結論
Cross Eホールディングスは、長崎を地盤にテーマパークや焼却施設の設備工事、施設管理を担う企業である。10年先の利益と保有資金から見ると現在の時価総額は割安だが、その安全域は顧客集中と買収への資金配分を厳しく点検して初めて認められる。施工と保守を実際に引き受ける人と資格は、画面上の作業より置き換えられにくい。一方、その技術力がそのまま値上げ力になるわけではない。
2025年9月期の売上は約46億円、営業利益は約6億円だった。しかし2026年9月期の会社予想は売上37億円強、営業利益3億円強まで下がる。ハウステンボス向けが前期売上の5割を超え、案件の完成時期だけでも損益が大きく振れる。2025年の高収益を何の修正もなく将来へ延ばす評価は危険である。
中立では九州のプラント更新と建物改修が戻り、買収した電気工事会社が独立した受注源に育つと見る。10年後の連結営業利益は6億円台、純利益は4億円台で、派手な成長を前提にしない。未使用の現金を慎重に評価した確率加重の現在価値は約36億円となり、約25億円の時価総額を約45%上回る。ただし、最大の投資判断は割安に見える現金を経営が本当に株主の価値に変えられるかである。2028年までの大規模な投資計画が低採算の買収に終わるなら、この差は容易に消える。
バリュー投資の観点から
長く持つ株主にとって、この事業の価値は受注残の大きさではなく、工事を引き渡した後に自由に残る現金で決まる。現場技術者の採用、必要な資格の維持、機械・車両の更新、施工不良への備えを差し引いても、株主に分配できる利益が継続するかを問いたい。設備管理の継続契約は好ましいが、特定のテーマパークの設備と判断に深く依存するため、全国に同じ仕組みを簡単に広げられる商売ではない。
手元の資金は魅力的だ。2026年6月末には現金預金と定期預金から借入金を引いた額が20億円を超えた。しかし工事には前受・未成工事の運転資金が要り、すでに多額の買収と拠点整備が計画されている。現金残高の全部を少数株主が自由に受け取れるものと扱うのは、経営者と所有者の違いを無視している。使途を差し引いた余剰分だけを切り出して価値に含める。
いちばん重い問いは、買収した会社の技術者・顧客・免許が投入資金以上の利益を生むかである。共新電設工業が既存二社と一緒に受注を取り、現場の稼働率が上がれば増分の資本利益率は十分に高くなり得る。反対に、利益を買うために高値を払い続けるなら、連結売上が伸びても所有者の価値は減る。
事業の寿命は長そうだが、値上げ力と経営者の再投資能力についてはまだ信頼の証拠が足りない。それでも受注が一時的に落ち込んだ2026年を起点に慎重な回復を考えれば、今の時価総額と長期価値の間には無視しにくい差がある。保有するなら、それを埋めるのは好景気ではなく、顧客分散と規律ある資本配分だと理解しておく必要がある。
何で稼ぐ会社か
収益の柱は、ハウステンボス・技術センターが手掛ける建築・設備の改修工事と施設運営、西日本エンジニアリングが手掛ける焼却・産業プラント向け機械の据付と保全である。顧客が払うのは設計書だけではない。稼働中の施設を止めず、現場の制約と安全を守りながら工事を終えることに対する対価である。発注は大型案件と小口工事が混じるため、受注の件数と工事一件の規模がともに変動する。
報告セグメントは建設及び機械設置工事とファシリティ・マネジメントの二つで、2025年9月期の売上はそれぞれ約38億円と約8億円だった。前者をさらに、焼却炉などの機械・プラント工事と、テーマパーク・一般建築物の改修に分けて考える。施設管理では設備点検、運転、修繕、指定管理などを受託する。大きな施設一件の年間対価と、小さな施設の契約を単純な一施設当たり料金で比較できない点に注意したい。
2025年10月から共新電設工業が加わり、電気工事・電気通信工事が新しい受注経路となった。2026年6月までの九か月で同社由来の電気・通信工事の売上は約3億7千万円となり、既存二社と公共案件を共同で受注する可能性がある。新たな太陽光発電収入もあるが、九つの発電所の年間発電量は約370万キロワット時で、全社価値を左右する主役ではない。
ハウステンボスへの売上は2025年9月期の52.7%、JFEエンジニアリングへは12.0%だった。前者は工事と施設管理の双方にまたがり、後者はプラントの受注元でも競争相手を選べる立場でもある。2027年9月まで続く総合管理契約は収益の土台になるが、更新後の条件まで保証するものではない。何をいくつ施工したかという件数は開示されていないため、セグメント欄では工事の代表案件数と管理施設の換算件数を推定値として明示した。
優良さと弱いところ
最も評価できるのは、稼働中の施設に入り込む技術と契約の継続性である。ハウステンボスの施設を長く扱ってきた現場知識、建築士・電気工事・機械器具設置などの資格、設備ごとの故障履歴は新規参入者が一日では手に入れられない。焼却炉やプラントでも、施工後の手直しに責任を持てる地元の技術者を確保することに意味がある。顧客から仕事が繰り返し来る理由はある。
しかし強固な独占とは呼べない。国や自治体の工事には競争入札があり、JFEエンジニアリングなどの元請けは下請けを選び直せる。ハウステンボス一社が2025年の売上の半分を占めることは、顧客が離れにくい強みであると同時に、相手の交渉力が極めて大きい弱みでもある。値上げを何度も通し、高い更新率が続いたという開示は乏しく、堀の厚さを過大評価できない。
2025年は営業利益率が12%台、ROEが約14%と健全だった。ところが2026年6月までの累計営業利益は前年同期比約半減し、施設管理でも人件費上昇の価格転嫁が追い付いていない。高い利益率が固定的なものではないことが早くも示された。自己資本比率は2026年6月末も7割強で、現金も潤沢であるため、一時的な受注の谷を乗り切る力はある。
