結論
日本ハウスホールディングスは、檜(ひのき)を使った在来工法の注文住宅を売る中堅メーカーだ。ホテルも持つ。売上は 296 億円、営業利益は 24 億円、純利益は 13 億円。筆者の結論は、自己資本の約半分という安さは、薄い稼ぐ力の裏返しということだ。
住宅事業は営業利益で 33 億円を稼ぐが、ホテルが 4 億円の赤字、本社費が 7 億円ある。住宅の売上は前期比 18% 減った。受注は 3% 増で底を打ったように見える。
国内の新築戸建ては、世帯数の減少で構造的に細る。2025 年度の着工は 71 万戸と、リーマン後の低さだ。中立では引渡しが 2 割減ると見た。単価は物価並みに上がらず、1.30 倍にとどめた。
財務は、純有利子負債 40 億円、自己資本比率 51%。借入には財務制限条項が付く。債務償還年数は 9.5 年に延びた。確率で重みづけした総合は、今の時価総額を 2 割ほど下回り、やや割高の側に出る。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「安い理由がはっきりしている」。自己資本の約 55% の値段は、資産の薄い稼ぎ(ROE 6%)に見合っている。
事業は国内の戸建て需要に縛られ、世帯数の減少が長い逆風になる。檜という個性はあるが、10 年先に今より強いとは言い切れない。ホテルも資本を食う。
買ってよいのは、価格が稼ぐ力と売れる資産の両方を十分に下回る時だけだ。今の値段は資産の裏づけがあるぶん悲観の床は浅いが、稼ぐ力に対しては割高な側に出る。
筆者は、経営がホテルを整理し本業に資本を集中するか、配当を引き上げるまでは、持ち続ける理由が見えないと考える。
資産の厚みは悲観の下値を支えるが、それだけでは株主の取り分は増えない。借入と前受けを返したあとに残る分が、本当の安全域である。経営者が自分の資本をどこに使うかを、決算のたびに確かめたい。
何で稼ぐ会社か
住宅事業が売上の 85% を占める。檜を柱にした在来工法の注文住宅の請負と、宅地の造成・販売だ。60 年保証の制度を掲げ、長く住む顧客を狙う。受注高は 264 億円で、引渡しが遅れて売上が落ちた。
ホテル事業は、自社所有のホテルとレジャー施設を子会社が運営する。売上 41 億円で、3.7 億円の赤字だ。会社は 2027 年 4 月期に黒字化の目途を立てるとしている。
新しい事業として、木造の投資用マンションと、レンタル収納(17 拠点)を進める。まだ小さい。太陽光発電の売電が 1.6 億円ある。
従業員は連結で約 950 人。住宅が 744 人、ホテルが 130 人だ。
中期計画は「修正飛躍 未来 3 ヶ年計画」で、2027 年 4 月期にグループ売上 349 億円、営業利益 26 億円を目指す。当初の計画(売上 420 億円、営業利益 40 億円)からは引き下げた。過去には負債 680 億円の整理を経験した会社でもある。
住宅の顧客は 30〜40 代の一次取得層が中心で、土地を持つ地方の建て替え需要も取り込む。ホテルは首都圏と観光地に自社保有の施設を持ち、住宅に比べて資産が重い。
優良さと弱いところ
強みは檜という一点の素材と、60 年保証の打ち出しだ。大手の工業化住宅に対し、木のぬくもりを求める顧客に選ばれる。ただし、個別の注文住宅は営業と設計で成り立つ受注産業で、価格決定力は限られる。
利益の水準は高くない。営業利益率は 2013 年 10 月期の 9.8% が山で、直近は 8.0%。景気や着工の波に合わせて利益は 4〜9% を行き来してきた。ROE は過去 10 年の中位で 5.6% と、資本コストに届かない。
ホテルは弱点だ。赤字が続き、減損のリスクがある。財務は借入が増え、利払いの余裕も 19 倍から 6 倍に縮んだ。経営の資本配分は、本業の注文住宅の外に広げすぎていないかが焦点になる。
もう一つの懸念は、棟数が見えにくいことだ。受注高は金額で開示され、棟数や単価の開示が乏しい。数量が落ちているのか、単価が上がっているのかを外から判断しにくく、利益の質を測る手がかりが少ない。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
国内の新設住宅着工は、2025 年度に 71 万戸と、リーマン後を下回る水準まで落ちた。2026 年度は住宅ローン減税の延長などで 78 万戸に戻る見通しだが、世帯数の減少は止まらない。中立では 10 年後に 60 万戸台まで細る。
