結論
フィル・カンパニーは、コインパーキングの上に店舗を載せる「空中店舗フィル・パーク」と、ガレージ付きの賃貸住宅を企画して建てる会社だ。筆者の結論は「ほぼ適正」で、独自の商品は評価できるが、稼ぎが建築費と金利の波に大きく左右される点を割り引くと、今の値段に大きな安全域は無い。
強みは、使いにくい小さな土地に収益を生む案を出せることだ。駐車場の売上を残したまま、上の空間を店として貸せる。この考え方は分かりやすく、土地の持ち主に響く。受注の残高と開発中の案件の合計は 128 億円と過去最高だ。
弱みは、利益の振れの大きさだ。2019 年に 15% あった営業利益率は、翌年 3% に落ちた。建築費が上がれば持ち主の利回りが削られ、金利が上がれば借りて建てる意欲がしぼむ。2026 年の予想も期初の半分以下に下げた。
筆者は、10 年で受注の数は 1 割ほど増えるが、利益率は過去の平均に戻ると見る。厚い前受金を引くと現金の余裕も小さく、本質価値は今の時価総額の前後にある。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、フィル・カンパニーは「面白い商品を持つが、予測しにくい事業」だ。
良い点ははっきりしている。駐車場の上の空間という、誰も使っていない資源に目を付けた。土地の持ち主にも、入居する店にも、地域にも得のある提案で、商品としての筋は良い。大きな工場も要らず、資本をあまり使わずに受注を積める請負の型も魅力だ。
だが、オーナーとして 10 年持つには、利益の振れが大きすぎる。営業利益率は 15% から 3% まで、数年で上下してきた。その差を決めているのは建築費と金利と不動産の市況で、会社の努力では動かせない。開発販売は在庫と借入を膨らませ、市況が崩れた時に評価損の芽になる。
払う値段は、今の稼ぎに対して高くも安くもない。商品の着想に安全域を払うには、この堀は浅いと筆者は見る。商品の良さと、株主として持つ事業の良さは、別のものだ。
何で稼ぐ会社か
稼ぎ方は 2 つある。1 つは「請負受注」で、土地の持ち主から企画と建物の工事を請け負う。もう 1 つは「開発販売」で、自社で土地を買って建物を建て、完成したら不動産の投資家に売る。2025 年 11 月期の売上 82 億円のうち、請負が 6 割、開発販売が 3 割強、残りが賃貸と管理だ。
請負の主力は 2 つの商品だ。空中店舗フィル・パークは、駐車場の上に鉄骨の店舗を建て、1 階は駐車場のまま、2 階を飲食店や美容室などに貸す。プレミアムガレージハウスは、1 階が車庫、2 階が住まいの賃貸住宅で、車やバイクを趣味にする人に人気がある。2025 年の受注は 54 件・58 億円で、1 件あたり 1 億円ほどの工事になる。
開発販売は、年に 4〜5 件を引き渡す。1 件で数億円の売上になり、出来上がった建物を入居者付きで売るので、請負より利益率が高い。ただ、土地を先に買うので在庫と借入が膨らみ、引き渡しの時期で四半期の業績が大きく揺れる。
2026 年 9 月には、千葉の工務店ロビンスジャパンを 3 億円で買った。木造でガレージハウスを建てる力を取り込み、鉄骨より安く、建てられる地域を広げる狙いだ。
優良さと弱いところ
優良さは「着想は独自だが、堀は浅い」と見る。駐車場の上に店を載せる発想は、フィル・カンパニーが商品として磨き、施工の実績を積んできた。土地の持ち主にとって、駐車場の収入を残したまま上の空間でも稼げる提案は分かりやすい。設計の型と、テナントを付ける営業の仕組みが会社の強みだ。
ただ、建物そのものは普通の鉄骨や木造の建築で、大手のハウスメーカーや地場の工務店でも建てられる。特許で守られた技術ではなく、まねを防ぐ壁は低い。値段の主導権も、建築費を決める資材と職人の側にある。
資本効率は年によって大きく変わる。過去 10 年の ROE の中央値は 12% と悪くないが、2020 年は 1% 未満、2023 年も 1% 台だった。良い年と悪い年の差が、商品の力より建築と不動産の市況で決まっている。中期経営計画の達成を先送りしたことも、計画を数字で守る力がまだ弱いことを示す。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
フィル・カンパニーの市場は、小さな土地の活用だ。全国に広がるコインパーキングや、相続で受け継いだ使い道の決まらない土地が対象になる。こうした土地は都市部に多く、数は簡単には減らない。駐車場の上の空間はほとんど使われておらず、潜在的な需要は大きい。