真の試金石は再投資の利回りである。成長分を買収で得ても、取得額に見合う追加利益が生まれなければ、ROEは下がり、少数株主の取り分も増えない。施工技術そのものは地元の堀になり得るが、上場持株会社の資本配分まで優良と認定するには、買収後の数字を追う時間が必要だ。
業界はいまどこにいて、どこへ向かうか
需要の中心は新設一辺倒ではなく、老朽化した焼却炉や建物を使い続けるための更新である。環境省の2024年度調査では全国のごみ焼却施設は991施設で、前年度より減っている。他方、施設の建設・改良にかかる経費は約5,561億円で、存続する施設には大型の更新投資が必要となる。プラントの数の増加より、長寿命化・安全基準対応・省力化工事が工事量を支える構造だ。
国内建設投資全体は巨大だが、九州北部の専門工事会社がその全域を直接取りに行けるわけではない。焼却炉の元請けにはJFEエンジニアリング、タクマ、カナデビアなどがあり、メーカーの自社施工部門や各地の機械設備工事業者と競争する。全国の焼却施設の建設改良費を分母にした同社のプラント工事の売上は3千分の1にも満たず、全国的なシェアはごく小さい。ただし民間プラント工事も売上に含むため、この比率は厳密なシェアではない。
施設管理の市場は全国ビルメンテナンス協会の2024年調査で約4兆8千億円と大きい。長崎・佐賀を中心とする会社資料の市場区分を約315億円と見るなら、同社の2025年の施設管理売上約8億円は単純比率で約2.5%だ。テーマパークの総合運営は普通のビル清掃と役務が異なるため、これも市場占有率の確定値ではない。日本管財、イオンディライト、セコム系の管理会社や地場業者が、公共施設と民間施設の管理契約で競う。
10年間、人口減少によって新築の件数や小規模施設は細りやすいが、防災・廃棄物処理・観光施設の安全運営は不要にならない。物価上昇に連れて契約価格が上がっても、建設資材と熟練工の人件費が同時に上がる。現場では資格、施工管理、保安責任と実際の作業が必要であり、AIが直ちに工事全体を代替するものではない。一方で積算・図面確認・報告書作成の単価は下がり得るので、価格を維持するには現場で結果を出す力が要る。
資本政策と M&A
資本政策には良い約束と、大きな試練が同居する。2025年9月公表の中期経営計画は、2028年9月期に売上65億円、営業利益6億円、ROE10%超を目標とした。株主還元は連結配当性向35%を目安に、減配を避ける累進配当制を導入した。向こう三年の配当総額を約3.5億円とする計画がある一方、DOEや自社株買い金額の具体的な約束はない。
規模の大きさで目を引くのは投資計画である。2026~2028年の投資枠は合計28.6億円で、成長投資24.6億円と基幹システム・関西拠点などの経営基盤投資4億円からなる。成長投資の一部として、2025年10月に共新電設工業を4.2億円で買収した。過去には2017年に西日本エンジニアリングを取り込んで事業領域を広げてきたが、今回の計画は現在の時価総額に匹敵する大きさであり、過去の成功をそのまま再現できるとは限らない。
株主構成ではエイチ・アイ・エスが約70%を保有し、経営判断への影響力が強い。2024年から2025年にかけて増配の実績があり、支配株主がいるという理由だけで余剰資金を半分の価値に切り下げるのは不適切だ。ただし配当性向は約35%で、蓄積した現金を積極的に自社株買いで戻す実績も確認できない。余剰資金の株主への戻り方は額面の75%とし、残りは大型買収に使われる危険を残した。2026年の減益を受け、利益が予定を下回れば増配余力と投資資金の両方が圧迫される。
強気の見方と慎重な見方
強気の見方
九州北部にある老朽化した公共焼却施設、工場、観光施設は、景気が悪くても保安点検と設備更新を止められない。西日本エンジニアリングは産業用機械の据付と補修に実績があり、ハウステンボス・技術センターは巨大な複合施設の運営ノウハウを蓄えている。双方の技術は現場の安全責任と結び付いており、AIによる事務の効率化だけでは仕事そのものは消えない。熟練工不足はむしろ、施工体制を確保した会社への発注を増やす可能性がある。
2026年の落ち込みは一部工事の完工と着工時期のずれが主因で、恒久的に競争力を失った証拠ではない。大型案件の翌年に受注が減る建設業の性質を考えれば、2025年の高い利益と2026年の谷のどちらも、そのまま平年にしてはいけない。共新電設工業の電気・通信工事が官公庁と民間双方への入口となれば、従来は設備工事を一括受注できなかった顧客へも提案できる。施設管理の定期契約を核に工事を随時追加できる点も、営業費用を抑える力になる。
約70%を占める親会社との関係は確かに特殊だが、上場後の増配と2028年までの累進配当の約束は少数株主にとって前進である。現金が厚く借入依存が小さいので、受注不振の間も技術者を抱え、必要な買収に参加できる。新しい事業が本業との相乗効果を示せば、営業利益は計画を超え、地域をまたぐ施工会社へ発展する余地がある。
慎重な見方
2025年の売上の半分をハウステンボスが占め、JFEエンジニアリングまで加えると約3分の2になる。設備運営の蓄積が強みに見えても、契約の更新や工事発注量は相手側が決める。ハウステンボス向けの総合管理契約は2027年9月までであり、更新時の値下げや業務の分割発注が起きれば、工事と施設管理が同時に傷む。地域での地位を全国的な独占と取り違えてはいけない。
2026年9月期の営業利益見通しは前年から4割以上減る。人件費や建築資材の上昇を現場の契約価格へすぐ移せないため、売上が物価並みに戻っても粗利は回復しないかもしれない。公共工事の入札では建設大手や地元の施工業者と競争する。大型焼却プラントの改修は更新需要があっても、元請けからの発注に左右され、毎年同じ量が保証されるわけではない。
中期計画の投資枠は現在の時価総額に迫る。買収で売上を買っても、のれんや拠点費用を負担した後の資本利益率が低ければ、現金の厚さは株主を守らない。約70%を保有する親会社は経営の方向を決められるが、少数株主が余剰現金の使い道を変えるのは難しい。買収先の利益悪化、太陽光設備の将来撤去費用、重要顧客の契約見直しが重なれば、名目の自己資本が残っても、それを利益として稼ぎ直す力は大きく落ちる。
