結論
トヨコーは、古い工場屋根を補強する「SOSEI」と、橋梁や鉄塔のさびを除去する高出力装置「CoolLaser」を持つ会社である。筆者の結論は「やや割高」だ。両技術には確かな用途があり、2026年3月期には売上高31億円、営業利益6億円まで成長した。しかし、現在の時価総額約269億円は、CoolLaserの量産と市場浸透がかなり進む未来を既に求めている。
この会社を普通の建設会社として見るのは間違いだ。SOSEIは工場を止めずに屋根を補修できる独自工法であり、累計施工面積は170万平方メートルに達した。CoolLaserは、研削材を使う従来のブラスト工法では難しかった場所にも適用できる高出力レーザー装置である。研究段階を抜け、2026年3月期には12台を納入した。二つの事業が持つ技術上の強みは、長く持つ株主にとって真剣に評価する価値がある。
ただし、技術が優秀なことと、多額の株主利益を安定して生むことは別だ。CoolLaserの中期計画は2030年3月期の年間販売120台を目指すが、足元の生産体制は月産2台からの拡張途上にある。2027年3月期第1四半期は全社売上が増えた一方、CoolLaser事業は小幅な営業赤字だった。公共工事での採用基準、部品供給、施工業者の投資回収、海外販売網という複数の関門が残る。
2036年3月期の中立では、SOSEIの年間施工18.5万平方メートル、CoolLaserの年間販売92台を想定する。装置の保守や消耗品も育ち、純利益は約34億円になる見立てだ。それでも、資本コストと株式の希薄化を考慮した現在価値は、足元の時価総額をおよそ2割下回る。会社の成功を否定する結論ではない。成功に至るまでの時間と失敗の可能性に対して、現時点では十分な安全域を見いだしにくいという結論である。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、トヨコーには魅力と難しさが同居する。魅力は、顧客が避けて通れない物理的な問題を解決していることだ。屋根は劣化する。鋼橋はさびる。工場を止めずに修理し、危険で大量の廃棄物を生む作業を減らせる技術は、景気の流行とは違う価値を持つ。SOSEIが長い施工実績を積み、CoolLaserが実際の販売を始めたことは、事業の存在理由を裏付けている。
しかし、所有者が知りたいのは装置の優秀さより、装置が売れた後に残る現金だ。CoolLaserでは、新工場、部品調達、海外認証、営業人員、試験施工、保守体制に資金が要る。顧客が一度装置を購入しても、次に買い替えるまで何年かかるかはまだ十分わからない。現時点の純利益を、そのまま自由に配れるオーナー利益と考えるのは早い。
堀、つまり競合が容易には越えられない強みも、二段階に分けたい。回転照射方式の特許と現場ノウハウは確かに参入障壁である。しかし2036年には、初期の基本特許の存続期間や代替方式の進歩が問題になる。安全基準が普及するほど市場が広がる半面、他社も参入しやすくなる。試験施工の実績が全国的な採用と継続的な値上げ力につながるか、今はまだ判断がつかない。
同じ金額で事業を丸ごと買う立場なら、筆者は2030年の販売台数目標より、実際の受注残、製造原価、在庫回転、顧客の再注文、保守契約率に目を向ける。増分の投資利益率が資本コストを超え、成熟期に配当や自社株買いへ移る証拠が揃えば、より高い価値を認められる。今は成長余地が大きい反面、価値の幅も広い。価格に対する安全域を要求すべき段階である。
何で稼ぐ会社か
SOSEIは、老朽化したスレート屋根に特殊な樹脂を三層に吹き付け、防水、補強、断熱を同時に行う事業である。工場や倉庫の所有者が顧客で、建設会社を経由して受注する場合も多い。既存屋根を取り外さずに済むため、建物の操業を止めにくい自動車や電機メーカーに適している。施工管理はトヨコーが担い、実作業には協力会社も活用する責任施工の形を取る。
同社資料によるSOSEIの設計単価は、足場代を除いて約1万5,000円毎平方メートルである。2025年3月末の累計施工156万平方メートルと、2026年3月末の170万平方メートルとの差から、直近年間の施工を約14万平方メートルと推計できる。実績売上をこの面積で割った平均単価は約1万2,700円となり、設計単価とは一致しない。工事範囲や請負条件による差があるため、予測には実績換算単価を用いる。2026年3月期のSOSEI売上高は約17.84億円、セグメント利益は約6.30億円である。
CoolLaserは、レーザー光を円形に高速照射する独自方式で、鋼構造物のさびや古い塗膜を除去する装置である。顧客は建機レンタル会社、塗装・補修会社、電力関連事業者、橋梁工事会社などだ。従来の研削材によるブラスト工法と比べ、研削材由来の産業廃棄物を抑え、塩分除去や作業負荷の軽減に役立つと会社は説明する。装置を施工会社に販売するため、現場で使用される工事量そのものが売上になるわけではない。
2026年3月期にCoolLaserは12台を納入し、事業売上高は約13.50億円となった。装置本体と試験施工、消耗品などの売上内訳は十分に分離開示されていないため、数量モデルでは装置販売と関連サービスを推計分割している。将来の保守契約や消耗品の継続収入には魅力があるが、2026年時点の保守はまだ本格立ち上げ前である。既存の装置台数がそのまま安定課金の契約数になると考えてはならない。