逆風は 2 つある。1 つは建築費だ。資材と職人の賃金が上がり続け、同じ建物でも 5 年前より 3 割ほど高くなった。家賃がそれに追いつかなければ、持ち主の利回りは下がり、建てる理由が薄れる。もう 1 つは金利だ。持ち主の多くは銀行から借りて建てる。借入の金利が上がるほど、収支の計算は厳しくなる。
建築確認の長期化と職人不足で、工期も延びている。工期が延びれば、売上の計上が後ろにずれ、四半期の業績がさらに揺れる。
一方で、地価と賃料は都市部で高い水準を保ち、投資家の不動産への関心も強い。開発販売で建てた物件は、入居者が付いていれば売りやすい。筆者は、10 年で案件の数は 1 割ほど増え、1 件の値段は建築費とともに物価並みに上がると見る。ただ、利益率は建築費と家賃の差に挟まれて、過去の良い年には戻りにくい。
資本政策と M&A
還元は配当が中心だ。2025 年 11 月期の配当は総額 1.1 億円で、配当性向は 3 割弱だった。2026 年は総額 1.3 億円に増やす予定で、利益が減るので性向は 5 割近くに上がる。自社株買いは株式給付信託のための小さなものにとどまる。
手元の現金は 34 億円あるが、借入が 26 億円、工事の前受金が 13 億円ある。前受金は工事が終われば売上に変わるお金で、株主のものではない。開発用の土地と建物の在庫も 36 億円あり、現金はその仕入れに回っている。
買収にも動き始めた。2026 年 9 月のロビンスジャパンの買収は 3 億円と小さいが、木造の施工の力を取り込む意味は大きい。親会社は無く、TOB や再編の動きは見当たらない。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
売上のもとになる案件の残高は 128 億円と過去最高だ。請負の受注残 55 億円と開発中の 14 件で、売上 1 年半分の仕事をすでに抱えている。2026 年の 6〜8 月は営業利益率 14% に戻り、開発販売の売り方を磨いた効果も出ている。
空中店舗は、駐車場の多い都市部ならどこでも使える。駐車場の収入を残したまま上の空間を貸せる提案は、相続で土地を受け継いだ人や、駐車場の運営会社にも響く。プレミアムガレージハウスは、車好きの入居者が長く住むので空室が出にくく、持ち主の評判も良い。
ロビンスジャパンの買収で木造の施工の力を得た。鉄骨より安く建てられれば、建築費の高騰で止まっていた案件も動き出す。提供できる地域も広がる。小さな会社なので、受注が 1 割増えるだけで利益は大きく伸び、過去の良い年の利益率に戻る余地がある。
厚い残高は、景気の谷が来ても 1 年以上は仕事が続くことを意味する。谷を越える体力は、見た目より厚い。
慎重な見方
利益の振れが大きすぎる。2019 年に 15% あった営業利益率は、翌年 3% に落ちた。2026 年も期初に営業利益 8 億円を掲げながら、半年で 3.8 億円に下げた。中期経営計画も 1 年先送りした。計画が建築費と工期の波に負け続けている。
建築費の上昇は止まらない。資材も職人の賃金も上がり、家賃がそれに追いつかなければ持ち主の利回りは削られる。金利が上がれば、借りて建てる人は減る。空中店舗の受注は 2026 年の 3 四半期で 5 件と、前年の 13 件から大きく減った。
開発販売は土地と建物を先に抱える事業だ。在庫は 36 億円と自己資本を上回り、市況が崩れれば評価損で自己資本が削られる。現金も前受金と借入を引けば余裕は無い。堀の浅い商品に、景気の波を乗り切るだけの体力は無い。
前受金を除いた手元の現金はほとんど無く、谷で在庫を抱えれば、借入に頼るしかない。商品の着想がいくら良くても、景気の谷を何度も越えるには、在庫を持たない軽い型に徹する方が筋が良い。
どちらに重みを置いたか
案件の残高が厚いのは事実だが、利益率を決めるのは建築費と金利で、会社が動かせる要素は少ない。慎重な見方の指摘する振れの大きさは、過去の数字がはっきり示している。中立は案件の数が少し増え、利益率は過去の平均に戻る形に置き、確率は中立を 4 割、悲観側に 32% を置いた。強気の見方の木造の効果は、楽観側に入れた。
10 年後の 5 つの筋書き(2035/11 期)
確率で加重した株価時価総額 1,254 円67 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 268 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 733 円39 億円、今との差 +18.2%、 期待の年率 +9.4%(資本コスト 8.5%)→ やや割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 2,631 円141 億円 | 441 円24 億円 | +395.6% | +17.4% | 246 円13 億円 |