建築費は資材高と人手不足で物価を上回って上がっている。大手(積水ハウス、大和ハウス、住友林業)は海外の住宅事業で数量を補うが、日本ハウスにはそれがない。国内の注文住宅は、価格が上がるほど顧客が絞られる。
競合は大手に加え、地域の工務店、タマホームなどのローコスト勢だ。檜と高価格帯で戦う日本ハウスは、大手の高価格帯と直接ぶつかる。金利が上がれば、住宅ローンの負担から契約が先送りされやすい。
ホテルは訪日客の追い風があるが、償却と人件費が重く、規模の小さい自社運営では収益が出にくい。
宿泊業の全体では、客室単価が物価を上回って上がる局面にある。ただし人手不足で賃金も上がり、運営を外部のブランドに任せる所有と運営の分離が主流だ。自社で運営する日本ハウスのホテルは、規模の利益が小さい。
もう一つの変化は、新築から中古・リフォームへの重心の移動だ。建築費が高止まりする間は、新築に手が届かない世帯が既存住宅に流れる。注文住宅の客層は、土地を持つ層に絞られていく。
資本政策と M&A
配当利回りは約 4%(配当性向 3〜4 割)で、安定配当を基本とする。自社株買いはない。株主優待は 1,000 株以上に子会社の農場産のスープセットで、年の費用は 0.2 億円に満たず、数字には入れていない。
政策保有株は、みずほとMUFG の金融株が中心で、額は大きくない。賃貸不動産の含み益は開示になく、見込んでいない。
来期(2027 年 4 月期)の会社予想は、経常利益 21 億円に対し純利益が 36 億円と大きい。特別利益の中身は確かめられなかったため、10 年の数字には入れていない。借入は短期が増え、社債も 13 億円出した。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
自己資本 228 億円に対し、時価総額は 126 億円。資産を持ちながら半値で売られている。
住宅の受注は 3% 増で、遅れた引渡しが 2027 年 4 月期に戻る。会社予想は売上 328 億円で、前期から 1 割増える。中期計画の営業利益 26 億円に近づく。
ホテルは赤字が前期の 5.4 億円から 3.7 億円に縮み、黒字化の目途が立つ。新しい木造投資マンションとレンタル収納も育つ。本社費を吸収すれば、住宅の利益が全体に届く。
配当利回りは約 4% で、下値を支える。純利益は経常を大きく上回る予想で、資産売却が進んでいる可能性もある。時価総額の半分以下まで床は浅い。
日本ハウスは、過去に負債 680 億円を整理して立て直した経験を持つ。再び同じ失敗を繰り返さないよう、財務を引き締める経営の学習がある。檜という一点の素材は、大手が簡単にまねできない。
住宅ローン金利が上がっても、土地を持つ地方の建て替え需要は底堅い。大手が手を出さない価格帯と地域に、安定した顧客層がある。
慎重な見方
安い理由は稼げないからだ。ROE は 5〜6% で資本コストに届かず、自己資本は価値の根拠にならない。
国内の新築戸建ては、世帯数の減少で 10 年かけて縮む。大手は海外で補えるが、日本ハウスはない。住宅の売上は 18% 減ったばかりだ。
ホテルの赤字は何年も続く。償却は据え置きでも、人件費と水道光熱費が物価で上がる。本社費も 7 億円あり、住宅の稼ぎの 2 割を食う。
財務制限条項のある借入が増え、債務償還年数は 9.5 年に延びた。金利が上がれば利払いがさらに重くなる。中期計画も当初の営業利益 40 億円から引き下げられた。
棟数や単価の開示が乏しいことも不安材料だ。数量が落ちているのか、価格で持たせているのか、外から見えない。資産の裏づけはあるが、売れる価格は簿価より低い。ホテルや土地は、買い手がつく価格を見るべきで、帳簿の自己資本を真に受けてはならない。
経営の資本配分にも疑問が残る。本業が細るなかで、ホテルに資本を縛り、新事業にも手を広げている。得意なことに集中する方が、株主の利益になる。
どちらに重みを置いたか
稼ぐ力が資本コストを下回り、国内の需要が構造的に縮むという点で慎重な見方が強い。一方、資産の裏づけで悲観の床は浅く、受注が戻りつつあるので、中立に 4 割強の確率を置き、やや悲観と悲観で 3 割強にとどめた。