二つの事業は、同じインフラの延命化を扱っていても収益構造が違う。SOSEIは施工面積と工事単価、施工管理能力が売上を決める。CoolLaserは装置の年間納入台数と販売単価に、導入済み装置の稼働から生まれる関連売上が加わる。前者は地域と施工人員の制約を受けやすく、後者は製造部品の調達と工法の普及速度に左右される。長期評価では、この違いを分けて考える必要がある。
優良さと弱いところ
同社の強みは、技術が現場の明確な不便を解決していることだ。SOSEIは屋根材を軽く保ちながら補強し、工場を稼働させたまま施工できる。独自の施工特許に加え、大手化学メーカーと共同開発した樹脂の独占調達契約がある。累計170万平方メートルの施工経験や、会社が説明する高いリピート率は、単なる新工法の宣伝ではなく実績に基づく信頼を示している。
CoolLaserには、回転照射方式の特許と長年の研究開発がある。土木研究所との共同研究、NETISへの登録、レーザー施工研究会による安全指針や技能制度への取り組みも、施工現場での採用を後押しする。2026年には関越自動車道で横河ブリッジと試験施工を行った実績や、海外初受注が確認できる。ただし、現場試験の成功は、全国の道路管理者が標準工法として継続採用したことを意味しない。
価格決定力は両事業で異なる。SOSEIには既存工法との使い分けがあり、工事価格の引き上げ実績もあるが、金属カバー工法や屋根の葺き替えという代替策が存在する。CoolLaserには技術上の差別化があるものの、顧客は装置価格だけでなく施工速度、電力、安全管理、人件費、消耗品の総費用で購入を判断する。特許があるだけでは、値上げを続けられる保証にはならない。
2026年3月期のROEは22%と高い。ただし、この利益率は研究開発期の赤字から黒字化した直後の数字であり、10年間安定して再投資できた利回りではない。実際、2023年3月期と2024年3月期は営業赤字だった。現在は収益化の初期段階であり、強い堀が完成した企業というより、技術上の優位を量産・販売・保守の経済的な堀へ変えられるかを試される企業だと考える。したがって堀は現時点では「普通」とする。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
老朽化したインフラの補修需要は、2036年にも存在する可能性が高い。国内の道路橋は約73万橋あり、建設後50年を超える橋の割合は今後も増える。人手不足によって、危険な手作業を減らす技術や塗り替え周期を延ばす工法の価値も高まる。これはCoolLaserの追い風だが、老朽橋の数が増えた分だけレーザー装置が売れるわけではない。橋梁の補修予算、採用基準、作業単価が間に入る。
SOSEIについて、会社は全国の工業団地のスレート屋根面積を地図から集計し、潜在市場を約1,020億円と推計している。関東約316億円、中部約294億円、近畿約183億円などの地域別推計もある。ただし、これは対象となり得る屋根のストックを工事単価で評価した金額で、毎年発生する市場売上ではない。全ての屋根が同社工法を必要とするわけでもない。競合は金属カバー工法、屋根の葺き替え、一般の防水・補修業者で、統一的な施工面積シェアの統計は確認できない。
CoolLaserについては、会社が2023年の国内装置販売市場を約800億円と推計している。世界のショットブラスト機械市場に日本の建設市場の比率を掛けた概算であり、実際の国内レーザー清掃装置市場を計測した数字ではない。装置単価を約1億円とすれば年間数百台の置換余地を示す参考値にはなるが、既存ブラスト装置の全台を直ちに置き換えられるという意味ではない。従来のブラスト、ウォータージェット、剥離剤に加え、欧米や中国のレーザー装置メーカーとも競う。個社別の信頼できる市場シェアは確認できず、2026年の販売12台を基準に普及速度を見極める。
市場普及の鍵は、安全と施工品質を認めてもらう仕組みだ。JISの除せい度測定方法やNETIS登録は重要な前進だが、それだけで公共工事の仕様書が一斉に書き換わるわけではない。大手補修会社が工法を採用し、従来施工との総費用比較が積み上がり、道路・鉄道・送電設備の発注者に定着して初めて需要が広がる。会社が2030年に年間120台を目指す背景にはこの市場余地があるが、部材供給制約や海外認証も残る。
AIエージェント代替の指定業種には該当しない。SOSEIは現場で屋根を施工する仕事であり、CoolLaserは物理的な製造装置である。AIによる施工計画や検査の効率化はあっても、人月で売るコンサルティングや操作画面中心のSaaSとは異なる。むしろ競争相手は、安いロボット、既存工法の改良、同等性能のレーザー装置だ。物価が年3%上がる世界では、工事価格の上昇は原材料費・労務費の上昇と合わせて見る必要がある。
資本政策と M&A
経営陣はこれまで、得た資金を株主還元より技術開発と事業拡張に回してきた。2025年3月に上場し、浜松の製造・開発拠点を整備した。かつて設けたタイのSOSEI子会社やCoolLaser施工関連会社は整理し、現在は国内の責任施工とレーザー装置の開発・製造販売へ経営資源を集中させている。この事業の絞り込みは評価できるが、過去10年にわたり大規模な買収で投資収益率を高めた実績があるわけではない。