| やや楽観 | 20% | 1,952 円105 億円 | 365 円20 億円 | +273.7% | +14.1% | 463 円25 億円 |
| 中立 | 40% | 1,383 円74 億円 | 302 円16 億円 | +171.7% | +10.5% | 674 円36 億円 |
| やや悲観 | 20% | 385 円21 億円 | 149 円8 億円 | −13.8% | −1.5% | 107 円6 億円 |
| 悲観 | 12% | 190 円10 億円 | 74 円4 億円 | −57.4% | −8.2% | 32 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 1,254 円67 億円 | 268 円14 億円 | +145.4% | +9.4% | 1,522 円82 億円 |
今の株価時価総額 620 円33 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 木造で地域が広がり、受注が 4 割増える 利益 10 億円 · PER 14.3 倍 · 株価時価総額 2,631 円141 億円
ロビンスジャパンの木造の施工が根付き、ガレージハウスは鉄骨より安く建てられるようになる。首都圏の外の地方都市でも受注が取れ、請負の件数は 4 割増える。空中店舗は駐車場の運営会社との提携で案件が安定して入る。
開発販売は年 7 件に増え、入居者付きの物件を投資家に売る型が定着する。建築費の上昇は値段に乗せられ、全社の営業利益率は 9% 近くまで戻る。配当は利益の 3 割強を続け、ROE は 12% 台と資本コストを上回る 10 年になる。駐車場の上の空間を使う発想が、地方の小さな土地でも当たり前の選択肢として広まった姿だ。
- 請負受注(空中店舗フィル・パーク・プレミアムガレージハウス):数量 75.0(受注・施工の件数(件/年))× 価格 1.30(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 98 億円・営業利益 9 億円。件数 1.39 倍 × 1 件 1.40 倍、利益率 9%
- 開発販売:数量 7.0(引き渡しの件数(件/年))× 価格 8.20(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 57 億円・営業利益 7 億円。件数 1.56 倍 × 1 件 1.40 倍、利益率 13%
- 賃貸・管理ほか:数量 200(管理・保有の物件数(件・推定))× 価格 0.07(1 件あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 14 億円・営業利益 2 億円。物件 1.67 倍 × 1.38 倍、利益率 16%
倍率:事業の純利益 10 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 13.9% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 11.2%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 14.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 14.3 倍。全体の PER 14.29 倍、時価総額 136 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:空中店舗の受注は 2026 年に前年の半分以下に減っており、受注が 4 割増える筋には木造の新しい商品の成功が要る。小さな会社の買収の効果はまだ数字に出ていないので 1 割に届かない 8% とした。
やや楽観 20% 案件の残高を順に売上にし、利益率が戻る 利益 7 億円 · PER 13.6 倍 · 株価時価総額 1,952 円105 億円
厚い案件の残高を順に売上に変え、請負の件数は 2 割強増える。ガレージハウスは木造の商品が加わって受注の幅が広がる。空中店舗は建築費の高さで件数は伸びないが、1 件の規模が大きくなる。
開発販売は年 6 件で、売り方の工夫で高い利益率を保つ。全社の営業利益率は 7% 台と過去の平均を少し上回る。金利の上昇は家賃の値上げで吸収できる範囲にとどまる。ROE は 10% 前後で、資本コストをわずかに上回る 10 年になる。良い年と悪い年の差は残るが、残高の厚さが谷を浅くする。小さな会社としては健全な姿だ。