どちらに重みを置いたか
長期の事業需要と現金の厚さでは強気の見方に分があり、価値が現在の時価総額を上回る公算がある。ただし予想の確度は高くない。下に寄せる理由は、ハウステンボスへの売上集中、2026年の大幅減益、現在の時価総額に匹敵する買収投資の三つだ。楽観側26%に対し、やや悲観と悲観を38%とし、中立は36%とした。これはAIによる縮小を確率でも重複して引いた結果ではなく、この会社特有の契約集中と資本配分を反映したものである。
10 年後の 5 つの筋書き(2036/09 期)
確率で加重した現株数換算の終価現在株主分の終価 2,402 円60 億円(+ 還元の換算額還元の合計 543 円14 億円)。 今の値に割り戻すと 1,453 円36 億円、今との差 +46.3%、 期待の年率 +13.1%(資本コスト 8.3%)→ 割安
| 筋書き | 確率 | 10 年後の現株数換算の終価現在株主分の終価 | 還元の換算額還元の合計配当+自社株買い | トータルリターン10 年・還元込み | 年率 | 確率 × (終価+還元) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 楽観 | 8% | 6,142 円153 億円 | 1,069 円27 億円 | +626.3% | +25.3% | 577 円14 億円 |
| やや楽観 | 18% | 3,982 円99 億円 | 752 円19 億円 | +376.8% | +19.3% | 852 円21 億円 |
| 中立 | 36% | 2,470 円61 億円 | 515 円13 億円 | +200.6% | +13.2% | 1,075 円27 億円 |
| やや悲観 | 24% | 933 円23 億円 | 455 円11 億円 | +39.9% | +4.2% | 333 円8 億円 |
| 悲観 | 14% | 576 円14 億円 | 198 円5 億円 | −22.0% | −2.8% | 108 円3 億円 |
| 加重平均 | 100% | 2,402 円60 億円 | 543 円14 億円 | +196.6% | +13.1% | 2,946 円73 億円 |
今の株価時価総額 993 円25 億円(2026-11-02)から見たトータルリターン。各行の年率は還元・追加負担を期間の中間時点に置く仮定のIRRです。最下段は期待CFから計算したIRRで、各行のIRRの加重平均ではありません。実際の配当時期を観測した値ではありません。
楽観 8% 新規受注が広がり工事と施設管理が共に伸長 利益 10 億円 · PER 14.3 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 6,142 円153 億円
自治体の老朽焼却炉の更新と民間プラントの改修が増え、西日本エンジニアリングが九州から中国・関西へ施工範囲を広げる。ハウステンボスでは大規模な設備更新が連続し、総合管理契約は2027年以降も価格改定を伴って継続する。複数のホテル・公共施設でも長期管理契約を獲得し、一社への依存は薄まっていく。
共新電設工業の電気工事と既存の機械工事を組み合わせた一括受注が定着する。経営陣は小規模な買収を行っても技術者の定着を優先し、取得後の利益率を高める。AIによる積算・報告の自動化で現場事務の時間を減らせるが、工事そのものの増分需要は実際の発注と施工能力から生じる。再投資の収益率は資本コストを大きく上回り、現金配当も増える。
価格の上昇は資材費だけでなく設備管理に必要な専門性の対価として浸透する。工事の標準案件数は広域展開によって増加するものの、人手不足の下では過度に安値を取らず、売上の拡大と採算を両立できる。この形なら10年後も地域の小規模下請けから一段広い設備総合サービス企業へ成長している。
- 機械・廃棄物プラント工事:数量 55.0(工事契約の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.82(標準案件1件当たりの工事売上(億円、名目))→ 売上 45 億円・営業利益 7 億円。受注設備工事の換算件数と名目契約単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- テーマパーク・建築設備改修:数量 85.0(中小工事の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.48(標準案件1件当たりの建築・設備工事売上(億円、名目))→ 売上 41 億円・営業利益 5 億円。建築改修の換算件数と工事単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 施設管理・指定管理:数量 55.0(年間総合管理契約に換算した施設数(件/年、推定))× 価格 0.32(換算施設1件当たり年間管理フィー(億円、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 4 億円。年間管理施設の換算件数と年間契約単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 電気・電気通信工事:数量 50.0(電気・通信工事の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.35(標準案件1件当たり電気工事売上(億円、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 2 億円。新規電気工事の標準案件数と単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 太陽光発電・売電:数量 4,000(年間の売電量(MWh))× 価格 0.00(1MWh当たりの売電収入(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。年間発電量と実効売電単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