原文の中期計画では、CoolLaserの年間販売を2028年3月期に35~65台、2030年3月期に120台へ増やす目標を掲げている。2027年3月期は納入17~24台を見込み、全社の通期予想は売上高40億円、営業利益7.9億円、純利益6.54億円である。一方、長期ROE、配当性向、DOE、総還元性向、自社株買い額については数字の約束がない。2026年3月期は無配で、2027年3月期も無配予想だ。
資金配分の注意点は、利益と手元資金の増減が一致しないことだ。2026年3月期の純利益は約5.5億円だったが、営業キャッシュフローは約1.4億円にとどまった。装置の在庫や売掛金が増え、2027年3月期第1四半期にも棚卸資産の増加と預金の減少が見られる。量産が順調な時ほど運転資金を先に使う構造である。工場の既存設備の減価償却は取得原価に基づく一方、将来の増設や更新はインフレ後の設備価格で資金が必要になる。
株主構成は上位10名で約65.7%を占め、創業家出身の経営トップが約32.9%を保有する。過去5年には配当の実績も大規模な自社株買いもなく、余剰資金が少数株主に戻る確実性は低い。新株予約権による希薄化の可能性もある。買収による急拡大を基本筋書きには組み込まず、増分資本が十分な利益を生むか、将来成熟した時に還元へ切り替わるかを観察する。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
老朽化した橋梁や鉄塔の補修は避けられず、施工人員の不足はさらに深刻になる。従来のブラスト工法は研削材の回収、騒音、粉じん、廃棄物処理を伴う。CoolLaserが塗膜、さび、塩分の処理を一体で行い、補修周期まで延ばせるなら、装置の購入価格が高くても施工会社や設備保有者には十分な経済的利益がある。すでに大手建機レンタル会社や電力関連の顧客へ販売が進み、2026年には海外初受注も得た。現場での採用実績が次の案件を呼ぶ段階に入る可能性がある。
会社の技術は単なるレーザー出力の高さだけではない。回転照射方式に関連する特許があり、長年にわたり現場施工と装置開発を並行して進めてきた。土木研究所との共同研究や安全指針の整備を進めてきたことも、新規参入企業との差になる。施工会社が装置を保有し、作業者が操作に習熟し、発注者の仕様書に技術が載るようになれば、装置と工法の双方に乗り換えの手間が生まれる。
SOSEIは既に高い収益性を示しており、工場の操業を止められないという顧客の事情は長く変わりにくい。関東や近畿には同社がまだ十分開拓していない工場屋根がある。金属屋根向けの施工ロボットや太陽光発電設備との連携が収益機会を増やす可能性もある。既存工法との差を説明できれば、資材費が上がる環境でも価格を守りやすい。
CoolLaserの販売が量産段階へ移り、装置一台当たりの部品原価が下がれば、増分利益率は大きくなる。販売台数の積み上がりは将来の保守・消耗品収入にもつながる。国内市場だけでなく、送電設備や海事分野、海外市場まで用途が広がる場合、現時点の売上規模は将来の収益力をほとんど表していない。開発資金を先に投じた企業が長期間その成果を収穫する筋書きには、十分な合理性がある。
慎重な見方
CoolLaserの技術上の独自性を認めても、装置メーカーとしての経済性はまだ証明途中である。2026年3月期の12台という販売実績から、2030年の年間120台へ進むには、部品供給、製造品質、販売網、納入先の教育、海外の認証と保守体制を同時に拡大しなければならない。装置を作れることと、顧客が利益を出せる価格で毎年大量に購入することは違う。公共事業では採用仕様が変わるまで時間がかかる。
市場規模の説明にも慎重さが要る。会社が示す国内装置市場約800億円は、ショットブラスト機械の世界市場から推計した参考値である。現場ごとに必要な施工能力は違い、レーザーが使えない素材や狭い場所もある。既存工法が安く、十分な品質を満たす現場では、高価な新装置への更新を見送る合理性がある。他社の高出力レーザーやロボットが性能を上げれば、先行企業の利益率も競争にさらされる。
知的財産の寿命も見落とせない。初期の基本特許は2030年代半ばに存続期間の問題が出る可能性があり、周辺特許があっても競合の別方式まで永久に排除できるわけではない。安全基準の整備は市場普及に役立つが、業界全体の共通規格になれば、他メーカーにも販路を開く。大手建機メーカーや装置会社が同等の工法を低価格で提供し始めれば、量産投資を済ませた後に利益率を失う恐れがある。
足元の利益の質も精査すべきだ。2026年3月期の営業キャッシュフローは純利益に大きく届かず、翌四半期にも在庫が増えた。大口顧客の検収遅れや装置の売れ残りが生じると、損益計算書より先に資金繰りが傷む。SOSEIにも樹脂価格と施工管理人員の制約があり、既存の高い利益率を無条件に維持できるわけではない。無配と新株予約権による希薄化を考えれば、既存株主が将来の成功を全て受け取れるとも限らない。
どちらに重みを置いたか
需要が長く残ることと、独自技術が存在することは強い根拠である。しかし、CoolLaserの年間納入はまだ十数台で、会社が掲げる量産目標までには複数の実行上の壁がある。利益の急成長を中立にも反映する一方、特許の寿命、採用基準、量産資金、希薄化を考えて確率は下側にやや厚くした。やや悲観と悲観の合計を38%、楽観とやや楽観の合計を24%とする。中立でも2036年の収益力は現在を大きく上回るが、期待される普及速度と資金回収の不確実性を割り引くと、現時点の評価には十分な安全域がない。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 3,233 円441 億円(+ 還元の換算額還元の合計 139 円19 億円)。 今の値に割り戻すと 1,592 円217 億円、今との差 −19.6%、 期待の年率 +5.6%(資本コスト 8.0%)→ やや割高
