結論
ソネックは兵庫県高砂市に本店を置く地場のゼネコンだ。東播磨を地盤に、学校や庁舎などの公共の建物と、マンションや工場などの民間の建物を建てる。筆者の結論は「ほぼ適正」で、一番の理由は2026年3月期の好決算が山の年だからだ。
2026年3月期は大型の工事の引き渡しが重なり、売上は5割増え、営業利益は過去最高の19億円になった。だが会社自身は今期の営業利益を11億円と見込む。過去12年の営業利益率は平均5%台で、8%台は初めてだ。山の利益を10年後まで延ばすことはできない。
財務は堅い。純現金は約40億円あり、借入に頼らない方針を守る。ただ配当は利益の3割弱にとどまり、現金は会社の中に積み上がる。大株主の富士京不動産が36%、取引先持株会が11%を持つ。
ならした利益と、積み上がる現金のうち株主に戻りうる分を合わせると、価値は今の時価総額を1割弱上回る程度になる。割安と言えるほどの安全域はない。とはいえ大きく割高でもなく、配当の厚みが増せば見方は変わりうる。
バリュー投資の観点から
バリュー投資の観点では、この会社は「堅いが、伸びない地元の商売」だ。倒れない財務と地元の信用は、地方の建設会社としては上等だ。だが、売っているのは入札と相見積もりで値段の決まる工事で、他社にまねできない強みは乏しい。
持ち主の目で見ると、気になるのは資本の使い方だ。利益の7割を会社に残し、その多くが現金のまま積み上がる。建設は設備がほとんど要らない商売なので、残した利益で事業が大きくなるわけではない。ためた現金は、配当や自社株買いで戻されない限り、株主にとって帳簿の額ほどの値打ちがない。
安全域は薄い。今期の山の利益で見れば安く見えるが、ならした利益で見ればほぼ適正だ。地方の人口減と顧客の集中を考えると、筆者は今の値段に飛び付く理由はないと見る。現金の使い方が変わる兆しが見えた時が、見直す時だ。たとえば配当性向の目標を示す、自社株買いを始める、といった動きだ。
何で稼ぐ会社か
売上の99%が建設で、そのほとんどが建築だ。2026年3月期の完成工事高は建築が約213億円、土木が約12億円だった。残りは子会社のケミカル運輸による運輸の約3億円と、兼業の不動産の販売・賃貸がある。
顧客は民間が約8割、官公庁が約2割だ。民間では不動産会社のサムティが売上の16%を占める。マンションやホテルの建設を請け負っているとみられる。官公庁では兵庫県多可町が16%を占め、2026年3月期には多可町立の統合中学校を引き渡した。兵庫県立むこがわ特別支援学校の本館棟も同じ期に完成した。
仕事は東播磨を中心とする兵庫県南部に集中する。地元の自治体、地元の工場、関西に拠点を持つ不動産会社が主な発注者だ。受注は2026年3月期に約198億円、次の期への繰越は約168億円で、うち民間が142億円を占める。
社員は連結で133人と少ない。施工は協力会社に頼る、典型的な地場ゼネコンの形だ。少ない社員で現場を管理し、施工の手は協力会社が担う。協力会社を確保できるかが、受注できる量の上限を決める。設備投資は自己資金で賄い、借入には頼らない。
優良さと弱いところ
強みは地元での信用と財務の堅さだ。東播磨で長く仕事をしてきた実績があり、自治体の学校や庁舎、地元企業の工場を継続して受注できる。純現金が厚く、資材の値上がりや工事の遅れにも耐えられる。発注者にとって、倒れない施工会社であることは選ぶ理由になる。
弱みは規模と集中だ。地盤は兵庫県南部に限られ、人口は10年で数%減る。上位2社の顧客で売上の3割を占め、どちらかが発注を止めれば売上は大きく減る。値決めの力も弱い。公共工事は入札で、民間も不動産会社が相見積もりを取る。
過去12年の営業利益率は1.5〜8.2%と振れが大きい。ROEは中央値で10%弱だが、利益の山と谷で大きく動く。現金を厚く持つ分だけ、資本の効率は見かけより低い。経営は堅実だが、ためた現金を株主に戻す力は弱い。良い年の利益を、次の悪い年に備えて蓄える型の会社だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
地方の建設市場は、2つの力が逆向きに働いている。1つは追い風で、国土強靱化の中期計画が2026年度から5年で事業規模約20兆円を見込み、学校の統合や老朽化した公共施設の建て替えが続く。もう1つは向かい風で、地方の人口減が民間の住宅や商業施設の需要を細らせる。
業界全体では、2024年の残業規制のあと人手不足が構造になった。ゼネコンは取れる仕事を選び、資材と労務費の値上がりを値段に乗せるようになった。上場ゼネコンの9割近くで粗利率が改善している。ソネックの2026年3月期の利益率もこの流れの上にある。