受注が底を打ち、住宅の利益率が直近で 12% 台を保てているうちは、悲観の確率を 1 割以上には上げない。逆にホテルの赤字が続き、財務制限条項の余裕が減れば、悲観に寄せる。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/04 期)
確率で加重した株価時価総額 477 円191 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 106 円42 億円)。 今の値に割り戻すと 281 円113 億円、今との差 −9.8%、 期待の年率 +6.5%(資本コスト 8.5%)→ 適正
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 7% | 733 円293 億円 | 145 円58 億円 | +181.5% | +10.9% | 61 円25 億円 |
| やや楽観 | 20% | 624 円250 億円 | 125 円50 億円 | +140.2% | +9.2% | 150 円60 億円 |
| 中立 | 42% | 511 円204 億円 | 120 円48 億円 | +102.2% | +7.3% | 265 円106 億円 |
| やや悲観 | 21% | 328 円131 億円 | 75 円30 億円 | +29.1% | +2.6% | 85 円34 億円 |
| 悲観 | 10% | 177 円71 億円 | 45 円18 億円 | −28.9% | −3.4% | 22 円9 億円 |
| 加重平均 | 100% | 477 円191 億円 | 106 円42 億円 | +86.9% | +6.5% | 583 円233 億円 |
今の株価時価総額 312 円125 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 8.5% を下回るほど割高。
楽観 7% 楽観:檜の注文住宅が指名され、ホテルも黒字で定着する 利益 23 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 733 円293 億円
住宅ローン減税の延長と建築費の転嫁が通り、引渡しは 600 棟に持ちこたえる。檜の家は価格が高くても選ばれる。1 棟の売上は物価以上に上がり、住宅事業の利益率は 12.8% に乗る。
ホテルは訪日客と法人需要で稼働が上がり、固定の償却を上回る売上で黒字に定着する。木造投資マンションとレンタル収納という新規の事業も、小さいながら黒字に寄与する。営業利益は 38 億円、純利益は 23 億円。
檜の高付加価値な家づくりが、ホテルの内装や投資マンションにも波及し、ブランドの一貫性が収益を押し上げる。借入は返済が進み、財務制限条項の余裕も広がる。
本社費は物価で膨らむが、効率化で増加を抑える。
- 住宅事業:数量 600(引渡棟数(棟))× 価格 5,400(1 棟あたり平均売上(万円。宅地販売を含む))→ 売上 324 億円・営業利益 42 億円。棟数 6% 減、単価 1.37 倍
- ホテル事業:数量 330(販売客室数(千室・泊))× 価格 2.10(1 室あたり平均単価(万円))→ 売上 69 億円・営業利益 4 億円。稼働が上がり黒字
- その他事業(太陽光売電):数量 4.4(売電量(百万 kWh))× 価格 36(1 kWh あたり単価(円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。固定価格買取のため単価は据え置き
倍率:事業の純利益 23 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 7.5% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 272 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の戸建て需要が細る中で、檜と 60 年保証の指名客を増やし続ける必要があり、ハードルは高い。ホテルの黒字は会社が目標に掲げているため入れた。
やや楽観 20% やや楽観:棟数の減りを単価で補い、ホテルは収支均衡に近づく 利益 18 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 624 円250 億円