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 11,111 円1,516 億円 | 542 円74 億円 | +488.3% | +20.2% | 816 円111 億円 |
| やや楽観 | 17% | 6,274 円856 億円 | 339 円46 億円 | +233.8% | +13.3% | 1,124 円153 億円 |
| 中立 | 38% | 3,382 円461 億円 | 115 円16 億円 | +76.5% | +6.0% | 1,329 円181 億円 |
| やや悲観 | 25% | 358 円49 億円 | 0 円0 億円 | −81.9% | −15.7% | 90 円12 億円 |
| 悲観 | 13% | 103 円14 億円 | 0 円0 億円 | −94.8% | −25.6% | 13 円2 億円 |
| 加重平均 | 100% | 3,233 円441 億円 | 139 円19 億円 | +70.2% | +5.6% | 3,372 円460 億円 |
今の株価時価総額 1,981 円270 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 7% 標準工法化と海外展開が連続して成功 利益 107 億円 · PER 15.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 11,111 円1,516 億円
CoolLaserは、橋梁や送電設備の補修において広く認められる標準的な選択肢の一つになる。横河ブリッジなどとの施工実績が発注者の仕様に反映され、国内の大手補修会社とレンタル会社が装置の採用を増やす。海外初受注を足掛かりに、中東だけでなくアジアや欧米にも販売・保守網が広がり、年間納入は190台に達する。独自の照射方式は改良特許と保守ノウハウによって競争優位を保つ。
浜松の製造拠点は量産設備へ発展し、部品の二重調達と設計変更によって装置原価が下がる。装置の累計導入は約1050台となり、部品交換と保守からの利益も厚くなる。既存のブラスト機械との競争は残るが、レーザーを使う工事の総費用が低下し、顧客の設備投資回収が明確になる。販売単価も物価上昇を反映しながら維持できる。
SOSEIは金属屋根用ロボットや太陽光発電事業者との協業が軌道に乗り、関東・近畿の開拓で年間31万平方メートルを施工する。技術改良を中心に成長し、利益を再投資しながら一部を株主にも返す。大幅に増えた留保利益は海外展開と製造能力の拡張を支え、自己資本も厚くなる。現在の新株予約権は行使され、既存株主の持分は薄まるが、稼ぐ力の伸びがそれを大幅に上回る。
- SOSEI(工場・倉庫屋根補修):数量 31.0(年間施工面積(万平方メートル、実質))× 価格 1.95(施工面積1万平方メートル当たり実現売上(億円、名目))→ 売上 60 億円・営業利益 22 億円。年間31万平方メートル、名目平均単価約1万9500円毎平方メートル。現行工法の再施工とロボットによる施工範囲拡大、施工管理の効率化を想定。
- CoolLaser装置販売:数量 190(年間納入装置数(台、実質))× 価格 1.58(装置1台当たり推定販売売上(億円、名目))→ 売上 300 億円・営業利益 93 億円。国内標準工法化と海外販路の定着で年間190台。名目単価は現行の約1.48倍、部品調達と設計改善で原価率が低下。
- CoolLaser消耗品・保守・試験施工:数量 1,050(期末累計導入装置数(台、実質))× 価格 0.07(導入装置1台当たり年間関連売上の推定配賦額(億円、名目))→ 売上 71 億円・営業利益 30 億円。稼働累計1050台。保守・部品交換が制度化され、導入済み装置1台当たり関連売上680万円。収益化に成功した強気の仮定。
倍率:修正後の2036年自己資本521.0億円と純利益107.26億円からROEは約20.59%。資本コストk8%、普通の堀の残存割合1/2により、RONIC=8%+0.5×(20.59%−8%)=約14.29%となる。10年より先の名目成長率g2.5%から正当化PER=(1−0.025÷0.1429)÷(0.08−0.025)=約15.00倍。従来のROE約30.4%とPER15.81倍は、過小な自己資本を使った結果なので修正した。自己資本の流れは2026年3月期末29.8億円+10年間の純利益累計約563.8億円−株主還元80億円+新株予約権の払込金約7.4億円=521.0億円である。純利益累計は期首約5.5億円から10年後107.26億円への概ね直線的な増加を想定している。ROEは成長の前提ではなく、この資本蓄積の結果として算定した。
確率:年間納入190台まで伸びるには、2030年の会社目標を超える製造能力、大手発注者による採用、海外での保守網構築、周辺特許の競争力維持が同時に必要となる。技術には実績があるが、長期間の連続成功を必要とするため7%とする。