競合は兵庫県内の地場ゼネコンと、神戸・大阪の準大手・中堅ゼネコンの支店だ。大型の民間工事では大手と競い、小さな公共工事では地元の中小と競う。後継者がいない地元の建設会社は減っており、残った会社に仕事が寄る面もある。協力会社の職人の高齢化は、地場ゼネコン全体の受注の天井を下げていく。
筆者は、東播磨の建設需要は10年で実質1〜2割減ると見る。値段は物価並みに上がるが、利益率は今期の山から過去の平均に戻ると考える。
資本政策と M&A
配当は安定配当を基本とし、当面は年1回の期末配当だ。2026年3月期は1株あたりの配当を前の期の1.7倍に増やし、総額は約3.7億円で純利益の27%にあたる。自社株買いの実績は見当たらない。中期計画の数値目標も公表していない。
純現金は約40億円ある。ただし工事の入金の時期で大きく動き、前の期は13億円だった。工事の立替や未成工事受入金の分を除くと、事業に要らない現金は15億円ほどと見る。
大株主は富士京不動産が36%、ソネック取引先持株会が11%だ。安定した株主が半分近くを持つので、買収の芽は小さい。一方で、資本の使い方を変えるよう外から求められることもない。利益の7割は会社に残り、自己資本は10年で倍近くに膨らむ公算が大きい。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
地方のゼネコンにとって、今は良い時代だ。人手不足で業者が減り、残った会社は仕事を選べる。資材と労務費の上昇を値段に乗せられるようになり、ソネックの営業利益率は8%台と過去最高に達した。国土強靱化で学校の統合や公共施設の建て替えは続き、多可町の中学校のような大型の公共工事は今後も出てくる。
受注も底堅い。2026年3月期の受注は約198億円で前の期より9%増え、繰越は約168億円ある。サムティなど関西の不動産会社のマンションやホテルの仕事も続く。地元で倒れない施工会社という信用は、人手不足の時代にこそ効く。
財務は堅く、純現金は時価総額の半分を超える。利益が今期の山の半分に戻っても、PERはまだ高くない。1株あたりの配当は前の期の1.7倍に増えた。積み上がった現金が配当や自社株買いで戻り始めれば、株主の取り分は大きく増える。時価総額の半分を超える現金は、悪い筋書きでも株主を守る。地元の業者が減るほど、ソネックのように財務が堅い会社に仕事が回る。
慎重な見方
2026年3月期は山の年だ。大型の完成が重なっただけで、会社自身が今期の営業利益を4割減の11億円と見込んでいる。過去12年の営業利益率は平均5%台で、8%台は一度きりだ。山の利益を基準にすれば、どの会社も安く見える。
地盤の東播磨は人口が減り、民間の建設需要は細る。売上の3割を上位2社の顧客に頼る形はもろい。不動産会社の開発の計画が止まれば、民間の受注はすぐに減る。自治体の学校の統合も、一巡すれば大型の工事は続かない。公共工事は入札で、値段の主導権は発注者にある。
資本の使い方も弱い。利益の7割を会社に残し、現金が積み上がるだけで、自社株買いはない。大株主が半分近くを持ち、外から変化を求められることもない。ためた現金は株主に戻らない限り、帳簿の額の値打ちを持たない。今期の山の利益で安く見える値段は、平地の利益で見れば安くない。工事の入金の時期で膨らんだ現金を、事業の価値と取り違えてはいけない。
どちらに重みを置いたか
両方の言い分に理がある。利益率の改善が業界の構造の変化に支えられている点は強気の見方が正しい。一方で、今期が山であることと、地盤の縮みと顧客の集中は慎重な見方の指摘どおりだ。確率は中立を中心に、やや楽観とやや悲観を同じ重さで置き、どちらにも大きくは寄せなかった。積み上がる現金が株主に戻るかどうかが、この会社の価値を最も大きく左右する。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/03 期)
確率で加重した株価時価総額 2,611 円191 億円(+ 配当配当と自社株買いの合計 483 円35 億円)。 今の値に割り戻すと 1,603 円117 億円、今との差 +57.0%、 期待の年率 +11.7%(資本コスト 7.5%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の株価時価総額 | 配当の合計還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・配当込み | 年率 | 確率 × (株価+配当時価総額+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 4,999 円365 億円 | 669 円49 億円 | +455.2% | +18.7% | 454 円33 億円 |