引渡しは 570 棟まで減るが、単価の転嫁が通り住宅の売上は 300 億円。利益率は 12.4% で、直近の水準を保つ。
ホテルは赤字が縮み、小幅な黒字になる。営業利益は 32 億円、純利益は 18 億円。
国内の戸建て需要は減るが、建築費の上昇で相対的に価格の安い中古は伸びにくく、新築は一定の手堅さを保つ。ホテルは訪日客が支えるが、人件費の上昇で利益は伸びない。本社費は効率化で物価ほど増えない。
引渡しの遅れは解消され、受注残が積み上がる。60 年保証を前面に出した営業が、建て替えの検討層に届く。値上げは建築費の上昇分に限り、顧客を失うほどの上乗せはしない。
- 住宅事業:数量 570(引渡棟数(棟))× 価格 5,250(1 棟あたり平均売上(万円。宅地販売を含む))→ 売上 299 億円・営業利益 37 億円。棟数 11% 減、単価 1.33 倍
- ホテル事業:数量 300(販売客室数(千室・泊))× 価格 2.00(1 室あたり平均単価(万円))→ 売上 60 億円・営業利益 2 億円。小幅な黒字
- その他事業(太陽光売電):数量 4.4(売電量(百万 kWh))× 価格 36(1 kWh あたり単価(円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。固定価格買取のため単価は据え置き
倍率:事業の純利益 18 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 6.3% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 213 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:過去 12 年の利益率の山(9.8%)の手前までは届く筋書き。直近の 8.0% が目標の 8% 以上を達成したことが根拠。
中立 42% 中立:棟数は 2 割減るが単価は物価並み。利益率は 7% 前後 利益 13 億円 · PER 11.8 倍 · 株価時価総額 511 円204 億円
国内の新築着工は 60 万戸台まで細り、引渡しは 512 棟と今より 2 割減る。建築費は物価並みに上がるが、顧客の購買力の限界で単価は 1.30 倍にとどまる。住宅事業の売上は 263 億円、利益率は 12% で、営業利益は 32 億円。
ホテルは売上が 58 億円まで増える。償却は今の取得価格のままで、物価で増えない。人件費など他の費用は 1.34 倍に上がる。両者が相殺して赤字は 1 億円に縮む。
本社費は 7 億円から 9 億円に増える。全体の営業利益は 23 億円、純利益は 13 億円、利益率は 7.2%。
- 住宅事業:数量 512(引渡棟数(棟))× 価格 5,135(1 棟あたり平均売上(万円。宅地販売を含む))→ 売上 263 億円・営業利益 32 億円。棟数 2 割減、単価は 1.30 倍
- ホテル事業:数量 290(販売客室数(千室・泊))× 価格 2.00(1 室あたり平均単価(万円))→ 売上 58 億円・営業利益 −1 億円。償却は据え置き、赤字が縮む
- その他事業(太陽光売電):数量 4.4(売電量(百万 kWh))× 価格 36(1 kWh あたり単価(円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。固定価格買取のため単価は据え置き
倍率:事業の純利益 13 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 4.8% が k 8.50% 以下。ためた利益は投じた額より値が低いので伸びは数えず、稼ぐ力の値 PER = 1÷(k−g)(g=0) = 11.8 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 11.8 倍。全体の PER 11.76 倍、時価総額 152 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:国内の新築戸建ては世帯数の減少で縮む。住宅事業の利益率は直近の 13% 台から 12% に戻し、本社費は物価で増える。ホテルは償却が固定のため赤字が縮むと見た。