倍率:資本コスト8.25%、通常の堀で超過収益が残る割合1/2、2036年以降の名目成長率g=2.5%。10年後の余剰現金14億円を自己資本・純利益から分離し、事業ROE20.11%、増分RONIC14.18%として正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=14.325倍の上限そのものを採用。会社全体の価値は(純利益10.29−余剰現金の税後受取利息0.014×14)×PER+余剰現金14×戻り方0.75。現行株価や同業PERを参照しない。
確率:地域の技能人材を確保し、既存顧客に偏らない大口工事を複数継続獲得するうえ、買収先の利益率も改善するという好条件の同時成立が必要なので上側には限定的な重みを付ける。
やや楽観 18% 建設更新需要を取り込み受注先が分散 利益 7 億円 · PER 13.6 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 3,982 円99 億円
2026年に遅れた工事が数年で正常化し、焼却炉の長寿命化と観光施設の改修需要が積み上がる。ハウステンボスとの施設管理は更新されるが、売上への比率は地域内の公共施設と工場を新たに開拓して少しずつ下がる。大きな施設を扱った経験が、比較的小さな管理施設での受注実績として認知される。
共新電設工業の工事が官公庁案件にも定着し、機械設備の据付と電気設備の更新を同じ顧客に提案できる。M&Aは採算を見ながら少数に絞り、取得したのれんは工事の利益で回収する。技術者の採用で人件費が先行する時期もあるが、受注量が増えるにつれて現場の稼働率が改善する。
価格はおおむね物価上昇を反映するものの、入札で自由な値上げはできない。主要な保守契約は比較的安定し、営業利益率は2025年の好調時より少し低い水準で定着する。事業は全国企業ほど強くないが、九州北部の設備工事と管理の複合体として安定性を増す。
- 機械・廃棄物プラント工事:数量 43.0(工事契約の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.73(標準案件1件当たりの工事売上(億円、名目))→ 売上 31 億円・営業利益 5 億円。受注設備工事の換算件数と名目契約単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- テーマパーク・建築設備改修:数量 78.0(中小工事の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.43(標準案件1件当たりの建築・設備工事売上(億円、名目))→ 売上 34 億円・営業利益 4 億円。建築改修の換算件数と工事単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 施設管理・指定管理:数量 52.0(年間総合管理契約に換算した施設数(件/年、推定))× 価格 0.30(換算施設1件当たり年間管理フィー(億円、名目))→ 売上 15 億円・営業利益 3 億円。年間管理施設の換算件数と年間契約単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 電気・電気通信工事:数量 40.0(電気・通信工事の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.30(標準案件1件当たり電気工事売上(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 1 億円。新規電気工事の標準案件数と単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 太陽光発電・売電:数量 3,750(年間の売電量(MWh))× 価格 0.00(1MWh当たりの売電収入(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。年間発電量と実効売電単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
倍率:資本コスト8.25%、通常の堀で超過収益が残る割合1/2、2036年以降の名目成長率g=2.5%。10年後の余剰現金10億円を自己資本・純利益から分離し、事業ROE14.96%、増分RONIC11.60%として正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=13.644倍の上限そのものを採用。会社全体の価値は(純利益6.96−余剰現金の税後受取利息0.014×10)×PER+余剰現金10×戻り方0.75。現行株価や同業PERを参照しない。
確率:既存二社の施工・管理ノウハウと電気工事会社の補完性が発揮され、2026年の反動減から利益が戻る余地は十分あるが、親会社向け案件の継続がなお前提となる。
中立 36% 工事の谷から回復し施設管理が緩やかに育つ 利益 5 億円 · PER 12.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 2,470 円61 億円
焼却炉や工場の更新工事は続くが、案件数は人口減少と入札競争で大きくは伸びない。2026年の減収後、顧客との関係を維持しながら発注量が平準化し、ハウステンボス以外の仕事も徐々に増える。建物改修では工事単価に物価上昇の一部を反映できるが、原材料と外注費の上昇も利益を押さえる。