| やや楽観 | 20% | 3,904 円285 億円 | 585 円43 億円 | +339.7% | +16.0% | 898 円66 億円 |
| 中立 | 40% | 3,021 円221 億円 | 509 円37 億円 | +245.7% | +13.2% | 1,412 円103 億円 |
| やや悲観 | 20% | 985 円72 億円 | 378 円28 億円 | +33.5% | +2.9% | 273 円20 億円 |
| 悲観 | 12% | 205 円15 億円 | 281 円21 億円 | −52.4% | −7.2% | 58 円4 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,611 円191 億円 | 483 円35 億円 | +203.0% | +11.7% | 3,094 円226 億円 |
今の株価時価総額 1,021 円75 億円(2026-10-22)から見たトータルリターン。加重平均の年率がこの 10 年に期待できる年率で、資本コスト 7.5% を下回るほど割高。
楽観 8% 人手不足が追い風になり、山の利益が続く 利益 19 億円 · PER 17.3 倍 · 株価時価総額 4,999 円365 億円
業者が減り、残った地場ゼネコンに仕事が集まる。ソネックは東播磨の学校や公共施設の建て替えを取り続け、関西の不動産会社のマンションやホテルの仕事も増やす。施工の量は今期の水準を保ち、値段は物価をやや上回って上がる。営業利益率は8%を保ち、営業利益は今の1.3倍強になる。配当は利益の3割で続き、残りは現金として積み上がる。近隣の地場ゼネコンを買って地盤を広げる道も開ける。ただ、ためた現金が増えすぎて、ROEは資本コストにわずかに届かない。利益は大きく伸びるが、現金を配らない限り、その果実の一部は会社の中で眠る。
- 建築:数量 70.9(完成した延べ床面積(千平方メートル・年、推定))× 価格 4.20(1千平方メートルあたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 298 億円・営業利益 24 億円。延べ床 横ばい・単価 1.40 倍・利益率 8%
- 土木:数量 33.0(完成した工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.56(1件あたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 19 億円・営業利益 1 億円。件数 1.1 倍・利益率 8%
- 運輸:数量 134(運送の量(千トン・年、推定))× 価格 0.03(1千トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。量 横ばい・利益率 3%
倍率:事業の純利益 19 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 12.7% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 10.1%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 17.3 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 17.3 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 17.26 倍、時価総額 333 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:今期の過去最高の利益率8%を10年保つ筋書きで、過去12年で一度しかない水準なので8%。
やや楽観 20% 利益率が過去の平均より一段上に定着 利益 15 億円 · PER 16.4 倍 · 株価時価総額 3,904 円285 億円
値段の転嫁が地方にも定着し、ソネックの営業利益率は7%で落ち着く。今期のような大型の完成が毎年続くわけではないが、繰越の工事が切れ目なく続く。施工の量は今期の9割で、地盤の人口減の分だけ細る。土木は国土強靱化で今の水準を保つ。配当は利益の3割で続き、1株あたりの配当は物価に合わせて少しずつ増える。営業利益は今期とほぼ同じ水準に戻る。現金は積み上がり、自己資本は10年で倍近くになる。地元で倒れない施工会社という信用が、人手不足の時代に値段を守る力として働く。受注の選別もできるようになる。採算の悪い仕事を断れる会社は、利益の振れも小さくなる。