やや楽観 17% 量産が計画に近づき、国内の採用先が広がる 利益 60 億円 · PER 15.4 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6,274 円856 億円
CoolLaserは2030年前後までに部品供給と量産の壁を越え、国内の橋梁補修、送電設備、プラント向けに導入が進む。従来のブラスト工法が優位な現場も残るが、廃棄物削減や作業環境改善を重視する顧客が新装置を選び、2036年の年間販売は130台になる。海外販売は一部の地域で成功するものの、国内より認証と保守の負担が大きい。
大手施工会社が装置の操作に習熟し、安定した再注文と部品交換が生まれる。導入累計は700台に達し、消耗品と保守の売上が装置販売に次ぐ利益源となる。量産効果と調達先の多様化で装置事業の利益率は改善するが、競合メーカーの追随もあり、販売単価には過大な値上げ力を想定しない。
SOSEIは工場の改修需要を着実に取り込み、年間施工24万平方メートルに伸びる。大きな買収は行わず、利益の大部分を自社技術、設備と運転資金に再投資する。事業の規模が十分に大きくなった後、限定的な配当や自社株買いが始まる筋書きである。
- SOSEI(工場・倉庫屋根補修):数量 24.0(年間施工面積(万平方メートル、実質))× 価格 1.80(施工面積1万平方メートル当たり実現売上(億円、名目))→ 売上 43 億円・営業利益 15 億円。年24万平方メートル、実現単価1万8000円毎平方メートル。関東での営業拡大と既存顧客の継続施工を想定。
- CoolLaser装置販売:数量 130(年間納入装置数(台、実質))× 価格 1.45(装置1台当たり推定販売売上(億円、名目))→ 売上 189 億円・営業利益 53 億円。年130台。公共工事と民間設備での採用拡大、調達部品の原価低減が進む。
- CoolLaser消耗品・保守・試験施工:数量 700(期末累計導入装置数(台、実質))× 価格 0.06(導入装置1台当たり年間関連売上の推定配賦額(億円、名目))→ 売上 43 億円・営業利益 16 億円。導入累計700台。関連売上は1台年610万円、保守契約と交換部品の継続利用が進む。
倍率:ROE約24.6%、k8%、普通の堀の残存割合1/2によりRONIC約16.3%。g2.5%から正当化PERは約15.40倍。自己資本は初期29.8億円+10年間の利益累計約256.7億円+予約権払込約7.4億円−還元50億円という流れに対応する。
確率:既存顧客の再注文、量産拠点の稼働、原価低減には具体的な進捗があり、成功の可能性は相応にある。ただし年間130台の継続販売と保守網の採算化まで確認できていないため17%とする。
中立 38% レーザーは普及するが、成長は段階的 利益 34 億円 · PER 14.7 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,382 円461 億円
SOSEIは既存顧客の更新需要を支えに、関東や近畿の工場を開拓する。施工ロボットは一部の屋根で使われるようになるが、専門の施工管理者と協力会社への依存は残る。年間施工は18.5万平方メートルへ緩やかに増え、工事価格は概ね物価上昇に沿って改定される。施工事業として高い利益率を維持する一方、急激な規模拡大は想定しない。
CoolLaserは橋梁、鉄塔、プラント向けに有力な補修装置の一つとして定着する。ただし公共工事の標準化には長い時間がかかり、装置メーカー間の競争も始まる。2030年に向けた会社の高い販売目標は十分には達成できず、2036年の年間販売は92台とする。2026年の12台からは大きく伸びるが、製造能力と顧客需要の両方に制約のある成長だ。
納入済み装置は約500台となり、消耗品や保守にも収入が生まれる。しかし装置1台当たりの保守費用や継続利用率が明示されていないため、高い課金額には依存しない。利益は在庫や設備と営業体制へ再投資され、ROEは黒字化直後の水準から低下する。成熟期に限定的な株主還元が始まるが、過去の無配方針を踏まえて還元は控えめとする。
- SOSEI(工場・倉庫屋根補修):数量 18.5(年間施工面積(万平方メートル、実質))× 価格 1.72(施工面積1万平方メートル当たり実現売上(億円、名目))→ 売上 32 億円・営業利益 11 億円。年間18.5万平方メートル。名目単価は1万7200円毎平方メートルで、足元の実現単価からほぼ物価3%相当の上昇。
- CoolLaser装置販売:数量 92.0(年間納入装置数(台、実質))× 価格 1.36(装置1台当たり推定販売売上(億円、名目))→ 売上 125 億円・営業利益 30 億円。年間92台。会社の2030年目標120台を確約とせず、公共工事への浸透の遅れと競争開始を反映。単価上昇は物価率をやや下回る。
- CoolLaser消耗品・保守・試験施工:数量 500(期末累計導入装置数(台、実質))× 価格 0.05(導入装置1台当たり年間関連売上の推定配賦額(億円、名目))→ 売上 27 億円・営業利益 9 億円。導入累計500台。装置1台当たり年540万円の関連売上を仮定。正式な保守契約実績から直接算定したものではない。
倍率:全社純利益33.74億円、自己資本190.4億円でROE約17.72%。k8%、普通の堀の残存割合1/2よりRONIC約12.86%、g2.5%として正当化PER=(1−0.025/0.1286)/(0.08−0.025)≒14.65倍。10年間の利益累計は約170.2億円とし、初期自己資本29.8億円に予約権払込約7.4億円を加え、還元17億円を控除して190.4億円とする。短期間の高ROEを永久に延長しない。