- 請負受注(空中店舗フィル・パーク・プレミアムガレージハウス):数量 66.0(受注・施工の件数(件/年))× 価格 1.28(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 84 億円・営業利益 7 億円。件数 1.22 倍 × 1 件 1.38 倍、利益率 8.5%
- 開発販売:数量 6.0(引き渡しの件数(件/年))× 価格 8.00(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 48 億円・営業利益 6 億円。件数 1.33 倍 × 1 件 1.36 倍、利益率 12%
- 賃貸・管理ほか:数量 170(管理・保有の物件数(件・推定))× 価格 0.07(1 件あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 11 億円・営業利益 2 億円。物件 1.42 倍 × 1.36 倍、利益率 15%
倍率:事業の純利益 7 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.2% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 13.6 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 13.6 倍。全体の PER 13.63 倍、時価総額 98 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:受注残と開発中の案件の合計は 128 億円と過去最高で、6〜8 月は営業利益率 14% に戻った。残高を順に売上に変えられれば利益は戻るので 2 割を置いた。
中立 40% 件数は少し増え、利益率は過去の平均に戻る 利益 5 億円 · PER 12.7 倍 · 株価時価総額 1,383 円74 億円
請負の件数は 10 年で 1 割増える。空中店舗は建築費の高さで伸び悩むが、ガレージハウスは木造の商品で地方にも広がる。1 件の値段は建築費とともに物価並みに上がる。
開発販売は年 5 件ほどで、在庫と借入を抱えながら回す。建築費と家賃の差に挟まれ、全社の営業利益率は 6〜7% と過去の平均に戻る。本社の費用も物価とともに増える。配当は利益の 3 割強を続ける。ROE は 8% 台で、資本コストにわずかに届かない 10 年になる。良い年には利益率が 10% を超え、悪い年には 3% まで落ちる振れは、10 年たっても変わらない。
- 請負受注(空中店舗フィル・パーク・プレミアムガレージハウス):数量 60.0(受注・施工の件数(件/年))× 価格 1.24(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 74 億円・営業利益 6 億円。件数 1.11 倍 × 1 件 1.34 倍、利益率 7.5%
- 開発販売:数量 5.0(引き渡しの件数(件/年))× 価格 7.86(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 39 億円・営業利益 4 億円。件数 1.11 倍 × 1 件 1.34 倍、利益率 11%
- 賃貸・管理ほか:数量 150(管理・保有の物件数(件・推定))× 価格 0.07(1 件あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 1 億円。物件 1.25 倍 × 1.34 倍、利益率 15%
倍率:事業の純利益 5 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 10.2% が k 8.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.3%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 12.7 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 12.7 倍。全体の PER 12.71 倍、時価総額 67 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:建築費と金利の逆風と、厚い案件の残高が打ち消し合う今の延長を中心に 4 割を置いた。
