネコンの利益は景気の山と谷で大きく振れる。植木組も 2009 年 3 月期に赤字を経験した。今の営業利益率 5.9% は 1996 年以降で最高で、民間の建築投資が一巡すれば、先に崩れるのは新規受注と採算だ。会社自身が、次の期の営業利益を 14% の減益と見込む。
繰越工事が薄く、売上の見通しが短い
単体の繰越工事は約 650 億円で、売上の 1 年分にとどまる。大手のように 3 年先まで売上が見える形ではない。土木系は今期の減収が見込まれ、建築も直近の 5 割増が大型工事の山だった可能性がある。受注が一度途切れると、翌年の売上に直撃する。
売上債権の膨張と運転資金の悪化
直近の営業キャッシュフローは 37 億円の支出で、売上債権の増加が主因だった。短期借入も 36 億円増え、純有利子負債は 33 億円に転じた。回収が予定どおり進まなければ、借入が増えて利払いが重くなり、金利が上がる局面では利益を削る。
人手不足で施工量が頭打ちになる
従業員は単体で 587 人と少なく、人手が売上の上限を決める。技能者の確保が難しくなれば、受注があっても施工できない。平均年収は前年比で 3% 上がったが、賃金競争は続く。採算の悪い工事を断れる局面が終われば、利益率は先に削られる。
地方の人口減で市場が縮む
新潟県を地盤とする以上、民間の建築は人口減で細る。公共工事も予算に限りがあり、県内の地場ゼネコンとの入札競争が続く。単一の地域に依存する度合いが高く、広い商圏を持つ会社より、地域の景気の悪化に弱い。
資本の効率が上がらない
自己資本は 317 億円あるのに、純利益は 20 億円台にとどまる。配当性向が 30% 台では、利益の大半が社内に残り、ROE は下がっていく。自社株買いなどで資本を戻さなければ、帳簿の厚さが株主の価値にならない。
今後の分かれ目
- 次の期の営業利益が会社予想の 32 億円を下回ったら
- 値上げの余地が尽きたと見て、やや悲観・悲観の確率を上げる。
- 営業キャッシュフローが黒字に戻り、売上債権が減ったら
- 運転資金の悪化が一時的だったと確かめられ、悲観の確率を少し下げる。
- 配当性向を 50% 以上へ引き上げる、または自社株買いを始めたら
- 資本の使い方の評価を上げ、ROE の改善を織り込んで上の筋書きの確率を増やす。
- 単体の繰越工事が売上の 1.5 年分を超えたら
- 利益の見通しが延びたと見て、中立の営業利益を上方に直す。
- 県内の同業や第四北越銀行を巻き込んだ再編・TOB が出たら
- 買収価格が純資産の割引を埋めるなら価値を押し上げる。統合後の資本効率次第で評価は分かれる。
- 土木の受注が 2 期続けて減ったら
- 国土強靱化の恩恵が地方に届いていないと見て、土木の利益率を 4% 台へ下げる。
見ておくもの
- 単体の受注高と繰越工事高(土木・建築別)
- 建築・土木の完成工事総利益率
- 営業キャッシュフローと売上債権の推移
- 短期借入金と純有利子負債
- 配当性向と自社株買いの有無
- 第四北越銀行などの大株主の動き
倍率と資本コストの決め方
倍率は、ROE が資本コスト k 7.5%(基本 7.5% + quality 1.0%)に届かない前提で、式の正当化 PER に 9〜9.5 割を掛けて置いた。悲観は谷の利益でなく、総資産の 7 割回収・負債全額払いで残る売れる資産(約 150 億円)に戻り方を掛けて測り、谷の PBR は使っていない。今の株価や PER、同業の倍率を見てから決めたわけではない。純利益は直近の 24 億円をそのまま使い、特殊な一過性の益は含まれていない。純有利子負債は 33 億円で純現金ではないため、余った現金は分けていない。政策保有株は上場分で 35 億円ほどと小さく、含み益も開示で確かめられないため、価値には足していない。償却費は設備投資から年 8 億円前後と推定し、物価では増やさず取得時の値段のまま置いて、新しい投資の分だけ増える形で利益率に織り込んだ。株主優待は年 1 億円に届かないと推定し、還元に数えていない。2028 年 3 月期からの新リース会計基準で BS の形は変わるが、事務所と機械のリースは小さく、数字は今と同じ形でそろえた。 2026-10-22 の見直し(R1〜R4)で倍率・時価総額を機械で置き直した(前後は notes/audit/fix_stage2_20261022.csv)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。k = 基本 7.5% + quality 1.0% = 8.5%。理由は quality_why。個別のリスクは k に足さず、筋書きと確率で表した。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.50% → 7.50%。