確率:SOSEIには既存の施工実績があり、CoolLaserも販売ゼロの開発品ではないため、普及の中心筋書きに最も高い確率を付ける。一方、2030年の年120台という会社目標を2036年にそのまま延長せず、量産能力の拡張と公共工事への普及の遅れを織り込む。
やや悲観 25% 技術の採用が遅れ、装置事業の利益率が低下 利益 4 億円 · PER 10.0 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 358 円49 億円
国内の橋梁工事では、費用と実績を重視する発注者がブラスト工法や従来の剥離方法を使い続ける。CoolLaserは特殊な現場で有用な装置として残るものの、年間納入31台の小さな市場にとどまる。海外販売も保守体制と認証費用が重く、継続的な量産には至らない。競合するレーザー装置の値下げによって、装置単価は物価の上昇に追い付かない。
製造拠点は維持されるが、販売数量が少ないため固定費の吸収が進まない。導入台数の累計は180台程度にとどまり、保守と消耗品の収益も限定的だ。高性能な装置を作れる会社ではあり続けるが、毎年多額の現金を生み出す装置メーカーには育たない。
SOSEIも人件費や樹脂価格の上昇を十分に転嫁できず、年間施工面積は14万平方メートル程度で停滞する。配当を出す余裕はなく、利益は設備維持と運転資金に残す。技術は存続しても、株主資本に対する利益率は資本コストを下回る筋書きである。
- SOSEI(工場・倉庫屋根補修):数量 14.0(年間施工面積(万平方メートル、実質))× 価格 1.50(施工面積1万平方メートル当たり実現売上(億円、名目))→ 売上 21 億円・営業利益 5 億円。工事面積は横ばい、単価は10年間の物価上昇に届かない。競争と原材料費高騰で利益率が下がる。
- CoolLaser装置販売:数量 31.0(年間納入装置数(台、実質))× 価格 1.20(装置1台当たり推定販売売上(億円、名目))→ 売上 37 億円・営業利益 4 億円。公共工事での採用に時間がかかり年間31台。高額部品の負担と価格競争で利益率は低い。
- CoolLaser消耗品・保守・試験施工:数量 180(期末累計導入装置数(台、実質))× 価格 0.05(導入装置1台当たり年間関連売上の推定配賦額(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 1 億円。累計180台に対し、保守契約の加入率と交換部品の売上が伸び悩む。
倍率:ROEは4.46億円÷78.9億円=約5.7%でk8%に届かない。資本コスト未達企業の利益価値の上限1/k=12.5倍を下回る10.0倍とし、保守収益の未成熟、再投資による超過収益の欠如を反映する。今の時価総額や過去の市場倍率は根拠にしていない。自己資本は初期29.8億円に約49.1億円の利益累計を積み、還元と予約権払込はゼロとする。
確率:下に寄せる理由:2026年時点の販売は年間12台で、部品供給と安全基準の標準化には未解決の課題がある。2027年3月期第1四半期のCoolLaserはセグメント赤字で、装置の収益性はまだ安定していない。会社固有の量産・採用遅延を考え25%とする。
悲観 13% 低価格の代替技術に敗れ、研究開発負担が残る 利益 −3 億円 · PBR 0.9 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 103 円14 億円
CoolLaserは、高出力レーザー装置の競争が激しくなる中で、価格と保守網で大手機械メーカーに対抗できなくなる。基本特許の存続期間が問題となり、別方式の装置も普及する。土木工事の発注者は安全性と費用の実績が長い既存技術を優先し、同社製品は特殊用途に限られる。年間販売は8台まで縮小し、浜松の製造設備と開発部門の固定費を賄えない。
在庫の評価損や開発費負担が重く、装置事業は赤字になる。過去に販売した機械も、稼働率の低下や他社製品への乗り換えによって保守需要が伸びない。SOSEIは屋根の葺き替えや金属カバー工法との価格競争が強まり、施工面積が年間11万平方メートルへ減る。工場を止められない顧客との取引は残るが、高い利益率を維持できなくなる。
業績悪化が早い段階で始まり、研究開発費と工場固定費を負担した結果、10年間の損益累計は赤字になる。無配のまま内部留保を消費し、将来の自己資本は減少する。新株予約権は行使されず、株主価値は残された現金、短期運用資産、売却できる設備と少数の継続顧客の価値に近づく。
- SOSEI(工場・倉庫屋根補修):数量 11.0(年間施工面積(万平方メートル、実質))× 価格 1.32(施工面積1万平方メートル当たり実現売上(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 2 億円。施工面積が減り、原料・施工人件費を十分に価格転嫁できず利益率低下。
- CoolLaser装置販売:数量 8.0(年間納入装置数(台、実質))× 価格 0.95(装置1台当たり推定販売売上(億円、名目))→ 売上 8 億円・営業利益 −2 億円。年間8台に減少。製造固定費と技術開発負担が重く、装置事業は営業赤字。