- 建築:数量 63.8(完成した延べ床面積(千平方メートル・年、推定))× 価格 4.11(1千平方メートルあたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 262 億円・営業利益 18 億円。延べ床 0.9 倍・単価 1.37 倍・利益率 7%
- 土木:数量 30.0(完成した工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.55(1件あたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 17 億円・営業利益 1 億円。件数 横ばい・利益率 7%
- 運輸:数量 134(運送の量(千トン・年、推定))× 価格 0.03(1千トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 4 億円・営業利益 0 億円。量 横ばい・利益率 3%
倍率:事業の純利益 14 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 11.3% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 9.4%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 16.4 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 16.4 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 16.44 倍、時価総額 249 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:業界全体で値段の転嫁が定着した流れに乗る筋書き。人手不足の構造が続く根拠はあるので20%。
中立 40% 山から平地へ。利益率は6%に戻る 利益 11 億円 · PER 15.5 倍 · 株価時価総額 3,021 円221 億円
今期の大型の完成は一巡し、施工の量は今期の8割の水準で落ち着く。東播磨の人口減で民間の需要は細るが、学校や公共施設の建て替えが下支えする。値段は資材と労務費に合わせて物価並みに上がる。営業利益率は6%で、過去の平均をやや上回る。人手不足で業者が減った分、価格競争は以前ほど激しくない。配当は利益の3割で、残りは現金として会社に積み上がる。営業利益は今期の8割弱だ。会社は堅く、赤字にはならないが、伸びる会社でもない。積み上がる現金のうち、配当で戻らない分は株主にとって割り引いた値打ちになる。配当が増えるかどうかが、株主の手取りを決める。
- 建築:数量 56.7(完成した延べ床面積(千平方メートル・年、推定))× 価格 4.02(1千平方メートルあたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 228 億円・営業利益 14 億円。延べ床 0.8 倍・単価 1.34 倍・利益率 6%
- 土木:数量 27.0(完成した工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.54(1件あたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 15 億円・営業利益 1 億円。件数 0.9 倍・利益率 6%
- 運輸:数量 121(運送の量(千トン・年、推定))× 価格 0.03(1千トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。量 0.9 倍・利益率 3%
倍率:事業の純利益 11 億円(余った現金の利息を除く)・事業の ROE 9.9% が k 7.50% を上回る。残る割合 0.50(moat=normal)で RONIC 8.7%、10 年より先の名目の伸び g 4.0% から正当化 PER = (1−g÷RONIC)÷(k−g) = 15.5 倍の上限そのものに置き、事業の純利益 × 15.5 倍 + 余った現金(戻り方込み)11 億円。全体の PER 15.45 倍、時価総額 180 億円(2026-10-22 機械で置き直した。手で上限から割り引かない:利益の質は moat と k で数え済み)。