施設管理の契約は2027年以降も更新されるものの、値決め力は限定的であり、管理契約の換算件数は小幅な増加にとどまる。共新電設工業は電気・通信工事を独自に受注し、機械工事との共同提案も一部で実を結ぶ。太陽光の売電は設備の老朽化と買取条件の変化を反映し、大幅な成長事業とは考えない。
経営は買収機会を追うが、高値の大型案件には踏み込まず、技術者確保と既存設備の更新を優先する。営業利益率は2025年の好況時より低く、2026年の谷より回復した水準に落ち着く。10年後の事業は今と似た形を保つが、持続性はハウステンボスへの一極依存をどこまで緩められるかによって決まる。
- 機械・廃棄物プラント工事:数量 36.0(工事契約の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.68(標準案件1件当たりの工事売上(億円、名目))→ 売上 24 億円・営業利益 4 億円。受注設備工事の換算件数と名目契約単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- テーマパーク・建築設備改修:数量 64.0(中小工事の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.39(標準案件1件当たりの建築・設備工事売上(億円、名目))→ 売上 25 億円・営業利益 3 億円。建築改修の換算件数と工事単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 施設管理・指定管理:数量 45.0(年間総合管理契約に換算した施設数(件/年、推定))× 価格 0.27(換算施設1件当たり年間管理フィー(億円、名目))→ 売上 12 億円・営業利益 2 億円。年間管理施設の換算件数と年間契約単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 電気・電気通信工事:数量 35.0(電気・通信工事の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.25(標準案件1件当たり電気工事売上(億円、名目))→ 売上 9 億円・営業利益 1 億円。新規電気工事の標準案件数と単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 太陽光発電・売電:数量 3,450(年間の売電量(MWh))× 価格 0.00(1MWh当たりの売電収入(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。年間発電量と実効売電単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
倍率:資本コスト8.25%、通常の堀で超過収益が残る割合1/2、2036年以降の名目成長率g=2.5%。10年後の余剰現金8億円を自己資本・純利益から分離し、事業ROE10.65%、増分RONIC9.45%として正当化PER=(1−g÷RONIC)÷(k−g)=12.790倍の上限そのものを採用。会社全体の価値は(純利益4.52−余剰現金の税後受取利息0.014×8)×PER+余剰現金8×戻り方0.75。現行株価や同業PERを参照しない。
確率:2026年の大型案件終了を永久的な縮小とは見ず、工事の更新需要と買収済み電気工事の寄与で緩やかな回復を想定する。2028年計画の65億円は達成を保証せず、2036年までの成熟した利益から判断する。
やや悲観 24% 大口案件の縮小と単価の伸び悩み 利益 2 億円 · PBR 0.8 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 933 円23 億円
ハウステンボスでは2027年の契約更新後、管理業務が一部切り出され、改修工事も発注が減る。既存のプラント顧客では大手元請けが下請けを競わせるため、単価の引き上げが十分に進まない。焼却施設の数は減り続け、工事需要は残っても地元の施工会社間の価格競争が強まる。
共新電設工業は受注先を増やすものの、現場監督の確保と採用費用がかかり、グループ全体の利益率を回復させるほどには育たない。会社は計画した一部買収を見送り、既存事業に経営資源を戻す。定期の施設管理収益が残るため連続赤字にはならないが、2025年並みの利益が毎年出るという期待は失われる。
収益性が資本コストに届かない時期が長くなり、留保利益の経済価値も高くない。配当は過去の利益と手元資金で支えるが、業績が細れば還元の総額も落ちる。現場サービスは存続するものの、事業には地元の一般的な設備工事会社と同程度の競争しか残らない。
- 機械・廃棄物プラント工事:数量 26.0(工事契約の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.63(標準案件1件当たりの工事売上(億円、名目))→ 売上 16 億円・営業利益 2 億円。受注設備工事の換算件数と名目契約単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- テーマパーク・建築設備改修:数量 52.0(中小工事の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.35(標準案件1件当たりの建築・設備工事売上(億円、名目))→ 売上 18 億円・営業利益 1 億円。建築改修の換算件数と工事単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 施設管理・指定管理:数量 40.0(年間総合管理契約に換算した施設数(件/年、推定))× 価格 0.25(換算施設1件当たり年間管理フィー(億円、名目))→ 売上 10 億円・営業利益 2 億円。