- CoolLaser消耗品・保守・試験施工:数量 55.0(期末累計導入装置数(台、実質))× 価格 0.04(導入装置1台当たり年間関連売上の推定配賦額(億円、名目))→ 売上 2 億円・営業利益 0 億円。累計導入済みでも稼働する装置が減少し、保守・部品売上が細る。
倍率:2036年の純利益が赤字なので利益ベースのPERを使用しない。早期の事業悪化による10年間の累積損失を約13.2億円とし、自己資本は現在29.8億円から16.6億円へ減少する。売却可能な資産の税後回収額約13.5億円を下限の目安とし、減損後の2036年自己資本16.6億円に0.85を掛けた約14.11億円で評価する。今より増えた自己資本に床のPBRを掛けていない。
確率:本格的な装置普及に失敗し、同時にSOSEIの競争力まで落ちる複合的な悪化である。2023~2024年に営業赤字だった実績、設備と在庫の負担、特許存続期間を踏まえて無視できない確率とする。ただし既存顧客と独自技術が全て消滅するとは考えず13%とする。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
SOSEI(工場・倉庫屋根補修)
特殊樹脂の三層吹き付けにより、老朽化した屋根を防水・補強・断熱し、工場を止めずに延命化する責任施工事業。
| 数量年間施工面積(万平方メートル、実質) | 価格施工面積1万平方メートル当たり実現売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 14.0 | 1.27 | 18 | 6 |
| 10 年後 中立 | 18.5 | 1.72 | 32 | 11 |
取り方:2025年3月末の累計施工156万平方メートルと、2026年3月末の170万平方メートルの差から年間14万平方メートルと推計。累計値は概数であり、施工進捗と収益認識の時期も異なるため近似である。2026年3月期のSOSEI事業売上17.83713億円を14万平方メートルで割り、実現単価を1平方メートル当たり約1万2741円とする。会社の工法比較資料に記載された設計単価1万5000円とは、請負形態や工事範囲の違いで差がある。SOSEIの潜在市場1020億円は全国のスレート屋根ストックを一度施工した場合の会社推計であり、年間需要や正式な市場シェアではない。
CoolLaser装置販売
鋼橋、鉄塔、船舶、プラントなどのさび・塗膜を除去する高出力回転照射レーザー装置の製造販売。
| 数量年間納入装置数(台、実質) | 価格装置1台当たり推定販売売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 12.0 | 1.07 | 13 | 2 |
| 10 年後 中立 | 92.0 | 1.36 | 125 | 30 |
取り方:2026年3月期の装置納入12台は会社開示の実数である。2025年5月の会社計画は2026年3月期の装置12台について販売売上12.50億円を想定しており、実績のCoolLaser事業売上13.50121億円との関係から、装置本体を推定12.84億円、1台当たり1.07億円とした。装置単独の2026年実現売上と利益が明示されていないため、これは分析用の配賦である。営業利益2.30億円も事業利益2.49361億円から関連サービス分を推計分離したもので、開示セグメント利益そのものではない。会社の国内ブラスト装置市場800億円は外部市場統計を建設市場比率で按分した推計であり、正式な装置シェアの分母には使わない。
CoolLaser消耗品・保守・試験施工
納入済み装置に関連した部品、消耗品、保守、試験施工など。装置台数の蓄積に応じた継続収入の可能性を評価する。
| 数量期末累計導入装置数(台、実質) | 価格導入装置1台当たり年間関連売上の推定配賦額(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 16.0 | 0.04 | 1 | 0 |
| 10 年後 中立 | 500 | 0.05 | 27 | 9 |
取り方:2025年3月期の納入4台と2026年3月期の納入12台の累計から期末装置台数を16台とする。CoolLaser事業実績13.50121億円から推定装置売上12.84億円を引いた0.66121億円を関連売上へ配賦する。この金額には試験施工、レンタル、部品等が混在し、保守契約収入が実際に0.66121億円あったことを意味しない。会社資料では保守サービスを今後提供予定と説明しているため、将来の継続課金率と単価は未検証である。
リスクと懸念
CoolLaserの量産と供給能力
会社は2030年3月期に年間120台の販売を目指すが、2026年3月期の納入実績は12台である。浜松の製造拠点は月産2台を出発点としており、発振器など主要部材の調達能力がボトルネックと説明されている。増産のための設備投資と部品在庫を抱えた後に需要が想定を下回ると、損益と営業キャッシュフローの両方が悪化する。
公共工事への採用・仕様書への反映の遅れ
土木研究所との共同研究、NETIS登録、関越自動車道での試験施工は前進だが、公共工事への広範な採用を保証しない。道路管理者やゼネコンが必要とする安全性、品質、施工単価、再劣化の長期実績が揃わなければ、発注仕様は従来工法を中心としたままになる。橋梁の老朽化が進んでも装置納入が増えない可能性がある。