やや悲観 21% やや悲観:棟数が 3 割減り、本社費の重みで利益率が 3% 台 利益 6 億円 · PBR 0.4 倍 · 株価時価総額 328 円131 億円
金利の上昇で住宅ローンの負担が重くなり、国内の新築戸建ては 55 万戸台まで落ちる。引渡しは 440 棟、単価は 1.25 倍。住宅の売上は 218 億円、利益率は 9%。
ホテルは稼働が戻らず赤字が残る。本社費は 9 億円超で重く、営業利益は 10 億円、純利益は 5 億円まで縮む。
財務制限条項のある借入が重くなり、設備の更新を抑えるため、新規の出店も止まる。受注は価格の安い他社に流れ、檜の差別化が薄れていく。
建築費の上昇を単価に移せず、粗利率が下がる。営業人員の確保も難しくなり、受注の回復が遅れる。60 年保証の引当ては、棟数が減ってもすぐには軽くならない。
- 住宅事業:数量 440(引渡棟数(棟))× 価格 4,950(1 棟あたり平均売上(万円。宅地販売を含む))→ 売上 218 億円・営業利益 20 億円。棟数 3 割減、単価 1.25 倍
- ホテル事業:数量 270(販売客室数(千室・泊))× 価格 1.90(1 室あたり平均単価(万円))→ 売上 51 億円・営業利益 −2 億円。赤字が残る
- その他事業(太陽光売電):数量 4.4(売電量(百万 kWh))× 価格 36(1 kWh あたり単価(円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。固定価格買取のため単価は据え置き
倍率:PBR 0.37 倍を今の自己資本 228 億円に掛けた。稼ぐ力(純利益 5.5 億円)だけでは値が付かず、売れる資産の税後が値の支えになる筋書き。ROE は 2% 前後で k を大きく下回る。
確率:2023〜2024 年(赤字を含む)に起きた水準が、需要の長い低迷として再来する筋書き。着工が構造的に細る中で、起こりうる範囲に収まる。
悲観 10% 悲観:棟数が半分近くに落ち、ホテルの赤字と本社費で営業赤字 利益 −6 億円 · PBR 0.3 倍 · 株価時価総額 177 円71 億円
新築着工が 50 万戸台に落ち、大手ハウスメーカーが価格帯を下げて地方に入る。引渡しは 340 棟まで減り、単価は 1.19 倍にとどまる。住宅の利益率は固定費の重みで 4%。
ホテルの赤字は 4 億円に広がり、本社費は 9 億円超で動かない。営業損益は 6 億円の赤字。減損も出る。
会社は存続するが、財務制限条項に触れて資産売却に動き、株主の取り分は資産の売却価値が決める。ホテルは売却か撤退で整理に入り、住宅は規模を縮めて黒字を維持するのがやっとになる。
借入の借り換えは金利が上がった条件でのみ通り、利払いが利益を削る。中期計画は撤回され、配当も大きく減らされる。
- 住宅事業:数量 340(引渡棟数(棟))× 価格 4,700(1 棟あたり平均売上(万円。宅地販売を含む))→ 売上 160 億円・営業利益 6 億円。棟数半減に近い、単価 1.19 倍
- ホテル事業:数量 240(販売客室数(千室・泊))× 価格 1.80(1 室あたり平均単価(万円))→ 売上 43 億円・営業利益 −4 億円。赤字が広がる
- その他事業(太陽光売電):数量 4.4(売電量(百万 kWh))× 価格 36(1 kWh あたり単価(円))→ 売上 2 億円・営業利益 1 億円。固定価格買取のため単価は据え置き
倍率:PBR 0.31 倍を今の自己資本 228 億円に掛けた。稼ぐ力は赤字で、売れる資産の税後が床になる。
確率:構造的に負ける筋書き。世帯数の減少と建築費高で、注文住宅の顧客層が縮む。檜の高価格帯は大手に食われる。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
住宅事業
檜を軸にした在来工法の注文住宅の請負建築と、宅地の造成・販売。
| 数量引渡棟数(棟) | 価格1 棟あたり平均売上(万円。宅地販売を含む) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 640 | 3,950 | 253 | 33 |
| 10 年後 中立 | 512 | 5,135 | 263 | 32 |