年間管理施設の換算件数と年間契約単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 電気・電気通信工事:数量 25.0(電気・通信工事の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.24(標準案件1件当たり電気工事売上(億円、名目))→ 売上 6 億円・営業利益 0 億円。新規電気工事の標準案件数と単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 太陽光発電・売電:数量 3,300(年間の売電量(MWh))× 価格 0.00(1MWh当たりの売電収入(億円、名目))→ 売上 1 億円・営業利益 0 億円。年間発電量と実効売電単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
倍率:競争でROEが資本コスト8.25%を下回るため、成長を乗せず、事業の稼ぐ力の上限(純利益1.68億円から余剰現金6億円の税後利息0.084億円を除き、8.25%で資本還元率換算した19.35億円+現金戻り分4.5億円)約23.85億円以下で評価する。床の自己資本は2036年の36.7億円ではなく現在の29.1億円に限定し、0.81倍で23.57億円。過去のPBR安値は使わない。
確率:下に寄せる理由:2025年売上の52.7%がハウステンボス、12.0%がJFEエンジニアリングで、2026年に営業利益が大幅減少した。受注先の分散が進まない場合は回復が鈍くなる。
悲観 14% 契約喪失と買収損失で資本を毀損 利益 −1 億円 · PBR 0.5 倍 · 現株数換算の終価現在株主分の終価 576 円14 億円
ハウステンボスの管理業務が競合へ切り替わり、設備改修の契約も縮小する。西日本エンジニアリングの主要な元請けは他の施工業者に仕事を振り向け、技能者の退職で受注できる案件数が大きく減る。公共の焼却炉改良予算が続いても、会社がその案件を獲得できる保証はない。
成長を急いだ電気工事などの買収では顧客や管理人材の統合に失敗し、追加費用とのれんの減損が発生する。太陽光発電所は買取単価の低下と撤去費用の重さから収益を失い、一部では赤字になる。施設管理が小規模に残るものの、固定の管理費・人件費を賄えず、10年目の連結営業損益は赤字となる。
前半の利益から配当は続けても、後半には縮小する。会計上の自己資本のかなりの部分は事業に残り、少数株主がそのまま換金できるわけではない。売れる資産と回収可能な現預金を慎重に評価した資産価値が中心となり、高い成長や昔の利益率を前提にした評価は成立しない。
- 機械・廃棄物プラント工事:数量 19.0(工事契約の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.56(標準案件1件当たりの工事売上(億円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 1 億円。受注設備工事の換算件数と名目契約単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- テーマパーク・建築設備改修:数量 36.0(中小工事の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.30(標準案件1件当たりの建築・設備工事売上(億円、名目))→ 売上 11 億円・営業利益 0 億円。建築改修の換算件数と工事単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 施設管理・指定管理:数量 32.0(年間総合管理契約に換算した施設数(件/年、推定))× 価格 0.22(換算施設1件当たり年間管理フィー(億円、名目))→ 売上 7 億円・営業利益 1 億円。年間管理施設の換算件数と年間契約単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 電気・電気通信工事:数量 15.0(電気・通信工事の標準案件換算件数(件/年、推定))× 価格 0.20(標準案件1件当たり電気工事売上(億円、名目))→ 売上 3 億円・営業利益 0 億円。新規電気工事の標準案件数と単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
- 太陽光発電・売電:数量 2,700(年間の売電量(MWh))× 価格 0.00(1MWh当たりの売電収入(億円、名目))→ 売上 0 億円・営業利益 0 億円。年間発電量と実効売電単価。2025年の換算数量を起点に、現場需要と入札競争を区別して推計。
倍率:大口契約と買収で事業利益が赤字になるためPERを用いず、2026年6月末の換金可能な金融資産・売れる固定資産を費用控除後で約14.5億円と評価する。のれん約1.29億円は売却価値ゼロとして床から除外。PBRを現在の自己資本29.1億円の0.50倍とし、将来の名目自己資本27.9億円には掛けない。床14.5億円を下回らず、今の時価総額から10年分還元を引いた上限も守る。
確率:大口顧客の契約縮小と買収資産の減損が重なり、構造的に採算が崩れる厳しい筋書き。工事施工の需要そのものは消えないので破綻を主筋とはしないが、少数株主に戻らない資金が増える危険は大きい。
セグメント:数量 × 価格
いまの数量と価格、中立の筋書きの 10 年後。売上と営業利益は億円。
機械・廃棄物プラント工事
西日本エンジニアリングなどの焼却設備・工場機械の据付、保全、修理。売上には元請けの大型改修と小口の機械工事が混じる。
| 数量工事契約の標準案件換算件数(件/年、推定) | 価格標準案件1件当たりの工事売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 30.0 | 0.53 | 16 | 3 |