やや悲観 20% 建築費と金利に押され、受注が細る 利益 1 億円 · PER 9.0 倍 · 株価時価総額 385 円21 億円
建築費の上昇に家賃が追いつかず、土地の持ち主の利回りが削られる。金利も上がり、借りて建てる人が減る。請負の件数は今より 2 割減り、空中店舗は年に数件まで細る。
開発販売は土地を買う件数を絞り、年 3 件に減る。利益率の高い物件も、投資家の利回りの要求が上がって売値が伸びない。全社の営業利益は 2 億円ほどにとどまり、配当も細る。会社は残るが、資本コストを大きく下回る稼ぎが続く 10 年になる。木造の商品も、建築費の上昇を打ち返すほどの安さは生まない。抱えた在庫を売り切ることが経営の仕事の中心になる。
- 請負受注(空中店舗フィル・パーク・プレミアムガレージハウス):数量 45.0(受注・施工の件数(件/年))× 価格 1.18(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 53 億円・営業利益 3 億円。件数 0.83 倍 × 1 件 1.27 倍、利益率 5%
- 開発販売:数量 3.0(引き渡しの件数(件/年))× 価格 7.00(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 21 億円・営業利益 1 億円。件数 0.67 倍 × 1 件 1.19 倍、利益率 7%
- 賃貸・管理ほか:数量 130(管理・保有の物件数(件・推定))× 価格 0.06(1 件あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。物件 1.08 倍 × 1.28 倍、利益率 12%
倍率:ROE 2.6% が k 8.5% を大きく下回る。稼ぐ力(純利益 ÷ k = 14.8 億円)を上限に、伸びの無さと市況の振れを見て 9.0 倍に置いた。
確率:空中店舗の受注は 2026 年の 3 四半期で 5 件と前年の 13 件から減り、期初の予想も半分以下に下げた。逆風が続く筋は十分ありうるので 2 割を置いた。
悲観 12% 受注が消え、開発の在庫で評価損を出す 利益 −4 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 190 円10 億円
建築費の高騰と金利の上昇が重なり、土地の持ち主は建てるのをやめる。請負の件数は今の半分強まで減る。大手のハウスメーカーが同じ型の提案を始め、残った案件も値段の競争になる。
開発販売では、抱えていた土地と建物が売れ残り、値下げと評価損が出る。在庫の 3 割が消え、自己資本は 20 億円台に縮む。営業赤字が続き、配当は止まる。価値は事業の稼ぎでなく、在庫を売って借入と前受金を返した後に残る額で測るしかない。その残りも、少数株主には半分しか戻らないとみる 10 年になる。商品の着想は残っても、それを支える資金の体力が尽きた姿だ。
- 請負受注(空中店舗フィル・パーク・プレミアムガレージハウス):数量 30.0(受注・施工の件数(件/年))× 価格 1.10(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 33 億円・営業利益 −1 億円。件数 0.56 倍 × 1 件 1.19 倍、利益率 −2%
- 開発販売:数量 1.5(引き渡しの件数(件/年))× 価格 6.00(1 件あたりの売上(億円・名目))→ 売上 9 億円・営業利益 −1 億円。件数 0.33 倍 × 1 件 1.02 倍、利益率 −10%(評価損)
- 賃貸・管理ほか:数量 100(管理・保有の物件数(件・推定))× 価格 0.06(1 件あたり年の売上(億円・名目))→ 売上 6 億円・営業利益 1 億円。物件 0.83 倍 × 1.22 倍、利益率 10%
倍率:赤字で稼ぐ力の床は使えない。在庫に 3 割の評価損を入れた清算の純額に戻り方 0.5 を掛けた床 10.2 億円を、今の自己資本 33 億円に対する PBR 0.31 倍で書いた。
確率:建築費と金利の両方が逆風で、開発在庫は自己資本を上回る。2020 年には営業利益率が 3% まで落ちた。在庫を抱えたまま市況が崩れる筋は現実にあるので 1 割強を置いた。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
請負受注(空中店舗フィル・パーク・プレミアムガレージハウス)
土地の持ち主から、駐車場の上の店舗やガレージ付き賃貸住宅の企画と工事を請け負う。