取り方:売上 253 億円(前期比 18% 減)、セグメント利益 33.3 億円は有報の開示。受注高は 264 億円(3.2% 増)。棟数と単価は開示がなく、売上からの推定(平均 3,950 万円は注文住宅の請負と宅地販売を均した値)。
ホテル事業
子会社の日本ハウス・ホテル&リゾートが、自社所有のホテル・レジャー施設を運営する。
| 数量販売客室数(千室・泊) | 価格1 室あたり平均単価(万円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 276 | 1.50 | 41 | −4 |
| 10 年後 中立 | 290 | 2.00 | 58 | −1 |
取り方:売上 41.4 億円(前期比 5.3% 増)、セグメント損益は 3.7 億円の赤字(前期 5.4 億円の赤字)。客室数と単価は開示がなく売上からの推定。
その他事業(太陽光売電)
太陽光発電による売電。
| 数量売電量(百万 kWh) | 価格1 kWh あたり単価(円) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/04 | 4.4 | 36 | 2 | 1 |
| 10 年後 中立 | 4.4 | 36 | 2 | 1 |
取り方:売上 1.6 億円、利益 1.2 億円は有報の開示。売電量と単価は推定。太陽光は固定価格買取(FIT)で単価が決まっており、物価で上がらない。
リスクと懸念
国内の戸建て需要の縮小
新設住宅着工は 2025 年度に 71 万戸と低い水準で、世帯数の減少が長く続く。大手は海外で補えるが、同社は国内に集中している。
ホテル事業の赤字
売上 41 億円に対し 3.7 億円の赤字で、黒字化の目途は 2027 年 4 月期とされる。償却と人件費が重く、減損が出れば自己資本が減る。
財務制限条項と借入
シンジケートローンに財務制限条項があり、債務償還年数は 3.0 年から 9.5 年に延びた。金利が上がれば利払いが重くなる。
60 年保証の負担
長期保証は契約不適合責任の引当てを求め、補修費が想定を超えると利益を削る。木材価格の変動も原価に響く。
建築費の転嫁の限界
資材高と人手不足で原価は上がるが、顧客の購買力が追いつかなければ単価に移せず、利益率が削られる。
本社費の重み
連結の本社費は約 7 億円で、住宅の稼ぎを 2 割削る。売上が縮めば比率はさらに重くなる。
今後の分かれ目
- 受注高が 2 期続けて 3 割超の増加となり、棟数の回復が確かめられる
- 中立の棟数を 2 割減から 1 割減に引き上げて見直し、楽観の確率を増やす。
- ホテル事業が売却・撤退または黒字化する
- 赤字 4 億円が消え、全体の営業利益が 15% 以上上がる。資本配分の評価も上がる。
- 特別利益が不動産売却益で、その代金が借入返済に回る
- 財務の傷みが軽くなり、悲観の確率を下げる。
- 住宅ローン金利がさらに上がり、着工が 65 万戸を割る
- やや悲観に重みを移す。
- 配当性向の引き上げや自社株買いを発表する
- 還元の合計が増え、価値が上がる。
見ておくもの
- 受注高と引渡棟数
- ホテル事業の損益
- 債務償還年数と財務制限条項の余裕
- 新設住宅着工戸数
- 特別利益の中身と資産売却
倍率と資本コストの決め方
倍率は式から置いた。k 8.5% で ROE が k 未満の筋書きは上限が 1÷k(約 11.4 倍)で、中立の 8.8 倍はその 77%。今の PBR が 0.56 倍と低いことは倍率の根拠にしていない。悲観の床は今の自己資本に 0.31 倍を掛けた形で、総資産の処分価値の推定から置き、過去の PBR の底は使っていない。10 年後の数字は家賃を営業費用に入れる今の形で置いた。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 9.5→11.76 倍・やや楽観 PER 9→11.76 倍・中立 PER 8.8→11.76 倍)。
資本コスト 8.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。基本 7.5% に quality +1.25% を加えて 8.75%。同じ領域の中堅(住宅専業)と並べた。 2026-10-22 に循環と借金を過去の数字で付け直し、k は 8.75% → 8.50%。