特許・競合技術と長期の値決め力
CoolLaserの円形回転照射技術とSOSEIの施工特許は差別化の根拠だが、初期の特許には存続期間がある。欧米や中国のレーザー装置メーカー、既存ブラスト装置メーカー、大手施工機械会社が同等の施工費と性能を実現すれば、先行企業の価格優位は縮む。標準化が業界全体へ広がることで、逆に競合の参入が容易になる面もある。
運転資金と利益の現金化
2026年3月期は約5.5億円の純利益に対し、営業キャッシュフローは約1.4億円だった。2027年3月期第1四半期には棚卸資産が約3.5億円増え、現金及び預金は約3.9億円減った。装置の納入や検収が遅れると、在庫と売掛金を抱えたまま借入金と設備費を負担する。会計上の増益だけで資本配分が成功したと判断できない。
SOSEIの施工単価・安全管理・顧客集中
SOSEIは独自樹脂と施工品質で競争しているが、原材料価格、協力会社の人件費、悪天候による工期遅れが利益率に影響する。高所での施工は重大事故のリスクも伴う。顧客が工場改修予算を減らせば案件を延期でき、金属カバーや葺き替えへの切り替えも可能だ。売上の一部が特定の大手工事会社に集中する点にも注意が要る。
希薄化と少数株主への利益還元
新株予約権は過去の開示で発行済株数の約8.6%に相当し、現在も一部が残る。事業が成功する筋書きほど行使され、既存株主の取り分が薄まる。上位10株主の保有比率は約65.7%と高く、創業以来配当を行っていない。投資した資金が高利回りで回る間は再投資が合理的だが、成長が鈍っても還元に移らなければ、株主の受け取る価値は帳簿の利益を下回り得る。
今後の分かれ目
- CoolLaserの年間納入台数が2028年3月期に35~65台へ達し、在庫回転も改善したら
- 量産能力と販売先の需要の双方に実績ができる。やや楽観以上の確率を引き上げ、装置事業の利益率と運転資金負担を再評価する。
- 道路橋の発注者や大手施工会社がCoolLaserを継続的な標準工法として採用したら
- 単発の試験施工から複数年の需要へ移るため、納入台数の予測可能性が上がる。保守収入と乗り換え費用の証拠も確認して、堀の強さを見直す。
- 2027年3月期以降もCoolLaserの四半期赤字と棚卸資産の積み上がりが続いたら
- 装置の需要と製造能力の不一致が疑われる。中立の販売台数と利益率を下げ、やや悲観側の確率を高める。
- SOSEIの年間施工面積が20万平方メートルを超え、実現単価と利益率も維持されたら
- 関東など未開拓地域での営業拡大に実績が生まれたと判断できる。屋根補修の数量と収益性を上方修正する。
- 競合の高出力レーザー装置が同等の施工品質を低い総費用で実現したら
- CoolLaserの販売単価と装置事業利益率を下方修正する。特許の独占性を再点検し、2036年以降の成長率も引き下げる。
- 成熟した装置事業の利益が増え、配当や自社株買いの数値目標と実施実績が示されたら
- 留保利益を少数株主が回収できる確実性が高まる。余剰現金の戻り方を再判定し、利益のうちオーナーに帰属する部分を増やして評価する。
見ておくもの
- CoolLaserの四半期・年間納入台数、受注残、2030年3月期120台目標への進捗
- 浜松製造拠点の月産能力、主要部品の複数調達先確保、装置1台当たり原価
- 装置売上と保守・消耗品売上の分離開示、導入累計台数、顧客の再注文
- 公共工事の仕様書への採用状況、NETIS・JIS関連の規格進展、橋梁での継続施工実績
- SOSEIの年間施工面積、実現単価、施工利益率、関東・近畿の新規案件
- 営業キャッシュフロー、棚卸資産、売掛金、純有利子負債の四半期推移
- 新株予約権の残高と行使、配当・自社株買いの具体的な数値方針
- 初期特許の存続期間と周辺特許の追加、競合するレーザー装置の性能と価格
倍率と資本コストの決め方
出発点は現在の株価や市場PERではなく、SOSEIの年間施工面積と実現工事単価、CoolLaserの年間納入台数と装置単価、導入累計に応じた関連売上である。SOSEIの潜在市場1020億円は施工可能な屋根のストックであり、年間売上と混同しない。CoolLaserの国内800億円も会社による代替装置市場の概算であり、装置の独占的な獲得可能売上とは扱わない。中立の長期PERはk8%、RONIC約12.86%、g2.5%から約14.65倍とした。楽観については10年間の累積純利益と還元額を自己資本の増減に反映し、自己資本521.0億円、ROE約20.6%、正当化PER15.00倍へ修正した。ROEを先に設定して自己資本を逆算していない。悲観では赤字事業にPERを掛けず、売却可能資産と損失後の自己資本で評価する。新株予約権の希薄化と払込金は別々に扱い、2027年以降の新リース会計基準による表示変更が生じても、工事費・賃借料を二重計上しない。現在の時価総額との比較は最後に行い、概算の本質価値が約2割下回る結果をそのまま受け入れる。
資本コスト 8.0% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。無リスク金利3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、利益と納入台数の変動による質の調整0.5ポイントを加えた。量産失敗や希薄化などの個別事象は資本コストへさらに上乗せせず、筋書きと確率で表す。