| 10 年後 中立 | 36.0 | 0.68 | 24 | 4 |
取り方:2025年9月期の開示上、工事全体売上は37.91億円だが、機械と建築の通期内訳及び契約件数は未開示。2025年6月までの工事区分の機械13.17億円・建築18.36億円の比率を通期に適用し、機械分を約15.84億円と推定した。標準契約30件・平均0.528億円は数量の比較に使う換算値であり実際の契約数ではない。全国の一般廃棄物焼却施設の建設改良支出2024年度5561億円に対する単純比は約0.28%だが民間プラントも含むため厳密なシェアではない。2025年の工事営業利益6.39億円を推定売上比で機械2.67億円、建築3.72億円に割り振った。
テーマパーク・建築設備改修
ハウステンボス周辺の建築設備更新、一般建物改修、修繕工事。発注者と工事規模の集中が大きい。
| 数量中小工事の標準案件換算件数(件/年、推定) | 価格標準案件1件当たりの建築・設備工事売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 70.0 | 0.32 | 22 | 4 |
| 10 年後 中立 | 64.0 | 0.39 | 25 | 3 |
取り方:会社の2025年9月期建設・機械設置工事セグメント37.91億円を、2025年第3四半期の機械13.17億円と建築18.36億円の構成比で推定分割し、建築・設備改修を約22.07億円とした。標準案件70件・平均3153万円は明細未開示のため受注件数そのものを示さない。営業利益も工事セグメント営業利益6.39億円を売上比で配賦したもので、実際の工種別利益ではない。ハウステンボス向け2025年売上24.16億円には建築工事だけでなくFMが含まれるため一括して本区分に置いていない。
施設管理・指定管理
テーマパーク、公共・民間施設の設備運転、点検、修繕、指定管理を年間契約などで受託する。
| 数量年間総合管理契約に換算した施設数(件/年、推定) | 価格換算施設1件当たり年間管理フィー(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 40.0 | 0.20 | 8 | 1 |
| 10 年後 中立 | 45.0 | 0.27 | 12 | 2 |
取り方:2025年9月期の開示FM売上7.91872億円、同営業利益1.36110億円を使う。実施設数・契約価格は非開示で、巨大テーマパーク1契約と一般施設契約を同列の件数で扱えないため、40件相当×1979.7万円という年間契約換算の仮定にとどめた。全国ビルメンテナンス市場2024年約4兆8141億円、会社が参考にする長崎・佐賀周辺の管理市場約315億円に対して約2.5%の売上比率は、対象役務が一致しないため概算の参考値である。
電気・電気通信工事
2025年10月に買収した共新電設工業の公共・民間電気設備工事と通信設備工事。
| 数量電気・通信工事の標準案件換算件数(件/年、推定) | 価格標準案件1件当たり電気工事売上(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 0.0 | 0.20 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 35.0 | 0.25 | 9 | 1 |
取り方:共新電設工業は2025年10月1日から連結し、2025年9月期実績には含まれないため当期数量と売上はゼロ。2026年9月期第3四半期に電気・通信工事売上約3.65億円が実現し、12か月換算で約4.87億円、平均工事単価1950万円なら約25件という換算を2036年の出発点として使う。これは実際の受注件数の開示ではない。2025年側に買収後収益を先取りしない。
太陽光発電・売電
新規に保有・運営する9つの太陽光発電所からの売電収入。固定価格買取期間満了と撤去費用を考慮する。
| 数量年間の売電量(MWh) | 価格1MWh当たりの売電収入(億円、名目) | 売上 | 営業利益 | |
|---|---|---|---|---|
| 今 2025/09 | 0.0 | 0.00 | 0 | 0 |
| 10 年後 中立 | 3,450 | 0.00 | 1 | 0 |
取り方:2025年9月期の本体連結実績には太陽光売電を計上していない。2026年9月期の新規事業は9設備で年約370万kWh=3700MWhを発電するとの会社説明。2026年9月期第3四半期売上0.576億円の9か月年換算約0.768億円を3700MWhで割ると、1MWh当たり約0.000208億円(20.8円/kWh)の参考単価となる。FIT単価の設備別内訳は未開示なので一律の保証単価とは扱わない。
リスクと懸念
ハウステンボスへの売上集中と契約更新
2025年9月期はハウステンボスだけで連結売上の52.7%、JFEエンジニアリングを合わせると64.7%に達した。管理契約が2027年9月まで継続しても、次回の更新で価格を下げられたり大型改修を他社へ振り替えられたりすれば、工事と定期管理の両方が同時に傷む。長期の堀があっても発注者の交渉力が強い。
2026年の受注減少が一時的とは限らない
2026年9月期会社予想は売上約37億円、営業利益約3億円で、前期の高い稼働率が崩れた。延期と完工の反動なら再受注が見えてくるはずだが、継続的な受注額や繰越工事高が減り続ければ、2025年の利益水準は構造的に戻らない。利益を伴わない増収だけでは安全域を保てない。
M&Aへの資金集中と少数株主の利益
2026~2028年の成長投資24.6億円を中心とする総投資枠28.6億円は、現在の株式時価総額に匹敵する。買収先の技術者・既存顧客を維持できても、取得時に高いのれんを払えば増分ROICは下がる。支配株主が約70%を保有するため、少数株主が投資や現金還元の方針を変えることは難しい。