| 数量受注・施工の件数(件/年) | 価格1 件あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 54.0 | 0.93 | 50 | 4 |
| 10 年後 中立 | 60.0 | 1.24 | 74 | 6 |
取り方:2025/11 期の受注 54 件・58.1 億円(開示)と、1〜3Q の請負の売上 37.0 億円から通期の請負の売上を約 50 億円と推定し、件数で割った。営業利益は売上総利益率から販管費を売上比で配った推定。
開発販売
自社で土地を買い、空中店舗やガレージハウスを建てて入居者を付け、不動産の投資家に売る。
| 数量引き渡しの件数(件/年) | 価格1 件あたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 4.5 | 5.87 | 26 | 3 |
| 10 年後 中立 | 5.0 | 7.86 | 39 | 4 |
取り方:2025/11 期の引き渡し 4 件(開示)に大型の案件を含むので 4.5 件相当とし、1〜3Q の開発販売の売上 14.9 億円と 4Q の推定から通期 約 26.4 億円を件数で割った推定。
賃貸・管理ほか
建てた物件の賃貸・管理の受託や、自社で持つ物件の家賃。
| 数量管理・保有の物件数(件・推定) | 価格1 件あたり年の売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/11 | 120 | 0.05 | 6 | 1 |
| 10 年後 中立 | 150 | 0.07 | 10 | 1 |
取り方:その他の売上 約 5.9 億円(1〜3Q の 4.37 億円から推定)を、管理と保有の物件 約 120 件(推定)で割った。
リスクと懸念
建築費の上昇
資材と職人の賃金が上がり続け、家賃が追いつかなければ土地の持ち主の利回りが削られる。建てる理由が薄れれば受注が減り、請けた工事でも原価が膨らんで利益が消える。
金利の上昇
土地の持ち主の多くは銀行から借りて建てる。借入の金利が上がるほど収支の計算は厳しくなり、建てる決断が先送りされる。開発販売で物件を買う投資家の利回りの要求も上がる。
開発在庫の評価損
開発販売では土地と建物を先に抱え、在庫は 36 億円と自己資本を上回る。不動産の市況が崩れれば、売れ残りや値下げで評価損が出て、自己資本が大きく削られる。
四半期の業績の揺れ
開発販売の引き渡しは年に数件で、1 件で数億円の売上が動く。工期の延びで計上が後ろにずれれば、予想の大きな修正が繰り返され、経営の計画の信頼が損なわれる。
まねされやすい商品
空中店舗もガレージハウスも普通の鉄骨や木造の建築で、特許の壁は無い。大手のハウスメーカーや駐車場の運営会社が同じ型の提案を始めれば、値段の競争になる。
今後の分かれ目
- 2027 年 11 月期に営業利益率が 8% を超えて続いたら
- 建築費の上昇を値段に乗せられている証拠とみて、やや楽観に重みを移す。
- 空中店舗の受注件数が年 10 件を下回る年が続いたら
- 主力の商品の需要が細っているとみて、やや悲観に寄せる。
- ロビンスジャパンの木造ガレージハウスが首都圏の外で受注を増やしたら
- 提供の地域が広がる筋とみて、請負の件数の前提を上げる。
- 開発在庫の評価損や大きな値下げが出たら
- 開発販売の在庫の重さが表に出たとみて、悲観の確率を上げる。
- 政策金利がさらに上がり、土地活用の融資が絞られたら
- 請負の受注の前提を下げ、中立の数量を見直す。
見ておくもの
- 請負の受注件数と受注残高(フィル・パークとガレージハウスの別)
- 開発プロジェクトの残高と引き渡しの件数
- 売上総利益率(建築費の転嫁)
- ロビンスジャパンの寄与
- 前受金と借入の推移
倍率と資本コストの決め方
倍率は k 8.5% と各筋書きの ROE から決めた。中立とやや悲観は ROE が k に届かないので 1÷k の 11.1 倍を上限にし、楽観側は正当化 PER の式(残る割合 1/2・g 4%)から 8.5〜9 割に置いた。今の PER(約 8 倍)や過去の株価の山と谷は使っていない。中立の営業利益率は過去 12 年の山(15.6%)を大きく下回る 6.7% にした。現金は前受金を引くと余らないので足していない。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.27→14.29 倍・やや楽観 PER 10→13.63 倍・中立 PER 10.5→12.71 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。