確率:会社の今期予想と過去12年の平均をならした中心の筋書き。
やや悲観 20% 民間の受注が細り、価格競争が戻る 利益 5 億円 · PER 7.0 倍 · 株価時価総額 985 円72 億円
関西の不動産会社が開発を絞り、民間の受注が減る。学校の統合も一巡し、大型の公共工事は細る。施工の量は今期の7割に落ち、少ない仕事を地元の同業と奪い合う。値段は物価に届かず、営業利益率は3%に下がる。配当は利益の3割で減っていく。純現金は残るが、株主に戻る道は細い。会社は現金を抱えたまま、縮む地盤で仕事を探す。近隣の市町へ出ても、そこにも地元の業者がいる。営業利益は今期の3分の1を下回る。人手不足で残った業者も、仕事が減れば値段を下げて取りに来る。協力会社への支払いの値上げは続き、粗利は薄くなる。現金を抱えたまま、ROEは3%前後に沈む。
- 建築:数量 49.6(完成した延べ床面積(千平方メートル・年、推定))× 価格 3.75(1千平方メートルあたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 186 億円・営業利益 6 億円。延べ床 0.7 倍・単価 1.25 倍・利益率 3%
- 土木:数量 24.0(完成した工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.50(1件あたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 12 億円・営業利益 0 億円。件数 0.8 倍・利益率 3%
- 運輸:数量 121(運送の量(千トン・年、推定))× 価格 0.03(1千トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。量 0.9 倍・利益率 1%
倍率:事業のROE約3%がk 7.5%を大きく下回るので、PERの上限は1÷k=11.1倍。稼ぐ力が細る筋書きなので上限の6割強の7倍に置いた。余った現金は谷で使う分を引いた11.25億円を戻り方0.75で足した。
確率:顧客の集中と地盤の人口減が重なる筋書き。過去12年に利益率1.5%の年があるので20%。
悲観 12% 地盤が縮み、赤字の年が続く 利益 −1 億円 · PBR 0.1 倍 · 株価時価総額 205 円15 億円
東播磨の民間の建設需要が細り、主な不動産会社の顧客も失う。公共工事は入札で地元の中小と値段を削り合う。施工の量は今期の半分強に落ち、値段は物価に届かない。固定費が重く、営業損益は赤字の年が続く。配当は細り、純現金は赤字の穴埋めと工事の立替に使われる。会社は清算されず、現金は少数株主の手に戻らない。価値は手元の現金のうち戻りうる分だけになる。地元の信用は残るが、仕事の量そのものが足りない。協力会社も職人の引退で細り、受注できる工事も減っていく。自己資本の帳簿は厚く見えても、稼げない資本の値打ちは小さい。
- 建築:数量 39.0(完成した延べ床面積(千平方メートル・年、推定))× 価格 3.45(1千平方メートルあたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 135 億円・営業利益 −1 億円。延べ床 0.55 倍・単価 1.15 倍・赤字
- 土木:数量 21.0(完成した工事の件数(件・年、推定))× 価格 0.46(1件あたりの完成工事高(億円・名目))→ 売上 10 億円・営業利益 0 億円。件数 0.7 倍・収支とんとん
- 運輸:数量 107(運送の量(千トン・年、推定))× 価格 0.03(1千トンあたりの売上(億円・名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。量 0.8 倍・収支とんとん
倍率:赤字の年が続くのでPERは当てない。価値は手元の現金のうち株主に戻りうる分(床の資産15億円)で決まる。今の自己資本104億円に対して0.14倍。(2026-10-22 の式の直しで機械で置き直し、今は PBR 0.144 倍・時価総額 15 億円。上の倍率は置き直す前の値)
確率:地方の建設需要が人口減で構造的に縮み、上位の顧客も失う負け筋。過去に営業赤字の年(2005年3月期)もあり12%。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
建築
学校・庁舎などの公共建築と、マンション・ホテル・工場などの民間建築の施工。