技能者不足と建築費の価格転嫁
機械器具設置、電気工事、施設管理はいずれも現場の監督者と有資格者を要する。採用費と賃金が上昇する一方で工事の入札価格が追随しなければ、売上が物価並みに伸びても営業利益率は低下する。2026年の施設管理では費用増の価格転嫁が不十分で、既にこの兆候が見える。
太陽光売電の契約寿命と撤去負担
太陽光は発電設備9か所を前提に約370万kWhの年間発電を見込む小事業だが、設備別の固定価格買取の満了時期と売電単価は一様でない。出力低下、故障、交換投資に加え、2026年6月末の資産除去債務は約1.3億円ある。帳簿上の発電資産を現金と同額の床に足してはいけない。
AI エージェント代替の射程
積算、図面照合、点検記録、見積書作成などの事務工程はAIエージェントが代替し、請負価格の一部に下落圧力を与える。ただし焼却炉の据付、保安責任、現場施工、設備の緊急補修は人手と許認可を伴い、人月で売るIT受託の数量縮小率を施工全体に機械的には当てない。事務部分の利益率低下を10年の単価と費用に織り込み、資本コストの寿命には重ねていない。
資産価値を換金できない統治構造
自己資本と現金預金の厚さは市場が不調でも会社を存続させるが、投資家が即時の清算や特別配当を請求できるわけではない。買収や不採算案件が続けば、将来の現金も営業資金として固定化する。とりわけ親会社との取引と取締役会の独立性について、適切な価格付けと情報開示が必要である。
今後の分かれ目
- 2027年9月以降もハウステンボスの総合管理契約が価格改定を伴って更新され、更新工事も維持されたら
- 継続契約による切替費用と値上げ力の証拠が増すため、中立とやや楽観の重みを上げ、FMの契約単価と利益率を見直す。
- 2026年の大型案件減少後、工事受注高と繰越工事高が連続して回復し、営業利益率が二桁に戻ったら
- 完工の谷という解釈が強まる。プラントと建築の標準案件換算数量を上方修正するが、過去最高の利益率への無条件の回帰は前提としない。
- 共新電設工業の年間売上と工事利益が単独で開示され、買収金額4.2億円に見合う利益と営業現金を継続して生んだら
- 買収の増分資本利益率が資本コストを上回る証拠として、電気工事の数量と再投資効率を引き上げる。追加買収も取得額と利益を個別に検証する。
- 2028年に向けた買収支出が予定額に近づく一方、連結ROEが10%を下回り、のれんが増え続けたら
- 中期計画の売上目標達成より資本配分の失敗を重視し、余剰現金の評価と中立の純利益を引き下げ、やや悲観の重みを増やす。
- 施設管理契約の価格改定率が人件費上昇率を下回る状態が続いたら
- 契約継続を堀の証拠と見なさず、FMの利益率と長期の値決め力を下方修正する。AIによる事務効率化の実現益がそれを埋めるかも確認する。
- 年35%程度の配当性向を超える配当や持続的な自社株買いが確認されたら
- 余剰資金の株主への戻り方を0.75から1.0へ見直す余地がある。逆に配当を減らして不採算買収を続けるなら、現金の価値は割り引く。
- 太陽光の固定価格買取期間や設備ごとの撤去見積りが公表され、当初想定を大きく下回る収益になったら
- 太陽光の将来売電単価と売れる資産の床を下げる。設備の償却費と更新支出を分けて、会計上の黒字が現金の黒字か確かめる。
見ておくもの
- ハウステンボス向け売上比率と2027年9月以降の総合管理契約更新条件
- 建設・機械設置工事の受注高、繰越工事高、工種別売上と完工時期
- 共新電設工業の売上・営業利益・従業員定着率と買収後ののれん残高
- 2026~2028年の28.6億円投資計画の実行額、案件別買収価格と増分ROIC
- 施設管理の契約改定単価、採用した有資格者の人数、人件費率
- 現金預金・定期預金・有利子負債の差、株主還元の額と配当性向
- 保有太陽光発電所の年間発電量、FIT満了時期、除去債務
- 親会社エイチ・アイ・エスとの取引比率、独立役員・少数株主保護体制
倍率と資本コストの決め方
売上は工事の推定標準案件件数×案件単価、施設管理の換算契約件数×年間管理費、発電量×売電単価で組み立てた。実際の件数がない工種では、2025年セグメント売上と2025年6月までの工事区分比率を起点とし、工種別件数を開示値と取り違えない。2026年の予想大幅減益を10年間の純利益と自己資本の流れに反映し、2025年の好況を直線的に延長しない。倍率は事業ROE、増分資本利益率、k8.25%、g2.5%の式からのみ決め、現在や同業のPER・PBRは参照していない。悲観時の床は将来の名目自己資本でなく現在の資産を回収可能額に直した。2027年4月以降開始年度からの新リース基準で使用権資産・負債の表示が変わっても、賃借料を営業費用とする比較可能な損益でそろえ、家賃を再度二重に引かない。
資本コスト 8.3% = 無リスク金利 3% + β — × 5%。日本国債3%と株式リスクプレミアム4.5%の合計7.5%に、事業の循環性・入札価格・純現金を反映した質の調整+0.75%を加えた。買収や大口顧客への集中は資本コストに上乗せせず、事業数量と確率に反映した。
同じ業種(建設業)の AI 分析
読んだ資料
- Cross Eホールディングス 2025年9月期 決算短信(福岡証券取引所、2025年11月13日)
- Cross Eホールディングス 2025年9月期 有価証券報告書(主要顧客比率とリスク、2025年12月)
- Cross Eホールディングス 2026年9月期 第3四半期決算短信(福岡証券取引所、2026年8月12日)
- Cross Eホールディングス 中期経営計画2026–2028(2025年9月24日)
- 環境省 一般廃棄物の排出及び処理状況等(2024年度、2026年公表)
- 全国ビルメンテナンス協会 歴年の実態調査の概要(2026年4月8日)
- 福岡証券取引所 Cross Eホールディングス上場会社詳細情報