| 数量完成した延べ床面積(千平方メートル・年、推定) | 価格1千平方メートルあたりの完成工事高(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 70.9 | 3.00 | 213 | 18 |
| 10 年後 中立 | 56.7 | 4.02 | 228 | 14 |
取り方:量は開示が無いので推定。建築の完成工事高212.79億円を、地方の中層建築の工事単価を1平方メートルあたり30万円前後とみて約7.1万平方メートルとした。利益は全社の営業利益から運輸と土木の分を引いた推定。
土木
兵庫県南部の自治体の道路・河川・上下水道などの公共土木。
| 数量完成した工事の件数(件・年、推定) | 価格1件あたりの完成工事高(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 30.0 | 0.40 | 12 | 1 |
| 10 年後 中立 | 27.0 | 0.54 | 15 | 1 |
取り方:量は推定。土木の完成工事高12.07億円を、1件0.4億円前後の地方の公共土木とみて約30件とした。利益率は建築並みと推定。
運輸
子会社ケミカル運輸による化学品などの運送。
| 数量運送の量(千トン・年、推定) | 価格1千トンあたりの売上(億円・名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2026/03 | 134 | 0.02 | 3 | 0 |
| 10 年後 中立 | 121 | 0.03 | 3 | 0 |
取り方:量は推定。運輸の売上2.68億円を、1トン2千円前後の近距離の運送とみて約13万トンとした。
リスクと懸念
山の利益からの戻り
2026年3月期は大型の完成が重なった山の年で、会社は今期の営業利益を4割減と見込む。利益率が過去の平均の5%台に戻れば、利益は今の6割ほどになる。
顧客の集中
サムティと兵庫県多可町の2者で売上の3割を占める。不動産会社の開発計画の見直しや、自治体の大型工事の一巡で、受注が急に減るおそれがある。
地盤の人口減
仕事は東播磨を中心とする兵庫県南部に集中する。人口減で民間の住宅や商業施設の需要が細れば、受注の量は実質で減っていく。
資材と労務費の高騰
受注のあとに資材や労務費が上がると、請負の値段に乗せられず利益が削られる。人手不足で協力会社を確保できない場合は、工事の遅れや外注費の上昇にもつながる。
現金が戻らない
利益の7割が会社に残り、自社株買いの実績もない。大株主が半分近くを持つため、積み上がった現金が株主に戻る保証はない。
今後の分かれ目
- 受注高が2年続けて200億円を超え、営業利益率が7%を保ったら
- やや楽観の筋書きに近づく。値段の転嫁が定着したと見る。
- 配当性向を上げる、または自社株買いを始めたら
- 積み上がる現金が株主に戻る確かさが増し、価値を上に見直す。
- サムティからの受注が大きく減ったら
- 民間の受注の穴を埋められるかを見て、やや悲観に重みを移す。
- 営業利益率が過去の谷の2%前後に戻ったら
- 価格競争が戻ったと見て、悲観側の確率を上げる。
- 近隣の地場ゼネコンを買収したら
- 払った値段と地盤の広がりを見る。現金の使い道としては悪くない。
見ておくもの
- 受注高と次期繰越工事高
- 完成工事の粗利率
- 上位顧客(サムティ・多可町)の売上の比
- 配当性向と自社株買いの有無
- 兵庫県の公共工事の発注額
倍率と資本コストの決め方
建築は延べ床面積(推定)×1平方メートルあたりの単価、土木は工事件数(推定)×1件の単価、運輸は運送の量(推定)で積んだ。今期は山の年なので、中立は建築の量を今の8割、利益率を過去の平均よりやや上の6%に置いた(過去12年の山8.2%以下)。倍率は資本コスト7.5%(循環+0.75%・値決め力+0.5%・寿命+0.25%)で、ROEはどの筋書きもkを下回るので1÷kの11.1倍を上限に置いた。今の株価やPERは見ていない。余った現金15億円は戻り方0.75で足し、10年で積み上がる現金は計算で足される。 2026-10-22 の見直し(溜まる現金を事業の ROE から外す・k の目安を対称に・楽観〜中立は上限そのものに置く・ROE が k 以下は配り方から出す式)で、倍率を機械で置き直した(第 1 段より前 → 今:楽観 PER 11.11→17.26 倍・やや楽観 PER 10→16.44 倍・中立 PER 8.9→15.45 倍)。
資本コスト 7.5% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。